説明

密閉容器及び照明器具

【課題】 容器蓋に取付けられた防水パッキンが外れることを抑制することを期待できる密閉容器を提供する。
【解決手段】 器具本体(密閉容器)11は、本体ケース(密閉容器本体)12と、容器蓋45と、弾性変形が可能な環形の防水パッキン61と、複数のねじを具備する。本体ケース12は、開閉口41と、開閉口の周囲に複数設けられたねじ孔を有する。開閉口41を開閉する容器蓋45の周部47に複数のねじ通孔を設ける。防水パッキン61は、開閉口41の周囲と周部47裏側とで挟まれる環形の第1包囲部62、第1包囲部に一体に連続されて周部47を表側から覆う第2包囲部63を有し、容器蓋45のねじ通孔に連通するねじ通孔を第1包囲部62に設ける。周部47を防水パッキン61で包んでこのパッキンを容器蓋45に支持する。容器蓋45及びパッキン61の各ねじ通孔を通って本体ケース12のねじ孔に着脱可能なねじをねじ込んで、容器蓋45を本体ケース12に取付けたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば防水性を要求される密閉容器、及び透光部材が装着された前記密閉容器を器具本体として備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
閉じたケーシングをなすベース部とフード部のうちの一方の縁部を差込部分とするとともに、他方の縁部を、差込部分を受容する断面U字形の受容部分とし、この受容部分にエラストマフォームからなるシール材を収め、このシール材に差込部分を食い込ませて、ケーシングを密閉した構成の照明装置が、従来技術として知られている。
【0003】
防水性を有する密閉容器に収容された部品例えば電気部品に外部電線を接続するため、又は密閉容器に収容された部品を点検するため、若しくは密閉容器に収容された部品を交換するためなどの要請から密閉容器は開閉可能な容器蓋を有して構成される場合がある。この場合、容器蓋の取付け部での防水性を確保する必要がある。
【0004】
一般的に、防水性を確保する上では可撓性を有したシール材からなるOリング等の防水パッキンが用いられる。この防水パッキンを密閉容器に設けた環状の取付け溝等に嵌めて設けた構成では、容器蓋が外された状態で防水パッキンが定位置からずれ動く可能性や外れて落ちる等の可能性がある。
【0005】
又、防水パッキンが不用意に外れないようにするためには、この防水パッキンを接着止めすればよい。しかし、この場合、接着剤を用いるのでコスト高となる。特に、例えば屋外用の密閉容器等では、長期にわたる耐候性が要求される関係で、防水パッキンには材料コストが高いシリコーン樹脂が用いられることがあるが、この樹脂製の防水パッキンを接着するには特殊な接着剤が必要であるので、なお更、コスト高になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2010−506364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、容器蓋に取付けられた防水パッキンが外れることを抑制することが期待できる密閉容器及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、実施形態の密閉容器は、密閉容器本体と、容器蓋と、防水パッキンと、複数のねじを具備する。密閉容器本体は、開閉口と、この開閉口の周囲に設けられた複数のねじ孔を有する。開閉口を開閉する容器蓋の周部に複数のねじ通孔を設ける。弾性変形が可能なシール材料で環形に形成された防水パッキンは、開閉口の周囲と容器蓋の周部裏側とで挟まれる環形の第1包囲部、この第1包囲部に一体に連続されて周部を表側から覆う第2包囲部を有し、第1包囲部にこれを貫通しかつ容器蓋のねじ通孔に連通する複数のねじ通孔を設ける。容器蓋の周部を防水パッキンの第1、第2の包囲部で包んで容器蓋に防水パッキンを支持する。着脱可能なねじを容器蓋と防水パッキンの互に連通されたねじ通孔に通して密閉容器本体のねじ孔にねじ込んで、容器蓋を密閉容器本体に取付けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の密閉容器によれば、容器蓋から防水パッキンが外れることを低コストで抑制することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係る照明器具を示す斜視図である。
【図2】図1の照明器具をその容器蓋周りを分解した状態で示す斜視図である。
【図3】図1の照明器具をその容器蓋を通る位置で示す断面図である。
【図4】図1の照明器具の一部を示す下面図である。
【図5】図4中矢印F5−F5線に沿う断面図である。
【図6】図1の照明器具が備える容器蓋と防水パッキンとの関係を斜め上側から見て示す斜視図である。
【図7】図1の照明器具が備える容器蓋と防水パッキンとの関係を斜め下側から見て示す斜視図である。
【図8】実施例2に係る照明器具を示す断面図である。
【図9】実施例3に係る照明器具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1の密閉容器は、開閉口を有するとともにこの開閉口の周囲に設けられた複数のねじ孔を有した密閉容器本体と;周部に複数のねじ通孔が設けられた容器蓋と;弾性変形が可能なシール材料により環形に形成されるとともに、前記開閉口の周囲と前記周部の裏側とで挟まれる環形の第1包囲部、この第1包囲部に一体に連続されて前記周部を表側から覆う第2包囲部、及び前記第1包囲部を貫通しかつ前記容器蓋のねじ通孔に連通する複数のねじ通孔を有して、前記周部を包んで前記容器蓋に支持された防水パッキンと;この防水パッキンと前記容器蓋の互に連通した前記ねじ通孔を通って前記ねじ孔に着脱可能にねじ込まれて前記容器蓋を前記密閉容器本体に取付けた複数のねじと;を具備することを特徴としている。
【0012】
