説明

容器及びバイオリアクタの折り畳み式袋体コンテナの持ち上げ及び支持用アセンブリ及び方法

【課題】所定体積流体を収容するように孔性された容器内の物品を持ち上げ或いは支持する持ち上げアセンブリを提供する。
【解決手段】折り畳み可能な袋体を有し、袋体を取り囲むと共に収容する支持構造体を有する容器と、容器の上部に接続され、アセンブリ支持構造体及びアセンブリ支持構造体に対して直立方向に移動可能な持ち上げ部材を備える持ち上げアセンブリを有するシステムからなる。持ち上げ部材は、折り畳み可能な袋体の少なくとも上部を持ち上げて、折り畳み可能な袋体を折り畳み形状から非折り畳み形状へと変化させると共に折り畳み可能な袋体を非折り畳み形状で支持するように構成され配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年5月22日出願の米国仮特許出願第61/055,408号、発明の名称「容器及びバイオリアクタの折り畳み式袋体コンテナの持ち上げアセンブリ及び支持アセンブリ及び方法」の優先権を米国特許法第119条(e)項に基づいて主張するものであり、その教義は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
開示する本発明は一般に、折り畳み可能な袋体コンテナ内で流体を収容し操作するためのシステムに関し、また、その折り畳み可能な袋体コンテナ又はその一部を支持及び/又は持ち上げるためのメカニズム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体物質、例えば、哺乳類、菌、酵母、海洋生物、組織又は器官、植物又は昆虫の細胞及び微生物の培養は、バイオリアクタを用いることによって実行可能である。従来のバイオリアクタとして、固定された加圧容器として設計されたもの、或いはプラスチック製の無菌性の袋体を利用した使い捨てのバイオリアクタとして設計されたものが用いられる。このようなシステムを改良することは有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書に開示されるのは、所定体積の流体を収容するように構成された容器内の物品を持ち上げ或いは支持する持ち上げアセンブリであって、前記容器の上部に接続するよう構成されるアセンブリ支持構造体と、前記アセンブリ支持構造体上に取り付けられると共に前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動可能であって、前記物品が支持或いは持ち上げられるため接続されるよう構成される持ち上げ部材と、及び前記持ち上げ部材を前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動させる駆動装置を有する持ち上げアセンブリである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の他の実施形態は、所定体積の流体を収容するよう構成された折り畳み可能な袋体を有し、前記折り畳み可能な袋体を取り囲むと共に収容する支持構造体を有する容器と、
前記容器の上部に接続され、アセンブリ支持構造体及び前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動可能な持ち上げ部材を備える持ち上げアセンブリを有するシステムであって、
前記持ち上げ部材は、前記折り畳み可能な袋体の少なくとも上部を持ち上げて、前記折り畳み可能な袋体を折り畳み形状から非折り畳み形状へと変化させると共に前記折り畳み可能な袋体を前記非折り畳み形状で支持するよう構成され配されることを特徴とするシステムである。
【0005】
他の態様において、本発明は、容器内に収容された物品を持ち上げる方法であって、
所定体積の流体を収容するよう構成された内側部分及び前記容器の前記底部に配された流入口を備える容器の上部から底部へ持ち上げ部材を延出させる段階と、前記持ち上げ部材の少なくとも一部が前記流入口或いはその近傍に配されるように、前記持ち上げ部材を前記容器の前記底部に配された前記流入口の方へ方向付ける段階と、前記持ち上げ部材の少なくとも一部に物品を接続する段階と、及び前記持ち上げ部材及び前記物品を前記容器の前記上部の方へ上昇させる段階を備える方法に関する。
【0006】
開示する本発明は多数の利益を提供するものである。例えば、持ち上げアセンブリを用いることにより、本明細書に説明されるシステムの自動組み立てが可能になり、据え付け或いは除去する間、作業者がシステムの1又は1以上の部材を持ち上げる必要性が排除される。ある場合においては、システムへの衝撃が最小化される。さらに、本明細書で説明するシステム及び方法は、システム部材を継続的に繰り返し据え付けることが可能である。
【0007】
本発明のその他の利点及び新しい特徴は、付随する図面に関連して考慮する場合、以下の本発明の様々な非制限的な実施形態を詳細に説明することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による持ち上げアセンブリを備えるバイオリアクタシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による持ち上げアセンブリによって支持されている折り畳み可能な袋体の上部を図示するものである。
【図3】本発明の一実施形態による例示的な流入口カバーの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による支持構造体内に収容されるコンテナの概略図である。
【図5】本発明の他の実施形態による、生物学的及び化学的プロセスを含む流体操作を実行するためのシステムを図示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の非制限的な実施形態が、添付の図に関連し一例として記載される。図は概略図であり、縮尺を意図して描かれたものではない。図において、図示されている理想的な又はほぼ理想的な部材の各々は一般的には一つの数字で表されている。明確化するために、全ての部材が数字で表示されているわけではなく、図示された本発明の各実施形態の全ての部材も数字で表示されているわけでもない。実際に、当業者が本発明を理解するために図解は必ずしも必要なわけではない。
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本発明の特定の実施形態は説明の目的のために示されるのであって、本発明を限定するものとして示されるものではない。冒頭では、本発明はその広範囲にわたる全態様において、以下のより詳細な記述を用いた説明がなされる。発明の構成及び方法の特徴及びその他の詳細は、請求の範囲においてさらに示される。
【0011】
本発明において開示されるのは、使い捨てのコンテナを支持及び/又は持ち上げるためのシステム及び方法である。使い捨てのコンテナは、例えば、折り畳み可能な袋体コンテナ、又はその一部であって、折り畳み可能な袋体を収容及び/又は支持する再利用可能な支持構造体又は容器内に存在する。ある実施形態において、持ち上げアセンブリがもたらされる。持ち上げアセンブリは、例えば折り畳み可能な袋体等のシステムの部材をその使用のために上昇させ、及び/又は配置し、及び/又は支持するために用いられることができる。持ち上げアセンブリを用いて物品を上昇及び/又は配置する方法は、例えば、容器の内側にある物品又はその一部を引き上げること、及び/又は物品又はその一部を容器の外側領域から容器の内部へと引き上げることを含む。
【0012】
特定の実施形態において開示される持ち上げアセンブリを使用することにより、本明細書に説明される特定のシステムの自動組み立てが可能になる。したがって、取り付け或いは除去する間、作業者がシステムの1又は1以上の部材を持ち上げる必要性が排除される。ある場合において、システムへの衝撃が最小化される。さらに、本明細書で説明するシステム及び方法は、システム部材を継続的に繰り返し取り付けることが可能である。
【0013】
本明細書に記載のほとんどが、バイオリアクタ(及び/又は生化学的及び化学的反応システム)に関連する本発明の例示的な利用を包含するが、本発明及びその使用はそれほど限定されるものではない。本発明の態様はまた、他の設定において用いられてもよく、例えば、混合システム、及び収容又は処理システムを含む混合システムを有することも可能である。本明細書中で用いられる用語、すなわちバイオリアクタ、リアクタシステム、生化学的反応システム、及び化学的反応システムは同じ意味を有するものである。そして、それらの用語は交互に同義的に用いられ、生物学的、化学的、或いは薬学的処理の少なくとも一部を実行するために用いられるリアクタシステムを意味する。
【0014】
本明細書に提供される多くの例が折り畳み可能な袋体又はフレキシブルコンテナの使用を含む一方で、本発明の態様は非折り畳み式の袋体、剛性コンテナ、及び液体の収容を含む他の構造を伴うシステムと一体化されることが可能である。
【0015】
本発明のある実施形態において、持ち上げアセンブリがもたらされる。持ち上げアセンブリは容器を含むシステムの一部であって、この容器は所定体積の液体を収容するよう構成されたものである。「所定体積の液体を収容するよう構成される」容器とは、本明細書中における表現であって、これは容器が流体密封されていると共に、流体が容器の内側表面に直接接触可能であることを示す。或いは、容器が流体と直接接触する内側表面を有さないが、その代わりに、折り畳み可能な袋体等の容器と共に収容されるライナー又はコンテナを収容及び支持することができる。このライナー又はコンテナは、液体を収容するものである。容器はリアクタシステムの一部とすることができる。ある実施形態において、開示された持ち上げアセンブリは、折り畳み可能な袋体のような物品を使用のために容器内で上昇させる、及び/又はそのような物品を使用のため配置するのに用いられることができる。
