説明

容器詰め飲料

【課題】アルギン酸を高濃度で含有し、かつ風味の良好な容器詰め飲料を提供することを課題とする。
【解決手段】重量平均分子量10,000〜900,000のアルギン酸を0.2〜8質量%、カルシウムイオン及びカリウムイオンを含有し、カルシウムイオンとカリウムイオンの質量比(Ca/K)が0.02〜0.20である容器詰め飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルギン酸を含有する容器詰め飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
健康意識の高まる中、近年、機能性を有する食品素材に大きな関心が寄せられており、
その中でも日本人に不足しがちな食物繊維を効果的に摂取する要望が高くなってきている。
多量の食物繊維を無理なく摂取するには飲料形態が望ましく、さらに、多量の食物繊維を配合しても飲みやすい食物繊維素材が望ましい。そのような食物繊維素材としては、水溶性酸性多糖類であるアルギン酸塩が挙げられる。アルギン酸及びその塩類を食物繊維として摂取する飲料として、例えば野菜搾汁飲料が報告されている(特許文献1)。
【0003】
一方、アルギン酸カリウムオリゴ糖を含有した血圧上昇抑制食品が報告されている(特許文献2)。またさらに、マグネシウム含有化合物を所定割合で必須成分として含有させたカリウム補給製剤においてアルギン酸カリウムをカリウム含有化合物として含有するものも報告されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−271255号公報
【特許文献2】特開平6−237783号公報
【特許文献3】特開平3−128325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アルギン酸塩、特にアルギン酸カリウムを高濃度に配合した飲料は風味が悪く、特にえぐ味があり、長期間飲用するには問題があった。特に、野菜や果汁の含有量が少ない飲料や野菜や果汁を含まない飲料ではえぐ味が強く感じられることから、アルギン酸塩の風味の改善が求められていた。
従って、本発明は、アルギン酸を高濃度で含有し、かつ風味の良好な容器詰め飲料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、アルギン酸及びカリウムイオンを高濃度に含有する飲料の風味、特にえぐ味を改善すべく種々検討したところ、全く意外にもカルシウムイオンとカリウムイオンとの含有比を一定の範囲に調整することで、飲用時の風味が顕著に改善され、かつ飲用しやすく、のど越しが良好で、安定なアルギン酸及びカリウム摂取用容器詰め飲料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、重量平均分子量10,000〜900,000のアルギン酸を0.2〜8質量%、カルシウムイオン及びカリウムイオンを含有し、カルシウムイオンとカリウムイオンの質量比(Ca/K)が0.02〜0.20である容器詰め飲料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の容器詰め飲料は、アルギン酸及びカリウムイオンを高濃度に含有し、かつ風味が良好であって、飲用しやすいため、長期間飲用できることから、食物繊維及びカリウム摂取用の飲料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の容器詰め飲料には、重量平均分子量10,000〜900,000のアルギン酸を0.2〜8質量%含有する。アルギン酸含有量を0.2質量%以上とすることで、十分なアルギン酸摂取用飲料となり、通常摂取することができる量によって十分な食物繊維摂取が可能となる。また、アルギン酸含有量を8質量%以下とすることで、飲料の粘度が低いものとなり、飲用しやすくなる。より好ましいアルギン酸の含有量は、0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.4〜3質量%、特に好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0010】
本発明容器詰め飲料に用いられるアルギン酸の分子量は10,000〜900,000であり、さらに10,000〜100,000、特に20,000〜70,000が好ましい。分子量10,000以上のアルギン酸は食物繊維としての機能が高く、分子量900,000以下のアルギン酸を配合することにより、飲料の粘度が低下し飲用しやすくなる。
なお、飲料中のアルギン酸の分子量は後述の(アルギン酸の定量ならびに重量平均分子量の測定)によって測定することが可能である。
【0011】
上記の分子量を持つアルギン酸は、高分子量のアルギン酸を低分子量化して得ることができる。低分子量化の方法は特に限定されず、例えば酸又はアルカリの存在下に加水分解する方法や、分解酵素を用いた生分解法が挙げられる。加水分解法は常圧又は加圧のいずれでもよい。
本発明の容器詰め飲料に含有されるアルギン酸の例示としては、製品名:キミカアルギンSKAT−K−ULV((株)キミカ)や製品名:カリアルギン((株)紀文フードケミファ)などが挙げられる。ただし、アルギン酸であれば、これらの例に限定されるものではない。
【0012】
