説明

寄生虫の駆除用スポットオン製剤

特に、本発明は、(1)(A)1−フェニルピラゾール誘導体の有効量と(B)エマメクチン、ラチデクチン又はレピメクチンの有効量とを含む組成物、(2)許容可能な液状担体媒体、及び(3)場合により結晶化阻害剤を含む、哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を処置又は予防するスポットオン組成物を提供する。本発明は、本発明による組成物の有効量を哺乳類又は鳥類に局所塗布することを含む、前記哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を処置する又は寄生虫感染を予防する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1997年9月15日の国際出願日を有し、米国を指定国とし、1996年9月19日出願の仏国出願第96/11446号から優先権を主張している同時係属中の国際出願PCT/FR97/01548の一部継続出願である、2002年11月19日公布の現在の米国特許第6482425号である1999年3月17日出願の出願第09/271470号の一部継続出願である、2002年7月30日公布の現在の米国特許第6426333号である1999年8月17日出願の出願第09/376736号の分割である、2002年5月24日に出願した現在係属中の出願第10/155397号の一部継続出願である、2002年10月24日出願の出願第10/279356号の一部継続出願である、2005年5月16日出願の米国特許出願第11/055234号に対して優先権を主張するものである。1996年9月25日出願の米国出願第08/719942号、1996年8月5日出願の第08/692430号、1997年5月27日出願の第08/863182号、1996年8月5日出願の第08/692113号、1997年5月27日出願の第08/863392号、及び1997年7月10日出願の第08/891047号と1997年3月26日出願の仏国出願第9703709号とPCT/FR98/00601も参照される。上述の出願の全ては、本明細書中で引用される文献及び本明細書中で引用される文献中で参照又は引用される文献の全てと同様に、ここで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、鳥類及び哺乳類の寄生虫を駆除するためのスポットオン(spot−on)製剤に関する。特に、本発明は、1−N−フェニルピラゾール誘導体及び/又はマクロライドの駆虫薬若しくは抗寄生虫薬を含む組成物と、医薬又は動物薬として許容可能な液状担体媒体と含むスポットオン製剤を提供する。本発明は、鳥類及び哺乳類の寄生虫感染を排除、抑制及び予防するための改良方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
哺乳類及び鳥類などの動物は、寄生虫感染に罹ることがよくある。この寄生虫は、昆虫などの外部寄生虫とフィラリア及び蠕虫などの内部寄生虫の場合がある。
【0004】
ネコ及びイヌなどの飼い馴らされた動物は、1種又は複数の、以下の外部寄生虫:
ネコ及びイヌのノミ(ネコノミ、ノミ種など)、
マダニ(コイタマダニ種、マダニ種、カクマダニ種、キララマダニ種など)、及び
ダニ(ニキビダニ種、ヒゼンダニ種、ミミヒゼンダニ種など)、
シラミ(ハジラミ種、ツメダニ種、ホソジラミ(Lignonathus)種など)、
カ(ヤブカ種、イエカ種、ハマダラカ種など)及び
ハエ(ノサシバエ種、イエバエ種、サシバエ種、ヒフバエ種、コクリオミア(Cochlyomia)種など)
がしばしば寄生する。
【0005】
ノミが特有の問題である理由は、ノミは、動物又はヒトの健康に悪影響を及ぼすだけでなく、多大な精神的ストレスを生じさせるからである。更に、ノミは、イヌ条虫(Dipylidium caninum)などの動物の病原体及びヒトの病原体の仲介物でもある。
【0006】
同様に、マダニも、動物又はヒトの肉体的及び精神的健康に対して有害である。しかしながら、マダニと関連する最も深刻な問題は、ダニが、病原体の仲介物、即ちヒトと動物との双方に病気を生じさせる作因の仲介物であることである。マダニによって生じる主な病気には、ボレリア症(ボレリアブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)が原因のライム病)、バベシア症(又はバベシア種が原因のピロプラズマ症)、及びリケッチア症(ロッキー山紅斑熱の名でも知られる)が挙げられる。マダニは、宿主の炎症又は麻痺を起こす毒素も放出する。時折、これらの毒素は、宿主にとって致死的である。
【0007】
更に、ダニ及びシラミは、これらの寄生虫に作用する活性物質がほとんどないため駆除するのが特に困難であり、頻繁な処置が必要となる。
【0008】
また、家畜も寄生虫感染に罹りやすい。例えば、ウシは、多数の寄生虫によって影響を受ける。家畜間で非常に蔓延している寄生虫は、ウシマダニ属のマダニ、特にオウシマダニ(ウシマダニ)種、デコロラトゥス(decoloratus)種、及びアヌラトゥス(anulatus)種のマダニである。オウシマダニなどのマダニは、家畜が放牧される牧草地に住むため、駆除するのが特に困難である。ウシ及びヒツジの他の重要な寄生虫は、以下のように重要度が減少する順で挙げられる。
ヒトヒフバエ(ブラジルではベルン(Berne)の名で知られる)及びコクリオミアホミニボラックス(Cochlyomia hominivorax)(クロバエ)などのハエウジ、ヒロズキンバエ(Lucilia sericata)、ヒツジキンバエ(Lucilia cuprina)(オーストラリア、ニュージーランド及び南アフリカに襲来するホホアカクロバエとして公知の)などのヒツジハエウジ。これらは、その幼虫が動物寄生虫に相当するハエである;
特有のハエ、即ち、ヘマトビアイリタンス(Haematobia irritans)(ノサシバエ)などの、その成虫が寄生虫に相当するハエ;
ウシホソジラミ(Linognathus vitulorum)などのシラミ;及び
ヒゼンダニ及びヒツジキュウセンヒゼンダニなどのダニ
上記リストは、包括的なものではなく、他の外部寄生虫が、動物及びヒトに対して有害であることは当分野で周知である。これらには、例えば移動性の双翅の幼虫が挙げられる。
【0009】
動物及びヒトは、例えば、線虫又はイヌ糸状虫又は回虫と称される寄生虫の群により最も頻繁に生じる蠕虫症を含む内部寄生虫感染にも苦しむ。これらの寄生虫により、ブタ、ヒツジ、ウマ、及びウシでの深刻な経済的損失並びに家畜及び家禽への影響が生じる。動物及びヒトの消化管中に生じる他の寄生虫には、鉤虫、アメリカ鉤虫(Necator)、回虫、糞線虫、旋毛虫、毛頭虫、トキソカラ属、トキサスカリス属、鞭虫、ギョウ虫、並びに血液中又は他の組織中及び器官中に見つかる糸状虫などの寄生虫と、管外段階中に見つかる、糞線虫、トキソカラ属、及び旋毛虫の寄生虫が挙げられる。
【0010】
寄生虫を処置する殺虫剤は、当分野において多く存在する。これらの殺虫剤は、特定の寄生虫に対する殺虫剤の効果及びこれらのコストにより様々である。しかしながら、これらの殺虫剤の結果は、例えば寄生虫の耐治療薬性の向上により、必ずしも十分ではなく、例えば、カルバミン酸塩、有機リン化合物及びピレスロイドの場合と同様である。更に、マダニと蠕虫との双方を駆除する真に効果的な方法は現在無く、上記に示した一連の寄生虫を駆除する効果的な方法はなおさら無い。したがって、当分野では、広範な寄生虫に対して、動物、例えば哺乳類、魚類及び鳥類のより効果的な抗寄生虫製剤による処置及び予防が必要である。更に、当分野では、家畜の大きさ及びその毛皮の性質に関わらず任意の種類の家畜に使用しやすく、哺乳類、魚類又は鳥類の体全体に撒き散らす必要の無い抗寄生虫製剤が必要である。
