説明

寒冷療法プローブおよびシステム

【課題】凍結プローブおよび凍結プローブのイメージガイド制御を提供すること。
【解決手段】寒冷療法システム(150)には複数の凍結プローブ(100)が設けられ、各々の凍結プローブはシャフトを有し、シャフトは、体内に挿入するように構成されて閉鎖された遠位端と、低温流体をシャフトに貫流させて、遠位端の温度を低下させるための導管とを有する。低温流体用の源(154)が設けられ、流量制御計量バルブ(158)が、導管および低温流体源と連通するように設けられる。圧縮器は、凍結プローブの導管と連通して、内蔵流体システムを画定するように設けられる。流量制御計量バルブおよび圧縮器は、低温流体の流れを内蔵流体システムの導管に通すように、コンピュータプロセッサにより制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、ピーター・リトラップ(Peter Littrup)等が2004年1月14日に出願した米国特許出願第−/−,−号「寒冷療法システム」(CRYOTHERAPY SYSTEM)(代理人名簿番号第40090−000210US号)の優先権を主張し、この出願はピーター・リトラップ等が2003年1月15日に出願した米国仮特許出願第60/440,662号「寒冷外科システム」(CRYOSURGICAL SYSTEM)の通常特許出願であり、これらの出願の開示事項は全体的に、あらゆる目的で引用することにより、付録を含めて本願に援用する。
【0002】
本出願はさらに、ピーター・リトラップ等が2004年1月14日に出願した米国特許出願第−/−,−号「寒冷外科プローブ」(CRYOSURGICAL PROBE(代理人名簿番号第40090−000110US号)の優先権を主張し、この出願はピーター・リトラップ等が2003年1月15日に出願した米国仮特許出願第60/440,541号「寒冷外科プローブ」(CRYOSURGICAL PROBE)の通常特許出願であり、これらの出願の開示事項は全体的に、あらゆる目的で引用することにより、付録を含めて本願に援用する。
【0003】
発明の背景
本発明は、一般に寒冷療法に関する。詳細には、本出願は、別個の内蔵寒冷療法システムによる凍結プローブおよび凍結プローブのイメージガイド制御に関する。
【背景技術】
【0004】
寒冷療法プローブは、多様な疾患を治療するために使用される。寒冷療法プローブは、罹患した体組織を迅速に凍結して組織を死亡させ、その後、その組織は、人体により吸収されるか、人体により排出されるか、または剥がれ落ちる。寒冷療法は、従来、手術環境で肝臓および前立腺腫瘍を凍結させるために使用されてきた。手術中の超音波検査は、プローブの配置、および腫瘍マージンに関連する氷前線の前進のために十分なガイダンスを行った。多数の外来患者を治療するための寒冷療法は、一部には比較的無痛で供給され、疼痛症候群を治療する能力があるため、長い歴史を有する。外来患者の癌治療に移行するには、従来の寒冷療法システムを使用すると共に、迅速にプローブを凍結する必要がある。比較的小型かつ内蔵式で、比較的低価格のプローブ(つまり、現在、各々の体内治療プローブは400〜1500ドル)を使用する使いやすい凍結システムがない場合、寒冷療法による患者の利益(つまり、比較的苦痛が少なく、アブレーション領域のイメージングが鮮明であり、瘢痕化が最小限である)は、熱をベースとするシステムが享受している現在の評判に適切に挑戦することはできないであろう。たとえば、無線周波(RF)アブレーションは、最も一般的なアブレーションモダリティになり、おそらく医師にとっては便利な構成、および病院の管理者にとっては比較的安価な可処分コストという点で、寒冷療法の何らかの明確な利益より一般的であろう。
【0005】
胸部、肝臓、腎臓、骨および肺腫瘍を対象とした経皮的寒冷療法(PC)は、最近リトラップ等により記述され、その写しを米国仮特許出願第60/440,541号および第60/440,662号の付録AおよびBとして添付し、これらの出願は共に、引用することにより本願に援用した。PC監視は、標準の超音波検査では、限られた外診位置から治療部位を視覚化するため、比較的困難である。したがって、CTおよびMRIは、3次元ボリュームの円周イメージングおよびマルチスライスレンダリングにより、最適なPCガイダンスモダリティになった。組織が凍結する時に生じる位相変化(および、結果として生じる壊死性治療マージン)は、熱ベースの治療のアブレーションマージンに比べると、US、CTまたはMRIによりさらに良好に観察される。さらに、壊死性治療マージンは、熱より氷の方がさらに円滑であり、より予測可能である。熱ベースのアブレーション技術に比べると、PC治療は比較的無痛であり、下に横たわり、アブレートされた膠原性構造を比較的良好に保存する。その結果、手順時または手順後の治癒が比較的良好であり、組織の破壊も比較的少ない。腸管および主神経を回避する限り、PC癌治療は、正確な治療計画を介して、隣接組織の安全性を確保して実施することができる。
【0006】
腫瘍を氷で適切に被覆し、副作用が最小限であるようにするには、数個の凍結プローブを正確に配置する必要がある。こうした問題に対処するために、多数の特許および出願が発行された。これらの特許および出願は、凍結プローブの構造および凍結方法を含む[「寒冷医療科学」(Cryomedical Sciences)(米国特許第5,254,116号および第5,334,181号);体内治療(米国特許第5,800,487号および第5,800,488号);寒冷剤(米国特許第5,910,104号および第6,475,212号);ガリル(米国特許第6,142,991号および第6,179,831号)]、コンピュータ制御/相互作用[体内治療(米国特許第6,139,544号および米国発行済特許第2002/0016540A1号);凍結剤(米国特許第5,513,742号および第6,471,694号)]またはMRIガイダンス[ガリル(米国特許第5,978,697号)]。上記特許および公報は、あらゆる目的で引用することにより、本願に援用する。「寒冷医療科学」(Cryomedical Sciences)の努力は、比較的小型(たとえば、3mm)のプローブにおいて液体窒素(
LN)に生じる流動障害に対処したが、大きいLNボリュームを使用する非常に複雑なシステムが必要だった。凍結剤特許は閉ループ気体システムに言及しているが、工学面の複雑さを減少させるための熱力学的な最適化については記載されていない。したがって、高速度の流速または多量の気体を使用して、プローブごとに最大限の凍結能力を生成するユニットを有する企業は、一般に、開放システムに対する要望を認識しており、つまり、こうした閉鎖システムに必要な圧縮器は、携帯用としては非常に大型で高価かつ扱いにくいからである。さらに、最小限の流動構成で最大の凍結力を生成するように最適化された極低温構造およびプローブ構成が存在しないため、比較的小径(つまり、<1.5mm)のプローブの設計が妨げられる。ガリルは1.5mmプローブを有するが、その凍結容量は、体内治療用の2.4mmプローブ未満である。
【0007】
凍結プローブおよび主駆動システムを最適化するために、複合的な努力が必要である。多様な寒冷療法器具は凍結プローブ、寒冷療法アブレーションデバイス、低温保持装置および超低温冷凍機と様々に呼ばれており、これらの器具は入手可能になった。現在好ましい寒冷療法システムは、JT低温保持装置として周知されているデバイス内で、ジュールトムソン(JT)冷却を使用する。これらのデバイスは、非理想気体は膨張する時に非常に低温になるという事実を利用している。これらのデバイスでは、アルゴンまたは窒素などの高圧気体は、鋼から製造された小型の円筒状シース内のノズルを通して膨張し、JTの膨張は、鋼シースを冷凍温度以下の極低温温度まで非常に迅速に冷却する。例示的なデバイスは、米国特許第3,800,552号に示されており、その全体の開示事項は、あらゆる目的で引用することにより、本願に援用する。この特許は、金属製のシースを有する基本的なジュールトムソンプローブを示し、フィン管の螺旋状気体供給ラインは、膨張気体をプローブ内に方向付けるジュールトムソンノズル内に至る。膨張気体は、フィン管の螺旋状気体供給ライン上に排出され、「逆流熱交換器」として周知されている熱交換器内に流入する高圧気体を予冷する。逆流熱交換器は、流入気体を予冷することにより、流出気体流で流入気体を予冷することにより、プローブはさらに低温になる。
【0008】
米国特許第5,522,870号は、あらゆる目的で引用することにより本願に援用され、ジュールトムソンデバイスの一般的な概念を、先ず組織の凍結に使用され、次に当該組織を加熱サイクルで解凍するために使用されるデバイスに適用する。窒素は、冷却サイクル用のジュールトムソンノズルに供給され、ヘリウムは、加温サイクル用の同じジュールトムソンノズルに供給される。ヘリウムの予熱は、十分な高温に加温を提供するために使用される。さらに、約240℃のヘリウムガスの反転温度は、液体窒素の基準温度(−193℃)より十分に低いため、ヘリウムは、−240℃以上の温度で本質的に理想気体であり、したがって気体膨脹プロセスでは冷却しない。様々な超低温冷凍機は、冷却サイクル後に、プローブを介して逆にフラッシュしてプローブを加温する質量流加温を使用する。[ラム(Lamb)の「冷凍外科用プローブ(Refrigerated Surgical Probe)、米国特許第3,913,581号;ロングスワース(Longsworth)の「凍結プローブ」(Cryoprobe)、米国特許第5,452,582号。これらの特許は各々、あらゆる目的で引用することにより、本願に援用する。医師と病院が気体ベースのシステムを広く採用しないのは、効率的な内蔵システムが欠如しているためであると考えられる。
【0009】
最後に、寒冷療法は、他の癌治療法に対する補助的または相補的な療法であると考える必要がある。イメージガイドによる腫瘍アブレーションに関する多くの論文からの好結果の報告(熱ベースの療法および寒冷療法の療法を含む)は、無線学会(Radiological Society)による2002年2003年北米年次会議で注目された。数名の著名な放射線科医は、外科医、放射線療法および化学療法に関連して、「癌研究の第4の分岐点」であると考えた。リトラップ等は、大凝集アルブミン(MAA)、高張食塩水およびエピネフリンにより凍結される領域に予め射出することにより、寒冷療法の相乗作用の可能性、および溢液現象の危険性の減少にも注目している。この技術は、P32による膵臓癌治療法に関して、オーダー(Order)医師が説明しており、この技術によると、MAAは、間質性の「ゲル」効果を形成し、その結果、P32が腫瘍の注入部位から後に流体溢出するのを減少させる(米国特許第5,538,726号および第5,424,288号)。さらに、放射線治療薬または化学療法薬を、凍結前または凍結後に腫瘍中に直接注入すると、さらに腫瘍を貫通するアブレーションが行われる。寒冷療法と放射線療法または化学療法とを組み合わせると、化学療法または放射線療法単独の全体的な危険性を減少させることができる。したがって、プローブ、対応するシースシステム、または別個のプローブ注入システムを介して流体を供給できるプローブの改善は、その他の寒冷療法用途にとって明確な利益になるであろう。さらに、注入容量を含む最小限のサイズを可能にするプローブの変更は、疼痛管理における局所的な神経アブレーションに関するPCの問題のためになり、この問題を改めて活性化するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の概要
