容器用口栓及び容器
【課題】大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器用口栓を提供する。
【解決手段】容器用口栓20であって、円筒部23と、円筒部23の内腔を塞ぐ封止板部25と、封止板部25より突出して周方向一方側に向かって高くなる第一スロープリブと、この第一スロープリブよりも周方向一方側にかつ径方向内側に配置されて周方向一方側に向かって高くなる第二スロープリブとを有する容器本体10に取り付けられる第一部材21と、これら第一スロープリブ及び第二スロープリブを押圧する押圧リブを有して第一部材21に対して相対回転可能かつ円筒部23の軸線方向に相対移動不能とされた第二部材22とを備え、第二部材22を第一部材21に対して相対回転させると押圧リブにより第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧されて封止板部25が変位し、円筒部23の内腔が開通することを特徴とする。
【解決手段】容器用口栓20であって、円筒部23と、円筒部23の内腔を塞ぐ封止板部25と、封止板部25より突出して周方向一方側に向かって高くなる第一スロープリブと、この第一スロープリブよりも周方向一方側にかつ径方向内側に配置されて周方向一方側に向かって高くなる第二スロープリブとを有する容器本体10に取り付けられる第一部材21と、これら第一スロープリブ及び第二スロープリブを押圧する押圧リブを有して第一部材21に対して相対回転可能かつ円筒部23の軸線方向に相対移動不能とされた第二部材22とを備え、第二部材22を第一部材21に対して相対回転させると押圧リブにより第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧されて封止板部25が変位し、円筒部23の内腔が開通することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用口栓、より詳しくは開封が容易な容器用口栓及びこれを用いた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の様々な液体及び粉体の調味料や食品等が、口栓の付いた容器に充填されて流通、販売されている。当該口栓の構造としては、容器に取り付けられた注出口本体と、この注出口本体にネジ嵌合されて開閉可能に注出口を密閉するスクリューキャップとを備えるものが一般的である。
【0003】
上述の口栓においては、充填された内容物を使用時まで品質を落とさずに保持するため、通常注出口本体はプルタブによって閉じられており、使用開始時にこのプルタブを引き抜いて開栓することにより使用可能な状態となる。多くの場合、注出口本体及びプルタブは樹脂等によって一体成型され、開封を可能あるいは容易にするために、両者の境界部にはハーフカット等が施されて肉薄に加工されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4145085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような注出口においては、プルタブを引きちぎるために、指先のみを使って大きな力を作用させる必要があり、力の弱い女性やこども、高齢者、あるいは指先の不自由な人等には使い勝手がよくないという問題がある。
【0006】
また、プルタブが注出口本体から切り離される際に、プルタブに付着していた内容物が飛散したり容器が揺れたりすることにより、内容物によって周囲が汚れてしまうことがある。
さらに、プルタブに指を掛ける際には、指で注出口の内面に触れてしまう場合が多く、開封後に内容物が当該内面に触れてしまうと衛生面で問題となる場合もある。
加えて、注出口本体から切り離したプルタブは、それ自体が廃棄物となるため、廃棄の手間がかかるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器用口栓を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る容器用口栓は、液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、円筒部と、前記円筒部の内腔を塞ぐ封止板部と、前記封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、該第一スロープリブよりも周方向一方側に、かつ径方向内側に配置され、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、これら第一スロープリブ及び第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、前記第二部材を前記第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、前記押圧部により前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧されて前記封止板部が変位することにより前記円筒部の内腔が開通することを特徴とする。
【0009】
このような容器用口栓においては、まず、第二部材を第一部材に対して所定の方向に相対回転させることで、まず径方向外側に位置する第一スロープリブが軸線方向に押圧され、封止板部の周縁部に押圧力が作用する。その後、径方向内側に位置する第二スロープリブが押圧されることによって、封止部材の中央部に押圧力が作用することとなり、封止板部全体を均等に押圧し破断することによって、軸線方向に内腔を開通する。
【0010】
また、前記封止板部に突出して設けられ、前記第二スロープリブよりも周方向一方側に配置され、かつ径方向外側に配置される第三リブを備えていてもよい。
【0011】
このような第三リブを備えることによって、押圧部が第一スロープリブ及び第二スロープリブを経て円筒部の内腔が開通した後に、この第三リブと押圧部が係合した状態で第二部材が保持される。したがって、破断した封止部材を軸線方向に押し込む方向に押圧力が作用する状態を維持でき、上記内腔が再度閉塞されることがない。
【0012】
前記封止板部は、一部が他の部分よりも薄い厚さとされた薄肉部位を有し、前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位する際に、前記薄肉部位が断裂して複数の封止板に分割されてもよい。
【0013】
第一スロープリブ及び第二スロープリブに押圧力が作用した際には、封止板部に形成された薄肉部位によって封止板部の断裂を容易化でき、より弱い力で複数の封止板部に分割できる。この結果、より容易に確実に軸線方向に円筒部の内腔を開通でき、容器の開封が可能となる。
【0014】
さらに、前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧してもよい。
【0015】
押圧部を板状部材とすることによって、第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧され、封止板部全体に押圧力を作用させることが可能となり、より容易に確実に容器を開封できる。
【0016】
また、本発明に係る容器は、上記の容器用口栓と、前記容器本体とを備えることを特徴とする。
【0017】
封止板部に押圧部から押圧力が作用することによって、軸線方向に円筒部の内腔を開通でき、容器の開封が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の容器用口栓及び容器によれば、第一部材と第二部材との相対回転の際の回転力を押圧力に変換することで円筒部の内腔を開通できる。したがって、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態の容器の分解斜視図である。
【図2】同容器の開口部周辺の断面図である。
【図3】同容器の容器用口栓における第一部材の平面図及び断面図である。
【図4】同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。
【図5】同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。
【図6】同容器用口栓における第二部材の底面図及び平面図、並びに断面図である。
【図7】同容器の開封時における同封止板部及び押圧リブの動きを示す図である。
【図8】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図9】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図10】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図11】開封された状態の同容器の開口部周辺の断面図である。
