説明

密閉型電池の排気栓

【課題】所定の内圧で確実に作動する密閉型電池の排気栓を提供する。
【解決手段】密閉型電池100の電池ケース101に形成された排気孔102に装着され、前記電池ケースの内圧が所定圧力以上になると当該電池ケースの内圧を開放する排気栓1において、前記排気孔を封止するように設けられ、前記所定圧力が作用すると一部が割れ裂ける破裂板20と、前記排気孔の、前記破裂板より電池ケースの外側であって前記破裂板から所定距離Hをおいた位置に設けられ、前記排気孔を開放可能に形成された保護板40と、を備え、前記破裂板が割れ裂けるとその一部が前記保護板を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型電池の排気栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の密閉型電池は異常時に開口する安全弁を備えている。この種の密閉型電池として、電池容器の外部から安全弁の周囲に支持体を設け、この支持体上に安全弁を覆う安全弁保護部材を設け、安全弁が作動すると、安全弁保護部材が破壊するか、支持体が破壊するか、安全弁保護部材と支持体とが剥離するか、または支持体と電池容器とが剥離するかのいずれかが生じるように構成した密閉型電池が知られている(特許文献1)。そして、安全弁保護部材と電池容器との接合、安全弁保護板と支持体との接合、または支持体と電池容器との接合は、接着や溶着等、種々の方法を用いることができ、その中でも粘着材を介して行うことが好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−346762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の密閉型電池では、安全弁保護部材と電池容器との接合等を粘着剤によって行っているため、粘着剤の経時劣化により予定しない内圧で破壊・剥離が生じるおそれがある。逆に、粘着材の経時劣化を考慮して粘着性を予め高めておくと内圧だけでは十分に破壊・剥離しないおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、所定の内圧で確実に作動する密閉型電池の排気栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定圧力が作用すると一部が割れ裂ける破裂板を排気孔に設けるとともに、当該破裂板と所定距離をおいた排気孔の位置に保護板を設け、破裂板が割れ裂けるとその一部が保護板を押圧することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保護板には所定圧力のみならず破裂板の押圧力が作用するので、所定圧力にて確実に減圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態を適用した密閉型電池を示す斜視図である。
【図2】図1のII部を示す分解斜視図である。
【図3A】図1の排気栓を電池ケースの外部から見た斜視図である。
【図3B】図1の排気栓の保護板を取り外した状態を電池ケースの外部から見た斜視図である。
【図3C】図1の排気栓を電池ケースの内部から見た斜視図である。
【図4】図1の排気栓を示す平面図及び正面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る排気栓を示す平面図及び正面図である。
【図6A】図2の保護板及びリテーナを示す斜視図である。
【図6B】図6Aの保護板を示す斜視図及び部分拡大斜視図である。
【図7】図2の保護板の他の実施形態を示す斜視図である。
【図8A】図1の排気栓の作動状態を説明する断面図(その1)である。
【図8B】図1の排気栓の作動状態を説明する断面図(その2)である。
【図8C】図1の排気栓の作動状態を説明する断面図(その3)である。
【図8D】図1の排気栓の作動状態を説明する断面図(その4)である。
【図9A】図2の破裂板の他の実施形態を示す正面図である。
【図9B】図9Aの排気栓の作動状態を説明する断面図(その1)である。
【図9C】図9Aの排気栓の作動状態を説明する断面図(その2)である。
【図9D】図9Aの排気栓の作動状態を説明する断面図(その3)である。
【図9E】図9Aの排気栓の作動状態を説明する断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態に係る排気栓1を適用した密閉型電池100を示す斜視図であり、電池ケース101の内部にリチウムイオン電池などの二次電池が収納され、内部が密閉された状態とされている。電池ケース101のケース面には、何らかの原因によって電池ケース101の内部圧力が上昇したときに開弁して内圧を開放するための排気栓1が設けられている。以下、図示する電池ケース101に適用した排気栓1の実施形態にて本発明を説明するが、本発明の排気栓は電池ケース101にのみ限定される趣旨ではなく、その他の容器の減圧弁等として適用することができる。
