説明

容量性負荷のための駆動回路

【課題】容量性負荷のための簡単な又は低廉な駆動回路を提供する。
【解決手段】駆動回路は、直流電源と、制御信号を供給する制御ユニットと、入力端子、出力端子及び制御端子を各々含む第1スイッチ及び第2スイッチより成るパワースイッチトポロジーであって、入力端子は電源に各々接続され、制御端子は制御ユニットに接続されてそこから制御信号を受信し、出力端子はノードに接続されるようなパワースイッチトポロジーと、そのノードと電源との間で容量性負荷に直列に接続されたインダクタンスとを備え、制御信号がスイッチを交互に導通するように制御して、ノードがパルス信号を出力するようにさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路に係り、より詳細には、圧電モータ、等の容量性負荷のための駆動回路に係る。
【背景技術】
【0002】
既知の形式の圧電モータは、圧電材料のスラブを備え、その片面には共通電極をそしてその反対面には2つの個別電極を有している。共通電極が個別電極の一方と導通すると、圧電モータは、一方向に移動する。共通電極が他方の個別電極と導通すると、圧電モータは、逆方向に移動する。
【0003】
図6は、圧電モータの共通電極と個別電極の1つとの間に接続された従来の駆動回路を示している。この駆動回路は、直流電源DCと、2つの半ブリッジ回路HB1、HB2と、直列接続されたインダクタンスL及び圧電モータMとを備えている。各半ブリッジ回路は、PWM信号により制御される2つのスイッチを含む。1つの半サイクルにおいて、スイッチS1及びS4が導通するように制御されると共に、スイッチS2及びS3が非導通であるように制御され、電流が圧電モータMを通してノードn1からノードn2の方向に流れる。他の半サイクルにおいて、スイッチS1及びS4が非導通であるように制御されると共に、スイッチS2及びS3が導通するように制御され、電流が圧電モータMを通してノードn2からノードn1の方向に流れる。圧電モータMは、これに交流電流が流れたときに一方向に移動することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した既知の駆動回路は、一方向のみのモータの移動に対応する2つのスイッチを各々含む2つの半ブリッジ回路を必要とする。2つの方向にモータを移動するには、2つのスイッチを含む少なくとも1つの付加的な半ブリッジ回路が必要となり、高価なものとなる。
【0005】
そこで、容量性負荷のための簡単な又は低廉な駆動回路が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、その1つの態様において、直流電源と、制御信号を供給するための制御ユニットと、入力端子、出力端子及び制御端子を各々含む第1スイッチ及び第2スイッチより成るパワースイッチトポロジーであって、入力端子は電源に各々接続され、制御端子は制御ユニットに接続されてそこから制御信号を受信し、出力端子はノードに接続されるようなパワースイッチトポロジーと、前記ノードと電源との間で容量性負荷に直列に接続されたインダクタンスとを備え、前記制御信号が前記スイッチを交互に導通するように制御して、前記ノードがパルス信号を出力するようにさせる、駆動回路を提供する。
【0007】
好ましくは、制御信号は、PWM信号である。
【0008】
好ましくは、容量性負荷と並列にキャパシタが接続され、容量性負荷及びキャパシタの等価キャパシタがインダクタンスに一致する。
【0009】
或いは又、容量性負荷と直列に接続されたキャパシタを含む。
【0010】
好ましくは、容量性負荷は、圧電モータを含む。
【0011】
好ましくは、圧電モータは、共通電極と、スイッチに各々直列に接続された2つの個別電極とを有する圧電素子を含む。
【0012】
好ましくは、容量性負荷は、少なくとも2つの圧電モータを含む。
【0013】
好ましくは、圧電モータは並列に接続され、そして各圧電モータは、各スイッチに直列に接続される。
【0014】
好ましくは、各圧電モータは、各キャパシタと並列に接続され、圧電モータ及びキャパシタの等価キャパシタがインダクタンスに一致する。
【0015】
或いは又、圧電モータは、単一キャパシタと並列に接続される。
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図面に現れる同一の構造体、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図面において同じ参照番号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態による駆動回路の回路図である。
【図2】圧電モータの等価回路を示す。
【図3】本発明の第2の実施形態による駆動回路の回路図である。
【図4】本発明の第3の実施形態による駆動回路の回路図である。
【図5】本発明の第4の実施形態による駆動回路の回路図である。
【図6】圧電モータのための従来の駆動回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態による駆動回路が図1に示されている。この駆動回路は、直流電源11と、パワースイッチトポロジー12と、インダクタンス13と、制御ユニット14と、容量性負荷15とを備えている。パワースイッチトポロジー12は、第1スイッチ30及び第2スイッチ40を有する。各スイッチ30、40は、入力端子31、41と、出力端子32、42と、制御端子33、43とを有する。入力端子31、41は、電源11の2つの電源端子に各々接続される。制御端子33、43は、制御ユニット14に接続されて、そこから制御信号を受け取る。出力端子32、42は、インダクタ13の一端に接続されたノードn3に接続され、インダクタ13の他端は、容量性負荷15に接続され、この容量性負荷は、更に、電源11の電源端子の一方に接続される。制御ユニット14は、例えば、PWM信号のような制御信号を供給/付与するように構成され、これら制御信号は、スイッチ30、40の制御端子33、43へ送信されて、スイッチ30、40の一方を交互に導通し、ノードn3がパルス信号を出力するようにさせる。インダクタンス13及び容量性負荷15は、ノードn3からのパルス信号出力がインダクタンス13及び容量性負荷15を通過するときに、LC共振を発生する。
【0019】
スイッチ30、40は、トランジスタ、金属−酸化物−半導体の電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、又はGTO(ゲートターンオフサイリスタ)でよい。制御ユニット14は、所定のプログラムに基づき制御信号を与えるマイクロプロセッサでよい。
