説明

容器付き塗布具

【課題】 持ち運びが容易であり、塗布部を上方に向けた状態でも塗布部に塗料を供給できる容器付き塗布具の提供。
【解決手段】 液体が貯留されるボトル3と、ボトル3の開口部に着脱可能に設けられる胴部7と、ボトル3内に配置される管部9と、胴部7の上端部に設けられる頭部11とを備える。頭部11は、胴部7に着脱可能に設けられる基台71と塗布部73とを備える。管部9には、逆止弁53が設けられている。胴部7には、その側面から貫通穴23へ向けて穴33が形成されている。塗布部73を上方へ向けた状態では、管部9から液体が上昇し、胴部7の貫通穴23を介して塗布部73に液体が供給される。塗布部73を下方へ向けた状態では、胴部7の穴33から塗布部73に液体が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種液体の塗布具に関するものであり、たとえば、壁などに塗料を塗布するのに使用される塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料を壁に塗布する際、刷毛や塗装用ガンなどの塗布具が使用されている。
刷毛は、柄の先端部に、繊維の束からなる塗布部が設けられて構成されており、缶に入った塗料に塗布部を浸して塗布する。
また、塗装用ガンは、塗料が貯留されたタンクに接続されたホースの一端部に、ガン本体が接続されており、広範囲を短時間で塗布することができる。
しかしながら、従来の刷毛で塗布する場合、刷毛と、塗料の入った缶の両方を持って移動する必要があり、特に高所で作業を行う際、持ち運ぶのが面倒であり、さらに塗布作業が困難となる場合があった。また、塗装用ガンを使用する場合、高所で作業する際に、ホースが邪魔になることがあった。
【0003】
そこで、持ち運びが容易な塗装器が特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の発明では、塗料が入った容器と刷毛とが一体化されており、持ち運びが容易で、作業性がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−51772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の塗装器は、刷毛部分を下方へ向けて塗布する場合、塗料が刷毛部分へ流入して使用できるが、刷毛部分を上方へ向けて塗布する場合、塗料が刷毛に供給されず、塗布できない。
そのため、刷毛部分を下に向けて塗料を刷毛部分に浸み込ませる作業を繰り返す必要があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、持ち運びが容易であり、塗布部を上方に向けた状態でも塗布部に塗料などの液体を供給できる容器付き塗布具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、液体が貯留されるボトルと、このボトル内に差し込まれる管部と、この管部に設けられる弁と、前記ボトル側面の変形により前記管部を介して液体が供給される塗布部とを備えることを特徴とする容器付き塗布具である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記管部と前記塗布部は、胴部を介して前記ボトルに設けられており、前記管部は、前記胴部から下方へ突出して設けられ、前記塗布部は、前記胴部から上方へ突出して設けられ、前記塗布部は、上方へ向けられた状態では前記管部を介して液体が供給される一方、下方へ向けられた状態では前記胴部の外面を介して液体が供給されることを特徴とする請求項1に記載の容器付き塗布具である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記胴部には、前記管部からの液体が通過する第一流路が形成されると共に、前記管部を介さずに前記胴部からの液体が通過する第二流路が形成されており、前記第二流路を開閉する弁が設けられており、この弁は、塗布部が下方へ向けられて液体を通過させようとする際に開口することを特徴とする請求項2に記載の容器付き塗布具である。
なお、好ましくは上記構成に加えて、前記胴部の第一流路は、一部が拡大して液体の貯留部とされることを特徴とする容器付き塗布具である。
また、好ましくは上記構成に加えて、前記第二流路は、前記第一流路の前記貯留部へ開口していることを特徴とする容器付き塗布具である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記胴部または前記管部には、前記管部からの液体が通過する前記胴部の流路または前記管部の内穴を開閉する開閉機構が設けられており、前記開閉機構は、塗布部が上方へ向けられた状態で開放する一方、下方へ向けられた状態では閉鎖することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の容器付き塗布具である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記胴部には、前記ボトルの内外を連通する空気供給穴が設けられると共に、前記空気供給穴を開閉する開閉機構が設けられており、前記開閉機構は、ボトル内の液体を通過させることなく、外気は吸い込み可能とすることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の容器付き塗布具である。
なお、好ましくは上記構成に加えて、前記空気供給穴を介したボトル内への吸気は、胴部の側面からなされることを特徴とする容器付き塗布具である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記塗布部は、多数本の繊維、気泡体、または筒体により構成されることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれかに記載の容器付き塗布具である。
なお、好ましくは上記構成に加えて、前記塗布部の下部に、板材に切込みが形成されてなる弁が設けられていることを特徴とする容器付き塗布具である。