したがって、本発明の実施態様は、先行技術の特定の欠陥を克服する寒冷療法プローブを提供する。実施態様によっては、気体ベースの寒冷療法プローブには、閉鎖遠位端が体内に挿入するように構成されたシャフトが設けられる。供給導管は、気体を遠位端方向に流すためにシャフト内に長手方向に配置され、戻り導管は、遠位端から気体を流すためにシャフト内に長手方向に配置される。気体は、供給導管内よりも低圧で戻り導管内に維持される。熱交換器は、供給導管および戻り導管と熱的に連通するシャフト内に配置され、供給導管内の気体からの熱を戻り導管内の気体に交換する。真空ジャケットは、熱交換器をシャフトから熱的に隔離するように構成される。
【0011】
熱交換器は、供給導管と接触すると共に、戻り導管方向に延在する複数の高熱伝導性材料のストリップを備える。場合により、このシャフトは、シャフトの遠位端に非磁気本体および金属先端を備える。一実施態様では、このシャフトは、流体を注入するための複数の注入ポート、たとえば細胞傷害性を強調するか、および/または致命的凍結の全体的直径を強化するために使用される注入ポートを有する。その他の実施態様では、電気配線は真空ジャケット内に配置される。たとえば、電気配線は、遠位端の多点温度監視を可能にして、人体の加温などを含む人体の電気的刺激を行うように構成された多機能電気配線を備える。ジュールトムソンポートは、シャフトの遠位端に配置され、熱交換器と熱結合する。一実施態様では、熱交換器は、複数の高熱伝導性材料のストリップを備え、これらは供給導管に接触し、戻り導管方向に延在する。
【0012】
本発明のその他の実施態様は、液体ベースの寒冷療法プローブであって、シャフトが、体内に挿入するように構成されると共に、シャフト内に中空領域を有する閉鎖遠位端を有し、こうした中空領域は、液体の循環および/または蒸発に備えている。熱的に隔離された入口毛管は、中空領域と連通するように設けられ、中空領域方向に液体の流れを提供する。出口毛管は、中空領域と連通するように設けられ、中空領域から離れる方向に液体の流れを提供する。真空ジャケットは、シャフト内の入口毛管および出口毛管をシャフトから熱絶縁するように構成される。一実施態様では、出口毛管の平均断面積は、入口毛管の平均断面積より大きい。液体ベースの寒冷療法プローブのシャフトは注入ポートを有するか、および/または電気配線は、気体ベースの寒冷療法プローブに関して上記で述べたとおり、真空ジャケット内に配置される。
【0013】
その他の実施態様では、材料を冷却するためのある方法が提供される。凍結プローブの端部は被冷却材料に配置されるか、および/または被冷却領域内に、入口/出口網が確立される。極低温液体は、極低温液体用の液体蒸気システムの臨界点付近の物理的条件下で、凍結プローブまたは冷却網を通って循環する。その結果、凍結プローブの凍結に関連するベーパーロックは防止される。これらの実施態様は、凍結プローブが高度の冷却能力(たとえば、>25ワット)を有し、さらに2mm未満の直径を有することを可能にする。ある実施態様では、1mm未満の直径を有する凍結プローブでさえも提供される。特定の一実施態様では、極低温液体は液体窒素であり、物理的条件は約33.5気圧の圧力を含む。材料は、入イメージングアレイ、デバイス内の電子回路などを含む。実施態様によっては、材料は、材料内に第2の凍結プローブを配置して、電気絶縁材料から製造された電気的凍結プローブ間に強制的に電流を流すことにより、電気的にアブレートされる。
【0014】
本発明のさらに他の実施態様は、流動ポートを提供する。ある構造は、材料が貫流するオリフィスを画定する。高張力鋼ワイヤはオリフィス内に配置され、オリフィスを通る材料の流れに応じて振動するように構成される。オリフィスは、高レイノルズ数の流動パターンを支持するように構成される。流動ポートは、エンジン燃料噴射装置の一部、化学薬品噴霧ノズルの一部、流体ジェットの一部などを構成する。
【0015】
一実施態様では、体温を決定するための方法を提供する。測定電流は、体内のワイヤに供給される。順方向電圧は、測定電流を実質的に一定に維持した状態で測定される。電流の方向は、測定された順方向電圧の負をワイヤに印加することにより逆転する。逆電圧は、電流の方向が逆転すると測定される。ワイヤの抵抗は、測定された電圧から決定され、ワイヤと電気的に連絡する測定リードに関連する熱起電力差に相当する。温度は決定された抵抗、および温度に応じて較正された抵抗の変動から決定される。ワイヤは、シャフトを有する寒冷療法プローブにより構成され、シャフトは、体内に挿入するように構成された閉鎖遠位端と、低温流体をシャフト内に流すための導管と、閉鎖遠位端内に配置された支柱とを備え、ワイヤは、支柱の周囲に複数の巻回を形成する。
【0016】
本発明の実施態様は、先行技術の特定の欠陥を防止する寒冷療法システムも提供する。寒冷療法システムは複数の凍結プローブを備え、各々の凍結プローブはシャフトを有し、シャフトは、体内に挿入するように構成された閉鎖遠位端と、低温流体をシャフト内に貫流させて、遠位端の温度を低下させるための導管とを備える。低温流体用の源、および複数の流量制御計量バルブは、複数の凍結プローブの導管、および低温流体源と連通するように設けられる。圧縮器は、凍結プローブの導管と連通して、内蔵流体システムを画定するように設けられる。複数の流量制御計量バルブおよび圧縮器は、低温流体の所望の流れを内蔵流体システムの導管に通すように、コンピュータプロセッサにより制御される。
【0017】
実施態様によっては、内蔵流体システムは開ループシステムであり、他の実施態様では閉ループシステムである。さらに、別の実施態様では、低温流体は気体または液体である。低温流体が気体である一実施態様では、各々の凍結プローブは、凍結プローブの導管と熱的に連通するシャフト内に配置された熱交換器をさらに有する。さらに、各々の凍結プローブは、熱交換器と熱的に連通するシャフトの遠位端に配置されたジュールトムソンポートを備え、コンピュータプロセッサが、ジュールトムソンポートの各々の動作を付加的に制御する。低温流体が液体である一実施態様では、コンピュータプロセッサは、圧縮器および流量制御計量バルブを制御し、液体の液体蒸気システムの臨界点付近の物理的条件化で、液体の初期流動を提供する。その結果、凍結プローブの凍結に関連するベーパーロックは回避される。コンピュータプロセッサは、次に、圧縮器および流量制御計量バルブを制御して、凍結プローブ内の液体の圧力を低下させ、より低温の液体温度を維持することが可能であり、初期流動を確立した後にベーパーロックを生じることがない。ある場合は、加温気体源は、能動的解凍手順の一部として、導管を通って流れる。
【0018】
圧縮器は、周囲の極低温液体を圧縮するための水中ポンプを備える。こうした位置実施態様では、圧縮された極低温液体と周囲の極低温液体との熱交換により圧縮熱を除去するための熱交換器を備える。もう1つのこうした実施態様では、複数の凍結プローブは、個々の供給ラインを通して水中ポンプと連通すし、コンピュータプロセッサはさらに、個々の供給ラインを通して流れを調整することにより、複数の凍結プローブの凍結力を設定するように構成される。別法による構成では、圧縮器は、プッシュプルベローシステムおよび線形作動装置モータを備える。こうした位置実施態様では、コンピュータプロセッサはさらに、線形作動装置モータにより加わる力を制御して、極低温液体の圧力を設定するように構成される。
【0019】
実施態様によっては、コンピュータプロセッサは、予め定義されたイメージングパラメーターから所望の流れを決定する。たとえば、予め定義されたイメージングパラメーターは、体内の凍結マージンの定義に対応する。
【0020】
その他の実施態様では、各々の凍結プローブは、複数の多機能電気ワイヤをさらに有し、コンピュータプロセッサは、多機能電気ワイヤの動作を監視するように構成される。たとえば、多機能電気ワイヤは、温度を監視し、熱を提供し、生体内の神経を刺激し、凍結プローブの空間的位置限定を可能にするなどのために使用される。一実施態様では、凍結プローブの両端は電気絶縁材料を含み、コンピュータプロセッサはさらに、凍結プローブの両端間の電流が強制的に、人体の介在部分を加熱するように構成される。もう1つの実施態様では、コンピュータプロセッサはさらに、寒冷感知物質を体内に注入するのを開始するように構成される。
【0021】
本発明の方法は、上記の寒冷療法システムの動作を指示するために、本発明により具現されるコンピュータ可読プログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体内に埋め込まれる。コンピュータ可読プログラムは、上記の実施態様に従って寒冷療法システムを動作させるための命令を含む。
(項目1)
気体ベースの寒冷療法プローブであって、
閉鎖遠位端が、体内に挿入するように構成されたシャフトと、
該シャフト内に長手方向に配置され、気体を該遠位端方向に流すための供給導管と、
該シャフト内に長手方向に配置され、該気体を該遠位端から流すための戻り導管であって、該気体が、該供給導管内より、該戻り導管内において比較的低圧に維持される戻り導管と、
該供給導管および該戻り導管と熱的に連通して該シャフト内に配置されて、供給導管内の気体からの熱を、該戻り導管内の気体と交換するための熱交換器と、
該熱交換器を該シャフトから熱的に隔離するように構成される真空ジャケットと、
を備える、寒冷療法プローブ。
(項目2)
上記熱交換器が、上記供給導管と接触して、上記戻り導管方向に延在する複数の高熱伝導性材料のストリップを含む、項目1に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目3)
上記シャフトが非磁気本体および金属先端を上記シャフトの遠位端に備える、項目1に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目4)
上記シャフトが、流体を注入するための複数の注入ポートをさらに有する、項目1に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目5)
真空ジャケット内に配置される電気配線をさらに備える、項目1に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目6)
上記電気配線が、上記遠位端の多点温度監視を可能にするように構成される多機能電気配線を備える、項目5に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目7)
上記多機能電気配線が、上記人体の電気刺激を行うように構成される、項目6に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目8)
上記シャフトの遠位端に配置され、上記熱交換器に熱的に結合されたジュールトムソンポートをさらに備える、項目1に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目9)
上記熱交換器が、上記供給導管と接触して、上記戻り導管方向に延在する複数の高熱伝導性材料のストリップを備える、項目1に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目10)
気体ベースの寒冷療法プローブであって、
体内に挿入するように構成された閉鎖遠位端を有するシャフトと、
該シャフト内に長手方向に配置され、気体を遠位端方向に流すための供給導管と、
該シャフト内に長手方向に配置され、該気体を遠位端から流すための戻り導管であって、該気体が、該供給導管内よりも該戻り導管内で比較的低圧に維持される戻り導管と、
該供給導管および該戻り導管と熱的に連通してシャフト内に配置され、該供給導管内の該気体からの熱を該戻り導管内の該気体に交換するための熱交換器であって、該供給導管と接触して、該戻り導管方向に延在する複数の高熱伝導性材料のストリップを備える熱交換器と、
