説明

容器詰ウコン飲料

【課題】本発明は、素早い水分補給により喉の渇きを軽減するために飲用される、透明性が高いウコン飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る容器詰ウコン飲料は、ウコン飲料の浸透圧が800mOsm/kg以下であり、微粒子化ウコン抽出物と、ウコン飲料500ml当たり3〜50mgのクルクミンを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術は、ウコン抽出物を含有する容器詰ウコン飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
ウコン(ショウガ科ウコン,Curcuma longa LINNE)は東南アジアを中心に、世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されるショウガ科ウコン属の薬用植物である。
【0003】
ウコンの根茎には3〜5%のクルクミン(黄色色素)が含有される。ウコン抽出物及びクルクミンには様々な有用性が知られている。例えば非特許文献1ではウコン抽出物含有飲料はアルコールと一緒に摂取することにより、アルコール本来の「酔い」を適度に発現させながら、悪酔いを防止する作用を有することが示唆されている。
【0004】
ウコンの有用性に着目し、ウコン色素を配合した飲料が開発されている。ウコン色素は水難溶性であることから、水中に分散させるための各種の技術が提案されている。
【0005】
特開2009−263638号公報には、ウコン色素の水中での分散性と体内での吸収性を高めるために、ガティガムと平均粒子径が1μm以下のウコン色素とを含有するウコン色素組成物が開示されている。そしてこのウコン色素組成物を配合して、ウコン色素(クルクミン)含量が0.3質量%(1500mg/500ml)の飲料組成物を配合することが開示されている。
【0006】
特開2001−206844号公報にはクルクミンの色安定性、生物学的利用能、再分散性等を改善するための種々のクルクミン配合物が開示されている。クルクミン配合物を飲料の製造に用いることも記載されている。
【0007】
特開2008−92806号公報には、ウコン粉末を飲料に配合する際にウコン粉末が浮いたり、塊になるなどして均一に分散しないという問題を解決するために、乳化剤を用いてウコン粉末を分散させるウコン入り飲料の製造方法が開示されている。ウコン粉末としては0.2μm〜260μmのものが用いられている。実施例にて調製された飲料中のクルクミン量は、500ml当たり約200mgである。
【0008】
特開2009−28042号公報には、クルクミン、ジェランガムを含有する、分散性及び沈殿安定性が優れたウコン飲料が記載されている。クルクミンの配合量は飲料500ml当たりに換算して150〜300mgであることが開示されている。
【0009】
特開2009−201371号公報には、210〜420ナノメートルのクルクミン粒子と、乳化剤と、水系媒体とを含有する、分散安定性と光安定性が高められたクルクミン組成物が開示されている。
【0010】
特開2004−208555号公報には、クルクミン等の油性物質を水中に容易に乳化・分散させるための乳化製剤が開示されている。当該乳化製剤を水に分散させたときの粒子径は1.0μm以下であると記載されている。
【0011】
特開2009−247283号公報に開示されている比較品4は、平均粒子径が22μm以下に粉砕されたウコン末を分散させた分散液である。比較例4の分散液は、500ml当たり1250mg程度のクルクミンを含有すると推定される。同文献によればこの分散液は再分散性と色調に関して好ましいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−263638号公報
【特許文献2】特開2001−206844号公報
【特許文献3】特開2008−92806号公報
【特許文献4】特開2009−28042号公報
【特許文献5】特開2009−201371号公報
【特許文献6】特開2004−208555号公報
【特許文献7】特開2009−247283号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】浜野拓也ら、「ウコン抽出物が健常成人のアルコール代謝に及ぼす影響の検討」、応用薬理、72(1/2)、31−38(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
素早い水分補給により喉の渇きを軽減するために、飲みやすく比較的多量に飲用できるウコン飲料に対する需要があると本発明者らは予測している。従来のウコン飲料は、ウコン抽出物の作用を得るためにウコン抽出物を高濃度で含み容量の比較的小さい容器詰飲料として市販されていることが一般的であり、多量には飲みにくく、前記の需要に十分応えるものではなかった。
【0015】
数百ml程度の比較的多量の飲料を摂取しやすくするためには、ウコン飲料の浸透圧を低減させることが考えられる。このような低浸透圧飲料は容器(典型的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)製の透明性容器等)に詰められた形態で市販されることが通常である。また、低浸透圧化されなくとも上記需要を満たす飲料は透明性容器に詰められた形態で市販されることが想定される。
【0016】
しかしながら、従来のウコン抽出物を高濃度で含むウコン飲料は濁度が高く不透明であるため、消費者に違和感を与えるという問題がある。ウコン飲料の濁度は主に、水不溶性のウコン色素であるクルクミンの量に依存する。濁度を低減させるために飲料中のクルクミン量を低減させることになるとも考えられる。