【0013】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記管部、前記塗布部および前記胴部を備えてなる本体部であって、前記本体部は、前記ボトルに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかに記載の容器付き塗布具用の本体部である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の容器付き塗布具によれば、持ち運びが容易であり、塗布部を上方に向けた状態でも塗布部に塗料などの液体を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の容器付き塗布具の実施例1を示す斜視図である。
【図2】図1の容器付き塗布具の正面視縦断面図である。
【図3】図1の容器付き塗布具の本体部の断面図であり、一部を省略して示している。
【図4】図1の容器付き塗布具の本体部の分解斜視図である。
【図5】図1の容器付き塗布具の側面視縦断面図であり、一部を省略して示している。
【図6】図1の容器付き塗布具の本体部の頭部を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
【図7】図1の容器付き塗布具の使用状態を示す断面図であり、塗布部を上方へ向けた状態での使用状態を示している。
【図8】図1の容器付き塗布具の使用状態を示す断面図であり、塗布部を下方へ向けた状態での使用状態を示している。
【図9】本発明の容器付き塗布具の実施例2を示す図であり、蓋を付けた状態の縦断面図である。
【図10】図9の容器付き塗布具の胴部と管部を示す断面図であり、一部を省略して示している。
【図11】図9の容器付き塗布具の胴部と管部を示す分解斜視図であり、一部を省略して示している。
【図12】図9の容器付き塗布具の管部の接続構造を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の容器付き塗布具の実施例3を示す図であり、蓋を付けた状態の正面視縦断面図である。
【図14】図13の容器付き塗布具を示す図であり、蓋を付けた状態の側面視縦断面図である。
【図15】図14の部分拡大図である。
【図16】図13の容器付き塗布具の胴部と管部を示す分解斜視図であり、一部を省略して示している。
【図17】塗布部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の容器付き塗布具の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1および図2は、本発明の容器付き塗布具の実施例1を示す図であり、図1は蓋を外した状態の斜視図、図2は蓋を付けた状態の正面視縦断面図である。
【0018】
本実施例1の容器付き塗布具1は、塗料などの液体が貯留されるボトル3と、このボトル3に設けられる本体部5とを主要部に備える。本体部5は、ボトル3の開口部に設けられる胴部7と、この胴部7の下端部に設けられ、ボトル3内に配置される管部9と、胴部7の上端部に設けられる頭部11とを主要部に備える。
【0019】
ボトル3は、上方へのみ開口する有底の筒状とされる。
本実施例では、ボトル3は、合成樹脂製の円筒形状とされ可撓性を有する。ボトル3の上端部13は、縮径して円筒状に上方へ突出しており、その上端部13の外周面は、ネジ部13aとされている。また、ボトル3の上端部13の外周面には、上下方向に沿って溝14が形成されている。
【0020】
図3は、図1の容器付き塗布具の本体部の断面図であり、一部を省略して示している。
図4は、図1の容器付き塗布具の本体部の分解斜視図である。
【0021】
図2から図4に示すように、胴部7は、段付きの円柱形状とされる。
具体的には、胴部7は、下方へ行くに従って順次縮径して、第一縮径部15、第二縮径部17および第三縮径部19が形成されている。第二縮径部17の外径は、ボトル3の上端部13の内径に対応している。
胴部7は、ボトル3の開口部に着脱可能にはめ込まれて設けられる。胴部7がボトル3に取り付けられた状態において、胴部7の第一縮径部15の下面がボトル3の上面に当接する。
【0022】
胴部7の中心部には、軸線に沿って貫通穴23が形成されている。この貫通穴23は、段付き穴とされる。
具体的には、胴部7の上端部中央には、上方へ開口する円形の第一穴25が形成されている。そして、この第一穴25の下部に、第一穴25より小径な円形の第二穴27が、第一穴25に連通して形成されている。また、この第二穴27の下部に、第二穴27より小径な第三穴29が、第二穴27と連通して形成されている。本実施例では、第三穴29の下端部29aは、下方へ行くに従って拡径する円錐台状に形成されている。
さらに、この第三穴29の下部に、第三穴29より大径な第四穴31が、第三穴29と連通して形成されており、この第四穴31は胴部7の下面に開口している。
このように、胴部7には、第一穴25〜第四穴31により構成される段付きの貫通穴23が、上下方向に沿って形成されており、この貫通穴23は塗料の流路とされる。
【0023】
また、胴部7には、外周面から第二穴27へ開口するように穴33が水平に形成されている。図示例では、穴33は、胴部7の第二縮径部17と第三縮径部19の境界部に形成されている。
【0024】
また、胴部7には、ボトル3に装着された状態において、ボトル3の内外を連通する貫通穴35が、前記貫通穴23(第一穴25〜第四穴31)とは別に形成されている。具体的には、胴部7には、その下端面と外周面とを連通するように貫通穴35が形成されている。
さらに具体的には、胴部7の第一縮径部15の外周面から径方向内側へ水平に延出する横穴37と、この横穴37の一端部から下方へ垂直に延出して胴部7の下端面に開口する縦穴39とにより、略逆L字形の貫通穴35が形成されている。
また、縦穴39の下端部39aは、拡径して上端部より大径に形成されている。本実施例では、縦穴39の上端部と下端部39aの境界部39bは、下方へ行くに従って拡径する円錐台状に形成されている。
【0025】