この実施形態1で、密閉容器本体の開閉口は、丸形であっても、角形例えば四角形であっても差し支えないとともに、開閉口が四角形である場合、その四隅近傍にねじ孔を設けることが好ましい。この実施形態1で、防水パッキンをなすシール材料には、エラストマや合成ゴムを用いることが可能であり、特に耐候性を長期にわたり求められる密閉容器の場合、シール材料としてはシリコーン樹脂を用いることが好ましい。この実施形態1の密閉容器は、例えば、屋外や湿気に晒される可能性のある場所に設置される照明器具の器具本体として好適に実施できるが、これには制約されず、防水性を要求される密閉構造の容器の全てに適用可能である。
【0013】
実施形態1の密閉容器は、複数のねじの着脱を伴って容器蓋を密閉容器本体に着脱可能であり、容器蓋が密閉容器本体に取付けられた状態では、防水パッキンの第1包囲部を通った複数のねじの締め付け力によって、防水パッキンの第1包囲部が密閉容器本体の開閉口の周りと容器蓋の周部裏側とで挟まれるので、容器蓋の取付け部での防水性を確保できる。そして、必要により容器蓋を外して開閉口を開放することで、この開閉口を通して密閉容器本体に内蔵された部品に対する必要な処置を講じることが可能である。
【0014】
環形の防水パッキンは、その第1包囲部と第2包囲部で容器蓋の周部を包んで、容器蓋に支持されているので、容器蓋と一体的に取扱うことが可能である。このため、容器蓋とともに防水パッキンが着脱されるにも拘らず、密閉容器本体から外された容器蓋に対して防水パッキンが所定位置からずれることを抑制可能であるとともに防水パッキンが脱落することを抑制可能である。しかも、こうしたずれや脱落の防止のために、防水パッキンを容器蓋等に接着剤で接着する必要がないので、防水パッキンが耐候性の高いシリコーン樹脂製であっても、既述の構成により低コストで防水パッキンが外れることを抑制可能である。
【0015】
実施形態2の密閉容器は、実施形態1において、前記容器蓋の裏側に開放する環形溝を前記容器蓋に設けるとともに、この環形溝に密に嵌入する環形の第3包囲部を前記防水パッキンに設けたことを特徴としている。
【0016】
この実施形態2では、実施形態1において、更に、容器蓋が外された状態で、この容器蓋の周部から防水パッキンを外す方向に外力が作用することがあっても、容器蓋の環形溝に防水パッキンの第3包囲部が引っ掛かっていることにより、この引っ掛かりをストッパとして防水パッキンが容器蓋の周部を包んだ状態を保持できる。このため、外された状態の容器蓋に対して防水パッキンを所定位置に確実に保持することが可能である。
【0017】
更に、実施形態2では、ねじの締め付け力によって、第3包囲部とこれが嵌入された環形溝との密接度が高められることに加えて、前記嵌入部分によって、容器蓋と防水パッキンとの間の浸水経路が折れ曲がってかつ長く確保される。したがって、容器蓋と防水パッキンとの間を通る浸水をより確実に抑制することが可能である。
【0018】
実施形態3の密閉容器は、実施形態1又は2において、前記ねじの締め付けによって前記第1包囲部に食い込むストッパ凸部を前記周部に設けたことを特徴としている。
【0019】
この実施形態3では、実施形態1又は2において、更に、以下の利点がある。つまり、密閉容器本体への容器蓋のねじ止めに伴って、隣接したねじ間にわたるように位置された第1包囲部のうちでねじの締め付け部が最大に圧縮されるのに対して、これら最大圧縮部間の中間部分は、密閉容器本体の開閉口の周りの部分に対して離れる方向に反る変形をしようとする傾向がある。しかし、容器蓋の周部に設けたストッパ凸部が第1包囲部に食い込んで前記中間部分を押えることによって、前記変形を防止できるとともに、密閉容器本体の開閉口の周りの部分に対する第1包囲部の密接度を高めることができる。このため、密閉容器本体の開閉口の周りの部分と防水パッキンとの間を通る浸水をより確実に抑制することが可能である。
【0020】
実施形態4の密閉容器は、実施形態3において、前記開閉口及び前記容器蓋がともに長方形であって、前記ストッパ凸部を前記容器蓋の長手方向両端部に夫々設けるとともに、前記容器蓋のねじ通孔を、前記長手方向一端部と他端部に夫々配設されたストッパ凸部間に設けたことを特徴としている。
【0021】
この実施形態4では、実施形態3において、更に、以下の利点がある。つまり、密閉容器本体に容器蓋をねじ止めする場合、容器蓋の長手方向について容器蓋のねじ通孔により規定されるねじの締め付け位置とストッパ凸部との位置関係により、ねじのねじ込みが進行してストッパ凸部が第1包囲部に食い込むようになった時点から、容器蓋の周部の長手方向に延びる部位を密閉容器本体の開閉口の周りの部分に押し付けるようにねじの締め付け力が、ストッパ凸部を支点として作用する。このため、容器蓋が長方形であるにも拘らず、その周部の長手方向に延びる部分の中間部をねじ止めすることなく、容器蓋の四隅を通ってねじ込まれたねじの締め付けのみで、防水パッキンの第1包囲部を密閉容器本体の開閉口の周りに確実に密接させて、容器蓋の取付け部での防水性を確保することが可能である。
【0022】
実施形態5の密閉容器は、実施形態1から4のうちのいずれかにおいて、前記防水パッキンのねじ通孔の径が、このねじ通孔に通されている前記ねじのねじ軸部の直径より小さいことを特徴としている。
【0023】
この実施形態5では、実施形態1から4のいずれかにおいて、更に、複数のねじのねじ軸部が、防水パッキンのねじ通孔周りを弾性変形させてこのねじ通孔に通されているので、容器蓋とともに防水パッキンが密閉容器本体から外された状態でも、ねじ軸部は防水パッキンのねじ通孔に引っ掛かった状態に維持される。そのため、容器蓋が外された状態で、ねじが脱落して紛失することが抑制されるに伴い、再び容器蓋を密閉容器本体に取付ける作業を容易に行うことが可能である。
【0024】
