説明

密閉された燃料電池の積層体

【課題】基本セルを電気的に相互接続するためのシステムと干渉しない効果的な封止システムを備える燃料電池の積層体のタイプを提案する。
【解決手段】本発明は、インタコネクタを用いて交互に配置され、少なくとも2つの燃料ガスの供給管部(56)及び少なくとも2つの酸化ガスの供給管部(53)を当該積層体内に備える積層体で構成される燃料電池に関する。積層体の内側に配置された供給管部(53、56)それぞれのため、供給管部(53、56)それぞれを取り囲む単一の垂直封止部(52)が用いられ、ガスの放出が積層体の外表面全体にわたって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池、具体的には高温で動作するSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)タイプ、すなわち固体電解質型燃料電池の燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
SOFCタイプの燃料電池は、水素のような燃料である第1の反応性成分酸素のような酸化剤である第2の反応物と電気化学的に反応し、連続的な電流及び熱を作り出す。そのとき、動作温度は、500から1000℃の間を含む。このタイプの燃料電池のセルは、2つの多孔質で電子導電性の電極、すなわちアノード及びカソードで構成されており、電子絶縁性のイオン導電体である電解液により隔離されている。アノードは、一般にセラミックとニッケル−ジルコニアタイプの金属との複合材である「サーメット」として知られる構成要素を備える一方、カソードは、ドープランタンマンガナイトで構成されうる。電解液を構成する最も広く用いられている材料は、イットリアがドープされたジルコニアである。
【0003】
このようなタイプの燃料電池において、酸素は、カソードにおいて電子と反応して酸素イオンを形成し、酸素イオンは、電解液を通ってアノードまで移動する。アノードに注入された燃料(水素)は、酸素イオンと反応して水及び電子を形成し、電子は、外部電気回路を流れる間にアノードからカソードまで循環する。
【0004】
しかしながら、アノード、電解液及びカソードからなる燃料電池の基本セル(elementary cell)は、一般に1ボルトを越えない電位差を生ずる。より大きな電位差であって電気エネルギーにおける電力の変換を促進し、これにより燃料電池のダウンストリームを発生させる電位差を実現するため、いくつかのセルは、直列に接続されて積層体内でグループ化される。これにより、このようなセルの積層体は、「インタコネクタ」として知られる二極性ウエハにより隔離されている。そのため、このようなインタコネクタは、電子伝導体であり、隣接する2つのセルにおけるアノード及びカソード間に配置される。インタコネクタは、発生した電流を収集可能とし、ある場合においてガスを電極に分配可能とし、あるいは排出口において未使用の反応生成物及びガスを収集可能ともする。したがって、いくつかの基本セルの積層体により、燃料電池が構成可能となる。
【0005】
これら積層体の主な問題の1つは、封止である。実際には、このような積層体で構成される燃料電池を正確に動作させるため、分配位置及び基本セル位置の双方で反応物を完全に隔離する必要がある。高温、すなわち500から1000℃においてこの機能を果たせる材料の範囲は、このようなタイプの燃料セル(SOFC)を備える材料の多様性により課される制約のため、非常に制限されている。なる基本セルとこれらそれぞれのコネクタすなわちインタコネクタとの間で電気的接続が確保されなければならないことを考慮すると、ガスの隔離は、いっそう困難となる。
【0006】
現在、このタイプの燃料電池(SOFC)の要求に適合できる材料は、特にこの封止状態を考慮すると、わずかしかない。多くの特許は、酸化剤ガス及び燃料の分配のための独創的な解決法、すなわち積層体の汎用化を提案としているが、このような積層体で構成される燃料電池のための全体的な封止のための解決法を提案していない。
【0007】
例えば、特許文献1を従来例として引用することができ、これには封止のない構造について記載されているが、バッテリの周辺において燃焼する未使用のガスを回収できない。
【0008】
特許文献2は、多孔質電極の局所的な緻密化及び焼結前の特定領域の圧縮による基本セルの封止について記載している。この技術は、同様に効果的であるが、すべての起こりうる事態を解決できず、また、このような燃料電池を正確に働かせるために他の封止モードが必要となる。
【0009】
