説明

寄付収集システム及び方法

【課題】 管理が容易で自動販売機利用者が簡便に寄付をすることが可能な寄付収集システム及び寄付収集方法を提供する。
【解決手段】 自動販売機101に釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタン107と釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタン108とを具備する。自動販売機101は寄付ボタン107が押下された場合には、釣り銭を寄付として受け付け、その寄付情報を通信ネットワーク110を介して事業者コンピュータ111に送信する。また、寄付先表示部109に寄付先を表示して、利用者が寄付先を選択できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機を利用して社会貢献等のため自動的に寄付を集める寄付収集システム及び寄付収集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、個人や団体等が地震等の被災者或いは社会貢献を行う団体等に寄付をする場合には、例えば、郵便局等の金融機関に行って寄付の手続を行うのが一般的である。
【0003】
また、最近では、寄付を自動的に集める方法として、例えば、特開2002−32841号公報に記載されているように自動販売機に寄付金額を表示して商品購入時に自動的に寄付を集める方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
更に、特開2001−351159号公報に記載されているように、全ての飲食物や飲料物の金額が一定で、且つ、一枚の紙幣或いは一個の硬貨で釣り銭が発生する金額に設定し、紙幣或いは硬貨を投入することで、飲食物や飲料物と引き換えるためのコインと釣り銭に相当するコインを排出する自動販売機を飲食店の店内に設置し、釣り銭コインを社会貢献のための寄付として使用する方法が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−32841号公報(段落0006等)
【特許文献2】特開2001−351159号公報(段落0011〜0014等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法は、自動販売機を利用してお客からの釣り銭を寄付として集めるものであるが、各自動販売機毎に寄付の管理を行う必要があるため、管理が煩雑であった。
【0006】
本発明の目的は、管理が容易で自動販売機利用者が簡便に寄付をすることが可能な寄付収集システム及び寄付収集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の寄付収集システムは、上記目的を達成するため、釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタンと釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタンとを有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを含み、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の寄付収集システムは、釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタン、釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタン及び寄付先を選択する寄付先選択手段を有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを含み、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額、寄付先を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の寄付収集方法は、釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタンと釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタンとを有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを用い、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の寄付収集方法は、釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタン、釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタン及び寄付先を選択する寄付先選択手段を有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを用い、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額、寄付先を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動販売機と事業者コンピュータをネットワークで接続して寄付情報を管理することにより、寄付の管理を容易に行うことができる。また、寄付先を表示して選択できるようにすることにより、利用者が所望の寄付先を選んで寄付することができ、更に、各自動販売機の寄付先を一括して変更できるため、災害発生等の寄付先変更にも柔軟に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る自動販売機の外観を示す図である。図中101は、例えば、ジュース、コーヒ、お茶等の飲料物を販売する自動販売機であり、利用者からの寄付を受け付けて集めるための機能を持つ寄付収集機能付きの自動販売機である。寄付を集める自動販売機としては、飲料物に限ることなく、飲食物、タバコ等他の自動販売機であっても良い。
【0013】