を備える、寒冷療法プローブ。
(項目11)
上記シャフトが非磁気本体および金属先端を上記シャフトの遠位端に備える、項目10に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目12)
上記シャフト内に配置されて、上記遠位端の多点温度監視を可能にする多機能電気配線をさらに備える、項目10に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目13)
上記シャフトの上記遠位端に配置され、上記熱交換器と熱的に結合するジュールトムソンポートをさらに備える、項目10に記載の気体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目14)
液体ベースの寒冷療法プローブであって、
体内に挿入するように構成され、中空領域を該シャフト内に有するように構成された閉鎖遠位端を有するシャフトと、
該中空領域と連通して、液体の流れを該中空領域方向に提供するための熱的に隔離された入口毛管と、
該中空領域と連通して、液体の流れを該中空領域から離れた方向に提供する出口毛管と、
該シャフト内の該入口毛管および該出口毛管を該シャフトから熱的に隔離するように構成される真空ジャケットであって、
該出口毛管の平均断面積が、該入口毛管の平均断面積より大きい真空ジャケットと、
を備える、寒冷療法プローブ。
(項目15)
上記シャフトが非磁気本体および金属先端を上記シャフトの遠位端に備える、項目14に記載の液体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目16)
上記シャフトが流体を注入するための複数の注入ポートを備える、項目14に記載の液体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目17)
上記真空ジャケット内に配置された電気配線をさらに備える、項目14に記載の液体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目18)
上記電気配線が、上記遠位端の多点温度監視を可能にするように構成された多機能電気配線を備える、項目17に記載の液体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目19)
上記多機能電気配線が、上記人体を電気的に刺激するように構成される、項目19に記載の液体ベースの寒冷療法プローブ。
(項目20)
材料を冷却するための方法であって、
凍結プローブの端部を該材料内に配置するステップと、
極低温液体用の液体蒸気システムの臨界点付近の物理的条件下で、該極低温液体を上記凍結プローブに循環させるステップ、
を包含し、その結果、上記凍結プローブに関連するベーパーロックが防止される、
方法。
(項目21)
上記凍結プローブの直径が2mm未満である、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記凍結プローブの直径が1mm未満である、項目20に記載の方法。
(項目23)
上記極低温液体が液体窒素であり、上記物理的条件が約33.5気圧の圧力を含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
上記材料がイメージングアレイを含む、項目20に記載の方法。
(項目25)
上記材料が、デバイス内に電子回路を含む、項目20に記載の方法。
(項目26)
以下のステップ:
第2凍結プローブの端部を材料内に配置し、上記凍結プローブの端部が、電気絶縁材料から製造されるステップと、
電流を該凍結プローブの端部間に強制的に流して、介在する材料を加熱することにより、物質を電気的にアブレートするステップと
をさらに備える、項目20に記載の方法。
(項目27)
上記材料を電気的にアブレートするステップが、上記極低温液体を凍結プローブに循環させて、最初に氷を形成した後に行われる、項目26に記載の方法。
(項目28)
凍結プローブを使って寒冷感知物質を上記材料中に注入するステップをさらに備える、項目20に記載の方法。
(項目29)
以下:
材料が通って流動するオリフィスを画定する構造と、
該オリフィス内に配置され、該オリフィスを通る材料の流れに対応して振動するように構成される、高張力ワイヤと
を含む、流動ポート。
(項目30)
上記オリフィスが、高レイノルズ数流動パターンを維持するように構成される、項目29に記載の流動ポート。
(項目31)
上記流動ポートがエンジン燃料噴射装置の一部を形成する、項目29に記載の流動ポート。
(項目32)
上記流動ポートが化学薬品噴霧ノズルの一部を形成する、項目29に記載の流動ポート。
(項目33)
上記流動ポートが流体ジェットの一部を形成する、項目29に記載の流動ポート。
(項目34)
上記流動ポートが、天然ガス精製デバイスの一部を形成する、項目29に記載の流動ポート。
(項目35)
体温を決定するための方法であって、
体内のワイヤに測定電流を供給するステップと、
該測定電流を実質的に一定に維持しつつ、順方向電圧を測定するステップと、
該測定した順方向電圧の負をワイヤに印加することにより、該電流の方向を逆転させるステップと、
該電流の方向を逆転させて、逆電圧を測定するステップと、
該測定した電圧から該ワイヤの抵抗を決定し、該ワイヤと電気的に連絡する測定リードに関連する熱起電力差を明らかにするステップと、
該決定された抵抗、および温度に応じた抵抗の較正済み変動から温度を決定するステップと、
を含む、方法。
(項目36)
上記ワイヤが、上記閉鎖遠位端が上記体内に挿入するように構成されたシャフトと、低温流体を該シャフト内に流すための導管と、該閉鎖遠位端内に配置された支柱とを有し、該ワイヤが、該支柱の周囲に複数の巻回を形成する寒冷療法プローブにより構成される、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記ワイヤが、少なくとも1個の温度測定点を含むプローブにより構成される、項目35に記載の方法。
(項目38)
複数の凍結プローブであって、こうした各々の凍結プローブが、閉鎖遠位端が体内に挿入するように構成されたシャフトと、該シャフトを通して低温流体を流し、該遠位端の温度を低下させるための導管とを有する凍結プローブと、
低温流体源と、
複数の凍結プローブの導管と、低温流体源と連通する複数の流量制御計量バルブと、
該複数の凍結プローブの導管と連通して、内蔵流体システムを画定する圧縮器と、
該複数の流量制御計量バルブおよび該圧縮器を制御して、該内蔵流体システムの導管を通る低温流体の所望の流量を提供するように構成されるコンピュータプロセッサと
を備える、寒冷療法システム。
(項目39)
上記内蔵流体システムが開ループシステムである、項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目40)
上記内蔵流体システムが閉ループシステムである、項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目41)
上記低温流体が気体であり、
こうした各々の凍結プローブが、こうした凍結プローブの上記導管と熱的に連通する上記シャフト内に配置された熱交換器をさらに備える、
項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目42)
上記複数の凍結プローブの各々が、上記熱交換器と熱的に連通してシャフトの上記遠位端に配置されたジュールトムソンポートを備え、
上記コンピュータプロセッサが、各々のジュールトムソンポートの動作を制御するようにさらに構成される、
項目41に記載の寒冷療法システム。
(項目43)
上記低温流体が液体であり、
上記コンピュータプロセッサが、上記圧縮器および上記複数の流量制御計量バルブを制御して、上記液体用の液体蒸気システムの臨界点付近の物理的条件下で上記凍結プローブの導管を通る液体の最初の流量を提供するように構成され、
その結果、該凍結プローブの凍結に対応するベーパーロックが防止される、
項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目44)
上記コンピュータプロセッサが、上記凍結プローブ内の液体の圧力を実質的に低下させ、その結果、比較的低温の液体温度が維持され、最初の流量が確立した後にベーパーロックを生じないように構成される、項目43に記載の寒冷療法システム。
(項目45)
上記圧縮器が、周囲の極低温液体を圧縮するための水中ポンプを備える、項目43に記載の寒冷療法システム。
(項目46)
上記圧縮器が、圧縮された極低温液体と周囲の極低温液体との熱交換により、圧縮熱を除去するための熱交換器を備える、項目45に記載の寒冷療法システム。
(項目47)
上記複数の凍結プローブが、個々の供給ラインを介して水中ポンプと連通し、
上記コンピュータプロセッサが、個々の供給ラインを通る流量を調整することにより、複数の凍結プローブの凍結領域を設定するようにさらに構成される、
項目45に記載の寒冷療法システム。
(項目48)
上記圧縮器がプッシュプルベローシステムおよび線形作動装置モータを備える、項目43に記載の寒冷療法システム。
(項目49)
上記コンピュータプロセッサが、線形作動装置モータにより制御されて、上記極低温液体の圧力を設定するようにさらに構成される、項目48に記載の寒冷療法システム。
(項目50)
上記流量制御計量バルブと連通する加温気体源をさらに備え、上記コンピュータプロセッサが、該流量制御計量バルブを制御して、能動解凍手順の一部として、導管を通る加温気体の流れを開始するようにさらに構成される、項目43に記載の寒冷療法システム。
(項目51)
上記コンピュータプロセッサが、予め定義されたイメージングパラメーターから所望の流量を決定するようにさらに構成される、項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目52)
予め定義されたイメージングパラメーターが、上記体内の凍結マージンの定義に対応する、項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目53)
上記複数の凍結プローブの各々が、複数の多機能電気ワイヤをさらに有し、
上記コンピュータプロセッサが、上記多機能電気ワイヤの動作を監視するように構成される、
項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目54)
上記コンピュータプロセッサが、温度を監視するために上記多機能電気ワイヤの動作を監視するように構成される、項目53に記載の寒冷療法システム。
(項目55)
上記コンピュータプロセッサが、熱を提供するために上記多機能電気ワイヤの動作を監視するように構成される、項目53に記載の寒冷療法システム。
(項目56)
上記人体が生体であり、
上記コンピュータプロセッサが、該生体内の神経を刺激するために、上記多機能電気ワイヤの動作を監視するように構成される、
項目53に記載の寒冷療法システム。
(項目57)
上記コンピュータプロセッサが、上記凍結プローブの空間的な位置限定を可能にするために、上記多機能電気ワイヤの動作を監視するように構成される、項目53に記載の寒冷療法システム。
(項目58)
上記凍結プローブの端部が電気絶縁材料を含み、
上記コンピュータプロセッサが、上記凍結プローブの端部間に強制的に電流を供給し、介在する人体部分を加熱するように構成される、項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目59)
上記コンピュータプロセッサが、上記体内への寒冷感知物質の注入を開始するようにさらに構成される、項目38に記載の寒冷療法システム。