【図12】封止部材の形状の他の例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態の容器における容器用口栓の第一部材平面図及び断面図と、第一部材の突起部のスロープ形状を展開して示す図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
図1は、本実施形態の容器1の全体構成を示す図である。容器1は、本発明の容器用口栓20を備えるものであり、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の液体または粉体の各種食品や調味料等の内容物が充填されて使用されるものである。
【0021】
図1に示すように、容器1は、内容物が充填される容器本体10と、容器本体10の開口部に取り付けられた容器用口栓20と、容器用口栓20を覆うように容器本体10に対して着脱自在に取り付けられたキャップ80とを備えている。
【0022】
容器本体10は樹脂やガラス等で形成された公知の構成を有し、その形状に特に制限はない。キャップ80も樹脂等で形成された公知の構成を有する。本実施形態のキャップ80は、図2に断面で示すように、容器本体10に形成されたスクリュー11と係合することで、容器本体10に対して着脱自在に取り付けられているが、容器本体10とキャップ80とを着脱自在とする構造については特に制限はなく、公知の各種機構を適宜採用することができる。
キャップ80は、保管時等において容器用口栓20を覆って密閉し、充填された内容物を保護したり、容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。
【0023】
容器用口栓20は、容器本体10の上部に形成された開口部12に取り付けられており、容器1の開封前においては、内容物を保護したり容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。容器1の開封後においては、内容物を注ぎ出すための注出口として機能する。
【0024】
容器用口栓20は、開口部12に取り付けられる第一部材21と、第一部材21に取り付けられる第二部材22とを備えている。
図3の上側は第一部材21の平面図であり、下側は当該平面図のA−A線における断面図である。第一部材21はポリエチレン樹脂等の比較的軟質の材料よりなり、略円筒状の円筒部23と、容器本体10に係合させるための係合部24とを備えている。
【0025】
円筒部23は、その内腔が容器用口栓20の開封後に内容物の流路となる。円筒部23の略円筒形状の軸線P方向端部のうち、容器本体10に取り付けられる側の第一端部23A側には、開封時まで容器本体10を密封するための封止板部25が形成されており、円筒部23の内腔を塞いでいる。
【0026】
図4は、円筒部23と封止板部25とを第一端部23A側から見た状態を示す図である。図4に示すように、封止板部25と円筒部23との境界となる封止板部25の周縁には、第一端部23A側からハーフカットとしてのV溝26Aが形成されており、後述する開封操作によって容易に封止板部25が円筒部23から切り離される薄肉部位25C(図3参照)が形成されている。封止板部25の周縁のうち、軸線Pを挟んで対向する2箇所にはV溝26Aが形成されておらず、容器用口栓20の開封後も封止板部25と円筒部23との接続状態を保持する連結部27となっている。封止板部25には、2箇所の連結部27を結ぶように略サインカーブ状のV溝26Bが形成され、薄肉部位25Dが形成されている。V溝26A及び26Bが設けられていることにより、封止板部25は、容器用口栓20の開封時に2つの封止板25A及び25Bに分割される。
【0027】
封止板部25のうち、第一端部23Aとは反対側の第二端部23B側の面には、円筒部23と平行に突出する突起部28が設けられている。突起部28は、封止板25A及び25Bにそれぞれ1つずつ設けられており、薄肉部位25Cよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線P方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ29と、第二スロープリブ30と、第三リブ31との3つの部材を有している。
【0028】
図5は、突起部28の形状を展開して示す図であり、第一スロープリブ29は、各封止板25A、25Bにおいて薄肉部位25Dよりも径方向内側に配置され、この薄肉部位25Dに沿うように連結部27から最も離れた第一端部28Aより連結部27に向かって、即ち、円筒部23の周方向一方側R1に向かって、この周方向の中途まで(本実施形態では半周の1/3程度の位置まで)延在する部材であり、軸線P方向を向く面は、周方向一方側R1に向かって徐々に突出高さが増加する傾斜面とされている。
【0029】
第二スロープリブ30は、第一スロープリブ29よりも径方向内側に配置され、かつ第一スロープリブ29に周方向に連続するように、周方向一方側R1へ向かって周方向の中途まで(本実施形態では、半周の2/3の位置まで)延在する部材である。また、軸線P方向を向く面は、第一スロープリブ29の軸線P方向を向く面の傾斜に連続するように周方向一方側R1に向かって徐々に突出高さが増加している。そして、第一スロープリブ29の径方向内側を向く面と第二スロープリブ30の径方向外側を向く面とは一部で結合することで、第一スロープリブ29と第二スロープリブ30とは周方向に一部が重なっている。
【0030】
さらに、この第一スロープリブ29と第二スロープリブ30とが周方向に重なって結合されている部位においては、第二スロープリブ30の軸線P方向を向く面から軸線P方向へ向かって、かつ径方向外側から内側に向かって表面が削り取られることで面取り部30Aが形成されている。
【0031】
第三リブ31は、第二スロープリブ30よりも径方向外側に配置され、かつ第二スロープリブ30に周方向に連続するように、周方向一方側R1へ向かって周方向の中途まで(本実施形態では、半周程度の位置まで)延在する部材である。また、軸線P方向を向く面は、第二スロープリブ70よりも一段低くなり略平坦に形成されており、第二スロープリブ30の径方向外側を向く面と第三リブ31の径方向内側を向く面とが一部で結合することで、第二スロープリブ30と第三リブ31とは周方向に一部が重なっている。
【0032】
係合部24は、円筒部23の外周面に設けられたフランジ部32と、フランジ部32から第一端部23A側に延びる略円筒状の係合筒部33とを備えている。
フランジ部32のうち、係合筒部33が延びる側と反対側の上面には、一対のストッパー34が設けられている。一対のストッパー34は、軸線Pを挟んで対向する位置であって、第三リブ31に対応する位相の位置に形成されている。係合筒部33には、上記内腔に突出する係合突起33Aが周方向にわたって形成されており、図2に示すように、容器本体10の開口部12において径方向外側に突出した被係合部12Aと係合することにより、第一部材21が容器本体10に対して係合固定されている。
【0033】
係合筒部33の外周面には、径方向外側に突出した凸部33Bが周方向にわたって形成されている。凸部33Bは、第一部材21と第二部材22とを嵌合させるために用いられる。
【0034】
図6の上側は、第二部材22の底面図及び平面図、下側は上側図におけるB−B線における断面図である。
第二部材22はポリプロピレン、ポリスチレン樹脂等の比較的硬質な材料よりなっており、注出口35が形成された筒状部36と、第一部材21に嵌合させるための嵌合部37と、容器用口栓の開封時に封止板部25を押圧する押圧リブ(押圧部)38とを備えている。
【0035】
筒状部36は、円筒部39と、円筒部39の第一端部39Aに接続されたテーパー状の縮径部40とを有する。縮径部40によって円筒部39の径よりも小さい径となった筒状部36の端部の開口に、注出口35が形成されている。
【0036】
嵌合部37は、円筒部39と縮径部40との接続部位の稜線から円筒部39の径方向外側に突出する略円盤状のフランジ部41と、フランジ部41の周縁から注出口35と反対側に延びる略円筒状の嵌合筒部42とを有する。
【0037】
フランジ部41のうち、嵌合筒部42が延びる裏面には、円筒部39を囲むように略円筒状の支持壁43が形成されている。支持壁43と嵌合筒部42との間であって、軸線Pを挟んで対向する位置には、一対のスペーサー44が設けられている。そして各スペーサー44は、図6の底面図に示すように、押圧リブ38とほぼ同一の位相に位置するが、少し周方向他方側R2に位相がずれて形成されている。
【0038】
嵌合筒部42の内面には、第一部材21の凸部33Bに対応した形状の凹部45と、凹部45よりもフランジ部41から離れた位置に設けられ、径方向内側に突出する嵌合突起46とがそれぞれ周方向にわたって設けられている。嵌合筒部42の外面には、軸線P方向に延びる複数のリブ47が周方向に等間隔で形成されている。リブ47は、第二部材22の回転操作時(後述)における滑り止めとして機能する。
