説明

容器及びその製造方法

【課題】容器の厚さを薄くしても、消費者による取扱いが容易となる樹脂容器を提供する。
【解決手段】樹脂容器は本体と該本体の開口を覆うように構成された蓋部とを有する。本体は、底部と該底部の縁に沿って周状に延びる側壁とを有する。底部の厚さが0.47〜0.55mm、前記第1及び第3の側壁の厚さが0.38〜0.45mm、第2及び第4の側壁の厚さが0.43〜0.50mm、第1及び第3の側壁の厚さに対する第2及び第4の側壁の厚さの比が1.07〜1.20である。4つの側壁と4つの角部の外面には、粗面化領域が形成され、粗面化領域の表面粗さは、10〜30μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バター、マーガリン等の食品を収納する樹脂製の容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの食品は、樹脂容器に封入されて販売されている。例えば、特許第3457230号、実用新案登録3093848号、実開平7−40489号、実開平7−17746号には、バター、マーガリン等の食品の容器の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3457230号
【特許文献2】実用新案登録3093848号
【特許文献3】実開平7−40489号
【特許文献4】実開平7−17746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境負荷の軽減化の要請が高まっている、それに答えるために、樹脂容器の減量化、即ち、軽量化が求められている。例えば、従来、1個の容器に用いる樹脂の量が18グラムであったのが、今日では、14グラム以下に低減させることが要求されている。樹脂容器を軽量化するには、容器の厚さを薄くすればよい。
【0005】
しかしながら、容器の厚さを薄くすると、容器が撓み易くなる。そのため、例えば、消費者が、容器を手で掴むと、容器が容易に変形し、滑り易くなる。従って、容器を誤って落下させる危険がある。更に、成型された容器をマーガリン等の食品を充填する工程に投入すると、容器同士の衝突により、蓋が外れる頻度が高くなることも判った。即ち、コンベヤ上にて容器同士が衝突すると、容器が撓み、蓋が外れ易くなる。これを防止するには、容器本体と蓋の間の嵌合力を強化すればよい。例えば、嵌合リブの凹凸の深さを大きくすればよい。しかしながら、それでは、消費者が容易に蓋を外すことができなくなる。消費者は、蓋を外すとき、誤って容器を落下させることになる。
【0006】
本発明の目的は、容器の厚さを薄くしても、消費者による取扱いが容易となるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると樹脂容器の本体の側壁の外面に粗面化領域を形成する。即ち、容器の本体の側壁の外面の表面粗さを大きくする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、容器の本体の側壁の外面に粗面化領域が形成されているから、消費者が容器を手で掴んでも、滑って落下させることはない。
更に、本発明によると、容器の本体の側壁の外面に粗面化領域が形成されているため、汚れが付着し難いことが判った。これについて説明する。
【0009】
樹脂容器は、冷蔵庫に入れると表面に結露が生じ、それが原因で汚れが付着することがある。しかしながら、静電気によっても汚れが生じる。通常、樹脂には静電気防止用の界面活性剤が含まれている。これは、離型のときに、静電気によって容器が汚れることを防止するためである。界面活性剤は、樹脂の内部から滲み出て、表面を覆い、界面活性剤の被膜を形成する。樹脂容器の表面に粗面化領域を形成すると、表面積が大きくなり、界面活性剤の被膜の面積が大きくなり、静電気防止の効果が大きくなる。そのため、樹脂容器の表面に汚れが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による容器の本体と蓋を示す図である。
【図2】本発明による容器の本体を成型する射出成型装置の金型の構成例を示す図である。