実施形態6の照明器具は、実施形態1から5のうちのいずれかに記載の密閉容器であって、この密閉容器が備えた密閉容器本体に透光部材を装着して構成された器具本体と;この器具本体に内蔵されて前記透光部材に向けて発光する発光部と;前記器具本体が有した開閉口に臨むように前記器具本体に内蔵され前記発光部への通電を担う電気部品と;を具備することを特徴としている。
【0025】
この実施形態6では、容器蓋に取付けられた防水パッキンが外れることを低コストで抑制することを期待できる実施形態1から5のいずれかに記載の密閉容器からなる器具本体を備えた照明器具を提供可能である。
【実施例1】
【0026】
以下、実施例1の密閉容器からなる器具本体を備えた照明器具について、図1〜図7を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1〜図3中符号1は、図示しない器具ホルダに支持される照明器具を示している。器具ホルダと照明器具1は照明装置を構成する。なお、図中符号2は、器具ホルダと照明器具1とを連結するための連結手段が有する図示しないボルト及びこのボルトを回り止めするためのボルトホルダ等が長手方向の所定位置に配設される連結用の溝条を示している。
【0028】
照明器具1は、上向きに光を出射して被照射対象例えば建物の壁面を照明するために、屋外に器具ホルダとともに設置される。この照明器具1が備える器具本体11は、以下説明する密閉容器からなる。器具本体11は、密閉容器本体をなす本体ケース12と、透光部材23と、一対の押え縁25と、二枚の側板31と、容器蓋45等を具備している。
【0029】
本体ケース12は、金属の型材例えばアルミニウム合金の押し出し型材を所定の長さに切断して得たものであり、例えば長尺である。図3に示すように本体ケース12は、その長手方向に直交する幅方向(短手方向)に対向するケース側壁13の下端を、平坦なケース底壁14(図2及び図4参照)で一体に連続して形成されている。それにより、本体ケース12の長手方向両端は夫々開放されているとともに、ケース側壁13間も上方に開放されている。ケース側壁13の内面には本体ケース12の長手方向全長にわたって延びる支持凸条15が夫々突設されている。尚、片方のケース側壁13に前記溝条2が形成されている。
【0030】
図3に示すように対向したケース側壁13は夫々連結端部16を有している。これら連結端部16は、例えばケース本体13の上端部をなして設けられていて、本体ケース12の幅方向に対向しているとともに平行である。連結端部16に、シール溝17と図示しない複数のねじ孔等が設けられている。シール溝17は連結端部16の長手方向全長にわたって延びていて、上方に開放されている。各ねじ孔は、連結端部16の幅方向に沿ってシール溝17からずれた位置に設けられ、かつ、連結端部16の長手方向に間隔的に複数設けられている。
【0031】
本体ケース12に、上部タッピングホール18と、下部タッピングホール19が設けられている。上部タッピングホール18は、連結端部16の裏側(下側)近傍で、ケース側壁13に一体に形成されている。下部タッピングホール19はケース側壁13とケース底壁14とが連続する角部に夫々形成されている。
【0032】
本体ケース12に防水リング21(図3参照)が支持されている。防水リング21は、弾性変形が可能なシール材料例えば耐候性に優れたシリコーン樹脂により、本体ケース12の大きさに見合った四角い形状例えば長四角状の環形に形成されている。この防水リング21の長い方の部位はシール溝17に嵌められて連結端部16に支持され、かつ、防水リング21の短い方の部位は、平行な連結端部16にわたって配設されている。
【0033】
透光部材23は、透光性材料例えばガラス板で形成されていて、防水リング21より一回り大きな四角い形状例えば長四角形をなしている。平行な連結端部16にわたって配設された透光部材23は、その周部に下側から接した防水リング21で支持されている。
【0034】
真っ直ぐな二本の押え縁25は、金属の型材例えばアルミニウム合金の押し出し型材を本体ケース12と同じ長さに切断して得たものであり、タッピングホール26を有している。タッピングホール26は押え縁25をその長手方向に貫通している。図1及び図3に示すように押え縁25は複数の連結孔27を有している。これら連結孔27は、押え縁25の長手方向に間隔的に設けられているとともに、タッピングホール26に直交して押え縁25を上下方向に貫通している。
【0035】
各連結孔27に上方から挿入されて、連結端部16の図示しない各ねじ孔にねじ込まれた連結ねじ(図示しない)で、押え縁25が連結端部16に夫々連結されている。この連結により、押え縁25は防水リング21との間に透光部材23の長い方の縁部を上下方向に挟んでいる。これにより、防水リング21が、圧縮するように弾性変形されて、シール溝17及び透光部材23の下面に夫々密接されて、透光部材23まわりの防水が確保されている。尚、図3中符号28は押え縁25に貼り付けられたゴムやエラストマ等からなる緩衝材を示している。この緩衝材28の緩衝作用で、押え縁25のねじ止めに伴い透光部材23に過度な応力が作用することを抑制して、この透光部材23の損傷が防止されている。
【0036】
側板31は金属例えばアルミニウム合金のダイキャスト製品である。この側板31は、本体ケース12の長手方向の端面、透光部材23の長手方向の端面、及び押え縁25の長手方向の端面との間に、防水部材33を挟んで本体ケース12の端部に連結されている。
【0037】
この連結は、側板31及び防水部材33を通って本体ケース12の上部タッピングホール18にねじ込まれたねじ35(図1及び図2参照)、同じく側板31及び防水部材33を通って本体ケース12の下部タッピングホール19にねじ込まれたねじ36(図1及び図2参照)、及び同じく側板31及び防水部材33を通って押え縁25のタッピングホール26にねじ込まれたねじ37(図1及び図2参照)が担っている。
【0038】
