説明

家計管理装置

【課題】収支管理を行うユーザ意識の継続を助ける。
【解決手段】財布型家計管理装置1は、所定期間中の予算額と、支出額とを入力する入力表示部20と、予算額及び支出額を記憶するフラッシュメモリ44と、予算額と支出額との差額を算出する差額算出手段51として、また当該算出結果に基づいて入力表示部20の表示内容の制御を行う表示制御手段53として機能する制御部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家計管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金銭の収支を記録、管理するため、出納簿やお小遣い帳等に収入及び支出を記録する方法が従来より行われてきた。また、近年のコンピュータ及びソフトウェア技術の発展により、コンピュータを家計簿として機能させるソフトウェアを用いて終始管理を行う方法も普及してきた。しかしながら、いずれにしても収支を記録することは地道な作業である上、娯楽性を欠くこともあり、記録を継続して行うには根気を要し、ユーザによっては記録の継続を怠ってしまうことがあった。
【0003】
そこで、端末から入力された収支の記録をサーバで行うと共に、サーバは収支の入力をユーザに促す表示を端末に行わせる制御を行う構成が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の構成は、定期的な収入日や支出日が到来するとサーバがその旨を示す画面を端末に表示させる他、キャラクターの画像や台詞を用いてユーザの入力を促す。
【特許文献1】特開2002−117220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、漫然と日々の収支を記録するに留まり、ユーザが能動的に収支管理を行う動機付けに欠けるものであった。例えば、支出を低減させたい、ある物を購入するための金額を日々の収支から捻出したい等の意識がユーザにあった場合に、特許文献1に記載の構成ではこのようなユーザの意識の継続を促す仕組みがないため、ユーザの意識の継続を助けることができなかった。
【0005】
本発明は、収支管理を行うユーザ意識の継続を助けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明による家計管理装置は、所定期間中の予算額を入力する予算額入力手段と、前記予算額を記憶する予算額記憶手段と、支出額を入力する支出額入力手段と、前記支出額を記憶する支出額記憶手段と、前記予算額と前記支出額との差額を算出する差額算出手段と、前記差額算出手段の算出結果に基づいた表示を行う表示手段と、前記差額算出手段の算出結果に基づき前記表示手段の表示内容を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の家計管理装置において、前記表示制御手段は、前記予算額に対する前記支出額の割合に応じて表示内容を変更することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の家計管理装置において、前記予算額に基づき前記予算額の所定期間よりも短い期間毎の使用限度額を算出する使用限度額算出手段を備え、前記差額算出手段は、前記使用限度額と前記支出額との差額を算出することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の家計管理装置において、前記表示制御手段は、前記使用限度額に対する前記支出額の割合に応じて表示内容を変更することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項3又は4に記載の家計管理装置において、前記支出額を低減させるための目標額を入力する目標額入力手段と、前記目標額を記憶する目標額記憶手段と、前記予算額と前記支出額との差額又は前記使用限度額と前記支出額との差額の算出結果に基づき前記目標額の達成度を管理する目標額管理手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の家計管理装置において、前記表示制御手段は、前記予算額又は前記使用限度額から前記支出額を差し引いた金額の累計が前記目標額以上となった場合に、前記目標額が達成されたことを示す表示内容を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の家計管理装置において、前記差額算出手段は、所定期間内の支出額の累計に基づき差額を算出することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の家計管理装置において、前記差額算出手段による算出を指示する算出指示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から8記載の発明によれば、収支管理を行うユーザ意識の継続を助けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明による家計管理装置の一実施形態である財布型家計管理装置1の斜視図を示す。