本発明の容器詰め飲料にはカリウムイオン及びカルシウムイオンの両者が含まれ、風味の点から、カルシウムイオンとカリウムイオンの含有質量比(Ca/K)が0.02〜0.20の範囲であることが必要である。Ca/K比が0.02以上にすることで十分な風味改善効果が得られ、0.20以下にすることで白濁を避けることができ、また粘度の上昇を避けることができる。より好ましいCa/K比は、0.05〜0.20であり、さらに好ましくは0.08〜0.20である。
【0013】
ここで、カリウムイオン源としては、アルギン酸及びカリウムイオン摂取という点からアルギン酸カリウムが好ましい。本発明容器詰め飲料中のカリウムイオン含有量は、カリウム摂取量及び風味の点から、20〜1300mg/100g、さらに50〜600mg/100g、特に70〜400mg/100gが好ましい。なお、カリウムイオンは、アルギン酸カリウムとして配合する外、他の有機酸や無機酸の対イオンとして配合してもよい。
【0014】
カルシウムイオン源としては、クエン酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、焼成カルシウム(うに殻焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム)等が挙げられる。本発明容器詰め飲料中のカルシウムイオンの含有量は、4〜70mg/100g、さらに5〜60mg/100g、特に10〜30mg/100gが好ましい。
【0015】
本発明の容器詰め飲料のpHは、アルギン酸(塩)の溶解性と酸味の強さの点から3.5以上が好ましく、さらにpH4.0以上、特にpH4.5以上が好ましい。
【0016】
上記のようなpHに調整するために、本発明の容器詰め飲料には、有機可食酸や無機可食酸が使用されても良い。このような可食酸としては、一般に食品で使用されるものであれば如何なるものでも良いが、例えば、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酢酸、フマル酸、リン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、リン酸水素カリウム又はナトリウム、リン酸二水素カリウム又はナトリウムや果汁等が挙げられる。特に酸味の質の点で乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酢酸が好ましい。
【0017】
また、本発明容器詰め飲料の粘度は、飲用のしやすさ、のど越し(のどを通過する際の風味)の点から、20mPa・s以下が好ましく、15mPa・s以下がより好ましく、10mPa・s以下がさらに好ましい。
【0018】
本発明の容器詰め飲料には、さらに風味を改善するための甘味料を配合してもよい。本発明の容器詰め飲料に含有される甘味料としては、単糖、少糖、糖アルコール、非糖質天然甘味料、アミノ酸系甘味料、合成甘味料等、一般に食品で使用されるものであれば如何なるものでも良いが、例えば、単糖としては、フルクトース、グルコース、ガラクトース、キシロース、タガトース、少糖としては、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、パラチノース、カップリングシュガーなどが挙げられる。糖アルコールとしてはエリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトールなどが挙げられる。非糖質天然甘味料としては、ステビオサイド、グリチルリチン、ソーマチン、アミノ酸系甘味料としては、アスパルテーム、合成甘味料としては、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。これらは、商業的に入手可能な甘味料を添加することで本発明の容器詰め飲料に含有されても良いが、単糖や二糖を含む果汁、野菜汁、はちみつ等由来のものとして含有されていても良い。
【0019】
また、本発明の容器詰め飲料には、色素類、酸化防止剤、香料、乳化剤、保存料、野菜汁、果汁、乳成分等が適宜配合されていても良い。なお、野菜汁又は果汁は配合しなくても差し支えないが、野菜汁又は果汁を配合する場合は、容器詰め飲料中の野菜汁又は果汁濃度がストレート換算で12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。野菜汁又は果汁の配合量は、野菜汁又は果汁の風味の観点より0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。乳成分を配合する場合は、無脂乳固形分量が0.1質量%から8質量%となることが好ましい。
【0020】
本発明の容器詰め飲料の製造法については、特に制限はなく常法に従い製造される。すなわち、アルギン酸又はそのカリウム塩の溶解工程、溶解したアルギン酸又はそのカリウム塩とその他の成分の調合工程、殺菌・充填工程をへて製造される。アルギン酸又はそのカリウム塩の溶解時の温度は、常温でも加温しても良いが50〜80℃、好ましくは55〜70℃で溶解すると良い。また、凝集・沈殿抑制効果を高めるために、ホモジナイザーなどの乳化機などを使用しても良い。本飲料の殺菌条件は、食品衛生法に定める条件を満たしていれば良く、殺菌の手段も特に制限は無く、レトルト、UHT、HTSTの各種殺菌機を用いることができる。さらには、殺菌後の容器への充填方式も特に制限は無く、ホットパック充填(熱間充填)や無菌充填などを用いることができる。本飲料に使用する容器は、PETボトル、金属缶、チアパック、紙容器など一般に飲料に使用されるものであれば特に限定するものではない。