【0010】
図2に示すように、本例の排気栓1は、電池ケース101のケース面に形成された排気孔102に装着される弁装置であって、排気栓1と電池ケース101との密閉性を確保するガスケット10と、排気孔102を封止するように設けられて内圧が所定圧力以上になるとその一部が破裂して開弁する破裂板20と、破裂板20を電池ケース101との間に挟んで固定するとともに保護板40を支持するリテーナ30と、異常時以外に破裂板20が誤って破損しないように保護するための保護板40と、を備える。図3Aは、排気栓1を電池ケース101の外部から見た斜視図、図3Bは、排気栓1の保護板40を取り外した状態を電池ケース101の外部から見た斜視図、図3Cは、排気栓1を電池ケース101の内部から見た斜視図である。
【0011】
ガスケット10、破裂板20及びリテーナ30は、電池ケース101の内部側から排気栓固定用ボルト103,103を挿通させることにより電池ケース101に固定され、保護板40は固定用ピン41をリテーナ30に差し込むことにより当該リテーナ30に固定される。排気栓1を排気栓固定用ボルト103,103により着脱可能に構成することで、異常時に作動した排気栓1を容易に交換することができる。
【0012】
なお、電池ケース101の内圧が上昇すると破裂板20の中央の一部は破裂するものの、排気栓固定用ボルト103によって固定されたガスケット10、破裂板20の外周及びリテーナ30は固定されたままとなる。これに対して、保護板40は、電池ケース101の内圧が上昇して破裂板20が破裂すると、当該破裂板20の一部に押圧されて固定用ピン41,41の一方又は両方による固定が外れることになる。詳細は後述する。
【0013】
破裂板20は、アルミニウムなどの各種金属や各種プラスチックなどにより構成され、周囲のフランジ21以外の中央部分22は、受圧面積を大きくして圧力感度を高めるために、電池ケース101の内側に向かって凸となるドーム形状に形成されている。また、図4の下図(正面図)に示すように、ドーム形状部分22の基部(フランジ21との境界)には、所定圧力が作用したときに割れ裂ける脆弱部23が、ほぼ全周にわたって形成されている。また、この脆弱部23の両端は、所定圧力が作用しても割れ裂けない固定端部24とされている。図4に点線で示す部分が脆弱部23であり、その両端をつなぐ実線で示す部分が固定端部24である。脆弱部23は部分的に板厚を薄肉化することで形成することができる。
【0014】
本例の破裂板20は、2つの固定用ピン41,41から最も離れた押圧部25で保護板40の被押圧部44を押圧するとともに、排気孔102の中心軸を対称中心とする押圧部25の対称位置に、所定圧力が作用しても割れ裂けない固定端部24を有する。また、この固定端部24は、排気孔102の中心軸を対称中心とする押圧部25の対称側であって、中心軸方向に沿った2つの固定用ピン41,41の対応位置を通る円より中心軸寄りの他端部に設けられている。
【0015】
破裂板20は、ドーム形状部分22が電池ケース101の内部に向かって凸となるように装着されているので、電池ケース101の内圧が所定圧力以上になるとドーム形状部分22が逆側に反って変形したのち固定端部24を残して脆弱部23が割れ裂け、図4の上図(平面図)に示すように固定端部24をヒンジにしてドーム形状部分22が電池ケース101の外部に向かって開き、その先端部が保護板40の裏面を押圧することになる。この脆弱部23の先端部を押圧部25と称し、当該押圧部25が押圧する保護板40の裏面部分を被押圧部44と称する。これにより、これまで密閉されていた電池ケース101内の空気等は、破裂板20のドーム形状部分22の周囲に形成された空隙を通過することになる。
【0016】
リテーナ30は、アルミニウムなどの各種金属又は各種プラスチックにより構成され、環状の台座形状に形成されている。リテーナ30は、ガスケット10及び破裂板20を電池ケース101との間に挟んで固定する機能と、保護板40を支持する機能と、破裂板20と保護板40との排気孔102の軸方向の距離を設定する機能と、を有する。なお、当該リテーナ30に代えて電池ケース101のケース面を環状に突出形成し、ここにガスケット10、破裂板20及び保護板40を装着してもよい。その意味で本発明の保護板40は、直接的又は間接的に排気孔102に対して取り付けられるものである。
【0017】
