容積変位型血管用アクセスデバイス
医療装置は、セプタムおよびスリットを含み得るアクセスポートを有する血管用アクセスデバイスを含み得る。そのスリットは、セプタムの本体の内面に形成され得るものであり、そのアクセスポートは、セプタムのスリットを介して別個のアクセスデバイスを受け入れることができる。医療装置は、ポートがアクセスデバイスにより利用された場合、アクセスポート内に付加的な量を作るように拡張する可撓性部材を含み得る。医療装置のチャンバーにおける容積変位を制御する方法は、質量を有する物質をチャンバー内に挿入することによって、血管外システムのチャンバーの容積を減少させること、および/または、同時に、かつ、チャンバー内に挿入された物質の質量と同等にチャンバーの容積を増加させることを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に対し注入または他の治療を施すための血管用アクセスデバイスのような医療装置内の容積変位に関する。注入療法は、最も一般的な医療処置法の1つである。入院患者、在宅看護の患者、または他の患者は、血管系内に挿入した血管用アクセスデバイスによって、流体、薬剤、および血液製剤を受ける。注入療法は感染症を治療するため、麻酔または無痛法を施すため、栄養補給を施すため、癌性増殖を治療するため、血圧および心臓の鼓動を維持するために使用され、または、注入療法は、多くの他の臨床的に有意な使用法に用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
注入療法は、患者の血管系の外部に配置される血管用アクセスデバイス(血管外装置)によって容易に行うことができる。患者の末梢血管系または中心性血管系に、直接または間接的に利用することができる血管外装置は、Becton、Dickinson and CompanyのBD Q−SYTE(商標)クローズドルアーアクセスデバイスなどのクローズドアクセスデバイス、注射器、スプリット(split)アクセスデバイス、カテーテル、および静脈内(IV)流体室を備える。血管用アクセスデバイスは、短期間(数日間)、中程度の期間(数週間)、または長期間(数ヶ月から数年間)留置することができる。血管用アクセスデバイスは、連続的な注入療法または断続的な治療に使用される。
【0003】
一般の血管用アクセスデバイスは、患者の静脈に挿入されるプラスチックカテーテルである。カテーテルの長さは、末梢血管系にアクセスするための数センチメートルから中心にアクセスするためのより長いものまで変更可能である。カテーテルは、経皮的に挿入され、または、患者の皮膚下に外科的に埋め込むことができる。カテーテルまたはカテーテルに取り付けられる任意の他の血管外装置は、単一の管腔、または多くの流体を同時に注入するための複数の管腔を有し得る。
【0004】
血管用アクセスデバイスの基端は、通常、他の医療装置を取り付けることができるルアーアダプタを備える。たとえば、投与セットを血管用アクセスデバイスの一端に取り付け、IVバッグを他端に取り付けることができる。投与セットは、流体および薬剤を連続的に注入するための流体導管である。一般に、IVアクセスデバイスは、他の血管用アクセスデバイスに取り付けることができる血管用アクセスデバイスであり、血管用アクセスデバイスを閉鎖または密封し、流体および薬剤を断続的に注入または注射できるようにするものである。IVアクセスデバイスは、ハウジング、およびシステムを閉鎖するためのセプタムを備えることができる。セプタムをブラントカニューレまたは医療装置の雄型ルアーで開放することができる。
【0005】
注入療法に関連する合併症は、かなり高い羅患率を示し、死亡に至ることもある。重大な一合併症は、カテーテル関連血流感染(CRBSI)である。中心静脈カテーテル(CVC)関連BSIの推定250,000〜400,000の症例が毎年米国の病院で発生している。各感染による死亡率は、12%〜25%であり、症状あたりの医療システムコストは、25,000ドルから56,000ドルである。
【0006】
CRBSIを招く血管用アクセスデバイスによる感染は、カテーテルの挿入に続く血液の移動からの流体の流路に入る病原体によって引き起こされる可能性がある。カテーテルの留置期間が長くなるとCRBSIの危険が増すことが研究により判明した。これは、少なくとも部分的には、患者の血管系からカテーテルなどの血管外装置への血液の移動によるものである。汚染されるとき、病原体が、血管用アクセスデバイスに付着し、定着し、生物膜を形成する。その生物膜は、大抵の殺菌剤に耐性があり、患者の血流に入りBSIを引き起こす補給源を病原体に与える。
【0007】
幾つかの血管外装置は、協働して、連続した血管外システムを形成することができ、それによって血管系への流体の流入をもたらすが、外部の周囲環境からは完全に密封されている。こうした密封されたシステムは、望ましくない細菌が外部の周囲環境から血管外装置を通って患者の血管系に入るのを制限し、または阻止すると考えられる。
【0008】
しかし、血管外装置(血管外システム)の密封されたシステムは、閉鎖、即ち、密封された真空部として機能し、血液、したがって感染の培養を、血管外システム内に吸い込むことができる。装置が血管外システムからねじ切られ、または他の方法で取り外されるときに、血管外システムの容積が僅かに増加することがある。血管外システムは患者の血管系よりも弾性が低い場合が多いので血管外システムの容積が増大するとき、患者の血管系の容積が血管外システムからの真空圧下で減少する。血管系の容積が減少するとき、血液が血管系から血管外システムに流れ、または吸い込まれる。さらに、血管外システム内の圧力が患者の血管圧よりも下がるとき、血管外システム内の容積の変化または他の事象の結果、血液が血管系から血管外システムへ流れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明と併せ見て理解されるように、血管外システム内に血液が一時的にでも存在するとき、血管外システムに将来的に動作の問題が生じる恐れがある。例えば、血管外システムのカテーテルの端部で血液が凝固するとき、血管外システムと血管系の間の流体流が将来的に阻止される可能性がある。薬物および他の流体物質が血管外システムを通るように押し出されるとき、血餅が血管外システムから剥がれ、血餅が血管系に入り、患者に危険な塞栓症が引き起こされる恐れがある。最後に、上述したように、血管外システムのカテーテルの先端に血液が急速に出入りしても、蛋白、細菌、および他の病原体の残留物がカテーテルの内壁上に残るであろう。この残留物が細菌の繁殖場になり、所定の期間が過ぎるとき、有害な生物膜の形成が起こり、血管外システムの作動中に除去または迂回するのが難しくなる。
【0010】
従って、患者の血管系から、患者血管系に接続される血管外システム内への血液の移動を回避または制限するシステムおよび方法が求められている。
【0011】
本発明は、現在入手可能な血管外システム、装置、および方法で未だ完全に解決されていない当技術分野における問題および必要に応えて開発されたものである。したがって、これらの開発されたシステム、装置、および方法は、患者の血管系に接続することができ、血管系から血管外システムへの血液の流れ、即ち、移動を制限あるいは阻止することができる血管外システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
医療装置は、セプタムおよびスリットを備えることができるアクセスポートを有する血管用アクセスデバイスを備えることができる。スリットをセプタムの本体の内面に形成することができ、アクセスポートはセプタムのスリットを通して別個のアクセスデバイスを受けることができる。医療装置は、アクセスデバイスによりポートが利用された場合に、拡張してアクセスポート内に追加の容積を生成するエラストマーなどの可撓性構造を備えることもできる。別個のアクセスデバイスによる利用には、アクセスポートへの流体の注入、またはアクセスポートへの機械的構造の挿入が含まれる。
【0013】
医療装置は、流体の薬物を蠕動式カテーテルの長さに沿って送出する蠕動式カテーテルを備えることができる。医療装置は、流体が注入されるフレキシブルゲートまたは逆止め弁を有することもできる。医療装置は、チャンバー内に収容されるバルーンを備え、または装置が拡張するときにねじれていない状態になるねじれた流路を形成することができる。医療装置はさらに空気圧室を備えることができ、ポート内の容積が流体室内に含まれ、空気圧室または感圧式薬液室の容積が変わるときに、流体室の容積が増加する。
【0014】
医療装置は、ストラットが圧縮されるときに拡張することができる可撓性構造と連通するストラットを備えることができる。医療装置は、ポートが装置により利用された場合に拡張する球状部を有することができる。医療装置は圧縮バルーンの壁を形成し、圧縮バルーンが圧縮されるときに拡張することもできる。医療装置はラジアル圧縮ばねを備えることもでき、ラジアル圧縮ばねが移動するときに装置が拡張する。
【0015】
医療装置のチャンバーの容積変位を制御する方法は、質量を有する物質をチャンバー内に挿入することによって、血管外システムのチャンバーの容積を減少させ、物質の質量がチャンバー内に挿入されるのと同時に等しくチャンバーの容積を増加させることを含むことができる。物質は、注射器の先端部を備えることができる機械的構造でもよい。物質は、追加または代替として流体でもよい。
【0016】
医療装置は血管外システム内のチャンバーの容積を増加させる手段を備えることもでき、容積を増加させる手段は、チャンバーの容積を減少させる手段と等しく連通する。容積を増加させる手段をクローズドルアーアクセスデバイス内に収容することができる。
【0017】
本発明の上述その他の特徴および利点は、本発明の幾つかの実施例に組み込むことができ、以下の記載および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。あるいは、以下に述べるように本発明の実施によって解明することができるであろう。本発明では、本明細書に記載した全ての有利な特徴および全ての利点が本発明の全ての実施例に組み込まれる必要はない。
【0018】
上述その他の本発明の特徴および利点が容易に理解されるため、上述に簡単に記載した本発明のより詳細な説明を添付の図面に示した本発明の特定の実施例を参照して述べる。これらの図面は、本発明の典型的な実施例のみを示したものであり、したがって、本発明の範囲を制限するものではないと考えられたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】患者の血管系に接続された血管外システムを示す斜視図である。
【図2】可撓性部材を含む血管外システムを示す部分断面図である。
【図3】流体の薬物を有する可撓性部材を含む血管外システムを示す部分断面図である。
【図4】流体の薬物を通過させ、元の状態に戻った血管外システムを示す部分断面図である。
【図5】血管用アクセスデバイスの下部の斜視図である。
【図6】図5における血管用アクセスデバイスの逆止め弁およびフレキシブルゲートを示す部分断面図である。
【図7】流体が注入されている状態で示される図5における逆止め弁を示す部分断面図である。
【図8】元の位置に戻っている図5における逆止め弁を示す部分断面図である。
【図9】ひだ状またはリブ付きの球状部、即ち、バルーンである可撓性部材に取り付けられた血管用アクセスデバイスを示す断面図である。
【図10】流体が注入された図9における血管用アクセスデバイスおよび可撓性部材の断面図である。
【図11】可撓性部材がねじれた流路を形成する血管用アクセスデバイスの平面図である。
【図12】可撓性部材がねじれていない状態であり、流路が比較的大きい容積を示している図11における血管用アクセスデバイスを示す平面図である。
【図13】可撓性部材が元のねじれた位置に戻った図11における血管用アクセスデバイスの平面図である。
【図14】空気圧室を備える可撓性部材を有するセプタムの部分断面図である。
【0020】
【図15】図14におけるセプタム内に挿入された先端部の部分断面図である。
【図16】空気圧室を備える可撓性部材を有するセプタムの部分断面図である。
【図17】図16におけるセプタム内に挿入された先端部の部分断面図である。
【図18】ストラットに連通している血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図19】座屈した図18におけるストラットの側面図である。
【図20】ノブに取り付けたストラットを有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図21】図20における血管アクセスに挿入された雄型ルアーの先端部の部分断面図である。
【図22】本体内に収容されたセプタムの底部に取り付けられた球状部として形成された可撓性部材を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図23】図22におけるセプタム内に挿入された先端部の部分断面図である。
【図24】球状部上のリブを示す図23で示される装置の一実施例を示す断面図である。
【図25】ひだ状構成を示す図23で示される装置のさらなる実施例の断面図である。
【図26】セプタムの底部に固定されたS字状アームを備える球状部を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図27】セプタムの底部に固定された平坦なアームを備える球状部を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図28】セプタム、流路孔、クランプリング、および楔を有する血管用アクセスデバイスの斜視図である。
【図29】図28におけるセプタムの断面図である。
【図30】図29の断面図から90度の角度から見た図26のセプタムの断面図である。
【図31】図30におけるセプタムの4分の1の断面図である。
