説明

容器の蓋

【課題】使用時における蓋の取外しの容易性と流通時における蓋の離脱の困難性とを兼ね備えた容器の蓋を提供する。
【解決手段】容器体の口頸部3外面へ嵌合させた弾性変形自在な下蓋10と、該下蓋外面へ嵌合可能な上蓋20とを備え、該上蓋を前記下蓋へ嵌合させることで該下蓋が縮径して前記容器体口頸部へ係合可能に、かつ前記上蓋を前記下蓋から離脱させることで該下蓋が前記容器体口頸部から係合離脱可能に設け、さらに前記上蓋ないし下蓋の周壁に、該周壁の一部を除去可能にして上蓋の下蓋からの離脱を可能にする不正開封防止用の破断線16、30を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
一回分の使用量だけが充填されたいわゆる使い切り容器では、リキャップする必要がなく、しかも容易にキャップを取り外せることが望ましいことから、キャップは容器の口頸部へ比較的緩く嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−335617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の使い切り容器では、キャップは容器の口頸部へ比較的緩く嵌合されているため、製品の流通時にキャップが容器から離脱するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、使用時における蓋の取外しの容易性と流通時における蓋の離脱の困難性とを兼ね備えた容器の蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体の口頸部3外面へ嵌合させた弾性変形自在な下蓋10と、
該下蓋外面へ嵌合可能な上蓋20とを備え、
該上蓋を前記下蓋へ嵌合させることで該下蓋が縮径して前記容器体口頸部へ係合可能に、かつ前記上蓋を前記下蓋から離脱させることで該下蓋が前記容器体口頸部から係合離脱可能に設け、
さらに前記上蓋ないし下蓋の周壁に、該周壁の一部を除去可能にして上蓋の下蓋からの離脱を可能にする不正開封防止用の破断線16、30を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記下蓋10の周壁に複数の切欠部13を設け、前記上蓋の下蓋への嵌合時に、前記切欠部間の周壁部分が前記容器体口頸部3外面へ凹凸の係合手段を介して係合可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記凹凸の係合手段は、前記容器体口頸部外面に設けられた周方向への第1係合突条4と前記切欠部間の周壁部分内面に設けられた周方向への第2係合突条12とから構成され、前記上蓋の下蓋への嵌合時に、前記第2係合突条は前記第1係合突条下面へ係合可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記上蓋の周壁に摘み部22を設けると共に、前記上蓋の前記下蓋への嵌合時に前記摘み部が係合可能な係合部14を前記下蓋の周壁11に設け、さらに該下蓋周壁に前記係合部を除去可能にする破断線16を設け、前記係合部の除去により前記摘み部を介して前記上蓋を前記下蓋から離脱可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記上蓋周壁に周方向への破断線30を形成すると共に、該破断線より下方の上蓋周壁部分に切欠部31を設け、該切欠部の一側部を摘んで前記破断線より下方の上蓋周壁部分を除去することで前記上蓋を前記下蓋から離脱可能に設けたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記切欠部31の一側部に前記破断線を破断するための摘み40を突設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上蓋を下蓋へ嵌合させることで該下蓋が縮径して容器体口頸部へ係合可能に設けたので、製品の流通時に下蓋が容器体口頸部から離脱するおそれがなく、また上蓋を下蓋から離脱させることで該下蓋が前記容器体口頸部から係合離脱可能に設けたので、使用時に下蓋を容器体から取外すことが容易である。
【0013】
また、本発明は、上蓋の周壁に不正開封防止用の破断線を設けて、破断線を破断させない限り上蓋を取外すことができないようにしたので、不正開封を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る容器の蓋の斜視図である。
【図2】図1の作用説明図である。
【図3】第2の実施形態を示す作用説明である。
【図4】第3の実施形態を示す要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1および図2は第1実施形態を示す。
【0016】
1は容器体で、周壁2の上端から肩部を介して口頸部3を起立すると共に、口頸部3の上部外面に周方向への第1係合突条4を周設する。
【0017】
10は下蓋で、容器体口頸部3外面へ嵌合させた有頂周壁11の下端部内面に周方向への第2係合突条12を周設すると共に、周壁11に等間隔をおいて複数の切欠部13を形成し、さらに周壁11の前部下端に係合部としてのL字状板14を突設して、該L字状板14の前面に透孔15を穿設すると共に、周壁11前部にL字状板14を除去可能な破断線16を形成し、さらに周壁11後部に溝部17を形成する。
【0018】