リテーナ30の、排気孔102の軸方向の寸法(高さ)は、破裂板20の脆弱部23が割れ裂けたときに当該脆弱部23の先端部の押圧部25が保護板40の裏面の被押圧部44を好適に押圧できる距離にほぼ等しく設定されている。この破裂板20の脆弱部23が割れ裂けたときに当該脆弱部23の押圧部25が保護板40の被押圧部44を好適に押圧できる距離は、図4の上図に示すHであり、同図に示すように破裂板20が一つの固定端部24で割れ裂ける構成である場合は、好ましくはドーム形状部分22の直径寸法以下である。また、後述する図9Aに示すように破裂板20が4つの固定端部24で4分割に割れ裂ける場合は、好ましくはドーム形状部分22の半径寸法以下である。
【0018】
この寸法が大き過ぎると脆弱部23の先端部の押圧部25が保護板40の裏面の被押圧部44に当接せず、押圧機能が発揮できない。またこの寸法が短過ぎると破裂板20と保護板40との間隔が狭くなり、保護板40を誤って押した場合に破裂板20を損傷させるおそれがあり、保護板40の保護機能が好適に発揮できない。
【0019】
リテーナ30の保護板40の取り付け面には、保護板40の厚さに相当する段差を有する段部31が形成され(図3B参照)、ここに保護板40が若干の隙間をもって嵌め込まれる。これにより、リテーナ30の外表面と保護板40の外表面とが面一又は保護板40の方が凹むように装着され、破裂板20側への異物の侵入を防止するとともに、悪戯や外部の物が当たって保護板40が脱落するのを防止することができる。
【0020】
図6A及び図6Bに示すように、保護板40は、アルミニウムなどの各種金属又は各種プラスチックにより構成され、リテーナ30の通孔を塞ぐことができる円形状に形成されている。また保護板40の周縁の対向位置には、外側に向かって開口するU字状の切欠部42(一対の突片42a,42bで構成される)が形成され、同図に示すようにリテーナ30の段部31に保護板40を嵌め、切欠部42を挟んで固定用ピン41をリテーナ30に形成された孔32に挿入することで保護板40はリテーナ30に取り付けられる。
【0021】
保護板40には、2つの切欠部42を結ぶ直線に直交する中心部に、外周縁の一端から他端まで延在する溝状の薄肉部43が形成されている。この薄肉部43は、電池ケース101の外側に溝が現れる形状とされている。本例の薄肉部43により、保護板40の裏面全体に所定圧力が作用するとともに、保護板40の被押圧部44に破裂板20の脆弱部23の押圧部25が当接して押圧されると、当該薄肉部43が外側に向かって凸となるように折れ曲がり、これによりU字状の切欠部42が固定用ピン41から抜け、保護板40とリテーナ30の間に隙間が形成され、或いはそのまま保護板40が脱落することになる。その結果、電池ケース101の内圧を開放することができる。
【0022】
なお、図6A,図6Bに示す切欠部42は、切欠部42を構成する一対の突片42a,42bを等しい長さにしたが、図7に示すように、切欠部42の一対の突片42a,42bのうち被押圧部44に近い方の突片42aを、他方の突片42bより短く形成してもよい。保護板40の被押圧部44が裏面から押圧されると、当該被押圧部44を起点として薄肉部43が折れ曲がるので、短い突片42aが固定用ピン41から外れ易くなり、その結果、保護板40とリテーナ30の間に隙間が形成され易くなり、或いは保護板40が脱落し易くなる。
【0023】
なお、保護板40の切欠部42は1つであってもよい。図5は保護板40の切欠部42を1つで構成した他例である。この例では保護板40は1つの切欠部42と1つの固定用ピン41にてリテーナ30に固定されている。そして、破裂板20の固定端部24を、排気孔102の軸方向に沿った切欠部42の対応位置から中心寄りに設定し、脆弱部23を固定端部24以外のドーム形状部分22の基部に設定する。すなわち、本例の破裂板20は、1つの固定用ピン41から最も離れた押圧部25で被押圧部44を押圧し、排気孔102の中心軸を対称中心とする押圧部25の対称側であって、排気孔102の中心軸方向に沿った固定用ピン41の対応位置より中心軸寄りに、固定端部24が設けられている。
【0024】
こうすることで、破裂板20に所定圧力が作用して脆弱部23が割れ裂けると、ドーム形状部分22の押圧部25が、切欠部42から最も離れた保護板40の裏面の被押圧部44を押圧することになるので、この例の場合は薄肉部43が外側に向かって凹となるように折れ曲がり、これによりU字状の切欠部42が固定用ピン41から抜け、保護板40とリテーナ30の間に隙間が形成され或いはそのまま保護板40が脱落することになる。その結果、電池ケース101の内圧を開放することができる。
【0025】
図4に示すように保護板40の切欠部42を複数(同図では2つ)にした場合と、図5に示すように保護板40の切欠部42を一つにした場合との両方に言えるのは、破裂板20は、保護板40の切欠部42から最も離れた位置を押圧部25として保護板40の被押圧部44を押圧するとともに、排気孔102の中心軸を対称中心とする押圧部25の対称位置に、破裂板20の固定端部24を設けることが好ましい。