【0011】
1−N−フェニルピラゾールを主体とする殺虫剤の新類は、特許EP−A−295217及びEP−A−352944に記載されている。これらの特許に定義された該類の化合物は、極めて活性があり、これらの化合物の1つ、1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾール、又はフィプロニルが、作物の寄生虫に対してだけでなく哺乳類及び鳥類の外部寄生虫に対して特に効果的である。フィプロニルは、これに限定しないが、特にノミ及びマダニに対して効果的である。
【0012】
広範な内部寄生虫に対してある程度の活性を示す内部外部寄生虫殺虫化合物は、当分野で公知である。これらの化合物は、大環状ラクトン環を有し、シラミ、ホホアカクロバエ、ハエ、カ、ダニ、移動性の双翅の幼虫、及びマダニを含む外部寄生虫、並びに線虫、イヌ糸状虫、回虫などの内部寄生虫に対して特に効果的であることが当分野で公知である。この群の化合物には、アベルメクチン、ミルベマイシン、及びこれらの化合物の誘導体、例えば、アバメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、ラチデクチン(latidectin)、レピメクチン、ミルベメクチン、モキシデクチン又はセラメクチンが挙げられる。このような物質は、例えば、米国特許第3950360号、第4199569号、第4879749号、及び第5268710号に記載されている。
【0013】
抗寄生虫範囲を広げるために様々な抗寄生虫薬を組み合わせることが可能な場合があることが当分野で公知であるが、どの組合せが特定の動物又は病状に効果がありそうかを先験的に予測するのは不可能である。このために、様々な組合せの結果は、必ずしも奏効するとは限らず、当分野では、動物に容易に投与し得るより効果的な製剤が必要である。特定の宿主の内部寄生虫又は外部寄生虫に対する、1−N−フェニルピラゾール誘導体、及びアベルメクチン、イベルメクチン、ミルベマイシンなどのマクロライドラクトン駆虫薬又は抗寄生虫薬を含む製剤の効果は、多くの複雑な宿主−寄生体相互作用により、予測するのが特に困難である。
【0014】
特許出願AU−A−16427/95では、フィプロニルを含む、様々な種類の非常に多数の殺虫剤又は殺寄生虫剤に関する考察において、置換1−N−ピラゾール誘導体とアベルメクチン、イベルメクチン又はモキシデクチンとの組合せについて非常に広範に言及している。しかしながら、この特許出願は、1−N−ピラゾール誘導体をアベルメクチン又はミルベマイシン型の化合物と配合する方法はもちろん、これらの化合物を含むスポットオン組成物を処方する方法に関して、当業者に特定の指針を与えるものではない。更に、この出願は、どの特定の寄生虫がどんな特定の組合せに影響されるかを示すものではない。
【0015】
抗寄生虫製剤を処方する様々な方法は、当分野で公知である。これらには、経口製剤、餌、栄養補助食品、散剤、洗髪剤などが挙げられる。抗寄生虫製剤を限局的に局所塗布する処方も、当分野で公知である。例えば、フィプロニルなどの1−N−フェニルピラゾールを含むポアオン(pour-on)溶液は、当分野で公知であり、参照により本明細書に組み込まれる、同時係属中の出願第08/933016号に記載されている。抗寄生虫薬を処方する他の方法には、スポットオン製剤が挙げられる。
【0016】
スポットオン製剤は、抗寄生虫薬を宿主の限定領域に局所送達する周知の技術である。例えば、米国特許第5045536号には、外部寄生虫に対するこのような製剤について記載されている。更に、アベルメクチン及びミルベマイシン誘導体をスポットオン製剤として処方することは当分野で公知である。例えば、米国特許第5045536号、EP677054、米国特許第5733877号、米国特許第5677332号、米国特許第5556868号、及び米国特許第5723488号を参照のこと。しかしながら、米国特許第5045536号に記載のように、当技術で説明されている多数の溶媒系により、宿主に刺激性又は毒性を起こす、限局的に局所塗布する製剤が得られる。したがって、当分野では、もっと有効で且つ刺激性又は毒性の少ない製剤が必要である。したがって、当分野では、鳥類及び哺乳類の広範な内部寄生虫及び外部寄生虫に対して有効なスポットオン製剤が必要である。
【特許文献1】特許EP−A−295217
【特許文献2】特許EP−A−352944
【特許文献3】米国特許第3950360号
【特許文献4】米国特許第4199569号
【特許文献5】米国特許第4879749号
【特許文献6】米国特許第5268710号
【特許文献7】特許出願AU−A−16427/95
【特許文献8】同時係属中の出願第08/933016号
【特許文献9】米国特許第5045536号
【特許文献10】EP677054
【特許文献11】米国特許第5733877号
【特許文献12】米国特許第5677332号
【特許文献13】米国特許第5556868号
【特許文献14】米国特許第5723488号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、鳥類及び哺乳類が普通接触する全ての寄生虫を、哺乳類、魚類及び鳥類の、特にネコ、イヌ、ウマ、ニワトリ、ヒツジ、及びウシの宿主から除去するために、それらの寄生虫の処置又は予防のためのスポットオン製剤を提供する。本発明は、ノミ、マダニ、ダニ、例えばヒゼンダニ、カ、ハエ、シラミなどの外部寄生虫、並びに内部寄生虫としてフィラリア、イヌ糸状虫などの線虫と、動物及びヒトの消化管の回虫の効果的で永続的な壊滅ももたらす。
【0018】
特に、本発明は、
(1)
(A)1−N−フェニルピラゾール誘導体の有効量と、
(B)アベルメクチン、ミルベマイシン、アバメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、ミルベメクチン、モキシデクチン、セラメクチン、これらの混合物及びこれらの塩/複数の塩からなる群から選択される、大環状ラクトン駆虫薬又は抗寄生虫薬の有効量
とを含む組成物と、
(2)医薬又は動物薬用の液状担体媒体と、
(3)場合により、結晶化阻害剤
とを含む、哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を治療又は予防するためのスポットオン製剤を提供する。
本発明は、本発明による有効量の製剤を哺乳類又は鳥類に局所塗布することを含む、前記哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を治療又は予防する容易な方法も提供する。
【0019】
本発明は、1種類の治療薬しか含有しない製剤と比較した場合、寄生虫に対して相乗活性を示す、式(I)の化合物と大環状ラクトンとを含んだ組合せを含むスポットオン製剤も提供する。
【0020】
本発明は、局所塗布すると宿主の体全体中に拡散し、次いで結晶化せず乾燥し、例えば、結晶が残るか又は毛皮がべたつくことにより、乾燥後の毛皮の外観に影響を及ぼすことのない製剤も更に提供する。これは、身づくろいする動物において、この治療薬が、経口的に十分耐え得るものではなさそうか又は他の治療薬と相互作用する恐れのありそうな場合に、経口投与ではないという更なる利点を有する。
【0021】
本発明による方法及び製剤の非常に高い効果は、即効性の高い効果だけでなく、動物の処置後の持続時間が非常に長い効果もある。
【0022】
これらの及び他の実施形態は、開示されているか、又は以下の詳細な説明により明らかでありこれに含められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、
(1)
(A)次式
【0024】
【化1】

