説明

密封装置

【課題】低速回転の際に生じやすい鳴き音だけでなく、高速回転の際の摺動音をも抑制することができる密封装置を提供する。
【解決手段】相手部材36のシール面36Aに摺動可能に接触する摺接面23を形成したシールリップ18を備えている密封装置10において、摺接面23に、摺動方向に間隔をあけて複数の突条30を形成し、この突条30を、摺動方向に対して垂直に延びるとともに、その摺動方向に垂直な方向の長さが摺動方向の幅よりも大きくなるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオイルシール等の密封装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、オイルポンプのハウジングと回転軸との間等に設けられるオイルシールが開示されている。このオイルシールは、芯金部材に弾性部材を固着したもので、弾性部材の内周部にはシールリップ及びダストリップが形成されている。シールリップには、互いに反対向きに傾斜する油側傾斜面と大気側傾斜面とが形成され、この大気側傾斜面が、主として回転軸の外周面に接触する摺接面となっている。
【0003】
大気側傾斜面は、油側傾斜面との境界から軸方向に離れるにしたがい、回転軸との接触面圧が低くなる。かかる部分で潤滑不足が生じると、スティックスリップ現象に起因して鳴き音が発生し易くなる。このような鳴き音は、回転軸の起動時等、低速回転域で生じやすくなっている。
【0004】
一方、特許文献2には、オイルシールに関連する技術として、転がり軸受用のシール部材が開示されており、このシール部材は、転がり軸受の内輪に摺接する摺接面に微細な凹凸を形成し、この凹凸の谷の部分に油を保持することによって、上記鳴き音の発生を防止するものとなっている。
【0005】
【特許文献1】実公平7−46838号公報
【特許文献2】特開2005−273854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の技術では、低速回転域で生じ易い鳴き音を防止することはできるが、高速回転域に発生しやすい摺動音を防止できないことが判明した。さらに、高速回転では、摺接面に凹凸を形成していない一般的なシール部材と比較すると、かえって摺動音が大きくなるという問題が生じた。これは、微細な凸部がシール面上を摺動することで微小な振動を繰り返すためと考えられる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、低速回転の際に生じやすい鳴き音だけでなく、高速回転の際に生じやすい摺動音をも抑制することができる密封装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、相手部材のシール面に摺動可能に接触する摺接面を内周に備えた環状のシールリップを有し、前記シール面と前記摺接面との接触により流体を密封する密封装置において、
前記摺接面に、摺動方向に間隔をあけて複数の突条が形成され、この突条は、摺動方向に対して垂直に延びるとともに、その摺動方向に垂直な方向の長さが摺動方向の幅よりも大きく形成されていることを特徴としている。
【0009】
ここで、突条が摺動方向に対して垂直であるということは、突条の幅方向の中心線が摺動方向に対して略垂直であることをいう。
これによれば、シールリップの摺接面が軸等の相手部材のシール面上を摺動すると、突条が摺動方向に倒れやすくなる。これによって、摩擦抵抗が小さくなり、特に、摺動速度が低い場合に、鳴き音の発生を防止することができる。また、突条が摺動方向に倒れやすくなることによって起動トルクが低減し、軸等を滑らかに回転させることができる。摺動速度が高い場合には、突条が倒れた状態から起立状態に戻り難くなり、微小振動が少なくなって摺動音の発生を抑制することができる。
【0010】
前記シールリップの内周面が、径方向内方へ向けて先細り形状に形成されるとともに、その先端縁を境として互いに反対方向に傾斜する流体側傾斜面と大気側傾斜面とを隣接して備え、この大気側傾斜面が前記摺接面を構成している場合、前記突条は、前記流体側傾斜面と前記大気側傾斜面との境界の前記先端縁から離れた位置に形成されていることが好ましい。これによって、突条の存在に起因して境界縁から流体が漏れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シール面に対して摺動面が低速で摺動した際に生じやすい鳴き音と、高速で摺動した際に生じやすい摺動音とを好適に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるオイルシール(密封装置)10の斜視図である。オイルシール10は環状に形成され、その外周部が、例えばオイルポンプのハウジング35等に固定され、内周部が回転軸36等の相手部材に摺接され、ハウジング35内に封入した潤滑油等を密封する。また、オイルシール10は、芯金部材11と弾性部材12とを加硫接着してなり、芯金部材11は、軸方向に平行な部分14と、垂直な部分15とによって断面L字形状に屈曲して形成されている。弾性部材12は、芯金部材11の平行部分14の外周面及び垂直部分15の軸方向一側面を覆うように接着されるとともに、径方向内側にシールリップ18及びダストリップ19を備えている。シールリップ18の外周面には、締め付け力を補助するための締め付けバネ13が設けられている。
