説明

容器の搬送装置

【課題】比較的簡素な構成で容器の胴部の表面を滑りやすくでき、複数の容器を整列させるべき列数にスムーズに整列させることが可能な容器の搬送装置を提供する。
【解決手段】壜100が搬送される所定の搬送経路上に設けられ、5列に並べて搬送されている複数の壜100を最下段の列L1の壜100間に他の列L2の壜100を割り込ませて1列に整列させる整列部20を備えた容器の搬送装置1において、整列部20にて整列されている複数の壜100のうち少なくとも最下段の列L1の各壜100の胴部101が水Wで濡れるように整列部20に向けて水Wを噴霧するシャワリングノズル23を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数列に並べて搬送されている複数の容器をその複数列よりも少ない数の列に整列させる容器の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数列に並べた状態で搬送されている壜などの容器を次の工程で作業し易い列数に整列させる整列部を備えた装置が知られている。このような装置では、整列後の容器が排出される出口部分の幅がそれより上流側の部分の幅よりも狭くなっているため、その出口部分に複数の容器が一時に送られ、かつ容器同士の押圧力が平衡すると、容器間に他の容器が割り込めずこれらの容器で出口部分が塞がれたり、整列部で整列されるべき列数よりも多い列数で容器が整列部から排出されたりすることがある。そこで、このような状態を回避すべく例えば、多数列に並べた状態で搬送されている壜などの筒状物を主ベルトコンベアの終端部分で1列に整列させるべく主ベルトコンベアの出口に向かって順次間隔が狭くなる一対のガイドベルトが設けられ、一方のガイドベルトが主ベルトコンベアの搬送方向と同じ方向に回転し、他方のガイドベルトが主ベルトコンベアの搬送方向と逆方向に回転する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、搬送物をチェーン上においてスリップさせる際に搬送物とチェーンとの間の摩擦を低減させるべくチェーンの表面にフッ素系樹脂微粒子を含む処理液の含浸による浸透層が形成されている搬送コンベアが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−24546号公報
【特許文献2】特開平7−309417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、壜同士の間の摩擦係数は低減できないため、壜間に他の壜がスムーズに入り込むことができず、壜同士が衝突して大きい騒音が発生したり、壜に傷が付くおそれがある。特許文献2の装置でも、壜同士の間の摩擦係数は低減できないので、同様に大きい騒音が発生したり、壜に傷が付いたりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、比較的簡素な構成で容器の胴部の表面を滑りやすくでき、複数の容器を整列させるべき列数にスムーズに整列させることが可能な容器の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器の搬送装置は、容器(100)が搬送される所定の搬送経路上に設けられ、複数列に並べて搬送されている複数の容器を所定の列(L1)の容器間に他の列(L2)の容器を割り込ませて前記複数列よりも少ない列数に整列させる整列部(20)を備えた容器の搬送装置(1)において、前記整列部にて整列されている複数の容器のうち少なくとも前記所定の列の各容器の胴部(101)が液体で濡れるように前記整列部に向けてその液体(W)を噴霧するスプレー手段(23)を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の容器の搬送装置によれば、スプレー手段によって所定の列の各容器の胴部を液体で濡らすことができるので、比較的簡素な構成でこれらの容器の胴部の表面を滑りやすくすることができる。そのため、この所定の列の容器間に他の列の容器をスムーズに割り込ませ、これにより複数の容器を整列部で整列させるべき列数にスムーズに整列させることができる。また、容器の胴部の表面が滑りやすくなるため、容器同士の間の摩擦係数を低減することができる。そのため、騒音を低減したり、容器に傷が付くことを抑制したりすることができる。
【0008】