【0016】
図1は、持ち上げアセンブリ(810)を備えるシステム(800)を例示する。開示された持ち上げアセンブリ(810)は、物品の移動、配置及び/又は支持の方法をもたらす。物品は例えば折り畳み可能な袋体等であり、容器(811)内にある。持ち上げアセンブリ(810)を用いて操作される物品の非制限的な例は、折り畳み可能な袋体、羽根車、スパージャ、或いはシステム(800)の他の任意の部材とすることができる。ある実施形態において、容器(811)は収容構造(812)を有する。収容構造(812)は、コンテナの内側を支持することが可能な任意の好適な装置を有する。収容構造(812)は、例えば、ステンレス製のスチールタンクとすることができる。本発明の他の実施形態において、収容構造は、任意の好適な材料(例:ポリマ、ガラス、又はその他の金属)を任意の好適な構造(例:密閉されたコンテナ或いは支持枠組み)において有することができる。
【0017】
図1に示す通り、持ち上げアセンブリ(810)は、容器(811)の上部にアセンブリ支持構造体(816)を介して接続されている。アセンブリ支持構造体(816)は、1又は1以上の棒、プレート、或いは所望の機械的負荷を支持するのに好適なその他の構造的な部材を有し、これらは持ち上げ部材(810)によって持ち上げられる。アセンブリ支持構造体(816)は、例えば溶接によって、永久に容器(811)に接続されるか、或いは、例えばボルト、螺子、又はクランプによって着脱可能に接続される。アセンブリ支持構造体(816)の構造に好適な材料は、例えばステンレス鋼、ポリマ及び/又はその他の好適な材料を含むが、これらに限定されるものではない。
【0018】
ある特定の実施形態において、持ち上げアセンブリ(810)は持ち上げ部材(814)を備える。持ち上げ部材(814)は、アセンブリ支持構造体(816)上に取り付けられると共に、アセンブリ支持構造体(816)に対し移動可能である。持ち上げ部材(814)はアセンブリ支持構造体(816)及び/又は持ち上げ部材(814)の静止位置に対し直立方向に移動可能である。例えば、持ち上げ部材(814)は、容器(811)の中及び/又は外で下降及び上昇するよう構成される。他の実施形態において、持ち上げアセンブリ(810)は、持ち上げ部材(814)を水平に、或いは他の角度(例:30度(30°)、45°、60°等)で移動するように構成される。この持ち上げ部材(814)の移動は、アセンブリ支持構造体(816)及び/又は持ち上げ部材(814)の静止位置に対して行われる。
【0019】
ある実施形態において、容器(811)は、容器(811)の底部に配された流入口(832)、容器の上部に接続された持ち上げアセンブリ(810)、アセンブリ支持構造体(816)を備える持ち上げアセンブリ、及びアセンブリ支持構造体(816)に対して直立方向に移動可能であると共に少なくとも流入口(832)まで延出可能な持ち上げ部材(814)を備える。
【0020】
持ち上げ部材(814)は、例えば折り畳み可能な袋体又は羽根車等の特別な物品又は部材を、移動及び/又は支持するよう構成されると共に配置されている。例えば、下記に述べる通り、折り畳み可能な袋体を移動させるための持ち上げ部材(814)は、フック(820)を含む1又は1以上のロッドの形状とすることができる。このフック(820)は、折り畳み可能な袋体を折り畳み又は非折り畳み状態で支持するのに用いられることができる。他の例において、磁性羽根車を動かすための持ち上げ部材(814)は、羽根車を磁気的に引き付ける磁石を有することができる。
【0021】
ある実施形態において、混合及び/又はリアクタシステムの剛性の容器内に収容されると共に支持されるよう構成された折り畳み可能な袋体における改良点は、折り畳み可能な袋体の上面に接続された複数のロッドである。この複数のロッドは、持ち上げアセンブリの1以上の持ち上げ部材(814)によって係合するよう構成されている。これにより、持ち上げアセンブリが折り畳み可能な袋体の少なくとも上面を持ち上げると共に支持することが可能になる。
【0022】
一連の実施形態において、システムは容器を備え、この容器は混合及び/又は生物学的、化学的又は薬学的反応プロセスを実行するよう構成される。またシステムは持ち上げアセンブリを備える。この持ち上げアセンブリは、容器に接続されると共に、容器内に収容された物品の少なくとも一部を、容器の底部から上部へと持ち上げるよう構成され配される。
【0023】
本発明の他の態様は方法を説明するものである。ある実施形態において、所定体積の流体を収容するよう構成された内側部分及び前記容器の前記底部に配された流入口を備える容器(811)の上部から底部へ持ち上げ部材(814)を延出させる工程と、前記持ち上げ部材(814)の少なくとも一部が前記流入口(832)或いはその近傍に配されるように、前記持ち上げ部材(814)を前記容器(811)の前記底部に配された前記流入口(832)の方へ方向付ける工程と、前記持ち上げ部材の少なくとも一部に物品を接続する工程と、及び前記持ち上げ部材(814)及び前記物品を前記容器(811)の前記上部の方へ上昇させる工程を備える。
【0024】
本発明の方法の他の実施形態において、前記流入口(832)或いはその近傍に配された前記持ち上げ部材(814)の前記少なくとも一部が前記流入口(832)を介して方向付けられていることにより、前記持ち上げ部材(814)の前記少なくとも一部が前記容器(811)の内側部分の外側に配され、容易に物品に接続されるようになる。
【0025】
ある実施形態において、持ち上げアセンブリ(810)はケーブル(815)を備え、前記ケーブルは、アセンブリ支持構造体(816)に直接又は間接的に接続される第1端部と、前記持ち上げ部材(814)に直接又は間接的に接続される第2端部を備える。本明細書中にて用いられる「ケーブル」は、この用語が持つ通常の意味よりも広義である。そのため、任意の好適な材料(例:ステンレス鋼、ポリマ、天然繊維、エラストマ材料等)は、任意の好適な構成(例:チェーン、ロープ、より糸)で備えることができる。この構成は、部材を移動させるように支持可能である。ケーブル(815)は、リール或いは他の好適な部材により支持されると共に巻かれる。いくつかの実施形態において、ケーブル(815)は、持ち上げ部材(814)及び/又はアセンブリ支持構造体(816)から取り外し可能である。ある実施形態において、前記持ち上げアセンブリがさらにケーブル又はチェーンを備え、前記ケーブル又は前記チェーンは前記持ち上げ部材に直接又は間接的に接続される第1端部と、前記駆動装置に直接又は間接的に接続される第2端部を備える。駆動装置とは例えば、モータ或いは滑車システムである。本発明の実施形態による方法は、前記持ち上げ部材に接続されたケーブル又はチェーンを延出させることにより、前記持ち上げ部材を前記容器の上部から底部へ延出させることを含む。
【0026】
アセンブリ支持構造体(816)は、持ち上げアセンブリ(810)を容器に対して支持すると共に、部材を(部材に接続された任意の追加的な要素と同様に)移動させる十分な機械強度をもたらす。いくつかの場合において、アセンブリ支持構造体(816)は、枠組みを形成するように任意で配される1又は1以上の支持棒(817)を有する。いくつかの実施形態において、アセンブリ支持構造体(816)はプレート(図示せず)を備え、このプレートは(直接或いは間接的に)支持構造体(812)に接続されている。さらに他の実施形態において、アセンブリ支持構造体(816)は、アセンブリ支持構造体(816)が接続されている容器の外周と略同じ円周を有する輪を備える。アセンブリ支持構造体(816)は任意の好適な形状であってよく、いくつかの実施形態においては、湾曲、ドーム型、円筒形、管状、又は略平面とすることができる。アセンブリ支持構造体(816)は、金属(例:ステンレス鋼)、ポリマ等を含む任意の好適な材料を含むことができるが、これに限定されない。
【0027】
持ち上げ部材(814)は様々な構造に配置された様々な要素を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、持ち上げ部材(814)は1又は1以上の持ち上げ棒(818)を備える。この持ち上げ棒(818)は、いくつかの実施形態において、折り畳み可能な袋体の上部に係合するよう構成された1以上のフック(820)を備える。フック(820)は、持ち上げ部材(814)を支持される部材(例:折り畳み可能な袋体)に固定するのに用いられる。他の実施形態において、持ち上げ部材(814)は単一のフック(820)を備え、持ち上げ棒(818)を備えない。いくつかの実施形態において、持ち上げ部材(814)は、第2のケーブルを介してケーブル(815)に接続された複数のフック(820)を備えることができる。持ち上げ棒は、折り畳み可能な袋体を非折り畳み形状で支持するよう構成することができる。
【0028】