また、102はジュースやお茶等の販売する飲料物を表示する商品表示部、103は利用者がボタン等を押下することによって所望の商品を選択する商品選択部、104は硬貨や紙幣を投入する投入口、105は釣り銭を排出する釣り銭排出口、106は利用者が購入した飲料物を排出する飲料物排出口である。なお、投入された紙幣や硬貨の金額を表示したり、釣り銭の金額を表示する表示部については省略している。
【0014】
更に、107は利用者が釣り銭を寄付する場合に押下する寄付ボタン、108は利用者が寄付をしない場合に押下する釣り銭ボタンである。寄付ボタン107を押下すると、投入した金額から購入商品の差分の釣り銭が寄付として処理され、釣り銭は支払わない。また、釣り銭ボタン108を押下すると、釣り銭排出口105から釣り銭が排出される。
【0015】
109は寄付先を表示する寄付先表示部であり、例えば、○○地震被災者寄付、ユネスコ寄付等の寄付先を表示する。寄付先表示部109は電子表示となっており、利用者が表示された複数の寄付先からタッチパネル式等によって所望の寄付先を選択することが可能である。寄付先表示部109に表示する寄付先は、詳しく後述するように通信ネットワークを介して接続された事業者コンピュータによって随時変更することが可能である。
【0016】
図2は本発明に係るシステムの概略構成を示す図である。自動販売機101は通信ネットワーク110を介して事業者コンピュータ111と接続されている。事業者コンピュータ111は寄付を集めて社会貢献を行う事業者が管理運営するコンピュータである。全ての自動販売機101からの寄付金額、寄付日時、寄付先情報等を含む寄付情報は随時事業者コンピュータ111に通信ネットワーク110を介して送信される。
【0017】
事業者コンピュータ111は送信された寄付情報の集計等を行い、寄付に関する管理を行う。また、事業者コンピュータ111は上述のように各自動販売機101に対して通信ネットワーク110を介して寄付先情報を送信し、寄付先表示部109に表示する。通信ネットワーク110としては、例えば、インターネット、電話回線、電力供給線、有線LAN、無線LAN、衛生通信等様々なネットワークを利用することができる。
【0018】
図3は自動販売機101と事業者コンピュータ111を含むシステムを示すブロック図である。自動販売機101の構成としては、本発明の主要な構成要素のみ示し、商品販売のための回路や機構については省略する。
【0019】
図中112は自動販売機101の各部を制御するためのCPU、ROM、RAM等を含むプログラム制御によって動作する制御回路、116は通信ネットワーク110を介して事業者コンピュータ111と通信を行う通信部である。制御回路112は通信部116を制御し、事業者コンピュータ111との通信の制御も行う。
【0020】
113は寄付先表示部109等の表示部の制御を行う表示制御部、114はタッチパネル式等により寄付先表示部109と一体になった寄付先選択部である。利用者は寄付先表示部109に表示された複数の寄付先の中から寄付先選択部114を用いて選択することによって所望の寄付先を選択することができる。
【0021】
また、制御回路112は釣り銭ボタン108が押下されると、各部を制御して釣り銭を排出するように制御を行う。一方、寄付ボタン107が押下されると、釣り銭を寄付として受け付け、その商品名、寄付金額、寄付先、寄付日時等の寄付情報を記憶部115に格納する。制御回路112は寄付を受け付ける度に寄付情報を事業者コンピュータ111に送信する。
【0022】
事業者コンピュータ111はプログラム制御によって動作する制御部117、寄付情報等を記憶する記憶部118、自動販売機101等と通信を行う通信部119を含んでいる。制御部117は各自動販売機101から送信された寄付情報を集計し、記憶部117には寄付先毎に合計の寄付金額を記憶させる。
【0023】
また、事業者コンピュータ111は定期的に寄付先のコンピュータに寄付情報を送信する。例えば、毎週一回(例えば、週末)、毎月一回(例えば、月末)というように定期的に通信部119から寄付情報を寄付先コンピュータに送信する。その場合には、図2に示すように通信ネットワーク110を介して事業者コンピュータ111と寄付先毎の寄付先コンピュータ120、寄付先コンピュータ121、…、を接続しておく。
【0024】
更に、各自動販売機101の寄付先を変更する場合には、事業者コンピュータ111の通信部119から通信ネットワーク110を介して全ての自動販売機101に寄付先情報が送信され、全ての自動販売機101の寄付先表示部109の寄付先情報を一括して変更する。
【0025】
次に、本実施形態の動作を図1〜図4を参照して説明する。図4は本実施形態の動作を示すフローチャートである。まず、利用者は希望の商品を購入するため投入口104から硬貨又は紙幣を投入する(S101)。その際、利用者は購入する飲料物(商品)の金額よりも高い金額の硬貨又は紙幣を投入したとする。
【0026】
次いで、利用者は商品選択部103により購入する飲料物を選択し(S102)、制御回路112は各部を制御して選択された商品を飲料物排出口106から排出する(S103)。その後、制御回路112はボタンの押下信号を監視し、利用者が釣り銭ボタン108を押下したのか、寄付ボタン107を押下したのかを判定する(S104)。
【0027】
その際、釣り銭ボタン108が押下されると、制御回路112は投入金額から飲料物の価格を差し引いた釣り銭を釣り銭排出口105から排出して(S105)、処理を終了する。
【0028】
一方、寄付ボタン107が押下されると、制御部112は寄付先選択部114により寄付先が選択されるのを待ち(S106)、寄付先が選択されると制御回路112は寄付金額、寄付先、日時等の寄付情報を通信部116から通信ネットワーク110を介して事業者コンピュータ111に送信して(S107)、処理を終了する。
【0029】
このようにして送信された寄付情報は事業者コンピュータ111で集計され、記憶部118に寄付先毎に寄付金額を積算して格納する。
【0030】