【0025】
の少なくとも1種の化合物の有効量
(式中、
は、ハロゲン原子、CN又はメチルであり;
は、S(O)又は4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル又はハロアルキルであり;
は、アルキル又はハロアルキルであり;
は、水素又はハロゲン原子或いはNR、S(O)、C(O)R若しくはC(O)OR、アルキル、ハロアルキル又はORラジカル或いは−N=C(R)(R10)ラジカルを表し;
及びRは、独立に、水素原子又はアルキル、ハロアルキル、C(O)アルキル、S(O)CF若しくはアルコキシカルボニルラジカルを表し、或いはR及びRは、一緒になって、1つ又は2つの二価のヘテロ原子により介在されてもよい二価のアルキレンラジカルを形成してもよく;
は、アルキル又はハロアルキルラジカルを表し;
は、アルキル若しくはハロアルキルラジカル又は水素原子を表し;
は、アルキルラジカル又は水素原子を表し;
10は、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立して、水素、ハロゲン、CN又はNOを表し;
13は、ハロゲン原子又はハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)CF若しくはSF基を表し;
m、n、q及びrは、互いに独立して、0、1又は2に等しい整数を表し;
Xは、3価の窒素原子、又はその炭素原子の他の3つの原子価が芳香環の一部を形成するC−R12ラジカルを表し;
但し、Rがメチルである場合、Rはハロアルキルであり、RはNHであり、R11はClであり、R13はCFであり、XはNであるか、又はRは、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルであり、RはClであり、R11はClであり、R13はCFであり、XはC−Clである)、並びに/或いは
(B)アベルメクチン、ミルベマイシン、アバメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、ミルベメクチン、モキシデクチン、セラメクチン、これらの混合物及びこれらの塩/複数の塩からなる群から選択される、医薬又は動物薬として有効な量の大環状ラクトン駆虫薬又は抗寄生虫薬
を含む組成物と、
(2)医薬又は動物薬として許容可能な液状担体媒体と、
(3)場合により、結晶化阻害剤
とを含む、哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を治療及び予防するためのスポットオン製剤を提供する。
【0026】
より好ましくは、本発明は、
(1)
(A)式(I)の化合物の有効量(式中、
は、ハロゲン原子、CN又はメチルであり;
は、S(O)又は4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル又はハロアルキルであり;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素又はハロゲン原子、或いはNR、S(O)、C(O)R若しくはC(O)OR、アルキル、ハロアルキル又はORラジカル或いは−N=C(R)(R10)ラジカルを表し;
及びRは、独立に、水素原子又はC−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C(O)C−Cアルキル、S(O)CF、C−Cアシル若しくはC−Cアルコキシカルボニルラジカルを表し、或いはR及びRは、一緒になって、酸素又は硫黄からなる群から選択される1つ又は2つの二価のヘテロ原子により介在されてもよい二価のアルキレンラジカルを形成してもよく;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルラジカルを表し;
は、C−Cアルキル若しくはC−Cハロアルキルラジカル又は水素原子を表し;
は、C−Cアルキルラジカル又は水素原子を表し;
10は、置換基が、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、シアノ又はC−Cアルキルからなる群から選択される、置換されてもよいフェニル基又は置換されてもよいヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立して、水素、ハロゲン、CN又はNOを表し;
13は、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、S(O)Cl又はSF基を表す)、並びに/或いは
(B)アベルメクチン、イベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、ミルベメクチン、モキシデクチン、セラメクチン、ミルベマイシン、及びこれらの誘導体からなる群から選択され、エマメクチンが特に好ましい、大環状ラクトンの有効量、
を含んだ組成物と、
(2)溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液状ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、特にN−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルエステル又はアジピン酸ジイソブチルなどのジエチルフタレート脂肪酸エステル、及びこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物からなる群から選択され、補助溶媒が、無水エタノール、無水イソプロパノール、又は無水メタノールからなる群から選択される、溶媒及び補助溶媒を含む液状担体媒体と、
(3)アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、アミン塩、両性界面活性剤若しくはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、レシチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びアクリル系誘導体、又はこれらの結晶化阻害剤の混合物からなる群から選択される結晶化阻害剤と
を含むスポットオン製剤を提供する。
【0027】
式Iの化合物とエマメクチンなどの大環状ラクトン駆虫薬又は抗寄生虫薬が双方とも存在する上述のスポットオン製剤は、特に好ましい。R及びRを表す2価のアルキレンラジカルとR及びRが結合する窒素原子とにより形成される環が、5、6、若しくは7員を有するか、又はRがCNであり、RがC−Cハロアルキルであり、RがNHであり、R11及びR12が、互いに独立して、水素若しくはハロゲンであり、R13がC−Cハロアルキルである、それ以外の組成物は、特により好ましい。
【0028】
組成物が、
(A)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾールと、
(B)エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、セラメクチン、これらの混合物及びこれらの塩/複数の塩からなる群から選択される、化合物の有効量
とを含むスポットオン組成物は、好ましい。
【0029】
組成物が、
(A)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾールと、
(B)イベルメクチン及びミルベメクチン
とを含み、又は
組成物が、
(A)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾールと、
(B)エマメクチン、ラチデクチン若しくはレピメクチン
とを含むスポットオン組成物は、特に好ましい。
【0030】
組成物が、
(A)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾールと、
(B)イベルメクチン及びミルベメクチン
とを含み、又は
組成物が、
(A)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾールと、
(B)ラチデクチン若しくはレピメクチン
とを含むスポットオン組成物は、特に最も好ましい。
【0031】
種類としてのフェニルピラゾール(「化合物A」)は、当分野で公知であり、例えば、同時係属中の出願USSN第07/719942号、第08/933016号、第09/174598号、第08/863182号、及び第08/863692号、並びに米国特許第5576429号、米国特許第5122530号、及びEP295177に記載されており、これらの開示は、本明細書に引用された参考文献と同様に、参照により組み込まれる。この種類の殺虫剤は、マダニ及びノミなどの昆虫に対して優れた活性を有することで公知である。
【0032】
大環状ラクトン駆虫薬又は抗寄生虫薬(「化合物B」)は、当業者に周知であり、市販で又は当分野で公知の技法を通じて容易に得られる。広範に利用可能な技術文献及び工業文献を参照する。アベルメクチン、イベルメクチン及びアバメクチンについては、例えば、出版物"Ivermectin and Abamectin", 1989, by M.H. Fischer and H. Mrozik, William C. Campbell, published by Springer Verlag.又はAlbers-Schonberg et al. (1981), "Avermectins Structure Determination", J. Am. Chem. Soc., 103, 4216-4221を参照してもよい。ドラメクチンについては、"Veterinary Parasitology", vol. 49, No. 1, July 1993, 5-15を特に参考にしてもよい。ミルベマイシンについては、とりわけ、Davies H.G. et al., 1986, "Avermectins and Milbemycins", Nat. Prod. Rep., 3, 87-121、Mrozik H. et al., 1983, Synthesis of Milbemycins from Avermectins, Tetrahedron Lett., 24, 5333-5336、米国特許第4134973号、及びEP677054を参照してもよい。ラチデクチンについては、"International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances (INN)". World Health Organization (WHO) Drug Information, vol. 17, no. 4, page 278-279, (2003)を特に参考にしてもよい。
【0033】
化合物(B)は、天然物であるか又はこの半合成誘導体である。少なくとも何らかの化合物(B)の構造は、例えば、複雑な大環状ラクトンの16員環を共有することよって、密接に関連付けられる。天然物アベルメクチンは、Albers-Schonberg, et al.に対する米国特許第4310519号に開示されており、22,23−ジヒドロアベルメクチン化合物は、Chabala, et al.の米国特許第4199569号に開示されている。Kitanoの米国特許第4468390号、Beuvry et al.の米国特許第5824653号、1980年6月2日に公開された欧州特許出願第0007812A1号、1975年4月9日に公開された英国特許明細書第1390336号、欧州特許出願第0002916A2号、及びとりわけAncareのニュージーランド特許第237086号にも言及する。天然で生じるミルベマイシンは、Aoki et al.の米国特許第3950360号及び"The Merck Index" 12th ed., S. Budavari, Ed., Merck & Co., Inc. Whitehouse Station, New Jersey (1996)の中で引用されている様々な参考文献に記載されている。これらの種類の化合物の半合成誘導体は、当分野で周知であり、例えば、米国特許第5077308号、米国特許第4859657号、米国特許第4963582号、米国特許第4855317号、米国特許第4871719号、米国特許第4874749号、米国特許第4427663号、米国特許第4310519号、米国特許第4199569号、米国特許第5055596号、米国特許第4973711号、米国特許第4978677号、米国特許第4920148号、及びEP667054に記載されている。
【0034】
特に好ましい大環状ラクトンは、単糖であり5−オキシム置換基を有するアベルメクチン誘導体である。以下は特に好ましい誘導体である。
【0035】
【化2】