胴部7がボトル3に装着された状態において、横穴37は、ボトル3より上方に位置する。なお、図示例では、横穴37は、穴33と径方向に対向すると共に、上下にずれた位置に形成されている。
【0026】
胴部7には、貫通穴35の開閉機構が設けられている。
この開閉機構は、貫通穴35を開閉できればその構成を特に問わないが、本実施例では、縦穴39の下端部39aに上下動可能に収容される第一弁体43と、この第一弁体43の脱落を防止する第一脱落防止材45とにより構成される。第一弁体43は、球状とされ、縦穴39の円錐台状部39bの上端部の内径より大径とされる。本実施例では、第一弁体43は、ステンレス製とされる。
また、本実施例では、第一脱落防止材45は、細長い棒材とされ、縦穴39の下端部39aに、径方向に沿って通されて固定されており、第一弁体43は第一脱落防止材45に当接することで、胴部7からの脱落が防止される。
【0027】
管部9は、円筒形状とされ、その上端部が胴部7の第四穴31にはめ込まれて胴部7に取り付けられる。本実施例では、管部9は、合成樹脂製の2本のパイプ49,51が軸方向に連結されて構成されている。
【0028】
上側のパイプ49の外径は、胴部7の第四穴31の内径に対応しており、このパイプ49の上端部が胴部7の第四穴31にはめ込まれて管部9が胴部7に取り付けられる。
下側のパイプ51は、上側のパイプ49より若干小径とされ、上側のパイプ49の下端部にはめ込まれて固定される。具体的には、上側のパイプ49の下端部49aは、その内周面が周方向に切り欠かれて内穴が拡径している。また、下側のパイプ51の上端部51aは、その外周面が周方向に切り欠かれて縮径している。下側のパイプ51の上端部51aの外径は、上側のパイプ49の下端部49aの内径に対応しており、上側のパイプ49の下端部49aに、下側のパイプ51の上端部51aがはめ込まれて連結される。
【0029】
管部9内には、一又は複数の弁53が設けられている。本実施例では、管部9の軸方向中途部と下端部にそれぞれ弁53が設けられている。具体的には、下側のパイプ49の上下各端部に、弁53が設けられる。
本実施例では、各弁53は、逆止弁とされ、合成樹脂製の2枚の膜材55,57により構成されている。具体的には、弁53は、円板状の第一膜55と、この第一膜55の上部に設けられる円板状の第二膜57とを備える。
第一膜55の外径は、下側のパイプ51の内径に対応している。また、第一膜55には、その中心部に円形の穴55aが形成されている。
第二膜57は、第一膜55と同じ外径とされ、その中心部には、第一膜55の穴55aより大径な円形状に一部を残して切込みが形成されており、この円形部57aが弁体部とされる。
【0030】
本実施例では、第一膜55の上部に第二膜57が重ね合わされて弁53が構成され、さらに、第一膜55の下面および第二膜57の上面にそれぞれ環状の取付具59が重ね合わされて一体化される。
取付具59は、第一膜55および第二膜57と同じ外径とされ、その内穴59aは、第二膜57の弁体部57aより大径とされる。
弁53は、取付具59に挟み込まれて一体化された状態で、管部9内にはめ込まれて管部9内に固定される。
【0031】
このような構成により、弁53の下方から上方へ液体が通過しようとすると、液体は第一膜55の貫通穴55aを通過して第二膜57の弁体部57aにあたり、弁体部57aがめくれ上がることで、液体は通過可能とされる。
一方、弁53の上方から下方へ液体が通過しようとすると、液体は第二膜57の弁体部57aにあたる。この際、第二膜57の弁体部57aが、第一膜55に当接して第一膜55の穴55aを閉塞することで、液体の移動が阻止される。このようにして、本実施例の弁53は逆止弁として動作する。
【0032】
管部9の上端部には、液体の流路の開閉機構61が設けられる。
本実施例では、開閉機構61は、管部9の上端部に上下動可能に収容される第二弁体63と、この第二弁体63の脱落を防止する第二脱落防止材65とにより構成される。第二弁体63は、球状とされ、胴部7の円錐台状部29aの上端部の内径より大径とされる。本実施例では、第二弁体63は、ステンレス製とされる。
また、本実施例では、第二脱落防止材65は、細長い棒状とされ、最上部の弁53より上方位置において、管部9に直径方向に沿ってはめ込まれて固定されており、第二弁体63は第二脱落防止材65に当接することで、胴部7からの脱落が防止される。
【0033】
図5は、図1の容器付き塗布具の側面視縦断面図であり、一部を省略して示している。
図6は、図1の容器付き塗布具の本体部の頭部を示しており、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図である。
【0034】
頭部11は、胴部7の上端部に着脱可能に設けられる基台71と、この基台71に設けられる塗布部73とを有する。基台71は、略円板状の台部75と、この台部75の中央部から上方へ突出する支持部77とを有する。
【0035】
台部75は、その下端部79が縮径して形成されている。この台部75の下端部79の外径は、胴部7の第一穴25の径に対応している。また、台部75の下端部中央には、下方へ開口する段付き穴81が形成されている。
具体的には、台部75の下端部中央には、下方へ開口して円形の第五穴83が形成され、この第五穴83の上部に第五穴83より小径な第六穴85が連続して形成されている。
【0036】
支持部77は、断面略矩形の筒状とされる。台部75には、支持部77の矩形状の内穴77aと連通する矩形状の貫通穴87が上下に沿って形成されている。
【0037】
本実施例では、塗布部73は、多数本の獣毛や合成樹脂製繊維などにより刷毛状に構成されている。この塗布部73を構成する繊維89の素材は特に限定されない。
塗布部73は、その根元部が、支持部77の内穴77aに配置されて接着剤などで固定される。この際、本実施例では、塗布部73の中央部に筒体91が配置される。