財布型家計管理装置1は、筐体2と、蓋3を備える。財布型家計管理装置1は、携行に差し支えのない大きさ(例えば図1に示す縦方向75[mm]、横方向80[mm]、厚み25[mm]以下程度)である。
【0016】
図2に、蓋3を開けた状態の財布型家計管理装置1の斜視図を示す。
蓋3は、ヒンジ部4によって筐体2に対して回動可能に連結されており、蓋3を筐体2と合わせるように閉めることで、蓋3によって筐体2に設けられたポケット5を覆う。蓋3を開くことで、ポケット5が露出する。ポケット5にはレシート等の小物を収めることができる。
筐体2及び蓋3は、ヒンジ部4と対向する辺側にツマミ7a,7bを有する。ツマミ7a、7bは、蓋3を閉じたとき互いに係合して蓋3を閉じたままの状態に保持し、ツマミ7a,7bが離れるよう力を作用させることで蓋3を開けることができる。
【0017】
筐体2は、入力表示部20と、後述する制御部40と、を備える。
入力表示部20は、タッチパネル式の表示装置であり、入力表示部20に対する接触位置とその際の表示内容とに基づき入力操作を行うことが可能である。入力表示部20は、予算額入力手段、支出額入力手段、表示手段及び目標額入力手段として機能する。
【0018】
図3に、タッチペン31の斜視図を示す。
入力表示部20に対する入力道具として、タッチペン31が設けられている。タッチペン31は、財布型家計管理装置1から分離独立してユーザが手に握れるペン形状の部材であり、その先端を入力表示部20に接触させることにより、入力表示部20に対して好適に入力操作を行うことが出来る。タッチペン31は、筐体2に設けられたタッチペン収納部8に対して収納/取出可能に設けられる。
【0019】
入力表示部20は、入力操作を伴わない表示装置としても機能する。入力表示部20の表示内容の制御及び入力表示部20に対する入力内容の認識は、制御部40が行う。
【0020】
図4に、制御部40の主要構成を示す。図4(a)はブロック図、図4(b)は機能ブロック図である。
制御部40は、図4(a)に示すように、CPU41、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ44、入出力インターフェイス45及び計時回路46を有する。制御部40の各構成は、筐体2内に設けられる。
【0021】
CPU41は、ROM42又はフラッシュメモリ44あるいはその両方から各種のプログラム、データを読み込んで実行、処理することで各種の処理、制御を行う。CPU41は、各種プログラム及びデータの実行、処理により少なくとも、表示制御手段51、差額算出手段52、使用限度額算出手段53及び目標額管理手段54として機能する。
フラッシュメモリ44は、予算記憶手段、支出記憶手段及び目標額記憶手段として機能する。その詳細は後述する。
【0022】
入出力インターフェイス45は、入力表示部20からの入力内容をCPU41に入力すると共に、CPU41の表示制御手段51としての機能による出力に応じた表示内容を入力表示部20に表示させる画面表示コントローラとして機能する。
計時回路46は、現在日時を計時する。CPU41は、計時回路46から現在日時を取得できる。計時回路46は、カレンダーの情報も有しており、CPU41は、計時回路46からカレンダーの情報を取得できる。
【0023】
次に、制御部40の各機能について説明する。
表示制御手段51は、入力表示部20の表示内容を制御する。以下の記載による入力表示部20の表示内容の制御は、表示制御手段51によるものである。
差額算出手段52は、予算額と支出額との差額又は使用限度額と支出額との差額を算出する。使用限度額算出手段53は、予算額に基づき一日の使用限度額を算出する。目標額管理手段54は、目標金額の達成度を管理する。以下、順を追って説明する。
【0024】
予算額は、所定期間中に使用可能な金額として設定される金額である。支出額は、使用した金額として入力される金額である。予算額、支出額は、入力表示部20から入力することができる。
図5に、入力表示部20の表示内容の主要構成を示す。
入力表示部20には、上セグ表示部21、下セグ表示部22、ボタン部23及びウィンドウ部24が表示される。このうち、予算額、支出額等の金額に関する表示は、下セグ表示部22及びウィンドウ部24によって行われ、金額の入力はボタン部23への入力を介して行われる。なお、上セグ表示部21には、現在の日付、時刻が表示される。
【0025】