【0013】
ダストリップ19は、回転軸36に向かって延び、回転軸36との間の粉塵の通過を阻止している。また、ダストリップ19は、シールリップ18から離れる方向へ向けて斜めに延びている。
シールリップ18は、芯金部材11の平行部分14の内周側に配置されるとともに、その外周面に締め付けバネ13を嵌合する凹溝18aを有し、内周面は、径方向内方に向けて先細り形状となっている。したがって、シールリップ18の内周面には、先細り形状の先端縁(境界縁)24を境として軸方向両側に、互いに反対方向側に傾斜する2つの傾斜面20,23が形成されている。
【0014】
ダストリップ19から離れて配置された一方の傾斜面20は、油保持側に配置された油側(流体側)傾斜面とされ、ダストリップ19側に配置された他方の傾斜面23は、大気側(空気側)傾斜面とされている。大気側傾斜面23は、主として回転軸36の外周面(シール面)36Aに摺接する摺接面を構成している。なお、シールリップ18は、回転軸36の外周面36Aに接触することによって径外方向に湾曲し、摺接面(大気側傾斜面)23の広い範囲で外周面36Aに接触するが、図1では、湾曲していない状態のシールリップ18を示している。
【0015】
シールリップ18の摺接面(大気側傾斜面)23には、周方向(摺動方向;回転方向)Xに対して垂直に延びる多数の突条30が周方向に等間隔で形成されている。この突条30は、軸方向の長さ(周方向に垂直な方向の長さ)Lが周方向の幅Wよりも大きく形成されている。図2は、図1のII−II矢視断面図であり、突条30は、周方向の幅Wが、例えば200μm以下とされ、摺接面23からの突出高さHが、例えば5〜50μmとされる。突条30の周方向の幅Wは、突条30の軸方向の長さ全域で略同一の寸法となっているとともに、その幅方向の中心線が周方向に対して垂直となっている。
【0016】
突条30は、その頂面30a全体が回転軸36の外周面36Aに接触している。また、突条30は、先端縁24近傍には形成されておらず、先端縁24近傍では直接摺接面23が外周面36Aに接触している。
回転軸36に対する摺接面23の接触圧は、先端縁24に近いほど高く、離れるほど低くなる。また、回転軸36の外周面36Aとの間の潤滑状態も、先端縁24(油側)に近いほど良好で、先端縁24から離れるほど潤滑不足になりやすい。したがって、先端縁24から離れた部分ほど、スティックスリップ現象に起因する鳴き音が生じやすくなる。
【0017】
この点において、本実施形態は、シールリップ18の摺接面23に突条30を設け、この突条30の周方向の幅Wを軸方向の長さLよりも小さく形成しているので、突条30は、回転軸36の回転により、図3に示すように、周方向Xに倒れ(傾き)易くなる。そのため、回転起動時等の低速回転域(例えば100〜200min−1)では、摩擦係数の速度依存性が小さくなり(回転速度に対する摩擦係数の負勾配が小さくなり)、摩擦係数が小さくなるとともに、スティックスリップ現象による突条30の自励振動が発生し難くなっている。これにより、鳴き音の発生を抑制することができる。また、回転起動時の摩擦係数が小さくなるので、起動トルクが低減され、滑らかに回転を開始することができる。
【0018】
また、突条30は、軸方向の長さLが周方向の幅Wよりも大きくなっているので、周方向に倒れた状態から起立状態に戻りにくくなっている。これは、シール面の粗さに対して、摺接面23の軸方向長さLの範囲では、突条30はいずれかの位置で必ず回転軸36の外周面36Aに接触していると考えられるからである。そのため、高速回転域(例えば、1500min−1)において、突条30が、倒れた姿勢と直立姿勢との間を行き来するような微小振動を行わなくなり、当該振動に起因する摺動音の発生が抑制される。
【0019】
さらに、突条30は、シールリップ18の先端縁24から若干大気側に離れた位置に形成されており、先端縁24近傍には存在していないので、先端縁24近傍と回転軸36とを密に接触させることができる。これにより、先端縁24と回転軸36との間からの油漏れを防止することができる。
【0020】
図4は、本発明の第2実施形態にかかるオイルシール10の斜視図である。本実施形態では、シールリップ18の大気側傾斜面23に、先端縁24から大気側傾斜面23側へ、先端縁24に対して角度θをもって傾斜して延びるヘリックスリブ38を周方向に間隔をあけて多数設けたものである。さらに、ヘリックスリブ38は突条30と同数形成され、突条30に連設されている。ヘリックスリブ38の断面形状は山形形状であり、いわゆるポンプ作用によってオイルシール10外へ漏れ出た油を油側へ戻すことができるものである。