【0036】
式中、22〜23位の点線は、任意選択の結合を表し、Rは、存在する場合、水素又はヒドロキシル基であり、Rは、例えば、アルキル又はシクロアルキル基であり、Rは、例えば、水素又はアルキルである。この一般構造の特に好ましい化合物は、以下の構造を有するセラメクチンである。
【0037】
【化3】

【0038】
これらの化合物は、当分野で公知であり、例えばEP667054に記載されている。他の特に好ましい化合物は、以下の構造を有するエマメクチン又はこの化合物の塩である。
【0039】
【化4】

【0040】
これらの化合物は、米国特許第4874749号又は第5288710号に記載されている。
【0041】
他の好ましい大環状ラクトンは、ラクトン環のC−13位が、ラチデクチンなどの、エステルに基づく部分で置換されているアベルメクチン誘導体である。
【0042】
【化5】

【0043】
成分A=R=CHCH
成分A=R=CH;又は
レピメクチン:
【0044】
【化6】

【0045】
R=CHCH(主成分)
R=CH(副成分)
【0046】
これらのエステルに基づく誘導体は、C−13位でエステル部分を切断することによりミルベマイシン型化合物に変換し、次いでC−13位で遊離−OHをグリコシル化することによりアベルメクチン型化合物に更に変換し得る中間化合物として見ることもできる。これらの変換は、当分野で周知の有機合成法を経て達成し得るものであり、例えば "Protecting Groups in Organic Synthesis (Third Edition)", by Green & Wuts, Wiley-Interscience, (1999)、"Preparative Carbohydrate Chemistry", edited by Stephen Hanessian, Marcel-Dekker, Inc., (1997)、"Monosaccharides - Their Chemistry and Their Roles in Natural Products", Collins & Ferrier, John Wiley & Sons, (1995)を参照されたい。
【0047】
例えば、ラチデクチン及びレピメクチンのエステル部分の切断と2,6−ジデオキシ−3−O−メチル−4−O−(2,4,6−トリデオキシ−3−O−メチル−4−メチルアミノ−α−L−リキソ−ヘキサピラノシル)−α−L−アラビノ−ヘキサピラノシドでのグリコシル化とにより、それぞれエマメクチンの同族体及び異性体となる。
【0048】
式(I)の化合物(A)の定義におけるアルキルラジカルは、一般に1〜6個の炭素原子を含む。R及びRを表す2価のアルキレンラジカルとR及びRが結合する窒素原子とにより形成される環は、一般に5、6又は7員環である。
【0049】
式(I)の化合物(A)の好ましい種類には、RがCNであり、Rがハロアルキルであり、RがNHであり、R11及びR12が、互いに独立して、ハロゲン原子であり、R13がハロアルキルであるような化合物が含まれる。Xが、C−R12であることは更に好ましい。本発明で特に非常に好ましい、式(I)の化合物は、1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾール又はフィプロニルである。
【0050】
より一般には、化合物(A)は、フェニルピラゾール及びN−アリールピラゾールなどのピラゾールであり、例えば、米国特許第5567429号、米国特許第5122530号、EP295117、及びEP846686A1(又は、1996年11月30日に出願され、1997年11月17日に出願されたUSSN309229と同等とも考えられるBanksのGB9625045)が参照される。
【0051】
式(I)の化合物は、特許出願WO87/3781、93/6089、及び94/21606若しくは欧州特許出願第295117号記載のプロセスの1つ若しくはその他、又は化学合成の専門家である当業者の能力内にある任意の他のプロセスに従って調製できる。本発明の製品を化学的に調製する場合、当業者は、とりわけ、「Chemical Abstracts」及びこの中で引用されている文献の内容全体を自在に扱えるとみなされる。
【0052】
本発明の製剤の投与は、時間が断続的であってもよく、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、3ヶ月毎、又は継続時間をよりいっそう長くしてもよい。各処置間の期間は、処置される寄生虫(複数も)、感染の程度、哺乳類又は鳥類の種類及びその居住環境などの因子に依存する。特定の状況に対する特定の投与期間を決定することは、専門家の能力水準内で十分できる。本発明は、動物が強烈な寄生虫の猛威に曝される環境内で寄生虫を永続的に駆除する方法であって、投与頻度が毎日よりずっと少ない方法を意図する。例えば、本発明による処置が、イヌ及びネコに対して毎月行われることが好ましい。
【0053】
スポットオン製剤は、医薬又は動物薬として許容可能な媒体中に活性成分を溶解することによって調製できる。或いは、スポットオン製剤は、治療薬の残留物を動物の体上に残すために、活性成分をカプセル封入することによって調製できる。これらの製剤は、処置される宿主動物種、感染の重症度及び種類、並びに宿主の体重に応じて、配合物中の治療薬の重量に対して変わるであろう。この化合物は、特に予防のために、公知の方法によって連続投与してもよい。一般に、1〜5日の期間、単回用量として又は分割用量で与えられる、体重1kg当たり約0.001〜約10mgの用量は十分であろうが、当然、これより高い用量又は低い用量の範囲が示される例があってもよく、こうしたことは、本発明の範囲内にある。特定の宿主及び寄生虫に対する特定の投与計画を決定することは、専門家の通常の能力内で十分できる。
【0054】
実質的に液状の担体中に、単回塗布、又は少数回繰り返される塗布を可能にする形で化合物(A)及び(B)を含有する単一製剤は、動物のごく局所的な領域上に、好ましくは動物の双肩間に投与することが好ましいであろう。意外にも、このような製剤が、標的の外部寄生虫と標的の内部寄生虫との双方に対して非常に効果的であることが見出された。
【0055】
特に直接局所投与する場合、誘導体(A)を約0.001〜約100mg/kg含有し(B)型の化合物を約0.1〜約2000μg/kg、より好ましくは1000μg/kg含有する用量を宿主に単回で投与する処置を行うことが好ましい。
【0056】
小型の鳥類及び動物に対する化合物(A)の量は、動物の体重に対して好ましくは約0.01mgより多く、特に好ましい方法では、約1〜約50mg/kgである。
【0057】
放出制御製剤を使用することが好ましい場合もある。しかしながら、フィプロニル及び化合物(B)の活性の持続性によって、従来の媒体を使用することが簡潔さのために好ましい場合もある。
【0058】
本発明は、存在する寄生虫とその老廃物及び排泄物とを除去することにより動物の毛皮及び皮膚を洗浄する方法も提供する。こうして処置した動物は、見栄え及び触感のより良い毛皮を表す。
【0059】
理論によって縛られることを望まないが、本発明のスポットオン製剤が、宿主の皮膚、毛皮、又は羽毛の天然脂中に溶解する用量により作用するものと考えている。そこから、治療薬(複数も)は、皮膚の脂腺を通じて宿主の体中に分配される。治療薬は、脂腺にも残存する。したがって、この腺は、治療薬を排出して濾胞に戻し、この薬剤を皮膚及び髪に再塗布できる、治療薬の天然の貯蔵所を与える。言い換えると、これにより、各塗布間の時間が長くなることに加え、宿主が雨、入浴などの理由で濡れた後、用量を再投与する必要が無くなる。更に、本発明の製剤は、身づくろいする動物において、動物が治療薬を経口摂取することにより、病気になるか又は経口投与される他の治療薬と相互作用する恐れのありそうな場合に、皮膚又は毛皮に直接付着されることのない更なる利点を有する。
【0060】
本発明は、病原性の影響を有する寄生虫の処置及び予防を意図する治療目的を有するような方法にも関する。
【0061】
別の好ましい実施形態では、これは、小型の哺乳類、特にイヌ及びネコのノミを駆除するための組成物であって、この組成物が、上記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物(A)及び少なくとも1つの内部外部寄生虫殺虫化合物(B)を、動物にとって許容可能な媒体中にノミ及び蠕虫に対する殺虫剤効果を有する量及び比率で含有することを特徴とする組成物を提供する。
【0062】
式(I)の化合物の好ましい種類は、上記で定義した種類である。
【0063】
本発明の特に非常に好ましい、式(I)の化合物は、1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾールである。
【0064】
小動物用の、(B)型の化合物の中で、イベルメクチン、セラメクチン、エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン及びミルベメクチンより形成される群から選択される化合物は、特に好ましい。
【0065】
一用量における有効量は、化合物(A)について、動物の体重1kg当たり、好ましくは約0.001〜約100mg、優先的には約0.1〜約100mgまでであり、特に好ましい方法では約1〜約50mgであり、動物の体内又は体上に非常に長期で放出する場合には、より多い量を与える。
【0066】
一用量における化合物(B)の有効量は、動物の体重1kgに対して、好ましくは約0.1μg〜約10mg、優先的には約1μg〜約10mgまでであり、特に好ましい方法では約5〜約200μgである。動物の体重に対して約0.1〜約10mg/kgの用量が特に好ましく、約0.5〜6mg/kgが特に最も好ましい。
【0067】
化合物(A)及び化合物(B)の重量比は、約5/1〜約10000/1であることが好ましい。
【0068】
本発明の製剤は、動物上、一般には双肩間の1箇所に間欠的な塗布をするための、濃縮液、懸濁液、マイクロエマルジョン、又はエマルジョン(スポットオン型溶液)の局所投与ができる。本発明の製剤が、哺乳類及び鳥類、特に家禽、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマに製剤を塗布する際に、寄生虫に対して特に活性であることが見出された。これらの製剤には、医薬又は動物薬として許容可能な担体媒体中に溶解し、結晶化阻害剤が場合により存在する、化合物A及び/又は化合物Bの有効量を含む組成物が含まれる。(A)の化合物は、約1〜約20%、好ましくは約5〜約15%の比率(容積に対する重量=W/Vとしてのパーセント)でこの製剤中に存在し得ることは有利である。この液状担体媒体は、医薬又は動物薬として許容可能な有機溶媒及び場合により有機補助溶媒を含む。
【0069】
特に好ましい実施形態は、式(I)の化合物及びエマメクチン又はこの塩を含むスポットオン製剤であり、フィプロニルとエマメクチンとを含むスポットオン製剤が、特に最も好ましい。式(I)の化合物及びエマメクチン又はこの塩を含むスポットオン配合物は、ノミ及びマダニに対して、式(I)の化合物より有意に大きな効力を経時的に示すことが見出された。
【0070】
医薬又は動物薬として許容可能な酸又は塩基性塩、適用できる場合、本発明のために提供される活性化合物の該酸又は塩基性塩も意図する。「酸」という用語は、医薬又は動物薬として許容可能な全ての無機又は有機酸を意図する。無機酸には、臭化水素酸及び塩化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸及び硝酸などの鉱酸が挙げられる。有機酸には、医薬又は動物薬として許容可能な全ての脂肪族、脂環族及び芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸並びに脂肪酸が挙げられる。好ましい酸は、ハロゲン若しくはヒドロキシル基によって置換されていてもよい、直鎖又は分枝型である飽和又は不飽和のC−C20脂肪族カルボン酸、或いはC−C12芳香族カルボン酸である。このような酸の例は、カルボン酸、ギ酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、バレリアン酸、グリコール酸及び乳酸などのα−ヒドロキシ酸、クロロ酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸とサリチル酸である。ジカルボン酸の例には、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸及びマレイン酸が挙げられる。トリカルボン酸の例は、クエン酸である。脂肪酸には、4〜24個の炭素原子を有する、医薬又は動物薬として許容可能な全ての飽和又は不飽和、脂肪族又は芳香族カルボン酸が挙げられる。例には、酪酸、イソ酪酸、sec−酪酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びフェニルステアリン酸が挙げられる。他の酸には、グルコン酸、グリコヘプトン酸、及びラクトビオン酸が挙げられる。
【0071】
「塩基」という用語は、医薬又は動物薬として許容可能な全ての無機又は有機塩基を意図する。このような塩基には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウムの塩などのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられる。有機塩基には、通常のヒドロカルビルアミン塩及びヘテロシクリルアミン塩が挙げられ、例えば、モルホリン塩及びピペリジン塩が挙げられる。
【0072】
エマメクチンの好ましい塩には、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの酸無機塩と酒石酸塩及びリンゴ酸塩などの有機酸が挙げられる。特に好ましい塩は、次式の塩である。
【0073】
【化7】