防水部材33は弾性変形が可能なシール材料例えば耐候性に優れたシリコーン樹脂等である。側板31及び防水部材33は、溝条2の長手方向の端を開放させる逃げ溝を有している。尚、図1及び図3中符号38はねじ37で共締めされたカバー部材を示している。このカバー部材38は透光部材23の長手方向の端部を覆って保護している。
【0039】
本体ケース12は開閉口41(図2参照)を有している。開閉口41は、長方形であり、その長手方向を本体ケース12の長手方向に一致させて例えばケース底壁14の長手方向の一端部に設けられている。更に、本体ケース12は開閉口41の周囲に複数のねじ孔42を有している。これらねじ孔42は、図2に示すように例えば開閉口41の四隅近傍に位置して夫々ケース底壁14に設けられている。
【0040】
この開閉口41を開閉する容器蓋45が本体ケース12に着脱可能にねじ止めされている。容器蓋45は、後述する防水パッキン61と一緒に着脱されるものであって、強度を確保するために金属製例えばアルミダイキャスト製品で作られている。尚、高い強度を要求されない場合は、容器蓋45を硬質合成樹脂製とすることも可能である。
【0041】
容器蓋45は、その平面視形状が開閉口41と相似形で、かつ、開閉口41より大きい長方形である。容器蓋45はその裏面(下面)に突出された例えば長四角枠形の環形壁46を有している。容器蓋45の周部47は環形壁46から外側に連続した部位で形成されている。
【0042】
周部47は、環形壁46及びこれに囲まれた領域に連続した肉厚部位47aと、この肉厚部位47aに連続した薄肉部位47bを有している。肉厚部位47aの表面に対して薄肉部位47bの表面は下がっており、肉厚部位47aの裏面と薄肉部位47bの裏面は面一である。容器蓋45には、その裏面に開放する環形溝48が設けられている。この環形溝48は、環形壁46と肉厚部位47aとの間に形成されている。
【0043】
周部47の例えば角部に夫々ねじ通孔49が設けられている。これら複数のねじ通孔49は薄肉部位47bの角部を貫通している。尚、図7中符号50はねじ通孔49を囲んで周部47の表面に一体に設けられた短いカバー筒部を示している。
【0044】
容器蓋45の長手方向両端部でかつ周部47の裏面に夫々一対のストッパ凸部51が設けられている。尚、ストッパ凸部51は容器蓋45の短手方向に延びるように連続して設けることも可能である。容器蓋45の長手方向両端部に設けられたストッパ凸部51間に各ねじ通孔49が設けられている。言い換えれば、容器蓋45の長手方向両端部に設けられたストッパ凸部51を基準として、容器蓋45の長手方向中央部側にずれた位置にねじ通孔49が設けられており、具体例としては図6に示すように環形壁46及び環形溝48とストッパ凸部51との間に、ねじ通孔49が夫々設けられている。尚、図4及び図6中符号Aは前記ずれ寸法を示している。
【0045】
容器蓋45の環形壁46で囲まれた領域に通線孔52が開けられている。この通線孔52に、前記領域の裏面に接するフランジ部とこのフランジ部から一体に突設されたホルダ筒状部とからなる図示しない電線ホルダが通され、ホルダ筒状部の外周にナット部材が螺合されるようになっている。ホルダ筒状部は、その先端に開放する複数の切込み溝を有していて縮径可能である。このホルダ筒状部の内面に弾性変形が可能な防水筒が支持されていて、前記ナット部材の締め付けにより、電線ホルダを容器蓋45に水密に取付けるとともに、ホルダ筒状部を縮径させて、この筒状部を電線ホルダに通された図示しない給電用等の電線の外周に密接させて、通線部の水密を確保できるようになっている。
【0046】
防水パッキン61は、弾性変形が可能なシール材料例えば耐候性に優れたシリコーン樹脂により、例えば長四角枠形で容器蓋45に見合った大きさに形成されている。この防水パッキン61は、第1包囲部62〜第3包囲部64と、密接ビード65と、複数のねじ通孔66を有している。
【0047】
第1包囲部62は、図3及び図5に示すように開閉口41の周囲外面に接する部位であり、図6等に示すように途切れることなく連続して環形に設けられている。この第1包囲部62に、開閉口41の周部外面に向けて突出する密接ビード65が一体に設けられている。この密接ビード65も途切れることなく連続して環形に設けられている。第2包囲部63は、容器蓋45の周部47を表側から覆うために、第1包囲部62の外周から折り返すように第1包囲部62に一体に連続された部位であって、環状である。これら第1包囲部62と第2包囲部63とで容器蓋45の周部47を包むことによって、防水パッキン61が容器蓋45に支持されている。
【0048】
第3包囲部64は第1包囲部62の内周に一体に設けられている。第3包囲部64は第1包囲部62に対して略直角に折れ曲がるように連続していて、途切れることなく連続して環形に設けられている。この第3包囲部64は前記環形溝48に密に嵌入されている。更に、防水パッキン61には第3包囲部64と一体に連続しかつこの第3包囲部64と反対側に突出する裏側突出部67が第1包囲部62の内周に一体に設けられている。裏側突出部67も途切れることなく連続して環形に設けられており、これら第2包囲部64と裏側突出部67は、環形壁46の外周面に密接されるようになっている。尚、裏側突出部57は開閉口41への挿入を容易にするために先細り状に形成されている。
【0049】
ねじ通孔66は密接ビード65の四隅部に位置して防水パッキン61を厚み方向に貫通して設けられている。これらのねじ通孔66は、防水パッキン61が容器蓋45の周部47に被さって支持された状態で、容器蓋45のねじ通孔49に夫々連通されるようになっている。
【0050】
容器蓋45は、その周部47を包んで容器蓋45に支持された防水パッキン61とともに、複数のねじ69(図2参照)で本体ケース12のケース底壁14に取付けられている。ねじ69は、容器蓋45のねじ通孔49とこれに連通した防水パッキン61のねじ通孔66を通って、ケース底壁14のねじ孔42に着脱可能にねじ込まれている。各ねじ69のねじ頭を覆う前記カバー筒部50によって、ねじ頭が視認し難くなっているだけではなく、ねじ頭に水が波及し難くなるように水切りすることが可能となっている。
