説明

容器の印刷方法及び容器

【課題】印刷時に容器表面の印刷面に、インキの飛び散り、インキ溜まりの発生を防止した容器の印刷方法。
【解決手段】版胴1に取り付けられる版2の印刷面9に対応する部位より外側に、余分に延長代5を設けると共に、該延長代5に、残留インキを戻すための舌片部6を形成し、該版と接触するブランケット胴3のブランケット4に、前記版2の舌片部6に対応する部位に、インキが転写しないように、切欠部7を形成したことを特徴とする、容器8の印刷方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の印刷方法及び容器に関し、容器表面の印刷面に、インキの飛び散り、
インキ溜まりの発生を防止した容器の印刷方法及び容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図6に示すように、オフセット印刷機で容器51表面に印刷を施す場合、インキは、インキドクター52から着肉ローラ53等のローラを経て、版胴54の版55、ブランケット胴50のブランケット57に転写され、さらに容器51の表面に転写される。容器51は、ターンテーブル58のマンドレル59に保持され、ターンテーブル58の回転により、ブランケット57と接触して、容器51の表面に印刷される。容器51の表面に転写されるインキ量は、版胴54の版55上のインキ量の70〜80%であり、20〜30%のインキは、版55又はブランケット57の表面に残留する。図7に示すように、従来容器51の印刷位置に若干位置ずれがあるため、これを調整するため印刷に用いる版胴54に取り付けられる版55は、実際の印刷面より2mm程度外側に幅広く、余分に延長代56が設けられている。なお、このような従来の容器のオフセット印刷方法に関し、版胴の版、ブラン胴のブランケットを通じて、インキを容器に転写する特許文献としては、特許第3491183号がある。
【特許文献1】特許第3491183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この延長代56の部位に存在するインキは、版55からブランケット57を通じて、容器51表面に移動しないために、版55の延長代56とブランケット57の延長代56に対応する部位に、100%インキが溜まってしまう。このため、版55とブランケット57が、印刷時に接触するときに、図7に示すように、この版55とブランケット57の部位に溜まったインキが飛散して、印刷面60を汚したり(Y矢視図)、容器51の印刷面60にインキの溜まり(X矢視図)が付着する欠点があった。
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたものであり、オフセット印刷機で印刷する場合、容器表面の印刷面に、インキの飛び散り、或いはインキ溜まりの発生を防止した容器の印刷方法及び容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、版胴に取り付けられる版の印刷面に対応する部位より外側に、余分に延長代を設けると共に、この延長代に、残留インキを戻すための舌片部を形成し、この版と接触するブランケット胴のブランケットに、前記舌片部に対応する部位に、インキが転写しないように、切欠部を形成したことを特徴とする、容器の印刷方法である。版の延長代に、舌片部を設けたから、延長代の部位に溜まったインキが、この舌片部に移動し、版胴から着肉ローラに戻される。したがって、版の延長代及び舌片部に対応する部位に、インキが残留しない。又、版の舌片部に対応する部位のブランケトに、切欠部を形成したから、版の舌片部から、ブランケットに、インキが移動しない。したがって、版とブランケットが接触する際に、インキが飛散するのを防止できると共に、容器の印刷面にインキ溜まりが付着するのを防止できる。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、上記した印刷方法で、印刷されることを特徴とする容器である。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、容器がチューブ容器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の印刷方法によれば、印刷時に容器表面の印刷面に、インキの飛び散り、インキ溜まりの発生を防止することができ、本発明に係る印刷方法で印刷した容器は、表面の印刷面に飛び散ることなく、又印刷面にインキ溜まりがなく、美麗で鮮明な印刷表面の容器を提供できる効果を奏する。さらに、
印刷面の品質維持のために、定期的に印刷機を止めて、インキの拭き取り作業の手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の実施例を示す図面である。一般に、容器のオフセット印刷においては、インキドクターのインキが、インキドクター、練りローラ、着肉ローラ10等を経由して、版胴1の版2及びブランケット胴3のブランケット4へと転写されて移動する。そして、ブランケット4からチューブ容器8に転写される。そして、チューブ容器8の表面に印刷面9が印刷される。図2に示すように、版胴1に取付けられた版2には、印刷面9より幅広く延ばした延長代5が形成され、この延長代5には、舌片部6が形成されている。この延長代5の幅は、約1.0〜3.0mmであり、2.0mmが適する。又舌片部6は、実施例では、図5に示すように、延長代5からb=0〜0.5mm入った時点から、θ=15〜30°に傾斜し、長さa=3.0〜10.0mmの寸法で、ひし形形状に形成されている。b=0.5mm、θ=25°、a=4mmがより適する。
【0010】
次に、ブランケット胴3のブランケット4には、切欠部7が形成されている。図2に示すように、切欠部7が形成される部位は、版胴1に取付けられた版2の延長代5の舌片部6の部位に対応する位置である。すなわち、版2とブランケット4が印刷の際に接触した場合、版2の舌片部6が、この切欠部7に入り込む。切欠部の切欠き幅は、版2の舌片部6より一回り大きい面積で、深さは、0.5〜1.0mm程度である。ブランケット4の材質は、ゴム等を材料とするので切削加工が容易である。ブランケット4に、このような切欠部7を形成したから、版2の延長代5の舌片部6に存在するインキは、ブランケット4に転写されないで、図4に示すように、舌片部6から着肉ローラ10に戻される。したがって、版2とブランケット4の接触の際に、チューブ容器8の印刷面9に飛散して、チューブ容器8の印刷面9を汚したり、印刷面9にインキ溜まりが付着するのを防止できる。
【0011】
オフセット印刷機において、本発明に係る印刷方法と従来の印刷方法で印刷されたチューブ容器の表面の印刷の良品と不良品の数を比較した。
良品数 不良品数 不良率
従来の印刷方法 792、676 17、106 2.1%
本発明に係る印刷方法 770、199 0 0%
以上から、本発明に係る印刷方法で印刷されたチューブ容器の印刷不良率は、ゼロであった。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明に係る印刷方法は、容器として、チューブ容器、エアゾール容器、樹脂ボトル容器、金属ボトル容器等に広く適用することができる。又これ以外に、円筒物体、円柱物体の表面印刷に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る印刷方法における、版とブランケットを示す斜視図。
【図2】本発明に係る印刷方法における、版とブランケットを示す平面図。
【図3】本発明に係る印刷方法において、版の延長代及び舌片部を拡大した拡大正面図。
【図4】本発明に係る印刷方法において、版の延長代及び舌片部のインキが、舌片部に移動し溜まっている状態を示す斜視図。
【図5】本発明に係る印刷方法で印刷されたチューブ容器を示す正面図。
【図6】従来のオフセット印刷機を用いて容器を印刷する状態を示す図面。
【図7】従来の印刷方法で印刷されたチューブ容器の印刷面を示す正面図。
【図8】従来の印刷方法における、版とブランケットを示す斜視図。
【図9】従来の印刷方法で、容器を印刷している状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0014】
1 版胴
2 版
3 ブランケット胴
4 ブランケット
7 切欠部
8 チューブ容器
9 着肉ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴に取り付けられる版の印刷面に対応する部位より外側に、余分に延長代を設けると共に、該延長代に、残留インキを戻すための舌片部を形成し、該版と接触するブランケット胴のブランケットに、前記版の舌片部に対応する部位に、インキが転写しないように、切欠部を形成したことを特徴とする、容器の印刷方法。
【請求項2】
請求項1記載の印刷方法により印刷されることを特徴とする容器。
【請求項3】
前記容器が、チューブ容器であることを特徴とする請求項2記載の容器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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