【図32】圧縮バルーンを有する血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図33】物質が充填されたセプタムの底部の下のチャンバーを有する血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図34】雄型先端部がセプタムに挿入された状態で示される図33における血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図35】先端部を挿入する以前の血管用アクセスデバイスを示す断面図である。
【図36】先端部挿入中の図35における血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図37】ランプを備える可撓性部材を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図38】図37における血管用アクセスデバイス内に挿入された先端部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の現時点で好ましい実施例は、図面を参照すれば最もよく理解されるであろう。図面では、同一の参照番号が、同一または機能的に同一の要素を示す。容易に理解されるように、本発明の構成要素を、本明細書に全般的に記載し図で示したように、多様な異なる構成に配置し設計することができる。従って、図において代表される以下のより詳細な説明は、請求された本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の好ましい本実施例の代表例にすぎない。
【0022】
図1を参照すると、血管用アクセスデバイス10(血管外装置、静脈内アクセスデバイス、および/またはアクセスポートとも呼ばれる)は、カテーテル12によって皮膚14を通過し、患者18の血管16内に物質を導入するために使用される。血管用アクセスデバイス10は、管腔および管腔内に配置されたセプタム22を有する本体20を備える。セプタム22は、注射器などの別個の血管外装置26は物質を血管用アクセスデバイス10内に導入し得るスリット24を有する。
【0023】
また、装置10は、可撓性部材も含み、可撓性部材は、エラストマーに限定されないが、(以下の図を参照して述べるように)血管用アクセスデバイス10、および/または、血管用アクセスデバイス10が接続される血管外システム28内に容積を作ることができるエラストマーを含み得る。この容積を作り出すことができるエラストマー、または、他の可撓性部材は、別個の装置26の先端部30が血管用アクセスデバイス10内にセプタム22のスリット24を通して挿入された場合、容積を生成することができる。通常、先端部30が装置10内に挿入されるとき、血管外システム28の容積が減少して、流体がシステム28から血管16内に流れるようになる。通常の状態では、逆に、先端部30が装置10から除去されるとき、血管外システム28の容積が増加して、血液が、カテーテル12の端部32を通って入ることによって、血管16からシステム28内に流れるようになる。
【0024】
この記載全体で述べるように、血液が血管外システム28内に一時的にでも存在するとき、血管外システム28に将来的に動作の問題が生じる恐れがある。こうした問題には、血餅、流体流の障壁、塞栓症、および有害な生物膜の生成が含まれる。したがって、本明細書で開示した装置は、血管16からカテーテル12内への血液の逆流、即ち、移動を回避するために設けられる。その装置は、別個の装置26が血管用アクセスデバイス10内に挿入されたとき、容積を作り出すことができ、作られた容積が元の大きさに減少することができるようにする可撓性部材を備えることができる。容積が元の大きさに減少するとき、容積の減少により、全ての容積変位が相殺され、別個のアクセスデバイス26が除去されるとき、流体が血管用アクセスデバイス10または他の医療装置から患者の血管系に向けて末端方向に押し込まれる。さらに、これは、血液が血管16からカテーテル12内に流れ、即ち吸い込まれるように容積が作られることを回避する。
【0025】
血管用アクセスデバイス10は、そのアクセスポートに対しいかなる別個のアクセスデバイスによっても利用されてもよい。こうした利用には、流体のポートへの注入、または先端部30などの機械的構造のポートへの挿入が含まれてもよい。以下の幾つかの実施例の多くは、限定的ではないが、主に流体のポートへの注入に関するものである。
【0026】
図2を参照すると、血管用アクセスデバイス10は血管用アクセスデバイス10の本体20に取り付けられた少なくとも1つのエラストマー34を備える。エラストマー34は蠕動式カテーテルであり、流体の薬物を蠕動式カテーテルの長さに沿って送出する。動作中、別個の装置26の先端部30が装置10のアクセスポートに挿入され、流体が先端部30から装置10の管腔を通ってエラストマー34の管腔内に送出される。
【0027】
図3を参照すると、図2のエラストマー34が流体の薬物を受け入れた後、エラストマー34の外壁が、流体の薬物の背後を取り囲み、流体の薬物を患者の血管系に向けて方向36に押し出している。
【0028】
図4を参照すると、図2および3のエラストマー34は、流体の薬物を患者38にうまく送出するものとされる。エラストマー34の壁は、元の静止位置に縮小し、血管用アクセスデバイス10の管腔を通って別の流体の薬物を受ける用意ができている。
【0029】
したがって、図2から図4で示した実施例は、患者の血管系からエラストマー34またはそれに取り付けられた任意の下流のカテーテル内への血液の逆流を全て回避する方法で、流体の容積を受け入れ、患者に向けて方向36に移動させることができるエラストマー34を示す。したがって操作者は、図2から図4の実施例を使用して、血液の容積を患者38から血管外システム28のどの構成要素内にも引き寄せずに、別個の装置26の先端部30を血管用アクセスデバイス10から安全に除去することができる。
【0030】
図5を参照すると、血管用アクセスデバイス10の下部の斜視図は、管腔42を通して流体を受け入れることができる逆止め弁40を示す図である。装置10は、半径方向の可撓性弾性ゲート44として形成されたエラストマー34も備える。弾性ゲート44は拡張して、血管用アクセスデバイス10から下流の流路内に付加的な量を作り出すことができる。流体が逆止め弁40の管腔42を通過した後、逆止め弁40が閉鎖され、流体の速い注入によって生成された圧力が、弾性ゲート44を血管用アクセスデバイス10の内部室に向けて内側に拡張させる。
【0031】
図6を参照すると、図5の血管用アクセスデバイス10の逆止め弁40および弾性ゲート44の断面図が示されている。流体が逆止め弁40を通して注入されていない静止位置では、逆止め弁40は、血管用アクセスデバイス10の本体20に対して真直ぐな水平位置にある。同様に弾性ゲート44も、流体が注入されていないので真直ぐな静止位置にある。従って、血管用アクセスデバイス10の下流の圧力は増加していない。
【0032】
図7を参照すると、流体46が逆止め弁40を通して注入されている状態の図6の断面図が示されている。流体46が逆止め弁40を通して注入されるとき、弾性ゲート44が圧力下で装置10の内部室内に拡張する。弾性ゲート44が装置10内に拡張することによって、血管用アクセスデバイス10の下流または外側にあるチャンバー内に付加的な量が作り出される。流体46が逆止め弁40を通って完全に注入された後、逆止め弁40が閉鎖し、弾性ゲート44が図6で示した元の開始位置に戻る。弾性ゲート44が元の位置に戻るとき、弾性ゲート44が血管外システム28の下流のチャンバーを介して流体を患者の血管系内に押し込む。
【0033】
図8を参照すると、上述のように、流体46が完全に注入された後、逆止め弁40が閉鎖し、弾性ゲート44が、下流であって患者の血管系に向かう方向48で元の位置に戻る。
【0034】
図5から図8で示される実施例では、弾性ゲート44の弾性定数は、患者の血管系の血圧と流体46が管腔42を通して注入される時に生じる充填圧力との間のレベルでなければならない。したがって、弾性ゲート44は、流体46が管腔42を通して注入されるとき、屈曲する。逆止め弁40が閉鎖した後、弾性ゲート44の弾性強さは、図6および図8で示したように、元の位置に戻る十分な強さである。流体46は、患者の血管系に向かう経路に沿って連続的に流れる。
【0035】
したがって、図5から図8の実施例は、操作者が、別個の装置を血管用アクセスデバイス10に挿入し、流体46を注入することができるようにするものである。流体46が完全に注入された後、血液を患者の血管系から血管用アクセスデバイス10が取り付けられた血管外システム28内に全く引き寄せずに、別個の装置を血管用アクセスデバイス10から除去することができる。
【0036】
図5から図8の全般的な概念、様々な要素、および構成を大幅に変更して、本明細書に示した主要なものを達成することができるが、それも本発明の範囲内に包含される。たとえば、図5から図8のエラストマーを変更し、血管外システムの経路に沿った、または隣接する任意の点に配置してもよい。さらに、エラストマー34は、流体が注入されるとき、拡張し、1つまたは複数の弁が閉鎖されるとき、収縮することができる、任意の数のラジアル、リニアー、または他のフレキシブルゲートを含んでもよい。
【0037】
図9を参照すると、血管用アクセスデバイス10がひだ状またはリブ付きの球状部、即ち、バルーン50である可撓性部材に取り付けられている。バルーン50はハウジング54のチャンバー52内に存在する。ハウジング54は、血管用アクセスデバイス10の第1の端部で雄ねじ58に取り付けられる雌ねじ56を備える。ハウジング54は、血管外システム28のカテーテル60または他の下流の装置を取り付けることができる第2の端部に雄型コネクタ58も備える。
【0038】
図10を参照すると、別個の装置26の雄型先端部30が、血管用アクセスデバイス10に取り付けられた状態で、図9の血管外システム28が示されている。流体が、別個の装置26から装置10を介してバルーン50内に注入されて、注入した流体から生じる圧力下でバルーン50を拡張させる。バルーン50は、雄型コネクタ58が流体の流れを阻止する閉鎖した弁を備えるのでまたは、流体が血管用アクセスデバイス10を通ってバルーン50内に注入される速度が、流体がバルーン50からカテーテル60内に逃げる速度よりも速いのでバルーンが拡張する。
【0039】
雄型コネクタ58内で閉鎖された弁は、使用者がボタン62を押すまで、バルーン50からカテーテル60内への流体の流れを阻止し続ける。使用者は、薬物または他の流体を別個の装置26からバルーン50内に投与した後に、ボタン62を押すことができる。バルーンが流体で充填された後、かつ使用者がボタン62を押す前に、流体を血管用アクセスデバイス10の閉鎖したスリットセプタム、または、他の同様の弁、即ち、栓と雄型コネクタ58の弁との間に捕捉することができる。使用者、即ち、操作者がボタン62を押すとき、雄型コネクタ58内の弁が開放されて、加圧された流体が、バルーン50からカテーテル60内に患者に向けて解放される。
【0040】
したがって、図9および図10の実施例は、流体を患者に送出することができる圧力を加えるバルーン50であるエラストマーを備え、一方で、血液が患者の血管系からカテーテル60または他の血管外システム28の装置内に流れる危険を全て回避して、別個の装置26を取り外すことができるシステムを提供するものである。ボタン62を、血管用アクセスデバイス10内またはハウジング54のネック64内に配置した一方弁と置き換えてもよい。流体がネック64内の弁を通過してバルーン50内に入るとき、バルーン50が拡張され、流体が別個の装置26によって完全に注入された後、バルーンの圧力がネック64内の弁を押し付けて閉鎖させる。ネック64内の弁が閉鎖し、雄型コネクタ58内の弁が少なくとも部分的に開放されるとき、バルーン50内の流体がバルーン50によって下流によって押し出される。流体は圧力下で雄型コネクタ58、カテーテル60を通り、患者の血管系内に移動する。加圧された流体の流れは、流体が患者の血管系から血管外システム28内に流れることができないようにする。
【0041】
図11を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、静止位置でねじれたチャンバーを形成するように作成されたねじれた流路66を形成するエラストマーを備えることができる。ねじれたチャンバーは、エラストマーがねじれていない場合、チャンバーが保持する容積よりも小さい容積を有する。ねじれた流路、即ち、ねじれたチャンバー66は、ねじれていない状態では、流路66がねじれていない状態になった後により大きい容積を有するチャンバーを形成し、エラストマーを拡張させる。図11のねじれた流路66は、血管外システム28の流路に沿った、または隣接した任意の部分を形成することができる。
【0042】
図12を参照すると、ねじれた流路66がねじれていない状態になった後の流路の断面が図11のねじれた流路66の断面よりも大きい容積を有することを示している。ねじれた流路66は、エラストマーをねじれていない状態にする任意のねじり、または他の同様の作用、あるいは接合(アーティキュレーション)が開始されると、ねじれていない状態になる。例えば、血管用アクセスデバイス10であるクローズドルアーアクセスデバイスでは、装置10は注射器の雄型先端部上でねじられる雄ねじを備えることができる。装置10が注射器に取り付けられると、2つの装置が共にねじられる。
【0043】
2つの装置を共に取り付けるのに必要とされるねじり作用中に、ねじれた流路66は図11で示した元の静止したねじれた位置から図12で示したより大きい容積のねじれていない位置に移動する。こうした作用は、ねじれた流路66の第1の端部68が注射器などの別個の装置26に取り付けられたときに生じる。注射器は最初に、ねじれた流路66の第1の端部68に結合され、または他の方法で固定され、注射器の雄型ルアーがねじられている間、第1の端部68が雄型ルアーと共にねじれて、ねじれた流路66を開放し、ねじれていない状態にする。その後、別個の装置26の雄型ルアーが取り外され、第1の端部68がねじれていない状態になり、ねじれた流路66が図11で示した元の位置に戻るようになされる。