【0051】
防水パッキン61のねじ通孔66の直径は、ねじ69のねじ軸部の直径より小さい。このため、ねじ69のねじ軸部は防水パッキン61のねじ通孔66の周部を弾性変形させた状態で、ねじ通孔66を貫通している。
【0052】
前記構成の器具本体11には、光源ユニット71、電源ユニット81、その他の電気部品例えば端子台83及びサージプロテクタ85等が内蔵されている。
【0053】
光源ユニット71は、図3に示すようにユニットベース72、例えば複数の発光モジュール74(一個のみ図示する。)、発光モジュール74と同数のレンズ77等を備えている。
【0054】
ユニットベース72は、金属の型材例えばアルミニウム合金の押し出し型材を本体ケース12より若干短い長さに切断して得たものである。ユニットベース72は、その幅方向両側面に夫々開放する係合溝72aと上方に開放する溝部72bを有していて、これらはユニットベース72の長手方向全長にわたり延びている。
【0055】
発光モジュール74は、例えば長方形のモジュール基板75に、複数の発光部76(一個のみ図示)及び一対の電線コネクタ(図示しない)を装着して形成されている。モジュール基板75の全長はユニットベース72の全長より短い。図3にはモジュール基板75の長手方向に直交する短手方向(幅方向)の断面が示されている。
【0056】
各発光部76は、例えばモジュール基板75の短手方向中央に位置し、かつ、モジュール基板75の長手方向に一定間隔毎に実装されて、このモジュール基板75が有する図示しない配線パターンを介して電気的に直列に接続されている。これらの発光部76には例えばLEDパッケージからなるLEDが用いられている。したがって、発光モジュール74はLED発光モジュールであり、これを備えた照明器具1はLED照明器具である。
【0057】
LEDパッケージは、電極が設けられたベース上にLEDチップを実装するとともに、このLEDチップを収容する円錐台上の凹部を有した反射体を装着し、凹部に蛍光体入りの透光性封止樹脂を充填して形成されている。このLEDパッケージにおいて、青色発光をするLEDチップが用いられているので、白色照明光を得るために、黄色の蛍光体が用いられている。
【0058】
LEDの発光は、半導体のp−n接合に順方向電流を流すことで実現されるので、LEDは電気エネルギーを直接光に変換する固体素子である。こうした発光原理で発光する半導体発光素子は、通電によりフィラメントを高温に白熱させて、その熱放射により可視光を放射させる白熱電球と比較して、省エネルギー効果を有するものである。
【0059】
図示しない前記電線コネクタはモジュール基板75の長手方向の両端部に夫々実装されている。これら電線コネクタには、それらの間に配設された複数の発光部76がなした列の端が電気的に接続されている。これとともに、隣接した発光モジュール74同士は、電線コネクタにわたって配線された電線を介して電気的に直列に接続されている。
【0060】
各発光モジュール74は溝部72bに上方から嵌合されている。この発光モジュール74は、発光部76を上向きにして、モジュール基板75を通ってユニットベース72にねじ込まれた図示しないねじでユニットベース72に固定されている。こうしたねじ止めにより、各発光モジュール74は、ユニットベース72にその長手方向に沿って間隔的に配設され、好ましくは等間隔に配設されている。
【0061】
各レンズ77は、透光性合成樹脂の一体成形品からなり、レンズ部と、このレンズ部の幅方向両側に夫々複数突設された取付け脚を備えている。レンズ部は、一つの発光モジュール74が有した複数の発光部76にわたる長さを有しているとともに、光入射面を有している。このレンズ77の長手方向に直交する断面の形状は各部同じである。各レンズ77は、その取付け脚を通ってユニットベース72にねじ込まれたねじ(図示しない)により、発光モジュール74を上側から覆ってユニットベース72に固定されている。レンズ77の光入射面は発光部76の真上に対向されている。
【0062】
図3に示した電源ユニット81は、各発光モジュール74への給電を担って各発光部76を発光させるものであり、ユニットベース72の下面にねじ止めされている。又、図3、図2及び図5中符号83は給電用の端子台を示している。端子台83はユニットベース72の下面に取付けられていて、電源ユニット81に電気的に接続されている。この端子台83には、開閉口41を通って引き込まれる給電用の電線(図示しない)が差し込み接続されるようになっている。更に、ユニットベース72の下面は、サージ電圧を吸収するためのサージプロテクタ85(図5参照)等も取付けられている。
【0063】
前記構成の光源ユニット71は、その係合溝72aを本体ケース12の支持凸条15に夫々嵌合させて、本体ケース12の長手方向一端から他端に向けて挿入することにより、器具本体11に内蔵されて、本体ケース12の対向したケース側壁13間に支持されている。又、器具本体11に内蔵された光源ユニット71のユニットベース72は、その長手方向から防水部材33で挟まれている。更に、器具本体11に内蔵された端子台83は、図2及び図6に示すように開閉口41に臨んで配設される。
【0064】
前記構成の照明器具1は、建物の壁面照明をするために、透光部材23を上向きにした略水平な状態で投光器として屋外に設置される。この照明器具1が有した光源ユニット71の発光部76が発光されると、これが発した上向きの照明光は、まず、レンズ77に入射し、このレンズ77により投光角を器具本体11の幅方向に広げられて、レンズ77の上面(光出射面)から出射される。この出射光は、レンズ77の真上に在る透光部材23を上向きに透過する。それにより、壁面照明が行われる。
【0065】
