説明

容器印刷装置

【課題】コンベヤ上を連続搬送される容器の外周面の図柄や模様等に対応して所定の適正な印刷位置に対して正確な印刷を効果的かつ効率よく行うことができる容器印刷装置を提供する。
【解決手段】コンベヤ11上を連続搬送される容器20の外周所定面25に印刷を行う装置10であって、前記容器20の外周面21の図柄27を認識しデータ処理する図柄認識手段30と、前記図柄認識手段30によるデータに基づいて容器20をコンベヤ11上の所定の印刷位置に位置させるために必要により容器20を回転する容器回転手段40と、前記回転手段40によってコンベヤ11上の所定の印刷位置に位置制御された容器20に対して印刷を行う印刷手段50とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンベヤ上を連続搬送される容器の外周所定面に印字等の印刷を行う容器印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばボトル飲料の生産ラインにおいて、飲料を充填及び密封した後の容器外周にシート状ラベルや筒状のシュリンクラベル等を被着し、このラベル面に賞味期限及びロット番号等を印刷(印字)することが広く行われている。また、外周面に図柄や模様等が形成された容器に対して、同様の日付やロット番号等を直接印字することもある。このような容器外周面への印刷に際しては、前記外周面に形成された図柄や模様等には通常濃淡があるので、ランダムに印刷が行われると図柄や模様と重なって小さな日付や番号等の印字内容が判読不能ないし困難になる場合があり、容器外周面の図柄や模様等に対して適正位置に印刷を行う必要がある。
【0003】
また、近年広く利用されているPET壜等のプラスチック容器のシュリンクラベルにあっては、従来ラベラーの機内又はその下流直近で当該ラベルに日付やロット番号等を印刷することにより、容器外周面の図柄等に対する印刷位置を確保している。しかしながら、このシュリンクラベルは容器外周に被着された後に加熱トンネル内で加熱収縮されるものであるから、容器の形状や加熱条件によってはシュリンクラベルに収縮歪みが生じてラベル面の小さな日付や番号等の印字内容が判読困難になるという問題が発生する。
【0004】
このような問題を回避するためには、加熱トンネル通過後のコンベヤ下流位置で印刷を行うことが望ましいのであるが、容器はコンベヤ上で回転して外周面の図柄方向がバラバラになっており、従来技術では、加熱トンネル通過後の下流位置で容器図柄の適正位置に印刷を行うことのできる好適な印刷装置がなかった。
【0005】
なお、容器等の円柱状物品を搬送コンベヤ上で回転させる技術(例えば、特許文献1参照。)や、容器外形の凹凸を利用して容器の方向を搬送コンベヤ上で揃える技術(例えば、特許文献2,3参照。)があるが、いずれも容器図柄に対応して外周所定面を印刷装置に正対させる機能を有するものではなかった。また、円筒状容器の外周面の基準マークを検出して容器の回転方向制御を行う技術(例えば、特許文献4参照。)は、各種商品の容器図柄に対する信号検出の自由度に欠け、又、回転方向制御ユニットが往復運動する装置構成は、高速適性が不充分で高速ラインでの利用に供することが出来ない課題があった。
【特許文献1】特開2003−98099号公報
【特許文献2】実用新案登録第3089671号公報
【特許文献3】特開昭48−11758号公報
【特許文献4】特開平5−42664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は上記の点に鑑みなされたもので、コンベヤ上を連続搬送される容器の外周面の図柄や模様等に対応して所定の適正な印刷位置に対して正確な印刷を効果的かつ効率よく行うことができる容器印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、コンベヤ上を連続搬送される容器の外周所定面に印刷を行う装置であって、前記容器の外周面の図柄を認識しデータ処理する図柄認識手段と、前記図柄認識手段によるデータに基づいて容器をコンベヤ上の所定の印刷位置に位置させるために必要により容器を回転する容器回転手段と、前記回転手段によってコンベヤ上の所定の印刷位置に位置制御された容器に対して印刷を行う印刷手段とからなることを特徴とする容器印刷装置に係る。
【0008】
請求項2の発明は、前記図柄認識手段が光電センサーを含むものである請求項1に記載の容器印刷装置に係る。
【0009】
請求項3の発明は、前記図柄認識手段が撮像装置を含むものである請求項1に記載の容器印刷装置に係る。
【0010】
請求項4の発明は、前記図柄認識手段が単一の容器外周面に対して異なった角度位置から複数配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の容器印刷装置に係る。
【0011】
