説明

家電販売店舗用の移動体端末視聴システム

【目的】家電販売店舗用の移動体端末でデモンストレーション実施を可能とし、且つ、移動体端末の配置自由度を高めるとともに、配線簡略化及び省スペース化を実現可能な家電販売店舗用の移動体端末視聴システムを提供すること。
【解決手段】システム1は、屋外に取り付けられるマルチメディア放送用のデジタル波を受信するVHFアンテナ2と、これに接続されデジタル波W1を増幅し増幅された増幅デジタル波W2を出力する増幅器3と、増幅器3に接続され増幅デジタル波W2を漏洩ケーブル6に分配デジタル波W3として分配する分配器4とを備える。漏洩ケーブル6は、分配デジタル波W3が漏洩ケーブル6から、屋内デジタル波W4として送信された場合に、これを当該店舗内の全エリアで受信できるように配置される。屋内デジタル波W4は、移動体端末7によって受信され、家電販売店舗においてマルチメディア放送の視聴が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル波放送の開始に伴って開始されるマルチメディア放送を受信して視聴するための家電販売店舗用の移動体端末視聴システムに関し、更に詳しくは、当該マルチメディア放送の利用促進を図ることはもとより、ギャップフィラー技術及びVHF帯域アンテナを用いることにより、家電販売店舗用の移動体端末の配置自由度を高めるとともに、配線簡略化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示されているように、2011年7月に地上アナログテレビが終了し、アナログテレビは、その電波領域であるVHF帯域がデジタル化されUHF帯域に移行する。空きとなるVHF帯域(現行アナログテレビジョン放送1−12ch)のうち、通称VHF−LOW(現行アナログテレビジョン放送1−3ch)、及び、通称VHF−HIGH(現行アナログテレビジョン放送4−12chのうち10−12ch)と称される電波領域がマルチメディア放送に利用される。具体的には、VHF−LOW(1−3ch)の電波領域では地域密着型の「地方ブロック向けマルチメディア放送」が開始され、VHF−HIGH(10−12ch)の電波領域では全国向けの単一放送「全国向けマルチメディア放送」が開始される。この「マルチメディア放送」は、主に移動体端末、例えば、携帯電話やカーナビ等に向けて開始される新しい放送である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】http://www.multimedia.co.jp/Multimedia_Broadcast/about_mmb.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、家電販売店舗においても、この新しい「マルチメディア放送」を受信して新商品の携帯電話やカーナビ等でデモンストレーションを実施(携帯電話でのテレビ放映、カーナビでのテレビ放映・ナビ検索等)するための店舗内設備の導入が望まれている。なぜなら、従来の家電販売店舗における移動体端末の展示は、新たに開始される「マルチメディア放送」の受信を想定したものではなかったため、そのような店舗内設備は導入されていないからである。すなわち、従来においては、そのような店舗内設備は知られていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、家電販売店舗用(販売用、展示用)の移動体端末でマルチメディア放送を受信してデモンストレーションの実施を可能とし、且つ、移動体端末の配置自由度を高めるとともに、関連設備の配線簡略化及び省スペース化を実現することができる家電販売店舗用の移動体端末視聴システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る家電販売店舗用の移動体端末視聴システムは、
屋外に取り付けられるマルチメディア放送用のデジタル波を受信する屋外デジタル波受信手段と、
前記屋外デジタル波受信手段に接続され、前記デジタル波を増幅し、増幅された増幅デジタル波を出力する増幅手段と、
前記増幅手段に接続され、前記増幅デジタル波を分配し、分配デジタル波を出力するデジタル波分配手段と、
前記分配デジタル波を伝送すると共にアンテナとして機能する漏洩ケーブルであって、当該家電販売店舗の底面及び/又はその近傍、及び/又は、天井及び/又はその近傍に配設される漏洩ケーブルと、を備えたことを要旨とする。
【0007】
この場合に、前記漏洩ケーブルは、並列状、縦横状、円形状及び/又は楕円形状その他当該家電販売店舗内の任意の位置で移動体端末が当該漏洩ケーブルから発信される電波を受信することができるように配設されていることが望ましい。
【0008】