【0044】
図13を参照すると、注射器または別個の装置26が血管用アクセスデバイス10から取り外された後に、ねじれた流路66が比較的小さい容積の元の静止位置に戻ったところが示されている。
【0045】
従って、図11から図13に示されるねじれた流路66を形成するエラストマーの実施例は、別個の装置26の雄型ルアーが血管外システム28に取り付けられた場合、血管外システム28の流路内に付加的な量を与えることができるエラストマーを示すものである。別個の装置26の雄型ルアーまたは先端部30は、血管外システム内に容積を占め、その容積により、図12のねじれていない流路66によって示される容積の作り出しと同時に等しく相殺される。従って、図12のねじれていない流路66の相殺された容積により、別個の装置26の雄型先端部30の挿入、および/または、引き込め時、血液が患者の血管系からねじれた流路66が取り付けられる血管外システム28内に移動する可能性が低くなり、または危険が回避される。
【0046】
代替的な実施例では、図11から図13のねじれた流路66を、別個の装置26から受け入れる流体の圧力下でねじれていない状態にすることができる。したがって、この特定の実施例では、別個の装置26の装置10への取り付けが、ねじれた流路66をねじれていない状態にする手段でなくてもよい。むしろ、流体がねじれた流路66を通って移動するときに別個の装置26から送られる流体の圧力によって、ねじれた流路がねじれていない状態になり、比較的大きい容積が作り出され、次いで、流体流の圧力が減少した後、元のねじれた位置に戻る。流体圧力を使用してねじれた流路66を開放する実施例を、別個の装置26を使用してねじれた流路66の第1の端部68をねじれていない状態にする実施例と組み合わせて使用することができる。
【0047】
図14を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、エラストマー72で作成されたセプタム70を備える。空気圧室74は、エラストマー72の本体内で、空気圧チャネル78を介して第2の空気室76に連通する。別個の装置26の雄型先端部30がセプタム70のスリット内に挿入されるとき、セプタムが下方および外側の方向80に移動して、空気圧室74を方向82に圧縮し、同時に方向84に拡張させることにより、空気圧室74内の正味の容積増加をもたらす。空気圧室74の容積が増加するとき、空気が第2の空気室76から空気圧チャネル78を通って空気圧室74内に移動することにより、第2の空気室76を縮小させる。第2の空気室76が縮小すると、血管用アクセスデバイス内の流体室86の容積が増加し、先端部30の挿入によって生じた容積の減少が相殺される。
【0048】
図15を参照すると、別個の装置26の先端部30がセプタム70内に挿入された状態で図14の血管用アクセスデバイス10が示されている。上述のように、先端部30の挿入によって、空気圧室74の容積が増加し、第2の空気室76の容積が等しく減少する。第2の空気室76の容積が減少するのは、第2の空気圧室の側壁88が、空気室74、チャネル78、および第2のチャンバー76を備える連続した空気室を取り囲むエラストマー72の残りの周囲構造よりも薄い、または他の方法でより可撓性であるためである。
【0049】
したがって、図14および図15の実施例は、血管用アクセスデバイス10のアクセスポートの容積を流体室86内に収容し、流体室86の容積を空気圧室74の空気圧の増加と同時に等しく増加させることができる空気圧室を示すものである。内部室86内のこの容積の変化により、先端部30が血管用アクセスデバイスに挿入されたときに生じる容積の増大が、全て相殺される。同様に、先端部30が血管用アクセスデバイスから除去されるとき、セプタム70は、図14で示した元の位置に戻って、空気圧室74および76の容積が元に戻り、それによって内部室86の容積が元に戻る。図14および図15の実施例の流体および空気室の平衡によって、血液が、患者の血管系から装置10および別個の装置26が取り付けられる血管外システム28内に全く流れず、先端部30を装置10に挿入することができる。
【0050】
図16を参照すると、図14および図15で示したものと同様の実施例が示されており、空気圧室90は、空気圧室90の容積が変化するとき、内部室92の容積を変えることができる。しかし、図14および15で記載した実施例とは対照的に、空気圧室90は、空気圧室90の容積が増加ではなく減少するとき、内部室92の容積を増加させる。図16で示したように、血管用アクセスデバイス10は、セプタム94およびセプタム94の本体を形成するエラストマー96を備える。空気圧室90は、エラストマー96のハウジングまたは本体内で蛇行した空気圧チャネル98に連続的に取り付けられる。蛇状空気圧チャネル98の端部100は、エラストマー96の薄い壁102に沿った空気圧チャネル98の蛇状経路で終端する。別個の装置26の先端部30が装置10のセプタム94内に挿入されるとき、エラストマー96が屈曲し、空気が空気圧室90から出て、蛇状チャネル98内に押し込まれるため、空気圧室90が圧縮され、または比較的小さい容積に縮小される。空気が蛇状チャネル98を通って端部100に押し出されるとき、チャネル98の側壁に加えられる空気圧によって薄い壁102が方向104に拡張される。薄い壁102が方向104に拡張されるとき、内部室92の容積が増加する。
【0051】
図17を参照すると、別個の装置26の先端部30がセプタム94内に挿入された状態で図16の血管用アクセスデバイス10が示されている。セプタム94が方向106に押し付けられて、空気圧室90を収縮させる。収縮した空気圧室90は、空気を蛇状チャネル98内に押し込み、チャネル98およびエラストマー96の薄い側壁102を方向104に拡張させる。本発明の実施例では、薄い側壁102は方向104に拡張することができる。なぜなら、薄い側壁102に沿ったエラストマー96の特性は、エラストマー96が横方向108に拡張するよりも軸線方向104に容易に拡張するものであるからである。薄い側壁102の拡張により、内部室92内の容積が増加され、それによって、チャンバー92の容積への先端部30の挿入およびセプタム94の作動によって生じる容積の減少が相殺される。
【0052】
したがって、図16および図17の実施例は、図14および図15の実施例と同様であるが、逆の機構を使用して、血液が、患者の血管系から装置10が取り付けられる血管外システム28内に吸い込まれ、または他の方法で流れる可能性を回避あるいは低減する方法で、血管用アクセスデバイス内の容積を変位することができるエラストマーおよび空気圧室を提供する。図14から図17の実施例は包括的なものではなく、本発明の目的と一致する、空気または流体の容積の変化が内部室の容積の変化をもたらす本発明の原理を示す単に2つの例を表したものである。
【0053】
図18を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、1つのストラット112、即ち、一連のストラットと連通しているエラストマー110を備える。ストラット112は、内部室114内のエラストマー110の壁の内面に接触するように配置される。別個の装置26の先端部30が装置10のセプタム116に挿入されると、セプタム116の開口によって生じる軸線方向の圧力および先端部30の下方への力が、1つ、即ち、一連のストラット112をエラストマー110の内側壁に対して外側方向に座屈させ、エラストマー110を外側方向に拡張させる。ストラット112およびエラストマー110が外側方向に拡張し座屈するとき、内部室114の内部容積が増加する。
【0054】
図19を参照すると、図18の装置10のストラット112が示されている。ストラット112が、開放されたセプタム116および挿入された先端部30の軸線方向の圧力下で外側に座屈し拡張されたところが示されている。圧縮されたストラットは、軸線方向の圧力下で外側に拡張し膨張することができる単一の連続片でもよく、または、ストラット112は、組み合わせて同様の機構をもたらす働きをする一連の複数の接合部、ストラット、または他の部材でもよい。
【0055】
図20を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、エラストマー120の外面上にストラット118を備える。ストラット118は、エラストマー120のノブ122に取り付けられて、ストラット118とエラストマー120とを互いに連携して移動させる。
【0056】
図21を参照すると、別個の装置26の雄型ルアー先端部30が装置10のセプタム124に挿入された状態で図20の血管用アクセスデバイス10が示されている。先端部30の下方への力およびセプタム124の開口によって、ストラット118およびストラット118が取り付けられたエラストマー120に下方の軸線方向の圧縮が生じて、ストラット118およびエラストマー120が外側に拡張、即ち、膨張される。ストラット118およびエラストマー120が外側に膨張するとき、装置10内の内部室126の内部容積が増加する。内部室126の容積の増加により、セプタム124の開放、および/または、先端部30の挿入によって生じる容積の減少が全て相殺される。相殺される容積によって、別個の装置26の挿入された部分が装置10から除去されるとき、血液が患者の血管系から血管外システム28内に移動する環境が生じ、または、発生することなく、血管用アクセスデバイス10がセプタム124内に別個の装置26の任意の部分を受け入れることができるようになる。本発明のエラストマーは、以下の実施例で示すように、図18から図21を参照して示したストラットなどの座屈構造と組み合わせて働かなくてもよい。
【0057】
図22を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、装置10の本体132内に収容されたセプタム130の下部に取り付けられた球状部128として形成されたエラストマーを備える。セプタム130が作動されるとき、球状部128は静止状態で、方向134に移動するように偏倚され、方向付けられ、機械的構造を有し、または他の方法で構成される。
【0058】
図23で示したように、別個の装置26の雄型先端部30がセプタム130内に挿入され、球状部128を方向134に移動させている状態で図22の血管用アクセスデバイス10が示されている。球状部128が装置10の本体132の内面に向かって方向134に移動するとき、付加的な量の貯蔵容積136が、装置10の内部室138内に作り出される。セプタム130が先端部30からの圧力下で開放されるときに、球状部128がトランポリン効果により自然に開放され拡張される。図24および図25で示されるように、リブ140、および/または、ひだ142を他の同様の機械的構造と組み合わせて、または別々に球状部128の内面および/または外面に加えて、作動したセプタム130による影響を受けた場合、球状部128が方向134に移動可能にするのに必要とされる機械的特性をもたらすことができる。リブ140、および、ひだ142は、図23の追加の図面で示したように、球状部128の2つの可能な実施例の断面図で示されている。図22および23の実施例は、内部室138内の流体圧力が球状部128上に方向134に加えられている間、セプタム130を押し付けて開放された状態で維持するため、図24を参照して記載したように、セプタム130がこうした圧力下で閉鎖することができる構造を提供する別の実施例が好ましい。
【0059】
図26を参照すると、図22および図23で示した実施例の代替的な実施例は、球状部128の上部に取り付けられたS字状アーム144を有する球状部128を備える。S字状アーム144は、球状部128をセプタム130の下部に固定する。S字状アーム144は、セプタム130のダックビル部分を閉鎖することができるようにしながら、球状部128が流体の背圧下で膨張することができるようにする。
【0060】
図27を参照すると、図24の実施例のS字状アーム144を平坦にして、球状部128の上部にある平坦なアーム146を形成してもよい。平坦なアーム146は、セプタム130の下部に隣接して存在してもよく、または直接接触してもよく、流体、蛋白、細菌、または他の病原体がチャンバー148内に繁殖し存在するのを阻止するように摘んで閉鎖することができる。アーム146を平坦にして、球状部128およびセプタム130の使用および作動中に、チャンバー148を完全に除去することができる。
【0061】
したがって、図26および図27の実施例は、セプタム130を閉鎖できるようにしながら、(図23で示したように)球状部128を内部室138内の流体の圧力下で開放した状態で維持することができるようにするのに必要な追加の機械的構造を提供するものである。S字状アーム144および平坦なアーム146などの追加の構造は、セプタム130を閉鎖し、別個の装置26の先端部30を除去することができ、セプタム130の閉鎖および先端部30の除去に関連する減少容積と等しい容積が内部室138内に増加されるようにする背圧の解放をもたらす。内部室138は増加した容積を維持するが、球状部128はなお圧力下に存在する。次いで内部室138の容積が減少し、空になり、流体が内部室138から下流に血管外システム128の残りを通って患者の血管系内に押し出される。したがって、図26および図27の実施例の背圧の解放の停止、または対抗策により、操作者が使用中に患者の血管系の血液が血管外システム28内に入る危険が全て回避され、操作者は別個の装置26を血管用アクセスデバイス10から取り外すことができるようになる。
【0062】