この照明時に発光部76が備えるLEDチップが発する熱は、モジュール基板75を通して金属製のユニットベース72に伝導され、更に、このユニットベース72から金属製の本体ケース12に伝導されて、この本体ケース12の外面から外部に放出される。そのため、LEDチップの温度過昇が抑制されて、その発光効率の低下などを抑制することが可能である。
【0066】
照明器具1を組立てる際、その最終工程で本体ケース12に容器蓋45をねじ止めする手順を説明する。
【0067】
まず、容器蓋45の周部47に防水パッキン61を被せる。この場合、防水パッキン61の第1包囲部62及び第2包囲部63が、周部47の表裏にわたって被される。詳しくは、第1包囲部62が周部47の裏面全体に重なるとともに、第2包囲部63が周部47の薄肉部位47bの端面及び表面に重なり、それにより、周部47全体が第1包囲部62及び第2包囲部63で包まれた状態となって、環形の防水パッキン61が容器蓋45の周部47に支持される。
【0068】
これとともに、第3包囲部64が、容器蓋45の環形溝48に嵌入されて、周部47をその内周側から覆った状態となり、かつ、第3包囲部64に連続した裏側突出部67が第3包囲部64とともに容器蓋45の環形壁46の外周面に接した状態となる。更に、容器蓋45の四隅のねじ通孔49と防水パッキン61の四隅のねじ通孔66とが互に連通される。
【0069】
次に、容器蓋45の通線孔に図示しない通線ホルダを挿入した後に、このホルダに電源供給用の絶縁被覆電線(図示しない)を通してから、この電線が既に通されている図示しないナット部材を通線ホルダに螺合させて、容器蓋45を貫通した前記電線を仮保持する。
【0070】
この後、前記電線の先端部を、本体ケース12の開閉口41に通して、この開閉口41に臨んでいる端子台83に差し込み接続する。
【0071】
最後に、周部47に防水パッキン61が支持された容器蓋45をケース底壁14にねじ止めした上で、前記ナット部材を本締めして、通線部の防水性を確保する。
【0072】
容器蓋45のねじ止めは、ねじ通孔66及びこれに連通しているねじ通孔49にねじ69を通すとともに、このねじ69をケース底壁14のねじ孔42に夫々ねじ込むことによって行われる。以上の手順で容器蓋45が本体ケース12にねじ止めされた状態を図3及び図5に示す。
【0073】
こうしたねじ止めによって、防水パッキン61の第1包囲部62が、圧縮状態となって、容器蓋45の周部47裏側とケース底壁14の開閉口41の周囲の部分との間に挟まれる。この場合、第1包囲部62のストッパ凸部51が、圧縮状態となって、第1包囲部62のストッパ凸部51以外の部分よりも強く開閉口41の周囲の部分に密接される。これにより、ケース底壁14の開閉口41の周囲の部分と第1包囲部62との間の防水性を確保できる。
【0074】
以上説明したケース底壁14への容器蓋45のねじ止めに伴って、第1包囲部62は、容器蓋45の四隅でのねじ69の締め付け部で最大に圧縮される。これに対して、容器蓋45の短手方向に隣接したねじ69間にわたるように位置された第1包囲部62の前記短手方向に延びる部位の中間部分、及び容器蓋45の長手方向に隣接したねじ69間にわたるように位置された第1包囲部62の前記長手方向に延びる部位の中間部分は、夫々ケース底壁14の開閉口41の周囲の部分に対して離れる方向に変形しようとする傾向がある。
【0075】
しかし、容器蓋45の短手方向に延びる部位の中間部分の変形は、ねじ止めに伴って容器蓋45の周部47に設けたストッパ凸部51が、第1包囲部62の短手方向に延びる部位の中間部分に食い込むことによって、抑制される。これに加えて、ケース底壁14の開閉口41の周囲の部分に対する第1包囲部62の密接度が高められる。このため、ケース底壁14の開閉口41の周りの部分と防水パッキン61との間を通る浸水をより確実に抑制することが可能である。
【0076】
更に、ストッパ凸部51が長方形の容器蓋45の長手方向両端部に夫々設けられているとともに、容器蓋45のねじ通孔49が、容器蓋45の長手方向の一端と他端との間に位置されたストッパ凸部51間に設けられている。つまり、各ねじ通孔49はストッパ凸部51に対して容器蓋45の長手方向中央部側に寄せて設けられている、このため、ケース底壁14の開閉口41の周囲の部分と防水パッキン61との間を通る浸水をより確実に抑制することが可能である。
【0077】
詳しくは、ケース底壁14に既述の手順で容器蓋45がねじ止される場合、容器蓋45の長手方向について容器蓋45のねじ通孔49により規定されるねじ69の締め付け位置とストッパ凸部51との位置関係により、ねじ69のねじ込みが進行してストッパ凸部51が第1包囲部62に食い込むようになった時点から、容器蓋45の周部47の長手方向に延びる部位をケース底壁14の開閉口41の周囲の部分に押し付けるようにねじ69の締め付け力が、容器蓋45の周部47にストッパ凸部51を支点として作用する。これにより、容器蓋45の周部47の長手方向に延びる部位がケース底壁14に近付くように変形される。即ち、容器蓋45の周部47の長手方向に延びる部位とケース底壁14の開閉口41の周囲の部分とで、これらの間にある防水パッキン17の第1包囲部62の長手方向に延びる部位が強く挟まれて、防水パッキン17とケース底壁14及び容器蓋45の周部47との密接度が高められる。
【0078】
このため、容器蓋45の周部47の長手方向に延びる部位の中間部分をねじ止めすることなく、容器蓋45の四隅を通ってねじ込まれたねじ69の締め付けのみで、防水パッキン61の第1包囲部62をケース底壁14の開閉口41の周りに確実に密接させて、容器蓋45の取付け部での防水性を確保することが可能である。したがって、容器蓋45が長方形であるにも拘らず、ねじ止め箇所を最小にできるに伴い、防水パッキン61が支持された容器蓋45の取付け作業性を向上することが可能である。
【0079】