【実施例】
【0021】
(風味及び外観の評価方法と判断基準)
本発明の実施例及び比較例の容器詰め飲料を製造し、24時間後に専門パネル1名が以下の基準に従い評価した。
風味(えぐ味)
1:強く感じる、2:感じる、3:やや感じるが許容範囲内、4:わずかに感じる、5:感じない
風味(のど越し)
1:悪い、2:やや悪い、3:ふつう、4:やや良い、5:良い
外観
1:沈殿している、2:白濁している、3:やや白濁しているが許容範囲内、4:わずかに白濁している、5:無色透明
【0022】
(加熱殺菌処理後のpHの測定法)
pHは、サンプルの品温を20℃にした後、(株)堀場製作所製pHメーター(F−22)を使用し測定した。
【0023】
(粘度の測定法)
粘度は、(株)トキメック製B8L型粘度計を使用して測定した(回転子:No.1、回転速度:60回転/分、品温:20℃)。
【0024】
(アルギン酸の定量ならびに重量平均分子量の測定)
1 前処理(HPLC用分析試料の調製)
1−1 アルギン酸カルシウム沈殿の生成
ビーカーに、被験試料2gを加える。さらに水35mLを加えて均一になるように攪拌する。渦動攪拌器により適宜攪拌しながら、2mol/L塩化カルシウム水溶液1.5mLを5〜10分かけて徐々に滴下した。壁面に付着した析出物を流し落としながら水約5mLを加え、その後pHが11以上となるように1mol/L水酸化ナトリウム溶液を加える。ビーカー内の溶液を容量50mLのメスフラスコに移しかえ、ビーカー内に付着した析出物を水で流し落として全量50mLに定容する。共栓をした後、この溶液を渦動攪拌器により20秒攪拌し、その後20分室温に放置する(溶液A)。
【0025】
1−2 アルギン酸カルシウム沈殿の回収
直径25mmのメンブランフィルタをメンブランフィルタカートリッジに装着し、さらに5mLのシリンジを接続する。このシリンジ内に、溶液A5mLをホールピペットで入れる。装着したシリンジのピストンを押し、内溶液をメンブランフィルタでろ過する。
その後、水酸化ナトリウムでpH11.3とした40mmol/L塩化カルシウム水溶液約3mLで、ホールピペットとシリンジ内の付着物を同一シリンジ内へ流し落とし、メンブランフィルタでろ過する。さらにこの洗浄動作をもう一度繰り返す。
【0026】
1−3 アルギン酸ナトリウムへの塩交換と回収
上記操作で得られたメンブランフィルタカートリッジを解体し、メンブランフィルタとパッキンをとり出し、ビーカーに入れる。水4.8mLでメンブランフィルタカートリッジの残りの部品を洗浄しながらビーカーに加える。この溶液に1.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液を200μL加えて、溶液が均一になるよう軽く攪拌する(全量約5mL)。途中、3回しんとう混和を行いながら1時間〜2時間室温に置く。再度攪拌し、メスフラスコ(容量10mL)に溶液を全量移す。水約5mLでビーカー内に残った部品を洗浄し、その液をメスフラスコに加えた後全量を10mLに定容する。これらの操作により、飲料中のアルギン酸をアルギン酸ナトリウムとして溶解し回収する。この溶液を直径25mmのメンブランフィルタ(GLクロマトディスク 0.45μm)でろ過したものをHPLC用分析試料とする。
【0027】
2 アルギン酸の定量
HPLC用分析試料100μLを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定する。純度既知のアルギン酸ナトリウム標準試料0.1%溶液を同様にHPLCで測定し、得られたクロマトグラムの面積の比較から試料中のアルギン酸ナトリウムを定量する。この値に定数0.9を掛けることにより、飲料中のアルギン酸量を算出する。なお、HPLC操作条件は以下の通りである。
【0028】
HPLC操作条件
カラム:(1)Super AW−L(ガードカラム):東ソー(株)製
(2)TSK−GEL Super AW4000(GPC用カラム)
:排除限界分子量4×105PEO/DMF、長さ15cm,内径6mm、東ソー(株)製
(3)TSK−GEL Super AW2500(GPC用カラム)
:排除限界分子量2×103PEO/DMF、長さ15cm,内径6mm、東ソー(株)製
上記カラムはAW−L,AW4000,AW2500の順で連結する。
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
移動相:0.2mol/L硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.6mL/min
注入量:100μL
【0029】
3 アルギン酸の平均分子量の測定(重量平均分子量測定法)
アルギン酸の重量平均分子量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定する。HPLC操作条件は、(2 アルギン酸の定量)と同様の条件とする。分子量算出用の検量線には、標準プルラン(昭和電工(株)製 Shodex STANDARD P−82)を用いる。HPLC用分析試料をHPLCに100μL注入し、得られたクロマトチャートより、試料中のアルギン酸ナトリウムの重量平均分子量を算出する。この値に定数0.9を掛けることにより、飲料中のアルギン酸の重量平均分子量を測定する。