【0074】
(式中、
Rは、水素又はメチルであり、
Xは、
a)安息香酸、
b)
i)ハロゲン(Cl、Br、F、I)
ii)ヒドロキシル
iii)カルボキシル
iv)(C−C)アルキル、及び
v)(C−C)アルコキシ
からなる群から選択される、1、2、若しくは3個の置換基で置換されている安息香酸
c)ベンゼンスルホン酸、
d)クエン酸、
e)リン酸、
f)酒石酸、又は
g)マレイン酸
である)。
【0075】
液状担体媒体用の有機溶媒は、約10〜約35、好ましくは約20〜約30の比誘電率を有することが好ましく、組成物全体中のこの溶媒の含量は、組成物の100%に対するその残りを示すことが好ましいであろう。これらのパラメータに基づいて適切な溶媒を選択することは、専門家の能力水準内で十分できる。
【0076】
液状担体媒体用の有機補助溶媒は、約100℃未満、好ましくは約80℃未満の沸点を有することが好ましく、約10〜約40、好ましくは約20〜約30の比誘電率を有することになり、この補助溶媒は、溶媒に対して約1/15〜約1/2の重量比(W/W)に従って、組成物中に存在し得ることが有利であり、この補助溶媒は揮発性であり、乾燥促進剤として特に作用し、水及び/又は溶媒と混和する。この場合もやはり、これらのパラメータに基づいて適切な溶媒を選択することは、専門家の能力水準内で十分できる。
【0077】
液状担体用の有機溶媒には、処方技術で公知の、通常許容可能な有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、例えば、Remington Pharmaceutical Science, 16th Edition (1986)で見つけることができる。これらの溶媒には、例えば、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン又はジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)が挙げられる。これらの溶媒には、所望の相の性質に従って、C−C10カプリル/カプリントリグリセリド(Estasan又はMiglyol 812)、オレイン酸又はプロピレングリコールなどの様々な賦形剤を補充し得る。
【0078】
液状担体は、マイクロエマルジョンも含んでもよい。マイクロエマルジョンは、液状担体媒体としても好適である。マイクロエマルジョンは、水相、油相、界面活性剤及び補助界面活性剤を含む四成分系である。これらは、半透明且つ等方性の液体である。
【0079】
マイクロエマルジョンは、油相中の水相微小液滴又は逆に水相中の油相微小液滴の安定分散液からなる。これらの微小液滴のサイズは、200nm未満(エマルジョンの場合1000〜100000nm)である。この界面の膜は、界面張力を下げることによりマイクロエマルジョンが自発的に形成される界面活性(SA)分子と補助界面活性(Co−SA)分子との交互形成体からなる。
【0080】
油相は、鉱物油若しくは植物油、不飽和ポリグリコシル化グリセリド又はトリグリセリド、或いはこのような化合物の混合物から特に形成できる。油相は、好ましくはトリグリセリド、より好ましくは中鎖トリグリセリド、例えばC−C10カプリル/カプリントリグリセリドを含む。油相は、マイクロエマルジョンのv/vで、特定すれば約2〜約15%、より特定すれば約7〜約10%、好ましくは約8〜約9%で表されることになろう。
【0081】
水相には、例えば、水又はプロピレングリコール、グリコールエーテル、ポリエチレングリコール若しくはグリセロールなどのグリコール誘導体が挙げられる。プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジプロピレングリコールモノエチルエーテルは、特に好ましい。一般には、水相は、マイクロエマルジョン中v/vで約1〜約4%の比率を表すであろう。
【0082】
マイクロエマルジョン用の界面活性剤には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリグリコール化C−C10グリセリド又はポリグリセリル−6ジオレートが挙げられる。これらの界面活性剤以外に、補助界面活性剤には、エタノール及びプロパノールなどの短鎖アルコールが挙げられる。
【0083】
幾つかの化合物は、上記で論じた三成分、即ち、水相、界面活性剤及び補助界面活性剤に共通している。しかしながら、同じ製剤の各成分について様々な化合物を使用することは、専門家の能力水準内で十分できる。
【0084】
界面活性剤に対する補助界面活性剤の比は、約1/7〜約1/2であることが好ましいであろう。マイクロエマルジョン中の、界面活性剤のv/vは約25〜約75%であり補助界面活性剤のv/vは約10〜約55%であることが好ましいであろう。
【0085】
更に、補助溶媒も、処方技術の専門家に周知である。好ましい補助溶媒は、乾燥促進剤である補助溶媒であり、例えば、無水エタノール、無水イソプロパノール(2−プロパノール)又は無水メタノールが挙げられる。
【0086】
結晶化阻害剤は、約1〜約20%、好ましくは約5〜約15%の比率(w/v)で特に存在し得る。この阻害剤は、液状担体中に式(I)の化合物10%(w/v)及び阻害剤10%を含む溶液0.3mlを、20℃でガラススライド上に付着させ、24時間放置させておく試験に対応することが好ましい。次いで、このスライドを肉眼で観察する。許容可能な阻害剤は、添加すると結晶が殆ど又は全く無くなる、特に10個未満、好ましくは0個の結晶となる阻害剤である。
【0087】
これは好ましくないが、製剤は、場合により水を含んでもよく、特に0〜約30%の比率(容積対容積v/v)、特に0〜約5%の比率で水を含んでもよい。
【0088】
この製剤は、空気中での酸化を抑制することを意図する抗酸化剤も含んでもよく、この薬剤は、約0.005〜約1%(w/v)、好ましくは約0.01〜約0.05%の比率で特に存在し得る。
【0089】
本発明において使用し得る結晶化阻害剤には、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール若しくはソルビタンのポリオキシエチレン化エステル、レシチン若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウム、又はメタクリレート及びそれ以外のアクリレートなどのアクリル系誘導体、
ステアリン酸アルカリ塩、特にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、又はステアリン酸アンモニウムなどのアニオン界面活性剤、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸トリエタノールアミン、アビエチン酸ナトリウム、アルキル硫酸塩、特にラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム若しくはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、又は脂肪酸、特にやし油由来の脂肪酸、
Rラジカルが、同じか又は異なるヒドロキシル化されていてもよい炭化水素ラジカルであり、Yが、ハロゲン化物、硫酸塩、スルホン酸塩のアニオンなどの強酸のアニオンである、式NR’R’’R’’’R’’’’Yの水溶性第四級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤であって、臭化セチルトリメチルアンモニウムが、使用し得るカチオン界面活性剤の1つであるカチオン界面活性剤、
Rラジカルが、同じか又は異なるヒドロキシル化されていてもよい炭化水素ラジカルである、式NR’R’’R’’’のアミン塩であって、オクタデシルアミン塩酸塩が、使用し得るカチオン界面活性剤の1つであるアミン塩、
ポリオキシエチレン化されていてもよいソルビタンのエステル、特にポリソルベート80、若しくはポリオキシエチレン化アルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコールステアレート、ひまし油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、
ベタインの置換ラウリル化合物などの両性界面活性剤、
或いは、好ましくは上記に挙げた化合物の少なくとも2種の混合物
が挙げられる。
【0090】
特に好ましい実施形態では、結晶化阻害剤をペアで使用することになろう。このようなペアには、例えば、高分子型の膜形成剤と界面活性剤との組合せが挙げられる。これらの試剤は、結晶化阻害剤として上述の化合物から特に選択されることになろう。
【0091】
特に好ましい高分子型の膜形成剤には、
様々なグレードのポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコール、及び
酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー
が挙げられる。
【0092】
特に好ましい界面活性剤には、非イオン界面活性剤から作製されるもの、好ましくはポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、及び特に様々なグレードのポリソルベート、例えばポリソルベート80が挙げられる。
【0093】
膜形成剤及び界面活性剤は、他で述べる結晶化阻害剤の全量の制限内において、類似又は同等量で特に組み込んでもよい。
【0094】
こうして構成されるペアは、毛皮上に結晶化しない、及び被毛の美的外観、即ち、活性物質が高濃度であるにも関わらずべたつくか又はべたつき感が現れる傾向がない外観を維持するという目標を顕著に確保する。
【0095】
特に好ましい抗酸化剤は、当分野で慣用のものであり、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ亜硫酸水素ナトリウム、没食子酸プロピル、チオ硫酸ナトリウム又はこれらの2種を超えない混合物が挙げられる。
【0096】
上記で論じた製剤補助剤は、この分野の専門家に周知であり、市販で又は公知の技術を通じて得ることができる。これらの濃縮組成物は、上記で定義した構成成分を単純に混合することによって一般に調製されるが、開始時点で活性物質を主溶媒中に混合し、次いで他の成分又は補助剤を添加することが有利である。
【0097】
塗布する容積は、動物の体重に応じて、ネコの場合、約0.3〜約1ml程度、好ましくは約0.5ml程度であり、イヌの場合、約0.3〜約3ml程度となり得る。
【0098】
特に好ましい化合物(A)は、式(II)の誘導体である。
【0099】
【化8】