ボタン部23には数字ボタン部23bが含まれており、数字ボタン部23bは0〜9の10個の数字にそれぞれ対応するボタンが表示されている。ユーザは、数字ボタン部23bのうち入力したい数字をタッチすることで、任意の数値を入力することができる。
【0026】
まず、予算額の入力について説明する。
図6に、予算額入力時のウィンドウ部24及び下セグ表示部22の表示内容の一例を示す。
予算額入力時、ウィンドウ部24には「よさん」の文字列が表示される。このとき、ボタン部23の数字ボタン23bに対する入力を介して、予算額を入力することができる。例えば、「5」、「0」、「0」、「0」、「0」の順で数字ボタン部23bをタッチすることで、設定したい予算額として50,000[円]を入力することができる。入力された予算額は、図6に示すように下セグ表示部22に表示される。入力した金額を予算額として設定する操作は、ボタン部23bに含まれる〆ボタン23gをタッチすることで行う。本実施形態では、予算は0〜5,000,000[円]の範囲内で任意に設定することができる。
【0027】
予算額は、前述のように金額を直接入力して設定する手順以外に、収入と固定費とを設定して予算額を算出させることによっても設定できる。固定費は複数設定でき、固定費としては例えば家賃、光熱費、通信費等がある。
図7に、収入と固定費とを設定する際のウィンドウ部24及び下セグ表示部22の表示内容の一例を示す。図7(a)は月収の入力時の表示内容、図7(b)は家賃の入力時の表示内容、図7(c)は光熱費の入力時の表示内容、図7(d)は通信費の入力時の表示内容、図7(e)はその他固定費の入力時の表示内容を示す。
【0028】
収入と固定費とを設定して予算額を算出させる場合、まず収入を設定する。本実施形態では、図7(a)に示すように月収を設定する。次に、図7(b)、図7(c)、図7(d)、図7(e)に示すように、家賃、光熱費、通信費、その他固定費等の固定費の設定を行う。図7(a)〜(e)に示すように、各金額の設定時には、設定する項目に対応する文字列がひらがなでウィンドウ部24に表示される。図7(a)〜(e)に示す各画面での金額入力方法は、前述の図6に示す予算額入力時と同様である。
【0029】
収入と固定費とが設定されると、制御部40は収入から固定費の合計額を差し引いた金額を予算額として算出する。算出された予算額は、図6と同様の表示によってユーザに通知される。算出、表示された予算額をそのまま設定することも、算出後の予算額を変更することもできる。その場合の入力操作方法は前述の予算額入力時と同様である。
【0030】
設定された予算額は、フラッシュメモリ44に記憶される。
本実施形態では、予算額を入力する方法として、予算額を直接入力する方法が「かんたんモード」、収入と各種固定費を入力する方法が「しっかりモード」として設けられており、ユーザはいずれか一方の入力方法を選択することができる。
【0031】
次に、使用限度額について説明する。
使用限度額は、一日毎の使用限度を示す金額である。
使用限度額は、使用限度額算出手段53によって算出される。使用限度算出金額53は、予算が入力された日からその月の月末日までの日数で予算額を除算した値を使用限度額として算出する。算出結果が割り切れない場合、予め定められた端数処理(例えば所定以下の桁を切り捨てる等)を行う。日数の算出は、計時回路46が管理する現在日及びカレンダー情報に基づく。その月の残り日数は、下セグ表示部22に表示される。下セグ表示部22は、7桁の金額表示部22aと、金額表示部22aの右側に設けられた3桁の日数表示部22bとを有し、予算額、支出額その他の金額表示は金額表示部22aによって行われ、その月の残り日数の表示は日数表示部22bによって行われる。使用限度額も、下セグ表示部22の金額表示部22aに表示することができる。使用限度額が表示される際、ウィンドウ部24には表示された金額が一日の使用限度額である旨を示す表示(例えば「いちにちのよさん」等の表示)がなされる。
【0032】
次に、支出額の入力について説明する。
図8に、支出額入力時のウィンドウ部24及び下セグ表示部22の表示内容の一例を示す。
支出額の入力は、図5に示すボタン部23に含まれる支出ボタン23aのいずれかにタッチすることで開始される。支出ボタン23aは、支出の種類毎にそれぞれ独立したボタンが設けられており、支出ボタン23aの各ボタンは対応する種類の支出を連想させるイラストを含む。例えば、支出ボタン23aの左上のボタンは、支出のうち「食費」に対応しており、このボタンをタッチすると図8に示すウィンドウ部24の表示が行われる。図8に示す表示が行われている際に金額を入力することで、支出額を入力できる。支出額の入力方法は、前述の図6に示す予算額入力時と同様である。
【0033】