請求項5の発明は、前記図柄認識手段と容器回転手段がコンベヤ方向に複数組直列状に配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の容器印刷装置に係る。
【0012】
請求項6の発明は、前記コンベヤに容器底面を負圧空気で吸引して容器の転倒を防止する容器底面吸引手段を備えている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の容器印刷装置に係る。
【0013】
請求項7の発明は、前記印刷手段のコンベヤ下流側に印刷の良否を検査して、不良品をコンベヤ上から排除する印刷良否検査手段を備えている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の容器印刷装置に係る。
【0014】
請求項8の発明は、前記印刷手段が賞味期限及びロット番号のための印字手段である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の容器印刷装置に係る。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明に係る容器印刷装置は、コンベヤ上を連続搬送される容器の外周所定面に印刷を行う装置であって、前記容器の外周面の図柄を認識しデータ処理する図柄認識手段と、前記図柄認識手段によるデータに基づいて容器をコンベヤ上の所定の印刷位置に位置させるために必要により容器を回転する容器回転手段と、前記回転手段によってコンベヤ上の所定の印刷位置に位置制御された容器に対して印刷を行う印刷手段とからなるため、容器の外周面の図柄や模様等に対応して所定の適正な印刷位置に対して正確な印刷を効果的かつ効率よく行うことが可能となる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、前記図柄認識手段が光電センサーを含むものであるため、前記容器の外周面の図柄の認識を極めて簡易な構成で実施することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1において、前記図柄認識手段が撮像装置を含むものであるため、前記容器を回転させるために必要な角度や方向を正確に算出することが可能となる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1ないし3において、前記図柄認識手段が単一の容器外周面に対して異なった角度位置から複数配置されているため、前記図柄の認識の確実性を向上させることができる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1ないし4において、前記図柄認識手段と容器回転手段がコンベヤ方向に複数組直列状に配置されているため、前記容器の回転をより安定かつ確実に実施することができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1ないし5において、前記コンベヤに容器底面を負圧空気で吸引して容器の転倒を防止する容器底面吸引手段を備えているため、容器を安定して搬送することが可能となる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1ないし6において、前記印刷手段のコンベヤ下流側に印刷の良否を検査して、不良品をコンベヤ上から排除する印刷良否検査手段を備えているため、良品の確保を的確に実施することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1ないし7において、前記印刷手段が賞味期限及びロット番号のための印字手段であるため、品質管理に関する情報を判り易い位置に効率的かつ効果的に印刷することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る容器印刷装置の平面図、図2は図1の容器印刷装置の正面図、図3は容器の側面図及び上面図、図4は図柄認識手段及び容器回転手段周辺の平面図、図5は容器回転手段の要部断面図、図6はコンベヤ周辺の要部断面図、図7は光電センサーによって容器外周面の図柄の認識を行う例を表した概略図、図8は撮像装置によって容器外周面の図柄の認識を行う例を表した概略図、図9は撮像装置を複数配置した例を表した概略図、図10は図柄認識手段と容器回転手段を2組直列状に配置した例を表した平面図である。
【0024】
図1及び図2に示す本発明の一実施例に係る容器印刷装置10は、コンベヤ11上を連続搬送される図3に図示の容器20の外周所定面25に印刷を行うものであって、図柄認識手段30と、容器回転手段40と、印刷手段50とからなる。この実施例において、容器20は、コンベヤ11の側方に配設された公知のタイミングスクリュー15によって割出され、進行方向に所定間隔で離間されて搬送される。なお、図1及び図2において、符号12は容器20をコンベヤ11に供給する供給部、13は良好に印刷された容器20を下流側の容器包装ライン(図示せず)等に送り出す排出部である。