【0100】
本発明による製剤は、哺乳類、特にイヌ及びネコなどの小型哺乳類の、ノミなどの寄生虫の処置において長期間極めて有効である。本発明の製剤は、他の寄生虫、特にマダニ、ダニ、カ及びハエに対する有効度を示す。更に、本発明の製剤は、イヌ糸状虫の寄生虫及び/又はイヌ糸状虫及び/又は回虫などの内部寄生虫の処置においても長期間極めて有効である。本発明の製剤は、外部寄生虫及び内部寄生虫による感染を治療する場合に相乗作用を更に示す。フィラリア及びイヌ糸状虫及び回虫の処置用の特に好ましい相乗製剤は、フィプロニル及びミルベメクチン、フィプロニル及びセラメクチン、フィプロニル及びエマメクチン、フィプロニル及びラチデクチン、又はフィプロニル及びレピメクチンを含む。
【0101】
本発明は、上記で定義した組成物の調製の際に、上記で定義した、式(I)の少なくとも1つの化合物及びB型の少なくとも1つの化合物の使用も提供する。
【0102】
本発明の他の利点及び特徴は、非限定の実施例として示される以下の記述を読めば明らかになろう。
[実施例]
【実施例1】
【0103】
間欠塗布(スポットオン)用の濃厚溶液の調製
溶液の容積に対する重量として、フィプロニル10%及びイベルメクチン0.25%を含有する、皮膚塗布用の濃厚溶液を調製する。投与容積は、動物体重10kg当たり1mlである。この組成物は、重量/容積として、以下の通りである:
フィプロニル 10%
イベルメクチン 0.25%
ポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF) 5%
ポリソルベート80(Tween 80) 5%
エタノール 10%
トランスクトール 100%まで適量。
【0104】
実施例1a:間欠塗布(スポットオン)用の濃厚溶液の調製
溶液の容積に対する重量として、フィプロニル10%及びラチデクチン0.25%を含有する、皮膚塗布用の濃厚溶液を調製し得る。投与容積は、動物体重10kg当たり1mlとし得る。この組成は、重量/容積として、以下の通りとなり得る:
フィプロニル 10%
ラチデクチン 0.25%
ポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF) 5%
ポリソルベート80(Tween 80) 5%
エタノール 10%
トランスクトール 100%まで適量。
【0105】
実施例1b:間欠塗布(スポットオン)用の濃厚溶液の調製
溶液の容積に対する重量として、フィプロニル10%及びレピメクチン0.25%を含有する、皮膚塗布用の濃厚溶液を調製し得る。投与容積は、動物体重10kg当たり1mlとし得る。この組成は、重量/容積として、以下の通りとなり得る:
フィプロニル 10%
レピメクチン 0.25%
ポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF) 5%
ポリソルベート80(Tween 80) 5%
エタノール 10%
トランスクトール 100%まで適量。
【実施例2】
【0106】
間欠塗布(スポットオン)用の濃厚マイクロエマルジョンの調製
使用する成分は、以下の通りである:
油相:C−C10カプリル/カプリントリグリセリド(Estasan)
水相:プロピレングリコール
界面活性剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)
補助界面活性剤:エタノール又は2−プロパノール
結晶化阻害剤のペア:ポリソルベート80(Tween80)及びポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF)
【0107】
組成物の例は、以下を含有する:
フィプロニル 10g
イベルメクチン 0.5g
Estasan 8.5ml
Transcutol 60ml
エタノール 15ml
Kollidon 17PF 5g
Tween 80 5g
プロピレングリコール 100mlまで適量。
【0108】
記載の配合では、Transcutolは、界面活性剤(SA)として作用し、エタノール又は2−プロパノールは、補助界面活性剤(Co−SA)として作用する。これらにより、プロピレングリコールと不混和性である中鎖トリグリセリド(Estasan)の混合物から、透明の等方性マイクロエマルジョンを得ることが可能になる。一旦、マイクロエマルジョンが形成されたら、結晶化阻害剤のペアを添加することになろう。
【0109】
実施例2a:間欠塗布(スポットオン)用の濃厚マイクロエマルジョンの調製
使用し得る成分は、以下の通りである:
油相:C−C10カプリル/カプリントリグリセリド(Estasan)
水相:プロピレングリコール
界面活性剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)
補助界面活性剤:エタノール又は2−プロパノール
結晶化阻害剤のペア:ポリソルベート80(Tween80)及びポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF)
【0110】
組成物の例は、以下を含有し得る:
フィプロニル 10g
ラチデクチン 0.5g
Estasan 8.5ml
Transcutol 60ml
エタノール 15ml
Kollidon 17PF 5g
Tween 80 5g
プロピレングリコール 100mlまで適量。
【0111】
記載の配合では、Transcutolは、界面活性剤(SA)として作用し、エタノール又は2−プロパノールは、補助界面活性剤(Co−SA)として作用する。これらにより、プロピレングリコールと不混和性である中鎖トリグリセリド(Estasan)の混合物から、透明の等方性マイクロエマルジョンを得ることが可能になる。一旦、マイクロエマルジョンが形成されたら、結晶化阻害剤のペアを添加することになろう。
【0112】
実施例2b:間欠塗布(スポットオン)用の濃厚マイクロエマルジョンの調製
使用し得る成分は、以下の通りである:
油相:C−C10カプリル/カプリントリグリセリド(Estasan)
水相:プロピレングリコール
界面活性剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)
補助界面活性剤:エタノール又は2−プロパノール
結晶化阻害剤のペア:ポリソルベート80(Tween80)及びポリビニルピロリドン(Kollidon 17 PF)
【0113】
組成物の例は、以下を含有し得る:
フィプロニル 10g
レピメクチン 0.5g
Estasan 8.5ml
Transcutol 60ml
エタノール 15ml
Kollidon 17PF 5g
Tween 80 5g
プロピレングリコール 100mlまで適量。
【0114】
記載の配合では、Transcutolは、界面活性剤(SA)として作用し、エタノール又は2−プロパノールは、補助界面活性剤(Co−SA)として作用する。これらにより、プロピレングリコールと不混和性である中鎖トリグリセリド(Estasan)の混合物から、透明の等方性マイクロエマルジョンを得ることが可能になる。一旦、マイクロエマルジョンが形成されたら、結晶化阻害剤のペアを添加することになろう。
【実施例3】
【0115】
重さ12kgのイヌ5匹が、実施例2又は3による組成物1ml、即ちフィプロニル100mg及びイベルメクチン2.5mgの塗布を、双肩間の局所的皮膚塗布により受ける。この動物の血漿について行われた測定の示すところによれば、1000〜1500、〜2000pg/mlのイベルメクチンのピークが生成する。
【0116】
イヌの処置が毎月又は隔月であっても、ノミ、マダニ及びイヌ糸条虫の寄生虫を完全に駆除できる。
【実施例4】
【0117】
Cardomec(登録商標)を用量6μg・kg−1でイヌに経口投与した後の血漿中イベルメクチンの動態
本実施例は、イヌ糸状虫に100%有効であることが知られているイベルメクチン用量6μg・kg−1のCardomec(登録商標)を経口投与後、イヌでのイベルメクチンの薬物動態を実証し、更なる開発のための基準経路を得るために行った。
【0118】
5匹のオスのビーグル犬に、イベルメクチン約6μg.kg−1の用量、即ち、イヌ1匹当たり68μgのCardomec(登録商標)1錠を与えた。この動物を、投与前及び処置後6時間まで絶食させて食物との起こり得る相互作用を防止した。
【0119】
血液サンプルは、投与後28日まで時折採集した。イヌの血漿中のイベルメクチンの定量は、誘導体化後の蛍光検出を使用するHPLCによって行った。定量限界は、100pg.ml−1であった。
【0120】
イベルメクチンは、イヌに応じて、1日又は7日までイヌの血漿中で定量できた(表1)。このプロファイルは、非常に変動し、1つ又は2つのピークを有する一次吸収及び二次指数関数的な減衰を示した。
【0121】
薬物動態パラメータは、非常に変動した(表2及び表3)。Cmaxは、422〜2964pg.ml−1、tmaxは、3〜12h、AUCは、9164〜90938pg.h.ml−1の範囲にあった。最大Cmaxと最小Cmaxの比は7であり、AUC(0−t)及びAUCの場合、その差は更にもっと著しく、それぞれ17及び10の比であった。他のパラメータと比較すると、終末半減期(t1/2)は、動物間で比較的類似し(CV<40%)、26.0〜64.5h、即ち1.08日〜2.69日の範囲であった。終末半減期の平均値は、40.1h(1.67d)であった。
【0122】
本研究から決定した平均の薬物動態パラメータは、文献と十分一致し、文献データの2〜4時間と比較して、tmaxの場合3hであり、文献の1.6〜1.8dに対してはt1/2=1.67dである。Cmax及びAUCのみが、文献平均値2000pg.ml−1超及び107318pg.h.ml−1に対してそれぞれ1362pg.ml−1及び44604pg.h.ml−1の値で低かった。本実験は、絶食動物について行った。幾つかの従来品では、イヌの食物の状態を特定せず、イベルメクチンの食物との起こり得る相互作用について言及した。イヌを絶食させなかったこと、また、食物がイベルメクチンの吸収と積極的に相互作用すること、即ちイベルメクチンの吸収速度及び吸収度を高めることにより、Cmax及びAUCを本実験の場合より高くすることは可能である。
【0123】
本研究から二種類の結論が導き出される。動物間のばらつきは、重要な特徴であり、終末半減期は、比較的一定(約2日)である。
【実施例5】
【0124】
本発明による対マダニ局所用組成物のマダニ対する効力
本発明による以下の組成物を調製した:
発明組成物
成分 %成分(w/v)
フィプロニル 10%
エマメクチン 0.5%
エタノール 10%
ポリビドン 5%
Tween 80 5%
BHT 0.01%
BHA 0.02%
ジエチレングリコール 適量で100%。
モノメチルエーテル
【0125】
以下の比較の局所用組成物を調製した:
比較例1:
プラセボ
成分 %成分(w/v)
エタノール 10%
ポリビドン 5%
Tween 80 5%
BHT 0.01%
BHA 0.02%
ジエチレングリコール 適量で100%
モノメチルエーテル
【0126】
比較例2:
フロントライン
成分 %成分(w/v)
フィプロニル 10%
エタノール 10%
ポリビドン 5%
Tween 80 5%
BHT 0.01%
BHA 0.02%
ジエチレングリコール 適量で100%
モノメチルエーテル
【0127】
比較例3:
エマメクチン
成分 %成分(w/v)
エマメクチン 0.5%
エタノール 10%
ポリビドン 5%
Tween 80 5%
BHT 0.01%
BHA 0.02%
ジエチレングリコール 適量で100%。
モノメチルエーテル
【0128】
本発明の組成物及び比較組成物を、イヌに付いたノミ及びマダニの感染に対するこれらの効果について試験した。ビーグル犬を、約50匹のクリイロマダニ(マダニ)で、14、20、27、34、41、48及び62日間、約100匹のネコノミで、15、28、42及び70日間感染させた。ノミは、各々感染後24時間で数えて除去し、マダニは、感染48時間後に数え、全てのイヌから除去した。各群はイヌを4匹とした。体重に対する製剤投与速度1.0ml/10kgの局所製剤を、頭蓋底と肩甲骨との間の首の正中線に塗布した。表Iに、プラセボと比較した各生物学的実施例について、ノミ及びマダニの数に対する平均効率を報告する。
【0129】
【表1】

【0130】
表Iに示すデータは、本発明の組成物が、ノミ及びマダニに対してフィプロニルか又はエマメクチン単独より極めて大きい効力を示すことを実証する。図1は、マダニに対する、本発明の組成物とフィプロニルを含む組成物との比較を示す。図2は、ノミに対する、本発明の組成物とフィプロニルを含む組成物との比較を示す。
【0131】
本発明は、以下の番号付きパラグラフによって更に説明される。
1.(1)
(A)次式の少なくとも1種の化合物の有効量。
【0132】
【化9】