入力された支出額は、フラッシュメモリ44に記憶される。支出額は、所定の期間内の支出額の累計を算出可能な状態で記憶される。具体的には、所定の期間内(例えば一ヶ月間)の支出額が個別に記憶され、所定の期間が経過するまで保持される。支出額が入力、記憶される際、支出額が記憶された日時も支出額と関連付けて記憶される。このとき、支出額の種類ごとの支出額の累計を算出可能な状態で支出額の記録を保持してもよい。即ち、支出額の記録保持情報に、支出額の種類を示す情報を付加して記憶してもよい。
【0034】
差額算出手段52は、予算額と支出額との差額を算出する。本実施形態において、予算額と支出額との差額の算出及び算出結果に基づく表示は、一日の予算額即ち使用限度額と一日の支出額の累計、一月の予算額と一月の支出額の累計とに基づき行われる。
差額算出手段52の算出結果に基づき、表示制御手段51は差額算出手段52の算出結果を通知するための入力表示部20の表示内容を制御する。具体的には、表示制御手段51は予算額から支出額を差し引いた金額の正負によって表示内容を変更させる。以後、予算額から支出額の累計を差し引いた金額が正の場合を黒字、負の場合を赤字と称する。
【0035】
図9に、予算額と支出額との差額に基づく入力表示部20の表示内容の一例を示す。図9(a)は黒字の場合の表示内容、図9(b)は赤字の場合の表示内容を示す。
ユーザは入力表示部20の表示内容によって一日又は一月の支出額の累計が予算額を下回ったか、上回ったかを確認することができる。
【0036】
黒字か赤字かの判定は、日単位又は月単位で行うことができる。差額算出手段52による差額の算出は、日単位の判定の際には使用限度額と一日の支出額の累計に基づき、月単位の判定の際には一月の予算額と一月の支出額の累計とに基づく。
差額算出手段52の機能による差額の算出及び算出結果に基づく表示を行わせるための指示は、〆ボタン23gをタッチすることで行うことができる。日単位の判定を行う場合、待ち受け画面(図示略)がウィンドウ部24に表示されている際に〆ボタン23gをタッチする。すると、差額算出を行う旨のメッセージ(例えば「あかじくろじをチェックする?」等のメッセージ)表示後、「OK」及び「NO」のボタンがウィンドウ部24に表示される。ここで「OK」ボタンをタッチすると、差額算出手段52による差額の算出と、算出結果に応じた黒字又は赤字の表示が行われる。一方、「NO」ボタンをタッチすると、待ち受け画面の表示に戻る。
【0037】
さらに、図9(a)、(b)に示す黒字/赤字の結果表示後、キャラクターによるドラマ(一日バトルドラマ)が表示される。
図10に、キャラクターの一例を示す。図10(a)は黒字に対応するキャラクターの一例、図10(b)は赤字に対応するキャラクターの一例を示す。
表示制御手段51は、差額算出手段52の算出結果に対応するキャラクターによるドラマを表示する。キャラクターによるドラマは、ウィンドウ部24に表示されるドット絵によるキャラクターとそのキャラクターのアクションによる。各キャラクター及びそのアクションのドットパターンはROM42等に記憶されており、表示制御手段51は差額算出手段52の算出結果に応じたキャラクター及びそのアクションをウィンドウ部24に表示させる。
【0038】
図10(a)に示すような黒字に対応するキャラクター(戦士)と、図10(b)に示すような赤字に対応するキャラクター(悪役)とが設けられている。黒字の場合は戦士を中心としたドラマ、例えば無駄遣い等の浪費を行う悪役に対して戦士が節約に有用な情報を提示し、悪役の浪費を諌める等の内容のドラマが表示される。黒字の場合に表示されるドラマは、節約即ち支出額の減少に有用な情報を含んでいる。例えば、窓を拭く作業に際して雑巾と洗剤を使わずに古新聞紙を用いる方法を示す、等が挙げられる。一方、赤字の場合は悪役を中心としたドラマ、例えば悪役の浪費に対して戦士が有効な手を打てない展開等のドラマが表示される。
黒字又は赤字及びその両方について複数種類のキャラクターを設けてもよい。
【0039】
このとき、キャラクターによるドラマの内容は使用限度額に対する差額の割合に応じて変化する。例えば、差額が使用限度額の50%以上である場合、50%未満30%以上である場合、30%未満0以上である場合、0未満である場合の計4通りのドラマが設けられており、そのときの差額に応じた内容のドラマが表示される。
【0040】
さらに、月締め日の場合、一日バトルドラマの表示後、月単位の判定が自動的に行われ、その判定結果が黒字である場合には図9(a)に示す表示が行われ、赤字である場合には図9(b)に示す表示が行われる。その後、黒字/赤字に応じたキャラクターのドラマ(月締めバトルドラマ)が表示される。月締め日は、任意の日付を設定することができる。
【0041】