【0021】
ヘリックスリブ38に関する技術は従来から周知(例えば、上記特許文献1参照)であるが、本実施形態では、突条30が設けられていない先端縁24の近傍のみにヘリックスリブ38を設けており、しかも、突条30に連設している。そのため、突条30及びヘリックスリブ38は、へ字状の屈曲した形態となっている。
【0022】
以上説明したような、本発明の第1,第2実施形態の効果を検証するため、鳴き音及び摺動音の発生に関する試験を行った。以下、試験の内容及び結果について説明する。
図5は、試験装置の概略図、図6は、試験片の正面図、図7は、図6のVII部における部分斜視図である。図5において、試験装置40は、ベース40A上にモータ41を支持し、可動台46をモータ41に対して近接離反可能に設けている。モータ41の出力軸には、水平に配置された試験軸42が装着されている。可動台46には、ロードセル44を介して装着台47が設けられ、この装着台47に、試験軸42の先端面と対向するように試験片45が装着される。
【0023】
試験では、可動台46をモータ41側に移動することによって試験片45を所定の力で試験軸42に押し当て、両者45,42の摺接により発生する音をニードルマイクロホン43によって測定した。なお、試験軸42は、SUJ2(軸受鋼)により形成し、その先端面の中心線平均粗さRaを0.04μmとした。
【0024】
図6に示すように、試験片45は、装着台47(図5)に取り付けられるベース51の表面に、平面視円環状の突部52を突出したものである。突部52は、外径φe1を10mmとし、内径φe2を6mmとし、高さfを2mmとした。そして、本発明に相当する試験片45と、比較例に係る試験片45とをそれぞれ作成した。表1に各試験片45についてまとめた。
【0025】
【表1】

【0026】
表1において、Aは比較例1であって、突部52の頂面を略平坦にしたものである。突部52の頂面の中心線平均粗さRaは、0.2μmとした。
Bは比較例2であって、図7(A)に示すように、突部52の頂面に微細な凹凸53を形成したものである。突部52の頂面の中心線平均粗さRaは、3.4μmとした。この試験片45は、サンドブラスト(粒度#20)により微細な凹凸面を形成した金型を用いて成形した。
Cは比較例3であって、図7(B)に示すように、突部52の頂面に円柱状突起54を形成したものである。この試験片45は、エッチングにより円柱状の凹みを形成した金型を用いて成形し、図7(B)の寸法aを100μmとし、寸法bを8μmとした。
【0027】
Dは本発明1であり、図7(C)に示すように、直方体形状の突条55(本発明の突条30(図1及び図4)に相当)を突部52の頂面に周方向に複数形成したものである。この試験片45は、エッチングにより直方体状の溝を形成した金型を用いて成型し、図7(C)の寸法cを95μmとし、寸法dを8μmとした。突条55は、寸法dの長さ方向全域で略一定の幅寸法cとなっているとともに、突条55の幅方向の中心線が、突部52(図6)の径方向と略一致している。
Eは本発明2であり、図7(C)の寸法c,d以外は、Dの本発明1と同様である。当該寸法cは260μm、寸法dは60μmであり、本発明1よりも突条55を大きく形成した。
また、本発明1,2では、隣接する突条55の相対角度(突部52の中心角)θを15°とした。
【0028】
その他の試験条件として、試験片45と試験軸42との間の接触面はドライ(無潤滑)状態とし、試験軸42の回転速度は100min−1(試験1)及び1500min−1(試験2)とした。試験片45と試験軸42との接触面にかかる垂直加重は1.5Nとした。
【0029】
試験1では、試験軸42を低速回転(100min−1)させて、鳴き音の発生を調べた。図8は、試験1における音圧レベル(Sound Level)をFFTパワースペクトルで表したグラフである。このグラフでは、A(比較例1)とD(本発明1)のみを示した。A(比較例1)では、9kHz付近で最大60dBを示し、その前後の周波数域でも高い音圧レベルとなっている。これに対して、D(本発明1)では、5.3kHz付近で最大30dB弱の音圧レベルとなるが、その他の周波数域では概ね20dB以下、特に10kHz以上の周波数域で約10dB以下となった。この結果から、本発明1では、低速回転域での鳴き音の発生が好適に抑制されていることがわかる。また、グラフには示していないが、B(比較例2)及びE(本発明2)の場合も、本発明1とほぼ同様に低い音圧レベルとなり、鳴き音の発生を抑制できた。C(比較例3)では、鳴き音の発生が確認された。
【0030】