具体的には、支持部77の内穴77aの中央部に、断面矩形状の筒体91が配置され、この筒体91の周囲に塗布部73を構成する繊維89が配置された状態で、つまり、筒体91と支持部77との間の空間に塗布部73を構成する繊維89が配置された状態で、繊維89の根元に接着剤が充填されて、支持部77に塗布部73が固定されると共に、筒体91が塗布部73に固定される。このように支持部77に塗布部73が固定された状態において、塗布部73を構成する繊維89は、筒体91より上方へ延出している。
【0038】
台部75の下部には、弁93が取り付けられる。
弁93は、プラスチック等の合成樹脂製の弾性を有する円板状とされ、その中心部から外周部へ向けて6本の切込みが形成されて、6片の扇状の弁体部95が形成されている。
弁93の外径は、台部75の第五穴83の径に対応しており、弁93は台部75の第五穴83にはめ込まれた状態で台部75に接着剤などにより固定される。
【0039】
頭部11は、胴部7に着脱可能に取り付けられる。
具体的には、頭部11は、台部75の下端部79が胴部7の第一穴25にはめ込まれて取り付けられる。この際、台部75の上端部下面が、胴部7の上面に当接する。
【0040】
また、本実施例では、胴部7の第二穴27に弁99が収容された状態で、胴部7に頭部11が装着される。
弁99は、合成樹脂製であり、円筒体の周方向一部が軸方向に沿って切り欠かれた断面略C字形状とされて可撓性を有し、その開口端部同士が近接可能とされる。弁99の外径は、胴部7の第二穴27の径と対応している。弁99は、軸方向を上下方向に沿うように配された状態で第二穴27内に収容され、通常時は、胴部7の穴33を塞いでいる。
【0041】
本実施例では、胴部7の穴33と、弁99のスリット99aが周方向にずれた位置に配置された状態で、弁99の外周面の一部が、第二穴27の内周面に接着剤などで固定される。
【0042】
ボトル3に取り付けられた胴部7に、頭部11が装着された状態で、キャップ101がボトル3に取り付けられる。キャップ101は、下方へ開口する円筒形状とされ、その上壁中央部には、円形状の貫通穴101aが形成されている。また、キャップ101の下端部内周面はネジ部とされている。
キャップ101は、その上壁の貫通穴101aに塗布部73および支持部77が通されてボトル3の上端部13にねじ込まれて装着される。ボトル3にキャップ101が装着された状態では、キャップ101の上壁が台部75の上面に当接して、胴部7および頭部11の脱落を防止する。
【0043】
また、本実施例では、ボトル3の上部に、下方へ開口する円筒状の蓋材103が着脱可能に設けられる。蓋材103の下端部103aは拡径しており、下端部103aの内径は、キャップ101の外径に対応している。蓋材103は、その内穴に塗布部73を収容した状態で、キャップ101の外周面に着脱可能にはめ込まれてボトル3に取り付けられる。
【0044】
図7は、図1の容器付き塗布具の使用状態を示す断面図であり、塗布部を上方へ向けた状態での使用状態を示している。
【0045】
本実施例の容器付き塗布具1は、たとえば、ボトル3に水性の塗料が貯留されて、壁などに塗料を塗布する際に使用される。
本実施例の容器付き塗布具1を用いて塗料を塗布する際には、ボトル3の側部を掴んでつぶす方向に変形させることで、塗布部73に塗料が供給され、塗布部73を塗布する箇所に当てることで塗布することができる。
【0046】
具体的には、塗布部73を上方へ向けて塗布する際には、ボトル3の側部を内側へ押し込むことでボトル3が弾性変形して、塗料が管部9から上昇し、弁53を通過して胴部7の第三穴29および第二穴27内に進入する。さらに台部75に固定された弁93を通過して台部75の第六穴85内へ移動する。この際、弁93の扇状の弁体部95が上方へめくれ上がることで塗料が通過可能とされる。塗料は、台部75の第六穴85から筒体91内を通過して、塗布部73を構成する繊維89の束内に移動して、塗布部73に塗料が充填される。これにより塗布作業が可能となる。なお、ボトル3を弾性変形させることで、第一弁体43が上昇して胴部7の貫通穴35の一端部を一時的に閉塞する。これにより、貫通穴35を介してのボトル3内から外部への塗料や空気の漏れが防止される。
【0047】
ボトル3の変形を解除すると、胴部7の貫通穴35を介して外部からボトル3内に空気が流入する。本実施例では、ボトル3の上端部13の外周面に溝14が形成されていることで、この溝14を介して外部から空気がボトル3内に供給される。
【0048】
図8は、図1の容器付き塗布具の使用状態を示す断面図であり、塗布部73を下方へ向けた状態を示している。
【0049】
塗布部73を下方へ向けて塗布する際、ボトル3を上下逆にすることで、第一弁体43が胴部7の貫通穴35の一端部を塞ぐ。具体的には、ボトル3が上下逆になることで第一弁体43は、縦穴39の下端部39aから円錐台状部39bへ移動して縦穴39を塞ぐ。
また、ボトル3を上下逆にすることで、第二弁体63が胴部7の第三穴29を塞ぐ。具体的には、ボトル3が上下逆になることで第二弁体63が胴部7の円錐台状部29aに移動して、胴部7の貫通穴23の一端部を塞ぐ。
この状態で、ボトル3の側部をつぶす方向に変形させることで、塗料は、穴33から胴部7内に進入し、弁99を押圧する。これにより弁99の開放両端部が近接して、弁99の外周面が胴部7の第二穴27の内面から離れ、穴33と第二穴27とが連通し塗料は第二穴27へ進入する。
そして、塗料は、第二穴27から上記と同様に、台部75に設けられた弁93を介して筒体91内に進入し、塗布部73を構成する繊維89内に供給される。
【0050】
ボトル3の変形を解除することで、胴部7の貫通穴35を介して外部から空気がボトル3内に供給される。この際、胴部7の貫通穴35の一端部を閉塞している第一弁体43は、空気が通過する際に図8の状態において一旦上昇し、その後落下して再び貫通穴35の一端部を閉塞する。これにより塗料が外部へ漏れることがない。
【0051】
このように、本実施例の容器付き塗布具1は、塗布部73を上下どちらに向けた状態でも、塗布部73に塗料を供給することができる。
また、本実施例では、塗料が貯留されるボトル3と塗布部73が一体化されていることで、持ち運びが容易であり、高所などでの作業が行い易い。