図28を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、流路孔152、クランプリング154、および楔156を有するセプタム150を備える。流路孔152は、セプタム150と直列に装置の孔または管腔と位置合わせされなければならない。また、流路孔152と連通している孔または管腔は、流路孔152の下の流路の外側に流体が捕捉されるのを回避するために、流路孔152よりも僅かに小さい径または同じ径でなければならない。流体は、流体が移動すべき直接の流路の外側に存在する可能性があるどの空間にも捕捉される。流体の捕捉によって、渦流および他の停滞流体の発生が可能になり、それが後で血管用アクセスデバイス10内に一時期存在し、患者に投与される流体に混合される恐れがある。停滞流体が患者に投与される流体に後に混合されると、その混合物は患者に予測不可能または危険な結果をもたらす恐れがある。楔156の設計は、セプタム150を元の静止の非作動位置に案内するように構成される。上部の垂直壁158がセプタム150の外面上に形成されて、球状部160内の流路が加圧された場合、セプタム150の内部開口が開放されるのが阻止される。
【0063】
図29を参照すると、図28のセプタム150の断面図が示されている。図で示したように、垂直壁158は、加圧流体が球状部160の内部室164内に含まれている場合、セプタム150のフロア(floor)162を支持し閉鎖するように構成される。したがって、垂直壁158は、垂直の収容壁として働き、流体がチャンバー164からセプタム150のスリット166を通って逃げるのを阻止する。この弾性セプタム150の設計は、より良好な流体の流し込み、装置10の流路の呼び水をさすのに必要なチャンバー164内の比較的小さい容積、および別個の装置26の先端部30がスリット166から除去されるときの可能性のある容積変位を可能にする血管用アクセスデバイス10を提供するものである。
【0064】
雄型ルアー、即ち、先端部30がセプタム150のスリット166内に挿入されるとき、セプタム150のフロア162がチャンバー164内に拡張され、フロア162を外側に開放することができるようになる。先端部30がスリット166に挿入されるとき、セプタム150が軸線方向の圧力下で下方に押され、球状部160の薄い側壁が外側の方向168に座屈し屈曲される。球状部160の側壁が外側に屈曲するとき、チャンバー164の容積が増加して、フロア162がチャンバー164内にチャンバー164に向かって入ることによって生じる容積の減少が相殺される。次いで、流体が先端部30を介して注入され、別個の装置26が除去される。
【0065】
別個の装置26が除去されるとき、球状部160の薄い側壁が元の位置に戻り、流体がチャンバー164から排出され、セプタム150の下部、即ち、フロア162を元の位置に押し戻し、真直ぐな垂直の収容壁158がフロア162に対して圧縮されて、フロア162の開放が阻止される。球状部160は、薄い側壁を備える。その薄い側壁は、チャンバー164から離れる方向に湾曲し、ひだが付けられ、または他の方法で機械的に変更されて、作動したときに流路孔152から離れるように座屈しやすくなされる。
【0066】
装置26が除去され、球状部160の壁が元の位置に戻り、流体がチャンバー164から流路孔152を通って排出されるとき、流体が血管用アクセスデバイスから血管外システム28を通って患者の血管系内に押し出される。こうした流体の移動によって、血液がこの流体の流れに対抗して患者の血管系から血管外システム28の一部内に移動する可能性が阻止または制限される。
【0067】
図30を参照すると、図29において90度で見た図28および図29のセプタム150の断面図が示されている。セプタム150は、スリット166の内面、楔156、内部室164、球状部160、および流路孔152を示している。
【0068】
図31を参照すると、図28から図30のセプタム150の4分の1の断面が示されている。この4分の1の断面は、スリット166、フロア162、真直ぐな垂直の収容壁158、楔156、内部室164、球状部160の薄い側壁、および流路孔152の断面を示している。前述のように、楔156および垂直収容壁158の構造により、別個の装置26の先端部30がスリット166から除去された後、セプタム150のフロア152が元の閉鎖した静止位置に押し戻される。したがって、図28から図31の実施例は、血管用アクセスデバイス10のアクセスポート、即ち、セプタム150が、別個の装置26により利用される場合、拡張する球状部160であるエラストマーを示すものである。
【0069】
図32を参照すると、血管用アクセスデバイス10の断面図は、下部ハウジング170に取り付けられたトップハウジング168を示す。弾性セプタム172は、トップハウジング168内に存在し、圧縮バルーン、即ち、フラッシュドーム176の壁174に連通し、セプタムのフロア(floor)178が別個の装置26の先端部30によって下方に押されるとき、圧縮バルーン176の壁174が収縮し、圧縮バルーン176内に収容された流体、即ち、空気が、通気孔180を通って逃げるようになされる。別個の装置26の先端部30がセプタム172から除去されるとき、セプタム172のフロア178が元の位置に戻り、圧縮バルーン176の壁174も同様に元の位置に戻り、先端部30が除去された後、直立になる。
【0070】
したがって、図32で示した実施例は、下流のチャンバー182内の容積の変位が全くない、別個の装置26の先端部30の挿入および引き抜きを可能にすることができるエラストマーを有する血管用アクセスデバイス10である。チャンバー182内で容積変位が生じないので先端部30の挿入および/または引き抜き中に、患者の血管系の血液がチャンバー182またはチャンバー182と連通しているどの下流のチャンバーにも簡単に入らない。
【0071】
図33を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、ゲル、独立気泡、または他の物質184が充填されたセプタム172のフロア178の下のチャンバー、および通気孔188を有する隣接するリリーフキャビティ(relief cavity)186を含む。
【0072】
図34を参照すると、別個の装置26の雄型先端部30がセプタム172に挿入されて、フロア178を下方かつ外側に移動させ、物質184に圧力を加えて、物質をフロア178の下の空洞からリリーフキャビティ186内に変位させた状態で図31の血管用アクセスデバイス10が示されている。別個の装置26の先端部30がセプタム172から除去されるとき、フロア178が図33で示した元の非作動位置に戻り、同様に、物質184がリリーフキャビティ186からフロア178の下の空洞内に移動する。従って、図32の実施例、図33および34の実施例と同様に、別個の装置26の先端部30の挿入から下流のチャンバー182内の容積変位がほとんど、即ち、全く生じない圧縮バルーンと同様の構造またはシステムが明らかになる。
【0073】
図35および図36を参照する。図35では、先端部30が挿入前の血管用アクセスデバイス10が示されている。図36は、先端部30が挿入中の装置を示す。血管用アクセスデバイスは、セプタム194のフロア192に力を加えるラジアル圧縮ばね190を備える。したがって、先端部30の挿入前の非作動の静止位置にある装置10は、セプタム194のフロア192の下のチャンバー196内に小さい容積を含む。図36で示したように、先端部30が挿入された後、先端部30はセプタム194およびセプタムのフロア192を外側に開放し、半径方向のばね190が図35で示した第1の位置から図36で示した第2の位置に移動するように強制する。半径方向のばね190が第2の位置に移動するとき、セプタム194のフロア192が持ち上げられて、チャンバー196内の容積が増加する。先端部30が除去された後、半径方向のばね190およびフロア192は元の位置に戻り、チャンバー196内の容積が減少する。
【0074】
図37を参照すると、血管用アクセスデバイス10の部分断面図は、本体198、およびランプ202と、または比較的剛性の構成要素、あるいはエラストマー200の一部を有するエラストマー200とを含む。ランプ202は、Oリング、即ち、圧縮ばね204に連通している。
【0075】
図38を参照すると、雄型ルアーまたは先端部30が装置10に挿入されて、エラストマーを外側方向206に移動させた後の血管用アクセスデバイス10の部分断面図が示されている。エラストマー200が方向206に移動するとき、Oリング204は、Oリング204が連通するランプ202を上るように強制され、エラストマー200が、エラストマー200に隣接する、またはエラストマー200の下のチャンバー内の空間または容積を増加することができるようになる。エラストマー200に隣接するチャンバー内の容積増加が生じるとき、増加した容積により、先端部30の挿入によって生じた容積の減少が全て相殺される。容積の相殺によって、先端部30が装置10から除去されるとき、血液が患者の血管系から装置10が取り付けられた血管外システム28内に流れるのが阻止または制限される。
【0076】
本発明は、本明細書および以下の請求の範囲に広く説明されるように、本発明の構造、方法、または他の本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の特定の形態で具現化され得る。説明された実施例は、あらゆる点で単に例示であり限定的ではないと考慮されたい。従って、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の請求の範囲によって示されるものである。請求の範囲と均等の意義および範囲内に含まれるすべての変更は、その範囲に包含されるものとする。
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に対し注入または他の治療を施すための血管用アクセスデバイスのような医療装置内の容積変位に関する。注入療法は、最も一般的な医療処置法の1つである。入院患者、在宅看護の患者、または他の患者は、血管系内に挿入した血管用アクセスデバイスによって、流体、薬剤、および血液製剤を受ける。注入療法は感染症を治療するため、麻酔または無痛法を施すため、栄養補給を施すため、癌性増殖を治療するため、血圧および心臓の鼓動を維持するために使用され、または、注入療法は、多くの他の臨床的に有意な使用法に用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
注入療法は、患者の血管系の外部に配置される血管用アクセスデバイス(血管外装置)によって容易に行うことができる。患者の末梢血管系または中心性血管系に、直接または間接的に利用することができる血管外装置は、Becton、Dickinson and CompanyのBD Q−SYTE(商標)クローズドルアーアクセスデバイスなどのクローズドアクセスデバイス、注射器、スプリット(split)アクセスデバイス、カテーテル、および静脈内(IV)流体室を備える。血管用アクセスデバイスは、短期間(数日間)、中程度の期間(数週間)、または長期間(数ヶ月から数年間)留置することができる。血管用アクセスデバイスは、連続的な注入療法または断続的な治療に使用される。
【0003】
一般の血管用アクセスデバイスは、患者の静脈に挿入されるプラスチックカテーテルである。カテーテルの長さは、末梢血管系にアクセスするための数センチメートルから中心にアクセスするためのより長いものまで変更可能である。カテーテルは、経皮的に挿入され、または、患者の皮膚下に外科的に埋め込むことができる。カテーテルまたはカテーテルに取り付けられる任意の他の血管外装置は、単一の管腔、または多くの流体を同時に注入するための複数の管腔を有し得る。
【0004】
血管用アクセスデバイスの基端は、通常、他の医療装置を取り付けることができるルアーアダプタを備える。たとえば、投与セットを血管用アクセスデバイスの一端に取り付け、IVバッグを他端に取り付けることができる。投与セットは、流体および薬剤を連続的に注入するための流体導管である。一般に、IVアクセスデバイスは、他の血管用アクセスデバイスに取り付けることができる血管用アクセスデバイスであり、血管用アクセスデバイスを閉鎖または密封し、流体および薬剤を断続的に注入または注射できるようにするものである。IVアクセスデバイスは、ハウジング、およびシステムを閉鎖するためのセプタムを備えることができる。セプタムをブラントカニューレまたは医療装置の雄型ルアーで開放することができる。
【0005】
注入療法に関連する合併症は、かなり高い羅患率を示し、死亡に至ることもある。重大な一合併症は、カテーテル関連血流感染(CRBSI)である。中心静脈カテーテル(CVC)関連BSIの推定250,000〜400,000の症例が毎年米国の病院で発生している。各感染による死亡率は、12%〜25%であり、症状あたりの医療システムコストは、25,000ドルから56,000ドルである。
【0006】
CRBSIを招く血管用アクセスデバイスによる感染は、カテーテルの挿入に続く血液の移動からの流体の流路に入る病原体によって引き起こされる可能性がある。カテーテルの留置期間が長くなるとCRBSIの危険が増すことが研究により判明した。これは、少なくとも部分的には、患者の血管系からカテーテルなどの血管外装置への血液の移動によるものである。汚染されるとき、病原体が、血管用アクセスデバイスに付着し、定着し、生物膜を形成する。その生物膜は、大抵の殺菌剤に耐性があり、患者の血流に入りBSIを引き起こす補給源を病原体に与える。
【0007】
幾つかの血管外装置は、協働して、連続した血管外システムを形成することができ、それによって血管系への流体の流入をもたらすが、外部の周囲環境からは完全に密封されている。こうした密封されたシステムは、望ましくない細菌が外部の周囲環境から血管外装置を通って患者の血管系に入るのを制限し、または阻止すると考えられる。
【0008】
