説明

容器付きクリップ

【課題】 上記のICチップのようなIT分野の小形パーツなどを、無駄なく効率よく収容する容器として利用できるのみならず、具備したクリップ機能によって着衣の襟や胸ポケットの縁にアクセサリー的に取付けたり、或は、ノートの表紙などにアクセント的に取付けたり、ボタンカバーやペンダントなどのようにも装着することができる容器付きクリップを提供すること。
【解決手段】 正面から見て円形乃至楕円形、又は、任意の多角形をなす略短筒状の容器本体であってその底部にクリップ部3を形成した容器本体1と、該容器本体1上部の開口側を塞ぐように当該容器本体に着脱自在に装着される蓋体2とを備え、前記クリップ部3が、前記容器本体1の底部に設けた正面から見て大略逆U状をなすクリップ片3b,3cと、該クリップ片3b,3cの下端部に対応する前記容器本体1の周壁に設けた当該クリップ片3b,3cの下端部を受け入れる平面から見て略凹状のクリップ受部1cとを備えて形成されたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被服の襟や胸ポケットの縁、或は、ノート等の表紙などに、それらの部分を挟持した態様で取付けたり、被服のボタンの取付け糸に係絡させボタンカバーとして取付けたり、或は、ゴム紐などを通して髪を結ぶなどの態様で使用する、一例としてICチップなどの小形の物品を収容するための容器付きクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
近時IT分野における製品の製造技術、その部品やパーツの製造技術、並びに、それらのデザインなどの進展は目ざましく、特に、IT分野における部品やパーツの集積化,小形化は日々一段と進んでいる。
【0003】
このようなIT分野では、集積化が進んで一段と小形化されたICチップなどのパーツは、従来から知られている釣りにおける針やオモリなどの小部品を収容するためのプラスチック製の中仕切区画付きのケースに収容することが多い。
【0004】
しかし乍ら、上記のようなパーツの収納形態では必要な1個のパーツ、例えば1個のICチップであっても、上記のような中仕切区画付きの容器に収納して持ち運びしているため、その容器によってポケットが嵩張ったり、その容器の他の収納区画が無駄になったり、ICチップの出入れに手間がかかるなどの問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者は、上記のICチップのようなIT分野の小形パーツなどを、無駄なく効率よく収容する容器として利用できるのみならず、具備したクリップ機能によって着衣の襟や胸ポケットの縁にアクセサリー的に取付けたり、或は、ノートの表紙などにアクセント的に取付けたり、ボタンカバーやペンダントなどのようにも装着することができる容器付きクリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明容器付きクリップの構成は、正面から見て円形乃至楕円形、又は、任意の多角形をなす略短筒状の容器本体であってその底部にクリップ部を形成した容器本体と、該容器本体上部の開口側を塞ぐように当該容器本体に着脱自在に装着される蓋体とを備え、前記クリップ部が、前記容器本体の底部に設けた正面から見て大略逆U状をなすクリップ片と、該クリップ片の下端部に対応する前記容器本体の周壁に設けた当該クリップ片の下端部を受け入れる平面から見て略凹状のクリップ受部とを備えて形成されたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、上記構成において、容器本体に着脱自在に装着される蓋体は、容器本体の周壁に外嵌するか、又は、内嵌する構成としてもよい。また、前記の容器本体、及び/又は、蓋体は、無色または有色の透明プラスチック材により成形することが望ましい。少なくとも蓋体が透明であると、内部に収容したICチップやその他の収容した物品が、容器の外から透けて見えるので、これがアクセサリー的な作用をする。これにより、容器にICチップなどを収容した本発明容器付きクリップは、被服の襟などにアクセサリーとして着けて用いることができる。