(項目60)
コンピュータ可読プログラムが、寒冷療法システムの動作を指示するために内部に埋め込まれたコンピュータ可読記憶媒体であって、該寒冷療法システムは、複数の凍結プローブであって、こうした各々の凍結プローブが、閉鎖遠位端が体内に挿入するように構成されたシャフトと、該シャフトを通して低温流体を流し、該遠位端の温度を低下させるための導管とを有する凍結プローブと、低温流体源と、該複数の凍結プローブの導管と、かつ該低温流体源と連通する複数の流量制御計量バルブと、該複数の凍結プローブの導管と連通して、内蔵流体システムを画定する圧縮器と、コンピュータプロセッサとを備え、ここで該コンピュータ可読プログラムが、
該内蔵流体システムの導管を通る低温流体の所望の流量を提供するために、該複数の流量制御計量バルブおよび該圧縮器を制御する命令を含む、
コンピュータ可読記憶媒体。
(項目61)
上記内蔵流体システムが開ループシステムである、項目60に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目62)
上記内蔵流体システムが閉ループシステムである、項目60に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目63)
上記低温流体が気体であり、
こうした各々の凍結プローブが、こうした凍結プローブの導管と熱的に連通して上記シャフト内に配置された熱交換器をさらに有し、ジュールトムソンポートが、上記熱交換器と熱的に連通する該シャフトの遠位端内に配置され、
上記コンピュータ可読プログラムが、該ジュールトムソンポートの各々の動作を制御するための命令をさらに有する、
項目60に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目64)
上記低温流体が液体であり、
上記コンピュータ可読プログラムが、上記圧縮器および上記複数の流量制御計量バルブを制御して、上記液体用の液体蒸気システムの臨界点付近の物理的条件下で上記凍結プローブの導管を通る液体の最初の流量を提供するように構成され、
その結果、上記凍結プローブの凍結に対応するベーパーロックが防止される、
項目60に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目65)
上記コンピュータ可読プログラムが、上記凍結プローブ内の液体の圧力を低下させ、その結果、比較的低温の液体温度が維持され、最初の流量が確立した後にベーパーロックを生じないように、上記圧縮器および上記複数の流量制御計量バルブを制御するための命令をさらに有する、項目64に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目66)
上記コンピュータ可読プログラムが、予め定義されたイメージングパラメーターから所望の流量を決定するための命令をさらに有する、項目60に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目67)
上記複数の凍結プローブの各々が、上記複数の多機能電気ワイヤをさらに有し、
上記コンピュータ可読プログラムが、該多機能電気ワイヤの動作を監視するための命令をさらに有する、
項目60に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目68)
体内の温度を決定するためのシステムであって、
電源と、
電圧測定デバイスと、
体内にあり、該電源および該電圧測定デバイスと電気的に連絡するワイヤと、
該電源および該電圧測定デバイスと電気的に連絡する制御装置であって、
該電源を使って測定電流をワイヤに供給し、
該測定電流を実質的に一定に維持した状態で、該電圧測定デバイスを使って順方向電圧を測定し、該電源を使って、該測定した順方向電圧の負を該ワイヤに印加することにより該電流の方向を逆転させ、
該電流の方向を逆転させた状態で、該電圧測定デバイスを使って逆電圧を測定し、
該測定電圧から該ワイヤの抵抗を決定して、該ワイヤと電気的に連絡する測定リードに関連する熱起電力差を明らかにし、
該決定された抵抗、および温度に応じた抵抗の較正済み変動から温度を決定する、
ように構成される制御装置と
を備えるシステム。
(項目69)
上記ワイヤが、寒冷療法プローブであって、閉鎖遠位端が体内に挿入するように構成されたシャフトと、低温流体を該シャフト内に流すための導管と、該閉鎖遠位端内に配置された支柱とを有する寒冷療法プローブにより構成され、上記ワイヤが、該支柱の周囲に複数の巻回を形成するシステム。
(項目70)
上記ワイヤが、少なくとも1個の温度測定点を含むプローブにより構成された、項目68に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の本質と利益は、本明細書の残りの部分および図面を参照するとさらに理解することができ、図中、類似の参照符号は、いくつかの図面全体で類似構成部品を指すために使用する。場合によっては、サブラベルは参照符号に対応し、ハイフンを続けて、複数の類似構成部品の1つを意味する。既存のサブラベルを指定しない参照符号を引用する場合、こうした複数の類似構成部品を指示することを意図する。
【図1】図1は、LNなどの液体の位相構造を示す位相図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施態様による気体ベースの凍結プローブの一実施態様を示す略図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施態様による図2Aの気体ベース凍結プローブを使用する気体ベースの凍結システムの略図である。
【図3】図3は、ハードワイヤが、硬化鋼またはニオビウム−チタンなどの材料から製造され、毛管入口の供給管内に〜5mm延在するJTポートの略図である。
【図4】図4は、本発明の一実施態様による6個の凍結プローブを使用する腫瘍治療法の略図である。
【図5】図5は、液体窒素循環サイクルを使用する本発明の一実施態様による凍結プローブの略図である。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施態様による凍結プローブおよび単精製された近臨界システムの略図である。
【図6B】図6Bおよび図6Cは、本発明の実施態様に使用されるLNシステムの図である。
【図6C】図6Bおよび図6Cは、本発明の実施態様に使用されるLNシステムの図である。
【図6D】図6Dは、腫瘍−アブレーション用途に適するLN寒冷療法システムの一実施態様の図である。
【図6E】図6Eは、神経/疼痛用途に適するLN寒冷療法システムの一実施態様の図である。
【図7−1】図7は、本発明の実施態様により製造された凍結プローブの特定の特性を示す実験データを示す。
【図7−2】図7は、本発明の実施態様により製造された凍結プローブの特定の特性を示す実験データを示す。
【図8】図8は、凍結プローブを不規則な腫瘍内に使用する図である。
【図9】図9は、複数の温度感知抵抗を有する凍結プローブの実施態様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細な説明
1.概要:冷却サイクルの熱力学
最初の方法として、本願特許出願人は、現在様々な寒冷療法ツールに使用されている極低温冷凍の2つの方法を分析および比較する:a)高圧気体(ArまたはN)から等エンタルピー膨張冷却する(ジュールトムソンプロセス)、およびb)冷却液(液体N2、以下LN)を凍結プローブの先端に直接注入する。
【0024】
a.ジュールトムソン(JT)冷却
この冷凍技術は、高圧気体供給(≒6000psi)、プローブの先端を冷却するJT膨張ジェット、および凍結プローブ内に実装される小型熱交換器を使用する。気体流間の理想的な(完全な)熱交換を仮定すると、JT冷却の最大冷却力は、沸点(および1気圧)のTAr=87KのArガスの場合、1.86kJ/モルに等しい。窒素ガスを使用する場合、最大冷却力は、1.6倍少なく、つまり1.15kJ/モルである。
【0025】
この方法の主な欠点は、膨張後の蒸気/液体比が約2.5であるから、気体の消費量が非常に大きいことである。実際、この比率は著しく大きく、つまり、小型プローブ内の流れ間の熱交換が理想とかけ離れているためである。これは、プローブの直径に制約を与えて、合理的な冷却力を達成するものであり、プローブ内の気体チャネルの幾何学的チャネルの障害は、適切な量の気体をJT接合部に供給するか、またはJT接合部から供給するのに十分でなければならない。
【0026】
b.液体窒素による冷却
冷却液を凍結プローブの凍結領域内に直接注入することは、JT冷却と比べるとはるかに効果的であると思われる。たとえば、JTプロセスと同じ冷却力を達成するには、必要な冷却液のモル流量は3〜4倍少なくて良い(Arの場合は3.5倍、Nの場合は4.5倍)。液体窒素は、一般に使用されている最も安価な極低温液体であり、その沸点は、アルゴンの沸点より大気圧下において約10K低い。したがって、以下に示す分析結果はLNの場合である。
【0027】
LNは、標準(1気圧)を考える場合、ベーパーロックを生じる(以下の表1のモル体積参照)。したがって、LNの流れ、および1気圧における非常に低密度の蒸気相の流れは、冷却力が非常に乏しく、LN冷却およびその低コストという潜在的な利益を排除する。JT効果のための高圧、および最適化された流れの問題を考慮すると、著しい体積の膨張による流れの遮断を最小限にするために、LNも加圧すると良いということになる。圧力は臨界点方向に増加するため、蒸気密度は増加し、蒸気が形成されると、冷凍システムに対する負の影響を著しく減少させる。LNの臨界点は33.5気圧(表1)に達し、ここでは、モル体積は液体および気体で実質的に等しい。流体温度が77K〜130K(表1)に増加したら、後圧縮熱交換器を使用して、圧縮LNを再び77Kの周囲槽温度まで冷却する。LNなどの液体に一般的な位相図は、図1に示すことができ、この図では、比較的低温の動作点までの予想圧縮シーケンスと共に、臨界点が指示されている。圧縮は、先ず、LNを液体蒸気曲線に沿って増加させるために使用され、LN槽は、図示のとおり圧縮液体温度をプローブ動作点まで低下させる。本願特許出願人は、33.5気圧の臨界圧付近に維持することを意味するために、「近臨海窒素」という用語を使用する。
【0028】
この場合の技術的構造の唯一の複雑さは、入口(冷却液供給)管を熱的に隔離する必要性である。液体流は、おそらく、大きい熱負荷が加わっているプローブ先端を除いて、どこでも気泡を形成せず、冷却力を制限するベーパーロック状態を生じないことが望ましい。液体蒸気システムの臨界点付近で動作することにより、蒸気相は、大気圧付近で動作した場合に比べて、はるかに緻密である。これは、液体の体積膨張を蒸気相にすることは少なく、結果として得られる蒸気相をはるかに効果的な冷却液にする。
【0029】
LN循環凍結プローブ自体の構造は、JTサイクルベースの凍結プローブの構造に比べると著しく単純になり、内部の熱交換器およびJTジェットは、共に不要になる。プローブ全体の内部構造は、図5に関連して以下で説明する非常に単純な構造に縮小することができる。この単純化された構造により、プローブの製造コストが削減され、この点は、プローブを使用後に廃棄するか、または返却して再利用表示する市場では重要である。プローブの最適な性能およびその主な特性は、窒素の熱力学的特性に基づいて概算することができる。これらの特性を以下の表1にまとめる。
【0030】
【表1】