【0133】
(式中、
は、ハロゲン、CN又はメチルであり;
は、−S(O)、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル、ハロアルキルであり;
は、アルキル又はハロアルキルであり;
は、水素、ハロゲン原子、NR、−S(O)、−C(O)R、−C(O)OR、アルキル、ハロアルキル、OR又は−N=C(R)(R10)を表し;
及びRは、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、−C(O)アルキル、S(O)CF又はアルコキシカルボニルを表し、或いはR及びRは、一緒になって、1つ又は2つの二価のヘテロ原子により介在されてもよい二価のアルキレンラジカルを形成し;
は、アルキル又はハロアルキルを表し;
は、水素、アルキル又はハロアルキルを表し;
は、水素又はアルキルを表し;
10は、置換されてもよいアリール基又は置換されてもよいヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立して、水素、ハロゲン、CN又はNOを表し;
13は、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、S(O)CF又はSF基を表し;
m、n、q及びrは、互いに独立して、0、1又は2に等しい整数を表し;
Xは、3価の窒素原子、又はその炭素原子の他の3つの原子価が芳香環の一部を形成するC−R12ラジカルを表し;
但し、Rがメチルの場合、Rはハロアルキルであり、RはNHであり、R11はClであり、R13はCFであり、XはNであるか、又はRは、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イルであり、RはClであり、R11はClであり、R13はCFであり、XはC−Clである)と、
(B)エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン、セラメクチン、これらの混合物及びこれらの塩/複数の塩からなる群から選択される、化合物の有効量
とを含む組成物、
(2)医薬又は動物薬として許容可能な液状担体媒体、並びに
(3)場合により、結晶化阻害剤
を含む、哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を治療又は予防するスポットオン製剤。
2.
(1)
(A)式(I)の化合物の有効量(式中、
は、ハロゲン、CN又はメチルであり;
は、−S(O)、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル又はハロアルキルであり;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素、ハロゲン、−NR、−S(O)、−C(O)R、−C(O)OR、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OR又は−N=C(R)(R10)を表し;
及びRは、独立に、水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)CF、C−Cアシル又はC−Cアルコキシカルボニルラジカルを表し;或いはR及びRは、酸素又は硫黄からなる群から選択される1つ又は2つの二価のヘテロ原子により介在されてもよい二価のアルキレンラジカルを一緒になって形成してもよく;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルを表し;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルを表し;
は、水素又はC−Cアルキルラジカルを表し;
10は、置換基が、ハロゲン、OH、−O−(C−C)アルキル、−S−(C−C)アルキル、シアノ又はC−Cアルキルからなる群から選択される、置換されてもよいフェニル基又は置換されてもよいヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立して、水素、ハロゲン、CN又はNOを表し;
13は、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、S(O)Cl又はSF基を表す)、並びに/或いは
(B)エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン又はこれらの塩の有効量
を含む組成物、
(2)溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液状ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルフタレート、及びこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物からなる群から選択され、補助溶媒が、無水エタノール、無水イソプロパノール、又は無水メタノールからなる群から選択される、溶媒及び補助溶媒を含む液状担体媒体、並びに
(3)アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、アミン塩、両性界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、レシチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びアクリル系誘導体、又はこれらの結晶化阻害剤の混合物からなる群から選択される結晶化阻害剤
を含む、パラグラフ1に記載のスポットオン製剤。
3.R及びRを表す2価のアルキレンラジカルとR及びRが結合する窒素原子とにより形成される環が、5、6、又は7員を有する、パラグラフ1又は2のいずれかに記載のスポットオン製剤。
4.RがCNであり、RがC−Cハロアルキルであり、RがNHであり、R11及びR12が、互いに独立して、水素又はハロゲンであり、R13がC−Cハロアルキルである、パラグラフ1〜3のいずれかに記載のスポットオン製剤。
5.組合せが、
(1)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾール、及び
(2)エマメクチン、ラチデクチン又はレピメクチン
を含む、パラグラフ1〜4のいずれかに記載のスポットオン製剤。
6.液状担体媒体がマイクロエマルジョンを含む、パラグラフ1〜5のいずれかに記載のスポットオン製剤。
7.液状担体媒体が更に希釈剤を含む、パラグラフ1〜6のいずれかに記載のスポットオン製剤。
8.その組合せが、哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.001〜約100mg/kgの式(I)の化合物、及び哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.1mg〜約10mg/kgのエマメクチン、ラチデクチン若しくはレピメクチン又はこれらの塩を含む、パラグラフ1〜7のいずれかに記載のスポットオン製剤。
9.その組合せが、哺乳類又は鳥類の体重に対して約1〜約50mg/kgの式(I)の化合物、及び哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.1μg〜約1mg/kgのエマメクチン、ラチデクチン若しくはレピメクチン又はこれらの塩を含む、パラグラフ1〜8のいずれかに記載のスポットオン製剤。
10.その組合せが、哺乳類又は鳥類の体重に対して約5〜約500μg/kgのエマメクチン、ラチデクチン若しくはレピメクチン又はこれらの塩を含む、パラグラフ9に記載のスポットオン製剤。
11.哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.5mg/kgのエマメクチン、ラチデクチン又はレピメクチンを含む、パラグラフ5に記載のスポットオン製剤。
12.その組合せが、大環状ラクトンに対する式(I)の化合物の重量比が約5/1〜約10000/1であることを含む、パラグラフ1〜11のいずれかに記載のスポットオン製剤。
13.抗酸化剤を更に含む、パラグラフ1〜12のいずれかに記載のスポットオン製剤。
14.抗酸化剤が、約0.005〜約1%(W/V)存在し、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される、パラグラフ13に記載のスポットオン製剤。
15.水が、0〜約30%の比率(V/V)で存在する、パラグラフ1〜14のいずれかに記載のスポットオン製剤。
16.結晶化阻害剤が、約1〜約20%の量(W/V)で存在する、パラグラフ1〜15のいずれかに記載のスポットオン製剤。
17.結晶化阻害剤を含む、パラグラフ1に記載のスポットオン製剤。
18.アニオン界面活性剤は、ステアリン酸アルカリ塩、アビエチン酸ナトリウム、アルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及び脂肪酸であり、
カチオン界面活性剤は、Rラジカルが、独立に、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素ラジカルであり、Yが、強酸のアニオンである、式NR’R’’R’’’R’’’’Yの水溶性第四級アンモニウム塩であり、
アミン塩は、Rラジカルが、独立に、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素ラジカルである、NR’R’’R’’’のアミン塩であり、
非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン化されていてもよいソルビタンエステル、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ひまし油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマーであり、
両性界面活性剤は、ラウリル置換ベタイン化合物である、
パラグラフ1〜17のいずれかに記載のスポットオン製剤。
19.結晶化阻害剤が、ポリマー膜形成剤及び界面活性剤を含む結晶化阻害剤体系である、パラグラフ18に記載のスポットオン製剤。
20.ポリマー膜形成剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、又は酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとのコポリマーであり、界面活性剤が非イオン界面活性剤である、パラグラフ19に記載のスポットオン製剤。
21.結晶化阻害剤体系が、ポリビニルピロリドンとモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンとの混合物である、パラグラフ19に記載のスポットオン製剤。
22.パラグラフ1〜21のいずれかに記載の有効量のスポットオン組成物を哺乳類、魚類、又は鳥類に塗布することを含む、前記哺乳類、魚類、又は鳥類の寄生虫感染の治療又は寄生虫感染の予防方法。
23.寄生虫が外部寄生虫である、パラグラフ22に記載の方法。
24.寄生虫が内部寄生虫である、パラグラフ22に記載の方法。
25.哺乳類がネコ、イヌ、ウマ、ウシ又はヒツジである、パラグラフ22に記載の方法。
26.寄生虫がノミ又はマダニである、パラグラフ25に記載の方法。
27.哺乳類がヒトである、パラグラフ22に記載の方法。
28.哺乳類がウシであり、寄生虫がオウシマダニである、パラグラフ22に記載の方法。
29.哺乳類がヒツジであり、寄生虫がシラミ及びホホアカクロバエである、パラグラフ22に記載の方法。
30.外部寄生虫が、ダニ、カ、ハエ、又は前述の組合せである、パラグラフ23、25、27、28、又は29のいずれかに記載の方法。
31.パラグラフ5に記載の有効量のスポットオン製剤を哺乳類又は鳥類に塗布することを含む、前記哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を治療又は予防する方法。
32.隔月で投与する、パラグラフ22〜30のいずれかに記載の方法。
33.3ヶ月毎に投与する、パラグラフ22〜30のいずれかに記載の方法。
34.毎月投与する、パラグラフ22〜30のいずれかに記載の方法。
35.隔月で投与する、パラグラフ31に記載の方法。
36.3ヶ月毎に投与する、パラグラフ31に記載の方法。
37.毎月投与する、パラグラフ31に記載の方法。
38.フィプロニル、エマメクチン又はこれらの塩、動物に局所的な皮膚塗布をし、吸収させるための媒体、及びその結果生じる殺寄生虫剤の血漿中濃度を含む、動物の寄生虫を駆除するためのスポットオン製剤であって、この媒体が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びエタノールを含有し、結晶化阻害剤が、ポリビドン及びポリソルベート80、場合により少なくとも1つの抗酸化剤とであるスポットオン製剤。
39.抗酸化剤が存在し、これがBHTとBHAとの混合物である、パラグラフ38に記載のスポットオン製剤。
40.パラグラフ38又は39のいずれかに記載の、殺寄生虫有効量のスポットオン製剤を哺乳類に局所投与することを含む、動物の寄生虫を駆除する方法。
41.哺乳類がネコ又はイヌであり、寄生虫がノミ又はマダニである、パラグラフ40に記載の方法。
42.パラグラフ38又は39のいずれかに記載の、殺寄生虫有効量のスポットオン製剤を哺乳類の限定領域に局所塗布することを含む、前記哺乳類において殺寄生虫剤の検出可能な血漿中濃度を得る方法。
43.動物薬として媒体中に、少なくとも1つの化合物(A)の殺寄生虫有効量と少なくとも1つの化合物(B)の殺寄生虫有効量とを含んだスポットオン組成物を、毎月を超えない頻度で、ネコ又はイヌの双肩間に、局所的な皮膚塗布をすることを含む、ネコ又はイヌの寄生虫を駆除する方法であって、
化合物(A)が、式(I)の内部外部寄生虫殺虫剤であり、
【0134】
【化10】