ある実施形態において、持ち上げアセンブリ(810)は折り畳み可能な袋体を操作すると共に、容器に対して折り畳み可能な袋体を配置するのに用いることができる。図2は、持ち上げ棒(818)に支持された例示的な折り畳み可能な袋体(822)を図示する。本実施形態において、折り畳み可能な袋体は外部スリーブ(824)を備え、外部スリーブ(824)は補強ロッド(826)を備える。ある場合において、外部スリーブは折り畳み可能な袋体の内部区画と流体接触しない。持ち上げ棒(818)上のフック(820)は、いくつかの例において、外部スリーブ内のロッドを介して折り畳み可能な袋体に接続することができる(図2参照)。いくつかの実施形態において、折り畳み可能な袋体は、1又は1以上の小穴を有していてもよく、その小穴を通ってフック(820)は接続されている。また小穴は補強ロッド(826)に接続されると共に補強ロッド(826)により支持される。図2に説明される実施形態において示される通り、袋体の上部が持ち上げアセンブリ(810)によって容器(811)の上部で支持及び配置される場合、補強ロッド(826)は折り畳み可能な袋体を非折り畳みの状態で維持するよう構成される。これにより、折り畳み可能な袋体の内側区画内に物質を導入及び/又はさらに分配することが促進される。
【0029】
図1を再び参照する。持ち上げアセンブリ(810)はまた、アセンブリ支持構造体(816)に対して持ち上げ部材(814)を動かす駆動装置(828)も備える。持ち上げアセンブリ(810)は、持ち上げ部材(814)を動かすのに好適な任意の駆動装置を備えることができる。駆動装置(828)は、モータ(図示の通り)、滑車システム、及び/又は特に手動式クランクを含むがこれに制限されない。いくつかの場合において、ケーブル(815)は、直接又は間接的に持ち上げ部材に動作可能に接続される第1端部と、直接又は間接的に前記駆動装置に動作可能に接続される第2端部を備える。いくつかの実施形態において、ケーブル(815)は駆動装置(828)から取り外し可能である。駆動装置(828)はケーブル(815)を延出或いは収縮させるのに用いられてもよく、例えば、その結果として持ち上げ部材(818)を上昇或いは下降させたりする。追加的に、操作パネル(830)が、例えば支持構造体(812)上に備えられてもよく、これにより持ち上げ部材(818)の上昇、下降、及び/又は停止が制御される。
【0030】
いくつかの実施形態において、駆動装置(828)はモータを備える。モータ(又は他の任意の好適な駆動装置)は容器(811)上に取り付けられてもよく、アセンブリ支持構造体(816)によって少なくとも一部が支持されている。モータ及びアセンブリ支持構造体(816)は、十分な機械強度をもたらす任意の構造或いは方法で配向され、モータを支持することができる。
【0031】
いくつかの場合において、容器(811)の格納構造(812)はまた、容器(811)の内部へアクセス可能な流入口(832)を備えることができる。例えば、流入口(832)は、ユーザが容器(811)の内部へアクセス可能になるように構成されると共に配置される。他の例において、流入口(832)は、容器の外側領域から容器の内側へ、及び/又は、容器の内側から容器の外側領域へ物品(例:折り畳み可能な袋体)を移動させるのに用いられる。いくつかの実施形態において、物品の移動は持ち上げアセンブリ(810)の使用によって促進又は実行される。流入口(832)の開領域の断面は、サイズが変化する物品に対応するよう選択されることができる。例えば、ある実施形態において、流入口(832)の断面領域は少なくとも10cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも1000cm、少なくとも5000cm、又は少なくとも1mの大きさとすることができる。ある特定の実施形態において、流入口(832)は以下の体積を有する折り畳み可能な袋体が通過可能な大きさであって、折り畳み状態の場合、例えば、少なくとも1L、少なくとも10L、少なくとも50L、少なくとも100L、少なくとも200L、少なくとも500L、又は少なくとも1000Lの体積を、容器の外側及び内側間に有する。他の実施形態において、流入口(832)は、格納構造(812)(例:格納構造の底部又は底部付近、側部、上部付近等)に対し、任意の好適な位置に配されることができる。流入口(832)が格納構造の上部又はその付近に配される実施形態において、持ち上げアセンブリは容器内に物品を下降させるのに用いられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、流入口カバー(834)は、流入口(832)の少なくとも一部を密閉及び/又は覆うのに用いることができる。図3は例示的な流入口カバー(834)の概略図である。流入口カバー(834)は、例えば金属、ポリマ、及び/又はガラス等を含む多様な材料から加工されることが可能である。いくつかの実施形態において、流入口カバーは少なくとも部分的に可視光を通し、容器内を視覚的にアクセスすることが可能である。いくつかの実施形態において、流入口カバー(834)は物品(例:折り畳み可能な袋体)が装着又は非装着の間取り外されており、また、流入口を介して据え付けられている。いくつかの例において、流入口カバー(834)は空洞(836)を有することができる。空洞(836)はいかなる大きさであってもよく、例えば、流入口(832)の大きさの少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、又は流入口(832)の大きさの少なくとも90%とすることができる。空洞(836)は流入口カバー(834)上のいかなる位置(例:流入口カバーの底部、側部或いは上部)に配されることができる。ある特定の実施形態において、空洞(836)は操作の間、入口、出口、及び/又はセンサ供給ラインが、容器内に収容された折り畳み可能な袋体上で直接入口、出口、及び/又はセンサポートに接続されることを可能にする。
【0033】
流入口カバー(834)は、支持コンテナ上の適所でカバーを保持するのに用いられる伸縮自在の止めピン(838)を含むことができる。ある実施形態において、止めピン(838)は感圧ピンを含むことができる。感圧ピンは、適所に取り付けられた時、流入口カバー(834)の表面に圧力が加えられた場合、操作者によって手動で解放されることがないよう構成される。例えば、容器(811)内に収容される折り畳み可能な袋体の液体内容物は、袋体の壁部が流入口カバー(834)に接するように押し付けることができる。このような非制限的な例において、容器内部の折り畳み可能な袋体が充満しているとき、折り畳み可能な袋体は止めピン(838)に圧力をかける。この圧力により、止めピン(838)は次々に、折り畳み可能な袋体によりかけられた圧力が除去されるまで(例えば、折り畳み可能な袋体内部の内容物のいくつか或いは全部が空になった時)、適所に固定される。
【0034】
いくつかの場合において、流入口カバー(834)はプローブ支持棒(840)を備える。プローブ支持棒(840)は、入口、出口、及び/又はセンサ供給ラインの固定、取り付け、支持等に用いられる。これらは、容器内の折り畳み可能な袋体の上の入口、出口、及び/又はセンサ供給ラインに接続されている。プローブ支持棒(840)はまた、容器(811)内の折り畳み可能な袋体上の入口、出口、及び/又はセンサ供給ラインに接続される一方で、入口、出口、及び/又はセンサ供給ラインを支持する。いくつかの場合において、入口、出口、及び/又はセンサ供給ラインをプローブ支持棒(840)で支持することにより、容器内の折り畳み可能な袋体の断裂が防がれる。
【0035】
以下、本発明の特定の実施形態の持ち上げアセンブリ(810)を用いて、部材を容器に対し配置、支持、移動及び/又は据え付けする例示的な方法を説明する。以下の例が折り畳み可能な袋体、持ち上げ棒、フック及びモータの使用を説明する一方で、他の実施形態において、これらの部材のいずれかは省かれる、或いは許容可能な代替物(例:折り畳み可能な袋体の場合は羽根車、モータの場合は滑車システム)と置き換えられる。ある実施形態において、図2に示す折り畳み可能な袋体(822)は、容器の外側にある流入口(832)より先に(例えば図1に示されるように)配される。操作者は、(例えば図3に示されるように)流入口容器カバー(834)を移動或いは除去し、容器(811)内へのアクセスを可能にする(図1参照、容器(11)は図4参照)。図2は持ち上げアセンブリ(810)の持ち上げ棒(818)を示す。持ち上げ棒(818)は、ケーブル(815)(図1参照)が駆動装置又はモータ(828)と動作可能に関連するリール(829)から延出するにつれ下降する。
【0036】
持ち上げ棒(818)は、流入口(832)の位置に少なくとも配置されるまで下降される。持ち上げ棒(818)が流入口或いはその付近に一度配置されると、或いはいくつかの場合において、流入口(832)を介して(例えば使用者によって)引っ張られることが可能となると、持ち上げ棒(818)の全部又は一部は容器(811)の外側にくるので、モータ(828)は停止する。その後、持ち上げ棒(818)は、折り畳み可能な袋体(822)、例えば補強ロッド(826)(図2参照)に固定される。いくつかの実施形態において、持ち上げ棒(818)は、折り畳み可能な袋体(822)を持ち上げ棒(818)に固定する前に、ケーブル(815)(図1)から除去される。折り畳み可能な袋体(822)を固定する前に持ち上げ棒(818)がケーブル(815)から取り外される場合、持ち上げ棒(818)は持ち上げる前にケーブル(815)に再度接続されることができる。折り畳み可能な袋体(822)が接続されると、持ち上げ棒(818)はケーブル(815)がモータ(828)によって収縮されるにつれ上昇する。この持ち上げ運動により折り畳み可能な袋体(822)は上方に引き上げられる、及び/又は容器(811)の内部及び上方に引き上げられる。その後、折り畳み可能な袋体(822)の少なくとも上部が持ち上げ棒(818)によって所定の位置(図2参照)にまで持ち上げられ、これにより、折り畳み可能な袋体(822)をその長さ及び/又は幅に沿って、例えば折り畳みの形状から非折り畳みの形状へと拡張させる。