表の最後の列QMAXは、窒素は、77.4Kの周囲LN槽と熱交換することにより「過冷却」されることを仮定して、このプロセスで達成可能な冷却力の最大値である。承知のとおり、これらの条件下では、冷却力は、約30バール以下の圧力には殆ど依存しない。さらに、圧力≒35バールの超臨界領域(表1の下の行)で、単位質量流当たりほぼ同じ冷凍レベルを生成することができる。過臨界窒素の流れを最初に確立した後、QMAXは、動作圧力を10〜15気圧低下させることにより、さらに18%(5900/5000J/モル)増加することが可能である。このレベルにおける動作は、1気圧でLNを使用しようとすると、この気圧でベーパーロックをある程度防止できる場合でも、QMAXが6%増加することを意味する。
【0031】
「従来の」冷却(冷却効果が潜熱のみによる場合)は、低圧限界でのみ、匹敵する冷却力を提供することができることは、注目に値する。しかし、低圧領域で凍結プローブを動作させることは、ベーパーロックの可能性があるため難しい。冷却先端で殆どまたはまったく蒸発しない液体流により冷却するプローブを設計することは、はるかに望ましい。著しく体積が膨張して従来のLN冷却プローブ内が蒸気相になるのを防止することにより(LNの圧力が、ほぼ1気圧の周囲圧力である場合)、さらに小さい直径の戻り流路を先端から使用すると、凍結力を犠牲にすることなく、全体のプローブ直径を縮小することが可能である。非常に大きい熱負荷では、蒸発はプローブの先端で生じるが、液体窒素の圧力が臨界圧力に近い場合、プローブの凍結力には殆ど悪影響を与えない。臨界圧力付近では、蒸気相密度は、液体相の場合とほぼ同じであり、蒸気相が形成されると、プローブの冷凍力に対する悪影響は減少する。これは、臨界圧力付近で動作することの1つの利益である。必要な冷却力を達成するには、凍結プローブを通る冷却液の流れは、合理的に高レベルに維持されなければならない。これは、凍結プローブの幾何学的サイズに制約を与える。次に、流動力学的に概算する。
【0032】
c.流動力学
以下の概算では、プローブの所望の冷却力は25ワットであると仮定する。表1から、蒸発LN冷凍装置では、冷却力は、0.005モル/秒の流速に相当することが分かる。この値を以下の計算で使用する。
【0033】
残念ながら、使用可能な窒素速度データは不完全である。公知の値を以下の表2にまとめる:
【0034】
【表2】

(i)レイノルズ数
対応するレイノルズ数(R)は、以下の方程式を使用して概算することができる:
【0035】
【数1】

ただし、ρは密度、vは流速、Vは対応する体積流量、およびm=ρVは質量流量である。数値的に、流量は0.005モル/秒、d=0.5mmと仮定すると、以下が得られる:
【0036】
【数2】

(ii)圧力低下
1.液体流の場合
先ず、液体η=10−4Pa(ほぼ平均値)の場合、0.5mmの毛管では、レイノルズ数は3500台でなければならない(1mm毛管の場合1800、または0.3mm毛管の場合6000)。これは、流れは遷移領域にあり(層状の乱流)、この場合、理想上円滑な円形管のコールブルックの方程式を使用して、圧力低下Δpを概算する。この公式における抵抗係数Kは、K=fl/d≒20、ただしf=410−2は摩擦係数、l=25cmは毛管の長さ、d=0.5mmはその内径である。次に、圧力低下Δpは以下のように定義することができる。
【0037】
【数3】

以下を考慮すると、
【0038】
【数4】

最終的に以下が得られる。
【0039】
【数5】

液体の平均モル体積は、vL≒40cm/モルである。最適な循環量0.005 モル/秒で乗算すると、V≒0.2cm/秒になる。最後に、蒸気の方程式から、d=0.5mmの場合、Δp0.5≒7260Paである。同様に、d=0.3mmの場合、f=0.037、K=30.8、およびΔp0.3=8.710Paである。したがって、0.3mmでは、大気の約87%の圧力低下をきたし、これは、工学的サポートシステムで管理可能である。
【0040】
この流れに対するベーパーロックの可能性は、いわゆるウェーバー数を使用して概算することができ、ウェーバー数は、特有の表面張力エネルギーに対する流れの運動エネルギーの比率である。液体の平均速度は、0.5mmの毛管の場合、v=4V/πd≒1m/秒である。90K(平均)における液体窒素の表面張力は、σ=610−3N/mに等しい。したがって、ウェーバー数はW0.5=ρvd/σ≒600になり、ベーパーロックの可能性が非常に低いことを示す。同様に、W0.3=270である。
【0041】
2.気体戻り流の場合
循環速度510−3モル/秒と仮定して、ID0.5mmの毛管内の飽和N蒸気の場合に関して、体積流量および対応する流速を計算し、以下の表3に記載した:
【0042】
【表3】

低圧端部における流速は、こうした温度における窒素中の音速に非常に近く、77Kでは、音速は≒180m/秒であり、温度と共にわずかに増加し、100Kで200m/秒に達する。したがって、分析に使用した圧縮不能な液体の概算の適用性は、比較的高圧領域に限られる(特に、>5バール)。
【0043】
レイノルズ数は、上記の方程式を使用して概算することができるが、本願特許出願人は、粘度データを補間する必要がある。その結果、0.5mm毛管の場合、以下の概算が得られる:R1−2bar≒610、R3−5bar≒510、R15−25bar≒610。圧力低下の概算は、液体流の場合に比べて難しく、圧縮不能な気体の限界で行われる。次に、R=510、f=0.021および摩擦係数K=fl/d≒10とすると、Δp≒2.210Paが得られ、これは約2.2気圧である。やはり、圧力は、本明細書に記載の本発明による実施態様で操作可能である。
【0044】
(iii)LNの必要量
LNを他の凍結システムに使用する場合の従来の高容量の問題も克服された。つまり、こうしたユニットは、1個のケースが完了する前に、スラッシュ「デューア」の源泉内の50リットルの超冷却LNを消費するであろう。これは、戻りデューア内のLNを再冷却するための時間がかかる「再冷却」サイクルで、スラッシュデューアに再度供給することを必要とする。こうしたシステムは、LNをわずか5気圧しか加圧せず、これは、上記のほぼ臨界特性を得るには適さない。次に、圧縮LNは、スラッシュデューア内のLN槽との熱交換により約63Kまで超冷却し、この場合、スラッシュデューアは、液体窒素位相図上の3点に達するように、約98トールの真空に維持した。LNを5気圧でスラッシュデューアの温度まで超冷却した場合い、1気圧の液体窒素槽との熱交換により、圧縮液体窒素を77Kまで冷却した場合に得られる場合に比べて、ごくわずかな冷却力が追加されただけだった。したがって、スラッシュデューアの工学面の複雑さは、スラッシュデューアとの熱交換後、スラッシュデューアの液体窒素の流れの冷却能力が最小限しか改善されないことを正当化するものではない。表1に表示したように、25気圧の液体窒素は、1気圧の沸点における液体窒素と本質的に同じ冷却力Qmaxであるが、25バールでは、蒸気相密度は液体密度の5分の1を超え、1気圧未満の圧力では、蒸気相より30倍以上緻密である。したがって、液体窒素が25バールで流れると、比較的低圧で冷却する液体窒素の完全な利益が得られ、比較的低圧力でのベーパーロックによる冷却システムの不具合という悪影響はない。
【0045】
本出願の範囲内でテストしたプロトタイプの小型プローブでは、本願特許出願人は、完全な冷却力を生成するために、毎秒0.02STPリットルが必要であることを発見した。この流量は、「周囲」条件下で(1気圧の圧力未満における沸点で)、1時間当たり1液体リットルのLNに相当する。この液体は、臨界点付近の圧力まで圧縮されなければならず、1気圧からこの圧力までの圧縮熱は、周囲の液体窒素槽の蒸発により除去しなければならず、この液体窒素槽は、30気圧まで圧縮した後、圧縮LNを逆に77Kまで冷却する。30バールまでの圧縮熱を除去することは、以下に記載するとおり、周囲条件下において1時間当たりさらに0.81リットルの蒸発することに相当する。
【0046】
要約すると、仮定の圧縮熱をプローブごとに毎秒0.2標準リットル(1気圧のSLPS)の流量から除去するには、36ワットの付加的な冷却が必要である。これは、こうした完全に内蔵されたシステム構成を全速力で作動させる場合、全体的なシステムのLN消費量をLNのプローブごとに1時間当たり1.8リットルにするために、プローブの直接的な消費量を1時間当たり1リットル増加させる。比較的少量の流量では、消費量は非常に少ないが、本願特許出願人は、絶対的に最悪の事態を想定して、プローブごとに1時間当たり2リットルのLNを仮定した。
【0047】
(表4:LNの物理的特性)
ヤコブセン(Jacobsen)およびスチュアート(Stewart)から、N
J.Phys.Chem.参照データ(1973年)
【0048】
【表4】

d.比較
小径のプロトタイプの場合、JT冷却サイクルと比べると、LNを凍結領域に使用するとさらに有利であり、同じ冷却力を提供するために必要な流量ははるかに少なくなる。これは特に正しく、つまり、気相中の流速は、JTプロセスの戻りライン中における音速に既に非常に近いと思われるからである。この問題は、液体窒素を使用することにより軽減される。
【0049】
圧縮液体窒素の温度は、1気圧未満の沸点(77K)まで超冷却しなければならない。この場合、動作圧力の増加により、表1に示すように、臨界圧力とほぼ同程度高い圧力まで、冷却力が低下することはない。
【0050】
設計冷却力が25ワット(または流量が5mモル/秒)の場合、入口毛管/出口毛管の許容可能な直径は、毛管の両端における合理的な圧力差および流速を仮定して、概算することができる。実際にこの冷却力を供給するには、入口毛管は約0.3mm(ID)大きく、出口毛管は約0.5mm(ID)大きくする。したがって、真空ジャケット付きの冷凍プローブの外径は、約1.2mmという小さいサイズに作ることができる。JTベースのプローブの場合、このプローブは、一般に、匹敵する冷却力を提供するためには、直径は少なくとも2.5mmである。上記のとおり、直径がより大きいJTプローブを使用して、戻り気体流路において音速を超えない逆流熱交換器をサポートする。
【0051】
直径が非常に小さい冷凍プローブは、超臨界または近臨界窒素を冷却サイクルに使用する場合に構築することができる。これは、29〜35バールの圧力および78〜80Kの温度における動作に関する。このサイクルの冷却力は温度に応じて増加し、0.005モル/秒の流量の場合、130Kで25Wに達する。
【0052】
2.寒冷療法プローブおよびシステム
a.概要
本明細書は、液体および気体ベースのシステムに関する数個の内蔵寒冷療法プローブの構造について詳細に説明し、「内蔵」とは、タンクに繰返し最充填するか、またはタンクを交換することなく、持続的に使用可能な開ループまたは閉ループ構成を指すことを意図する。最適な物理ベースのプローブおよびシステム構成は、様々な実施態様に関して説明され、これらの実施態様は、液体ベースのシステムに関するベーパーロック、並びにさらに効率的および/または閉ループ気体ベースシステムを可能にするために最適化された流れの問題を取り上げている。
【0053】