【図3】図2の金型が閉じた状態を示す図である。
【図4】図3の金型が開いた状態を示す図である。
【図5】金型より容器の本体が離型した状態よりを示す図である。
【図6】図3の金型が開いたとき、容器の本体が下側の金型に装着した状態を示す図である。
【図7】本発明の容器の本体の側壁の内面に形状を説明する図である。
【図8】本発明による容器の本体の係合壁の角部を拡大して示す図である。
【図9】本発明の容器の本体の係合縁に形成された嵌合リブを説明する図である。
【図10】本発明の容器の本体の係合縁に形成された嵌合リブの段差を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明による容器の例を示す。本例の容器は、本体1と蓋(ふた)部2を有する。本体1は、底部10と側壁を有し、略矩形の開口3を有する。側壁は、比較的長い第1及び第3の側壁11、13と、比較的短い第2及び第4の側壁12、14と、4つの湾曲状の角部15、16、17、18を有する。第1及び第3の側壁11、13を、以下に、長辺側の側壁11、13と称し、第2及び第4の側壁12、14を、以下に、短辺側の側壁12、14と称する。湾曲状の角部15、16、17、18を、以下に、角部の側壁15、16、17、18と称することとする。
【0012】
側壁の外面には鍔(つば)部31が形成されている。鍔部31は、側壁の上端にて全周に沿ってフランジ状に形成されている。容器の側壁の内面には、全周に沿って延びる段差32が形成されている。段差32は、鍔部31と同一高さの位置に、又は、鍔部より僅かに上側の位置に配置されている。鍔部31の上側に全周に沿って係合縁が上方に突出している。係合縁は、側壁と同様に、比較的長い第1及び第3の係合縁21、23と、比較的短い第2及び第4の係合縁22、24と、4つの湾曲状の角部25、26、27、28を有する。比較的長い第1及び第3の係合縁21、23を、以下に、長辺側の係合縁21、23と称し、比較的短い第2及び第4の係合縁22、24を、以下に、短辺側の係合縁22、24と称する。湾曲状の角部25、26、27、28を、以下に、角部の係合縁25、26、27、28と称することとする。
【0013】
短辺側の係合縁22、24には切り欠き22A、24Aがそれぞれ形成されている。この切り欠きは、バターナイフを保持するために設けられている。4つの角部の係合縁25〜28の外面には、それぞれ嵌合リブ25A〜28Aが形成されている。
【0014】
本体1の上面の開口3の長手方向の寸法は、120〜150mm、縦方向の寸法は、90〜120mmである。開口3の長手方向寸法/縦方向寸法=1.2〜1.4である。本体1の高さは、25〜55mmである。
本例の容器は、薄型容器である。薄肉容器では、製品の不良品が発生する率が上昇する。特に、嵌合リブを有する容器の厚さを薄くすると不良品が発生し易くなる。そこで本願の発明者は、本体の長辺側の側壁の厚さを0.38〜0.45mm、短辺側の側壁の厚さを0.43〜0.50mm、底部の厚さを0.47〜0.55mm、とし、短辺側の側壁の厚さは長辺側の側壁の厚さより大きく、その比は1.07〜1.20とすると、よいことを見出した。
【0015】
本例によると、容器の本体の側壁の外面は、粗面化されている。これを粗面化領域と称することとする。粗面化領域の表面粗さ(深さ)は、10〜30μmである。粗面化領域11A〜18A(11A及び12Aのみ図示)は、容器の側壁の外面の全周に沿って延びている。粗面化領域は、側壁の上端から下端まで、全体的に形成されてよいが、好ましくは、側壁の下端までは延びていない。粗面化領域より下側の領域の高さ方向の幅は、0.1mmから1mmであってよい。この領域と容器の底部10の表面粗さは、3〜6μmであり、表面処理されている。このように、容器の底部10とその周囲の領域の表面粗さを3〜6μmとしたのは、製造ライン上で、ストッパ等によって容器の移動が妨げられたときに、容器を滑り易くしてトラブル発生を防止すること、また底部10と他の物体とが接触摩擦したときに、表面に汚れが吸着するのを防止するためである。
【0016】