【0037】
折り畳み可能な袋体(822)が一度拡張されると共に配置されると、操作者は止めピン(838)が係合していることを確実にして、流入口カバー(834)を取り替えることができる。一度折り畳み可能な袋体(822)が配置されると共に流入口カバー(834)が固定されると、システム(800)は操作の準備が整う。準備が整うとは例えば、折り畳み可能な袋体(822)に液体が充填されているということである。いくつかの実施形態において、容器(811)の操作(例:化学的反応の動作)は、折り畳み可能な袋体(822)が持ち上げアセンブリ(810)に接続された状態の間に(図2参照)行われる。また、持ち上げアセンブリ(810)は、容器(811)の操作前又はその間に、折り畳み可能な袋体(822)から除去される。
【0038】
容器(811)の操作が一度完了すると、折り畳み可能な袋体(822)を容器(811)から取り除かれることが望ましい。これにより、例えば、取り替えられた折り畳み可能な袋体(822)を容器(811)内に配置することが可能になり、これにより、第2の操作の実行が可能となる。折り畳み可能な袋体(822)を容器(811)から取り除くことにより、折り畳み可能な袋体(822)内部からの内容物が空になった後、容器(811)の流入口カバー(834)を取り除くことができる。持ち上げ棒(818)は下降可能で、折り畳み可能な袋体(822)は流入口(832)を介して容器の外部へ引っ張られることが可能である。また折り畳み可能な袋体(822)は持ち上げ棒(818)上のフック(820)から切り離されることができる。一度折り畳み可能な袋体(822)が切り離されると、新しい袋体が持ち上げ棒(818)に任意で接続されることができる。また、持ち上げ棒(818)は持ち上げアセンブリ(810)の上部の方へモータを用いて上昇されることができる。また、流入口カバー(834)は、袋体流入口(832)上に再び固定されることができる。
【0039】
持ち上げアセンブリ(810)はまた、特定の実施形態において様々な安全な特徴を有する。例えば、持ち上げアセンブリ(810)は、持ち上げアセンブリ(810)の様々な部分を動かすこと(例えば上昇及び下降)によって、スピードを制御するように設計されることができる。いくつかの実施形態において、歪み連結装置が含まれてもよく、これにより、例えばほつれ等が起こった場合に上昇している部材への損傷を予防又は削減する。例えば、歪み連結装置は、据え付け或いは取り外しの間に引っ掛かったり又は詰まったりする折り畳み可能な袋体(822)の断裂を防止するのに用いられる。さらに、「停止」ボタンは操作パネル及び/又は制御装置上に備えられてもよく、これにより、持ち上げられた部材の据え付け又は取り外しの間に操作者が手動で介入することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、1以上の持ち上げアセンブリ(810)が本明細書に記載のシステムと統合されることができる。例えばいくつかの場合において、別々に持ち上げることは、単一の容器(811)内で、複数の部材(例:フィルタ、管、アセンブリ、粉体の袋体、液体の袋体等)を動かすのに用いられる。
【0041】
多種多様な容器のタイプは、本明細書に記載の持ち上げアセンブリ(810)を用いて構成される可能性がある。いくつかの実施形態において、容器(811)は所定体積の液体を収容するよう構成される。例えば、図4はバイオリアクタシステム(10)のある実施形態の概略図である。バイオリアクタシステム(10)は、例えば剛性コンテナ等のコンテナ(18)と持ち上げアセンブリ(810)を備える。持ち上げアセンブリ(810)は、図4に示す通り、剛性コンテナ(18)を持ち上げると共に支持するよう構成される。図4に説明される実施形態中に示される通り、システム(10)は容器(11)を備える。容器(11)は特定の実施形態において、図1に示す実施形態により既に示された容器(811)とデザイン及び構造において略同一である。また、システム(10)は、再利用可能な支持構造体(14)を備える。支持構造体(14)は、ある実施形態においてコンテナ(18)を取り囲むと共に収容するステンレス鋼タンクである。
【0042】
ある実施形態において、コンテナ(18)は、例えばポリマの袋体といった折り畳み可能な袋体として構成される。さらに又は別の方法として、折り畳み可能な袋体又は他のコンテナ(18)の全部又は一部は、例えば硬質ポリマ、金属、及び/又はガラス等の略剛性の材料を含むことができる。他の実施形態において、剛性コンテナはこの構成で用いられる。コンテナ(18)は単一利用のみ可能な又は使い捨て可能なものであると共に、支持構造体(14)から簡単に取り外し可能なように構成されることができる。いくつかの実施形態において、コンテナ(18)は支持構造体(14)に非一体的に接続される。
【0043】
折り畳み可能な袋体がコンテナ(18)として用いられる場合、折り畳み可能な袋体は液体(22)を収容するよう構成されると共に配されることができる。液体(22)は反応剤、溶剤、及び/又は化学的又は生物学的反応等の所望のプロセスを実行するため必要な他の要素を含むことができる。折り畳み可能な袋体はまた、使用時において液体(22)が折り畳み可能な袋体とのみ略接触した状態で、支持構造体(14)とは接触しない。このような実施形態において、折り畳み可能な袋体は使い捨て可能であると共に単一の反応又は単一の一連の反応に用いられ、その後、袋体は廃棄される。折り畳み可能な袋体内の液体が支持構造体(14)と接触する状態にならない場合、支持構造体(14)は洗浄せずに再利用可能である。つまり反応がコンテナ(18)内で行われた場合、コンテナ(18)は支持構造体(14)から取り除かれると共に第2のコンテナと取替えられることができる。この第2のコンテナは使い捨て可能である。第2の反応は第2のコンテナ内で、第1のコンテナ(18)又は再利用可能な支持構造体(14)を洗浄することなく行われることが可能である。
【0044】
実施形態にも示されるとおり、図4に図示されるのは追加の流入口(42)(コンテナ(18)の上部付近に位置している)及び追加の排出口(46)(コンテナ(18)の底部付近に位置している)である。排出口(42)及び排出口(46)は、コンテナ(18)及び/又は使い捨て可能な支持構造体(14)内で形成されると共に、コンテナ(18)からの液体及び/又はガスをより簡易に導入及び除去することを促進する。コンテナ(18)は任意の好適な数の流入口及び任意の好適な数の排出口を備えることができる。複数の流入口は、例えば複数のスパージャ(47)を介して異なるガス組成物をもたらすために用いられる、及び/又は、ガスをコンテナ(18)に導入する前に分離させるために用いられる。これらの流入口及び排出口は、コンテナ(18)に対して任意の好適な位置に配されることができる。例えば、スパージャ(47)を含む特定の容器では、コンテナは、コンテナ(18)の底部に配されるもう1つのガス流入口(47)を有することができる。管は入口及び/又は排出口に接続されることができ、例えば、送り出し管と取り込み管を形成して、各々がコンテナ(18)から液体を導入及び除去する。コンテナ(18)及び/又は支持構造体(14)は、任意でユーティリティタワー(50)を備えることができる。ユーティリティタワー(50)は、コンテナ(18)及び/又は支持構造体(14)内部の1又は1以上の装置が、1又は1以上のポンプ、制御装置、及び/又は電子機器(例:センサ電子機器、電子インターフェイス及び加圧ガス制御装置)又は他の装置と相互接続するのを促進する。このような装置は制御システム(34)を用いて制御されることができる。
【0045】
複数のスパージャ(47)を含むシステムにとって、制御システム(34)はスパージャ(47)の各々と動作可能に接続されると共に互いに独立してスパージャ(47)を操作するよう構成されている。これにより、例えば、コンテナ(18)内に導入されている複数のガスを制御可能となる。
【0046】
本明細書中に用いられるように、一般に、1又は1以上の他の部材と「動作可能に接続」する進歩的なシステムの部材は、以下のことを示す。すなわち、このような部材は、物理的に接触した状態で互いに直接接続される。この部材は互いに接続又は取り付けられておらず、或いは互いに間接的に接続されている。或いは、部材は機械的、電気的(空間を通して伝達された電磁信号を介することを含む)、又は流体的に相互接続されることにより、十分な接続がもたらされ、或いは十分な接続を可能にし、これにより所望の機能が発揮されることが可能である。
【0047】
図4に説明される実施形態に示される通り、容器は羽根車(51)等の混合システムを任意で備える。羽根車(51)はコンテナの外部に配されるモータ(52)を用いて回転可能(例えば、単一軸周り)である。他の実施形態では、以下に詳細に記載するように、羽根車(51)と羽根車のモータ(52)は磁気的に接続する。混合システムは制御システム(34)によって制御可能である。
【0048】