最後に、特許文献3は、雲母の封止を用いるシステムであって積層体の高温領域から離間し、酸化剤及び燃料ガスを積層体内に流入させるための機械的押圧部を用いることによって燃料及び酸化剤ガスの分配回路の封止を達成するためのシステムについて記載している。基本セルの位置における封止は、取り扱われないが、このようなタイプの燃料電池の動作中に一定の漏れが避けられないことを明白に述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第02/17419号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6051330号明細書
【特許文献3】米国特許第6045935号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、基本セルを電気的に相互接続(interconnect)するためのシステムと干渉しない効果的な封止システムを備える燃料電池の積層体のタイプを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するため、本発明の第1の主題は、インタコネクタと交互に配置される電極/電解液/電極タイプの基本セルの積層体により構成される固体電解質型燃料電池である。
【0013】
本発明によれば、積層体を囲む単一の密閉された垂直封止部が用いられる。これにより、基本セルそれぞれの内側における封止は、外側に関して達成される。さらに、システムの全体封止は単一の封止部を用いることで確実に行われ、その配置及びその構造により、ガス供給及びガス回収のネットワークの位置において、並びに積層体における異なるセル間における封止を同時に確実とすることを可能としている。また、電極の電気的接続部の間の導通状態は、積層体の構成要素の間に配置されたいずれの封止部によっても阻止されない。これは、本発明の重要な要素を構成する。
【0014】
この組立体を保護することを目的として、封止部の周囲に配置された閉込管部を用いることが好ましい。
【0015】
本発明の好ましい形態において、横流路穴部は、単一の封止部に配置されてもよい。注入及び排出穴部は、燃料及び酸化ガスの分配及び放出を達成するために閉込管部に配置されている。
【0016】
閉込管部の具体的な形態は、オープンとして知られる形状、すなわち巻貝(snail)形状セクションを構成し、垂直封止部は、周囲に沿う累進的な直径(progressive diameter)を有し、異なる直径で配置された閉込管部の2つの端部の重複範囲において径方向延長部を備える対応セクションを構成する。
【0017】
本発明の第2の主題は、電極/電解液/電極タイプの基本セルの積層体であって、基本セルが、インタコネクタと交互に配置され、少なくとも2つの燃料ガスの供給管部及び少なくとも2つの酸化ガスの供給管部を当該積層体内に備える積層体で構成される燃料電池である。
【0018】
本発明によれば、積層体の内側に配置される供給管部それぞれのために供給管部それぞれを取り囲む単一の垂直封止部が用いられ、ガスの放出が積層体の外表面全体にわたって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態における燃料電池のセクションを示す上面図であって、以下の図面に関する切断線が示された上面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における第1の正面断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における第2の角度の第2の正面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における第3の角度の第3の正面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における第4の角度の第4の正面断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の別の形態における横断面図である。
【図7】第2の実施形態を示す上面図であって、以下の図面に関する切断線が示された上面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における第1の正面断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における第2の正面断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における第3の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明及び他の技術的特徴は、本明細書を読むこと及びそれぞれ示されたいくつかの図面を参照することでより十分に理解されるだろう。