【0017】
そこで本発明は、素早い水分補給により喉の渇きを軽減するために飲用される、透明性が高いウコン飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、(1)微粒子ウコン色素を含むと共にクルクミン量を特定量まで低減させることにより、濁度が低減し飲料に透明性のある黄色が付与されるため、飲料として好ましい外観が達成されること、(2)微粒子ウコン色素を飲料中に配合することにより、微粒子化されていないウコン色素が配合されたウコン飲料よりも飲料中のクルクミン(ウコン色素)の含有量を低減させた前記特定量においてもクルクミンの血中吸収量は同等に保つことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)ウコン飲料の浸透圧が800mOsm/kg以下であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料が500ml当たり3〜50mgのクルクミンを含有する、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
(2)ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)ウコン飲料の浸透圧が800mOsm/kg以下であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料の3倍希釈液の濁度が0.200〜0.950である、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
(3)ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)容器が透明性容器であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料が500ml当たり3〜50mgのクルクミンを含有する、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
(4)ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)容器が透明性容器であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料の3倍希釈液の濁度が0.200〜0.950である、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
(5)ウコン飲料中の、微粒子化されたウコン抽出物の粒径10μm以上の大きさの粒子の粒度分布率が5%以下である、(1)〜(4)の何れかに記載の容器詰ウコン飲料。
(6)微粒子化されたウコン抽出物が微粒子ウコン色素である、(1)〜(5)の何れかに記載の容器詰ウコン飲料。
【発明の効果】
【0020】
本発明の容器ウコン飲料は、素早い水分補給により喉の渇きと倦怠感を軽減するために飲用される、透明性が高い容器ウコン飲料である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の容器詰ウコン飲料の実施形態の一例の縦断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の容器詰ウコン飲料の実施形態の一例の外観の斜視図を示す。
【図3】図3は、微粒子化ウコン色素と対照品(微粒子化されていないウコン色素)を摂取した場合の血中吸収量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ウコン
本発明においてウコンとは、ショウガ科ウコン(Curcuma longa LINNE)の根茎を指す。
【0023】
ウコン抽出物
本発明においてウコン抽出物とは、下記するウコン色素及び他のウコン抽出物を含むものを指す。
【0024】
ウコン色素
ショウガ科ウコンの根茎の乾燥品より、温時エタノールで、熱時油脂若しくはプロピレングリコールで、又は室温時〜熱時ヘキサン若しくはアセトンで抽出して得られるものであり、主色素はクルクミン類で黄色を呈するものを挙げることができる。
【0025】
ウコン色素以外のウコン抽出物
本発明のウコン飲料には前記のウコン色素以外に、他のウコン抽出物(例えばウコンの水、熱水、或いは、親水性有機溶媒(例えばエタノール)と水と混合溶媒による抽出物)が含まれてもよい。親水性有機溶媒と水との混合溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば重量比で10:90〜90:10の範囲が好ましく、20:80〜50:50の範囲がより好ましい。
【0026】
微粒子化されたウコン抽出物
微粒子化されたウコン抽出物とは、前記のウコン色素あるいはウコン色素以外のウコン抽出物を常法、例えば以下のような方法により粉砕処理(微粒子化処理)して調製したものを指す。特に微粒子ウコン色素を用いることが好ましい。
【0027】
微粒子化処理方法としては、水難溶性物質の微粒子化処理方法として公知の方法を用いることができる。例えば、ウコン色素を親水性有機溶媒に溶解させた溶液を水系溶媒中に分散させて微粒子化する方法や、ウコン色素を、乳化剤と混合した混合物を粉砕処理することにより、或いは、ウコン色素を乳化剤、多糖類等を含む水系溶媒中に分散させて得た分散液を粉砕処理することにより微粒子化する方法等が挙げられる。ウコン色素を乳化剤と混合した混合物を粉砕処理することにより、或いは、ウコン色素を乳化剤を含む水系溶媒中に分散させて得た分散液を粉砕処理することにより得られるウコン色素の乳化製剤は本発明において特に好ましく用いられる。