さらに又は或いは、容器(11)は機械的な消泡装置等の消泡システムを備えることができる。図4に示される通り、消泡装置は例えば、第2のモータ(62)を用いて(例えば磁気的に)回転する第2の羽根車(61)を、コンテナ(18)の上部空間に備えることができる。また、消泡装置はコンテナ(18)の外側にあることが可能である。第2の羽根車(61)は、コンテナ(18)の上部空間(63)に収容される泡を崩壊させるために用いることができ、或いは細胞を濃縮すると共に遠心力によって細胞を下方の培養液へ戻すのに用いられることができる。いくつかの実施形態では、消泡システムは制御システム(34)を介してセンサ(43)(例:泡センサ)と電気的に接続している。センサ(43)は例えば、上部空間内の泡の液位又は量、又はコンテナ(18)内の圧力を決定する。これにより、消泡システムの調整又は制御を誘引することが可能である。他の実施形態において、消泡システムはいかなるセンサからも独立して操作される。
【0049】
他の実施形態において、支持構造体(14)及び/又は容器(18)は1又は1以上の取り出し口(54)を備える。この取り出し口(54)は、サンプリング、分析(例えば、液体中の溶解ガスのpH及び/又は量を決定する)、又はその他の目的のために用いられる。支持構造体(14)はまた、コンテナ(18)内の液位を調べるための1又は1以上のサイトウィンドウ(60)を備える。1又は1以上の接続部(64)はコンテナ(18)の上部又は他の適切な位置に配されることができる。接続部(64)はコンテナから液体、ガス等を出し入れするための開口部、チューブ、及び/又はバルブを備える。接続部(64)の各々は、流量センサ及び/又はフィルタ(図示されず)を任意で備えることができる。支持構造体(14)は、複数の脚部(66)をさらに備え、容器の運搬を容易にするために任意でキャスター(68)を備えることができる。
【0050】
図4で示された全ての特性は、本発明の全ての実施形態において提示される必要はなく、また図示された部材は異なって配置或いは構成されることができる。同様に、本発明に記載された部材等は他の実施形態に追加可能である。
【0051】
本発明の様々な態様は、折り畳み可能な袋体、半剛体又は剛体の容器等のコンテナを備える容器を対象にしている。ここで用いられる「可撓性を有するコンテナ」、「可撓性を有する袋体」、「折り畳み可能な袋体」とは、コンテナ又は袋体が操作中に内部の圧力に晒された際に、その形状及び/又は構造的な統合性を維持することができないということを指し示す。このような圧力(例えば、その中に収容された液体及び/又はガスの重量及び/又は静水圧に起因する圧力)は、分離した支持構造体の利点を有さない。折り畳み可能な袋体(822)(図2)は、本来多くのプラスチック等の可撓性材料からできているか、或いは通常、剛性材料とみなされるもの(例えば、ガラス又は特定の金属)からできている。しかし、独立した支持構造体であるという利点を有さずに操作中に予期される内部圧力にさらされた場合、容器はコンテナ全体としてもたらされる厚み及び/又は物理的特性を有するため、形状及び/又は構造的な統合性を維持することができない。いくつかの実施形態において、折り畳み可能な袋体は可撓性材料と剛性材料の組み合わせを備える。例えば、その袋体は接続部、ポート、混合システム及び/又は消泡装置等の支持部のような剛性の部材を備えることができる。
【0052】
コンテナ(18)(例:折り畳み可能な袋体(822))は、液体を収容するための適切な容積を有してもよく、例えば、約1リットル(1L)から約10000リットル(10000L)、又は約40リットル(40L)から約5000リットル(5000L)、又は約100Lから約2000L、又は約200Lから約1000L、又は約500Lから約750Lの容積を有する。10000L以上の容積であっても同様に可能である。本発明では、1000リットルの袋体を有するバイオリアクタが例示される。
【0053】
いくつかの実施形態において、折り畳み可能な袋体(822)は使い捨て可能であると共に、好適な可撓性材料又は合成及び可撓性材料の組み合わせから形成される。可撓性材料はUSPのVI級と認定されたもので、例えば、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン、及びポリプロピレン等がある。可撓性材料の非制限的な例は、ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニル、ポリ塩化ビニデリン、エチレン酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ナイロン、シリコンゴム、他の合成ゴム、及び/又はプラスチック等のポリマを含む。上記の通り、可撓性コンテナ又は折り畳み可能な袋体(822)の一部は、剛性ポリマ(例:高密度ポリエチレン)、金属、及び/又はガラス等の剛性材料を(例えば、器具を支持する領域で)備える。他の実施形態において、コンテナ(18)は略剛性材料を含む。
【0054】
コンテナ(18)の全て又は一部は、光学的に透明であってよく、コンテナ内部の内容物を見ることが可能である。例えば、図4はサイトウィンドウ(60)を図示する。コンテナ(18)を形成するために用いられる材料又は材料の組み合わせは1又は1以上の特性に基づいて選択される。この特性とはすなわち、可撓性、穿刺力、抗張力、液体及びガスの浸透性、不透明性、及びブロー成形、射出成形、又は回転成形(例えば、継ぎ目のない折り畳み可能な袋体を形成するため)等の特定のプロセスに対する適応性である。
【0055】
折り畳み可能な袋体等のコンテナは、液体を収容する好適な厚みを有すると共に、操作中又は取り扱い中の穿刺に対する耐性を有するように設計される。例えば、コンテナの壁部は、全体の厚みが250ミル以下又は6350マイクロメートル(μm)以下であることができる。1ミルは25.4マイクロメートル(25.4μm)に等しい。他の実施形態において、使用に好適なコンテナの壁部は、約10ミルから約250ミル(約254μmから約6354μm)、又は約15ミルから約200ミル(約381μmから約5080μm)、約25ミルから約100ミル(約635μmから約2540μm)、又は約50ミルから約70ミル(約1270μmから約1778μm)であることができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、コンテナ(18)は1層以上の物質層を有する。この物質層は、ともに薄層にされるか又は互いに接着して、一定の特性をコンテナ(18)に与える。例えば、ある層は酸素が略浸透しない物質で形成される。他の層は抗張力又は破壊或いは断裂に対する抵抗力をコンテナ(18)にもたらす物質で形成される。さらなる他の層が、コンテナ(18)内に収容される流体へ化学的耐性を与えるために備えられることができる。コンテナは、好適な層の組み合わせから形成されてもよく、本発明はこの点において制限されない。例えば図2に示される折り畳み可能な袋体(822)等のコンテナ(18)は、1層から約6層、又は約2層から約5層、又は約3層から約4層の材料の層を有してもよく、各層の材料は同一又は異なるものとすることができる。
【0057】
各層は、例えば約3ミルから約200ミル(76.2μmから約5080μm)、又は約5ミルから約100ミル(127μmから約2540μm)、又は約10ミルから約50ミル(254μmから約1270μm)、又は約15ミルから約25ミル(381μmから約635μm)、又はそれらを組み合わせた厚さを有することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、コンテナ(18)は継ぎ目がない。コンテナは例えば、継ぎ目のない折り畳み可能な袋体、継ぎ目のない剛性コンテナ、又は継ぎ目のない半剛性コンテナとすることができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書記載の方法を用いて折り畳み可能な袋体又は他のコンテナと一体化される部材は、USPのVI級と認定された1又は1以上の物質で形成される。これらの例は、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む。部材を形成するのに使用可能な物質の非制限的な例はポリマを有する。ポリマは、ポリエチレン(低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ナイロン、シリコンゴム、他の合成ゴム、及び/又はプラスチック、及びこれらの組み合わせである。セラミック、金属、及び磁性物質を用いて部材の全部又は一部を形成することも可能である。いくつかの実施形態において、部材の全部又は一部が剛性であり、他の実施形態においては、部材の全て又は一部は可撓性を有する。部材を形成するために用いられる材料は、1又は1以上の特性及び/又は部材の機能に基づいて選択される。特性及び/又は部材の機能とは、例えば、コンテナとの親和性、可撓性、抗張力、硬度、液体及びガスの浸透性、穿刺力、及びブロー成形、射出成形、又は回転成形等の特定のプロセスに対する順応性等である。
【0060】
