説明

容器用キャップ

【課題】容器にどのような状態で取り付けられているか、あるいは残存内容物が使用可能か否か目視で確認できるキャップを提案する。
【解決手段】容器(1)の口部に係合保持されるベース(2)と、このベース(2)の外表面に合わさる天面壁(3a)を有し該ベース(2)とは個別に回動可能なベースキャップ(3)からなるものとする。そして、前記ベースキャップ(3)に、ベース(2)の外表面につながる少なくとも1つの開口(6)を設け、前記ベース(2)の外表面に、ベースキャップ(3)の回動位置に応じて該開口(6)より露出させる文字、記号等の表示項目を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用キャップに関するものであり、該キャップが容器に対してどのような状態で装着されているか目視でもって簡単に把握しようとするものである。以下、毛染剤等の薬液を入れる容器を例にとって説明する。
【背景技術】
【0002】
種類の異なる内容物を1つの容器に入れて混合して使用に供される毛染剤の如きにおいては、内容物の反応によるガスの発生が不可避であることから、容器内に混合に係わる内容物を残したままキャップを締め込んで保管しておくような場合に、内圧の上昇により容器が変形、破損して内容物が漏洩したり、キャップが脱落(吹き飛び)して内容物が飛び散る等の不具合があり、この種のキャップには、かかる不具合を防止する観点からガス抜き用の導通路が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004─91001号公報
【0003】
ところで、該キャップは、容器の開封する前は確実にシールできることが求められ、リキャップ時には、ガス抜き用の導通路が形成される状態での取り付けが重要になるところ、リキャップ時にガス抜き用の導通路が開通されているかどうか判断しにくく、未だ改善の余地が残されていた。
【0004】
また、反応性の内容物にあっては、一定時間の経過によりその効能が失われる性質を有するものもあり、このような内容物についてはリキャップして保存ができるか否かの判断ができない場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、リキャップ時に容器に対してどのような状態で取り付けられているか、あるいは、容器内に残存した内容物が使用可能であるか否か一目で把握できる新規なキャップを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部を密封保持するキャップであって、
容器の口部に係合保持されるベースと、このベースの外表面に合わさる天面壁を有し該ベース上にて回動可能なベースキャップからなり、
前記ベースキャップに、ベースの外表面につながる少なくとも1つの開口を設け、
前記ベースの外表面に、ベースキャップの回動位置に応じて該開口より露出させる文字、記号等の表示項目を設けたことを特徴とする容器用キャップである。
【0007】
上記の構成になる容器用キャップにおいては、前記ベースキャップのベースに対する回動抵抗は、ベースの、容器の口部に対する開栓トルクよりも小さいものであることが好ましく、又、前記ベースとベースキャップの相互間には、キャップの閉栓する向きへの回動を阻止するラチェット機構を設けることができる。
【発明の効果】
【0008】
キャップが容器に対してどのような状態で取り付けられているか、あるいは容器内に残存する内容物が使用可能か否か、ベースキャップの開口を通して文字や記号などの表示項目が現れるため、簡単に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1(a)(b)は本発明にしたがうキャップを容器の口部に取り付けた状態における実施の形態を示したものである。
【0010】
図における1は内容物を充填する容器、2は容器1の口部にねじあるいはアンダーカット等の手段によって係合保持されるベースである。このベース2は外表面2a(以下、これを頂壁部分と言う)と、この頂壁部分2aの縁部につながる側壁部分2bからなっており、頂壁部分2aには環状溝部2cと、この環状溝部2cの溝底にて開口する貫通孔2dが設けられている。
【0011】
また、3はベース2に覆い被さるベースキャップである。このベースキャップ3はベース2の頂壁部分2aに合わさる天面壁3aと、この天面壁3aの縁部につながりベース2の側壁部分2bに合わさる側壁部分3bからなっており、その下端にはベース2に対して抜出し不能に係合させるための内方への突出部が、また、天面壁3aには、ベース2の環状溝部2cに嵌り込みベース2とは個別に回動可能に支持する環状体3cが設けられ、その内側直近には貫通孔3dがそれぞれ形成されている。
【0012】