【0028】
微粒子化処理方法としては例えば以下の方法が挙げられる。
(1)ウコン色素を溶解したアルコール(エタノール)溶液を水中に分散させ、水系中にウコン色素が微粒子化された分散液を得る。この分散液中に乳化剤を添加して微粒子に結合させる。この方法は特開2005−328839号公報に開示された方法等である。
【0029】
(2)ウコン色素と、多価アルコールと、乳化剤とを、ホモミキサー等により粉砕することによりウコン色素の乳化製剤を製造する。この乳化製剤を水に添加すると、ウコン色素が均一に乳化または可溶化される。この方法は特開2004−208555号公報に開示された方法等である。
【0030】
(3)乳化剤を溶解又は分散させた水系溶媒の存在下、ウコン色素を微粒子化処理する。乳化剤としてはHLB値が9以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、改質レシチンのうちから選択される1種又は2種以上を使用することができる。水系溶媒としては水、グリセリンのうちから選択される1種又は2種以上を使用することができる。粉砕は例えばビーズミル等の湿式粉砕機によって実施することができる。この方法は特開2009−201371号公報等に記載されている。
【0031】
(4)ガティガム含有水溶液に、ウコン色素を添加し、当該液中でウコン色素の平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕する。この方法は特開2009−263638号公報等に記載されている。
【0032】
ウコン色素以外のウコン抽出物についても、以上のような方法等により微粒子化処理することができる。
【0033】
微粒子化されたウコン抽出物の粒子径は好ましくは以下の特徴の少なくとも一方、より好ましくは両方を備える。
【0034】
(1)中心粒子径(メジアン径:d50)が5μm以下、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。上記中心粒子径の下限は任意であるが、0.5μm以上、好ましくは0.8μm以上がよい。これらにより下記する微粒子ウコン色素の吸収性と同等の吸収性が得られる。本明細書中で中心粒子径は全てメジアン径:d50のものを指す。
【0035】
(2)粒径10μm以上の粒子の分布率が5%以下、好ましくは3%以下である。
微粒子化されたウコン抽出物の中心粒子径(メジアン径)および、粒径10μm以上の粒子の分布率は、水溶液中の粒子についてレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950V2(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる(条件;屈折率:1.60、測定範囲:0.001〜3000μm、粒子径基準:体積)。
【0036】
他の成分
本発明のウコン飲料は水中に、微粒子ウコン色素を含むウコン抽出物を含有するが、他の成分が更に含有されてもよい。
【0037】
他の成分は飲料として許容される成分である限り特に限定されない。
【0038】
他の成分としては、果糖ブドウ糖液糖、環状オリゴ糖、酸味料、増粘剤、イノシトール、香料、ナイアシン、酸化防止剤、ビタミン類、甘味料等を添加することにより調製することができる。環状オリゴ糖、酸味料、増粘多糖類、甘味料はウコン抽出物の苦味をマスキングする効果がある。
【0039】
酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、或いはこれらの塩等が挙げられる。
【0040】
増粘剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム等の増粘多糖類が挙げられる。
【0041】
甘味料としては、果糖、ブドウ糖、液糖等の糖類、はちみつ、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム等の高甘味度甘味料が挙げられる。
【0042】
酸化防止剤としては、ビタミンC、酵素処理ルチン等が挙げられる。
【0043】
ビタミン類としては、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンE等が挙げられる。
【0044】
浸透圧
ウコン飲料の浸透圧は、好ましくは800mOsm/kg以下であり、より好ましくは400mOsm/kg以下、特に好ましくは250mOsm/kg以下である。250mOsm/kg以下の飲料は、体液よりも浸透圧が低く、「ハイポトニック飲料」と呼ばれることがある。
【0045】
浸透圧の下限は特に限定されず、0mOsm/kgの飲料も含まれる。
【0046】
浸透圧が上記範囲内の飲料は、飲みやすく比較的多量に飲むことができ、素早い水分補給により喉の渇きを軽減することができる。
【0047】
浸透圧は浸透圧計を用いて測定することができる。本発明における浸透圧の値は、浸透圧計OSMOMETER OM801(フォーゲル社製)を用い、飲料液を50μlを測定カップに入れ、測定ヘッドを冷却部に降ろし、ホールドされた数値を読み取ることにより測定された値を指す。
【0048】
浸透圧は一般的に分子数・イオン数に依存するので、飲料では主に低分子の糖類、ミネラル類等の含有量に依存する。これらの成分を適宜調整することにより上記の浸透圧を実現することができる。
【0049】
クルクミン量
ウコン飲料は、500ml当たり、好ましくは3〜50mg、より好ましくは5〜30mg、特に好ましくは6〜20mgのクルクミンを含有する。
【0050】