【0021】
図1は、本発明における燃料電池であって密閉閉込管部1内に積層体された基本セルの積層体で構成される燃料電池を示す平面図である。積層体は、実際には2つの端部のインタコネクタのうちの1つである密閉カソード拡散部(closing cathodic diffuser)3により閉じられている。密閉カソード拡散部3は、閉込管部1から垂直封止部2により隔離されている。実際には、上記封止部2は、積層体の外壁部と積層体の周囲に配置された閉込管部1との間に配置されている。実用上の観点では、封止部2は、例えば閉込管部1の内壁部に直接的に熱スパッタのような適切な方法により蒸着されるか、またはこれに代えて、封止部が自立構造を備えている(self-structuring)場合には、組立中において2つの構成要素間に配置されてもよい。
【0022】
この図1には、関係する図面と対応する数字が付された軸により、図2、図3、図4及び図5における異なる平面断面が示されている。図2の平面断面と比較すると、図3の平面断面は、第1の方面から20°だけ角度オフセットされている一方、図4に関する平面断面は、同じ方面から90°だけ角度オフセットされている。さらに、図5の平面断面は、他の方面から40°だけ角度オフセットされている。
【0023】
2つの供給流路11及び12の存在が破線により示されており、それぞれは、所定曲率の長さを有し、中心に向けられている。
【0024】
2つの燃料排出口15は、同様に破線で図4の平面における対角線上に示されている。同様に、2つの酸化ガス排出口17は、図5の平面における対角線上に示されている。
【0025】
これにより、図2は、第1の正面断面図によって、本発明における燃料セルの第1の実施形態を示している。3つの基本セルは、この積層体内に示されているが、このような基本セルの積層体が基本セルをいくつでも備えてもよいため、この数は固定ではない。基本セルそれぞれは、順に交互に配置された1つのカソード4、1つの電解液5及び1つのアノード6を少なくとも備えている。これら基本セルの形状は、シリンダ状またはプリズム状のセクションの平板セルの形状に限られず、三次元セルを想定してもよく、例えば、他の幾何形状と同様に、波形またはリブにより補強されたワッフル焼き器(waffle iron)であってもよい。
【0026】
これら3つの基本セル間には、インタコネクタ(または二極性ウエハ)7が挿入されている。密閉カソード拡散部3は、積層体をその上部で閉じており、同様に、アノード拡散支持部8は、積層体の下部にある。積層体は、組立体を囲む閉込管部1により、アノード拡散支持部8の下肩部19を除く高さ全体にわたってその位置で保持される。基本セルの積層体及びインタコネクタ7と閉込管部1との間には、単一の垂直封止部2があり、垂直封止部2は、閉込管部1及びアノード拡散支持部8の肩部19の間で垂直封止部2の残部に対して直交する下基部21により外周面の外側で積層体の上部に向けて開口する。
【0027】
インタコネクタ7それぞれは、アノード拡散支持部8及び密閉カソード拡散部3と同様に、酸化剤・燃料分配流路10を有する。2つの構成要素間における電子の移動を確実にするため、第1の基本セルにおけるアノード6は、アノード拡散支持部8のアノード電気接触部23上に配置されている。インタコネクタ7それぞれのカソード電気接触部22は、上記基本セルのカソード4と接触して配置されている。そのため、第2の基本セルは、後続のインタコネクタ7のアノード接触部23上に配置される。密閉カソード拡散部3のカソード電気接触部22は、積層体における最後の基本セルのカソード4上に配置されており、バッテリのカソードを構成する。
【0028】
図3は、図2と比較して径方向で別な位置における正面断面図によって、酸化剤及び気化剤(carburant)、すなわち燃料及び酸化ガスの流入を示している。この図3は、3つの構成要素、すなわちカソード3、電解液5及びアノード6を有する3つの基本セルと、2つのインタコネクタ7と、組立体を支持するアノード拡散支持部8及び上部の密閉カソード拡散部3とを示す。上記拡散部は、分配流路に開口する空気供給流路11を有する。同様に、アノード拡散支持部8は、分配流路9に開口する少なくとも1つの酸素供給流路12を有する。インタコネクタ7は、同様に、それぞれが分配流路10及び9に開口する供給流路11及び12を有する。
【0029】
これら異なる供給流路11及び12におけるガスの供給は、注入口13及び14のようないくつかの間隙穴部を用いて行われ、燃料・酸化剤ガス注入口それぞれは、閉込管部1の壁部に形成されている。同様に、垂直封止部は、同数の対応する間隙穴部40を有する。したがって、燃料は、供給注入口13に分配され、そしてアノード6の中心領域に注入されるために燃料供給流路12内を流れる。