【0025】
図3に示す容器20は、略円筒形状のプラスチック容器からなり、供給部12の上流側に設置された図示しないシュリンクラベラーによって外周面21にシュリンクラベル22が施されたものである。実施例において、シュリンクラベル22は、図示しない加熱トンネルを通過して加熱されることにより、図3(a)に示すように、縦幅が容器20の高さHよりわずかに小さい幅H1の範囲に収縮され、製造会社・商品名等の図柄23Aや、商品原料・保存法・製造工場等の品質詳細等が記載された図柄23B等が、それぞれ所定位置に適宜表示されるように構成されている。また、この実施例では、容器20の外周面21の略中央部分の幅H2における外周部26が当該容器印刷装置10による印刷が可能な対象範囲に相当し、特に、図3(b)に示すように、外周所定面25に印刷が行われる。なお、この図において、符号27は、前記外周部26の所定角度θの範囲内にあらかじめ印刷された図柄であり、当該容器印刷装置10によって印刷を行ってはならない非印刷部に相当する。
【0026】
図柄認識手段30は、容器20の外周面21(外周部26)の図柄(27)を認識しデータ処理するように構成される。この図柄認識手段30は、図4に図示しかつ請求項2の発明として規定したように、光電センサー31(31A,31B,31C)を含むものである。この図柄認識手段30では、特に、図4に図示しかつ請求項4の発明として規定したように、図柄認識手段30(光電センサー31)が単一の容器20外周面21に対して異なった角度位置から複数配置されており、前記複数の光電センサー31(31A,31B,31C)によって外周部26の図柄27の検知を行い、データ処理部32において、前記光電センサー31(31A,31B,31C)からの各検知信号に基づいて容器20の図柄27の位置を特定するデータ処理が行われる。
【0027】
実施例の光電センサー31は、ラインセンサーや光電管式センサー等の適宜のものが用いられ、図4,7に図示の如く、容器20の搬送方向に対して直角方向に配置された2つのセンサー31A,31Bと、搬送方向に対して約45°前方に配置されたセンサー31Cからなる。なお、前記センサー31A,31Bは、各検出位置が、容器20外周面21(外周部26)の図柄27が印刷された所定角度θの範囲内に相当し、前記図柄27が後述の印刷手段50側に位置するか否かを検出するように構成される。また、センサー31Cは、前記図柄27が容器20の搬送方向側に位置するか否かを検出するように構成される。
【0028】
容器回転手段40は、図柄認識手段30によるデータに基づいて容器20をコンベヤ上11の所定の印刷位置に位置させるために必要により容器20を回転するものである。実施例の容器回転手段40は、図1,4,5に示すように、コンベヤ11の左右両側に配置された一対の容器回転装置41,46からなる。一対の容器回転装置41,46は、それぞれ、モータ等により適宜の速度で回転する駆動部42,47と、コンベヤ11に対して回転自在に平行して配置された複数の滑車部43,48と、前記駆動部42,47及び滑車部43,48を介して回転されるとともに容器20の外周面21に当接可能に配置されたベルト44,49とを備える。この容器回転手段40では、容器回転装置41,46の各ベルト44,49によって容器を把持した際に、前記図柄認識手段30からのデータに基づいて容器回転装置41と容器回転装置46の各ベルト44,49の回転速度をそれぞれ異ならせることにより、コンベヤ11上を搬送しながら容器20を所定の印刷位置に回転させるように構成されている。なお、容器20の回転角度は、該容器20と各ベルト44,49との接触時間を考慮して、前記図柄認識手段30のデータ処理部32により各駆動部42,47の回転速度が制御される。
【0029】
印刷手段50は、容器回転手段40によってコンベヤ11上の所定の印刷位置に位置制御された容器20に対して印刷を行うものである。この印刷手段50は、前記図柄認識手段30が配置されたコンベヤ11の側方に、前記容器回転手段40によって回転された容器20の外周所定面25に正対するように配設されたものであり、容器20の外周所定面25が所定の幅H2の範囲内に位置することから、該印刷手段50の高さ位置が所定位置に固定されている。また、実施例の印刷手段50としては、文字や記号、バーコード(二次元を含む)等の図形表示等の所定事項の印刷が可能なインクジェット方式等の公知の印刷装置が用いられるが、請求項8の発明として規定したように、賞味期限及びロット番号のための印字手段とすることにより、品質管理に関する情報を判り易い位置に効率的かつ効果的に印刷することが可能となり、生産者のみならず販売業者、消費者にとって品質管理が容易になる効果がある。
【0030】