【0026】
次に排気栓1の作用を説明する。
図8A〜図8Dは図4の下図のVIII-VIII線に沿う断面図であり、電池ケース101の内部圧力が定常状態から異常状態に変化し、これにともない排気栓1が作動する様子を示す。同図において上側が電池ケース101の内部、下側が電池ケース101の外部を示す。
【0027】
まず、図8Aは電池ケース101の内部圧力が定常状態である場合を示し、実線で示すように破裂板20のドーム形状部分22は電池ケース101の内部に向かって凸となっている。この状態から電池ケース101の内部圧力が上昇すると、点線で示すようにドーム形状部分22が受圧によって逆側に反って変形し、さらに図8Bに示すように、脆弱部23が割れ裂け、固定端部24を中心に脆弱部23の内側部分が傾動する。
【0028】
そして、図8Cに示すように脆弱部23の先端部の押圧部25が保護板40の裏面の被押圧部44を押圧し、これにより保護板40は薄肉部43を起点として折れ曲がり、一方又は両方の切欠部42が固定用ピン41から外れることになる。さらにドーム形状部分22が傾動して保護板40を押圧すると、図8Dに示すように保護板の切欠部42が固定用ピン41から完全に外れ、これにより保護板40が脱落する。この結果、電池ケース101の内圧を開放することができる。
【0029】
本発明の破裂板20の脆弱部23と固定端部24は、上述した実施形態のようにドーム形状部分22の基部に円形状に形成するほか、図9Aに示すように、脆弱部23をドーム形状部分22に十字状に形成し、ドーム形状部分22の基部全周を固定端部24としてもよい。このように構成した破裂板20の作用を説明する。
【0030】
図9B〜図8Eは図4の下図のVIII-VIII線に沿う断面図であり、電池ケース101の内部圧力が定常状態から異常状態に変化し、これにともない排気栓1が作動する様子を示す。同図において上側が電池ケース101の内部、下側が電池ケース101の外部を示す。
【0031】
まず、図9Bは電池ケース101の内部圧力が定常状態である場合を示し、実線で示すように破裂板20のドーム形状部分22は電池ケース101の内部に向かって凸となっている。この状態から電池ケース101の内部圧力が上昇すると、点線で示すようにドーム形状部分22が受圧によって逆側に反って変形し、さらに図9Cに示すように、ドーム形状部分22に十字状に形成された脆弱部23が中央から割れ裂け、ドーム形状部分22の基部の固定端部24を中心につぼみが開くようにドーム形状部分22が開く。
【0032】
そして、図9Dに示すように十字状に割れ裂けたドーム形状部分22の先端部の押圧部25が保護板40の裏面の被押圧部44を押圧し、これにより保護板40は薄肉部43を起点として折れ曲がり、一方又は両方の切欠部42が固定用ピン41から外れることになる。さらにドーム形状部分22が開いて保護板40を押圧すると、図9Eに示すように保護板の切欠部42が固定用ピン41から完全に外れ、これにより保護板40が脱落する。この結果、電池ケース101の内圧を開放することができる。
【0033】
以上のとおり、本例の排気栓1によれば、破裂板20の脆弱部23が割れ裂けたときにその先端部の押圧部25が保護板40の裏面の被押圧部44を確実に押圧する構造としたので、電池ケース101の内圧以外にその被押圧部44に応力集中が生じ、これにより保護板40の開放性を向上させることができる。つまり、保護板40の全体を開放するような面圧がかかる前に局所的に応力集中を生じさせるので、その後に面圧がかかった際に一気に保護板40を開放することができる。
【0034】
また本例によれば、保護板40の固定部(固定用ピン41及び切欠部42)と破裂板20の可動方向との位置関係を設定し、すなわち保護板40の切欠部42からできるだけ離れた位置に破裂板20の押圧部25と保護板40の被押圧部44を設定したので、応力集中する押圧力を最大にすることができ、保護板40の開放性をより高めることができる。
【0035】
特に破裂板20と保護板40との排気孔102の軸方向の距離を破裂板20の半径以下に設定することで、破裂板20が保護板40を押圧する際の応力集中をさらに向上させることができる。
【0036】
また、保護板40のリテーナ30への固定部分をU字状の切欠部42と固定用ピン41とで構成することで、これらの固定効果と保護板40の開放容易性との両立が可能となる。特にU字状の切欠部42を構成する一対の突片42a,42bのうち被押圧部44に近い方の突片42aを他方の突片42bより短くすることで、この固定効果と保護板40の開放容易性との両立をさらに良好なものとすることができる。
【0037】
また、保護板40をリテーナ30に固定するにあたり、保護板40の外表面がリテーナ30の外表面と面一以下になるようにすることで、水、泥、石等の進入を阻止し、破裂板20を良好に保護することができる。また、悪戯による保護板40の取り外し防止にも効果を発揮する。