【0030】
アノード6のレベルにおけるこの燃料の注入は、システムにおける温度均一化の理由により中心で行われるように示されているが、この注入は、他の場所で行われてもよい。アノード6と反対側に配置されたインタコネクタ7の面は、燃料分配流路9を構成する峡谷部(gorges)とアノード電気接触部23を構成する伸出部(outgrowths)とを備えて構成される。
したがって、積層体の電気的導通を確実にすると同時に、アノード6への燃料の分配が達成される。
これにより、燃料分配流路9は、内部接続されたネットワークであって均一な方式でアノード6の表面全体にわたって中心にある唯一の燃料注入ポイント24から燃料ガスを拡散するためのネットワークを形成する。
【0031】
燃料ガスの分配及びアノード表面におけるアノード電気接触部23の形状を単純化するため、注入ポイント24の数を増やすことができる。幾何パターン及び分配流路9の形状は、固定されておらず、具体的には螺旋、迷路模様(labyrinth)、パッド及び他の形状のような他のいずれの幾何形状を想定してもよい。同様の幾何形状は、第1の基本セルにおけるアノード6と対向するアノード拡散支持部8の面にあり、燃料分配流路9及びアノード電気接触部23の形態をなす。燃料は、いったん燃料分配流路9内に分配されると、そこで酸化されるアノード6内に行き渡る。これらアノード6は、酸化を促進するため、燃料に最大変換面(maximum exchange surface)をもたらすように多孔質となっている。
【0032】
この同じ図3は、同様に、基本セルに酸化剤ガスを供給するためのシステムを示している。そして、このような酸化剤ガスは、酸化剤ガス注入口14を介して分配され、そしてカソード4の中心領域に注入される酸化剤ガス供給流路11内を流れる。カソード4のレベルにおけるこの酸化剤ガスの注入は、システムにおける温度均一化の同一の理由のため中心で行われるように示されているが、この注入は、他の場所において行われてもよい。
【0033】
カソード4と対向配置されたインタコネクタ7の面は、アノード6と対向配置されたインタコネクタ7の面のイメージ、すなわちカソード電気接続部22と交互配置される酸化剤ガス分配流路10のネットワークである。同様の幾何形状は、密閉カソード拡散部3の面にあり、酸化剤ガス分配流路10及びカソード電気コネクタ22の形態をなす。燃料のためと同様に、酸化剤ガスは、供給流路11及び分配流路10の間における1またはいくつかの注入ポイント25により注入されてもよい。いったん分配流路10内に分配されると、これにより酸化剤ガスは、カソード4を突き抜け、そこで還元される。これらカソード4は、その還元を促進するため、酸化剤ガスに最大変換面をもたらすように多孔質となっている。
【0034】
機械加工及び組立の許容誤差と組立中の配置不良とにより妨げられないために、供給注入口13及び14の直径を供給流路11及び12の直径よりも大きく形成することは重要である。さらに、閉込管部1における供給注入口13及び14の軸と内側積層体の供給流路11及び12との間の高さ違いについて、ガスのための最小通路セクションを確保することが可能となる。実際には、そのような高さ違いは、燃料電池の異なる要素を構成する材料の温度膨張差が原因となる。同様に、反対側、すなわち供給注入口13及び14の直径を供給流路11及び12の直径よりも小さく穿孔することが可能となる。
【0035】
図4は、本発明の第1の実施形態における燃料排出・回収回路を示している。
【0036】
図3に関して上記のように導入された燃料の一部であってアノード6で反応しない燃料の一部は、分配流路9において循環する燃料の流動により排出される。これを達成するため、燃料分配流路9は、インタコネクタ7に位置付けられた1つの燃料排出端部16とカソード拡散部3に位置付けられた1つの燃料排出端部16とによりアノード6と接触した状態で終結されている。もちろん、垂直封止部2は、閉込管部1に形成された燃料排出口15と一致して穿孔されている。
【0037】
図5を参照すると、余分な酸化剤ガスの回収排出口は、前の段落に記載された燃料の回収と同様に構成されている。ここで、酸化剤ガス排出端部18は、酸化剤ガス分配流路10における1つの排出端部を構成し、これらは、カソード4に配置されている。これら分配流路それぞれは、インタコネクタ7にある1つの酸化剤ガス排出端部18と密閉カソード拡散部3にある追加の1つの酸化剤排出端部18とを有する。酸化剤ガス排出口17は、垂直封止部2において対応する穴部と同様に閉込管部1に形成されている。
【0038】