また、上記の如く構成された容器印刷装置10では、コンベヤ11によって容器20を搬送するに際して、その転倒を防止するために、コンベヤ11上を搬送される容器20の両側からベルトによって把持する等の適宜の手段を用いることが好ましく、特に、図1,2,6に図示しかつ請求項6の発明として規定したように、コンベヤ11に容器20底面24を負圧空気で吸引して容器20の転倒を防止する容器底面吸引手段60を設けることが好ましく勧められる。実施例では、図4に図示の如く、コンベヤ11の上面の中央位置全周にわたって複数の貫通孔11aが所定間隔で形成されるとともに、該コンベヤ11の下面側に前記貫通孔11aと連通するように所定長さで形成された貫通溝16aを有する筒状のフレーム部16が配設されており、前記フレーム部16の側面に対して配管62を介して真空ポンプ61を接続して前記フレーム部16内部を負圧状態に吸引するように構成されている。これにより、コンベヤ11上を搬送される容器20の底面24が貫通孔11aからの負圧空気で吸引され、特に、容器20の回転時の転倒を防止して安定して搬送を行うことが可能となる。
【0031】
さらに、この容器印刷装置10では、図1,2に図示しかつ請求項7の発明として規定したように、印刷手段50のコンベヤ11下流側に印刷の良否を検査して、不良品をコンベヤ11上から排除する印刷良否検査手段70を設けることが好ましい。実施例の印刷良否検査手段70は、CCDカメラ等の公知の撮像装置71によって容器20の外周所定面25を撮像するとともに、公知のデータ処理装置72によって前記外周所定面25の印刷部分の位置ずれや濃淡、かすれ等の印刷状態を検査し、不良品であると判断された場合には、エアージェット等の排出装置73によって不良品をコンベヤ11上から排出するように構成される。これにより、良品の確保を的確に実施することができる。また、この印刷良否検査手段70では、必要に応じて不良品の発生状況を把握して警報を発する適宜の報知手段を設けることにより、当該容器印刷装置10の稼働状況の管理を的確に行うことが可能となる。なお、図中の符号74は排出装置73によって排出された不良品のための受箱である。
【0032】
次に、上記容器印刷装置10の作動について説明する。まず、図示しないシュリンクラベラーによってあらかじめ外周面21にシュリンクラベル22が施された複数の容器20が、図1,2に示すように、供給部12からコンベヤ11上に連続供給され、タイミングスクリュー15によって所定間隔で搬送される。その際、容器20は、図6に示すように、容器底面吸引手段60によってフレーム部16内部が負圧状態とされることにより、底面24が貫通孔11aからの負圧空気で吸引されて、安定した状態で搬送される。
【0033】
続いて、図4,7に示すように、図柄認識手段30の光電センサー31(31A,31B,31C)により、所定間隔で搬送された容器20外周面21(外周部26)の図柄27の位置が検知されるとともに、データ処理部32において前記図柄27の位置を特定するデータ処理が行われ、そのデータ処理の結果に基づいて、容器回転手段40に対して容器20を回転させるための作動信号が送信される。
【0034】
ここで、図7(a)に示すように、光電センサー31A,31B,31Cが、それぞれ容器20外周面21(外周部26)の図柄27を検出した場合、前記図柄27が印刷手段50による印刷位置の全面に位置するものと認識され、データ処理部32から容器回転手段40に対して容器を時計回りに約120°回転させるように信号が送信される。
【0035】
また、図7(b)に示すように、光電センサー31A,31Cがそれぞれ前記図柄27を検出し、光電センサー31Bが前記図柄27を検出しなかった場合、前記図柄27が印刷手段50による印刷位置の搬送方向側に位置するものと認識され、データ処理部32から容器回転手段40に対して容器を時計回りに約60°回転させるように信号が送信される。
【0036】
さらに、図7(c)に示すように、光電センサー31Bが前記図柄27を検出し、光電センサー31A,31Cがそれぞれ前記図柄27を検出しなかった場合、前記図柄27が印刷手段50による印刷位置の反搬送方向側に位置するものと認識され、データ処理部32から容器回転手段40に対して容器を反時計回りに約60°回転させるように信号が送信される。
【0037】
なお、図7(d)に示すように、光電センサー31A,31B,31Cが、それぞれ前記図柄27を検出しなかった場合、前記図柄27が印刷手段50による印刷位置にないものと認識され、データ処理部32から信号は送信されない。
【0038】
上記の如く、前記図柄27の位置に応じて図柄認識手段30のデータ処理により容器20の回転方向及び角度が適宜決定された後、容器回転手段40では、前記データに基づき、各容器回転装置41,46の各ベルト44,49をそれぞれ異なる速度で回転させて、容器20の外周所定面25が印刷手段50に正対する印刷位置となるように前記容器20を回転させる。
【0039】