次に、先行技術の欠陥を克服する経皮的寒冷外科手術および寒冷療法を行うための方法、冷凍プローブデバイス、および寒冷療法システムについて説明する。このプロセスは、単位サイズ当たりの凍結能力(および気体流量)が比較的大きい多数の小型等エンタルピー冷却プローブを使用するか、または液体をその近臨界点まで圧縮することによりベーパーロックを防止する液体凍結剤(つまり、LN)供給の新しい形態を使用することができる。これらのプローブは、工学上の複雑さまたはコストを増加させずに凍結能力の増加を臨床的に達成し、さらに必要に応じて著しいオペレータ−対話式制御を可能にする。冷凍プローブ構造は、熱力学的および/または流体力学的効率を達成し、その結果、気体ベースシステム用の対応する閉サイクルシステム、または近臨界流体を供給するための内蔵システムで、工学的システムのサイズの縮小およびコストの削減が達成される。気体用の閉サイクルシステム構造、または効率的な近臨界液体システムは、完全に内蔵型にすることにより、操作の複雑さを減少させ、したがって、長時間に及ぶ医療手順時に、圧縮気体タンクの変更、または非常に長い再生/最重点サイクルは不要である。複数のプローブを挿入した後、意図した凍結領域内におけるプローブの位置は、CT、MRIまたは超音波検査などのイメージングモダリティを使用して決定される。複数のプローブの各々を通る閉サイクル気体の流量は、凍結領域に彫刻して、医師が指定する意図した凍結範囲に一致するように自動的に調節される。したがって、プローブの構成は、プログラム可能かつ対話式の内蔵システムの動作に適合させた。新しい熱電対の構造は、さらに小さいプローブ(つまり、<2mm)でもプローブ先端の測定を可能にし、プローブを加熱して解凍するのを促進することができ、構造を単精製し、製造コストを削減する。凍結プローブの注入ポート、または別個のマルチプロング注入プローブシステムも、隣接する組織内における凍結パラメーターまたは凍結範囲の変調を可能にする。
【0054】
上記のとおり、ベーパーロックの原理は、従来の流動液体−窒素システムの冷却能力を効果的に制限する。たとえば、米国特許第5,254,116号および第5,334,181号には、プローブの冷却速度を1分未満まで増加し、プローブ温度を周囲条件でLNの沸点(−197℃)より低い約−200℃にする方法が記述されている。しかし、これは、LNを供給および再循環させる2個の大型デューアを介して、LNを−200〜208℃までサブ冷却する複合システムを必要としていた。これらのデューアの一方(「スラッシュデューア」)は、約100トールの減圧に維持しなければならない。こうしたプローブの構造により、Nガスは小さい孔を介して供給ラインから戻りラインに漏出し、LNがプローブ先端の範囲内で〜170倍の気体状に膨張し、プローブ先端の伝導性金属に隣接する生体組織の蒸発冷却が生じる場合にも、LNは連続的に流れることが可能である。ベーパーロックを最小限にするほかに、供給ラインが戻りライン内側で同心状位置であることも、ある程度の漏出LNが、レセプタクルデューア内で捕捉されるために帰るLNを冷却することを可能にした。しかし、このシステムは、殆どの手術室は言うまでもなく、さらに混雑しているイメージング室(たとえば、CT)にとって非常に大型であり、手術手順またはLNの消費量の点で効率的ではなかった。サブ冷却プロセスは、機械を設定後に追加の準備時間を取り、高容量の流量は、ラージケースでは頻繁に「スラッシュ」デューアを空にするため、スラッシュデューアを再充填するために時間のかかるもう1つの「再生」サイクルが必要だった。各プローブが凍結して差し込まれるのにほぼ1分間、解凍して周囲組織から自由になるのに数分間を要するため、プローブは移動し、時間が重要な手術室またはイメージング室にとっては、システムはますます苛立たしくなる。
【0055】
本明細書に記載する実施態様は、気体ベースのプローブの熱力学的および流体力学的効率を改善し、混合気体を使用する将来の閉サイクルシステムをさらに考察することを可能にする。圧縮気体が、膨張チャンバのJTポートにおいて、またはJTポートを超えて液状に遷移する特性を観察した結果、先端の膨張チャンバ内で気体状に膨張する液体窒素に関する流れの問題を回避するために、いくつの実施態様に組み込む特定のコンセプトも提案した。
【0056】
従来の液体窒素ベースの(LN)プローブ冷却システムは、ほぼ大気圧または大気圧より上で動作しており、液体は、同じ温度ではその蒸気に比べて170倍濃密である。これは理想には程遠く、流動するLN凍結剤に吸収される熱が閾値レベルを超えると、制御不能な状態で液体流内にLNの蒸気相が形成され、この蒸気相は、蒸発する液体の体積の170倍という同じ係数に等しい非常に多量な量を突然変位させる(上記のセクション1参照)。これは、プローブの管類に、プローブの壁部を通して周囲の組織から熱を除去する点で非常に非効率的な多量の気体を充填させる。循環する液体により運び去られないプローブ周囲の組織からの過剰な熱により、プローブ内でますますLNが蒸発し、プローブ全体に蒸気が充填される。このベーパーロックは、低圧におけるLNの確実な動作を著しく制限する。同様のベーパーロック問題は、LN流れを使用して、衛星、航空機およびその他の遠隔プラットフォーム上のシステムのイメージ平面上に長波長赤外センサを支持して、様々な関連物体をイメージングすることを著しく制限し、LNの循環によりその他多くのデバイスを冷却することを一次留守区制限してきた。
【0057】
プローブ内に蒸気相を形成するための閾値加熱力(表1のQMAXにモル流量を乗じる)は、プローブを通るLNの流れの速度、および流れ内のLNの圧力の両方によって決まる。LがLNの単位体積当たりの潜熱であり、HがLNを蒸気が形成される温度まで加温するのに必要な熱エネルギーの量である場合、プローブ内に蒸気を形成するためのこうした閾値加熱力レベル(ワット)は、単純に(L+H)dV/dtであり、ただしdV/dtはプローブを通るLNの体積流量である。
【0058】
多くの著者が述べているように[たとえば、H.ユージン・スタンレイ(H. Eugene Stanley)「位相遷移および臨界現象の紹介(Introduction to Phase Transitions and Critical Phenomena)、オックスフォード大学出版局、1971年を参照]、圧力が増加すると、液体と蒸気相との間の密度差は次第に減少し、臨界点の圧力および温度では、液体および蒸気は正確に同じ密度を有する。したがって、循環するLN凍結剤の圧力が増加すると、プローブの適切な動作後に生じる蒸気の形成は比較的重要ではなくなる。つまり、蒸発する元の液体の体積を越える蒸気相の体積の膨張は、圧力の増加と共に減少し、臨界点でゼロになるからである。さらに、臨界点付近の蒸気相の密度は非常に高いために、臨界点から離れた蒸気相に比べて、循環冷却でははるかに効率的であり、ベーパーロックに関連するプローブ凍結の破滅的な不具合は、物理的に生じる可能性はなく、これは比較的低い動作圧力で生じるものである。その結果、非常に信頼性が高く、したがって使いやすい極低温凍結サイクルが得られる。
【0059】
上記のセクション1で述べたように、ウェーバー数は、液体−蒸気界面の表面エネルギーに対する流れの運動エネルギーの比率であり、ベーパーロックの可能性の良い指標である。ウェーバー数が大きい場合、蒸気が形成される可能性は小さい。したがって、循環システムを設計するに当たり、臨界点条件を避けて、ベーパーロックが不可能な状態で動作し、圧力を低下させて、ウェーバー数が十分に大きいことを条件として、蒸気の形成がきわめて起こりにくいようにすることが可能である。これは、LN流動システムの最適な制御サイクルが高圧(臨界または近臨界条件)で開始し、次に、ウェーバー数が大きいことを条件として、LNの流れが十分に確立された時に、比較的低圧まで緩和することを意味する。特定の臨界未満動作圧力では、ウェーバー数は、流量を増加することにより増加するが、このオプションはあまり望ましくなく、流量の増加はLNをより急速に消費し、より頻繁に再充填されるようになり、その結果、凍結プローブを冷却するために複雑な工学的システムが必要になる。上記のとおり、臨界点付近では、蒸気密度が大きいため、冷却用途において、2相の流れが有効な状態を維持する。臨界圧力付近のこうした比較的高圧の動作により、蒸気の形成が、プローブの適切な凍結領域に悪影響を及ぼす可能性はきわめて少なくなる。
【0060】
液体は、臨界圧力付近の蒸発圧力まで圧縮されると、周囲圧力のLNと共に熱交換器を通過し、圧縮液体を過冷却し、上記のセクション1で述べたように、流動する凍結剤の単位体積当たりの冷却力が増加する。
【0061】
本発明の実施態様は、LNを循環させて、臨界点付近に維持されたLNで冷却し、ベーパーロックを防止する新奇な方法を提供する(図5〜図7に関する以下の説明を参照)。近臨界窒素(NCN)冷却と呼ばれるこの冷却方法は、以下のとおり、非常に小型のプローブの凍結性能の最適化に適用され(図5に関する以下の説明を参照)、こうしたプローブの場合、JTプロセスに基づく比較的従来の冷却技術が、上記のセクション1で述べるように実用的ではなくなる。このNCN冷却プロセスでは、円筒状凍結プローブの直径を1.5mm未満まで縮小し、工学的システムの複雑さおよびサイズを大幅に減少させて、外部圧力タンクを備えない単一の内蔵ユニットにすることが可能である(図6A〜Eに関する以下の説明を参照)。
【0062】
こうして改善された冷却方法について、本明細書では、寒冷外科用のプローブに適用する場合を説明する(図7に関する以下の説明を参照)。この方法は、液体凍結剤の流れを伴うすべての極低温冷却用途に幅広い適用性を有する。より一般的には、本明細書に記載する方法は、臨界点付近で動作する凍結剤の流れで、他のデバイスを冷却するために使用される。こうしたデバイスは、遠隔感知用途のイメージ平面アレイ内のセンサ、超伝導ワイヤおよびケーブル、並びに極低温支持体を必要とするその他のすべてのデバイスを備える。この技術を使用する重要なその他の凍結剤は気体を含み、こうした気体を液化し、これらの気体のいくつかを上げると、アルゴン、キセノン、ヘリウム、水素および酸素がある。これらは、液体蒸気システムを流れる単一成分である。流動する液体蒸気システム中の物質の混合物、たとえば流動炭化水素ガス混合物もこうして使用されるが、臨界点の圧力および温度が、工学的冷却または液体−気体処理システムの範囲内で容易に得られることが条件である。
【0063】
さらに、特定の先行技術の凍結プローブ構造は、製造上の複雑さを避けるために、凍結プローブ自体の先端内にある能動的凍結剤チャンバ内に熱電対を実際に配置するわけではないという点で制限される。従来のLNZおよび従来の気体ベースのシステムでは共に、熱電対は、一般に戻りライン内またはその付近に配置されるため、熱電対の指示値は実際の最低先端温度ではない。たとえば、熱がJT膨張チャンバから完全に移動すると仮定すると、アルゴンの先端温度は、沸点87K付近(または〜−183℃)でなければならない。しかし、一番最近に入手可能なプローブでも、−150℃未満のプローブ温度は滅多に表示されない。従来の凍結プローブをさらに小さい寸法(つまり、<2mm)に小型化できる場合、熱電対を先端に配置するための特殊な工学的努力により、凍結プローブの価格は、既に高価なレベル(〜500〜1500ドル)を超えて増加するであろう。小型の熱電対を熱的に固定することは、さらに他の問題であり、つまり、こうした典型的な銅−コンスタンタン熱電対は、シャフトの真空管内に実装され、プローブの極低温先端に固定されるわけではないからである。別法によると、熱電対は流路方向に配置されるが、そのためにはワイヤの密封貫通接続が必要であり、コストを増加させる。新しい小型プローブ構造では、熱電対は最大寸法に沿って約100μ以下であり、凍結プローブ組立技術に厳しく、かつ高く付く制約を与える。本明細書に記載する本発明の実施態様により、非常に小型の凍結プローブ先端、および隣接するプローブにおいて、正確かつ迅速な抵抗温度測定法が可能であり、コストは、現在の凍結プローブに使用されている現行熱電対測定システムに比べて相当削減される(35〜124ドル)。抵抗温度測定法の使用を強調するのは、この方法が著しい対応性、非常に小型のプローブ構造、複数の機能(つまり、温度測定法、神経の刺激およびプローブの加熱)を有し、しかも、さもなければ使い捨て式である凍結プローブの製造コストを削減することを実証するためである。
【0064】
b.凍結プローブおよび凍結システムの設計