【0039】
押圧リブ38は、円筒部39及び縮径部40によって支持されるとともに軸線Pを挟んで対向するように設けられ、円筒部39の第二端部39Bから軸線Pに向かって突出して延びる板状をなす一対の支持部38Aと、これら一対の支持部38A同士を接続し、短手方向が軸線P方向に一致する平板状の接続部38Bとを有している。また、一対の支持部38Aと接続部38Bとは軸線P方向を向く端面が同一面上に位置しており、第二部材22の回転操作時(後述)においてこの端面が第一スロープリブ29、第二スロープリブ30及び第三リブ31に係合する。
【0040】
第一部材21と第二部材22とは、軸線P方向から見たときに、封止板部25の各連結部27と押圧リブ38とが重なるように位置決めされた状態で互いに嵌合されている。図2に示すように、第一部材21と第二部材22とが嵌合した状態において、第一部材21の凸部33Bは第二部材22の凹部45内に位置し、円筒部23は、第二端部23Bが円筒部39と支持壁43との間に収容されている。これにより、第一部材21と第二部材22とは、略同軸に嵌合されており、軸線P方向における相対移動が不能、かつ当該軸線Pを中心に相対回転可能となっている。
【0041】
上記のように構成された本実施形態の容器1の使用時の動作について説明する。
容器1に内容物が充填された食品の製造時においては、開口部12から容器本体10内に内容物を充填後、容器用口栓20を開口部12に取り付け、キャップ80を締めることにより完成する。その後、キャップ80が輸送中に外れないように必要に応じてシュリンクフィルム等で覆う等してから出荷される。
【0042】
容器1の開封前においては、容器用口栓に形成された封止板部25によって円筒部23の内腔が塞がれているため、容器本体10が密封されている。
容器1の開封時は、使用者はキャップ80を取り外し、容器本体10を保持しながら、容器用口栓20の第二部材22を所定の方向(本実施形態では注出口35側から見て右回り、即ち周方向一方側R1)に回転させる。すると、容器本体10に固定された第一部材21に対して、第二部材22が当該所定の方向に相対回転する。
【0043】
図7は、容器1の開封時における封止板部25及び押圧リブ38の動きを示す図である。第二部材22の回転操作により、各押圧リブ38は、図7に示す矢印の方向、即ち周方向一方側R1に移動し、突起部28に乗り上げていく。この時、押圧リブ38を介して、第二部材22には容器本体10から離間する方向に移動しようとする力が作用するが、第一部材21と第二部材22とは、軸線P方向にほとんど相対移動できないように互いに嵌合されている。このため、封止板部25の薄肉部位25C、25Dが断裂され、各封止板25A、25Bに分割されつつ、薄肉部位25C、25Dが容器本体10の内部に向かって変位するように押し込まれる。
【0044】
突起部28に押圧リブ38が乗り上げる時には、まず第一スロープリブ29に乗り上げることによって、径方向外側に押圧力が作用する。即ち、径方向外側における薄肉部位25Cと薄肉部位25Dとの接続部位付近の封止板部25が押し込まれ、図8に示すように、封止板部25が2枚の封止板に分かれていくきっかけとなる亀裂が形成される。
【0045】
使用者が第二部材22をさらに回転させると、図9に示すように、押圧リブ38は、第一スロープリブ29を乗り越えて第二スロープリブ30上を移動することによって、次に径方向内側に押圧力が作用する。これにより、より亀裂に近い位置に押圧力が作用していくこととなり、上述した亀裂が発生した部位から徐々に薄肉部位25C、25Dが切り裂かれていき、塞がれていた円筒部23の内腔に開口が形成されていく。
【0046】
この時、第二スロープリブ30に形成された面取り部30Aによって、押圧リブ38が第二スロープリブの径方向内側部分に干渉することなく、滑らかに第一スロープリブ29から第二スロープリブへ移動することができる。
【0047】
第二部材22をさらに回転させ、回転量が半回転ほどになると、押圧リブ38は第二スロープリブ30を乗り越えて第三リブ31上に移動する。それとともに、第二部材22のスペーサー44と第一部材のストッパー34とが接触し、それ以上、第二部材22を回転させることができなくなる。この状態において、封止板部25は2枚の封止板25A、25Bに分割され、図10及び図11に示すように、第三リブ31と押圧リブ38とが係合し、第三リブ31が押圧リブ38に押し込まれた状態で保持される。こうして、円筒部23の内腔が開通される。
【0048】
この時点で押圧リブ38が接触する第三リブ31は、第二スロープリブ30よりも一段低くなっているため、第二部材22が逆回転する等により押圧リブ38が再び第二スロープリブ30に移動する事態は発生しにくい。その結果、押圧リブ38による封止板部25の押し込み状態が保持され、容器用口栓20の開封状態が保持される。
【0049】
なお、容器用口栓20の開封後も、連結部27において各封止板25A、25Bと円筒部23との接続が維持されるため、開封によって各封止板25A、25Bが液体容器10内に落下することはない。
【0050】
容器用口栓20が開封されたあと、使用者は容器本体10を傾けることにより、注出口35から内容物を注ぎ出すことができる。使用後は、キャップ80を装着することにより、図11に示すように、キャップ80の内面に設けられた略円筒状の封止栓81が注出口35にはまり込んで容器本体10が密閉される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の容器用口栓20及び容器1によれば、第二部材22を把持して所定の方向に回転させるだけで容易に開封することができる。したがって、力の弱い女性やこども、高齢者等でも大きな力を必要とせずに容易に開封して内容物を利用することができる。
また、内容物の流路となる円筒部23及び39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
【0052】
また、第一部材21及び第二部材22にストッパー34及びスペーサー44が設けられており、第二スロープリブ30より低い第三リブ31が設けられているため、開封後の第二部材22は、ストッパー34と第二スロープリブ30との間(図3に示す範囲R1)でしか相対回転できず、実質的にほぼ位置決めされる。したがって、押圧リブ38が封止板部25を押し込んだ開封状態が好適に維持され、封止板部25が再び円筒部23の内腔を塞いでしまう等の不具合の発生を防止することができる。
【0053】
さらに、封止板部25にV溝26Bが形成されているため、開封後に封止板部25は2枚の封止板25A及び25Bに分割されて容器本体10内部に向かって押し込まれる。その結果、円筒部23の内腔は、図10及び図11に示すように、封止板25Aによって規定される第一流路C1と、封止板25Bによって規定される第二流路C2との2つの流路に概ね分割される。このため、内容物が粘度の高い液体等であっても各封止板25A、25Bにより好適に注出口35へ導かれる。加えて、容器本体10の内外における流体の入れ替えが第一流路C1及び第二流路C2によりスムーズに行われ、容器本体10内に空気が進入しにくいことによる注出不良や、逆に一気に空気が進入して多量の内容物が一度に注ぎ出される「脈流」と呼ばれる現象を起こしにくい。したがって、常に安定して内容物を注出することができる容器とすることができる。
【0054】
また、例えば、第二部材の注出口35の口径を変更することによって注出量を調整することができるため、各種容器に対して第一部材21を共用することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、封止板部を複数の封止板に分割させる薄肉部位25Dが、略サインカーブ状のV溝26Bにより形成された例を説明したが、薄肉部位25C、25Dの態様はこれには限定されない。例えば、図12(a)に示すような直線状の薄肉部位50Aでもよいし、図12(b)に示すような、直線が複数の屈曲点で屈曲された薄肉部位50Bであってもよい。さらに、図12(c)に示すように、封止板部25が3つの封止板に分割されるように薄肉部位50Cが形成されてもよい。このようにすると、第二部材を3分の1回転させることで容器用口栓20を開封することができ、操作量を低減してより操作しやすくすることができる。このように、封止板部25が開封時に分割される封止板の数は適宜設定されてよい。また、薄肉部位25C、25Dを形成するV溝26A、26Bは、第二端部23B側の面に設けられてもよい。
【0056】