本発明に係る家電販売店舗用の移動体端末視聴システムによれば、屋外デジタル波受信手段によって受信されたマルチメディア放送用のデジタル波は増幅手段によって増幅され、増幅デジタル波として出力され、当該増幅デジタル波はデジタル波分配手段によって分配され分配デジタル波として出力され、当該分配デジタル波(すなわち、マルチメディア放送用のデジタル波)は、当該家電販売店舗の底面及び/又はその近傍、及び/又は、天井及び/又はその近傍に配設される漏洩ケーブルにより伝送され電波として当該家電販売店舗内に送信される。従って、家電販売店舗用(販売用、展示用)の移動体端末は当該マルチメディア放送波を受信することができ、これにより、視聴等のデモンストレーションの実施ができるという効果がある。
【0009】
また、漏洩ケーブルは、当該家電販売店舗の底面及び/又はその近傍、及び/又は、天井及び/又はその近傍に配設されるため、漏洩ケーブルを当該店舗内領域全体をカバーするように配設しておけば、当該店舗内の任意の場所で移動体端末はマルチメディア放送波を受信できる。また、漏洩ケーブルは当該店舗の底面及び/又はその近傍、及び/又は、天井及び/又はその近傍に配設されるため、移動体端末の配置自由度を高めるとともに、関連設備の配線簡略化及び省スペース化を実現することができるという効果がある。
【0010】
本発明に係る家電販売店舗内用の移動体端末視聴システムの漏洩ケーブルは、並列状、縦横状、円形状及び/又は楕円形状その他当該家電販売店舗内の任意の位置で移動体端末が当該漏洩ケーブルから送信される電波を受信することができるように配設すれば、上記効果は更に高まる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る家電販売店舗用の移動体端末視聴システム1のシステム構成図である。
【図2】同軸ケーブル5の外観及び内部構造を示す図である。
【図3】漏洩ケーブル6の外観及び内部構造を示す図である。
【符号の説明】
【0012】
1 家電販売店舗用の移動体端末視聴システム(家電販売店舗用の移動体端末視聴システム)
2 屋外VHFアンテナ(屋外デジタル波受信手段)
3 増幅器(増幅手段)
4 分配器(デジタル波分配手段)
5 同軸ケーブル
6 漏洩ケーブル(漏洩ケーブル)
7 移動体端末
W1 VHF帯域デジタル波(マルチメディア放送用のデジタル波)
W2 VHF帯域デジタル波を増幅した増幅デジタル波(増幅デジタル波)
W3 増幅デジタル波を分配した分配デジタル波(分配デジタル波)
W4 屋内デジタル波(屋内デジタル波)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1に示す家電販売店舗用の移動体端末視聴システム1は、使用場所は特に限定されないが、家電販売店舗で用いるのに好適であり、屋外VHFアンテナ2と、増幅器3と、分配器4と、同軸ケーブル5と、漏洩ケーブル6と、移動体端末7とを備える。
【0014】
屋外VHFアンテナ2は、屋外に取り付けられ、通称VHF−LOW(現行アナログテレビジョン放送1−3ch)、及び/又は、通称VHF−HIGH(現行アナログテレビジョン放送4−12chのうち10−12ch)と称される電波領域、すなわち、マルチメディア放送用のデジタル波W1を受信するものである。屋外VHFアンテナ2は、マルチメディア放送用のデジタル波W1を受信できるものであれば特に限定されない。
【0015】
増幅器3は、屋外VHFアンテナ2に接続され、デジタル波W1を増幅し、増幅された増幅デジタル波W2を出力するものである。
分配器4は、増幅器3に接続され、増幅デジタル波W2を同軸ケーブル5を経由して当該家電販売店舗の「底面及び/又はその近傍」及び/又は「天井及び/又はその近傍」に設けられる複数の漏洩ケーブル6に分配デジタル波W3として分配する。また、増幅器3及び分配器4は、いわゆるギャップフィラー装置(特に、漏洩ケーブル方式のギャップフィラー装置が好ましい)で代替してもよい。
【0016】
同軸ケーブル5は、屋外VHFアンテナ2によって受信されたマルチメディア放送用のデジタル波を伝送するための伝送線として用いられるもので、分配器4と漏洩ケーブル6の間に設けられ、分配器4と同軸ケーブル5との間、同軸ケーブル5と漏洩ケーブル6との間はF型接栓で連結される。同軸ケーブル5としては、図2に示す構造を備えたもの、すなわち、内部導体5a、絶縁体5b、外部導体5c、シース5dから構成される構造を備えたものが用いられる。同軸ケーブル5としては、例えば、JIS C 3501準拠やJIS C 3502準拠のものが用いられるが、これに限定されない。
【0017】
漏洩ケーブル6は、同軸ケーブル5から伝送される屋内デジタル波W4を伝送するのみならず、隣接する複数のスロット6eが相互に作用して送受信アンテナとして機能する。スロット6eから出る電波が屋内デジタル波W4である。