ここで、S104において商品選択後、一定時間以上、釣り銭ボタン108も寄付ボタン107も押下されなかった場合には、自動で釣り銭を排出してもよい。また、反対に寄付されたものとみなして寄付として処理してもよい。その場合には、一定時間以上どちらのボタンも押さない時は寄付として受け取る旨を自動販売機101に表示するのが良い。また、その旨を音声によってアナウンスしても良い。
【0031】
なお、以上の実施形態では、寄付先表示部109に寄付先を表示して利用者が寄付先を選択すると説明したが、自動販売機101に寄付先表示部109を設置せずに、寄付先を特定しないで寄付ボタン107が押下されたら、釣り銭を寄付として受け取ることも可能である。その場合には、寄付先は事業者によって決めることになるが、予めその事業者によってインターネット等を利用して寄付先を明示するのが良い。
【0032】
また、自動販売機101の利用者が商品を購入しない場合にも寄付を受け付けることも可能である。その場合には、利用者が商品の選択をせずに寄付ボタン107を押下したら、投入金額を寄付して受け付けるものとする。
【0033】
更に、自動販売機101に寄付金額を入力するための入力装置を設け、入力された金額を寄付として受け取るものとし、投入金額が寄付金額よりも多ければ釣り銭を排出する。また、例えば、携帯電話機やSUICA等のFELICA機能を利用する等して、自動販売機に寄付した人の氏名、寄付金額、寄付先、連絡先等の情報を入力する機能を持たせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る自動販売機の一実施形態の外観を示す正面図である。
【図2】本発明に係るシステムの一実施形態の概略構成を示す図である。
【図3】本発明に係るシステムの一実施形態を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
101 自動販売機
102 商品表示部
103 商品選択部
104 投入口
105 釣り銭排出口
106 飲料物排出口
107 寄付ボタン
108 釣り銭ボタン
109 寄付先表示部
110 通信ネットワーク
111 事業者コンピュータ
112 制御回路
113 表示制御部
114 寄付先選択部
115 記憶部
116 通信部
117 制御部
118 記憶部
119 通信部
120、121 寄付先コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタンと釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタンとを有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを含み、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする寄付収集システム。
【請求項2】
釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタン、釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタン及び寄付先を選択する寄付先選択手段を有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを含み、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額、寄付先を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする寄付収集システム。
【請求項3】
前記事業者コンピュータは、定期的に寄付先コンピュータに寄付情報を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の寄付収集システム。
【請求項4】
前記自動販売機は、前記寄付ボタンと釣り銭ボタンが一定時間以上押下されない場合には、自動で釣り銭を排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の寄付収集システム。
【請求項5】
前記自動販売機は、前記寄付ボタンと釣り銭ボタンが一定時間以上押下されない場合には、釣り銭を寄付として処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の寄付収集システム。
【請求項6】
前記自動販売機は、購入する商品を選択せずに、前記寄付ボタンが押下された場合には、投入された金額を寄付として処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の寄付収集システム。
【請求項7】
前記自動販売機は、寄付金額を入力する入力手段を含み、投入された金額のうち入力された金額を寄付として受け取ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の寄付収集システム。
【請求項8】
釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタンと釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタンとを有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを用い、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする寄付収集方法。
【請求項9】
釣り銭を寄付することを入力する寄付ボタン、釣り銭を受け取ることを入力する釣り銭ボタン及び寄付先を選択する寄付先選択手段を有する自動販売機と、前記自動販売機に通信ネットワークを介して接続され、前記自動販売機からの寄付情報を集計管理する事業者コンピュータとを用い、前記自動販売機は前記寄付ボタンが押下された場合には、寄付金額、寄付先を含む寄付情報を前記事業者コンピュータに送信することを特徴とする寄付収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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