本発明の容器の搬送装置の一形態においては、前記整列部として、前記所定の搬送経路の一部を形成し、搬送される容器の底面を支持するとともに容器の搬送方向を横断する方向に傾斜している搬送床(21)と、前記搬送床の側方のうち低い方に前記所定の搬送経路に沿って設けられて前記搬送床上を搬送されている容器の胴部を支持するガイド手段(22)と、が設けられ、前記所定の列は前記ガイド手段に胴部を支持されて移動する容器の列(L1)であってもよい。この場合、重力によって搬送床が傾斜している方向に容器を寄せることができる。また、この形態では、各容器がガイド手段で胴部が支持されている容器の列に割り込むことによって複数の容器の整列が行われるため、ガイド手段に胴部を支持されている移動する容器の胴部の表面を濡らすことにより、スムーズに複数の容器を整列させることができる。
【0009】
この形態において、前記整列部では、前記複数の容器の列数を漸次減少させて前記複数の容器が前記複数列から1列に整列され、前記スプレー手段は、前記整列部のうち前記複数の容器を2列から1列に整列させる部分(A)に向けて液体を噴霧するように設けられていてもよい。重力によって搬送列の上の列にある容器を下の列の容器間に割り込ませる場合、上の列にある容器に掛かる荷重が大きいほど下の列の容器間に容易に割り込ませることができる。すなわち、2列まで列数を減少させる場合よりも2列から1列に列数を減少させる場合に上の列にある容器が下の列の容器間に割り込み難くなる。この形態では、この上の列の容器が下の列の容器間に割り込み難くなる部分に向けて液体を噴霧するので、無駄に液体を噴霧することなく複数の容器をスムーズに1列に整列させることができる。
【0010】
本発明の容器の搬送装置の一形態において、前記スプレー手段は、液体の噴霧口(23a)が前記所定の搬送経路に沿って搬送される容器の口部(102)の高さよりも低い位置に配置されるように設けられていてもよい。この場合、口部から容器の内部に液体が入り込むことを抑制できる。
【0011】
この形態において、前記スプレー手段は、前記噴霧口から液体が下方に向けて噴霧されるように設けられていてもよい。このように下方に向けて液体を噴霧させることにより、容器内に液体が入り込むことをさらに抑制することができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明の容器の搬送装置によれば、少なくとも所定の列の各容器の胴部が液体で濡れるように整列部に向けてスプレー手段からその液体が噴霧されるので、比較的簡素な構成で所定の列の各容器の胴部の表面を滑りやすくすることができる。そのため、この所定の列の容器間に他の列の容器をスムーズに割り込ませることができ、これにより複数の容器を整列部で整列させるべき列数にスムーズに整列させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3は、本発明の一形態に係る容器の搬送装置の要部を示した図である。図1は図2の矢印I方向から見た搬送装置の斜視図を示し、図2は容器の搬送装置の平面図を示している。また、図3は図2のIII−III線における搬送装置の断面図を示している。この搬送装置1は、容器としての壜100を立たせた状態で所定の搬送経路に沿って搬送するものである。なお、壜100は、例えばビール壜など飲料が封入される壜である。図2に示したように搬送装置1は、複数の壜100を5列に並べて搬送する第1搬送部10と、5列に並べて搬送されてきた複数の壜100を1列に整列させる整列部20と、1列に整列された複数の壜100を搬送する第2搬送部30とを備えている。壜100の搬送経路上には、上流側から第1搬送部10、整列部20、第2搬送部30の順に設けられている。第1搬送部10及び第2搬送部30は、例えば壜100の底面を支持する搬送面上に水を噴射することによって壜100を滑らせて搬送する搬送機構など、周知の搬送機構でよいため、詳細な説明は省略する。
【0015】