さらに、突起部28においては、第一スロープリブ29、第二スロープリブ30及び第三リブ31の径方向の肉厚が異なっていてもよい。開封操作の当初においては、第一スロープリブ29に最も大きな力が加わるため、例えば、第一スロープリブ29を第二スロープリブ30及び第三リブ31よりも肉厚に形成することで、第一スロープリブ29の保形性を好適に維持して確実に開封操作を行うことができる。
【0057】
そして、第一スロープリブ29と第二スロープリブ30、第二スロープリブ30と第三リブ31とが径方向に結合されず、各々独立に封止板部25から突出していてもよい。
【0058】
また、本実施形態では押圧リブ38が円滑移動を可能とするために、第一スロープリブ29及び第二スロープリブ30の軸線P方向の高さは連続するように、第一スロープリブ29及び第二スロープリブ30が設けられているが、少なくとも、第一スロープリブ29よりも第二スロープリブ30の軸線P方向の高さの方が低くなっていればよい。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態の容器1は、第一部材61が第1実施形態の第一部材21とは異なっている。なお、以降の説明においては、既に説明したものと同様の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
第一部材61は、封止板部25のうち、第二端部23B側の面には、円筒部23と平行に突出する突起部68が設けられている。突起部68は、封止板25A及び25Bにそれぞれ1つずつ設けられており、薄肉部位25Cよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線P方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ69と、第二スロープリブ70と、第三リブ71と、さらに補助スロープリブ72との4つの部材を有している。
【0061】
図13には、突起部68の形状を展開して示す図を示しており、第一スロープリブ69、第二スロープリブ70及び第三リブ71は、第一実施形態と略同形状となっている。
そして、これらに加えて設けられる補助スロープリブ72は、第三リブ71と薄肉部位25Dとの間に第三リブと同一周上に配置され、連結部27と対応する位相の位置に延在する部材である。
また、この補助スロープリブ72の軸線P方向を向く面は、第一スロープリブ69の軸線P方向を向く面の傾斜に連続するように第三リブ71から第一スロープリブ69へ向かって周方向に徐々に突出高さが増加している。
【0062】
第一部材61のフランジ部32に設けられるストッパ34は、第三リブ71と補助スロープリブ72との間に対応する位相の位置に形成されている。
【0063】
このような補助スロープリブ72によって、押圧リブ38が第一スロープリブ69に到達する前に、まず補助スロープリブ72に乗り上げる。そして、押圧リブ38が薄肉部位25Cと薄肉部位25Dとの接続部位付近に到達した時には、すでに押圧力が封止板部25に作用している。したがって、第一スロープリブ69へ乗り上げる時点で予備的に押圧力が作用していることとなるため、封止板部25が2枚の封止板に分かれていくきっかけを付与することができ、より確実に亀裂の形成を行うことができる。
【0064】
その後、第一実施形態と同様に、第一スロープリブ69から第三リブ71まで、順次押圧リブ38が進行し、ストッパー34によって、この押圧リブ38が第三リブ71上で停止される。
【0065】
本実施形態の容器用口栓20及び容器1によれば、補助スロープリブ72が封止板部25をより確実に断裂するように作用し、円筒部23の内腔が開通される。したがって、さらに容易に容器用口栓20を開封し内容物を利用することができる。
【0066】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0067】
例えば、上述の各実施形態では、封止板部25にV溝26A、26Bを設けることにより薄肉部位25C、25Dを形成する例を説明したが、他の形状の溝により薄肉部位25C、25Dが形成されてもよい。例えば、薄肉部位25C、25Dは、封止板部25を軸線P方向に貫通する断裂線とされ、軸線P方向の容器1側を向く面にフィルム状の部材を設けるフィルムインサートを施した構造であってもよい。この構造によると、押圧リブ38が突起部28、68を押圧した時に、上記断裂線に沿って上記フィルム状の部材が裂け、円筒部23の内腔が開通する。
【0068】
また、支持壁43と嵌合筒部42との間に、ストッパー34と干渉し、かつ第二部材22の回転操作によりストッパー34が乗り越え可能な突起を形成してもよい。この場合、開封時に所定のタイミング(例えば、スペーサー44がストッパー34に接触する直前等)でクリック感を発生させて、使用者に当該タイミングを認識させることができ、使用感を向上させることができる。
【0069】
さらに、第一部材21、61において突起部28、68の配置を周方向の配置を逆転することによって、第二部材22の回転方向を左回り、または右回りのいずれか一方の任意の方向に設定できる。また、開栓時に大きな応力が作用する第二部材22における押圧リブ38の接続部38Bは、例えば、軸線P方向から見た時に十字形状とされてもよい。
逆に、強度的に問題がなく、突起部28、68と確実に係合できれば上記接続板は一枚の板とされなくともよく、軸線Pの位置で2つに分割されていてもよい。
【0070】
そして、キャップ80に代えて、第二部材にヒンジで接続された蓋を設け、この蓋によって容器用口栓20開封後の容器1の密閉を行ってもよい。
【0071】
また、容器本体10に充填される内容物は食品には限定されず、各種の液体や粉体等の内容物の容器に本発明の容器用口栓20及び容器1を適用することができる。
さらに、容器本体10の代わりに、例えばゲーブルトップ型等の紙製容器が用いられてもよい。本発明の容器用口栓20は、プルタブタイプの口栓と異なり、開封時に容器用口栓20を容器本体10から離間させるような力を作用させる必要がないため、剛性の比較的低い紙製容器にも好適に用いることができる。
【0072】
加えて、内容物が食品でない等の場合、必ずしも封止板部25に連結部27が設けられなくてもよい。この場合、第二部材22の回転操作によって封止板部25が円筒部23から完全に切り離され、容器本体10内に落下する。
【符号の説明】
【0073】
1…容器、10…容器本体、11…スクリュー、12…開口部、12A…被係合部、20…容器用口栓、21…第一部材、22…第二部材、23…円筒部、23A…第一端部、23B…第二端部、24…係合部、25…封止板部、25A、25B…封止板、25C、25D…薄肉部位、26A、26B…V溝、27…連結部、28…突起部、28A…第一端部、29…第一スロープリブ、30…第二スロープリブ、30A…面取り部、31…第三リブ、32…フランジ部、33…係合筒部、33A…係合突起、33B…凸部、34…ストッパー、35…注出口、36…筒状部、37…嵌合部、38…押圧リブ(押圧部)、38A…支持部、38B…接続部、39…円筒部、39A…第一端部、39B…第二端部、40…縮径部、41…フランジ部、42…嵌合筒部、43…支持壁、44…スペーサー、45…凹部、46…嵌合突起、47…リブ、50A、50B、50C…薄肉部位、61…第一部材、68…突起部、69…第一スロープリブ、70…第二スロープリブ、71…第三リブ、72…補助スロープリブ、80…キャップ、81…封止栓、C1…第一流路、C2…第二流路、R1…周方向一方側、R2…周方向他方側、P…軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用口栓、より詳しくは開封が容易な容器用口栓及びこれを用いた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の様々な液体及び粉体の調味料や食品等が、口栓の付いた容器に充填されて流通、販売されている。当該口栓の構造としては、容器に取り付けられた注出口本体と、この注出口本体にネジ嵌合されて開閉可能に注出口を密閉するスクリューキャップとを備えるものが一般的である。
【0003】
上述の口栓においては、充填された内容物を使用時まで品質を落とさずに保持するため、通常注出口本体はプルタブによって閉じられており、使用開始時にこのプルタブを引き抜いて開栓することにより使用可能な状態となる。多くの場合、注出口本体及びプルタブは樹脂等によって一体成型され、開封を可能あるいは容易にするために、両者の境界部にはハーフカット等が施されて肉薄に加工されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4145085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような注出口においては、プルタブを引きちぎるために、指先のみを使って大きな力を作用させる必要があり、力の弱い女性やこども、高齢者、あるいは指先の不自由な人等には使い勝手がよくないという問題がある。