20は上蓋で、有頂周壁21の前部の上下方向中間部から摘み部としての係合板22を前方へ突出すると共に、周壁21の後部に溝部23を形成し、さらに該溝部23下端と下蓋10の溝部16下端とを後方へ凸のU字状の弾性ヒンジ板25で連結する。後述のように上蓋20を下蓋10へ嵌合させると、下蓋10は縮径する必要があることから、上蓋20の径は嵌合時に下蓋10を縮径可能な値にすることが必要である。なお、ヒンジとしては上記に限らず他の周知のものを使用するこができる。もちろんヒンジを省略することも可能である。
【0019】
次に本実施形態の作用について説明する。
図1は上蓋20が下蓋10から離脱した状態を示すもので、この状態では下蓋10の第2係合突条12は容器体口頸部3の第1係合突条4へ係合しておらず、したがって下蓋10は容器体口頸部3から容易に取外すことができる。
【0020】
製品の流通時には、上蓋20を下蓋10へ嵌合させればよく、すると下蓋10の周壁11が縮径して下蓋10の第2係合突条12が容器体口頸部3の第1係合突条4下面へ係合すると共に、図2に示すように上蓋20の係合板22がL字状板14の透孔15へ嵌合する。したがって、この状態では下蓋10を容器体口頸部3から離脱させることはできない。
【0021】
上蓋20を下蓋10から離脱させるには、L字状板14を引けばよく、すると破断線16が破断してL字状板14が除去されるため、係合板22を摘んで上蓋20を下蓋10から離脱させることができる。したがって流通時の段階で係合板22が除去されていれば不正開封がなされていることになる。
【0022】
図3は第2の実施形態を示すもので、想像線は上蓋20の開蓋状態を、実線は閉蓋状態をそれぞれ示す。第1実施形態とは不正開封防止用の手段が異なる。すなわち本実施形態では破断線を下蓋10ではなく上蓋20に形成する。すなわち、上蓋20の周壁21に周方向への破断線30を形成すると共に、該破断線より下方の上蓋周壁21部分に切欠部31を設ける。なお、上蓋20下端内面に突条28を周設して、該突条を閉蓋時に下蓋10下端へ係合可能に設ける。
【0023】
上蓋20を下蓋10から離脱させるには、切欠部31の一側部を摘んで破断線30より下方の上蓋周壁21部分を除去すればよい。その他の構成は第1実施形態と同一であるから説明を省略する。
【0024】
図4は第2の実施形態の変形例を示す。第2実施形態とは、切欠部31の一側部に破断線30を破断するための摘み40を突設した点において相違する。その他の構成は第2実施形態と同一であるから説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、容器の蓋の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
3 口頸部
4 第1係合突条
10 下蓋
11 周壁
12 第2係合突条
13 切欠部
14 係合部
30 破断線
20 上蓋
21 破断線
31 切欠部
40 摘み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口頸部3外面へ嵌合させた弾性変形自在な下蓋10と、
該下蓋外面へ嵌合可能な上蓋20とを備え、
該上蓋を前記下蓋へ嵌合させることで該下蓋が縮径して前記容器体口頸部へ係合可能に、かつ前記上蓋を前記下蓋から離脱させることで該下蓋が前記容器体口頸部から係合離脱可能に設け、
さらに前記上蓋ないし下蓋の周壁に、該周壁の一部を除去可能にして上蓋の下蓋からの離脱を可能にする不正開封防止用の破断線16、30を設けたことを特徴とする容器の蓋
【請求項2】
前記下蓋10の周壁11に複数の切欠部13を設け、前記上蓋の下蓋への嵌合時に、前記切欠部間の周壁部分が前記容器体口頸部3外面へ凹凸の係合手段を介して係合可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の容器の蓋。
【請求項3】
前記凹凸の係合手段は、前記容器体口頸部外面に設けられた周方向への第1係合突条4と前記切欠部13間の周壁11部分内面に設けられた周方向への第2係合突条12とから構成され、前記上蓋の下蓋への嵌合時に、前記第2係合突条は前記第1係合突条下面へ係合可能に設けたことを特徴とする請求項2記載の容器の蓋。
【請求項4】
前記上蓋の周壁に摘み部22を設けると共に、前記上蓋の前記下蓋への嵌合時に前記摘み部が係合可能な係合部14を前記下蓋の周壁11に設け、さらに該下蓋周壁11に前記係合部14を除去可能にする破断線16を設け、前記係合部の除去により前記摘み部22を介して前記上蓋を前記下蓋から離脱可能に設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の容器の蓋。
【請求項5】
前記上蓋20周壁21に周方向への破断線30を形成すると共に、該破断線より下方の上蓋周壁21部分に切欠部31を設け、該切欠部の一側部を摘んで前記破断線30より下方の上蓋周壁21部分を除去することで前記上蓋を前記下蓋から離脱可能に設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の容器の蓋。
【請求項6】
前記切欠部31の一側部に前記破断線30を破断するための摘み40を突設したことを特徴とする請求項5記載の容器の蓋。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−116383(P2011−116383A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272994(P2009−272994)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】