本発明の容器の本体は、樹脂によって形成されている。本発明の容器の本体に用いる樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン・ビニル・アセテート等の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0017】
図2〜図5を参照して、容器の本体1を射出成型によって成型するための射出成型装置について説明する。図2に示すように、射出成型装置は、上側の金型110と下側の金型100とストリッパ121を有する。下側の金型100の内面100Aは粗面化処理されている。それによって、図1を参照して説明したように、本体の側壁の外面に粗面化領域が形成される。尚、粗面化処理の方法として様々な方法が知られている。例えば、サンドブラスト法、サンドペーパ法等が用いられてよい。図3に示すように、2つの金型を係合させることによって、2つの金型の間に、容器の本体の形状に対応した形状のキャビティ200が形成される。尚、2つの金型の間に、離型用のストリッパ121が挿入されている。上側の金型110とストリッパ121の間に垂直方向に延びるパーティションライン125が形成され、下側の金型100とストリッパ121の間は水平方向に延びるパーティションライン122が形成される。パーティションラインでは、2つの係合面が接触しているが、実際には2つの係合面の間に僅かな隙間が形成されている。この隙間は、空気抜け用に設けられたものであり、エアースリットと呼ばれる。エアースリットは、側壁及び角部の係合縁21〜24、25〜28の上縁、切り欠き22A、24Aの上縁、及び、鍔(つば)部31の外縁に対応した位置に形成されている。エアースリットに進入した樹脂は、バリと呼ばれる。
【0018】
下側の金型100に樹脂注入口101が形成されている。注入口101から導入された溶融された樹脂は、矢印にて示すように、容器の本体の底部に対応するキャビティ部分から、容器の本体の側壁に対応するキャビティ部分に進み、容器の本体の鍔部に対応するキャビティ部分を充填し、更に、容器の本体の係合縁に対応するキャビティ部分に進む。樹脂がキャビティ内を進行すると、キャビティ内の空気は追い出されて、エアースリットから外部に排出される。樹脂が、容器の本体の係合縁の上縁及び本体の鍔部の外縁に対応するキャビティ部分に到達することによって、樹脂の充填が完了する。
【0019】
図4を参照して説明する。樹脂容器の本体1を取り出すとき、先ず、上側の金型110を上方に移動させる。成型された容器の本体1は、上側の金型110に係合した状態で、上側の金型110と共に上方に移動する。そこで、ストリッパ121を下方に移動させると、図5に示すように、容器の本体1は上側の金型110から離型する。
【0020】
しかしながら、本例によると、図6に示すように、上側の金型110を上方に移動させると、容器の本体1は、上側の金型110ではなく下側の金型100に係合した状態で保持されることが判明した。これは、下側の金型100の内面100Aが粗面化処理されているために、下側の金型100の内面100Aと本体の間の摩擦係数が大きくなっているためである。従って、容器の本体1は、上側の金型110から離れ、下側の金型100に係合した状態で保持される。ストリッパ121は、容器の本体1が、上側の金型110に係合した状態で保持されることを前提として設けられている。従って、下側の金型100に係合した容器の本体1を外すには付加的な作業が必要となる。
そこで、本願の発明者は、上側の金型110を上方に移動させたとき、容器の本体1が上側の金型110に係合した状態で保持されるための構成を考えた。即ち、上側の金型110と容器の本体1の内面の間の摩擦係数を大きくすればよい。
【0021】