4は環状溝部2cの内側壁上部に設けられた縦溝(縦リブを用いて構成してもよい。)、5は環状体3cの内側下部域に設けられた縦溝、6はベースキャップ3の天面壁3aに設けられた開口、7はベース2の頂壁2aに設けられた表示項目である。
【0013】
上記の構成になるキャップは、容器の開封前は縦溝4、5がずれていて、容器1は確実に密封された状態になっているが、容器を開封すべくキャップを回すと、ベースキャップ3のベース2に対する回動抵抗が、ベース2の、容器1口部に対する開栓トルクよりも小さい(摩擦抵抗が異なる)ことから、まず、ベースキャップ3がベース2の周りに沿い回動して縦溝4、5が合致し、それからベース2が回転する。
【0014】
縦溝4、5が合致すると、ベース2の貫通孔2dとベースキャップ3の貫通孔3dが導通してガスの排出が可能となるとともに、図2に示すように、これに連動してベースキャップ3の天面壁3aの開口6に「ガス排出可能」の如き表示項目が現れる。
【0015】
リキャップ時には、ベースキャップ3は逆向きに回動することになるので、貫通孔2dと貫通孔3dを常時導通させておくため、ベース2とベースキャップ3の相互間には図3に示すようなラチェット機構を設けて該ベースキャップ3の逆向きの回動を阻止する。なお、図示の実施例においては、ベース2の上端縁部(頂壁部分2aと側壁部分2bとの接続部位)でベース2の周方向に沿う向きに設けられた一対の凹部内にラチェット機構が成形されている。
【0016】
本発明においては、毛染剤を入れる容器に好適なキャップを例にして説明したが、例えば、キャップの天面に内容物の排出用の開口を有するノズルタイプのキャップや一定時間の経過によりその効能が失効する性質を有する内容物を収納する容器に装着される通常のキャップにも適用できるものであり、ガス抜きの導通路を有するキャップにのみに限定はされない。
【0017】
表示項目は、文字の他、記号等を用いることができ、使用者に対して注意を喚起することができるものであれば色、模様、絵等、文字や記号以外のものを用いてもよい。
【0018】
開口6は2つ設けた場合について示したが一つであってもよく、その個数は必要に応じて増減できる。また、上記の実施例では、ベースキャップ3の天面壁3aに開口を設けた場合について示したが、本発明はこれに限られるものではなく、ベースキャップ3の側壁部分3bに開口を、ベース2の側壁部分2bに表示項目を設ける構成を採用することも可能であり、さらには、天面壁3aと側壁部分3bの両者に開口を設けて表示項目を露出させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
容器に対してどのような状態で取り付けられているか、あるいは、残存内容物が使用可能か否か瞬時に目視できる容器用キャップが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明にしたがう容器用キャップの実施の形態を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】ベースキャップを回動させた状態を示した図である。
【図3】ラチェット機構を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0021】
1 容器
2 ベース
2a 頂壁部分
2b 側壁部分
2c 環状溝部
2d 貫通孔
3 ベースキャップ
3a 天面壁
3b 側壁部分
3c 環状体
3d 貫通孔
4 縦溝
5 縦溝
6 開口
7 表示項目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部を密封保持するキャップであって、
容器の口部に係合保持されるベースと、このベースの外表面に合わさる天面壁を有し該ベースとは個別に回動可能なベースキャップからなり、
前記ベースキャップに、ベースの外表面につながる少なくとも1つの開口を設け、
前記ベースの外表面に、ベースキャップの回動位置に応じて該開口より露出させる文字、記号等の表示項目を設けたことを特徴とする容器用キャップ。
【請求項2】
前記ベースキャップのベースに対する回動抵抗が、ベースの、容器の口部に対する開栓トルクよりも小さいものである請求項1記載の容器用キャップ。
【請求項3】
前記ベースとベースキャップの相互間に、キャップの閉栓する向きへの回動を阻止するラチェット機構を有する請求項1又は2記載の容器用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−56590(P2006−56590A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243234(P2004−243234)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】