図3に示したように整列部20は、壜100の搬送経路の一部を形成し、壜100の底面を支持する搬送床21を備えている。搬送床21は、搬送装置1が設置される床面Fに対して壜100の搬送方向を横断する方向、図3では右側から左側に向かって漸次傾斜している。なお、搬送床21の傾斜角度は、5列に並んで搬送されてきた複数の壜100が重力で搬送床21の低い側、すなわち図3の左側の側方に寄って1列になるように適宜設定される。搬送床21の側方のうち低い側(図3の左側)の側方には、壜100が搬送床21から落下しないように壜100の胴部101を支持するガイド手段としてのガイドレール22が設けられている。ガイドレール22は、ガイドレール22側に寄ってきた壜100が搬送経路に沿って移動するように壜100の搬送経路に沿って設けられている。このように搬送床21を傾斜させることにより、第1搬送部10から整列部20に搬入された各壜100を重力によって図3の左側に徐々に寄せることができる。そのため、壜100の列数を5列から1列に漸次減少させることができる。
【0016】
また、整列部20では、高い側に位置する列の壜100の移動速度よりも低い側に位置する列の壜100の移動速度の方が大きくなるように各列の壜100を搬送する。具体的には図2において最も上の列の壜100の移動速度V1が最も小さく、上から2番目の列の壜100の移動速度V2、上から3番目の列の壜100の移動速度V3、上から4番目の列の壜100の移動速度V4、最も下の列の壜100の移動速度V5の順に移動速度が漸次大きくなるように各列の壜100が搬送される。すなわち、各列の移動速度がV1<V2<V3<V4<V5となるように各列の壜100が搬送される。このように壜100の移動速度に速度差を設けることにより、低い側に位置する列の壜100の間隔を高い側に位置する列の壜100の間隔よりも広くすることができるので、低い側に位置する列の壜100間に高い側に位置する列の壜100をスムーズに割り込ませることができる。なお、このような速度差は、例えば壜100の搬送方向に沿って搬送床21上に水を噴射するノズルを整列部20に列毎に設け、これらのノズルから噴射される水の流速に差をつけることにより設ける。この他、例えば第1搬送部10と整列部20との間に列毎にコンベアを設け、これらコンベアの搬送速度に速度差を設けることによって整列部20における各列の壜100の移動速度に差をつけてもよい。
【0017】
整列部20には、ガイドレール22に胴部101を支持されて移動している各壜100の胴部101が液体としての水Wで濡れるように整列部20に向けて水Wを噴霧するスプレー手段としてのシャワリングノズル(以下、ノズルと略称することがある。)23が設けられている。すなわち、ガイドレール22に胴部101を支持されて移動している壜100の列(以下、最下段の列と称することがある。)L1が本発明の所定の列に相当する。このノズル23からは、搬送装置1によって壜100が搬送されている期間中、水Wが噴霧され続ける。図3に示したようにノズル23は、ガイドレール22の外側から壜100に水Wを噴霧するように設けられている。また、ノズル23からは、図2に示したように整列部20のうち複数の壜100が2列から1列に整列される部分Aに向けて水Wが噴霧される。図3に示したようにシャワリングノズル23は、その噴霧口23aが搬送床21上の壜100の口部102の高さよりも低い位置に配置されるように設けられている。さらに、シャワリングノズル23は、噴霧口23aから水Wが下方に向けて、具体的には搬送床21に向けて噴霧されるように設けられている。
【0018】
本発明の搬送装置1によれば、ガイドレール22に胴部101を支持されて移動している各壜100に対して整列部20のうち壜100を2列から1列に整列させる部分Aにおいてノズル23から水Wが噴霧されるので、これらの壜100の胴部101の表面をそれぞれ濡らし、これらの壜100の胴部101の表面をそれぞれ滑りやすくすることができる。そのため、これらの壜100によって形成される最下段の列L1の壜間にこの列L1よりも1列上の列L2の壜100をスムーズに割り込ませることができる。そのため、整列部20において複数の壜100をスムーズに1列に整列させることができる。また、最下段の列L1を形成する壜100の胴部101の摩擦係数を低減できるので、壜100同士の衝突による騒音を低減できる。さらに、壜100同士の衝突により壜100に傷が付いたり、壜100が破損することも抑制できる。
【0019】
整列部20では重力を利用して壜100を整列させるので、複数の壜100を2列から1列に整列させる際に上の列L2の壜100が下の列L1の壜100間に割り込み難くなる。ノズル23は、このように上の列L2の壜100が下の列L1の壜100間に割り込み難くなる部分に向けて水Wを噴霧するので、無駄に水Wを噴霧することなくスムーズに複数の壜100を1列に整列させることができる。