本発明による凍結プローブの構造は、図2Aに示す。図2Aの部分(a)は、金属先端104を有するシャフト108を備える凍結プローブ100の斜視図である。一実施態様では、金属先端は、金メッキが施された銅先端を備える。気体は、高圧入口124を通って凍結プローブ100を貫流し、低圧出口128から戻る。部分(b)は、凍結プローブの遠位端の拡大図であり、金属先端104がより明確に示されている。先端の切欠図は図2Aの部分(c)に示され、高圧入口124と連通するように設けられる供給導管136、および低圧出口128と連通するように設けられる戻り導管132が示されている。熱交換器120は、供給導管に沿って流入する高圧気体を、戻り導管132に沿って流れる流出気体で予冷する機能を果たす。ジュールトムソン接合部116は、熱交換器と連通するように設けられる。以下で詳細に説明するとおり、シャフト108は、内側熱交換器120から真空ジャケットで被覆され、その結果、シャフト108は確実に周囲温度を維持する。
【0065】
図2Aの凍結プローブは、気体ベースの凍結システムの一部として使用され、その一例を図2Bに略図で示す。システムは、一般に参照符号150で指示され、図には、8個の凍結プローブ100を収容するように示されているが、より一般的に任意の数の凍結プローブ100が収容される。凍結プローブ100を通る気体流は、閉サイクル圧縮器154、および各々が対応する凍結プローブ100の高圧入口と連通するように設けられる複数の流量調節バルブで調整される。凍結プローブ100の低圧出口は、導管166を介して閉サイクル圧縮器154と連通するように設けられ、高圧入口の流量調節器158は、導管162を介して閉サイクル圧縮器154と連通するように設けられる。こうして、この装置は、気体用の閉鎖流動システムを提供し、個々の凍結プローブ100を通る流れは、流量調節器158の状態に応じて個々に調整される。
【0066】
ジュールトムソン接合部のより詳細な図は、図2(c)の略切欠図の拡大図である図3から明らかである。ジュールトムソン接合部は、毛管源の導管136内に延在する高張力ワイヤを含む。高張力ワイヤ140は、たとえば、その他の高張力材料の中でも、鋼またはニオビウムチタン合金ワイヤを含む。
【0067】
図4は、本発明の一実施態様による6個の凍結プローブ100を使用する腫瘍治療法の略図を示す。プローブ100は別個に駆動されて、イメージガイダンスを使用してコンピュータで監視され、必要に応じて潜在的に異なるアイスボールの大きさに到達して、適切な腫瘍に確実に適用される。図4の(a)部分は、不規則に賦形された腫瘍を治療する時に、6個のプローブ100の適切な配置を示す軸方向図である。各々のプローブは、約2.5cm径の認識可能な氷(つまり、0℃)を超音波検査またはX線コンピュータ断層撮影で生成する。曲線404は、可視0℃氷ライン領域の境界を指示する。細胞傷害性、または致命的(つまり、約−40℃)の氷は曲線408で指示され、これは、可視氷の前縁の約3〜5mm後にある。
【0068】
したがって、凍結プローブ100は、腫瘍の不規則な輪郭に隣接して配置され、各々のプローブは、致命的に適用するのに必要な範囲でのみ駆動される。凍結長さは、約5cmの致命的氷で良い。約10分間の凍結サイクル後、氷は、図4の(b)部分および(c)部分の完全な氷の軸方向および矢状方向イメージに見られるように最大凍結強度に達し、−40℃ラインの輪郭はすべての腫瘍マージンを覆う。したがって、氷を効果的に彫刻して、腫瘍全体に適用される範囲でのみプローブ100を駆動することにより、隣接する正常な組織は残る。
【0069】
液体ベースの凍結プローブは、図5に別法による実施態様として示す。この実施態様では、凍結プローブ100は、液体窒素循環サイクルを使用する。液体窒素は、絶縁体524により熱的に絶縁された入口毛管528を通って入口536の凍結プローブに供給される。この液体は、プローブ100の先端508にある蒸発および交換領域512に流れて、外側の凍結領域504を形成する。出口毛管532は、液体窒素のための戻り流路を形成する。入口毛管および出口毛管は、内部の真空を密閉するシールド520内に収容される。
【0070】
図6Aは、凍結プローブ100がいくつかの実施態様に使用されるシステム600の略図である。単精製されたバージョンの凍結プローブは、プローブ先端604および真空ジャケットを備えるように図示されているが、プローブ100は、上記の特徴などのその他の特徴を有する。液体窒素は、保存容器632内に保持され、入口636を介して極低温圧縮器628に供給される。熱交換器および圧力制御装置624は、供給ライン620を介して液体窒素をプローブ100に供給するように動作し、プローブ100内の圧力を安定させる。供給ライン620は、熱交換器/圧力制御装置とプローブ100との間の真空ジャケット内に配置される。流れは、流量制御装置612により凍結プローブ100の出口で調整され、気体状窒素の排出が可能になる。
【0071】
図6Bおよび図6Cは、一実施態様における極低温圧縮器628の略図を示す。この極低温圧縮器は、シャフト648に沿って線形モータドライバ652により駆動される1対のベロー656を備え、これらのベローは、室温で、液体窒素内に浸水されているベロー組立体からの液体窒素デューアの上部で分離する。ベロー組立体656は、線形モータ652が、一方のベロー組立体を特定の運動方向に圧縮された時に、他方を伸張させるように配置される。圧縮されるベローは、ベロー内に10〜33.5バールの圧力を生成するのに適する力で作動し、圧縮力は、線形作動装置モータ652により正確に制御され、線形作動装置モータは、一実施態様では、同期ステッパモータである。圧縮されるベローは、ベロー656から逆止弁を通る液体窒素の流れを形成し、逆止弁は、ベロー内の圧力が熱交換器624内の圧力、ひいては凍結プローブ供給ライン内の圧力を超えた場合にのみ開放する。この圧縮相では、その他のベローは伸張し、伸張したベロー内に周囲以下の圧力を形成する。周囲以下の圧力により、周囲槽に至る逆止弁654が開放し、周囲のLNを伸長ベロー内に引き込む。ベロー656の膨張および収縮は、移動可能な段658により収容される。
【0072】
線形作動装置モータ652は、特定方向の道程の端部に達すると、モータ制御装置により急速に逆転されて、圧縮および伸長ベローの機能が逆転する。したがって、この単一線形作動装置モータ652は、凍結手順時に前後に連続的に移動し、槽を有する熱交換器624(内側冷却器)を通して高圧窒素を凍結プローブに供給する。生成された圧力は、モータ作動力を制御するコンピュータにより設定される。圧力が作動装置モータにより設定および制御される時、各プローブを通る流量は、コンピュータで調節可能な流量インピーダンスにより設定される。これは、複数のプローブの入口供給ラインを、本明細書に記載されている浸水可能なLNポンプおよび熱交換器(内側冷却器)組立体に接続することを可能にし、各プローブの凍結領域は、各プローブの排出ライン上にある流量調節バルブのコンピュータ制御により、個々に設定される。各プローブの排出ライン上におけるコンピュータ制御インピーダンスは、一般に、プローブ組立体内で流動するための最大インピーダンスを生成する。これは、コンピュータシステムおよびオペレータが、本明細書で記載する浸水可能な圧縮器から圧縮LNを単独で共通に供給することにより、各プローブの冷却力を個々に制御することにより、氷のボールを彫刻することを可能にする。さらに、本明細書に記載するベローのプッシュプル構成により、水中ポンプは、単一の線形作動装置モータ上で流れが遮断されずに連続的に動作し、浸水可能な圧力作動装置のコストを著しく削減することが可能である。LNは、実際上、35バール以下の圧力まで圧縮不能であるため、圧力は、モータからの作動力を単に変更することにより、迅速に変更することができる。LNの非圧縮性により、この用途では、高圧貯槽は不要である。
【0073】
図6Dおよび図6Eは、寒冷療法システムの構造全体の様々な構成が、異なる用途にどのように適応するかを示す類似の略図である。図示の両方の実施態様は、圧縮LNライン678、圧力制御装置680、およびLN圧縮器682を介して保存容器684または684’に連通するように設けられた複数の凍結プローブ100を有し、流れは流量制御装置674により制御され、窒素の排出676を行う。図6Dに示す実施態様では、8個の凍結プローブ100(1〜8)は、腫瘍アブレーション用途に適応し、大型の保存容器684は、複数回の凍結に持続して使用するか、またはある時限で数回使用するように、約25〜100リットルのLNを保持する。たとえば、丸1日の活動では、〜2mmプローブの〜30W容量により100%の容量で動作する合計8個のプローブの場合、合計約2時間の動作時間である。神経/疼痛用途に適する図6Eの実施態様では、凍結プローブ100の数は比較的少なく、約5〜15リットルを保持する比較的小型のLN保存容器684を備える約4個の凍結プローブ100を使用する。こうした保存容量は、丸1日の活動で数回持続的に使用するのに十分である。〜1mmプローブの〜10W容量により100%で動作する合計4個のプローブの場合、合計約2時間の動作時間である。
【0074】
図7は、上記の凍結プローブの構造を使用した実験のデータを示す。この実験データは、供給ラインおよび戻りラインを真空絶縁シャフト内に維持した状態で、プローブ先端に6.6ワットの熱負荷を連続的に与えて得た。この図の(a)部分は、プローブ内の窒素の圧力が13バールの時に記録されたベーパーロック時の時間の関数として、プローブの先端温度を示す。t=48秒の場合、プローブを通る流れは瞬間的に停止され、約5秒後に再開した。明らかに分かるとおり、プローブ先端をほぼ室温まで加熱するとベーパーロックが生じ、プローブは、再び凍結状態には達しなかった。29バール、つまり窒素の場合の33.5バール付近の臨界圧力で行った類似手順の結果を図7の(b)部分に示す。著しく迅速な回復は、凍結温度の−153℃から約50℃までの加熱から明白である。どちらの場合も、プローブを通る流量は、約10〜15STP L/秒のレベルに維持された。これは、臨界圧力付近で動作させると、小型の管、カニューレ、針などを介した何らかの液体凍結剤の迅速な供給を使用するすべての用途のプローブで確実かつ迅速な冷却力が得られるという利益を実証する。本願特許出願人は、29バールというほぼ臨界圧力では、この熱負荷でプローブ先端を冷却するのに必要な時間は特に短く(一般意、数秒)、寒冷外科の迅速な凍結手術に対する特定の必要性を満たす。図7の(c)部分では、上の図はプローブ内のLNの圧力および流量を表示し、下の図は、プローブの温度を表示する。流れが、13バール(t=115秒)で瞬間的にサイクルが開始および停止する時、プローブはベーパーロックを生じ、圧力がt=200秒で22バールまでさらに増加するまで、再びその凍結状態温度に達しなかった。この圧力でも、t=250秒におけるサイクルの瞬間的な開始および停止により、圧力がt=325秒で約29バールに増加するまで、プローブ冷却は緩慢であり、基準温度は許容できない。33.5バールというLNの臨界圧力に非常に近いこの圧力では、プローブは、圧力がサイクルするにつれて、室温と120K(−150℃)との間で迅速にサイクルした。これは、さらに、2mm未満の場合、凍結を開始し、ベーパーロックを完全に防止するには、近臨界圧力で機能する必要があることを確認する。
【0075】
実施態様によっては、別個のプローブ内にあるか、または凍結プローブの真空ジャケットで被覆された空間内に統合される注入プローブシステムは、図8に示す氷の分布を改善するために使用される。図8の(a)部分は、不規則な腫瘍816内の2個の凍結プローブ100を示し、氷812は、腫瘍816の数箇所の縁を覆っていない。(b)部分は、別個の注入プローブシステムを示し、図の左部分は、システムの上面図を示し、図の右部分は、氷の分布820に対する影響を示す側面図を示す。別個の注入プローブシステムは、中心プローブ808と、中心プローブ808の周囲に半径方向および/または軸方向に分布する複数の注入尖叉とを備える。別個の注入プローブシステムを使用すると、容易に氷がさらに広がって腫瘍全体を覆うことが可能である。