漏洩ケーブル6は、家電販売店舗の「底面及び/又はその近傍」及び/又は「天井及び/又はその近傍」に設けられ、これにより、分配デジタル波W3が屋内デジタル波W4としてスロット6eから送信された場合に、移動体端末7が当該屋内デジタル波W4を当該家電販売店舗内の全エリア又は所望の特定エリアで受信できる。漏洩ケーブル6の先端には終端抵抗(図示略)が接続される。
【0018】
例えば、漏洩ケーブル6は、1m〜10m間隔で並列状・縦横状・円形状及び/又は楕円形状その他当該家電販売店舗内の任意の位置で移動体端末7がスロット6eから出る電波を受信することができる配設方法で設けられる。
従って、携帯電話の展示が従来のように特定の展示位置に限られることなく、当該家電販売店舗内のどこでも行うことができ、移動体端末7の配置自由度を高めることができる。また、本システム1によれば、屋内デジタル波W4が無線で受信できるため、配線簡略化が実現される。また、漏洩ケーブル6が用いられるため、それ専用のスペースが特に必要ということはなく(基本的には、漏洩ケーブル6は天井や床を這わせるため)省スペース化が実現される。
【0019】
漏洩ケーブル6としては、図3に示す構造を備えたもの、すなわち、内部導体6a、絶縁体6b、外部導体6c、シース6dから構成される構造を備えたものが用いられる。漏洩ケーブル6としては、例えば、JIS C 3501準拠やJIS C 3502準拠の同軸ケーブルの外部導体にスロット6eと呼ばれる多数の小さい孔が設けられたものが用いられる。スロット6eの形状及び形成手法は、図3のように一定間隔で一直線上に設けられるものに限定されない。例えば、スロット6eが螺旋形状を描くように形成してもよいし、スロット6eが対向側に形成されるようにしてもよいし、隣接するスロット6eが相互に互い違いに形成されるものでもよい。
【0020】
(第二の実施形態)
第二の実施形態に係る移動体端末視聴システム10は、自動車ショールーム、各種モーターショー等のイベント会場で移動体端末7としてカーナビゲーションシステムを用いて、マルチメディア放送用デジタル波を受信して、マルチメディア放送を視聴したり、各種ナビゲーション機能のデモンストレーションを行う場合の実施形態に係るシステムである。その他の構成は、上記家電販売店舗内の移動体端末視聴システム1と同様である。
【0021】
移動体端末視聴システム10の場合には、会場内であればどこでも自動車を展示することができるため、自動車の配置自由度を高めることができる。また、漏洩ケーブルは、第一の実施形態と同様に配設されるため、配線簡略化や省スペース化を図ることもできる。
【0022】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。上記実施形態においては、受信端末となる移動体端末として携帯電話やカーナビを掲げたが、モバイルパソコン、ゲーム機、携帯音楽プレーヤーにも応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る家電販売店舗用の移動体端末視聴システムは、家電販売店舗や自動車ショールーム、各種モーターショー等のイベント会場内における家電製品やカーナビの配置の自由度を高めるとともに配線簡略化や省スペース化を図ることができるため、マルチメディア放送の普及促進に供する点で産業上極めて有益である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に取り付けられるマルチメディア放送用のデジタル波を受信する屋外デジタル波受信手段と、
前記屋外デジタル波受信手段に接続され、前記デジタル波を増幅し、増幅された増幅デジタル波を出力する増幅手段と、
前記増幅手段に接続され、前記増幅デジタル波を分配し、分配デジタル波を出力するデジタル波分配手段と、
前記分配デジタル波を伝送すると共にアンテナとして機能する漏洩ケーブルであって、当該家電販売店舗の底面及び/又はその近傍、及び/又は、天井及び/又はその近傍に配設される漏洩ケーブルと、
を備えたことを特徴とする家電販売店舗用の移動体端末視聴システム。
【請求項2】
前記漏洩ケーブルは、並列状、縦横状、円形状及び/又は楕円形状その他当該家電販売店舗内の任意の位置で移動体端末が当該漏洩ケーブルから発信される電波を受信することができるように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の家電販売店舗用の移動体端末視聴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−147350(P2012−147350A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5585(P2011−5585)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(500344367)株式会社日本総合施設 (3)
【Fターム(参考)】