又、容器蓋45の環形溝48とこれに嵌入されている防水パッキン61の第3包囲部64との密接度は、既述のねじ止めに伴って高められる。これに加えて、環形溝48と第3包囲部64とにより、容器蓋45の周部47と防水パッキン61との間の浸水経路が折れ曲がった構成となり、かつ、この経路が長く確保される。したがって、容器蓋45と防水パッキン61との間を通る浸水をより確実に抑制することが可能である。
【0080】
以上のようにケース底壁14に容器蓋45がねじ止めされた部分での防水性を確保できるので、器具本体11に内蔵された端子台83などの電気部品に対して開閉口41を通って浸水することを確実に抑制可能である。しかも、防水パッキン61はシリコーン樹脂製で耐候性が高いので、屋外で使用される照明器具の防水性を、長期間例えば発光部の寿命と同程度の期間維持することが可能である。
【0081】
容器蓋45のねじ止め後に例えば給電用電線の端子台83への接続をし直す必要が生じた場合等には、各ねじ69を緩めてねじ孔42から外すことで、防水パッキン61とともに容器蓋45をケース底壁14から外して、開閉口41を開放すればよい。この開放状態で、開閉口41を通して本体ケース12内の端子台83等に対する必要な処置を講じることが可能である。
【0082】
又、既述の手順で容器蓋45を着脱する場合、四角枠状をなした環形の防水パッキン61は、その第1包囲部62と第2包囲部63で容器蓋45の周部47を包んで、容器蓋45に支持されているので、容器蓋45と一体的に取扱うことが可能である。
【0083】
このため、容器蓋45と一緒に防水パッキン61が着脱されるにも拘らず、器具本体11の本体ケース12から外された容器蓋45に対して防水パッキン61が所定位置からずれることを抑制可能であるとともに、防水パッキン61が脱落することを抑制可能である。
【0084】
しかも、防水パッキン61は、容器蓋45の裏側に開放した環形溝48に嵌入された環形の第3包囲部64を有しているので、容器蓋45が外された状態で、この容器蓋45の周部47から防水パッキン61を外す方向に外力が作用することがあっても、環形溝48と第3包囲部64とが引っ掛かった状態が維持される。これにより、防水パッキン61が容器蓋45の周部47を包んだ状態を保持できるに伴い、外された状態の容器蓋45に対し防水パッキン61を所定位置に確実に保持することが可能である。
【0085】
更に、こうした容器蓋45に対する防水パッキン61のずれや脱落の防止のために、防水パッキン61を容器蓋45等に接着剤で接着する必要がない。このため、防水パッキン61が耐候性の高いシリコーン樹脂製であっても、既述の構成により低コストで防水パッキン61を所定位置に確実に保持して容器蓋45から外れることを抑制可能である。
【0086】
又、防水パッキン61のねじ通孔66の径は、このねじ通孔66に通されているねじ69のねじ軸部の直径より小さいので、ねじ軸部は、防水パッキン61のねじ通孔66周りを弾性変形させてこのねじ通孔66に通されている。これにより、容器蓋45とともに防水パッキン61が本体ケース12から外された状態でも、ねじ69のねじ軸部は、防水パッキン61のねじ通孔66に引っ掛かった状態を維持する。したがって、容器蓋45が外された状態で、ねじ69が脱落して紛失することを、止め輪等の落下防止用の部材を要することなく抑制できるので、それに伴い、再び容器蓋45を本体ケース12のケース底壁14に取付ける作業を容易に行うことが可能である。
【実施例2】
【0087】
図8は実施例2を示している。実施例2は以下説明する構成が実施例1とは相違しており、それ以外の構成は実施例1と同じであるため、実施例1と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0088】
この実施例2の照明器具1は、本体ケース12に透光部材23を取付ける構造と、配光制御用のルーバ91を更に備えた点が実施例1とは異なる。
【0089】
詳しくは、本体ケース12の連結端部16は、中空部16aと、爪受け部16bと、シール溝17を有した溝形成部16cとで形成されている。シール溝17は、横方向、つまり、本体ケース12の短手方向(幅方向)に開放されている。爪受け部16bと溝形成部16cとは離間されていて、これら爪受け部16bと溝形成部16cとの間は中空部16aに上方から連通されている。爪受け部16bは本体ケース12の外側に臨んで設けられ、かつ、溝形成部16cは本体ケース12の内側に設けられている。更に、これら爪受け部16bと溝形成部16cとの間に、シール溝17に嵌められた防水リング21の一部が突出するように臨んでいる。
【0090】
透光部材23は透明アクリル樹脂などの透光性樹脂で形成されている。透光部材23は本体ケース12と同じ長さであって、その長手方向に直交する短手方向の幅は本体ケース12の幅と略同じである。この透光部材23の幅方向両端部の裏面には夫々係止爪24が一体に突設されていて、これら係止爪24は透光部材23の長手方向全長にわたって延びている。
【0091】
透光部材23は、本体ケース12の連結端部16間を閉じて本体ケース12に取付けられている。この取付けは、透光部材23の係止爪24を爪受け部16bと溝形成部16cとの間に合わせた状態で押し込むことによって、中空部16a内で、係止爪24を爪受け部16bにその下側から係止させて行われている。
【0092】
こうして取付けられた状態では、シール溝17に嵌められた防水リング21の一部が圧縮された状態となって、爪受け部16bと溝形成部16cとの間に通された係止爪24の側面に防水リング21が密接されて、連結端部16と透光部材23との間の防水が確保されている。更に、防水リング21の弾性力で、爪受け部16bへの係止爪24の係止状態が強化されている。これとともに、防水リング21が係止爪24を押す力を爪受け部16bで受けて、係止爪24の根元に前記力によるストレスが集中することを抑制して、係止爪24の耐久性を確保している。
【0093】