しかし、血管外装置(血管外システム)の密封されたシステムは、閉鎖、即ち、密封された真空部として機能し、血液、したがって感染の培養を、血管外システム内に吸い込むことができる。装置が血管外システムからねじ切られ、または他の方法で取り外されるときに、血管外システムの容積が僅かに増加することがある。血管外システムは患者の血管系よりも弾性が低い場合が多いので血管外システムの容積が増大するとき、患者の血管系の容積が血管外システムからの真空圧下で減少する。血管系の容積が減少するとき、血液が血管系から血管外システムに流れ、または吸い込まれる。さらに、血管外システム内の圧力が患者の血管圧よりも下がるとき、血管外システム内の容積の変化または他の事象の結果、血液が血管系から血管外システムへ流れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明と併せ見て理解されるように、血管外システム内に血液が一時的にでも存在するとき、血管外システムに将来的に動作の問題が生じる恐れがある。例えば、血管外システムのカテーテルの端部で血液が凝固するとき、血管外システムと血管系の間の流体流が将来的に阻止される可能性がある。薬物および他の流体物質が血管外システムを通るように押し出されるとき、血餅が血管外システムから剥がれ、血餅が血管系に入り、患者に危険な塞栓症が引き起こされる恐れがある。最後に、上述したように、血管外システムのカテーテルの先端に血液が急速に出入りしても、蛋白、細菌、および他の病原体の残留物がカテーテルの内壁上に残るであろう。この残留物が細菌の繁殖場になり、所定の期間が過ぎるとき、有害な生物膜の形成が起こり、血管外システムの作動中に除去または迂回するのが難しくなる。
【0010】
従って、患者の血管系から、患者血管系に接続される血管外システム内への血液の移動を回避または制限するシステムおよび方法が求められている。
【0011】
本発明は、現在入手可能な血管外システム、装置、および方法で未だ完全に解決されていない当技術分野における問題および必要に応えて開発されたものである。したがって、これらの開発されたシステム、装置、および方法は、患者の血管系に接続することができ、血管系から血管外システムへの血液の流れ、即ち、移動を制限あるいは阻止することができる血管外システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
医療装置は、セプタムおよびスリットを備えることができるアクセスポートを有する血管用アクセスデバイスを備えることができる。スリットをセプタムの本体の内面に形成することができ、アクセスポートはセプタムのスリットを通して別個のアクセスデバイスを受けることができる。医療装置は、アクセスデバイスによりポートが利用された場合に、拡張してアクセスポート内に追加の容積を生成するエラストマーなどの可撓性構造を備えることもできる。別個のアクセスデバイスによる利用には、アクセスポートへの流体の注入、またはアクセスポートへの機械的構造の挿入が含まれる。
【0013】
医療装置は、流体の薬物を蠕動式カテーテルの長さに沿って送出する蠕動式カテーテルを備えることができる。医療装置は、流体が注入されるフレキシブルゲートまたは逆止め弁を有することもできる。医療装置は、チャンバー内に収容されるバルーンを備え、または装置が拡張するときにねじれていない状態になるねじれた流路を形成することができる。医療装置はさらに空気圧室を備えることができ、ポート内の容積が流体室内に含まれ、空気圧室または感圧式薬液室の容積が変わるときに、流体室の容積が増加する。
【0014】
医療装置は、ストラットが圧縮されるときに拡張することができる可撓性構造と連通するストラットを備えることができる。医療装置は、ポートが装置により利用された場合に拡張する球状部を有することができる。医療装置は圧縮バルーンの壁を形成し、圧縮バルーンが圧縮されるときに拡張することもできる。医療装置はラジアル圧縮ばねを備えることもでき、ラジアル圧縮ばねが移動するときに装置が拡張する。
【0015】
医療装置のチャンバーの容積変位を制御する方法は、質量を有する物質をチャンバー内に挿入することによって、血管外システムのチャンバーの容積を減少させ、物質の質量がチャンバー内に挿入されるのと同時に等しくチャンバーの容積を増加させることを含むことができる。物質は、注射器の先端部を備えることができる機械的構造でもよい。物質は、追加または代替として流体でもよい。
【0016】
医療装置は血管外システム内のチャンバーの容積を増加させる手段を備えることもでき、容積を増加させる手段は、チャンバーの容積を減少させる手段と等しく連通する。容積を増加させる手段をクローズドルアーアクセスデバイス内に収容することができる。
【0017】
本発明の上述その他の特徴および利点は、本発明の幾つかの実施例に組み込むことができ、以下の記載および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。あるいは、以下に述べるように本発明の実施によって解明することができるであろう。本発明では、本明細書に記載した全ての有利な特徴および全ての利点が本発明の全ての実施例に組み込まれる必要はない。
【0018】
上述その他の本発明の特徴および利点が容易に理解されるため、上述に簡単に記載した本発明のより詳細な説明を添付の図面に示した本発明の特定の実施例を参照して述べる。これらの図面は、本発明の典型的な実施例のみを示したものであり、したがって、本発明の範囲を制限するものではないと考えられたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】患者の血管系に接続された血管外システムを示す斜視図である。
【図2】可撓性部材を含む血管外システムを示す部分断面図である。
【図3】流体の薬物を有する可撓性部材を含む血管外システムを示す部分断面図である。
【図4】流体の薬物を通過させ、元の状態に戻った血管外システムを示す部分断面図である。
【図5】血管用アクセスデバイスの下部の斜視図である。
【図6】図5における血管用アクセスデバイスの逆止め弁およびフレキシブルゲートを示す部分断面図である。
【図7】流体が注入されている状態で示される図5における逆止め弁を示す部分断面図である。
【図8】元の位置に戻っている図5における逆止め弁を示す部分断面図である。
【図9】ひだ状またはリブ付きの球状部、即ち、バルーンである可撓性部材に取り付けられた血管用アクセスデバイスを示す断面図である。
【図10】流体が注入された図9における血管用アクセスデバイスおよび可撓性部材の断面図である。
【図11】可撓性部材がねじれた流路を形成する血管用アクセスデバイスの平面図である。
【図12】可撓性部材がねじれていない状態であり、流路が比較的大きい容積を示している図11における血管用アクセスデバイスを示す平面図である。
【図13】可撓性部材が元のねじれた位置に戻った図11における血管用アクセスデバイスの平面図である。
【図14】空気圧室を備える可撓性部材を有するセプタムの部分断面図である。
【0020】
【図15】図14におけるセプタム内に挿入された先端部の部分断面図である。
【図16】空気圧室を備える可撓性部材を有するセプタムの部分断面図である。
【図17】図16におけるセプタム内に挿入された先端部の部分断面図である。
【図18】ストラットに連通している血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図19】座屈した図18におけるストラットの側面図である。
【図20】ノブに取り付けたストラットを有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図21】図20における血管アクセスに挿入された雄型ルアーの先端部の部分断面図である。
【図22】本体内に収容されたセプタムの底部に取り付けられた球状部として形成された可撓性部材を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図23】図22におけるセプタム内に挿入された先端部の部分断面図である。
【図24】球状部上のリブを示す図23で示される装置の一実施例を示す断面図である。
【図25】ひだ状構成を示す図23で示される装置のさらなる実施例の断面図である。
【図26】セプタムの底部に固定されたS字状アームを備える球状部を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図27】セプタムの底部に固定された平坦なアームを備える球状部を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図28】セプタム、流路孔、クランプリング、および楔を有する血管用アクセスデバイスの斜視図である。
【図29】図28におけるセプタムの断面図である。
【図30】図29の断面図から90度の角度から見た図26のセプタムの断面図である。
【図31】図30におけるセプタムの4分の1の断面図である。
【図32】圧縮バルーンを有する血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図33】物質が充填されたセプタムの底部の下のチャンバーを有する血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図34】雄型先端部がセプタムに挿入された状態で示される図33における血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図35】先端部を挿入する以前の血管用アクセスデバイスを示す断面図である。
【図36】先端部挿入中の図35における血管用アクセスデバイスの断面図である。
【図37】ランプを備える可撓性部材を有する血管用アクセスデバイスの部分断面図である。
【図38】図37における血管用アクセスデバイス内に挿入された先端部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の現時点で好ましい実施例は、図面を参照すれば最もよく理解されるであろう。図面では、同一の参照番号が、同一または機能的に同一の要素を示す。容易に理解されるように、本発明の構成要素を、本明細書に全般的に記載し図で示したように、多様な異なる構成に配置し設計することができる。従って、図において代表される以下のより詳細な説明は、請求された本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の好ましい本実施例の代表例にすぎない。
【0022】
図1を参照すると、血管用アクセスデバイス10(血管外装置、静脈内アクセスデバイス、および/またはアクセスポートとも呼ばれる)は、カテーテル12によって皮膚14を通過し、患者18の血管16内に物質を導入するために使用される。血管用アクセスデバイス10は、管腔および管腔内に配置されたセプタム22を有する本体20を備える。セプタム22は、注射器などの別個の血管外装置26は物質を血管用アクセスデバイス10内に導入し得るスリット24を有する。
【0023】
また、装置10は、可撓性部材も含み、可撓性部材は、エラストマーに限定されないが、(以下の図を参照して述べるように)血管用アクセスデバイス10、および/または、血管用アクセスデバイス10が接続される血管外システム28内に容積を作ることができるエラストマーを含み得る。この容積を作り出すことができるエラストマー、または、他の可撓性部材は、別個の装置26の先端部30が血管用アクセスデバイス10内にセプタム22のスリット24を通して挿入された場合、容積を生成することができる。通常、先端部30が装置10内に挿入されるとき、血管外システム28の容積が減少して、流体がシステム28から血管16内に流れるようになる。通常の状態では、逆に、先端部30が装置10から除去されるとき、血管外システム28の容積が増加して、血液が、カテーテル12の端部32を通って入ることによって、血管16からシステム28内に流れるようになる。
【0024】
この記載全体で述べるように、血液が血管外システム28内に一時的にでも存在するとき、血管外システム28に将来的に動作の問題が生じる恐れがある。こうした問題には、血餅、流体流の障壁、塞栓症、および有害な生物膜の生成が含まれる。したがって、本明細書で開示した装置は、血管16からカテーテル12内への血液の逆流、即ち、移動を回避するために設けられる。その装置は、別個の装置26が血管用アクセスデバイス10内に挿入されたとき、容積を作り出すことができ、作られた容積が元の大きさに減少することができるようにする可撓性部材を備えることができる。容積が元の大きさに減少するとき、容積の減少により、全ての容積変位が相殺され、別個のアクセスデバイス26が除去されるとき、流体が血管用アクセスデバイス10または他の医療装置から患者の血管系に向けて末端方向に押し込まれる。さらに、これは、血液が血管16からカテーテル12内に流れ、即ち吸い込まれるように容積が作られることを回避する。
【0025】
血管用アクセスデバイス10は、そのアクセスポートに対しいかなる別個のアクセスデバイスによっても利用されてもよい。こうした利用には、流体のポートへの注入、または先端部30などの機械的構造のポートへの挿入が含まれてもよい。以下の幾つかの実施例の多くは、限定的ではないが、主に流体のポートへの注入に関するものである。
【0026】
図2を参照すると、血管用アクセスデバイス10は血管用アクセスデバイス10の本体20に取り付けられた少なくとも1つのエラストマー34を備える。エラストマー34は蠕動式カテーテルであり、流体の薬物を蠕動式カテーテルの長さに沿って送出する。動作中、別個の装置26の先端部30が装置10のアクセスポートに挿入され、流体が先端部30から装置10の管腔を通ってエラストマー34の管腔内に送出される。
【0027】
図3を参照すると、図2のエラストマー34が流体の薬物を受け入れた後、エラストマー34の外壁が、流体の薬物の背後を取り囲み、流体の薬物を患者の血管系に向けて方向36に押し出している。