さらに、本実施例では、頭部11が胴部7に対して着脱可能とされている。これにより、塗布部73を構成する繊維89が摩耗して使用できなくなった場合などには、頭部11を交換するだけで再び使用することができる。
【0052】
また、本実施例では、管部9に弁53が設けられており、管部9内に塗料を貯留できる。これにより、一旦、管部9内に塗料が供給された後は、連続的に塗布部73に塗料を供給するので作業が行い易い。さらに、本実施例では、胴部7の第二穴27は、下部の第三穴29より大径に形成されており、第二穴27に塗料を貯留できる。これにより一旦、第二穴27まで塗料が供給された後は、連続的に塗布部73に塗料を供給するので作業が行い易くなる。
【0053】
また、本実施例では、基台71に弁93が設けられており、塗料はこの弁93の弁体部95をめくり上げて塗布部73に移動することになる。このような構成によりボトル3を強く押圧してしまった場合でも、弁93に一旦当たることで、勢いが弱められて塗料の飛散が防止される。
【実施例2】
【0054】
次に、本発明の容器付き塗布具の実施例2について説明する。
なお、本実施例2の容器付き塗布具は、基本的には上記実施例1の塗布具と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0055】
図9は、本発明の容器付き塗布具の実施例2を示す図であり、蓋を付けた状態の縦断面図である。図10は、図9の容器付き塗布具の胴部と管部を示す断面図であり、一部を省略して示している。図11は、図9の容器付き塗布具の胴部と管部を示す分解斜視図であり、一部を省略して示している。図12は、図9の容器付き塗布具の管部の接続構造を示す分解斜視図である。
【0056】
本実施例2の容器付き塗布具は、胴部7の中心部の貫通穴23の構成が、上記実施例1と異なる。
具体的には、胴部7の中心部の貫通穴23は、第一穴25、第二穴27および第三穴29により構成されており、第三穴29が胴部7の下面に開口している。この貫通穴23は、上記実施例と同様、液体の流路とされる。
【0057】
また、第一穴25の底部には、上方へ突出して環状の突出部121が、第一穴25と同心円状に形成されている。第一穴25の壁面と突出部121との間に、環状のシール材が配置された状態で、胴部7に頭部11が取り付けられる。
【0058】
また、第三穴29の上端部には、径方向内側へ突出する凸部125が、周方向に沿って形成されている。図示例では、第三穴29の上端部には、断面三角形状の凸部125が周方向に沿って形成されている。
【0059】
胴部7の第二穴27に収容される弁99は、上記実施例と同様、断面略C字形状とされ可撓性を有する。本実施例2では、弁99の外面に、外方へ突出して矩形状の突出部99bが形成されている。この突出部99bは、胴部7の穴33に差し込み可能な大きさとされている。弁99は、その突出部99bが胴部7の穴33に差し込まれた状態で第二穴27に収容され、通常時は、胴部7の穴33を塞いでいる。
【0060】
管部9は、上記実施例と同様、合成樹脂製の2本のパイプ49,51が軸方向に連結されて構成される。そして、管部9には、上下に離間して2つの弁53が設けられる。
【0061】
上側のパイプ49の外径は、胴部7の第三穴29に対応している。また、上側のパイプ49の上端部外周面には、断面三角形状の溝129が周方向に沿って形成されており、この環状溝129は、第三穴29の凸部125に対応している。
【0062】
また、本実施例2では、上側のパイプ49の上端部は、径方向内側へ延出して内穴が縮径して形成されている。つまり、上側のパイプ49の上端部は、中心部を残して閉塞されている。この上側のパイプ49の上端部の穴131は、第二弁体63より小径とされる。また、穴131の下端部131aは、下方へ行くに従って拡径する円錐台状に形成されている。
【0063】
さらに、上側のパイプ49の軸方向中途部には、径方向外側へ突出して鍔部133が形成されている。この鍔部133には、軸方向に沿って貫通穴135が形成されている。
本実施例2では、鍔部133に、第一脱落防止材45が設けられる。
【0064】
本実施例2における第一脱落防止材45は、鍔部133の貫通穴135にはめ込まれる取付部137と、この取付部137から上方へ突出する支持部139とを有する。
具体的には、取付部137は、直方体形状とされ、この取付部137の中央部から上方へ突出して棒状の支持部139が設けられている。
第一脱落防止材45は、支持部139を上方へ向けた状態で、取付部137が、鍔部133の貫通穴135にはめ込まれて鍔部133に固定される。
【0065】
上側のパイプ49は、その上端部が胴部7の第三穴29にはめ込まれて胴部7に取り付けられる。この際、上側のパイプ49の環状溝129に、胴部7の第三穴29の凸部125がはまり込んで位置決めされる。
また、胴部7に上側のパイプ49が取り付けられた状態において、第一脱落防止材45の支持部139が、胴部7の貫通穴35に差し込まれると共に、鍔部133が胴部7の下面に当接する。そして、本実施例2では、胴部7の貫通穴35に収容される球状の第一弁体43は、支持部139に当接することで脱落が防止される。
【0066】
上側のパイプ49の下端部は、その外周面が周方向に切り欠かれて縮径して形成されている一方、その内周面が周方向に切り欠かれて、内穴が若干拡径して形成されている。また、その拡径した内穴49bの上端部49cは、さらに若干拡径して形成されている。
本実施例2では、上側のパイプ49の下端部に、第二脱落防止材65がはめ込まれて設けられる。
【0067】
本実施例2における第二脱落防止材65は、短円柱形状とされ、上側のパイプ49の内穴49bの上端部49cに対応した外径とされる。第二脱落防止材65には、周方向に離間して複数の貫通穴141が軸方向に沿って形成されている。
本実施例2では、第二脱落防止材65には、周方向等間隔に離間して、4つの扇状の貫通穴141がそれぞれ軸方向に沿って形成されており、中心部に十字状部143が残されている。この十字状部143の中央部143aは、上方へ若干突出している。なお、第二脱落防止材65の下端部は、下方へ行くに従って縮径する円錐台状に形成されている。