図7を参照して、本願の発明者が考えた案を説明する。第1の案では、先ず、容器の本体1の側壁11の内面に凸部111又はリブを設ける。容器の本体1の側壁11の内面に凸部111を形成するには、上側の金型110に、対応する凹部を形成すればよい。容器の本体1の側壁11の内面の凸部111と上側の金型110の対応する凹部が係合することによって、容器の本体1は上側の金型110に保持される。従って、上側の金型110を上方に移動させたとき、容器の本体1は、上側の金型110に係合した状態で保持される。しかしながら、容器の本体1の側壁11の内面に凸部111又はリブを設けると不都合が生じる。それはマーガリンの上を覆う蓋材を配置する妨げとなる。そこで、本願の発明者は、蓋材が配置される位置を避けて、容器の本体1の側壁11の上端に凸部112又はリブを設けることを考えた。しかしながら、それでは、消費者がバターナイフを使用するときに、この凸部112に妨害されることになる。従って、容器の本体1の側壁11の内面又は上端に凸部111又は112を設ける第1の案は最適ではない。
【0022】
そこで、本願の発明者は、第2の案を考えた。第2の案では、容器の本体1の側壁11の上に延びる係合縁21の内面に、凹部211又は溝を設けた。係合縁21の厚さは、側壁11の厚さより僅かであるが大きい。そこで、係合縁21の内面に、凹部211を形成することとした。本願の発明者は、凹部211の深さD1と寸法Lを変化させて、樹脂製の本体を成型する実験を行った。それによると、容器の本体1の係合縁21の内面に設けた凹部211の深さD1が0.05〜0.08mm、凹部211の長手方向の寸法Lが1.0〜1.4mmのとき、良好な結果が得られた。尚、本例では、鍔部31から係合縁21の上縁までの距離H1は、H1=3〜10mmである。
【0023】
このように、凹部211を容器の本体1の側壁11ではなく、係合縁21に設けることにより、凹部211の深さD1を比較的小さくすることができる。その理由を説明する。上側の金型110を上方に移動させ、下側の金型100が離型すると、容器の本体1の側壁11は、下側の金型100からの押し付け力より解放される。そこで、容器の本体1の側壁11は、僅かであるが弾性変形し外側に拡がる。それによって、上側の金型110と容器の本体1の側壁11の間の係合力が弱くなる。しかしながら、容器の本体1の係合縁21は、上側の金型110とストリッパ121の間に挟まれている。そのため、容器の本体1の係合縁21が外側に拡がることはない。従って、容器の本体1の側壁11の内面に凹部を設ける場合には、その深さを比較的大きくしなければならないが、容器の本体1の係合縁21に凹部211を設ける場合には、その深さD1は比較的小さくてよい。
【0024】
凹部211の深さD1が小さすぎると、上側の金型110を上方に移動させたとき、容器の本体1を上側の金型110に係合した状態で保持することはできなかった。これは、上側の金型110と容器の本体1の凹部211の間の係合力が小さいためである。一方、凹部211の深さD1が大きすぎると、凹部211の形状が変形し、凹部211の上側の樹脂が塑性変形することが判った。凹部211の上側の樹脂の塑性変形は、係合縁21の上縁まで及び、係合縁21の上縁にて突起が形成されることもあった。
【0025】
容器の本体の側壁の外面に形成された粗面化領域11Aについて説明する。図示のように、粗面化領域11Aは、側壁11の上端から下端まで、全体的に形成されてよいが、好ましくは、側壁の下端には形成されない。粗面化領域11Aより下側の領域の高さ方向の幅H2は、0.1mmから1mmであってよい。容器の本体の側壁と底部の境界における傾斜角θは4〜10°である。
【0026】
図8は、容器の本体の角部の係合縁25を拡大して模式的に示す。嵌合リブ25Aは、角部の係合縁25の外面上を、周方向に沿って延びる突起である。嵌合リブ25Aは、係合縁25の幅方向の略中央に、開口3の縁と鍔部31の間を、周状に延びている。一方、蓋部2の内面にも、嵌合リブ(図示なし)が形成されている。すなわち、蓋部2の角部の内面には、周方向に沿って、本体の嵌合リブが係合するための嵌合リブが延びている。蓋部2を本体1に装着すると、蓋部2の周縁が、本体の係合縁に係合する。それによって、蓋部2は本体1に係合する。このとき、蓋部2の角部の内面に形成された嵌合リブと、本体1の角部の係合縁の嵌合リブ25Aが係合する。容器の本体1と蓋部2は、それぞれ射出成型法によって別個に成型される。
【0027】