さらに、容器本体の周壁とそれに嵌着される蓋体の周壁の間に、紙やフィルムなどの薄いシートを挟持させることができる。外側の周壁が透明であると、挟んだシートに表現乃至表示された内容が、外部から見えるので、この部分を広告媒体などに利用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、正面から見て円形乃至楕円形、又は、任意の多角形をなす略短筒状の容器本体であってその底部にクリップ部を形成した容器本体と、該容器本体上部の開口側を塞ぐように当該容器本体に着脱自在に装着される蓋体とを備え、前記クリップ部が、前記容器本体の底部に設けた正面から見て大略逆U状をなすクリップ片と、該クリップ片の下端部に対応する前記容器本体の周壁に設けた当該クリップ片の下端部を受け入れる平面から見て略凹状のクリップ受部とを備えて容器付きクリップに形成したので、著しく小形化されたICチップなどの電子部品やその他の部品を、容器部分に収容した状態で、クリップ部を被服の襟や胸ポケットの縁に取付けたり、或は、ボタンの取付糸に絡着させて取付けたり、ノートや本の表紙などにクリップ部で取付けておくとができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明容器付きクリップの実施の形態例について、図を参照して説明する。添付図面において、図1は本発明容器付きクリップの一例の正面側から見た斜視図、図2は図1の本発明クリップを背面側から見た斜視図、図3は図1,図2の本発明クリップの背面図、図4は本発明容器付きクリップの中央縦断側面図である。
【0010】
図1〜図4において、1は正面から見て正円形状をなす容器本体で、前面が全面開口した背の低い有底の筒状体をベースとして形成されている。ここで、1aは容器本体1の周壁である。なお、この容器本体1の底部(底壁1b)は、後に説明するクリップ部3に形成される。また、容器本体1の正面形状は、図示した円形のほか、長円形や適宜多角形、或は、星型などの異形状であってもよい。
【0011】
2は、前記容器本体1の前面側の開口部を塞ぐように、当該開口部に被着される蓋体で、図示した実施形態では、蓋体2の周壁2aが、容器本体1の周壁1aの内側面に嵌まる態様で被着されている。蓋体2は容器本体1の正面形状に対応した外形を持つように形成される。例えば、容器本体1が多角形であれば、蓋体2も多角形である。
【0012】
図示した蓋体2は、この例では前面壁2bが浅い(又は低い)ドーム状に形成され、中央に通気用の小径の穴2cが形成されている。この穴2cは必ずなければならない訳でははい。他の部位で通気性があればよいからである。図4の断面図に示した例では、蓋体2の周壁2aの高さは、容器本体1の周壁1aの高さ(深さ)の大略1/3程度に形成されているが、周壁1aと2aが互に内,外面、又は、外,内面で嵌合する場合の両周壁1a,2aの高さ(深さ)は、図示した例に限られない。例えば蓋体2の周壁2aを図4の例より高く(深く)形成し、容器本体1の周壁1aの高さを低く形成したり、或は、双方の周壁1a,2aとも高く形成したり、双方とも低く形成することは任意である。
【0013】
また、本発明容器付きクリップでは、少なくとも蓋体2の前面壁2bを有色又は無色の透明体で形成するが、透明に形成する部位は、当該前面壁2bのほか、前記周壁1a、及び/又は、周壁2a、或は、これらと底壁1bを上記と同様の透明に形成することがある。このため本発明容器付きクリップは、その構成部材(容器本体1と蓋体2)をプラスチックの成形体で形成することが、コストや製造面から見て好ましい。
【0014】
次に、容器本体1における底部(底壁)1bに形成されたクリップ部3の構成について説明する。
【0015】
図示した例でクリップ部3は、容器本体1における底壁1bを構成する部材により形成される。すなわち、容器本体1の底壁1bにおいて、上部の略1/4周長(中心角略90度の周長)をクリップ3の基部3aとして残し、該基部3aから下方へ向けて大略下向きの凹状をなすように外側の底壁部分を除去した2本の脚状体をクリップ片3b,3cを形成することにより、クリップ部3の主要部を形成している。
【0016】
上記のクリップ部3の主要部に対し、前記2本のクリップ片3b,3cの下端部が対面する容器本体1の周壁1aには、当該2本のクリップ片3b,3cを受け入れるために切欠いた凹陥部をクリップ受部1cとして形成することにより、底壁1bに形成した上記基部3a、2本のクリップ片3b,3cと周壁1aに形成した凹陥部によるクリップ受部1cとによって、クリップ部3が形成される。なお、3dは2本のクリップ片3b,3cの分岐部に形成した穴状分岐部である。また、2本のクリップ片3b,3c分岐線は、直線的に垂下した形態であるが、この分岐線は右又は左に円弧状にカーブした曲線であってもよい。
【0017】
上記で説明した本発明容器付きクリップは、蓋体2を容器本体1から外して容器本体1の内部にICチップ(図示せず)などの小形物品を収容し、蓋体2を当該容器本体1に被着して携行できる状態にする。
【0018】