【0030】
(カリウム量の測定)
カリウムは、原子吸光光度計を用いて、測定用試験溶液の吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線から試験溶液の濃度を求めた。測定波長は766.5nmに設定した。測定用試験溶液は、原液を蒸留水で希釈して調整した。その時、塩酸の濃度が0.02Nになるように塩酸を加えて調整した。
【0031】
(カルシウム量の測定)
カルシウムは、原子吸光光度計を用いて、測定用試験溶液の吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線から試験溶液の濃度を求めた。測定波長は422.7nmに設定した。測定用試験溶液は、原液を蒸留水で希釈して調整した。その時、塩酸の濃度が0.02Nになるように塩酸を加えて調整した。
【0032】
実施例1〜8及び比較例1〜4
表1の組成の容器詰め飲料を製造した。製造方法は、所定量のアルギン酸カリウム(重量平均分子量4万)を60℃の水に攪拌器を用いて溶解し、溶解液に必要に応じて乳酸カルシウム(製品名:乳酸カルシウム、扶桑化学工業株式会社製)を加え、室温において攪拌器を用いて溶解した。実施例5及び実施例6においては、クエン酸水溶液を用いてpHを5.6に調整した。
その後、フタ付きガラス管に充填し、85℃の恒温槽を用いて85℃で30分の殺菌を行い、容器詰め飲料を製造した。
得られた容器詰め飲料の風味及び外観を評価した結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1より、アルギン酸を0.2〜8質量%含有し、Ca/K比を調整した本発明の容器詰め飲料は、えぐ味がなく、のどを通過する際の風味もよく、長期間飲料可能であった。
一方、Ca/K比の小さい比較例1〜3は、えぐ味及びのどを通過する際の風味が悪く、Ca/Kの大きい比較例4は沈殿が生じ外観が悪化した。
【0035】
実施例9〜14
表2の組成の容器詰め飲料を製造した。製造方法は、所定量のアルギン酸カリウム(重量平均分子量4万)を60℃の水に攪拌器を用いて溶解し、溶解液にグルコン酸カルシウム(製品名:グルコン酸カルシウム、扶桑化学工業株式会社製)、又はクエン酸カルシウム(製品名:クエン酸カルシウム、扶桑化学工業株式会社製)を加え、室温において攪拌器を用いて溶解した。実施例13及び実施例14においては、クエン酸水溶液を用いてpHを5.5〜5.6に調整した。
その後、実施例1と同様にして、容器詰め飲料を製造した。
得られた容器詰め飲料の風味及び外観を評価した結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
表2より、各種カルシウム塩の添加によって風味改善効果が奏されることがわかる。
【0038】
実施例15、16
表3の組成の容器詰め飲料を製造した。製造方法は、重量平均分子量3万及び2万のアルギン酸カリウムを所定量用い、60℃の水に攪拌器を用いて溶解し、溶解液に乳酸カルシウム(製品名:乳酸カルシウム、扶桑化学工業株式会社製)を加え、室温において攪拌器を用いて溶解した。
その後、実施例1と同様にして、容器詰め飲料を製造した。
得られた容器詰め飲料の風味及び外観を評価した結果を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
表3より、重量平均分子量の異なる各アルギン酸カリウムの使用によって風味改善効果が奏されることがわかる。
【0041】
実施例17、比較例5
表4の組成の容器詰め飲料を製造した。所定量のアルギン酸カリウム(重量平均分子量4万)を60℃の水に攪拌器を用いて溶解し、1%相当量の濃縮還元リンゴジュース(商品名:「朝の健康果実 Minute Maid」、明治乳業株式会社製)を添加し、攪拌した。実施例17では溶解液に乳酸カルシウム(製品名:乳酸カルシウム、扶桑化学工業株式会社製)を加え、比較例5では乳酸カルシウムを加えなかった。
その後、フタ付きガラス管に充填し、85℃の恒温槽を用いて85℃で30分の殺菌を行い、容器詰め飲料を製造した。
得られた容器詰め飲料の風味及び外観を評価した結果を表4に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
表4より、カルシウム塩の添加により風味改善効果が奏されることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量10,000〜900,000のアルギン酸を0.2〜8質量%、カルシウムイオン及びカリウムイオンを含有し、カルシウムイオンとカリウムイオンの質量比(Ca/K)が0.02〜0.20である容器詰め飲料。
【請求項2】
pHが3.5以上である、請求項1記載の容器詰め飲料。
【請求項3】
粘度が20mPa・s以下である、請求項1又は2記載の容器詰め飲料。
【請求項4】
野菜汁又は果汁の含有量がストレート換算で12質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器詰め飲料。