【0006】
また、プルタブが注出口本体から切り離される際に、プルタブに付着していた内容物が飛散したり容器が揺れたりすることにより、内容物によって周囲が汚れてしまうことがある。
さらに、プルタブに指を掛ける際には、指で注出口の内面に触れてしまう場合が多く、開封後に内容物が当該内面に触れてしまうと衛生面で問題となる場合もある。
加えて、注出口本体から切り離したプルタブは、それ自体が廃棄物となるため、廃棄の手間がかかるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器用口栓を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る容器用口栓は、液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、円筒部と、前記円筒部の内腔を塞ぐ封止板部と、前記封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、該第一スロープリブよりも周方向一方側に、かつ径方向内側に配置され、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、これら第一スロープリブ及び第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、前記第二部材を前記第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、前記押圧部により前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧されて前記封止板部が変位することにより前記円筒部の内腔が開通することを特徴とする。
【0009】
このような容器用口栓においては、まず、第二部材を第一部材に対して所定の方向に相対回転させることで、まず径方向外側に位置する第一スロープリブが軸線方向に押圧され、封止板部の周縁部に押圧力が作用する。その後、径方向内側に位置する第二スロープリブが押圧されることによって、封止部材の中央部に押圧力が作用することとなり、封止板部全体を均等に押圧し破断することによって、軸線方向に内腔を開通する。
【0010】
また、前記封止板部に突出して設けられ、前記第二スロープリブよりも周方向一方側に配置され、かつ径方向外側に配置される第三リブを備えていてもよい。
【0011】
このような第三リブを備えることによって、押圧部が第一スロープリブ及び第二スロープリブを経て円筒部の内腔が開通した後に、この第三リブと押圧部が係合した状態で第二部材が保持される。したがって、破断した封止部材を軸線方向に押し込む方向に押圧力が作用する状態を維持でき、上記内腔が再度閉塞されることがない。
【0012】
前記封止板部は、一部が他の部分よりも薄い厚さとされた薄肉部位を有し、前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位する際に、前記薄肉部位が断裂して複数の封止板に分割されてもよい。
【0013】
第一スロープリブ及び第二スロープリブに押圧力が作用した際には、封止板部に形成された薄肉部位によって封止板部の断裂を容易化でき、より弱い力で複数の封止板部に分割できる。この結果、より容易に確実に軸線方向に円筒部の内腔を開通でき、容器の開封が可能となる。
【0014】
さらに、前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧してもよい。
【0015】
押圧部を板状部材とすることによって、第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧され、封止板部全体に押圧力を作用させることが可能となり、より容易に確実に容器を開封できる。
【0016】
また、本発明に係る容器は、上記の容器用口栓と、前記容器本体とを備えることを特徴とする。
【0017】
封止板部に押圧部から押圧力が作用することによって、軸線方向に円筒部の内腔を開通でき、容器の開封が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の容器用口栓及び容器によれば、第一部材と第二部材との相対回転の際の回転力を押圧力に変換することで円筒部の内腔を開通できる。したがって、大きな力を必要とせずに、容易かつ衛生的に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態の容器の分解斜視図である。
【図2】同容器の開口部周辺の断面図である。
【図3】同容器の容器用口栓における第一部材の平面図及び断面図である。
【図4】同第一部材の円筒部及び封止板部を第一端部側から見た図である。
【図5】同封止板部における突起部のスロープ形状を展開して示す図である。
【図6】同容器用口栓における第二部材の底面図及び平面図、並びに断面図である。
【図7】同容器の開封時における同封止板部及び押圧リブの動きを示す図である。
【図8】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図9】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図10】同容器の開封時の動作を一部断面で示す図である。
【図11】開封された状態の同容器の開口部周辺の断面図である。
【図12】封止部材の形状の他の例を示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態の容器における容器用口栓の第一部材平面図及び断面図と、第一部材の突起部のスロープ形状を展開して示す図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
図1は、本実施形態の容器1の全体構成を示す図である。容器1は、本発明の容器用口栓20を備えるものであり、ソース、醤油、ドレッシング、油、だし、たれ、ふりかけ等の液体または粉体の各種食品や調味料等の内容物が充填されて使用されるものである。
【0021】
図1に示すように、容器1は、内容物が充填される容器本体10と、容器本体10の開口部に取り付けられた容器用口栓20と、容器用口栓20を覆うように容器本体10に対して着脱自在に取り付けられたキャップ80とを備えている。
【0022】
容器本体10は樹脂やガラス等で形成された公知の構成を有し、その形状に特に制限はない。キャップ80も樹脂等で形成された公知の構成を有する。本実施形態のキャップ80は、図2に断面で示すように、容器本体10に形成されたスクリュー11と係合することで、容器本体10に対して着脱自在に取り付けられているが、容器本体10とキャップ80とを着脱自在とする構造については特に制限はなく、公知の各種機構を適宜採用することができる。
キャップ80は、保管時等において容器用口栓20を覆って密閉し、充填された内容物を保護したり、容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。
【0023】
容器用口栓20は、容器本体10の上部に形成された開口部12に取り付けられており、容器1の開封前においては、内容物を保護したり容器本体10内への異物の侵入を防いだりする。容器1の開封後においては、内容物を注ぎ出すための注出口として機能する。
【0024】
容器用口栓20は、開口部12に取り付けられる第一部材21と、第一部材21に取り付けられる第二部材22とを備えている。
図3の上側は第一部材21の平面図であり、下側は当該平面図のA−A線における断面図である。第一部材21はポリエチレン樹脂等の比較的軟質の材料よりなり、略円筒状の円筒部23と、容器本体10に係合させるための係合部24とを備えている。
【0025】
円筒部23は、その内腔が容器用口栓20の開封後に内容物の流路となる。円筒部23の略円筒形状の軸線P方向端部のうち、容器本体10に取り付けられる側の第一端部23A側には、開封時まで容器本体10を密封するための封止板部25が形成されており、円筒部23の内腔を塞いでいる。
【0026】
図4は、円筒部23と封止板部25とを第一端部23A側から見た状態を示す図である。図4に示すように、封止板部25と円筒部23との境界となる封止板部25の周縁には、第一端部23A側からハーフカットとしてのV溝26Aが形成されており、後述する開封操作によって容易に封止板部25が円筒部23から切り離される薄肉部位25C(図3参照)が形成されている。封止板部25の周縁のうち、軸線Pを挟んで対向する2箇所にはV溝26Aが形成されておらず、容器用口栓20の開封後も封止板部25と円筒部23との接続状態を保持する連結部27となっている。封止板部25には、2箇所の連結部27を結ぶように略サインカーブ状のV溝26Bが形成され、薄肉部位25Dが形成されている。V溝26A及び26Bが設けられていることにより、封止板部25は、容器用口栓20の開封時に2つの封止板25A及び25Bに分割される。