【0020】
図3に示したようにノズル23は、噴霧口23aが壜100の口部102の高さよりも低い位置に配置され、かつ噴霧口23aからは水Wが下方に向けて噴霧されるように設けられているので、壜100の口部102から壜100内に水Wが入り込むことを抑制できる。
【0021】
本発明は上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施してよい。例えば、整列部に設けられるシャワリングノズルの数は1個に限定されない。整列部のガイドレールに沿って複数個のシャワリングノズルを所定の間隔で設けてもよい。シャワリングノズルの配置位置は、搬送経路の横に限定されない。整列部において最下段の列の容器に液体を噴霧することが可能な種々の位置に配置してよい。
【0022】
シャワリングノズルから噴霧される液体は、水に限定されない。例えば、洗浄液など壜の胴部の摩擦係数を低減することが可能であり、かつ容易に除去することが可能な種々の液体を使用してよい。本発明の搬送装置で搬送される容器は壜に限定されず、缶やビール樽などでもよい。
【0023】
本発明が適用される搬送装置の整列部は、壜を5列から1列に整列させるものに限定されない。本発明は、2列以上の複数列で搬送されてきた壜をその複数列以下の列に整列させる整列部を備えた種々の搬送装置に適用してよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一形態に係る容器の搬送装置の要部を示す斜視図。
【図2】図1の搬送装置の平面図。
【図3】図2のIII−III線における搬送装置の断面を示す図。
【符号の説明】
【0025】
1 搬送装置
20 整列部
21 搬送床
22 ガイドレール(ガイド手段)
23 シャワリングノズル(スプレー手段)
23a 噴霧口
100 壜(容器)
101 胴部
102 口部
L1 最下段の列(所定の列)
L2 最下段の列に対して一列上の列
W 水(液体)
A 複数の壜が2列から1列に整列される部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器が搬送される所定の搬送経路上に設けられ、複数列に並べて搬送されている複数の容器を所定の列の容器間に他の列の容器を割り込ませて前記複数列よりも少ない列数に整列させる整列部を備えた容器の搬送装置において、
前記整列部にて整列されている複数の容器のうち少なくとも前記所定の列の各容器の胴部が液体で濡れるように前記整列部に向けてその液体を噴霧するスプレー手段を備えていることを特徴とする容器の搬送装置。
【請求項2】
前記整列部として、前記所定の搬送経路の一部を形成し、搬送される容器の底面を支持するとともに容器の搬送方向を横断する方向に傾斜している搬送床と、前記搬送床の側方のうち低い方に前記所定の搬送経路に沿って設けられて前記搬送床上を搬送されている容器の胴部を支持するガイド手段と、が設けられ、
前記所定の列は前記ガイド手段に胴部を支持されて移動する容器の列であることを特徴とする請求項1に記載の容器の搬送装置。
【請求項3】
前記整列部では、前記複数の容器の列数を漸次減少させて前記複数の容器が前記複数列から1列に整列され、
前記スプレー手段は、前記整列部のうち前記複数の容器を2列から1列に整列させる部分に向けて液体を噴霧するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の容器の搬送装置。
【請求項4】
前記スプレー手段は、液体の噴霧口が前記所定の搬送経路に沿って搬送される容器の口部の高さよりも低い位置に配置されるように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器の搬送装置。
【請求項5】
前記スプレー手段は、前記噴霧口から液体が下方に向けて噴霧されるように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の容器の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−249128(P2009−249128A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100220(P2008−100220)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】