キャラクターは、黒字又は赤字あるいはその両方について複数のキャラクターを対応させてもよい。例えば、支出ボタン23aが示す支出の種類について、それぞれ対応したキャラクターを設け、どのキャラクターによる表示を行うかをユーザが選択、決定できるようにしてもよい。キャラクター選択画面(図示略)において、支出ボタン23aのいずれかをタッチすることで、キャラクターを選択決定することができる。待ち受け画面において、ウィンドウ部にキャラクターを表示させるようにしてもよい。そのとき表示されるキャラクターは選択されたキャラクターと同一である。
【0042】
次に、目標金額について説明する。
ユーザは、目標金額を設定することができる。目標金額は、使用限度額から一日の支出額を差し引いた残金を蓄積させてその金額に至ることを目標とする金額である。即ち、日々の黒字を蓄積して設定した目標金額に至ることを目的として設定する金額である。
図11に、目標金額を設定する際のウィンドウ部24及び下セグ表示部22の表示内容の一例を示す。目標金額の入力方法は、前述の図6に示す予算額入力時と同様である。目標金額は、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0043】
差額算出手段52は、一日が経過するごとに、使用限度額と一日の支出額との差額を算出する。そして、目標額管理手段54は、差額算出手段52の算出結果に基づいて目標金額を減少させる。
【0044】
例えば、使用限度額から一日の支出額を差し引いた金額が正であった場合、使用限度額から一日の支出額を差し引いた金額を目標金額から差し引いて新たな目標金額として記憶する。即ち、黒字による使用限度額の残金額を、目標金額から差し引いて管理する。即ち、赤字による使用超過金額を、目標金額に加えて管理する。このように、目標額管理手段54は目標金額と日々の黒字/赤字とを関連付けて管理、記憶する。黒字が続き、目標金額がゼロとなった場合、目標金額分だけ予算額に対して支出額を低減させることができたことを意味するので、目標額管理手段54は、目標金額の減少によって目標金額の達成度を管理していることとなる。
【0045】
一方、使用限度額から一日の支出額を差し引いた金額が負であった場合、負の差額(赤字額)を月締め日までの残日数で除算した金額をその赤字が生じた日以降の使用限度額に加味する。即ち、赤字が生じた以降の使用限度額は、赤字額を残日数で割った金額分だけ減少する。つまり、赤字を生じさせるほど、次の日以降の使用限度額は減少してゆくこととなる。
【0046】
設定された目標金額と、日々の黒字によって減少する目標金額とは個別に管理、記憶するようにしてもよい。また、目標額管理手段54は、他の方法で目標金額を管理してもよい。例えば、黒字をプラス、赤字をマイナスとする金額の累計が目標金額の何パーセントに至ったかを管理するようにしてもよい。
【0047】
日々の黒字によって減少する目標金額と、入力表示部20の表示内容とを連動させてもよい。例えば、本実施形態では日々の黒字によって減少する目標金額が所定の割合(例えば一割)以上減額されたとき、制御部40はキャラクターによるドラマ(レベルアップドラマ)が表示される。レベルアップドラマは、目標金額が所定の割合(例えば一割)減額するごとに行われる。レベルアップドラマは、戦士がレベルアップする旨の内容が展開されるドラマである。このときレベルアップドラマの内容は前回表示されたレベルアップドラマと連続する内容としてもよい。
【0048】
さらに、目標金額がゼロとなった場合、即ち黒字によって得られた正の差額(黒字額)の累計が目標金額以上となった場合、表示制御手段51として機能するCPU41は、目標達成時専用のドラマ(目標達成ドラマ)を表示する。目標達成ドラマの内容としては、例えば、戦士の活躍により悪役が改心をする等である。
なお、本実施形態では黒字額により目標金額がゼロ未満(負の金額)となる場合であってもゼロとして扱う。
【0049】
また、目標金額を達成する目標日を設定することができる。制御部40は設定された目標日と現在の日付から残日数を算出し、記憶する。目標金額及び目標日は、下セグ表示部22に表示することができる。目標金額及び目標日の表示は、メニュー画面(図示略)からの「残金チェック」を選択することで行うことができる。
【0050】
目標金額の設定と併せて、目標金額によって購入したい物品又は消費したいサービス等を入力できる。以降、目標金額によって購入したい物品又は消費したいサービス等を「目標」と称する。
【0051】
図12に、目標の名称を設定する際の表示内容の一例を示す。
目標の入力は、数字ボタン23b又は文字ボタン23cをタッチすることで行うことが出来る。文字ボタン23cは、図6に示すように、かなの各行の頭文字が表示されている。各頭文字にタッチすることで、各行の文字を入力できる。例えば、「あ」の文字ボタンを一回タッチすると、「あ」の文字が図12の表示画面に反映される。続いて「あ」の文字ボタンを一回タッチすると、表示画面に反映された「あ」の文字が「い」に変化する。以降、「あ」の文字ボタンをタッチする毎に「う」、「え」、「お」と表示画面に反映された文字が順次変化し、さらに「あ」の文字ボタンをタッチすると表示画面に反映された文字は「お」から「あ」に戻る。他の行の文字も同様である。〆ボタン23gをタッチすると、一文字の入力内容を確定させることができる。所定の文字数(例えば10文字等)を確定させると、目標の名称の設定を完了させることができる。