図9及び図10を参照して、蓋2の内面に形成された嵌合リブ2Aと本体1の係合縁25の外面に形成された嵌合リブ25Aの係合を説明する。通常、本体1が蓋2によって完全に閉じられているとき、図9Aに示すように、蓋2の嵌合リブ2Aは本体1の係合縁25の嵌合リブ25Aの上に乗っている状態にある。即ち、蓋2の嵌合リブ2Aと本体1の嵌合リブ25Aは接触している。上述のように、コンベヤ上にて容器同士が衝突すると蓋が本体から外れることがある。しかしながら、図9Bに示すように、本体1が蓋2によって完全に閉じられているとき、本体1の嵌合リブ25Aの高さ、蓋2の嵌合リブ2Aの高さ、蓋2の嵌合リブ2Aの先端と本体1の係合縁25の外面の間の間隔、並びに、蓋2の嵌合リブ2Aと本体1の嵌合リブ25Aの間の間隔のうち最も接近した部分における間隔が、所定の寸法範囲にあると、コンベヤ上にて容器同士が衝突しても、蓋が本体から外れることがなくなった。
【0028】
具体的には、図9Aに示すように、蓋2の嵌合リブ2Aが本体1の係合縁25の嵌合リブ25Aの上に乗っている状態にある場合は、コンベヤ上にて容器同士が衝突すると、全ての容器のうち90%の容器は蓋が本体から外れた。しかしながら、本体1の嵌合リブ25Aの高さ等が所定の寸法範囲にあると、コンベヤ上にて容器同士が衝突しても、全ての容器は蓋が本体から外れることがなくなった。このように、蓋が本体から外れることがなくなったのは、本体1の嵌合リブ25Aの高さ等が所定の寸法範囲にあるために、コンベヤ上にて容器同士が衝突しても、その衝撃を吸収するためであると考えられる。なお、本体1の嵌合リブ25Aの高さ等の所定の寸法範囲については、後に詳述する。
【0029】
本体1の係合縁25の外面に形成された嵌合リブ25Aの詳細を説明する。図10に示すように、嵌合リブ25Aは半円状の断面形状を有し、その先端に段差25Bが形成されている。消費者が、蓋2を本体1に嵌めるとき、蓋2の嵌合リブ2Aが本体1の嵌合リブ25Aに接触し、蓋2の嵌合リブ2Aが本体1の嵌合リブ25Aの上を乗り越えるとき、本体1及び蓋2は弾性変形する。蓋2の嵌合リブ2Aが本体1の嵌合リブ25Aの段差25Bを乗り越えるとき、パチンという音が発生する。消費者は、その音によって、蓋2の嵌合リブ2Aが本体1の嵌合リブ25Aを乗り越え、蓋2が本体1に完全に係合したことを確認することができる。
【0030】
本体1の嵌合リブ25Aと蓋2の嵌合リブ2Aの寸法について説明する。図9Bに示すように、本体1の嵌合リブ25Aの高さG1は0.50〜0.65mmであり、例えば、0.63mmであってよい。蓋2の嵌合リブ2Aの高さG2は、0.35〜0.50mmであり、例えば、0.40mmであってよい。蓋2の嵌合リブ2Aの先端と本体1の係合縁25の外面の間の間隔G3は、0.30mm以下である。蓋2の嵌合リブ2Aと本体1の嵌合リブ25Aの間の間隔のうち、最も接近した部分における間隔G4は、0.1〜0.2mmであり、例えば、0.11mmである。
【0031】
図10に示すように、本例では、本体1の嵌合リブ25Aと蓋2の嵌合リブ2Aの断面は半円形であるが、他の形状であってもよい。本体1の嵌合リブ25Aには段差25Bが形成されている。段差25Bの断面は、半径が異なる2つの同心円によって形成されている。段差25Bの高さは、2つの同心円の半径の差に対応し、0.1〜0.3mmである。例えば、嵌合リブ25Aの上側の断面である1/4円の曲率半径はR=0.75mmであり、嵌合リブ25Aの下側の断面である1/4円の曲率半径はR=0.60mmであってよい。尚、図9Bに示すように、蓋2の嵌合リブ2Aの断面である半円の曲率半径はR=0.60mmであってよい。段差25Bの面は、半径方向に対して傾斜している。この傾斜角は、30〜50°であり、例えば、45°であってよい。
【0032】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0033】
1…本体、2…蓋部、3…開口、10…底部、11、12、13、14、15、16、17、18…側壁、11A…粗面化領域、21、22、23、24…係合縁、22A、24A…切り欠き、25、26、27、28…係合縁、25A〜28A…嵌合リブ、31…鍔部、32…段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と該本体の開口を覆うように構成された蓋部とを有する容器において、