繰り返すが、機械加工及び組立の許容誤差と組立中の配置不良により妨げられないために、燃料排出端部16及び酸化剤排出端部18の直径よりも大きい直径を有する燃料排出口15(図4)及び酸化剤ガス排出口17を形成することは重要である。さらに、これにより、閉込管部1における供給注入口13及び14の軸と内側積層体の供給流路11及び12との間の高さ違いについて、ガスのための最小通路セクションを確保できる。このような高さ違いは、この積層体を構成する異なる材料の温度膨張によりもたらされる差異が原因となりうることを想起されるだろう。
【0039】
燃料のためと同様に、逆のこと、すなわちセクションを有するガス排出端部16及び18が閉込管部1に形成された排出口15及び17のセクションよりも大きくすることが想定されうる。これら図1、図2、図3及び図4において、それぞれのガスのための注入口及び排出口は、2つ示されているが、同時期に注入口及び排出口をいくつでも用いることができる。同様に、これらガスの単一の注入ポイントのみが複数のセルの位置において示されている。これらガスの流動の均一化のため、これら注入ポイントを増大させることが可能である。
【0040】
第1の実施形態の別の形態は、図6により上面図で示される。積層体のセクションは、非対称であり、閉込管部及び封止部のように「オープン」として知られる構造を有することがわかる。実際には、閉込管部1は、累進的な直径を有するセクション、すなわち巻貝形状(snail shape)であってこれら2つの端部37及び38のレベルにおいて自身を覆うセクションを備えている。同様に、垂直封止部32は、外側端部38に結合するために径方向延長部29により径方向で終結される1つの内側端部34を覆う1つの外側端部39を有する累進的な直径のセクションを有する。
【0041】
もちろん、インタコネクタ、密閉カソード拡散部、アノード拡散支持部及び電解液のような積層体にある部品及び要素の形状は、図6に示されているように、密閉カソード拡散部33のため、閉込管部31の内側壁部の形状と適合する形状を有する。大きな熱勾配を避けるため、カソード及びアノードは、円形を保つことが好ましい。さらに、図6に示す幾何形状は、決して限定されず、他の形状の閉込管部が想定されて良い。オープンの閉込管部の本質原理さえ守られていれば差し支えないのである。
【0042】
他の動作ポイントを考慮すると、この本質は、上述された構造と一致したままである。それにもかかわらず、ガスの注入及び排出導管が、膨張後にこれらガスの供給及び排出流路と対向配置されたままとすることを確実することが必要である。
【0043】
このような幾何形状の有利点は、軸方向の膨張に加えて径方向の膨張を可能とすることである。
【0044】
実際には、これにより管部は、動作温度において粘性を有する垂直封止部32という手段(intermediary)を介して、積層体上をスライドすることにより、積層体の局地的な直径へと自身を適合させることができる。閉込管部31の内側に配置されてインタコネクタ、セル、アノード拡散支持部及び密閉カソード拡散部を備える内側積層体36は、全方向に膨張できる。さらに、積層体の直径は、制御されてもよく、基本セル及びインタコネクタの組立が容易になる。封止は、クランプ効果によって高温において確実にされ、閉込管部31の周囲に配置された締付システム35という手段を介して組立体の膨張に応じて組立体に適合する。
【0045】
以下の図面は、第2の実施形態に関ており、積層体の周囲に配置された単一の閉込容器を用いていない。この構造は、2つの酸化剤ガス供給管部53及び2つの燃料供給管部56を有する。これら4つの供給管部53及び56それぞれは、単一の垂直封止部52により外表面が覆われている。この実施形態において、4つの供給管部が示されているが、この図は制限されない実施形態を構成している。
【0046】
この実施形態では、未使用のガスの回収がもたらされない。実際には、上記ガスは、積層体の周囲で燃焼する。したがって、積層体は、インタコネクタの積層体と同様の形態をなし、これら供給管部53及び56により横断される基礎セルの形態をなす。インタコネクタ、基本セル、密閉カソード拡散部及びアノード拡散支持部の間の電気的導通は、前の実施形態に示されるように、確実にされている。
【0047】
図8は、酸化ガスの流入のレベルにおける積層体の中心を通過する正面断面図である。供給管部が積層体の中心において積層体を横断しないことがわかるだろう。
【0048】
図9は、図7において符号53で示される酸化ガス供給管部を通過する他の正面断面図である。これらは、酸化ガス分配流路50内に開口する酸化ガス供給貫通孔54により酸化ガスを初期セルそれぞれの位置に供給する。上記流路は、相互接続されており、カソードの表面全体にわたって酸化ガスを均一に分配できる。そして、酸化ガスは、多孔質電極を突き抜けることができ、その内部で還元される。反応しなかった酸化ガスの一部は、酸化ガス排出ポイント50を介してこれらガスを搬送する流動により排出される。