かなの種類は、図12に示す表示画面の「ひら」をタッチすることでひらがなを、「カナ」をタッチするとカタカナを選択することができる。
【0052】
次に、財布型家計管理装置1の使用手順の一例を示す。以下の入力は財布型家計管理装置1のユーザにより行われる。
まず、目標の名称の入力が行われ、その次に目標金額の入力が行われる。そして、目標日の設定が行われる。その後、月締め日の設定が行われる。
目標の名称の入力前に、入力表示部20を介して行う入力をガイドするアドバイス内容が表示される。
【0053】
月締め日の設定までが完了すると、目標の名称、目標金額、目標日及び月締め日の設定内容を確認することができる内容が表示され、その後「OK」ボタン及び「NG」ボタンが表示される。ここで「OK」ボタンをタッチすると、入力内容がフラッシュメモリ44に記憶される。一方、「NG」ボタンをタッチした場合、入力内容が破棄され、改めて入力が行われる。
【0054】
次に、節約メニュー設定の入力が行われる。節約メニュー設定は、ユーザが最も支出額を小さくしたいと考える種類の支出を支出ボタン23aのいずれかから選択入力する設定である。支出ボタン23aのいずれかがタッチされると、入力内容を確認するための内容が表示され、その後「OK」ボタン及び「NG」ボタンが表示される。ここで「OK」ボタンをタッチすると、設定した内容がフラッシュメモリ44に記憶される。一方、「NG」ボタンをタッチした場合、設定が破棄され、改めて入力が行われる。
このとき、節約メニューで選択した支出の種類に対応するキャラクター(戦士)が選択され、以後表示される戦士及び各種のドラマはその戦士による。
【0055】
次に、予算額の入力が行われる。予算額の入力は「かんたんモード」又は「しっかりモード」のいずれかを選択して行うことができる。いずれのモードであっても、入力後に入力内容を確認するための内容が表示され、その後「OK」ボタン及び「NG」ボタンが表示される。ここで「OK」ボタンをタッチすると、入力内容がフラッシュメモリ44に記憶される。一方、「NG」ボタンをタッチした場合、入力内容が破棄され、改めて入力が行われる。
【0056】
ここで、入力内容による収支の実行が矛盾を含む又は不可能である場合にはその旨を警告するメッセージが表示される。例えば、「しっかりモード」による入力時に、固定費の合計金額が収入を超えている場合にはその旨を示すメッセージが表示される。また、いずれのモードによる入力であっても、目標日までの予算額の累計が目標金額より少ない場合にはその旨を示すメッセージが表示される。
【0057】
予算額の設定が完了すると、制御部40は使用限度額算出手段53の機能により使用限度額を算出し、フラッシュメモリ44に記憶する。
その後、待ち受け画面が表示される。待ち受け画面表示時の下セグ表示部22には、使用限度額が表示され、ウィンドウ部24には戦士が表示される。
【0058】
その後、支出額の入力が行われると、入力した支出額を確認する内容が表示され、その後「OK」ボタン及び「NG」ボタンが表示される。ここで「OK」ボタンをタッチすると、入力内容がフラッシュメモリ44に記憶される。一方、「NG」ボタンをタッチした場合、入力内容が破棄され、改めて入力が行われる。
【0059】
支出額の入力が行われると、制御部40は使用限度額から支出額を差し引いた金額を算出し、待ち受け画面の下セグ表示部22に表示されていた使用限度額と差し替えて表示する。即ち、予算額を達成するためにその日に使用してもよい残り金額が待ち受け画面に表示される。このとき、使用限度額に対する残り金額の割合に応じて待ち受け画面に表示される戦士のアクション内容が変化する。戦士のアクションは、例えば使用限度額に対する残り金額の割合が80%以上、80%未満50%以上、50%未満10%以上、10%未満0以上、0未満の計5通りがあり、残り金額に応じたアクション内容が表示される。残り金額に応じたアクション内容は、残り金額の逼迫状況を反映したものとなる。例えば、0未満の場合には戦士が泣き出してしまう等である。
【0060】
その後、〆ボタン23gをタッチすることで、日単位の判定を行うことができる。制御部40は、差額算出手段52の機能により使用限度額とその日の支出額の累計とに基づき差額を算出し、表示制御手段51の機能により算出結果に応じた黒字/赤字の表示制御を行う。
【0061】
このとき、日単位の判定が黒字である場合、黒字額に応じて目標金額が減少する。そして、目標金額が一割以上減額した場合、レベルアップドラマが表示される。レベルアップドラマは、目標金額が一度に二割以上減額した場合、まだ表示されていなかったレベルアップドラマが順次表示される。さらに、目標金額がゼロとなった場合、目標達成ドラマが表示される。