そこで上記容器付きクリップを、そのクリップ部3において着衣の襟や胸ポケットの縁などに着けるには、襟やポケット縁を、周壁1aの凹陥部によるクリップ受部1cと2本のクリップ片3b,3cにより形成されている隙間に挟み込ませると、本発明容器付きクリップは、当該襟やポケットの縁に前記隙間において保持されることとなる。この保持形態は、ノートや本の表紙などに本発明クリップを取付ける場合も同様である。
【0019】
本発明容器付きクリップは、着衣のボタンを、2本のクリップ片3b,3cと周壁1aの凹陥部による受部1cの隙間から、そのクリップ片3b,3cによりクリップ受部1cの間を拡げて容器本体1の内部に入れると共に、当該ボタンの取付け糸を、2本のクリップ片3b,3cの間を通して穴状分岐部3dに入れると、本発明クリップが、あたかもボタンカバーの態様となり、しかも、容器本体1の内部にはICチップ等の小形物品を収容しておくことができる。
【0020】
さらに本発明クリップでは、基部3aと2本のクリップ片3b,3cとの境界部の外側に形成した左右の横向き凹部3e,3fに、ゴム紐などを2本の脚状体によるクリップ片3b,3cの下端側から通して保持させると、本発明クリップを、それ自体が結髪用の装飾体のようになるので、ヘアアクセサリーとしての用途を満たすことができる。
【0021】
また、本発明では、図示した例では容器本体1の周壁1aと蓋体2の周壁2aが透明である場合、両周壁1a,2aの嵌挿境界(隙間)にフィルムや薄紙などによる薄い印刷シートなどを挟持させることができるので、当該シートを広告印刷部としたり、装飾印刷部とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は以上の通りであって、正面から見て円形乃至楕円形、又は、任意の多角形をなす略短筒状の容器本体であってその底部にクリップ部を形成した容器本体と、該容器本体上部の開口側を塞ぐように当該容器本体に着脱自在に装着される蓋体とを備え、前記クリップ部が、前記容器本体の底部に設けた正面から見て大略逆U状をなすクリップ片と、該クリップ片の下端部に対応する前記容器本体の周壁に設けた当該クリップ片の下端部を受け入れる平面から見て略凹状のクリップ受部とを備えた容器付きクリップを形成したので、小形化されたICチップなどの小形物品を無駄なく効率よく収納し、保管したり携行する上で、きわめて有用である。
【0023】
また、本発明容器付きクリップは、収容する物品などによって装飾性や広告性を発揮させることができるので、単に小形物品の収納,携行に便宜であるのみならず、アクセサリーや広告媒体としての機能も発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明容器付きクリップの一例の正面側から見た斜視図。
【図2】図1の本発明クリップを背面側から見た斜視図。
【図3】図1,図2の本発明クリップの背面図。
【図4】本発明容器付きクリップの中央縦断側面図。
【符号の説明】
【0025】
1 容器本体
1a 周壁
1b 底壁
1c 凹陥部によるクリップ受部
2 蓋体
2a 周壁
2b 前面壁
2c 通気用穴
3 クリップ部
3a 基部
3b,3c 脚状体によるクリップ片
3d 穴状分岐部
3e,3c 横向き凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面から見て円形乃至楕円形、又は、任意の多角形をなす略短筒状の容器本体であってその底部にクリップ部を形成した容器本体と、該容器本体上部の開口側を塞ぐように当該容器本体に着脱自在に装着される蓋体とを備え、前記クリップ部が、前記容器本体の底部に設けた正面から見て大略逆U状をなすクリップ片と、該クリップ片の下端部に対応する前記容器本体の周壁に設けた当該クリップ片の下端部を受け入れる平面から見て略凹状のクリップ受部とを備えて形成されたことを特徴とする容器付きクリップ。
【請求項2】
容器本体に着脱自在に装着される蓋体は、容器本体の周壁に外嵌するか、又は、内嵌するように形成した請求項1の容器付きクリップ。
【請求項3】
容器本体、及び/又は、蓋体は、無色または有色の透明プラスチック材により成形した請求項1又は2の容器付きクリップ。
【請求項4】
容器本体の周壁とそれに嵌着される蓋体の周壁の間に、紙やフィルムなどの薄いシートを挟持させるようにした請求項1〜3のいずれかの容器付きクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−159064(P2010−159064A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1871(P2009−1871)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(594056063)
【Fターム(参考)】