第二脱落防止材65は、上側のパイプ49の内穴に下端部からはめ込まれて、その外周部が内穴49bの上端部49cにはまり込むことで、上側のパイプ49に取り付けられる。そして、上側のパイプ49内に収容された球状の第二弁体63は、第二脱落防止材65に当接することで、脱落が防止される。
【0068】
本実施例2では、上側のパイプ49と下側のパイプ51は、継手部材147を介して連結される。また、各パイプ49,51の下端部に、弁53が設けられる。
【0069】
具体的には、本実施例2では、上側のパイプ49の下端部に、下方へ突出して2つの凸部149,149が形成されている。
また、弁53は、1枚の合成樹脂製の膜材により構成され、上側のパイプ49の下端部の内穴49bに対応した円板形状とされる。また、弁53は、その外周部の一部が、径方向外側へ突出して形成されており、この突出部151には、2つの貫通穴153が形成されている。弁53は、その各貫通穴153に上側のパイプ49の凸部149がはめ込まれて、接着剤などにより固定されて、上側のパイプ49に取り付けられる。
【0070】
継手部材147は、円柱形状とされ、その下端部147aは縮径して形成されている。
また、継手部材147には、その中央部に軸方向に沿って貫通穴が形成されている。
さらに、この貫通穴の下端部155は、縮径して形成されており、継手部材147の貫通穴は段付き穴とされる。
継手部材147の貫通穴の内、下側の穴155は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状に形成されており、穴155の上部は上側のパイプ49の下端部の内穴49bより小径とされる。
そして、継手部材147の貫通穴の内、上側の穴157に、上側のパイプ49の下端部がはめ込まれて取り付けられる。
【0071】
下側のパイプ51は、円管状とされ、その上端部は、内穴が拡径して形成されている。
また、下側のパイプ51の下端部は、上側のパイプ49の下端部と同形状とされ、弁53が設けられる。具体的には、下側のパイプ51の下端部には、上側のパイプ49と同様、下方へ突出して2つの凸部が形成されており、この凸部が弁53の穴153にはめ込まれて取り付けられる。さらに、下側のパイプ51の下端部には、継手部材147が取り付けられる。
【0072】
このような構成により、図9に示す状態において、弁53の下方から上方へ液体が通過しようとすると、液体は継手部材147の貫通穴を通過する際に弁53にあたり、弁53がめくれ上がることで、液体は通過可能とされる。
一方、弁53の上方から下方へ液体が通過しようとすると、液体は弁53にあたる。この際、弁53が、継手部材147の貫通穴の段部159に当接して継手部材147の内穴を閉塞することで、液体の移動が阻止される。このようにして、本実施例の弁53は逆止弁として動作する。
【0073】
本実施例2では、継手部材147を介して下側のパイプを1つまたは複数連結することで、管部9の長さおよび弁53の個数を調整することができる。
【0074】
このような構成の本実施例2の塗布具は、上記実施例1と同様に、塗布部73を上方に向けた状態および下方へ向けた状態のどちらでも使用可能である。
【0075】
つまり、塗布部73を上方へ向けた状態では、ボトル3の側部を押圧することで、管部9から塗料などの液体が上昇し、胴部7へ移動した後、塗布部73に充填されて塗布することができる。
また、塗布部73を下方へ向けた状態では、ボトル3の側部を押圧することで、液体は、弁99を押圧して弾性変形させ、胴部7の穴33から胴部7の第二穴27内へ移動して、塗布部73に充填されて塗布することができる。
【0076】
ところで、本実施例では、上側のパイプ49の鍔部133に第一脱落防止材45を設けたが、鍔部133自体を第一脱落防止材としてもよい。すなわち、鍔部133に形成される貫通穴135を第一弁体43より小径としておき、第一弁体43が脱落しない構成としてもよい。
【実施例3】
【0077】
次に、本発明の容器付き塗布具の実施例3について説明する。
なお、本実施例3の容器付き塗布具1は、基本的には上記実施例2の容器付き塗布具1と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0078】
図13〜図15は、本発明の容器付き塗布具の実施例3を示す図であり、図13は蓋を付けた状態の正面視縦断面図、図14は蓋を付けた状態の側面視縦断面図、図15は図14の部分拡大図である。また、図16は、図13の容器付き塗布具の胴部と管部を示す分解斜視図であり、一部を省略して示している。
【0079】
上記実施例2では、胴部7に貫通穴(空気供給穴)35が1つ形成されていたが、本実施例3では、胴部7に2つの貫通穴(空気供給穴)35,35が形成されている。
具体的には、胴部7には、径方向に離間した位置に貫通穴35,35が形成されている。これに伴い本実施例3では、液体の流路となる穴33は、各貫通穴35から周方向に90度ずれた位置に形成されている。各貫通穴35は、胴部7の第一縮径部15の外周面から径方向内側へ延出する横穴37と、この横穴37の一端部から下方へ延出して胴部7の下端面に開口する縦穴39とにより構成されている。すなわち、各貫通穴35は、略逆L字形に形成されている。
【0080】
また、本実施例3では、貫通穴35の開閉機構の構成が上記実施例2と異なる。上記実施例2では、球状の第一弁体43により貫通穴35の開閉がなされていたが、本実施例3では、板状の開閉弁161により貫通穴35の開閉がなされる。
【0081】
具体的には、本実施例3では、貫通穴35の開閉機構を構成する開閉弁161は、シリコン等の可撓性を有する合成樹脂製の円板状とされる。また、開閉弁161の中央部は、下方へ凹んで形成されており、この凹みは下方へ行くに従って縮径する円錐台状に形成されている。そして、この開閉弁161の中央部には円形状の貫通穴163が形成されている。開閉弁161は、その中央の穴163に管部9がはめ込まれて取り付けられる。
【0082】