【0027】
封止板部25のうち、第一端部23Aとは反対側の第二端部23B側の面には、円筒部23と平行に突出する突起部28が設けられている。突起部28は、封止板25A及び25Bにそれぞれ1つずつ設けられており、薄肉部位25Cよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線P方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ29と、第二スロープリブ30と、第三リブ31との3つの部材を有している。
【0028】
図5は、突起部28の形状を展開して示す図であり、第一スロープリブ29は、各封止板25A、25Bにおいて薄肉部位25Dよりも径方向内側に配置され、この薄肉部位25Dに沿うように連結部27から最も離れた第一端部28Aより連結部27に向かって、即ち、円筒部23の周方向一方側R1に向かって、この周方向の中途まで(本実施形態では半周の1/3程度の位置まで)延在する部材であり、軸線P方向を向く面は、周方向一方側R1に向かって徐々に突出高さが増加する傾斜面とされている。
【0029】
第二スロープリブ30は、第一スロープリブ29よりも径方向内側に配置され、かつ第一スロープリブ29に周方向に連続するように、周方向一方側R1へ向かって周方向の中途まで(本実施形態では、半周の2/3の位置まで)延在する部材である。また、軸線P方向を向く面は、第一スロープリブ29の軸線P方向を向く面の傾斜に連続するように周方向一方側R1に向かって徐々に突出高さが増加している。そして、第一スロープリブ29の径方向内側を向く面と第二スロープリブ30の径方向外側を向く面とは一部で結合することで、第一スロープリブ29と第二スロープリブ30とは周方向に一部が重なっている。
【0030】
さらに、この第一スロープリブ29と第二スロープリブ30とが周方向に重なって結合されている部位においては、第二スロープリブ30の軸線P方向を向く面から軸線P方向へ向かって、かつ径方向外側から内側に向かって表面が削り取られることで面取り部30Aが形成されている。
【0031】
第三リブ31は、第二スロープリブ30よりも径方向外側に配置され、かつ第二スロープリブ30に周方向に連続するように、周方向一方側R1へ向かって周方向の中途まで(本実施形態では、半周程度の位置まで)延在する部材である。また、軸線P方向を向く面は、第二スロープリブ70よりも一段低くなり略平坦に形成されており、第二スロープリブ30の径方向外側を向く面と第三リブ31の径方向内側を向く面とが一部で結合することで、第二スロープリブ30と第三リブ31とは周方向に一部が重なっている。
【0032】
係合部24は、円筒部23の外周面に設けられたフランジ部32と、フランジ部32から第一端部23A側に延びる略円筒状の係合筒部33とを備えている。
フランジ部32のうち、係合筒部33が延びる側と反対側の上面には、一対のストッパー34が設けられている。一対のストッパー34は、軸線Pを挟んで対向する位置であって、第三リブ31に対応する位相の位置に形成されている。係合筒部33には、上記内腔に突出する係合突起33Aが周方向にわたって形成されており、図2に示すように、容器本体10の開口部12において径方向外側に突出した被係合部12Aと係合することにより、第一部材21が容器本体10に対して係合固定されている。
【0033】
係合筒部33の外周面には、径方向外側に突出した凸部33Bが周方向にわたって形成されている。凸部33Bは、第一部材21と第二部材22とを嵌合させるために用いられる。
【0034】
図6の上側は、第二部材22の底面図及び平面図、下側は上側図におけるB−B線における断面図である。
第二部材22はポリプロピレン、ポリスチレン樹脂等の比較的硬質な材料よりなっており、注出口35が形成された筒状部36と、第一部材21に嵌合させるための嵌合部37と、容器用口栓の開封時に封止板部25を押圧する押圧リブ(押圧部)38とを備えている。
【0035】
筒状部36は、円筒部39と、円筒部39の第一端部39Aに接続されたテーパー状の縮径部40とを有する。縮径部40によって円筒部39の径よりも小さい径となった筒状部36の端部の開口に、注出口35が形成されている。
【0036】
嵌合部37は、円筒部39と縮径部40との接続部位の稜線から円筒部39の径方向外側に突出する略円盤状のフランジ部41と、フランジ部41の周縁から注出口35と反対側に延びる略円筒状の嵌合筒部42とを有する。
【0037】
フランジ部41のうち、嵌合筒部42が延びる裏面には、円筒部39を囲むように略円筒状の支持壁43が形成されている。支持壁43と嵌合筒部42との間であって、軸線Pを挟んで対向する位置には、一対のスペーサー44が設けられている。そして各スペーサー44は、図6の底面図に示すように、押圧リブ38とほぼ同一の位相に位置するが、少し周方向他方側R2に位相がずれて形成されている。
【0038】
嵌合筒部42の内面には、第一部材21の凸部33Bに対応した形状の凹部45と、凹部45よりもフランジ部41から離れた位置に設けられ、径方向内側に突出する嵌合突起46とがそれぞれ周方向にわたって設けられている。嵌合筒部42の外面には、軸線P方向に延びる複数のリブ47が周方向に等間隔で形成されている。リブ47は、第二部材22の回転操作時(後述)における滑り止めとして機能する。
【0039】
押圧リブ38は、円筒部39及び縮径部40によって支持されるとともに軸線Pを挟んで対向するように設けられ、円筒部39の第二端部39Bから軸線Pに向かって突出して延びる板状をなす一対の支持部38Aと、これら一対の支持部38A同士を接続し、短手方向が軸線P方向に一致する平板状の接続部38Bとを有している。また、一対の支持部38Aと接続部38Bとは軸線P方向を向く端面が同一面上に位置しており、第二部材22の回転操作時(後述)においてこの端面が第一スロープリブ29、第二スロープリブ30及び第三リブ31に係合する。
【0040】
第一部材21と第二部材22とは、軸線P方向から見たときに、封止板部25の各連結部27と押圧リブ38とが重なるように位置決めされた状態で互いに嵌合されている。図2に示すように、第一部材21と第二部材22とが嵌合した状態において、第一部材21の凸部33Bは第二部材22の凹部45内に位置し、円筒部23は、第二端部23Bが円筒部39と支持壁43との間に収容されている。これにより、第一部材21と第二部材22とは、略同軸に嵌合されており、軸線P方向における相対移動が不能、かつ当該軸線Pを中心に相対回転可能となっている。
【0041】
上記のように構成された本実施形態の容器1の使用時の動作について説明する。
容器1に内容物が充填された食品の製造時においては、開口部12から容器本体10内に内容物を充填後、容器用口栓20を開口部12に取り付け、キャップ80を締めることにより完成する。その後、キャップ80が輸送中に外れないように必要に応じてシュリンクフィルム等で覆う等してから出荷される。
【0042】
容器1の開封前においては、容器用口栓に形成された封止板部25によって円筒部23の内腔が塞がれているため、容器本体10が密封されている。
容器1の開封時は、使用者はキャップ80を取り外し、容器本体10を保持しながら、容器用口栓20の第二部材22を所定の方向(本実施形態では注出口35側から見て右回り、即ち周方向一方側R1)に回転させる。すると、容器本体10に固定された第一部材21に対して、第二部材22が当該所定の方向に相対回転する。
【0043】
図7は、容器1の開封時における封止板部25及び押圧リブ38の動きを示す図である。第二部材22の回転操作により、各押圧リブ38は、図7に示す矢印の方向、即ち周方向一方側R1に移動し、突起部28に乗り上げていく。この時、押圧リブ38を介して、第二部材22には容器本体10から離間する方向に移動しようとする力が作用するが、第一部材21と第二部材22とは、軸線P方向にほとんど相対移動できないように互いに嵌合されている。このため、封止板部25の薄肉部位25C、25Dが断裂され、各封止板25A、25Bに分割されつつ、薄肉部位25C、25Dが容器本体10の内部に向かって変位するように押し込まれる。
【0044】
突起部28に押圧リブ38が乗り上げる時には、まず第一スロープリブ29に乗り上げることによって、径方向外側に押圧力が作用する。即ち、径方向外側における薄肉部位25Cと薄肉部位25Dとの接続部位付近の封止板部25が押し込まれ、図8に示すように、封止板部25が2枚の封止板に分かれていくきっかけとなる亀裂が形成される。
【0045】