【0049】
図10は、燃料供給管部56を示す類似の図であって、酸化ガス供給管部53と類似の方式で積層体を横断する図である。同様に、基本セルそれぞれの位置において、燃料供給貫通孔57が設けられ、燃料分配流路59内に開口している。上記流路は、酸化ガスがアノードの前面にわたって均一な方式で広がるために相互接続されている。そして、燃料は、多孔質である上記アノードを突き抜け、中で酸化されうる。反応しなかった燃料の一部は、燃料排出ポイント68を介して燃料ガスの流動により排出される。
【0050】
封止と電気的接触部との分離の本質は、これにより、このタイプの構造に保存される。
これにより、ガスの分離は、酸化ガス供給管部53及び燃料供給管部56を閉塞するようにするいくつかの垂直封止部52によって達成される。
【0051】
したがって、このような燃料電池の構造は、積層体の電気的導通の面と異なる面でバッテリの組立体における封止を達成する。そして、1つの寸法誤差は、他の寸法誤差と無関係であり、必要とする接触は、異なる方向において発生する。これにより、この構造は、特定の機械加工及び組立の許容誤差により妨害されなくすることができる。
【0052】
また、この構造は、第1の実施形態においてはすべての積層体のための単一の封止部で、第2の実施形態においては4つの封止部を用いて、基本セルの位置におけるガスの供給、回収及び分離の段階における燃料電池の封止できるという有利点を有する。
【0053】
このタイプの燃料電池は、動作温度において粘性を有するこれら垂直封止部を用いて、基本セル、インタコネクタ及び閉込管部内の密閉カソード拡散部をスライドすることによって組立体を軸方向に膨張させることが可能となるという有利点を有する。径方向の膨張は、これまたはこれらの垂直封止部の変形により幾何学的に吸収される。また、第2の実施形態は、積層体の要素における径方向の膨張を適応可能とする。
【0054】
第1の実施形態は、積層体を構成する異なる要素のために密閉チャンバを形成する閉込管部1に関して他の有利点を有する。これにより、発電機組立体においていくつかの積層体を直列及び/または並列接続で配置することができる。
【0055】
燃料電池のこの構造は、ガスを分配または回収するための比較的単純なシステムを有する。実際には、ガスそれぞれは、単一のポイントにより積層体内に導入され、積層体全体に対して2つのポイントにより排出される。この構造概念により、燃料電池の構成を安価にすることができる。いくつかの積層体の形状を想定してもよく、燃料セルの寸法についても同様である。最後に、この構造は、積層体の異なる構成要素の構成するために使用される材料の選択を制限しない。
【符号の説明】
【0056】
1,31 密閉閉込管部,閉込管部
2,32 垂直封止部,封止部
7 インタコネクタ
11 酸化剤ガス供給流路,空気供給流路,供給流路(排出穴部)
12 酸素供給流路,燃料供給流路,供給流路(排出穴部)
14 酸化剤ガス注入口(排出穴部)
15 燃料排出口,排出口(排出穴部)
17 酸化ガス排出口,酸化剤ガス排出口(排出穴部)
18 酸化剤ガス排出端部,酸化剤排出端部(排出穴部)
29 径方向延長縁部
37,38 外側端部,端部
40 間隙穴部(横流路穴部)
53 酸化剤ガス供給管部(供給管部)
56 燃料供給管部(供給管部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極/薄膜/電極タイプの基本セルの積層体であって、前記基本セルが、インタコネクタを用いて交互に配置され、少なくとも2つの燃料ガスの供給管部(56)及び少なくとも2つの酸化ガスの供給管部(53)を当該積層体内に備える積層体で構成される燃料電池であって、
前記積層体の内側に配置された前記供給管部(53、56)それぞれのため、前記供給管部(53、56)それぞれを取り囲む単一の垂直封止部(52)が用いられ、
ガスの放出が前記積層体の外表面全体にわたって行われることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−65571(P2013−65571A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268176(P2012−268176)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−535009(P2008−535009)の分割
【原出願日】平成18年10月9日(2006.10.9)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】