そして、印刷位置に回転された容器20の外周所定面25に対し、印刷手段50によって賞味期限及びロット番号が印刷され、続いて撮像装置71によって前記外周所定面25の印刷状態が検査されて、不良品であると判断される場合にはエアージェットからなる排出装置73によってコンベヤ11上から受箱74に排出される。また、良品であると判断された場合には、容器20がそのままコンベヤ11から排出部13に搬送され、包装工程等の以後の適宜の工程が実施される。
【0040】
以上説明したように、本発明の容器印刷装置10にあっては、コンベヤ11上を連続搬送される容器20に対し、図柄認識手段30のデータ処理によって容器20の外周所定面25の印刷位置を特定するとともに、前記データ処理に基づいて容器回転手段40で容器20を回転させて前記外周所定面25を所定の印刷位置に位置させた後、印刷手段50によって印刷するものであるため、容器20の望ましい位置に明瞭に所定事項を印刷することが可能となる。特に、実施例の容器印刷装置10は、加熱トンネルを通過してシュリンクラベルの熱収縮が完了した容器20に対して好適に用いられ、前記ラベルの部分的な収縮率の差異による印刷後の歪みを排除して的確に印刷を行うことができる。
【0041】
また、この容器印刷装置10では、図柄認識手段30として光電センサー31(31A,31B,31C)を含む構成とすることにより、容器20外周面21(外周部26)の図柄27の認識を極めて簡易な構成で実施することができ、特に、前記光電センサー31(31A,31B,31C)を異なった角度位置から複数配置すれば、前記図柄27の認識の確実性を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明の容器印刷装置は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、実施例では、シュリンクラベルを適用した容器に対して印刷を行ったが、これに限定されず、枚葉ラベル、印刷容器等、外周面に何らかの図柄を有する各種の容器に対して適用することができる。容器の形状についても、実施例の如く略円筒形状の他、断面が多角形状のものでもよく、その場合、容器回転手段は前記容器の形状に応じて適宜の構成とされる。
【0043】
また、実施例では、容器認識手段30に光電センサー31を含む構成としたが、図8に図示しかつ請求項3の発明として規定したように、撮像装置36を含むものとして構成することもできる。図8に示す容器認識手段35では、まず、コンベヤ11上を搬送された容器20の通過を検知する容器検知装置38からの検知信号に基づいてCCDカメラ等の公知の撮像装置36が前記容器20の外周面21を撮像し、前記外周面21全面の画像があらかじめ記憶されたデータ処理部37において、前記撮像装置36によって撮像された前記外周面21の画像と外周面21全面の画像とが比較される。その際、公知の画像処理方法に基づいて印刷手段50による印刷位置と容器20の外周所定面25の位置との角度のずれが算出され、角度のずれの算出結果から容器回転手段40による容器20の回転方向や回転角度が算出される。このように、撮像装置36を用いて前記図柄27の認識を行うことにより、容器20の外周所定面25を印刷位置に位置させるために必要な容器20の回転角度や回転方向を正確に算出することが可能となる。
【0044】
さらに、この容器認識手段35では、図9に示すように、単一の容器20の外周面21に対して、複数の撮像装置36(36A,36B,36C,36D)によって異なる角度位置から撮像するように構成することが好ましく勧められる。図9(a)に示す実施例では、撮像装置36Aが容器20の搬送方向に対して約45°前方に配置されるとともに、撮像装置36Bが搬送方向に対して約45°後方に配置され、容器20外周面21の半面(約180°)が撮像可能に構成されている。このように、複数の撮像装置36(36A,36B)を配置することによって、容器20の外周面21を広範囲に撮像することができ、前記図柄27の認識をより確実に行うことが可能となる。なお、図9(b)に示す実施例のように、容器20の四方に複数の撮像装置36A,36B,36C,36Dをそれぞれ配置すれば、前記容器20外周面21の全面が撮像可能となり、前記図柄27の認識の確実性がさらに向上する。
【0045】
また、当該容器印刷装置10では、一の容器回転手段40によって容器20を回転させていたが、回転させる角度が大きい場合には、容器20が前記容器回転手段40を通過した際に強い回転がかかるため、挙動が不安定となって転倒等の不具合が発生するおそれがある。そこで、図10に図示しかつ請求項5の発明として規定したように、図柄認識手段30と容器回転手段40をコンベヤ方向に複数組直列状に配置することが好ましく勧められる。図10に示す実施例では、2組の図柄認識手段30(30A,30B)及び容器回転手段40(40A,40B)が直列状に配置されており、各容器回転手段40A,40Bでそれぞれ必要な回転角度を分担(例えば、120°回転させる場合は、各60°ずつ)して回転させるように構成される。これにより、一の容器回転手段40による容器20の回転角度を小さくすることができ、回転時に容器20が不安定になることを抑制することができる。