【0020】
容量性負荷15は、例えば、移動電話やパーソナルデジタルアシスタントのような映像捕獲機能をもつポータブル電子装置に使用されてそのレンズモジュールを駆動するための圧電モータでよい。
【0021】
図2は、圧電モータの等価回路図である。このモータは、圧電素子のようなスラブを備え、これは、その片面に共通電極21を、そしてその反対面に2つの個別電極22、23を有している。2つのスイッチ24及び25が、各々、個別電極22、23に直列に接続されて、制御信号により交互に導通するように制御され、これにより、電極22及び23のどちらが共通電極21と導通するかを選択する。共通電極21が個別電極22、23の一方と導通するときには、圧電モータが第1方向に移動することができる。共通電極21が個別電極22、23の他方と導通するときには、圧電モータが、第1方向とは逆の第2方向に移動することができる。従って、2つのスイッチ24、25は、圧電モータの動作方向を決定するので、方向スイッチと称される。
【0022】
本発明の第1の実施形態の駆動回路では、圧電モータを制御するのに、4つのスイッチ30、40、24、25しか必要とされない。
【0023】
図3は、本発明の第2の実施形態による駆動回路を示す。図3の駆動回路では、キャパシタC1が、容量性負荷15と並列に接続される。キャパシタC1及び容量性負荷15の等価キャパシタがインダクタンス13と一致して、LC共振回路を同調させる。
【0024】
図4は、本発明の第3の実施形態による駆動回路を示す。この駆動回路では、ノードn3からの信号出力の直流成分を阻止するために容量性負荷15と直列にDCブロッキングキャパシタC2が接続される。
【0025】
図5は、本発明の第4の実施形態による駆動回路を示す。第4の実施形態による駆動回路では、容量性負荷15が、並列に接続された複数の圧電モータで構成される。好ましくは、各圧電モータは、その圧電モータを動作するかどうか制御するのに使用されるラインスイッチと直列に接続される。このラインスイッチは、多数の並列モータに駆動信号を同時に供給しながら個々のモータを選択的に動作できるようにする。この駆動回路では、パワースイッチトポロジー12を複数の圧電モータにより共有することができ、その結果、コストが更に減少される。好ましくは、各圧電モータは、キャパシタと並列に接続され、圧電モータ及びその対応キャパシタの等価キャパシタがインダクタンスと一致して、LC共振回路を形成するようにする。或いは又、圧電モータは、それらが同じパラメータを有する場合には、共有キャパシタと並列に接続されてもよい。
【0026】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、そこに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0027】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【符号の説明】
【0028】
11:直流電源
12:パワースイッチトポロジー
13:インダクタンス
14:制御装置
15:容量性負荷
21:共通電極
22、23:個別の電極
24、25:スイッチ
30:第1スイッチ
31、41:入力端子
32、42:出力端子
33、43:制御端子
40:第2スイッチ
C1:キャパシタ
C2:DCブロッキングキャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、
制御信号を供給するための制御ユニットと、
入力端子、出力端子及び制御端子を各々含む第1スイッチ及び第2スイッチより成るパワースイッチトポロジーであって、入力端子は電源に各々接続され、制御端子は制御ユニットに接続されてそこから制御信号を受信し、出力端子はノードに接続されるようなパワースイッチトポロジーと、
前記ノードと電源との間で容量性負荷に直列に接続されたインダクタンスと、
を備え、前記制御信号が前記スイッチを交互に導通するように制御して、前記ノードがパルス信号を出力するようにさせる、駆動回路。
【請求項2】
前記制御信号は、PWM信号である、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記容量性負荷と並列に接続されたキャパシタを更に備え、前記容量性負荷及びキャパシタの等価キャパシタがインダクタンスに一致する、請求項1又は2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記容量性負荷と直列に接続されたキャパシタを更に含む、請求項1又は2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記容量性負荷は、圧電モータを含む、請求項1から4のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項6】
前記圧電モータは、共通電極と、スイッチに各々直列に接続された2つの個別電極とを有する圧電素子を含む、請求項5に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記容量性負荷は、少なくとも2つの圧電モータを含む、請求項1から6のいずれかに記載の駆動回路。
【請求項8】
前記圧電モータは並列に接続され、そして各圧電モータは、各スイッチに直列に接続される、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
各圧電モータは、各キャパシタと並列に接続され、前記圧電モータ及びキャパシタの等価キャパシタが前記インダクタンスに一致する、請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記圧電モータは、単一キャパシタと並列に接続される、請求項8に記載の駆動回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−57360(P2010−57360A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−216195(P2009−216195)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(502458039)ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム (90)
【Fターム(参考)】