【0062】
〆ボタン23gをタッチしたとき、その日が月締め日であった場合、月単位の判定が行われる。制御部40は、差額算出手段52の機能により予算額と月締め日前の一ヶ月間の支出額の累計とに基づき差額を算出し、表示制御手段51の機能により算出結果に応じた黒字/赤字の表示制御を行う。
【0063】
以上、本実施形態によれば、ユーザによって入力表示部20を介して予算額及び支出額が入力されると、財布型家計管理装置1は差額算出手段52の算出結果に基づき予算額と支出額の差額に応じた表示を行うので、ユーザは入力表示部20の表示内容を見ることで予算額に対する収支額の状況を把握することができる。即ち、ユーザは自ら定めた予算額に対する支出額の程度を表示内容から確認でき、予算額を定め、予算額以内での支出に留めようとするユーザの意識の継続を助けることができる。即ち、財布型家計管理装置1は、支管理を行うユーザ意識の継続を助けることができる。
【0064】
さらに、表示制御手段51は、予算額に対する支出額の割合に応じて表示内容を変更するので、ユーザは入力表示部20の表示内容から予算額に対する支出額の程度をより明確に把握することができる。
【0065】
さらに、予算額に基づき、財布型家計管理装置1は使用限度額算出手段53によって一日の使用限度額を算出し、差額算出手段52の算出結果に基づき日々使用限度額と支出額の差額に応じた表示を行うので、ユーザは入力表示部20の表示内容を見ることで一日の使用限度額に対する収支額の状況を把握することができる。即ち、ユーザは自ら定めた予算額を達成するために一日に許される支出の限度額である使用限度額に対する支出額の程度を表示内容から確認でき、予算額を定め、予算額以内での支出に留めようとするユーザの意識の継続を助けることができる。即ち、財布型家計管理装置1は、支管理を行うユーザ意識の継続を助けることができる。
【0066】
さらに、表示制御手段51は、使用限度額に対する支出額の割合に応じて表示内容を変更するので、ユーザは入力表示部20の表示内容から予算額に対する支出額の程度をより明確に把握することができる。
【0067】
さらに、ユーザによって入力表示部20を介して目標金額が入力されると、財布型家計管理装置1の目標額管理手段54は、差額算出手段52が行う日々の使用限度額と支出額との差額の算出結果に基づき目標金額を減少させて目標金額の達成度を管理する。つまり、目標金額を表示させる操作を行うことで、ユーザは目標金額として設定した金額の達成度を確認でき、目標金額を定め、日々の支出額の低減により目標金額を捻出しようとするユーザの意識の継続を助けることができる。即ち、財布型家計管理装置1は、支管理を行うユーザ意識の継続を助けることができる。
【0068】
さらに、表示制御手段51は、目標金額がゼロとなった場合に、目標金額が達成されたことを示す目標達成ドラマを表示するので、ユーザは目標金額が達成されたことを容易に知ることができる。加えて、目標達成ドラマにより、ユーザは目標金額分の節約を達成することができた充足感をより大きく感じることができる。
【0069】
さらに、差額算出手段52は、予算額と支出額との差額の算出時には同月内の支出額の累計に基づき、使用限度額と支出額との差額の算出時には同日内の支出額の累計に基づき差額を算出するので、ユーザは支出が生じるごとに支出額を入力するだけでよく、支出全体の管理を財布型家計管理装置1に任せることができる。
【0070】
さらに、算出指示手段による手動の算出指示により、ユーザは任意の時点で予算額又は使用限度額に対する支出額の状態を確認することができる。
【0071】
(その他)
なお、上述の実施形態はあくまで一例であり、本発明の特徴を逸脱しない範囲で他の構成を取ってもよい。
例えば、予算額と支出額との差額の算出は、月単位に限らず、ユーザが任意に設定した所定の期間について行うようにしてもよいし、月単位以外の所定期間毎に自動的に行うようにしてもよい。同様に、使用限度額と支出額との差額の算出についても、日単位に限らず、週単位その他の所定期間毎でもよい。
【0072】
また、目標金額の管理は使用限度額と一日の支出額の累計以外に、予算額と予算額の所定期間(月単位等)内の支出額の累計との差額に基づいて行ってもよい。
また、赤字額に基づき次の日以降の使用限度額を減少させる処理を、月単位の判定に基づき行ってもよい。つまり、月単位の判定結果が赤字であった場合の赤字額を次の月の日数で除算し、その金額を次の月の日々の使用限度額に加味する等である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による家計管理装置の一実施形態である財布型家計管理装置の斜視図である。