特定の実施形態において、特に、折り畳み可能な袋体(822)等のコンテナ内で流体操作を伴う或いは化学的又は生物学的反応を実行する特定の実施形態において、コンテナは略閉じた状態である。例えばコンテナは、1又は1以上の入口及び/又は排出口(54)を有する特定の実施形態以外では、コンテナの外部の環境から略遮断されている(図4参照)。排出口(54)により、コンテナ(18)に内容物を追加及び/又は取り出すことが可能になる。折り畳み可能な袋体(822)が用いられれば、折り畳み可能な袋体(822)は液体で満たされる前に略収縮し、そして液体で満たされると膨張し始める。他の実施形態において、本発明の態様は開いた状態のコンテナシステムに適用されることができる。
【0061】
ある場合において、流体はコンテナ(18)内の1又は1以上の流入口及び/又は排出口を介して、容器から導入及び/又は除去される。容器(11)は、生物学的又は化学的反応を行うリアクタシステムの一部とすることができる。ある場合において、使い捨てポンプ等のポンプを用い、例えば流入口を介してガス又は他の流体をコンテナ内に導入し、及び/又は、例えば排出口を介して、コンテナからガス又は他の流体を除去するのに用いられる。例えば、磁気的に結合されたポンプは、使い捨ての磁性羽根車の上部を筐体に入れることにより得られる。筐体には、流体のポンピングを行う流入口及び排出口が備えられる。可撓性を有する及び/又は湾曲した羽根が用いられると、ポンピングは促進されるか或いは圧力が除去される。他の実施形態において、流体、ガス及び/又は粉体のポンピングは、ポンプの上部及び/又はポンプ室がなくとも、例えば「蠕動」を効率的に行う電気機械のポリマチューブを連続して圧送することにより行われる。チューブ内の一方向バルブは任意で使用可能であり、これにより逆流が防がれる。特定の実施形態において、折り畳み可能な袋体は、袋体内に埋め込まれた熱導体を有することが可能であり、これにより熱移動が促進される。
【0062】
図4に示す通り、本発明のある実施形態は支持構造体(14)を備えることができる。支持構造体(14)は、コンテナ(18)を包囲、支持及び収容することができる。支持構造体(14)は、コンテナを取り囲むと共に収容することが可能な任意の好適な形状とすることができる。ある場合において、支持構造体は再利用可能である。支持構造体は略剛性材料で形成することができる。再利用可能な支持構造体を形成するのに使用可能な材料の非制限的な例として、ステンレス鋼、アルミニウム、ガラス、樹脂含浸処理されたファイバグラス又はカーボンファイバ、ポリマ(例えば、高密度ポリエチレン、ポリアクリル酸塩、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン又は他のポリアミド、ポリエステル、フェノール性ポリマ)、及びこれらの組み合わせを含む。材料は、用いられる環境においてその使用が保証される。例えば、最小の微粒子の発生が必要となる環境において、脱粒することのない材料が用いられることができる。
【0063】
他の実施形態において、再利用可能な支持構造体は、標準のステンレス鋼のバイオリアクタ(又は他の標準のリアクタ又は容器)と同様の高さ及び直径を有するように設計される。その構造は、容積の小さな卓上リアクタシステムの大きさに縮小可能である。したがって、再利用可能な支持構造体は、所望の化学的、生化学的、及び/又は生物学的反応を行う適切な容積を有する。多くの例において、再利用可能な支持構造体は、コンテナと略同一の容積を有する。例えば、単一の再利用可能な支持構造体は、ほぼ同様の容積を有する単一のコンテナを支持すると共に収容するために用いられる。しかしながら、他の場合では、再利用可能な支持構造体は、1以上のコンテナを収容するために用いられる。再利用可能な支持構造体は、例えば、約1リットル(1L)から約10000リットル(10000L)、約10Lから約5000L、約100Lから約2000L、約500Lから1000Lの容積を有する。10000L以上の容積も可能である。
【0064】
しかしながら、他の実施形態において、本発明の容器は個別のコンテナ(例:折り畳み可能な袋体)及び支持構造体を備えていないが、代わりに自立型の使い捨てコンテナを備える。コンテナは例えば、プラスチックの容器でも良く、場合によってはコンテナに一体的に取り付けられた攪拌システム又は取り外し可能な攪拌システムを備える。攪拌システムはコンテナと共に使い捨て可能である。ある特定の実施形態において、上記のようなシステムはポリマ製のコンテナに溶接又は固定された羽根車を備える。したがって、コンテナ及び支持構造体(例えば、継ぎ目のないコンテナ、散布システム、消泡装置等)に関する本明細書記載の容器の態様および特性は、自立型の使い捨てコンテナにも応用可能である。
【0065】
一例として、図4に示されたコンテナ(18)等のコンテナは、使い捨てコンテナの内部の1又は1以上の処理パラメータを制御及び/又は監視するための様々なセンサ及び/又はプローブを備える。処理パラメータは例えば、温度、圧力、pH、溶存酸素(DO)、溶存二酸化炭素(DCO)、混合率、及びガス流量のことをいう。他の場合においては、センサは光学センサとすることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、工程制御は、使い捨てのコンテナによって固定された滅菌バリアを傷つけない方法で実施される。例えばガス流は、流入用エアフィルタ上流でロータメータ又はマスフローメータによって監視及び/又は制御される。他の実施形態では、使い捨て光学プローブは、指示染料を有する物質の「一部(パッチ)」を用いるよう設計される。指標染料は、使い捨てコンテナの内側に埋め込み可能であるとともに、再利用可能な支持構造体(14)内のサイトウィンドウ(60)を介して使い捨てコンテナ(18)の壁部に示されている。例えば、溶存酸素、pH、及び/又はCOの各々は、光学パッチ及び光学センサによって監視されると共に制御される。光学パッチ及び光学センサは例えば、ガンマ線を照射可能な生体適合性のあるポリマ上に取り付けられる。ポリマはコンテナ(18)の表面に固定されたり、埋め込まれたり、或いは取り付けられたりすることが可能である。
【0067】
図5を再び参照する。例えば説明された実施形態は、本発明の一実施形態による使い捨て可能なバイオリアクタ(100)を示す。再利用可能な支持構造体(140)は、折り畳み可能な袋体又は他のコンテナ(102)を取り囲むと共に支持する。折り畳み可能な袋体又は他のコンテナ(102)は、温度制御装置(106)と動作可能に接続することができる。温度制御装置の非制限的な例として、熱交換器、閉ループ式のウォータージャケット、電気毛布、又はペルチェヒータが挙げられる。ヒータはまた、コンテナ(102)内部の内容物の温度を感知する熱電対(104a)及び/又は測温抵抗体(RTD)をさらに備える。熱電対(104a)は、温度制御装置(106)と動作可能に接続されていてよく、コンテナ(102)内の内容物の温度を制御する。任意で、熱伝導物質がコンテナ(102)の表面に埋め込まれ伝熱面がもたらされる。これにより、コンテナ(102)の他の部分を形成するために用いられた材料の絶縁効果が克服される。
【0068】
冷却は、閉ループ式のウォータージャケット冷却システム、リアクタに取り付けられた冷却システム、又は再利用可能な支持構造体上のカバー/ジャケット(例:電気毛布)を介した標準的な熱交換によって行われる。また、加熱と冷却を行うパッケージ化された複式ユニットは、加熱と冷却両方のために構成された装置の部材を含むことも可能であるが、冷却ジャケットから分離することができる。冷却はペルチェ冷却器によってもたらされる。例えば、ペルチェ冷却器は排気管に適用され、排出ガス中のガスを液化して排気フィルタが濡れるのを防ぐ。
【0069】
ある特定の実施形態において、リアクタシステムは上部空間及び/又は流出口の排気管を冷却するガス冷却を備える。例えば、ジャケット冷却、電気熱及び/又は化学冷却、又は熱変換は、流出口の送気管及び/又はコンテナの上部空間内で行われる。上記冷却されることによってより多くの凝縮物がコンテナへと戻され、これにより流出口の排気フィルタの詰まりや付着物が減少する。実施形態によっては、事前に冷却したガスを上部空間へと追いやることにより、露点が低下し、及び/又は流出口の空気ガスの水蒸気の負担が減少する。
【0070】
開示されたシステムのいくつかの実施形態において、センサ及び/又はプローブ(例:センサ(108))は、センサ電子モジュール(132)に接続されてもよく、モジュールの出力は端子盤(130)及び/又は継電器箱(128)に送られる。センサ電子モジュール(132)は、1又は1以上の電源ユニット(136)に動作可能に接続される。「VCC」という用語は通常の知識を有する者によって一般に用いられるが、これはバイポーラトランジスタのコレクタ端子に接続される電源部からの電圧のことを言う。NPN型バイポーラ接合トランジスタにおいて電圧は+VCCと指定され、一方PNP型トランジスタにおいて電圧は−VCCと指定される。
【0071】
センサ操作の結果はコンピュータによって実行される制御システム(115)(例:コンピュータ)に入力され、制御システムは様々なパラメータ(温度及び重量/容積の測定)の計算及び制御を行うと共にその表示やユーザ干渉を行う。このような制御システム(115)は、熱、空気、及び/又は液体を制御するための電気的、機械的、及び/又は空気圧システムを備える。熱、空気、及び/又は液体は、必要に応じて、使い捨て可能なコンテナへ供給されるか、或いは使い捨て可能なコンテナから回収される。これにより、工程操作の環境パラメータを安定又は制御される。制御システム(115)は他の機能を実行してもよく、本発明は任意の特定の機能又は一連の機能を有することに限定されない
【0072】