本実施例では、開閉弁161は、上側のパイプ49にはめ込まれて設けられる。上側のパイプ49の外周面には、周方向に沿って溝165が形成されている。図示例では、上側のパイプ49の外周面に、断面長方形状の溝165が周方向に沿って形成されており、この環状溝部分の直径は、開閉弁161の中央の穴163より若干大径とされる。
開閉弁161は、上側のパイプ49に通されて溝165にはめ込まれて設けられることで、下方への移動が規制され、脱落が防止される。
【0083】
上側のパイプ49の上端部が胴部7の第三穴29にはめ込まれて取り付けられた状態において、開閉弁161は胴部7の下部に配置され、胴部7の貫通穴35,35の下端を閉塞する。図示例では、胴部7の下端に、下方へ開口した浅い凹部167が形成されており、その凹部167に開閉弁161が配置される。
【0084】
このような構成の本実施例3の容器付き塗布具1は、塗布部73を上方へ向けて使用する場合、上記実施例1や実施例2と同様、ボトル3の側部を押し込むと、管部9を介して塗布部73に塗料が供給される。この際、本実施例3では、開閉弁161が貫通穴35を塞ぐことで空気の漏れが防止され、塗布部73への塗料の供給が適切になされる。そして、ボトル3の押し込みを解除すると、開閉弁161を一時的にめくりあげながら、空気が貫通穴35を介してボトル3の外部から内部へ流入することで、ボトル3が復元する。
【0085】
また、塗布部73を下方へ向けて使用する場合、ボトル3を上下逆にすることで、球状の第二弁体63がパイプ49の穴131を閉塞する。
そして、ボトル3の側部を押し込んでボトル3の側面を変形させることで、胴部7の穴33に入り込んだ塗料が弁99を押圧し、穴33の閉鎖が解除され、穴33と第二穴27とが連通する。
これにより、胴部7の穴33から塗布部73へ塗料が供給され、塗布することができる。また、開閉弁161が胴部7の貫通穴35を閉塞していることで、塗布部73を下方へ向けた状態において、貫通穴35からの塗料の漏れを防止することができる。
そして、ボトル3の側部の押し込みを解除すると、開閉弁161を一時的にめくりあげながら、空気が貫通穴35を介してボトル3の外部から内部へ流入することで、ボトル3が復元する。なお、空気の流入後、開閉弁161が再び胴部7の貫通穴35を閉塞することで塗料の漏れが防止される。
【0086】
このように、本実施例3においても、上記実施例1および実施例2と同様、塗布部73を上方および下方へ向けて塗布することができる。また、本実施例3では、貫通穴35の開閉機構が、板状の開閉弁161により構成されることで、貫通穴35の開閉がより速やかになされる。さらに、貫通穴35が二つ形成されているため、ボトル3内への空気の流入がより速やかに行われる。
【0087】
上記各実施例の容器付き塗布具1は、塗布部73を上方へ向けた状態でボトル3の側部を押し込んで変形させると、塗料などの液体が管部9を通って塗布部73へ供給される。この際、管部9に逆止弁53が設けられていることで、液体は管部9の下方から上方へ移動できる一方、逆止弁53を一旦通過した液体は、その逆止弁53より下方へ落ちることがない。これにより、管部9および胴部7の貫通穴内に液体が貯留され、液体が順次塗布部73へ供給され、スムーズに塗布することができる。
【0088】
また、上記各実施例の容器付き塗布具1には、胴部7の穴33を開閉する弁99が設けられており、塗布部73を下方へ向けた状態においては、ボトル3を押し込むことで、液体により弁99が押圧されて開き、穴33と第二穴27とが連通して塗布部73へ液体が供給される。このように、上記各実施例の容器付き塗布具1によれば、塗布部73を上下どちらに向けても使用できる。なお、塗布部73を上方へ向けた状態においては、弁99により液体が穴33から漏れるのを防止することができる。
【0089】
本発明の容器付き塗布具は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
たとえば、上記各実施例では、塗料の塗布具として説明したが、本発明の容器付き塗布具の用途はこれに限らない。たとえば、料理における調理油の塗布などにも使用可能である。また、ボトルに貯留される液体は、その粘度を特に問わず、たとえば糊などの粘性のある液体であってもよい。
【0090】
また、上記各実施例では、弁99は、断面略C字形状の部材とされたが、逆止弁であればその構造は特に問わない。
また、上記各実施例では、塗布部73は、繊維89の束により刷毛状に構成されたが、図17に示すように、スポンジなどの連続気泡体により構成されてもよい。さらに、単なる筒状としてもよい。この際、上記各実施例における塗布部73と筒体91を省略して、支持部77を塗布部としてもよい。つまり、支持部77の内穴77aから塗料などの液体を排出して塗布する構成としてもよい。また、塗布部は、へら状としてもよい。このように、ボトル3から液体が供給され、塗布可能な構成であれば、塗布部73の構成は適宜変更可能である。
【0091】
また、上記各実施例では、ボトル3が弾性変形可能な容器としたが、要はボトルの一部がつぶれる構成であれば足りる。つまり、ボトルの内容積を変化できればよい。したがって、たとえば、ボトル(硬質材により形成されていてもよい)の側部に内外を連通する穴を設け、その穴を合成ゴムなどの弾性材で塞いでおき、その弾性材部分でボトルを変形させてもよい。
【0092】
また、上記各実施例では、管部9に2つの逆止弁53を設けたが、1つ又は3つ以上設けてもよく、取付位置や個数は適宜変更可能である。
そして、管部9に逆止弁53を設ける際、少なくとも管部9の長手方向中央部に設けるのが好ましい。さらに、管部9の下端部にも、逆止弁53を設けるのが好ましい。たとえば、管部9に逆止弁53を1つ設ける場合には、管部9の下端から3分の1〜3分の2の間に逆止弁53を設けるのが好ましく、この際、より好ましくはできるだけ管部9の長手方向中間部に逆止弁53を設けるのが好ましい。
そして、管部9に逆止弁53を2つ設ける場合には、管部9の長手方向中央部と下端部にそれぞれ設けるのが好ましい。また、管部9に逆止弁53を3つ以上設ける場合には、管部9の長手方向に等間隔に離間させて設けるのが好ましい。