【0028】
図4を参照すると、図2および3のエラストマー34は、流体の薬物を患者38にうまく送出するものとされる。エラストマー34の壁は、元の静止位置に縮小し、血管用アクセスデバイス10の管腔を通って別の流体の薬物を受ける用意ができている。
【0029】
したがって、図2から図4で示した実施例は、患者の血管系からエラストマー34またはそれに取り付けられた任意の下流のカテーテル内への血液の逆流を全て回避する方法で、流体の容積を受け入れ、患者に向けて方向36に移動させることができるエラストマー34を示す。したがって操作者は、図2から図4の実施例を使用して、血液の容積を患者38から血管外システム28のどの構成要素内にも引き寄せずに、別個の装置26の先端部30を血管用アクセスデバイス10から安全に除去することができる。
【0030】
図5を参照すると、血管用アクセスデバイス10の下部の斜視図は、管腔42を通して流体を受け入れることができる逆止め弁40を示す図である。装置10は、半径方向の可撓性弾性ゲート44として形成されたエラストマー34も備える。弾性ゲート44は拡張して、血管用アクセスデバイス10から下流の流路内に付加的な量を作り出すことができる。流体が逆止め弁40の管腔42を通過した後、逆止め弁40が閉鎖され、流体の速い注入によって生成された圧力が、弾性ゲート44を血管用アクセスデバイス10の内部室に向けて内側に拡張させる。
【0031】
図6を参照すると、図5の血管用アクセスデバイス10の逆止め弁40および弾性ゲート44の断面図が示されている。流体が逆止め弁40を通して注入されていない静止位置では、逆止め弁40は、血管用アクセスデバイス10の本体20に対して真直ぐな水平位置にある。同様に弾性ゲート44も、流体が注入されていないので真直ぐな静止位置にある。従って、血管用アクセスデバイス10の下流の圧力は増加していない。
【0032】
図7を参照すると、流体46が逆止め弁40を通して注入されている状態の図6の断面図が示されている。流体46が逆止め弁40を通して注入されるとき、弾性ゲート44が圧力下で装置10の内部室内に拡張する。弾性ゲート44が装置10内に拡張することによって、血管用アクセスデバイス10の下流または外側にあるチャンバー内に付加的な量が作り出される。流体46が逆止め弁40を通って完全に注入された後、逆止め弁40が閉鎖し、弾性ゲート44が図6で示した元の開始位置に戻る。弾性ゲート44が元の位置に戻るとき、弾性ゲート44が血管外システム28の下流のチャンバーを介して流体を患者の血管系内に押し込む。
【0033】
図8を参照すると、上述のように、流体46が完全に注入された後、逆止め弁40が閉鎖し、弾性ゲート44が、下流であって患者の血管系に向かう方向48で元の位置に戻る。
【0034】
図5から図8で示される実施例では、弾性ゲート44の弾性定数は、患者の血管系の血圧と流体46が管腔42を通して注入される時に生じる充填圧力との間のレベルでなければならない。したがって、弾性ゲート44は、流体46が管腔42を通して注入されるとき、屈曲する。逆止め弁40が閉鎖した後、弾性ゲート44の弾性強さは、図6および図8で示したように、元の位置に戻る十分な強さである。流体46は、患者の血管系に向かう経路に沿って連続的に流れる。
【0035】
したがって、図5から図8の実施例は、操作者が、別個の装置を血管用アクセスデバイス10に挿入し、流体46を注入することができるようにするものである。流体46が完全に注入された後、血液を患者の血管系から血管用アクセスデバイス10が取り付けられた血管外システム28内に全く引き寄せずに、別個の装置を血管用アクセスデバイス10から除去することができる。
【0036】
図5から図8の全般的な概念、様々な要素、および構成を大幅に変更して、本明細書に示した主要なものを達成することができるが、それも本発明の範囲内に包含される。たとえば、図5から図8のエラストマーを変更し、血管外システムの経路に沿った、または隣接する任意の点に配置してもよい。さらに、エラストマー34は、流体が注入されるとき、拡張し、1つまたは複数の弁が閉鎖されるとき、収縮することができる、任意の数のラジアル、リニアー、または他のフレキシブルゲートを含んでもよい。
【0037】
図9を参照すると、血管用アクセスデバイス10がひだ状またはリブ付きの球状部、即ち、バルーン50である可撓性部材に取り付けられている。バルーン50はハウジング54のチャンバー52内に存在する。ハウジング54は、血管用アクセスデバイス10の第1の端部で雄ねじ58に取り付けられる雌ねじ56を備える。ハウジング54は、血管外システム28のカテーテル60または他の下流の装置を取り付けることができる第2の端部に雄型コネクタ58も備える。
【0038】
図10を参照すると、別個の装置26の雄型先端部30が、血管用アクセスデバイス10に取り付けられた状態で、図9の血管外システム28が示されている。流体が、別個の装置26から装置10を介してバルーン50内に注入されて、注入した流体から生じる圧力下でバルーン50を拡張させる。バルーン50は、雄型コネクタ58が流体の流れを阻止する閉鎖した弁を備えるのでまたは、流体が血管用アクセスデバイス10を通ってバルーン50内に注入される速度が、流体がバルーン50からカテーテル60内に逃げる速度よりも速いのでバルーンが拡張する。
【0039】
雄型コネクタ58内で閉鎖された弁は、使用者がボタン62を押すまで、バルーン50からカテーテル60内への流体の流れを阻止し続ける。使用者は、薬物または他の流体を別個の装置26からバルーン50内に投与した後に、ボタン62を押すことができる。バルーンが流体で充填された後、かつ使用者がボタン62を押す前に、流体を血管用アクセスデバイス10の閉鎖したスリットセプタム、または、他の同様の弁、即ち、栓と雄型コネクタ58の弁との間に捕捉することができる。使用者、即ち、操作者がボタン62を押すとき、雄型コネクタ58内の弁が開放されて、加圧された流体が、バルーン50からカテーテル60内に患者に向けて解放される。
【0040】
したがって、図9および図10の実施例は、流体を患者に送出することができる圧力を加えるバルーン50であるエラストマーを備え、一方で、血液が患者の血管系からカテーテル60または他の血管外システム28の装置内に流れる危険を全て回避して、別個の装置26を取り外すことができるシステムを提供するものである。ボタン62を、血管用アクセスデバイス10内またはハウジング54のネック64内に配置した一方弁と置き換えてもよい。流体がネック64内の弁を通過してバルーン50内に入るとき、バルーン50が拡張され、流体が別個の装置26によって完全に注入された後、バルーンの圧力がネック64内の弁を押し付けて閉鎖させる。ネック64内の弁が閉鎖し、雄型コネクタ58内の弁が少なくとも部分的に開放されるとき、バルーン50内の流体がバルーン50によって下流によって押し出される。流体は圧力下で雄型コネクタ58、カテーテル60を通り、患者の血管系内に移動する。加圧された流体の流れは、流体が患者の血管系から血管外システム28内に流れることができないようにする。
【0041】
図11を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、静止位置でねじれたチャンバーを形成するように作成されたねじれた流路66を形成するエラストマーを備えることができる。ねじれたチャンバーは、エラストマーがねじれていない場合、チャンバーが保持する容積よりも小さい容積を有する。ねじれた流路、即ち、ねじれたチャンバー66は、ねじれていない状態では、流路66がねじれていない状態になった後により大きい容積を有するチャンバーを形成し、エラストマーを拡張させる。図11のねじれた流路66は、血管外システム28の流路に沿った、または隣接した任意の部分を形成することができる。
【0042】
図12を参照すると、ねじれた流路66がねじれていない状態になった後の流路の断面が図11のねじれた流路66の断面よりも大きい容積を有することを示している。ねじれた流路66は、エラストマーをねじれていない状態にする任意のねじり、または他の同様の作用、あるいは接合(アーティキュレーション)が開始されると、ねじれていない状態になる。例えば、血管用アクセスデバイス10であるクローズドルアーアクセスデバイスでは、装置10は注射器の雄型先端部上でねじられる雄ねじを備えることができる。装置10が注射器に取り付けられると、2つの装置が共にねじられる。
【0043】
2つの装置を共に取り付けるのに必要とされるねじり作用中に、ねじれた流路66は図11で示した元の静止したねじれた位置から図12で示したより大きい容積のねじれていない位置に移動する。こうした作用は、ねじれた流路66の第1の端部68が注射器などの別個の装置26に取り付けられたときに生じる。注射器は最初に、ねじれた流路66の第1の端部68に結合され、または他の方法で固定され、注射器の雄型ルアーがねじられている間、第1の端部68が雄型ルアーと共にねじれて、ねじれた流路66を開放し、ねじれていない状態にする。その後、別個の装置26の雄型ルアーが取り外され、第1の端部68がねじれていない状態になり、ねじれた流路66が図11で示した元の位置に戻るようになされる。
【0044】
図13を参照すると、注射器または別個の装置26が血管用アクセスデバイス10から取り外された後に、ねじれた流路66が比較的小さい容積の元の静止位置に戻ったところが示されている。
【0045】
従って、図11から図13に示されるねじれた流路66を形成するエラストマーの実施例は、別個の装置26の雄型ルアーが血管外システム28に取り付けられた場合、血管外システム28の流路内に付加的な量を与えることができるエラストマーを示すものである。別個の装置26の雄型ルアーまたは先端部30は、血管外システム内に容積を占め、その容積により、図12のねじれていない流路66によって示される容積の作り出しと同時に等しく相殺される。従って、図12のねじれていない流路66の相殺された容積により、別個の装置26の雄型先端部30の挿入、および/または、引き込め時、血液が患者の血管系からねじれた流路66が取り付けられる血管外システム28内に移動する可能性が低くなり、または危険が回避される。
【0046】
代替的な実施例では、図11から図13のねじれた流路66を、別個の装置26から受け入れる流体の圧力下でねじれていない状態にすることができる。したがって、この特定の実施例では、別個の装置26の装置10への取り付けが、ねじれた流路66をねじれていない状態にする手段でなくてもよい。むしろ、流体がねじれた流路66を通って移動するときに別個の装置26から送られる流体の圧力によって、ねじれた流路がねじれていない状態になり、比較的大きい容積が作り出され、次いで、流体流の圧力が減少した後、元のねじれた位置に戻る。流体圧力を使用してねじれた流路66を開放する実施例を、別個の装置26を使用してねじれた流路66の第1の端部68をねじれていない状態にする実施例と組み合わせて使用することができる。
【0047】
図14を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、エラストマー72で作成されたセプタム70を備える。空気圧室74は、エラストマー72の本体内で、空気圧チャネル78を介して第2の空気室76に連通する。別個の装置26の雄型先端部30がセプタム70のスリット内に挿入されるとき、セプタムが下方および外側の方向80に移動して、空気圧室74を方向82に圧縮し、同時に方向84に拡張させることにより、空気圧室74内の正味の容積増加をもたらす。空気圧室74の容積が増加するとき、空気が第2の空気室76から空気圧チャネル78を通って空気圧室74内に移動することにより、第2の空気室76を縮小させる。第2の空気室76が縮小すると、血管用アクセスデバイス内の流体室86の容積が増加し、先端部30の挿入によって生じた容積の減少が相殺される。
【0048】
図15を参照すると、別個の装置26の先端部30がセプタム70内に挿入された状態で図14の血管用アクセスデバイス10が示されている。上述のように、先端部30の挿入によって、空気圧室74の容積が増加し、第2の空気室76の容積が等しく減少する。第2の空気室76の容積が減少するのは、第2の空気圧室の側壁88が、空気室74、チャネル78、および第2のチャンバー76を備える連続した空気室を取り囲むエラストマー72の残りの周囲構造よりも薄い、または他の方法でより可撓性であるためである。
【0049】
したがって、図14および図15の実施例は、血管用アクセスデバイス10のアクセスポートの容積を流体室86内に収容し、流体室86の容積を空気圧室74の空気圧の増加と同時に等しく増加させることができる空気圧室を示すものである。内部室86内のこの容積の変化により、先端部30が血管用アクセスデバイスに挿入されたときに生じる容積の増大が、全て相殺される。同様に、先端部30が血管用アクセスデバイスから除去されるとき、セプタム70は、図14で示した元の位置に戻って、空気圧室74および76の容積が元に戻り、それによって内部室86の容積が元に戻る。図14および図15の実施例の流体および空気室の平衡によって、血液が、患者の血管系から装置10および別個の装置26が取り付けられる血管外システム28内に全く流れず、先端部30を装置10に挿入することができる。
【0050】
図16を参照すると、図14および図15で示したものと同様の実施例が示されており、空気圧室90は、空気圧室90の容積が変化するとき、内部室92の容積を変えることができる。しかし、図14および15で記載した実施例とは対照的に、空気圧室90は、空気圧室90の容積が増加ではなく減少するとき、内部室92の容積を増加させる。図16で示したように、血管用アクセスデバイス10は、セプタム94およびセプタム94の本体を形成するエラストマー96を備える。空気圧室90は、エラストマー96のハウジングまたは本体内で蛇行した空気圧チャネル98に連続的に取り付けられる。蛇状空気圧チャネル98の端部100は、エラストマー96の薄い壁102に沿った空気圧チャネル98の蛇状経路で終端する。別個の装置26の先端部30が装置10のセプタム94内に挿入されるとき、エラストマー96が屈曲し、空気が空気圧室90から出て、蛇状チャネル98内に押し込まれるため、空気圧室90が圧縮され、または比較的小さい容積に縮小される。空気が蛇状チャネル98を通って端部100に押し出されるとき、チャネル98の側壁に加えられる空気圧によって薄い壁102が方向104に拡張される。薄い壁102が方向104に拡張されるとき、内部室92の容積が増加する。