1又は1以上の制御システムは多くの手法で実行可能である。この手法には専用のハードウェア及び/又はファームウェアを用いたり、マイクロコードやソフトウェアを使用して上記に列挙した機能や又は前述の任意の適切な組み合わせを実行するようプログラム処理されたプロセッサを用いたりするものがある。制御システムは、生物学的、生化学的、又は化学的な反応のための単一リアクタの1又は1以上の操作、或いは複数の(別々の又は相互接続された)リアクタの1又は1以上の操作を制御する。
【0073】
記載されたシステムの各々(例えば、図5に関連したもの)、及びそれらの部材は、ソフトウェア(例:C、C#、C++、Java、又はそれらの組み合わせ)、ハードウェア(例:1又は1以上のアプリケーション特有の集積回路)、ファームウェア(例:電気的にプログラムされたメモリ)、又はそれらの任意の組み合わせを備える様々な技術を用いて実行される。
【0074】
本発明による様々な実施形態は、1又は1以上のコンピュータシステムで実行可能である。これらのコンピュータシステムは例えば、PENTIUM(登録商標)及びXSCALE(登録商標)等のIntel(登録商標)プロセッサ(INTEL社)に基づく、汎用コンピュータである。1又は1以上のいかなる種類のコンピュータシステムが、本発明に記載される様々な実施形態を実行するために用いられることができる。コンピュータシステムは特別にプログラムされた、特定の目的を有するハードウェア、例えば、アプリケーション特有の集積回路(ASIC)を備える。様々な要素がソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで実行される。さらに、このような方法、行為、システム、システムの要素及びこれらの構成要素は、記載されたコンピュータシステムの一部として又は独立した構成要素として実行される。
【0075】
ある実施形態において、本明細書記載の容器と動作可能に接続する制御システムは、携帯可能である。制御システムは、例えば、バイオリアクタシステム(100)内で流体操作(例えば、混合及び反応)を行うために必要な制御と作用の全て又は多くを備える。制御システムは、1つの支持部と容器の輸送を容易にするキャスターを備える。このような携帯制御システムは、設定された命令でプログラム化され、必要に応じて、(任意で容器と共に)運搬されると共に容器に取り付けられる。また携帯制御システムは、従来の流体操作制御システムを設定するのに必要な時間よりも短時間で流体操作を行う準備を整えることが可能である。例えば、開示されるシステムは1週間未満、1時間未満から3日未満、3時間未満から12時間未満で設定可能である。
【0076】
コンテナ(102)を備える容器は、本発明の様々な態様において、1またはそれ以上のガスの供給源に接続可能である。ガスは、空気、酸素、二酸化炭素、窒素、アンモニア、又はその混合物等である。ガスは通常、圧縮されると共に制御可能に放出又は送出可能である。このようなガスを用いることにより、コンテナ内部での生成物の生成に好適な成長条件及び/又は反応条件がもたらされる。また、ガスを用いて、例えば混合又は他の目的で、コンテナ内部の内容物にガスが散布可能である。例えば、スパージャを用いる特定の実施形態において、泡の大きさ及び分布が制御可能となるのは、流入口のガス流がコンテナに加えられるよりも先に浸透性の高い表面を通過するときである。さらに、散布表面は細胞分離装置として用いられることもある。これは、多孔性表面の外部表面上で加圧と減圧を交互に行うこと或いは任意の他の適切な方法によってなされる。
【0077】
特定の例として、図5はガス(118)及び(124)の様々な供給源を示す。流入ガスは、フィルタ(120)及び/又はフローメータ及び/又はバルブ(122)を任意で通過することができる。これはコンテナに進入する前に制御システム(115)により制御される。バルブ(122)は空気圧式アクチュエータ(例えば、圧縮空気/二酸化炭素又は他のガス(124))であってよく、電磁バルブ(126)によって制御される。これら電磁バルブは端子盤(130)に接続された継電器(128)によって制御される。端子盤は制御システム(115)に接続されている。端子盤は例えばPCI端子盤、又はUSB/パラレル、又は接続部のファイアポート用端子盤を備える。他の実施形態において、フラッシュ式閉鎖バルブは追加ポート、取り込み及びサンプリングバルブに用いられる。流れを正確に測定する進歩的なチューブ状のピンチバルブも利用可能である。いくつかの場合においては、バルブはフラッシュ式閉鎖バルブ(例えば、流入口用、排出口用、サンプリング口用など)である。流入ガスは容器の任意の好適な流入口に接続可能である。ある実施形態において、流入ガスは1又は1以上のスパージャを伴い、このスパージャは以下に詳細に記載されるように独立して制御可能である。
【0078】
図5で説明される例示的な実施形態で示される通り、本発明の他の態様によると、図4又は図1で示されたコンテナ及び支持構造体は、バイオリアクタシステム(100)全体の一部として様々な部材と動作可能に接続する。したがって、コンテナ及び/又は支持構造体は、液状媒質、ガス等の試薬を供給する配管との接続だけでなく、センサ、フィルタ、ミキサなどの機能的な部材との接続を容易に行う複数の接続金具を備える。コンテナ及び接続金具は、使用前に滅菌されることによって、外部の気中浮遊汚染物質からコンテナ内部の内容物を保護する「滅菌膜」をもたらす。いくつかの実施形態において、コンテナ内部の内容物は、再利用可能な支持構造体と接触しない。したがって、コンテナ及び/又はコンテナに接続される接続金具は廃棄可能な一方で、再利用可能な支持構造体は、滅菌を行わない特定の化学的、生化学的、及び/又は生物学的な反応を行った後に再利用可能である。他の実施形態では、コンテナ、接続金具、及び/又は再利用可能な支持構造体は(例えば、洗浄及び滅菌後に)再利用可能である。
【0079】
容器はまた、コンテナの内容物を混合する混合システムも備える。いくつかの場合において、1以上の攪拌器又はミキサが用いられてもよく、攪拌器及び/又はミキサは同一でも異なるものでも可能である。1以上の攪拌システムは、例えば混合能力を高めるために用いられる。いくつかの場合において、攪拌器は高さ調節が可能なものとすることができる。例えば、ドラフトシャフトは、羽根車又は攪拌器をタンク底面上に上昇させることが可能で、及び/又は複数の羽根車又は攪拌器の使用を可能にする。いくつかの場合において、容器の混合システムは使い捨てであってもよく、或いは1度の使用(例えば容器と共に)を目的としたものとすることが可能である。
【0080】
流体を混ぜ合わせる様々な方法はコンテナ内で実行可能である。例えば、磁性駆動、散布、及び/又はエアリフトに基づいたミキサも使用可能である。密閉されると共に磁性結合されていない直接シャフト駆動のミキサを使用することもできる。
【0081】
混合システムは、例えば磁性攪拌器を含むことが可能である。一般的に、磁性攪拌器は固定磁石又は永久磁石などの磁石を用いて攪拌器を回転或いは移動させる。撹拌器とは、羽根車、板、羽根、厚板、円錐等である。いくつかの場合において、磁性攪拌器内部の磁石が固定されると共に、順々に稼動又は活性化される。これにより、例えば内部の磁性羽根車のハブを介して、攪拌器を加速又は減速させる。シャフトはコンテナを貫通しないため、内部及び/又は外部の回転シール、新鮮な熱蒸気等を用いて攪拌器を殺菌状態に維持する必要はない。
【0082】
他の配置も可能であるが、このような装置は磁気駆動の羽根車を備えることができる。いくつかの構造において、羽根車は磁気的に駆動され、モータは羽根車に直接接続されていない。駆動ヘッドに接続する磁石は、羽根車のハブに接続する磁石と整列可能である。そのため、駆動ヘッドは磁気相互作用により羽根車を回転させることができる。いくつかの場合においては、モータ部分(及びその他モータに接続する部材)は、支持構造体上に据え付け可能である。
【0083】
本明細書に記載の羽根車システムは、システムがいかなる種類の流体、固体又は泡を混合することを可能にする。例えば、コンテナ内部の流体は混合されてもよく、これにより細胞成長の使用のために栄養物及び油溶性ガスの分配をもたらす。同じ使い捨て可能なコンテナは、使い捨て可能な生成物の接触面が所望の緩衝材及び媒質又は他の溶液を混合するために利用可能である。これはまた、容器が滅菌される或いは滅菌状態を維持されることを必要とされない使用を含む。さらに、本明細書に記載の一実施形態は、流体/混合物/ガスを収容するコンテナを、再利用可能な支持構造体から除去することを可能にする。これにより、再利用可能な支持構造体は、コンテナ内で混合される流体によって汚染されない。したがって、再利用可能な支持構造体は、使用後毎回洗浄或いは滅菌される必要がない。
【0084】
<相当語句>