【図2】蓋を開けた状態の財布型家計管理装置の斜視図である。
【図3】タッチペンの斜視図である。
【図4】制御部の主要構成を示す図である。図4(a)はブロック図、図4(b)は機能ブロック図である。
【図5】入力表示部の表示内容の主要構成を示す図である。
【図6】予算額入力時のウィンドウ部及び下セグ表示部の表示内容の一例を示す図である。
【図7】収入と固定費とを設定する際のウィンドウ部及び下セグ表示部の表示内容の一例を示す図である。図7(a)は月収の入力時の表示内容、図7(b)は家賃の入力時の表示内容、図7(c)は光熱費の入力時の表示内容、図7(d)は通信費の入力時の表示内容、図7(e)はその他固定費の入力時の表示内容を示す。
【図8】支出額入力時のウィンドウ部及び下セグ表示部の表示内容の一例を示す図である。
【図9】予算額と支出額との差額に基づく入力表示部の表示内容の一例を示す図である。図9(a)は黒字の場合の表示内容、図9(b)は赤字の場合の表示内容を示す。
【図10】キャラクターの一例を示す。図10(a)は黒字に対応するキャラクターの一例、図10(b)は赤字に対応するキャラクターの一例を示す。
【図11】目標金額を設定する際のウィンドウ部及び下セグ表示部の表示内容の一例を示す図である。
【図12】目標の名称を設定する際の表示内容の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
2 筐体
3 カバー
20 入力表示部
31 タッチペン
40 制御部
41 CPU
44 フラッシュメモリ
51 表示制御手段
52 差額算出手段
53 使用限度額算出手段
54 目標額管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間中の予算額を入力する予算額入力手段と、
前記予算額を記憶する予算額記憶手段と、
支出額を入力する支出額入力手段と、
前記支出額を記憶する支出額記憶手段と、
前記予算額と前記支出額との差額を算出する差額算出手段と、
前記差額算出手段の算出結果に基づいた表示を行う表示手段と、
前記差額算出手段の算出結果に基づき前記表示手段の表示内容を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする家計管理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記予算額に対する前記支出額の割合に応じて表示内容を変更することを特徴とする請求項1に記載の家計管理装置。
【請求項3】
前記予算額に基づき前記予算額の所定期間よりも短い期間毎の使用限度額を算出する使用限度額算出手段を備え、
前記差額算出手段は、前記使用限度額と前記支出額との差額を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の家計管理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記使用限度額に対する前記支出額の割合に応じて表示内容を変更することを特徴とする請求項3に記載の家計管理装置。
【請求項5】
前記支出額を低減させるための目標額を入力する目標額入力手段と、
前記目標額を記憶する目標額記憶手段と、
前記予算額と前記支出額との差額又は前記使用限度額と前記支出額との差額の算出結果に基づき前記目標額の達成度を管理する目標額管理手段と、を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の家計管理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記予算額又は前記使用限度額から前記支出額を差し引いた金額の累計が前記目標額以上となった場合に、前記目標額が達成されたことを示す表示内容を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項5に記載の家計管理装置。
【請求項7】
前記差額算出手段は、所定期間内の支出額の累計に基づき差額を算出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の家計管理装置。
【請求項8】
前記差額算出手段による算出を指示する算出指示手段を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の家計管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−97248(P2010−97248A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265071(P2008−265071)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】