試験2では、試験軸42を高速回転(1500min−1)させて、摺動音の発生を調べた。図9は、試験2における音圧レベルをFFTパワースペクトルで表したグラフである。9kHzまでの周波数域では、A〜C(比較例1〜3)、D,E(本発明1,2)とも、ほぼ同じ音圧レベルで推移している。9kHzを超える周波数域では、A(比較例1)がもっとも低い音圧レベルを示した。次いで、D(本発明1),E(本発明2),B(比較例2),C(比較例3)の順で音圧レベルが高くなった。
【0031】
以上の結果から、Aの比較例1は、高速回転域での摺動音は最も小さいが、低速回転域での鳴き音は大きくなる。Bの比較例2は、低速回転域での鳴き音は抑制できるものの、高速回転域での摺動音はやや大きくなり、Cの比較例3では、低速回転域の鳴き音と、高速回転域の摺動音との双方が大きくなっている。これに対して、D,Eの本発明1,2では、高速回転域において、Aの比較例1よりも音圧レベルが若干大きくなったが、低速回転域の鳴き音を比較すると、比較例1よりも大幅に低減されている。したがって、本発明1,2は、低速回転域での鳴き音と、高速回転域での摺動音とをバランスよく抑制できることがわかる。また、高速回転域の摺動音抑制に関しては、本発明2よりも本発明1の条件の方が優れていることがわかる。
【0032】
本実施形態は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、第1実施形態において、突条30は、大気側傾斜面23の軸方向の長さ全体にわたって形成することができる。この場合、突条30の回転軸36の外周面36Aに接触している部分では、摺動方向に垂直な方向の長さを摺動方向の幅よりも大きくすることで第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1,第2実施形態において、突条30は、大気側傾斜面23の回転軸36の外周面36Aに接触しない部分まで延伸してもよい。これらの場合も、突条30の回転軸36の外周面36Aに接触している部分では、摺動方向に垂直な方向の長さを摺動方向の幅よりも大きくすることで第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0033】
第2実施形態において、ヘリックスリブ38は、突条30とは周方向にずれた位置に形成することができ、また、突条30よりも多く又は少なく形成することもできる。上記実施形態では、シールリップを直接回転軸36に接触させているが、回転軸36側に設けた他の部材(スリンガー等)に接触させてもよい。また、本発明の密封装置は、ダストリップ19を備えていないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるオイルシールの断面斜視図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図であり、
【図3】突条が周方向に倒れた様子を示す図2に相当する断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるオイルシールの断面斜視図である。
【図5】試験装置の概略図である。
【図6】試験片の正面図である。
【図7】図6のVII部の部分斜視図である。
【図8】音圧レベルをFFTパワースペクトルで表したグラフである。
【図9】音圧レベルをFFTパワースペクトルで表したグラフである。
【符号の説明】
【0035】
10 オイルシール(密封装置)
18 シールリップ
20 油側傾斜面(流体側傾斜面)
23 大気側傾斜面(摺接面)
30 突条
36 回転軸
36A シール面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材のシール面に摺動可能に接触する摺接面を内周に備えた環状のシールリップを有し、前記シール面と前記摺接面との接触により流体を密封する密封装置において、
前記摺接面に、摺動方向に間隔をあけて複数の突条が形成され、この突条は、摺動方向に対して垂直に延びるとともに、その摺動方向に垂直な方向の長さが摺動方向の幅よりも大きく形成されていることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
前記シールリップの内周面が、径方向内方へ向けて先細り形状に形成されるとともに、その先端縁を境として互いに反対方向に傾斜する流体側傾斜面と大気側傾斜面とを隣接して備え、この大気側傾斜面が前記摺接面を構成しており、前記突条が、前記流体側傾斜面と前記大気側傾斜面との境界の前記先端縁から離れた位置に形成されている請求項1記載の密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−95754(P2008−95754A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275835(P2006−275835)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】