本発明のいくつかの実施例が説明及び描写される一方で、通常の技術を有する当業者は、機能を実行すること、及び/又は結果及び/又は本明細書に記載の1又は1以上の効果を得るための他の手段及び/又は構造を容易に想到することができる。またこのような変形及び/又は修正は、本発明の範囲内であるとみなされる。さらに通常は、当業者は本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料及び形態が模範とされること、及び実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は形態は、特定の適用或いは本発明の教示が用いられる応用に基づいていることを認識している。当業者は、通常の実験、本明細書に説明される特定の実施例の多くの同等物だけを用いずとも理解し、或いは解明することが可能である。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示される。また添付の請求の範囲及びその同等物の範囲内において、本発明は、特に説明及び請求の範囲に記載された以外の別の方法で実施されることができる。本発明は、本明細書に記載の各個別の特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法を対象とするものである。さらに、このような特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法を2つ以上組み合わせることも本発明の範囲内に含まれる。それは、特徴、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が互いに矛盾したものでない場合に限る。
【0085】
本明細書中で定義され用いられる全ての定義は当然、辞書の定義、参照することにより本明細書に組み込まれる文献中の定義、及び/又は用語の普通の意味を使い分ける。
【0086】
本発明の明細書及び請求の範囲において用いられる不定冠詞「a」や「an」は、はっきりと提示されない限り、当然「少なくとも1つ」という意味である。
【0087】
また、はっきりと提示されない限り、本明細書中に主張される本方法の1以上の段階或いは作用、又は本方法の段階或いは作用の順番は、必ずしも限定される必要はない。
【0088】
上記の明細書と同様に請求の範囲において、全ての移行句は非限定的に用いられるものである。移行句とは例えば、「構成する(comprising)」「備える(including)」「運ぶ(carrying)」「有する(having)」「含む(containing)」「包含する(involving)」「保持する(holding)」「〜なる(composed of)」などである。非限定的とはすなわち、それを含むがそれに限定されることはないということを意味する。「〜からなる(consisting of)」及び「不可欠に〜からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ限定的或いは半限定的な移行句である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定体積の流体を収容するように構成された容器内の物品を持ち上げ或いは支持する持ち上げアセンブリであって、
前記容器の上部に接続するよう構成されるアセンブリ支持構造体と、
前記アセンブリ支持構造体上に取り付けられると共に前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動可能であって、前記物品が支持或いは持ち上げられるため接続されるよう構成される持ち上げ部材と、及び
前記持ち上げ部材を前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動させる駆動装置を有する持ち上げアセンブリ。
【請求項2】
前記物品が折り畳み可能な袋体を有し、
前記持ち上げ部材が、前記折り畳み可能な袋体の少なくとも上部を持ち上げて、前記折り畳み可能な袋体を折り畳み形状から非折り畳み形状へと変化させると共に前記折り畳み可能な袋体を前記非折り畳み形状で支持するよう構成され配されることを特徴とする請求項1記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項3】
前記持ち上げ部材が持ち上げ棒を備えることを特徴とする請求項2記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項4】
前記持ち上げ棒が、前記折り畳み可能な袋体の前記上部の一部と係合するフックを備えることを特徴とする請求項3記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項5】
前記持ち上げ部材が複数の持ち上げ棒を備え、該持ち上げ棒は前記折り畳み可能な袋体を非折り畳み形状で支持するよう構成され配されることを特徴とする請求項2記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項6】
前記持ち上げアセンブリがさらにケーブル又はチェーンを備え、前記ケーブル又は前記チェーンは前記持ち上げ部材に直接又は間接的に接続される第1端部と、前記駆動装置に直接又は間接的に接続される第2端部を備えることを特徴とする請求項1記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項7】
前記駆動装置がモータを備えることを特徴とする請求項1記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項8】
前記駆動装置が滑車システムを備えることを特徴とする請求項1記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項9】
前記アセンブリ支持構造体が1以上の支持棒を備えることを特徴とする請求項1記載の持ち上げアセンブリ。
【請求項10】
所定体積の流体を収容するよう構成された折り畳み可能な袋体を有し、前記折り畳み可能な袋体を取り囲むと共に収容する支持構造体を有する容器と、
前記容器の上部に接続され、アセンブリ支持構造体及び前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動可能な持ち上げ部材を備える持ち上げアセンブリを有するシステムであって、
前記持ち上げ部材は、前記折り畳み可能な袋体の少なくとも上部を持ち上げて、前記折り畳み可能な袋体を折り畳み形状から非折り畳み形状へと変化させると共に前記折り畳み可能な袋体を前記非折り畳み形状で支持するよう構成され配されることを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記容器が流入口を備え、該流入口は該容器の底部に配されると共に前記折り畳み可能な袋体が前記容器内へ入ることを可能にするよう構成され、
また前記持ち上げ部材が、少なくとも前記流入口まで延出可能であることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記持ち上げ部材が複数の持ち上げ棒を有することを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項13】
前記流入口が少なくとも10Lの所定体積を有する折り畳み可能な袋体が通過可能な大きさであって、
また前記容器が前記容器に取り外し可能に接続される流入口カバーを有することを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記持ち上げアセンブリが、前記持ち上げ部材を前記アセンブリ支持構造体に対し直立方向に移動させるモータを有することを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項15】
前記折り畳み可能な袋体の底面部に接続された複数のロッドを有し、前記ロッドが前記持ち上げアセンブリの持ち上げ部材によって係合するよう構成されて前記持ち上げアセンブリが前記折り畳み可能な袋体の少なくとも前記上面部を持ち上げると共に支持することが可能になることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項16】
前記折り畳み可能な袋体の前記上面部が複数のスリーブを備え、各スリーブが前記複数のロッドの1つを含むことを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項17】
容器内に収容された物品を持ち上げる方法であって、
所定体積の流体を収容するよう構成された内側部分及び前記容器の前記底部に配された流入口を備える容器の上部から底部へ持ち上げ部材を延出させる工程と、
前記持ち上げ部材の少なくとも一部が前記流入口或いはその近傍に配されるように、前記持ち上げ部材を前記容器の前記底部に配された前記流入口の方へ方向付ける工程と、
前記持ち上げ部材の少なくとも一部に物品を接続する工程と、及び
前記持ち上げ部材及び前記物品を前記容器の前記上部の方へ上昇させる工程を備える方法。
【請求項18】
前記持ち上げ部材の前記容器の上部から底部への延出が、前記持ち上げ部材に接続されたケーブル又はチェーンの延出を含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記流入口或いはその近傍に配された前記持ち上げ部材の前記少なくとも一部が前記流入口を介して方向付けられていることにより、前記持ち上げ部材の前記少なくとも一部が、前記持ち上げ部材の少なくとも一部に前記物品を接続する前に、前記容器の内側部分の外側に配されていることを特徴とする請求項17又は18いずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−291192(P2009−291192A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−124511(P2009−124511)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(508230743)エクセレレックス インク. (11)
【Fターム(参考)】