クルクミン量をこの範囲とすることによりウコン飲料の濁度が低減され、透明性が付与される。このため透明容器に収容された場合であっても飲料として透明性のある黄色のもので自然な印象と清涼感を与えることができる。なお、従来の市販ウコン飲料は、500ml当たり約150mgのクルクミンが含有されており、背景技術の欄で言及した先行技術文献中のウコン飲料には更に高濃度のクルクミンが含有されている。本発明は、ウコン色素として微粒子ウコン色素を用いることにより、クルクミン量を低減させながらも、クルクミンの血中吸収量では従来のウコン飲料と同等の効果を奏することを可能とする。
【0051】
クルクミン量が500ml当たり50mgを超えると、飲料の濁度が高くなり、透明性が損なわれるため好ましくない。一方、クルクミン量が3mg未満の場合、クルクミンに由来する生理活性が低くなり好ましくない。
【0052】
飲料中のクルクミンの量は、飲料を50%アセトニトリルで溶解させ、これを遠心分離して得られる上清液中のクルクミン量を高速液体クロマトグラフィー(Agilent technology社製Agilent1100)を用いて測定することにより求めることができる。
【0053】
飲料中のクルクミン量が上記範囲となるようにウコン色素及び他のウコン抽出物の配合量を適宜設定することができる。
【0054】
濁度
本発明において、飲料又はその希釈液の波長660nmの吸光度を、当該飲料又は希釈液の「濁度」と定義する。例えば、島津製作所の分光光度計(型式UV−3100PC)を用い、常温でガラスセルに飲料をイオン交換水により3倍希釈したサンプルを入れ測定波長660nmで測定することにより、飲料の3倍希釈液の濁度を求めることができる。
【0055】
ウコン飲料の3倍希釈液の濁度は、好ましくは0.200〜0.950であり、より好ましくは0.300〜0.800である。
【0056】
この範囲の濁度のウコン飲料は適度な透明性のある黄色を有しており、透明容器に収容された場合であっても飲料として自然な印象と清涼感を与えることができる。ウコン飲料の濁度は主としてクルクミン含有量に依存するが、他の成分の量にも若干は依存する。クルクミン量と他の成分の量を適宜決定することにより飲料の濁度を所望の範囲に調節することができる。
【0057】
容器詰ウコン飲料
本発明の容器詰ウコン飲料の実施形態の一例の縦断面図を図1に、外観の斜視図を図2に示す。
【0058】
容器詰ウコン飲料1は、容器2と、容器2に収容されたウコン飲料3とを備える。容器2は、首部21、肩部22、胴部23、底部24を備えた縦長型容器とすることができる。胴部23の外周は、商品名や原材料が表示されたフィルム4により被覆されていてもよい。胴部の外周の一部分のみがフィルム4により被覆されていてもよい(図示せず)。通常、首部にはキャップ5が開閉自在に取り付けられている。
【0059】
容器2は、透明性容器であることが好ましい。透明性容器としては典型的にはポリエチレンテレフタレート(PET)製容器、所謂PETボトルが挙げられる。
【0060】
容器の形態は図示したものには限定されず、飲料用容器として使用される容器を適宜用いることができる。ウコン飲料を容器詰する手段は任意である。
【0061】
容器詰ウコン飲料は、比較的多量の飲料として供するという観点から、例えば350〜2000mlであるのが好ましい。より具体的には350ml、500ml、750ml、1500ml、又は2000ml容量の容器詰ウコン飲料を例示することができる。
【実施例】
【0062】
実施例1
次の原料を混合して水溶液とし、これを93℃に加熱したもの500mlを透明のPETボトルにホットパックして、PETボトル入りウコン飲料を調製した。
【0063】
【表1】

【0064】
微粒子ウコン色素は、中心粒子径が1.2μmで、粒径10μm以上の大きさの粒子の粒度分布率が5%以下であった。
微粒子ウコン色素の粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950V2(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した(条件;屈折率:1.60、測定範囲:0.001〜3000μm、粒子径基準:体積)。
【0065】
得られたウコン飲料は、調製後から15000ルクスの照度条件にて4日間保管後を通して次の性能を有していた。
【0066】
【表2】

【0067】
参考例1:吸収性試験
実施例1で使用した微粒子ウコン色素の吸収性を評価した。
【0068】
実施例1で使用した微粒子ウコン色素をイオン交換水に分散し、マウスに、クルクミンの投与量に換算して790mgを単回経口投与した(各3匹)。
【0069】
対照試験として、粒径10μm以上の大きさの粒子の粒度分布率が50%以上である、天日乾燥したウコン根茎を小片にしたウコンチップの粉砕物(ウコン粉末)を使用し、前記と同様にイオン交換水に分散し、投与を行った。
【0070】
投与前、投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間および24時間に、採血を行い、採血した血液を1700×g、4℃、15minで遠心分離処理を行い、血漿を得た。得られた血漿は冷凍保存した。
【0071】
各血漿サンプル中のクルクミン濃度を下記の手順により測定した。
【0072】
《β−グルクロニダーゼ処理》
測定時、血漿を室温に戻し、血漿サンプルをよく混和した後、エッペンドルフチューブに400μLずつ2つに分ける。
(1)脱抱合処理あり
(2)脱抱合処理なし
0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)29.64mLに、β−Glucronidaseを360μL加えて混和する。