【0046】
さらに、上記複数組直列状に配置された図柄認識手段30(30A,30B)及び容器回転手段40(40A,40B)では、1組の図柄認識手段30A及び容器回転手段40Aによって容器20を必要な角度で回転させ、他方の図柄認識手段30B及び容器回転手段40Bによって回転角度の微調整を行う等、位置制御の確実性を向上させることもできる。
【0047】
なお、図10において、符号31Aは図柄認識手段30Aの光電センサー、31Bは図柄認識手段30Bの光電センサー、32Aは図柄認識手段30Aのデータ処理部、32Bは図柄認識手段30Bのデータ処理部、41A,46Aは容器回転手段40Aの容器回転装置、41B,46Bは容器回転手段40Bの容器回転装置、42A,47Aは容器回転装置41A,46Aの駆動部、42B,47Bは容器回転装置41B,46Bの駆動部、43A,48Aは容器回転装置41A,46Aの滑車部、43B,48Bは容器回転装置41B,46Bの滑車部、44A,49Aは容器回転装置41A,46Aのベルト、44B,49Bは容器回転装置41B,46Bのベルトを表す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例に係る容器印刷装置の平面図である。
【図2】図1の容器印刷装置の正面図である。
【図3】容器の側面図及び上面図である。
【図4】図柄認識手段及び容器回転手段周辺の平面図である。
【図5】容器回転手段の要部断面図である。
【図6】コンベヤ周辺の要部断面図である。
【図7】光電センサーによって容器外周面の図柄の認識を行う例を表した概略図である。
【図8】撮像装置によって容器外周面の図柄の認識を行う例を表した概略図である。
【図9】撮像装置を複数配置した例を表した概略図である。
【図10】図柄認識手段と容器回転手段を2組直列状に配置した例を表した平面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 容器印刷装置
11 コンベヤ
20 容器
30 図柄認識手段
40 容器回転手段
50 印刷手段
60 容器底面吸引手段
70 印刷良否検査手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤ上を連続搬送される容器の外周所定面に印刷を行う装置であって、
前記容器の外周面の図柄を認識しデータ処理する図柄認識手段と、
前記図柄認識手段によるデータに基づいて容器をコンベヤ上の所定の印刷位置に位置させるために必要により容器を回転する容器回転手段と、
前記回転手段によってコンベヤ上の所定の印刷位置に位置制御された容器に対して印刷を行う印刷手段
とからなることを特徴とする容器印刷装置。
【請求項2】
前記図柄認識手段が光電センサーを含むものである請求項1に記載の容器印刷装置。
【請求項3】
前記図柄認識手段が撮像装置を含むものである請求項1に記載の容器印刷装置。
【請求項4】
前記図柄認識手段が単一の容器外周面に対して異なった角度位置から複数配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の容器印刷装置。
【請求項5】
前記図柄認識手段と容器回転手段がコンベヤ方向に複数組直列状に配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の容器印刷装置。
【請求項6】
前記コンベヤに容器底面を負圧空気で吸引して容器の転倒を防止する容器底面吸引手段を備えている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の容器印刷装置。
【請求項7】
前記印刷手段のコンベヤ下流側に印刷の良否を検査して、不良品をコンベヤ上から排除する印刷良否検査手段を備えている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の容器印刷装置。
【請求項8】
前記印刷手段が賞味期限及びロット番号のための印字手段である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の容器印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−105716(P2008−105716A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291111(P2006−291111)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000128131)株式会社エヌテック (16)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【出願人】(593205831)東邦商事株式会社 (14)
【Fターム(参考)】