【0051】
図17を参照すると、別個の装置26の先端部30がセプタム94内に挿入された状態で図16の血管用アクセスデバイス10が示されている。セプタム94が方向106に押し付けられて、空気圧室90を収縮させる。収縮した空気圧室90は、空気を蛇状チャネル98内に押し込み、チャネル98およびエラストマー96の薄い側壁102を方向104に拡張させる。本発明の実施例では、薄い側壁102は方向104に拡張することができる。なぜなら、薄い側壁102に沿ったエラストマー96の特性は、エラストマー96が横方向108に拡張するよりも軸線方向104に容易に拡張するものであるからである。薄い側壁102の拡張により、内部室92内の容積が増加され、それによって、チャンバー92の容積への先端部30の挿入およびセプタム94の作動によって生じる容積の減少が相殺される。
【0052】
したがって、図16および図17の実施例は、図14および図15の実施例と同様であるが、逆の機構を使用して、血液が、患者の血管系から装置10が取り付けられる血管外システム28内に吸い込まれ、または他の方法で流れる可能性を回避あるいは低減する方法で、血管用アクセスデバイス内の容積を変位することができるエラストマーおよび空気圧室を提供する。図14から図17の実施例は包括的なものではなく、本発明の目的と一致する、空気または流体の容積の変化が内部室の容積の変化をもたらす本発明の原理を示す単に2つの例を表したものである。
【0053】
図18を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、1つのストラット112、即ち、一連のストラットと連通しているエラストマー110を備える。ストラット112は、内部室114内のエラストマー110の壁の内面に接触するように配置される。別個の装置26の先端部30が装置10のセプタム116に挿入されると、セプタム116の開口によって生じる軸線方向の圧力および先端部30の下方への力が、1つ、即ち、一連のストラット112をエラストマー110の内側壁に対して外側方向に座屈させ、エラストマー110を外側方向に拡張させる。ストラット112およびエラストマー110が外側方向に拡張し座屈するとき、内部室114の内部容積が増加する。
【0054】
図19を参照すると、図18の装置10のストラット112が示されている。ストラット112が、開放されたセプタム116および挿入された先端部30の軸線方向の圧力下で外側に座屈し拡張されたところが示されている。圧縮されたストラットは、軸線方向の圧力下で外側に拡張し膨張することができる単一の連続片でもよく、または、ストラット112は、組み合わせて同様の機構をもたらす働きをする一連の複数の接合部、ストラット、または他の部材でもよい。
【0055】
図20を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、エラストマー120の外面上にストラット118を備える。ストラット118は、エラストマー120のノブ122に取り付けられて、ストラット118とエラストマー120とを互いに連携して移動させる。
【0056】
図21を参照すると、別個の装置26の雄型ルアー先端部30が装置10のセプタム124に挿入された状態で図20の血管用アクセスデバイス10が示されている。先端部30の下方への力およびセプタム124の開口によって、ストラット118およびストラット118が取り付けられたエラストマー120に下方の軸線方向の圧縮が生じて、ストラット118およびエラストマー120が外側に拡張、即ち、膨張される。ストラット118およびエラストマー120が外側に膨張するとき、装置10内の内部室126の内部容積が増加する。内部室126の容積の増加により、セプタム124の開放、および/または、先端部30の挿入によって生じる容積の減少が全て相殺される。相殺される容積によって、別個の装置26の挿入された部分が装置10から除去されるとき、血液が患者の血管系から血管外システム28内に移動する環境が生じ、または、発生することなく、血管用アクセスデバイス10がセプタム124内に別個の装置26の任意の部分を受け入れることができるようになる。本発明のエラストマーは、以下の実施例で示すように、図18から図21を参照して示したストラットなどの座屈構造と組み合わせて働かなくてもよい。
【0057】
図22を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、装置10の本体132内に収容されたセプタム130の下部に取り付けられた球状部128として形成されたエラストマーを備える。セプタム130が作動されるとき、球状部128は静止状態で、方向134に移動するように偏倚され、方向付けられ、機械的構造を有し、または他の方法で構成される。
【0058】
図23で示したように、別個の装置26の雄型先端部30がセプタム130内に挿入され、球状部128を方向134に移動させている状態で図22の血管用アクセスデバイス10が示されている。球状部128が装置10の本体132の内面に向かって方向134に移動するとき、付加的な量の貯蔵容積136が、装置10の内部室138内に作り出される。セプタム130が先端部30からの圧力下で開放されるときに、球状部128がトランポリン効果により自然に開放され拡張される。図24および図25で示されるように、リブ140、および/または、ひだ142を他の同様の機械的構造と組み合わせて、または別々に球状部128の内面および/または外面に加えて、作動したセプタム130による影響を受けた場合、球状部128が方向134に移動可能にするのに必要とされる機械的特性をもたらすことができる。リブ140、および、ひだ142は、図23の追加の図面で示したように、球状部128の2つの可能な実施例の断面図で示されている。図22および23の実施例は、内部室138内の流体圧力が球状部128上に方向134に加えられている間、セプタム130を押し付けて開放された状態で維持するため、図24を参照して記載したように、セプタム130がこうした圧力下で閉鎖することができる構造を提供する別の実施例が好ましい。
【0059】
図26を参照すると、図22および図23で示した実施例の代替的な実施例は、球状部128の上部に取り付けられたS字状アーム144を有する球状部128を備える。S字状アーム144は、球状部128をセプタム130の下部に固定する。S字状アーム144は、セプタム130のダックビル部分を閉鎖することができるようにしながら、球状部128が流体の背圧下で膨張することができるようにする。
【0060】
図27を参照すると、図24の実施例のS字状アーム144を平坦にして、球状部128の上部にある平坦なアーム146を形成してもよい。平坦なアーム146は、セプタム130の下部に隣接して存在してもよく、または直接接触してもよく、流体、蛋白、細菌、または他の病原体がチャンバー148内に繁殖し存在するのを阻止するように摘んで閉鎖することができる。アーム146を平坦にして、球状部128およびセプタム130の使用および作動中に、チャンバー148を完全に除去することができる。
【0061】
したがって、図26および図27の実施例は、セプタム130を閉鎖できるようにしながら、(図23で示したように)球状部128を内部室138内の流体の圧力下で開放した状態で維持することができるようにするのに必要な追加の機械的構造を提供するものである。S字状アーム144および平坦なアーム146などの追加の構造は、セプタム130を閉鎖し、別個の装置26の先端部30を除去することができ、セプタム130の閉鎖および先端部30の除去に関連する減少容積と等しい容積が内部室138内に増加されるようにする背圧の解放をもたらす。内部室138は増加した容積を維持するが、球状部128はなお圧力下に存在する。次いで内部室138の容積が減少し、空になり、流体が内部室138から下流に血管外システム128の残りを通って患者の血管系内に押し出される。したがって、図26および図27の実施例の背圧の解放の停止、または対抗策により、操作者が使用中に患者の血管系の血液が血管外システム28内に入る危険が全て回避され、操作者は別個の装置26を血管用アクセスデバイス10から取り外すことができるようになる。
【0062】
図28を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、流路孔152、クランプリング154、および楔156を有するセプタム150を備える。流路孔152は、セプタム150と直列に装置の孔または管腔と位置合わせされなければならない。また、流路孔152と連通している孔または管腔は、流路孔152の下の流路の外側に流体が捕捉されるのを回避するために、流路孔152よりも僅かに小さい径または同じ径でなければならない。流体は、流体が移動すべき直接の流路の外側に存在する可能性があるどの空間にも捕捉される。流体の捕捉によって、渦流および他の停滞流体の発生が可能になり、それが後で血管用アクセスデバイス10内に一時期存在し、患者に投与される流体に混合される恐れがある。停滞流体が患者に投与される流体に後に混合されると、その混合物は患者に予測不可能または危険な結果をもたらす恐れがある。楔156の設計は、セプタム150を元の静止の非作動位置に案内するように構成される。上部の垂直壁158がセプタム150の外面上に形成されて、球状部160内の流路が加圧された場合、セプタム150の内部開口が開放されるのが阻止される。
【0063】
図29を参照すると、図28のセプタム150の断面図が示されている。図で示したように、垂直壁158は、加圧流体が球状部160の内部室164内に含まれている場合、セプタム150のフロア(floor)162を支持し閉鎖するように構成される。したがって、垂直壁158は、垂直の収容壁として働き、流体がチャンバー164からセプタム150のスリット166を通って逃げるのを阻止する。この弾性セプタム150の設計は、より良好な流体の流し込み、装置10の流路の呼び水をさすのに必要なチャンバー164内の比較的小さい容積、および別個の装置26の先端部30がスリット166から除去されるときの可能性のある容積変位を可能にする血管用アクセスデバイス10を提供するものである。
【0064】
雄型ルアー、即ち、先端部30がセプタム150のスリット166内に挿入されるとき、セプタム150のフロア162がチャンバー164内に拡張され、フロア162を外側に開放することができるようになる。先端部30がスリット166に挿入されるとき、セプタム150が軸線方向の圧力下で下方に押され、球状部160の薄い側壁が外側の方向168に座屈し屈曲される。球状部160の側壁が外側に屈曲するとき、チャンバー164の容積が増加して、フロア162がチャンバー164内にチャンバー164に向かって入ることによって生じる容積の減少が相殺される。次いで、流体が先端部30を介して注入され、別個の装置26が除去される。
【0065】
別個の装置26が除去されるとき、球状部160の薄い側壁が元の位置に戻り、流体がチャンバー164から排出され、セプタム150の下部、即ち、フロア162を元の位置に押し戻し、真直ぐな垂直の収容壁158がフロア162に対して圧縮されて、フロア162の開放が阻止される。球状部160は、薄い側壁を備える。その薄い側壁は、チャンバー164から離れる方向に湾曲し、ひだが付けられ、または他の方法で機械的に変更されて、作動したときに流路孔152から離れるように座屈しやすくなされる。
【0066】
装置26が除去され、球状部160の壁が元の位置に戻り、流体がチャンバー164から流路孔152を通って排出されるとき、流体が血管用アクセスデバイスから血管外システム28を通って患者の血管系内に押し出される。こうした流体の移動によって、血液がこの流体の流れに対抗して患者の血管系から血管外システム28の一部内に移動する可能性が阻止または制限される。
【0067】
図30を参照すると、図29において90度で見た図28および図29のセプタム150の断面図が示されている。セプタム150は、スリット166の内面、楔156、内部室164、球状部160、および流路孔152を示している。
【0068】
図31を参照すると、図28から図30のセプタム150の4分の1の断面が示されている。この4分の1の断面は、スリット166、フロア162、真直ぐな垂直の収容壁158、楔156、内部室164、球状部160の薄い側壁、および流路孔152の断面を示している。前述のように、楔156および垂直収容壁158の構造により、別個の装置26の先端部30がスリット166から除去された後、セプタム150のフロア152が元の閉鎖した静止位置に押し戻される。したがって、図28から図31の実施例は、血管用アクセスデバイス10のアクセスポート、即ち、セプタム150が、別個の装置26により利用される場合、拡張する球状部160であるエラストマーを示すものである。
【0069】
図32を参照すると、血管用アクセスデバイス10の断面図は、下部ハウジング170に取り付けられたトップハウジング168を示す。弾性セプタム172は、トップハウジング168内に存在し、圧縮バルーン、即ち、フラッシュドーム176の壁174に連通し、セプタムのフロア(floor)178が別個の装置26の先端部30によって下方に押されるとき、圧縮バルーン176の壁174が収縮し、圧縮バルーン176内に収容された流体、即ち、空気が、通気孔180を通って逃げるようになされる。別個の装置26の先端部30がセプタム172から除去されるとき、セプタム172のフロア178が元の位置に戻り、圧縮バルーン176の壁174も同様に元の位置に戻り、先端部30が除去された後、直立になる。