※血漿量に対して1,000units/mL
【0073】
(1)のチューブにβ−Glucronidaseを含む酢酸緩衝液を400μL加えて混和する。
(2)のチューブに酢酸緩衝液を400μL加えて混和する。
【0074】
恒温槽で、37℃、1時間反応させる。
【0075】
《抽出処理》
血漿サンプル(1)、(2)に、サンプル量と同量(400μL)のクロロホルムを加え、ボルテックスで混合する。
【0076】
下層(クロロホルム)を新しいエッペンドルフチューブに採取する。
【0077】
残った溶液に、再び同量(400μL)のクロロホルムを加え、ボルテックスで混合する。
【0078】
下層(クロロホルム)を採取し、1回目の抽出液の入ったエッペンドルフチューブに加える。
【0079】
遠心濃縮機を用いて、クロロホルムを留去し、乾固させる。
【0080】
乾固させたチューブにアセトニトリルを200μL添加し、30秒間ボルテックスする。
【0081】
0.45μmディスクフィルターを用いて濾過し、インサートを入れたバイアルに移す。
【0082】
《HPLC条件》
検出器:Agilent 1120 Compact LC
カラム:Mightysil RP−18 GP Aqua 250−2.0(5μm)
カラム温度:30℃
移動相:50%アセトニトリル溶液/pH3.3 TFA水溶液
検出波長:425nm
流量:0.2mL/min
注入量:5μL
【0083】
各採血時点の血漿中のクルクミン濃度を図3に示す。図3のグラフから求めた血漿中濃度−時間曲線下面積:AUCを表に示す。
【0084】
【表3】

【0085】
吸収性試験の結果から、実施例1で使用した微粒子ウコン色素の吸収性は、より粒度の大きいウコン粉末に対して約3.7倍となった。
【0086】
市販の粒度の大きいウコン粉末を含有するウコン飲料では、100ml当たりのクルクミン含有量約30mgのものが一般的である。クルクミンはウコン色素に9.5質量%程度含まれる成分である。市販のウコン飲料とクルクミン含有量を同等量として、実施例1のように容量を500mlとすると、クルクミン含有量は約150mgとなる。
【0087】
後記の比較例1のとおり、クルクミン含有量を500ml当たり70mgとすると、ウコン飲料は不透明のものとなる。これに対して、本発明では、微粒子ウコン色素のクルクミン吸収性がウコン粉末に比べて約3.7倍となることから、市販のウコン飲料と同等のクルクミン吸収性を得るために、クルクミン含有量を500ml当たり約40mg(150÷3.7=約40mg)とすることが可能となると考えられる。これにより、透明性に優れ、かつクルクミン吸収性にも優れた新規形態のウコン飲料を提供することが可能となる。
【0088】
実施例2、3、比較例1
微粒子ウコン色素の配合割合を変える以外は実施例1と同様にしてPETボトル入りウコン飲料を調製した。得られたウコン飲料は、調製後から15000ルクスの照度条件にて4日間保管後を通して次の性能を有していた。
【0089】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)ウコン飲料の浸透圧が800mOsm/kg以下であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料が500ml当たり3〜50mgのクルクミンを含有する、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
【請求項2】
ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)ウコン飲料の浸透圧が800mOsm/kg以下であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料の3倍希釈液の濁度が0.200〜0.950である、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
【請求項3】
ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)容器が透明性容器であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料が500ml当たり3〜50mgのクルクミンを含有する、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
【請求項4】
ウコン抽出物を含有するウコン飲料と、該飲料を収容する容器とを備える容器詰ウコン飲料であって、
(A)容器が透明性容器であり、
(B)ウコン抽出物が、微粒子化されたウコン抽出物を含み、
(C)ウコン飲料の3倍希釈液の濁度が0.200〜0.950である、
ことを特徴する容器詰ウコン飲料。
【請求項5】
ウコン飲料中の、微粒子化されたウコン抽出物の粒径10μm以上の大きさの粒子の粒度分布率が5%以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の容器詰ウコン飲料。
【請求項6】
微粒子化されたウコン抽出物が微粒子ウコン色素である、請求項1〜5の何れか1項に記載の容器詰ウコン飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−250708(P2011−250708A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124936(P2010−124936)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】