使用者が第二部材22をさらに回転させると、図9に示すように、押圧リブ38は、第一スロープリブ29を乗り越えて第二スロープリブ30上を移動することによって、次に径方向内側に押圧力が作用する。これにより、より亀裂に近い位置に押圧力が作用していくこととなり、上述した亀裂が発生した部位から徐々に薄肉部位25C、25Dが切り裂かれていき、塞がれていた円筒部23の内腔に開口が形成されていく。
【0046】
この時、第二スロープリブ30に形成された面取り部30Aによって、押圧リブ38が第二スロープリブの径方向内側部分に干渉することなく、滑らかに第一スロープリブ29から第二スロープリブへ移動することができる。
【0047】
第二部材22をさらに回転させ、回転量が半回転ほどになると、押圧リブ38は第二スロープリブ30を乗り越えて第三リブ31上に移動する。それとともに、第二部材22のスペーサー44と第一部材のストッパー34とが接触し、それ以上、第二部材22を回転させることができなくなる。この状態において、封止板部25は2枚の封止板25A、25Bに分割され、図10及び図11に示すように、第三リブ31と押圧リブ38とが係合し、第三リブ31が押圧リブ38に押し込まれた状態で保持される。こうして、円筒部23の内腔が開通される。
【0048】
この時点で押圧リブ38が接触する第三リブ31は、第二スロープリブ30よりも一段低くなっているため、第二部材22が逆回転する等により押圧リブ38が再び第二スロープリブ30に移動する事態は発生しにくい。その結果、押圧リブ38による封止板部25の押し込み状態が保持され、容器用口栓20の開封状態が保持される。
【0049】
なお、容器用口栓20の開封後も、連結部27において各封止板25A、25Bと円筒部23との接続が維持されるため、開封によって各封止板25A、25Bが液体容器10内に落下することはない。
【0050】
容器用口栓20が開封されたあと、使用者は容器本体10を傾けることにより、注出口35から内容物を注ぎ出すことができる。使用後は、キャップ80を装着することにより、図11に示すように、キャップ80の内面に設けられた略円筒状の封止栓81が注出口35にはまり込んで容器本体10が密閉される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の容器用口栓20及び容器1によれば、第二部材22を把持して所定の方向に回転させるだけで容易に開封することができる。したがって、力の弱い女性やこども、高齢者等でも大きな力を必要とせずに容易に開封して内容物を利用することができる。
また、内容物の流路となる円筒部23及び39の内面等に触れることなく開封することができるため、衛生面でも優れている。
さらに、プルタブタイプの口栓及び容器と異なり、開封時に内容物の飛散等が生じにくく、切り離された廃棄物が発生しないため、環境への負荷が少なく、取り扱いが容易な容器とすることができる。
【0052】
また、第一部材21及び第二部材22にストッパー34及びスペーサー44が設けられており、第二スロープリブ30より低い第三リブ31が設けられているため、開封後の第二部材22は、ストッパー34と第二スロープリブ30との間(図3に示す範囲R1)でしか相対回転できず、実質的にほぼ位置決めされる。したがって、押圧リブ38が封止板部25を押し込んだ開封状態が好適に維持され、封止板部25が再び円筒部23の内腔を塞いでしまう等の不具合の発生を防止することができる。
【0053】
さらに、封止板部25にV溝26Bが形成されているため、開封後に封止板部25は2枚の封止板25A及び25Bに分割されて容器本体10内部に向かって押し込まれる。その結果、円筒部23の内腔は、図10及び図11に示すように、封止板25Aによって規定される第一流路C1と、封止板25Bによって規定される第二流路C2との2つの流路に概ね分割される。このため、内容物が粘度の高い液体等であっても各封止板25A、25Bにより好適に注出口35へ導かれる。加えて、容器本体10の内外における流体の入れ替えが第一流路C1及び第二流路C2によりスムーズに行われ、容器本体10内に空気が進入しにくいことによる注出不良や、逆に一気に空気が進入して多量の内容物が一度に注ぎ出される「脈流」と呼ばれる現象を起こしにくい。したがって、常に安定して内容物を注出することができる容器とすることができる。
【0054】
また、例えば、第二部材の注出口35の口径を変更することによって注出量を調整することができるため、各種容器に対して第一部材21を共用することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、封止板部を複数の封止板に分割させる薄肉部位25Dが、略サインカーブ状のV溝26Bにより形成された例を説明したが、薄肉部位25C、25Dの態様はこれには限定されない。例えば、図12(a)に示すような直線状の薄肉部位50Aでもよいし、図12(b)に示すような、直線が複数の屈曲点で屈曲された薄肉部位50Bであってもよい。さらに、図12(c)に示すように、封止板部25が3つの封止板に分割されるように薄肉部位50Cが形成されてもよい。このようにすると、第二部材を3分の1回転させることで容器用口栓20を開封することができ、操作量を低減してより操作しやすくすることができる。このように、封止板部25が開封時に分割される封止板の数は適宜設定されてよい。また、薄肉部位25C、25Dを形成するV溝26A、26Bは、第二端部23B側の面に設けられてもよい。
【0056】
さらに、突起部28においては、第一スロープリブ29、第二スロープリブ30及び第三リブ31の径方向の肉厚が異なっていてもよい。開封操作の当初においては、第一スロープリブ29に最も大きな力が加わるため、例えば、第一スロープリブ29を第二スロープリブ30及び第三リブ31よりも肉厚に形成することで、第一スロープリブ29の保形性を好適に維持して確実に開封操作を行うことができる。
【0057】
そして、第一スロープリブ29と第二スロープリブ30、第二スロープリブ30と第三リブ31とが径方向に結合されず、各々独立に封止板部25から突出していてもよい。
【0058】
また、本実施形態では押圧リブ38が円滑移動を可能とするために、第一スロープリブ29及び第二スロープリブ30の軸線P方向の高さは連続するように、第一スロープリブ29及び第二スロープリブ30が設けられているが、少なくとも、第一スロープリブ29よりも第二スロープリブ30の軸線P方向の高さの方が低くなっていればよい。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態の容器1は、第一部材61が第1実施形態の第一部材21とは異なっている。なお、以降の説明においては、既に説明したものと同様の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
第一部材61は、封止板部25のうち、第二端部23B側の面には、円筒部23と平行に突出する突起部68が設けられている。突起部68は、封止板25A及び25Bにそれぞれ1つずつ設けられており、薄肉部位25Cよりも径方向内側で、かつ封止板部25の周縁に沿うように、軸線P方向から見てそれぞれ概ね円弧状に形成される第一スロープリブ69と、第二スロープリブ70と、第三リブ71と、さらに補助スロープリブ72との4つの部材を有している。
【0061】
図13には、突起部68の形状を展開して示す図を示しており、第一スロープリブ69、第二スロープリブ70及び第三リブ71は、第一実施形態と略同形状となっている。
そして、これらに加えて設けられる補助スロープリブ72は、第三リブ71と薄肉部位25Dとの間に第三リブと同一周上に配置され、連結部27と対応する位相の位置に延在する部材である。
また、この補助スロープリブ72の軸線P方向を向く面は、第一スロープリブ69の軸線P方向を向く面の傾斜に連続するように第三リブ71から第一スロープリブ69へ向かって周方向に徐々に突出高さが増加している。
【0062】
第一部材61のフランジ部32に設けられるストッパ34は、第三リブ71と補助スロープリブ72との間に対応する位相の位置に形成されている。
【0063】
このような補助スロープリブ72によって、押圧リブ38が第一スロープリブ69に到達する前に、まず補助スロープリブ72に乗り上げる。そして、押圧リブ38が薄肉部位25Cと薄肉部位25Dとの接続部位付近に到達した時には、すでに押圧力が封止板部25に作用している。したがって、第一スロープリブ69へ乗り上げる時点で予備的に押圧力が作用していることとなるため、封止板部25が2枚の封止板に分かれていくきっかけを付与することができ、より確実に亀裂の形成を行うことができる。
【0064】
その後、第一実施形態と同様に、第一スロープリブ69から第三リブ71まで、順次押圧リブ38が進行し、ストッパー34によって、この押圧リブ38が第三リブ71上で停止される。
【0065】
本実施形態の容器用口栓20及び容器1によれば、補助スロープリブ72が封止板部25をより確実に断裂するように作用し、円筒部23の内腔が開通される。したがって、さらに容易に容器用口栓20を開封し内容物を利用することができる。