【0070】
したがって、図32で示した実施例は、下流のチャンバー182内の容積の変位が全くない、別個の装置26の先端部30の挿入および引き抜きを可能にすることができるエラストマーを有する血管用アクセスデバイス10である。チャンバー182内で容積変位が生じないので先端部30の挿入および/または引き抜き中に、患者の血管系の血液がチャンバー182またはチャンバー182と連通しているどの下流のチャンバーにも簡単に入らない。
【0071】
図33を参照すると、血管用アクセスデバイス10は、ゲル、独立気泡、または他の物質184が充填されたセプタム172のフロア178の下のチャンバー、および通気孔188を有する隣接するリリーフキャビティ(relief cavity)186を含む。
【0072】
図34を参照すると、別個の装置26の雄型先端部30がセプタム172に挿入されて、フロア178を下方かつ外側に移動させ、物質184に圧力を加えて、物質をフロア178の下の空洞からリリーフキャビティ186内に変位させた状態で図31の血管用アクセスデバイス10が示されている。別個の装置26の先端部30がセプタム172から除去されるとき、フロア178が図33で示した元の非作動位置に戻り、同様に、物質184がリリーフキャビティ186からフロア178の下の空洞内に移動する。従って、図32の実施例、図33および34の実施例と同様に、別個の装置26の先端部30の挿入から下流のチャンバー182内の容積変位がほとんど、即ち、全く生じない圧縮バルーンと同様の構造またはシステムが明らかになる。
【0073】
図35および図36を参照する。図35では、先端部30が挿入前の血管用アクセスデバイス10が示されている。図36は、先端部30が挿入中の装置を示す。血管用アクセスデバイスは、セプタム194のフロア192に力を加えるラジアル圧縮ばね190を備える。したがって、先端部30の挿入前の非作動の静止位置にある装置10は、セプタム194のフロア192の下のチャンバー196内に小さい容積を含む。図36で示したように、先端部30が挿入された後、先端部30はセプタム194およびセプタムのフロア192を外側に開放し、半径方向のばね190が図35で示した第1の位置から図36で示した第2の位置に移動するように強制する。半径方向のばね190が第2の位置に移動するとき、セプタム194のフロア192が持ち上げられて、チャンバー196内の容積が増加する。先端部30が除去された後、半径方向のばね190およびフロア192は元の位置に戻り、チャンバー196内の容積が減少する。
【0074】
図37を参照すると、血管用アクセスデバイス10の部分断面図は、本体198、およびランプ202と、または比較的剛性の構成要素、あるいはエラストマー200の一部を有するエラストマー200とを含む。ランプ202は、Oリング、即ち、圧縮ばね204に連通している。
【0075】
図38を参照すると、雄型ルアーまたは先端部30が装置10に挿入されて、エラストマーを外側方向206に移動させた後の血管用アクセスデバイス10の部分断面図が示されている。エラストマー200が方向206に移動するとき、Oリング204は、Oリング204が連通するランプ202を上るように強制され、エラストマー200が、エラストマー200に隣接する、またはエラストマー200の下のチャンバー内の空間または容積を増加することができるようになる。エラストマー200に隣接するチャンバー内の容積増加が生じるとき、増加した容積により、先端部30の挿入によって生じた容積の減少が全て相殺される。容積の相殺によって、先端部30が装置10から除去されるとき、血液が患者の血管系から装置10が取り付けられた血管外システム28内に流れるのが阻止または制限される。
【0076】
本発明は、本明細書および以下の請求の範囲に広く説明されるように、本発明の構造、方法、または他の本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の特定の形態で具現化され得る。説明された実施例は、あらゆる点で単に例示であり限定的ではないと考慮されたい。従って、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の請求の範囲によって示されるものである。請求の範囲と均等の意義および範囲内に含まれるすべての変更は、その範囲に包含されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セプタムおよびスリットを有するアクセスポートを備える血管用アクセスデバイスであって、前記スリットが前記セプタムの本体の内面に形成され、前記アクセスポートが前記セプタムの前記スリットを介して別個のアクセスデバイスを受け入れる血管用アクセスデバイスと、
可撓性部材であって、前記ポートが前記アクセスデバイスにより利用された場合、前記別個のアクセスデバイスが前記血管用アクセスデバイスから除去されたとき、流体が前記血管用アクセスデバイス内に吸い込まれないように、前記ポート内に付加的な量を作るように拡張、する可撓性部材と、
を含む医療装置。
【請求項2】
前記別個のアクセスデバイスによるアクセスが、前記ポート内への流体の注入を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記可撓性部材が、前記流体の薬物を前記蠕動式カテーテルの長さに沿って送出するための蠕動式カテーテルである請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記可撓性部材が弾性ゲートである請求項2に記載の医療装置。
【請求項5】
前記流体が注入される逆止め弁をさらに含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記可撓性部材が、チャンバー内に収容されるバルーンである請求項2に記載の医療装置。
【請求項7】
前記可撓性部材は、前記可撓性部材が拡張するとき、ねじれていない状態となるねじれた流路を形成する請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
空気圧室をさらに含み、前記ポート内の容積が流体室内に収容、該空気圧室の容積が変化するとき、前記流体室の容積が、増加する請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
感圧式薬液室をさらに含み、前記ポート内の容積が流体室内に収容され、該感圧式薬液室の容積が変化するとき、前記流体室の容積が増加する請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記別個のアクセスデバイスによる利用が、前記ポート内への機械的構造の挿入を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記可撓性部材に連通しているストラットをさらに含み、前記ストラットが圧縮するとき、前記可撓性部材が拡張する請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記可撓性部材は、前記ポートが前記装置により利用された場合、拡張する球状部である請求項10に記載の医療装置。
【請求項13】
前記可撓性部材が、圧縮バルーンの壁を形成し、前記圧縮バルーンが圧縮されるとき、拡張する請求項10に記載の医療装置。
【請求項14】
ラジアル圧縮ばねをさらに含み、前記ラジアル圧縮ばねが移動するとき、前記可撓性部材が拡張する請求項10に記載の医療装置。
【請求項15】
医療装置のチャンバーにおける容積変位を制御する方法であって、
質量を有する物質を前記チャンバー内に挿入することによって血管外システムのチャンバーの容積を減少させ、
質量を有する前記物質が除去されるとき、流体が前記チャンバー内に吸い込まれないように、前記チャンバー内に挿入される前記物質の前記質量と同時に等しく前記チャンバーの容積を増加させることを含む方法。
【請求項16】
前記物質が、医療装置の機械的構造である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記機械的構造が、注射器の先端部である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記物質が、流体である請求項15に記載の方法。
【請求項19】
血管外システム内のチャンバーの容積を増加させる手段を含み、
前記容積を増加させる手段が、前記チャンバーの容積を減少させる手段と対応して連通する医療装置。
【請求項20】
前記容積を増加させる手段が、クローズドルアーアクセスデバイス内に収容される請求項19に記載の医療装置。
【請求項1】
セプタムおよびスリットを有するアクセスポートを備える血管用アクセスデバイスであって、前記スリットが前記セプタムの本体の内面に形成され、前記アクセスポートが前記セプタムの前記スリットを介して別個のアクセスデバイスを受け入れる血管用アクセスデバイスと、
可撓性部材であって、前記ポートが前記アクセスデバイスにより利用された場合、前記別個のアクセスデバイスが前記血管用アクセスデバイスから除去されたとき、流体が前記血管用アクセスデバイス内に吸い込まれないように、前記ポート内に付加的な量を作るように拡張、する可撓性部材と、
を含む医療装置。
【請求項2】
前記別個のアクセスデバイスによるアクセスが、前記ポート内への流体の注入を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記可撓性部材が、前記流体の薬物を前記蠕動式カテーテルの長さに沿って送出するための蠕動式カテーテルである請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記可撓性部材が弾性ゲートである請求項2に記載の医療装置。
【請求項5】
前記流体が注入される逆止め弁をさらに含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記可撓性部材が、チャンバー内に収容されるバルーンである請求項2に記載の医療装置。
【請求項7】
前記可撓性部材は、前記可撓性部材が拡張するとき、ねじれていない状態となるねじれた流路を形成する請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
空気圧室をさらに含み、前記ポート内の容積が流体室内に収容、該空気圧室の容積が変化するとき、前記流体室の容積が、増加する請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
感圧式薬液室をさらに含み、前記ポート内の容積が流体室内に収容され、該感圧式薬液室の容積が変化するとき、前記流体室の容積が増加する請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記別個のアクセスデバイスによる利用が、前記ポート内への機械的構造の挿入を含む請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記可撓性部材に連通しているストラットをさらに含み、前記ストラットが圧縮するとき、前記可撓性部材が拡張する請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記可撓性部材は、前記ポートが前記装置により利用された場合、拡張する球状部である請求項10に記載の医療装置。
【請求項13】
前記可撓性部材が、圧縮バルーンの壁を形成し、前記圧縮バルーンが圧縮されるとき、拡張する請求項10に記載の医療装置。
【請求項14】
ラジアル圧縮ばねをさらに含み、前記ラジアル圧縮ばねが移動するとき、前記可撓性部材が拡張する請求項10に記載の医療装置。
【請求項15】
医療装置のチャンバーにおける容積変位を制御する方法であって、
質量を有する物質を前記チャンバー内に挿入することによって血管外システムのチャンバーの容積を減少させ、
質量を有する前記物質が除去されるとき、流体が前記チャンバー内に吸い込まれないように、前記チャンバー内に挿入される前記物質の前記質量と同時に等しく前記チャンバーの容積を増加させることを含む方法。
【請求項16】
前記物質が、医療装置の機械的構造である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記機械的構造が、注射器の先端部である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記物質が、流体である請求項15に記載の方法。
【請求項19】
血管外システム内のチャンバーの容積を増加させる手段を含み、
前記容積を増加させる手段が、前記チャンバーの容積を減少させる手段と対応して連通する医療装置。
【請求項20】
前記容積を増加させる手段が、クローズドルアーアクセスデバイス内に収容される請求項19に記載の医療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2009−544452(P2009−544452A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522968(P2009−522968)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/074561
【国際公開番号】WO2008/014439
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/074561
【国際公開番号】WO2008/014439
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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