【0038】
また、保護板40の薄肉部43を外周縁の一端から他端まで延在するように構成することで、水や泥などの外部要素からの耐用性を高める目的で板厚を増加させても、良好に折れ曲がり保護板40を円滑に脱落させることができる。
【0039】
上記固定用ピン41及び切欠部42は本発明に係る固定部に相当し、上記押圧部25は本発明の固定部から最も離れた部位に相当する。
【符号の説明】
【0040】
1…排気栓
10…ガスケット
20…破裂板
21…フランジ
22…ドーム形状部分
23…脆弱部
24…固定端部
25…押圧部
30…リテーナ
31…段部
32…孔
40…保護板
41…固定用ピン
42…切欠部
43…薄肉部
44…被押圧部
100…密閉型電池
101…電池ケース
102…排気孔
103…排気栓固定用ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉型電池の電池ケースに形成された排気孔に装着され、前記電池ケースの内圧が所定圧力以上になると当該電池ケースの内圧を開放する排気栓において、
前記排気孔を封止するように設けられ、前記所定圧力が作用すると一部が割れ裂ける破裂板と、
前記排気孔の、前記破裂板より電池ケースの外側であって前記破裂板から所定距離をおいた位置に設けられ、前記排気孔を開放可能に形成された保護板と、を備え、
前記破裂板が割れ裂けるとその一部が前記保護板を押圧する排気栓。
【請求項2】
前記保護板は、1又は複数の固定部で前記排気孔に対して直接的又は間接的に取り付けられ、前記破裂板により前記固定部以外の被押圧部が押圧されて前記排気孔を開放し、
前記破裂板は、前記固定部から最も離れた部位で前記被押圧部を押圧するとともに、前記排気孔の中心軸を対称中心とする前記部位の対称位置に、前記所定圧力が作用しても割れ裂けない固定端部を有する請求項1に記載の排気栓。
【請求項3】
前記保護板は、1つの固定部で前記排気孔に対して直接的又は間接的に取り付けられ、
前記破裂板は、前記1つの固定部から最も離れた部位で前記被押圧部を押圧し、
前記中心軸を対称中心とする前記部位の対称側であって、前記中心軸方向に沿った前記固定部の対応位置より前記中心軸寄りに、前記固定端部を有する請求項2に記載の排気栓。
【請求項4】
前記保護板は、2つの固定部で前記排気孔に対して直接的又は間接的に取り付けられ、
前記破裂板は、前記2つの固定部を結ぶ直線に直交する直線上の一端の部位で前記被押圧部を押圧し、
前記中心軸を対称中心とする前記部位の対称側であって、前記中心軸方向に沿った前記2つの固定部の対応位置を通る円より前記中心軸寄りの他端部に、前記固定端部を有する請求項2に記載の排気栓。
【請求項5】
前記保護板が設けられる、前記破裂板から所定距離をおいた位置は、前記排気孔の軸方向に沿った前記破裂板の半径以下の位置である請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気栓。
【請求項6】
前記保護板の固定部は、前記保護板の周縁に形成され外側に向かって開口するU字状の切欠部と、当該U字状の切欠部を介して前記排気孔に直接的又は間接的に挿入される固定用ピンと、を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気栓。
【請求項7】
前記U字状の切欠部を構成する一対の突片のうち前記被押圧部に近い方の突片が、他方の突片より短い請求項6に記載の排気栓。
【請求項8】
前記保護板は、リテーナを介して前記排気孔に設けられ、
前記保護板の外表面が前記リテーナの外表面と面一以下になるように前記リテーナに嵌め込まれている請求項1〜7のいずれか一項に記載の排気栓。
【請求項9】
前記保護板は、外周縁の一端から他端まで延在する薄肉部を有し、前記破裂板が割れ裂けて当該破裂板に押圧されると、前記薄肉部で変形して前記排気孔を開放する請求項1〜8のいずれか一項に記載の排気栓。
【請求項10】
前記破裂板は、前記所定圧力が作用すると割れ裂ける脆弱部と前記所定圧力が作用しても割れ裂けない固定端部とを有し、前記破裂板が割れ裂けると前記固定端部を中心に前記脆弱部の内側部分が傾動し、その先端部が前記保護板の被押圧部を押圧する請求項1〜9のいずれか一項に記載の排気栓。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【公開番号】特開2013−89375(P2013−89375A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227184(P2011−227184)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】