【0066】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0067】
例えば、上述の各実施形態では、封止板部25にV溝26A、26Bを設けることにより薄肉部位25C、25Dを形成する例を説明したが、他の形状の溝により薄肉部位25C、25Dが形成されてもよい。例えば、薄肉部位25C、25Dは、封止板部25を軸線P方向に貫通する断裂線とされ、軸線P方向の容器1側を向く面にフィルム状の部材を設けるフィルムインサートを施した構造であってもよい。この構造によると、押圧リブ38が突起部28、68を押圧した時に、上記断裂線に沿って上記フィルム状の部材が裂け、円筒部23の内腔が開通する。
【0068】
また、支持壁43と嵌合筒部42との間に、ストッパー34と干渉し、かつ第二部材22の回転操作によりストッパー34が乗り越え可能な突起を形成してもよい。この場合、開封時に所定のタイミング(例えば、スペーサー44がストッパー34に接触する直前等)でクリック感を発生させて、使用者に当該タイミングを認識させることができ、使用感を向上させることができる。
【0069】
さらに、第一部材21、61において突起部28、68の配置を周方向の配置を逆転することによって、第二部材22の回転方向を左回り、または右回りのいずれか一方の任意の方向に設定できる。また、開栓時に大きな応力が作用する第二部材22における押圧リブ38の接続部38Bは、例えば、軸線P方向から見た時に十字形状とされてもよい。
逆に、強度的に問題がなく、突起部28、68と確実に係合できれば上記接続板は一枚の板とされなくともよく、軸線Pの位置で2つに分割されていてもよい。
【0070】
そして、キャップ80に代えて、第二部材にヒンジで接続された蓋を設け、この蓋によって容器用口栓20開封後の容器1の密閉を行ってもよい。
【0071】
また、容器本体10に充填される内容物は食品には限定されず、各種の液体や粉体等の内容物の容器に本発明の容器用口栓20及び容器1を適用することができる。
さらに、容器本体10の代わりに、例えばゲーブルトップ型等の紙製容器が用いられてもよい。本発明の容器用口栓20は、プルタブタイプの口栓と異なり、開封時に容器用口栓20を容器本体10から離間させるような力を作用させる必要がないため、剛性の比較的低い紙製容器にも好適に用いることができる。
【0072】
加えて、内容物が食品でない等の場合、必ずしも封止板部25に連結部27が設けられなくてもよい。この場合、第二部材22の回転操作によって封止板部25が円筒部23から完全に切り離され、容器本体10内に落下する。
【符号の説明】
【0073】
1…容器、10…容器本体、11…スクリュー、12…開口部、12A…被係合部、20…容器用口栓、21…第一部材、22…第二部材、23…円筒部、23A…第一端部、23B…第二端部、24…係合部、25…封止板部、25A、25B…封止板、25C、25D…薄肉部位、26A、26B…V溝、27…連結部、28…突起部、28A…第一端部、29…第一スロープリブ、30…第二スロープリブ、30A…面取り部、31…第三リブ、32…フランジ部、33…係合筒部、33A…係合突起、33B…凸部、34…ストッパー、35…注出口、36…筒状部、37…嵌合部、38…押圧リブ(押圧部)、38A…支持部、38B…接続部、39…円筒部、39A…第一端部、39B…第二端部、40…縮径部、41…フランジ部、42…嵌合筒部、43…支持壁、44…スペーサー、45…凹部、46…嵌合突起、47…リブ、50A、50B、50C…薄肉部位、61…第一部材、68…突起部、69…第一スロープリブ、70…第二スロープリブ、71…第三リブ、72…補助スロープリブ、80…キャップ、81…封止栓、C1…第一流路、C2…第二流路、R1…周方向一方側、R2…周方向他方側、P…軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、
円筒部と、前記円筒部の内腔を塞ぐ封止板部と、前記封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、該第一スロープリブよりも周方向一方側かつ径方向内側に配置され、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、
これら第一スロープリブ及び第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、
前記第二部材を前記第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、前記押圧部により前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧されて前記封止板部が変位することにより前記円筒部の内腔が開通することを特徴とする容器用口栓。
【請求項2】
前記封止板部に突出して設けられ、前記第二スロープリブよりも周方向一方側かつ径方向外側に配置される第三リブを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。
【請求項3】
前記封止板部は、一部が他の部分よりも薄い厚さとされた薄肉部位を有し、前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位する際に、前記薄肉部位が断裂して複数の封止板に分割されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用口栓。
【請求項4】
前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の容器用口栓。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の容器用口栓と、
前記容器本体とを備えることを特徴とする容器。
【請求項1】
液体または粉体の内容物が充填される容器本体に取り付けられる容器用口栓であって、
円筒部と、前記円筒部の内腔を塞ぐ封止板部と、前記封止板部に突出して設けられ、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第一スロープリブと、該第一スロープリブよりも周方向一方側かつ径方向内側に配置され、少なくとも一部が周方向一方側に向かうにしたがって突出高さが大きくなる第二スロープリブとを有し、前記容器本体に取り付けられる第一部材と、
これら第一スロープリブ及び第二スロープリブを押圧する押圧部を有し、前記第一部材に対して、相対回転可能かつ前記円筒部の軸線方向に相対移動不能に取り付けられた第二部材とを備え、
前記第二部材を前記第一部材に対して所定の方向に相対回転させると、前記押圧部により前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが順次押圧されて前記封止板部が変位することにより前記円筒部の内腔が開通することを特徴とする容器用口栓。
【請求項2】
前記封止板部に突出して設けられ、前記第二スロープリブよりも周方向一方側かつ径方向外側に配置される第三リブを備えることを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。
【請求項3】
前記封止板部は、一部が他の部分よりも薄い厚さとされた薄肉部位を有し、前記第一スロープリブ及び第二スロープリブが押圧されて前記封止板部が変位する際に、前記薄肉部位が断裂して複数の封止板に分割されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器用口栓。
【請求項4】
前記押圧部は、前記封止板部に直角に前記円筒部の径方向に延在する板状部材とされるとともに、前記第二部材と前記第一部材とを所定の方向に相対回転させた際に、前記第一スロープリブ及び前記第二スロープリブと係合し、順次押圧することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の容器用口栓。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の容器用口栓と、
前記容器本体とを備えることを特徴とする容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−6626(P2013−6626A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142040(P2011−142040)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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