以上のような本体ケース12に対する透光部材23の取付け構造によれば、係止爪24を爪受け部16bと溝形成部16cとの間に挿通させることにより、本体ケース12に透光部材23を取付けることができる。このため、実施例1の照明器具と比較して、押え縁及びこれらを固定するねじ等を必要としないとともに、実施例1で説明した押え縁の省略に伴って、この押え縁に側板を通ってねじ込まれるねじも省略できるので、部品点数及び組立て工数を削減できる。
【0094】
又、ルーバ91は、板金のプレス加工品であり、複数例えば二枚のルーバ片91aと、複数のルーバ脚91bを有して形成されている。ルーバ片91aは上向きに折れ曲がって設けられている。ルーバ91の長さは一つの発光モジュール74の長さと略同じである。なお、ルーバ91は、本体ケース12の全長と同じ長さの一本物でも良い。
【0095】
これらのルーバ91のルーバ脚91bは、レンズ77の取付け脚とともにねじ92で共締めされてユニットベース72に固定され、レンズ77を覆って配設されている。ルーバ91のルーバ片91aは、レンズ77の光出射面に対して直角となるように配設されている。
【0096】
実施例2の照明器具1は、以上説明した構成以外の構成は図示されない構成を含めて実施例1と同じである。したがって、この実施例2においても、前記課題が解決されるので、容器蓋45が外されることがあっても、この容器蓋45に取付けられた防水パッキン61が外れることを低コストで抑制することを期待できる器具本体(密閉容器)11及びこれを備えた照明器具1を提供できる。尚、実施例2の照明器具1は、耐候性が低くても差し支えない用途、又は耐候性が要求される場合でもその耐久年限が短くてもよい用途、例えば屋内でかつ湿気に晒され易い場所などを照明する用途等に好適に使用可能である。
【実施例3】
【0097】
図9は実施例3を示している。実施例3は以下説明する構成が実施例2とは相違しており、それ以外の構成は実施例2と同じであるため、実施例2と同一ないしは同様の機能を奏する構成については、実施例2と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0098】
この実施例3の照明器具1は、連結端部16の溝形成部16cが本体ケース12の外側に臨んで設けられ、かつ、爪受け部16bが本体ケース12の内側に設けられている点が実施例2とは異なる。
【0099】
実施例3の照明器具は、以上説明した構成以外は図示されない構成を含めて実施例2と同じである。したがって、この実施例3においても、前記課題が解決されるので、容器蓋45が外されることがあっても、この容器蓋45から防水パッキン61が外れることを低コストで抑制することが可能な器具本体(密閉容器)11及びこれを備えた照明器具1を提供できる。
【符号の説明】
【0100】
1…照明器具、11…器具本体(密閉容器)、12…本体ケース(密閉容器本体)、23…透光部材、41…開閉口、42…ねじ孔、43…容器蓋、46…環形壁、47…周部、48…環形溝、49…容器蓋のねじ通孔、51…ストッパ凸部、61…防水パッキン、62…第1包囲部、63…第2包囲部、64…第3包囲部、66…防水パッキンのねじ通孔、69…ねじ、76…発光部、83…端子台(電気部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉口を有するとともにこの開閉口の周囲に設けられた複数のねじ孔を有した密閉容器本体と;
周部に複数のねじ通孔が設けられた容器蓋と;
弾性変形が可能なシール材料により環形に形成されるとともに、前記開閉口の周囲と前記周部の裏側とで挟まれる環形の第1包囲部、この第1包囲部に一体に連続されて前記周部を表側から覆う第2包囲部、及び前記第1包囲部を貫通しかつ前記容器蓋のねじ通孔に連通する複数のねじ通孔を有して、前記周部を包んで前記容器蓋に支持された防水パッキンと;
この防水パッキンと前記容器蓋の互に連通した前記ねじ通孔を通って前記ねじ孔に着脱可能にねじ込まれて前記容器蓋を前記密閉容器本体に取付けた複数のねじと;
を具備することを特徴とする密閉容器。
【請求項2】
前記容器蓋の裏側に開放する環形溝を前記容器蓋部に設けるとともに、この環形溝に密に嵌入する環形の第3包囲部を前記防水パッキンに設けたことを特徴とする請求項1に記載の密閉容器。
【請求項3】
前記ねじの締め付けによって前記第1包囲部に食い込むストッパ凸部を前記周部に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の密閉容器。
【請求項4】
前記開閉口及び前記容器蓋がともに長方形であって、前記ストッパ凸部を前記容器蓋の長手方向両端部に夫々設けるとともに、前記容器蓋のねじ通孔を、前記長手方向一端部と他端部に夫々配設されたストッパ凸部間に設けたことを特徴とする請求項3に記載の密閉容器。
【請求項5】
前記防水パッキンのねじ通孔の径が、このねじ通孔に通されている前記ねじのねじ軸部の直径より小さいことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の密閉容器。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の密閉容器であって、この容器が備えた密閉容器本体に透光部材を装着して構成された器具本体と;
この器具本体に内蔵されて前記透光部材に向けて発光する発光部と;
前記容器本体が有した開閉口に臨むように前記容器本体に内蔵され前記発光部への通電を担う電気部品と;
を具備することを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−201386(P2012−201386A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66534(P2011−66534)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】