さらに、上記各実施例のように管部9が複数本のパイプにより構成される場合には、パイプ同士の連結部やパイプの端部に逆止弁53を設けることで、逆止弁53の取り付けが容易となる。
【0093】
また、上記各実施例では、管部9に開閉機構が設けられたが、胴部7の貫通穴に設ける構成としてもよい。
具体的には、上記各実施例では、第二弁体63と第二脱落防止材65により構成される開閉機構61が管部9に設けられたが、塗布部73を下方へ向けた状態(図8)において、穴33より上方位置で、胴部7の貫通穴23または管部9の内穴を閉鎖できれば、開閉機構の構成は適宜変更可能である。
【0094】
さらに、管部9や貫通穴35の各開閉機構の構成は適宜変更可能である。たとえば、第一弁体43や第二弁体63の形状は適宜変更可能である。
【0095】
また、上記実施例3では、胴部7に空気供給穴となる貫通穴35が二つ形成されたが、一つでもよいし、三つ以上としてもよい。さらに、貫通穴35の形成位置は、適宜に変更可能である。
【0096】
また、上記各実施例では、塗布部73を下方へ向けた状態では、胴部7の外周面に形成された穴33を介して液体が貫通穴23へ供給される構成としたが、胴部7の外面から貫通穴23へ供給される構成であれば、穴33の形成位置は適宜に変更可能である。つまり、貫通穴23と連通する穴33は、胴部7の外周面に開口させる以外に、たとえば、胴部7の下面に開口させてもよい。
【0097】
本発明の容器付き塗布具では、管部9に逆止弁53を設けることで、塗布部73へ液体をスムーズに供給することができる。
そして、逆止弁を有した管部が設けられたボトルは、塗布具以外にも利用可能である。
たとえば、塗布部73を上方へ開口する筒状の吐出部に換えることで、言い換えれば、塗布部73を無くして筒体91を露出させ、管部9からの液体を筒体91から吐出させる構成とすることで、液体洗剤用のボトルとして利用することができる。
この際、吐出部の周囲に上方へのみ開口した液体計量貯留部を設けており、吐出部からの液体が液体計量貯留部に入り込むように構成する。このように構成すると、上記各実施例と同様に、ボトルの側部を押し込むことで、管部を介して液体洗剤が吐出部へ供給され、吐出部から出た液体洗剤を液体計量貯留部に所望量貯留させることができ、その溜まった液体洗剤を洗濯機に投入すればよい。
【0098】
さらに、液体として塗料などではなく、たとえば水をボトルからストローで吐出させようとする場合には吐出部を、可撓性を有する管状とすればよい。もちろん、ボトル内に入れる液体は水に限らず油などでもよい。
このように、上記各実施例で利用される管部を備えたボトルは、各種の用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 容器付き塗布具
3 ボトル(容器)
5 本体部
7 胴部
9 管部
23 貫通穴(第一流路)
33 穴(第二流路)
35 貫通穴(空気供給穴)
53 弁
73 塗布部
99 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留されるボトルと、
このボトル内に差し込まれる管部と、
この管部に設けられる弁と、
前記ボトル側面の変形により前記管部を介して液体が供給される塗布部と
を備えることを特徴とする容器付き塗布具。
【請求項2】
前記管部と前記塗布部は、胴部を介して前記ボトルに設けられており、
前記管部は、前記胴部から下方へ突出して設けられ、
前記塗布部は、前記胴部から上方へ突出して設けられ、
前記塗布部は、上方へ向けられた状態では前記管部を介して液体が供給される一方、下方へ向けられた状態では前記胴部の外面を介して液体が供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の容器付き塗布具。
【請求項3】
前記胴部には、前記管部からの液体が通過する第一流路が形成されると共に、前記管部を介さずに前記胴部からの液体が通過する第二流路が形成されており、
前記第二流路を開閉する弁が設けられており、
この弁は、塗布部が下方へ向けられて液体を通過させようとする際に開口する
ことを特徴とする請求項2に記載の容器付き塗布具。
【請求項4】
前記胴部または前記管部には、前記管部からの液体が通過する前記胴部の流路または前記管部の内穴を開閉する開閉機構が設けられており、
前記開閉機構は、塗布部が上方へ向けられた状態で開放する一方、下方へ向けられた状態では閉鎖する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の容器付き塗布具。
【請求項5】
前記胴部には、前記ボトルの内外を連通する空気供給穴が設けられると共に、前記空気供給穴を開閉する開閉機構が設けられており、
前記開閉機構は、ボトル内の液体を通過させることなく、外気は吸い込み可能とする
ことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の容器付き塗布具。
【請求項6】
前記塗布部は、多数本の繊維、気泡体、または筒体により構成される
ことを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれかに記載の容器付き塗布具。
【請求項7】
前記管部、前記塗布部および前記胴部を備えてなる本体部であって、
前記本体部は、前記ボトルに着脱可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれかに記載の容器付き塗布具用の本体部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−130902(P2012−130902A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185004(P2011−185004)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(598109752)好川産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】