前記本体は、底部と該底部の縁に沿って周状に延びる側壁とを有し、該側壁の外周面の上縁には、周状に延びる突起状の鍔部が形成され、該鍔部には、周状に延びる係合縁が形成され、該係合縁の縁によって前記本体の開口が形成され、該係合縁に前記蓋部が係合するように構成され、
前記側壁は、比較的長い第1及び第3の側壁と比較的短い第2及び第4の側壁と4つの湾曲状の角部を有し、
前記係合縁は、前記側壁に対応して、比較的長い第1及び第3の係合縁と比較的短い第2及び第4の係合縁と4つの湾曲状の係合縁を有し、
前記底部の厚さが0.47〜0.55mm、前記第1及び第3の側壁の厚さが0.38〜0.45mm、前記第2及び第4の側壁の厚さが0.43〜0.50mm、前記第1及び第3の側壁の厚さに対する前記第2及び第4の側壁の厚さの比が1.07〜1.20であり、
前記4つの側壁と前記4つの角部の外面には、粗面化領域が形成され、前記粗面化領域の表面粗さは、10〜30μm、それ以外の領域の表面粗さは、3〜6μmであることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1記載の容器において、前記側壁の下端に粗面化されていない非粗面化領域が形成され、この非粗面化領域の高さ方向の幅は、0.1mm〜1mmであることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1記載の容器において、
前記本体の開口の長手方向の寸法は、120〜150mm、縦方向の寸法は、90〜120mm、前記容器の本体の開口の長手方向寸法/縦方向寸法=1.2〜1.4、前記本体の高さは、25〜55mmであることを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1記載の容器において、上記容器の本体は8〜14グラムの樹脂によって形成されていることを特徴とする容器。
【請求項5】
請求項1記載の容器において、
前記第2及び第4の係合縁の各々には切り欠きが形成され、前記4つの湾曲状の係合縁の各々には前記開口の縁に沿って延びる嵌合リブが形成されていることを特徴とする容器。
【請求項6】
請求項1記載の容器において、
前記本体の係合縁の内面に凹部が形成され、該凹部の深さが0.05〜0.08mm、該凹部の長手方向の寸法が1.0〜1.4mmであることを特徴とする容器。
【請求項7】
請求項1記載の容器において、
前記本体の係合縁の外面に突起状のリブが形成され、前記蓋の内面には前記本体のリブに対応して突起状のリブが形成されており、前記蓋を前記本体に係合させるとき、前記蓋の内面のリブは前記本体のリブを乗り越えて進み、前記蓋によって前記本体の開口が完全に閉じられているとき、前記蓋のリブは前記本体の係合縁のリブより深さ方向に沿って離れていることを特徴とする容器。
【請求項8】
請求項7記載の容器において、前記本体のリブの表面には段差が形成されていることを特徴とする容器。
【請求項9】
凸部を有する第1の金型と凹部を有する第2の金型を係合させて該2つの金型の間にキャビティを形成することと、
前記キャビティに溶融された樹脂を注入することと、
前記樹脂が固化したら前記2つの金型を引き離すことと、
前記第1の金型に係合している樹脂製の容器を離型させることと、
を含む容器の製造方法において、
前記第2の金型の凹部の内面は粗面化されており、該粗面化された領域に対応して、前記容器の外面には粗面化領域が形成され、前記粗面化領域の表面粗さは、10〜30μm、それ以外の領域の表面粗さは、3〜6μmであることを特徴とする容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−68397(P2011−68397A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222539(P2009−222539)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000222565)東洋科学株式会社 (13)
【出願人】(000006699)雪印乳業株式会社 (155)
【Fターム(参考)】