【0135】
(式中、
は、CNであり;
は、S(O)であり;
は、ハロアルキルであり;
は、NHを表し;
11は、ハロゲン原子を表し;
13は、ハロアルキルを表し;
nは、0、1又は2に等しい整数を表し;
Xは、C−R12ラジカルを表し;
12は、ハロゲン原子を表す)
化合物(B)が、エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン又はこれらの塩である殺内外部寄生虫剤であり、
媒体が、動物の双肩間に、局所的な皮膚塗布をするためのもので、有機溶媒、有機補助溶媒及び/又は結晶化阻害剤を含有し、
結晶化阻害剤が、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル及びこれらの混合物からなる群から選択され、
有機溶媒が、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、又はジエチルグリコールモノエチルエーテルを含み、前記溶媒が、C−C10カプリル/カプリントリグリセリド、オレイン酸、又はプロピレングリコールによって補われていてもよく、
有機補助溶媒が、エタノール、イソプロパノール、及びメタノールからなる群から選択され、
そのため、ネコ又はイヌの体内又は体上での化合物(A)の放出が持続し、ネコ又はイヌにおける化合物(B)の血漿濃度が測定可能である方法。
44.スポットオン組成物中の化合物(A)が、1−[4−CF−2,6−Cl−フェニル]−3−シアノ−4−[CF−SO]−5−NHピラゾールである、パラグラフ43に記載の方法。
45.化合物(A)が、動物の体重に対し、0.1〜100mg/kgの量でスポットオン組成物中に存在し、化合物(B)が、動物の体重に対し、1μg〜1mg/kgの量でスポットオン組成物中に存在する、パラグラフ43又は44のいずれかに記載の方法。
46.スポットオン組成物中の結晶化阻害剤が、結晶化阻害剤のペアである、パラグラフ43〜45のいずれかに記載の方法。
47.スポットオン組成物中の有機溶媒が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、スポットオン組成物中の有機補助溶媒が、エタノール又はイソプロパノールである、パラグラフ43〜46のいずれかに記載の方法。
48.スポットオン組成物中における補助溶媒/溶媒の重量比が1/15〜1/2である、パラグラフ43〜47のいずれかに記載の方法。
49.スポットオン組成物が、水を30%未満の量(V/V)で更に含む、パラグラフ43〜48のいずれかに記載の方法。
50.スポットオン組成物が水を含有しない、パラグラフ43〜48のいずれかに記載の方法。
51.スポットオン組成物が、抗酸化剤を更に含む、パラグラフ43〜50のいずれかに記載の方法。
52.抗酸化剤が、スポットオン組成物中に0.005〜1%の量(W/V)で存在し、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される、パラグラフ51に記載の方法。
【0136】
本発明の上記説明は、例示であって限定するものではないことを意図する。本明細書中に記載の実施形態における様々な変更又は修正は、当業者に起こり得る。これらは、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく為し得る。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】イヌにおけるマダニに対して、フィプロニルを含む局所用組成物の局所塗布の効力を、フィプロニル及びエマメクチンを含む局所塗布の効力と比較する図である。
【図2】イヌにおけるノミに対して、フィプロニルを含む局所用組成物の局所塗布の効力を、フィプロニル及びエマメクチンを含む局所塗布の効力と比較する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)
(A)次式
【化1】


の少なくとも1種の化合物の有効量
(式中、
は、ハロゲン、CN又はメチルであり;
は、−S(O)、4,5−ジシアノイミダゾール−2−イル又はハロアルキルであり;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルであり;
は、水素、ハロゲン、−NR、−S(O)、−C(O)R、C(O)OR、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OR又は−N=C(R)(R10)を表し;
及びRは、独立に、水素、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、−C(O)C−Cアルキル、−S(O)CF、C−Cアシル又はC−Cアルコキシカルボニルラジカルを表し;或いはR及びRは、酸素又は硫黄からなる群から選択される1つ又は2つの二価のヘテロ原子により介在されてもよい二価のアルキレンラジカルを一緒になって形成してもよく;
は、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルを表し;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cハロアルキルを表し;
は、水素又はC−Cアルキルラジカルを表し;
10は、置換基が、ハロゲン、OH、−O−(C−C)アルキル、−S−(C−C)アルキル、シアノ又はC−Cアルキルからなる群から選択される、置換されてもよいフェニル基又は置換されてもよいヘテロアリール基を表し;
11及びR12は、互いに独立して、水素、ハロゲン、CN又はNOを表し;
13は、ハロゲン、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、S(O)Cl若しくはSF基を表す)、及び/又は
(B)エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン若しくはこれらの塩の有効量
を含む組成物、
(2)溶媒が、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液状ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチルフタレート、及びこれらの溶媒の少なくとも2種の混合物からなる群から選択され、補助溶媒が、無水エタノール、無水イソプロパノール、又は無水メタノールからなる群から選択される、溶媒及び補助溶媒を含む、医薬又は動物薬として許容可能な液状担体媒体、
(3)アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、アミン塩、両性界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル、レシチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びアクリル系誘導体、又はこれらの結晶化阻害剤の混合物からなる群から選択される結晶化阻害剤
を含む、哺乳類又は鳥類の寄生虫感染を治療又は予防するスポットオン製剤。
【請求項2】
がCNであり、RがC−Cハロアルキルであり、RがNHであり、R11及びR12が、互いに独立して、水素又はハロゲンであり、R13がC−Cハロアルキルである、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項3】
組合せが、
(1)1−[2,6−Cl−4−CFフェニル]−3−CN−4−[SO−CF]−5−NHピラゾール、及び
(2)エマメクチン、ラチデクチン又はレピメクチン
を含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項4】
液状担体媒体が、マイクロエマルジョンを含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項5】
液状担体媒体が、希釈剤を更に含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項6】
組合せが、哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.001〜約100mg/kgの式(I)の化合物、及び哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.1mg〜約10mg/kgのエマメクチン、ラチデクチン若しくはレピメクチン又はこれらの塩を含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項7】
組合せが、哺乳類又は鳥類の体重に対して約1〜約50mg/kgの式(I)の化合物、及び哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.1μg〜約1mg/kgのエマメクチン又はその塩を含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項8】
組合せが、哺乳類又は鳥類の体重に対して約5〜約500μg/kgのエマメクチン又はその塩を含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項9】
哺乳類又は鳥類の体重に対して約0.5mg/kgのエマメクチン、ラチデクチン又はレピメクチンを含む、請求項6に記載のスポットオン製剤。
【請求項10】
組合せにおける、エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン又はそれらの塩に対する式(I)の化合物の重量比が約5/1〜約10000/1である、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項11】
約0.005〜約1%(W/V)で存在し、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される抗酸化剤を更に含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項12】
0〜約30%の比率(V/V)で存在する水を更に含む、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項13】
結晶化阻害剤が、約1〜約20%の量(W/V)で存在し、且つ、前記結晶化阻害剤は、ポリマー膜形成剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、又は酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとのコポリマーであり、界面活性剤が非イオン界面活性剤である、前記ポリマー膜形成剤及び前記界面活性剤を含む結晶化阻害剤体系である、請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項14】
アニオン界面活性剤は、ステアリン酸アルカリ塩、アビエチン酸ナトリウム、アルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及び脂肪酸であり、
カチオン界面活性剤は、Rラジカルが、独立に、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素ラジカルであり、Yが、強酸のアニオンである、式NR’R’’R’’’R’’’’Yの水溶性第四級アンモニウム塩であり、
アミン塩は、Rラジカルが、独立に、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素ラジカルである、NR’R’’R’’’のアミン塩であり、
非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン化されていてもよいソルビタンエステル、ポリオキシエチレン化アルキルエーテル、ポリエチレングリコールステアレート、ひまし油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマーであり、
両性界面活性剤は、ラウリル置換ベタイン化合物である、
請求項1に記載のスポットオン製剤。
【請求項15】
請求項1に記載のスポットオン組成物を、月一度を超えない頻度で、ネコ又はイヌの双肩間に、局所的な皮膚塗布をすることを含む、ネコ又はイヌの寄生虫を駆除する方法であって、
化合物(A)が、式(I)
【化2】


(式中、
は、CNであり;
は、S(O)であり;
は、ハロアルキルであり;
は、NHを表し;
11は、ハロゲン原子を表し;
13は、ハロアルキルを表し;
nは、0、1又は2に等しい整数を表し;
Xは、C−R12ラジカルを表し;
12は、ハロゲン原子を表す)
であり、
化合物(B)が、エマメクチン、ラチデクチン、レピメクチン又はこれらの塩であり、
医薬又は動物薬として許容可能な液状担体媒体が、動物の双肩間に、局所的な皮膚塗布をするためのものであり、その媒体中
有機溶媒が、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、又はジエチルグリコールモノエチルエーテルを含み、前記溶媒が、C−C10カプリル/カプリントリグリセリド、オレイン酸、又はプロピレングリコールによって補われていてもよく、
有機補助溶媒が、エタノール、イソプロパノール、及びメタノールからなる群から選択され、
結晶化阻害剤が、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー、ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル及びこれらの混合物からなる群から選択され、
そのため、ネコ又はイヌの体内又は体上での化合物(A)の放出が持続し、ネコ又はイヌにおける化合物(B)の血漿濃度が測定可能である方法。
【請求項16】
スポットオン組成物中の化合物(A)が、1−[4−CF−2,6−Clフェニル]−3−シアノ−4−[CF−SO]−5−NHピラゾールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化合物(A)が、動物の体重に対し、0.1〜100mg/kgの量でスポットオン組成物中に存在し、化合物(B)が、動物の体重に対し、1μg〜1mg/kgの量でスポットオン組成物中に存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
スポットオン組成物中の結晶化阻害剤が、結晶化阻害剤のペアである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
スポットオン組成物中の有機溶媒が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、スポットオン組成物中の有機補助溶媒が、エタノール又はイソプロパノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
スポットオン組成物中における補助溶媒/溶媒の重量比(W/W)が1/15〜1/2である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
スポットオン組成物が、水を30%未満の量(V/V)で更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
スポットオン組成物が水を含有しない、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
スポットオン組成物が、抗酸化剤を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
抗酸化剤が、スポットオン組成物中に0.005〜1%の量(W/V)で存在し、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−540660(P2008−540660A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512393(P2008−512393)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/018657
【国際公開番号】WO2007/018659
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】