【0076】
様々な異なる流体の組合せは、注入プローブシステムにより供給される。たとえば、大凝集アルブミンは、間質性ゲル効果を精製することにより、その後の流体の溢出を減少させるために提供され、次に、1:100,000エピフリンを含むNaClの〜7%溶液により、血管収縮、および比較的大きい浸透圧衝撃による比較的完全な細胞傷害によるヒートシンク効果を著しく低下させる。化学療法または放射線治療用の薬品を含むその他の流体も、同様の方法で供給されるが、含まれる薬品はこれらだけに限らない。また、流体を供給する注入尖叉は、別個の注入プローブシステム内に含まれる必要はなく、凍結プローブのシャフト内に構成することができる。結果として生じる凍結プローブの直径の増加は、回収注入療法および寒冷療法の両方に単一の挿入デバイスを用意することにより機能上相殺される。
【0077】
以下で、気体および液体ベースの実施態様の両方における凍結プローブおよび凍結システムのための多数の特徴、および上記の特定の実施態様に代わる実施態様について述べる。
【0078】
1.凍結プローブ
i.イメージのアーチファクトの減少、および電気アブレーションによる凍結プローブの組織死滅率の強化
プローブの主シャフトは、金属、セラミックまたは複合材料を含み、外側シャフトが確実に周囲温度を維持するように、内側熱交換器から真空ジャケットで被覆される。複合材料は、低コスト、強度および低密度の点で好ましい。CTガスによる経皮的寒冷療法が最初に成功したことにより、本発明の一実施態様は、比較的低密度の外側スリーブを使用して、CTイメージに頻繁に見られるビーム硬化アーチファクトを防止する。多数のプローブは、さらに多くのビーム硬化を生じるため、密度を著しく減少させると、治療法の監視時におけるイメージの品質を全体的に大きく改善することができる。チタンスリーブは、MRI互換プローブに既に使用されている非磁気金属の一例として挙げる。
【0079】
凍結プローブのシャフトは、セラミックまたは複合材料などの電気絶縁材料から製造される。その結果、導電性プローブを電気アブレーション用途で電極として使用することが可能である。多数のプローブが腫瘍組織内に配置されると、電流が、プローブの一方の先端から他方の先端に強制的に流れる。導電性プローブは、挿置された組織を十分に加熱して、ある程度の凝固を生じさせ、主にプローブ先端間の領域を貫流する血液を減少させる。しかし、これは、組織は非常に凍結しやすくなるにも関わらず、疼痛を発現させる。次に、加熱機能は、初期の急速凍結後に比較的良好に使用され、その後サイクルが開始および停止する。凍結により、プローブ先端間にアイスボールが生じると、別の電流がプローブ先端間を通過し、凍結領域外周部の組織を破壊し、腫瘍の外周部における血液の流れを減衰させる。この用途では、アイスボールがプローブ先端間に存在すると、凍結した組織は、アイスボール周囲の組織よりはるかに不良な導電体である。したがって、電流は一方のプローブ先端から他方のプローブ先端に、主に氷の縁部周囲の腫瘍の外周部に流れ、この周囲領域の組織および血液の流れを破壊する。したがって、1つの電気アブレーション/極低温アブレーションシーケンスは、交互の凍結期間および電気アブレーション期間を含む。このシーケンスは、医師が、腫瘍アブレーション手順時に、アブレートされる組織のほぼ実時間イメージングにより決定した実行可能な最大のアブレーション領域を生成する効果に基づいて決定する。
【0080】
ii.真空ジャケットの利用
真空ジャケットの1つの目的は、挿入位置と凍結領域との間の組織が損傷しないようにすることである。しかし、この組織は、プローブの以下の追加オプションを伝達するための生存可能な空間としても機能する。追加のオプションとしては、温度センサ、結合注入用の毛管チャネル、位置センサ技術、および電気刺激リードが挙げられるが、これらだけに限らない。現在、殆どの気体ベースのプローブは真空ジャケットを有するが、液体ベースの凍結プローブは、現在、供給および戻りLNラインの並置構成を包囲するために真空ジャケットを使用していない。
【0081】
iii.流量インピーダンスの減少
気体ベースの実施態様の場合、JTバルブと器具の頚部との間の逆流熱交換器は、可能な最低気体流量インピーダンスで、流入気体と流出気体との間に必要な熱交換を達成するように選択される。流出気体および流入気体ラインは、逆流構造において最初に可能な適時に層状流動形態に遷移し、現在の寒冷療法プローブの標準乱流形態、および関連する支持管類に関連する不必要な圧力低下を防止する。層状流のコンセプトは、乱流形態内を通過することなく、可能な最小プローブ径の最善の極低温機能を確保する点で可能な最小隙間の工学技術を可能にする。たとえば、低流量では、アルゴンガスの最初の計算は、内側の高圧ラインと外側の低圧戻りラインとの間に、約0.010インチの隙間があることが望ましい。したがって、戻り管の外径は、たとえば0.080インチ(2mm)、IDは0.070インチである。同軸状に走る高圧供給ラインは、たとえば0.060インチの外径、および0.050インチのIDを有することが可能である。この計画では、両方のラインに層状流が形成され、低い流量インピーダンスが生成され、その結果、圧縮器要件は少なくなる。こうした構造では、十分な設計の対応性があり、その他の気体に応じて比較的良好な性能を達成することが望まれるように寸法を変更することができる。
【0082】
図5に関連して記載する実施態様と同様、液体ベースの実施態様では、LNなどの液体凍結剤のベーパーロックにおける流れの遮断を防止するための1つの技術は、上記のとおり、液体をその近臨界相まで圧縮することである。図1および図7が提案するように、LNの比較的高圧の近臨界流体相は、「差込み」モードに使用することができる。その後の「凍結」モードは、比較的低圧および冷却器の流体温度を使用して、冷却能力を改善することができる。気体ベースのシステムの上記の低インピーダンスと同様、LNを使用するプローブにおけるベーパーロックをなくすことにより、非常に小さい(つまり、
1mm)プローブ径、およびアルゴンまたは従来の3mmLNプローブを使用する現在の2.4mmJTプローブと同様か、またはそれ以上の冷却能力を有する2mmのプローブが可能である。本発明の近臨界LN実施態様の場合、供給戻りラインのID比は、1mmまたは2mmプローブ構造を使用するかどうかに関わらず、実際のすべての流量の間隔において0.6(3/5)でかなり安定するはずである。明らかに、本発明の近臨界LN実施態様に効果的なLNを使用すると、開ループまたは閉ループLN保存システムが可能である。本発明の近臨界法は、大型の用途(〜2mm)、および神経用途(〜1mm)の小型で便利なシステムの両方のための内蔵ユニットを可能にするか、またはその他の非医療用途では、数分間ではなく、秒台のごく短い凍結破裂を必要とする。LNの使用に関する本願特許出願人の現在の概算は1.8リットルのLNであり、1個の21nmプローブに〜20ワットの連続冷却力で少なくとも60分にわたって電力を供給するのに十分である。これは増減可能であり、5〜10ガロンのLNの1回の充填は、3個の代表的な前立腺のケースに適しており、再充填は不要である(つまり、直径〜1.5〜2.0mmの6個のプローブ、およびケース1個当たり20分を2サイクルと仮定する)。近臨界LNシステム構造の一実施態様(図6A)は、やはりシステム内の主インピーダンスから成る排出ポートに流量制御装置を含む。これは、プローブの圧力を、供給デューアインサート内に生成される臨界圧力の非常に近くに維持することを可能にする。
【0083】
iv.熱交換器の変更(気体ベース)
いくつかの実施態様では、銅箔などの高熱伝導性材料のストリップは、内側(高圧)供給管にはんだ付けされ、半径方向外側に延在して、冷温かつ低圧の戻り気体との良好な熱交換を可能にする。これは、その他のいくつかの構造に使用される内側供給管に沿って螺旋状に巻かれた管とは異なる。この構成は、医療用器具により設定される逆流熱交換器の長さ上における熱交換を確実に改善する。一実施態様では、内側管は、銅などの高熱伝導性材料から製造される。逆流熱交換器は、図2に示すように、真空シースを使用して周囲組織からも熱的に隔離される。これは、凍結領域先端における効率および冷凍能力を高め、その結果、腫瘍は、さらに迅速かつ効率的に凍結される。室温の制御装置から各々のJTを通して個々の流れを制御することにより、真空シースを再配置することなく、同じアイスボールに形状を彫刻することが可能である。
【0084】
液体システムおよび気体システムは共に、プローブの凍結部分の一部または全部を包囲する真空の環状シースも組み込まれる。この真空シースは、凍結プローブの本体と同軸状に走り、医師が寒冷療法または寒冷外科手術を行うことにより、伸長または収縮する。こうした構成では、医師は、プローブの能動的な凍結領域の長さを変更して、放射線技師が様々なイメージングモダリティから得たほぼ実時間の情報に基づいて周囲組織の凍結領域に必要な変更に影響を与えることが可能である。気体および液体ベースの凍結を包囲する氷に可能なもう1つの形状は、組織と膨張チャンバとの間に挿置されたプローブ先端材料の相対的厚さおよび/または導電性に関連する。
【0085】
iv.コンピュータ制御による別個のJTポート
図4は、間質性源により何らかの腫瘍をアブレートすることに関連する全体的な臨床上のコンセプトを実証する。主なコンセプトは、腫瘍マージンおよび治療マージンを視覚化することである。これに関して、寒冷療法は、熱ベースの治療マージンを視覚化することは難しいため、明確な利益を保持している。したがって、別個のコンピュータ制御ポートは、致命的な凍結マージンを腫瘍マージンに応じて彫刻するのに必要な各々の寒冷療法プローブに関する唯一の問題である(図4)。JTバルブから下流の領域は、熱伝導性が良好な金属、たとえば金めっき銅から構成される。この領域は、鋭利な先端までテーパが付いており、組織を貫通する挿入を促進するか、または挿入キットに使用するように鈍い先端を有する。この領域の長さは、凍結される組織の範囲に応じてカストマイズされる。一般に、この長さは、意図する凍結範囲の線形範囲の約80%に設定される。各凍結プローブの凍結領域、シャフトの全長および直径は、外科手術のための医療計画により設定され、各々のプローブは、図1に示すようにJTポートを1個のみ有するが、特定の顧客の用途では、個々に制御される複数のJTポートを有することができ、したがって器具の長さに沿って複数の凍結範囲を有することができる。さらに、層状流のコンセプトは、最大の球状アイスボールのために、二重のJTポートをプローブの端部に単に設定する場合、気体を利用する効率をさらに大きくすることを可能にする。(3cmの腫瘍に使用される単一JTポート凍結プローブの代表的な寸法は、直径2.0mm、シャフトの長さ120mmで、能動的な凍結範囲の長さが4mmである。小さい神経に使用される凍結プローブの代表的な寸法は、能動的な凍結領域1.0cmを含む全長100mmのシャフトの直径が1.0mmである。これらのすべての寸法は、組織の熱モデルおよび良好な工学的構造を使用して、意図する凍結範囲に応じて最適化される。)
近臨界液体窒素プローブを使用する一実施態様では、プローブごとに、1個の膨張チャンバ/冷却先端のみを使用する。しかし、別法によると、別個のコンピュータ制御装置を有する近臨界LNプローブが使用され、この場合、2〜3個の小さい(たとえば、〜lmm)の別個の凍〜結プローブは、比較的大きいプローブ/誘導針シース(たとえば、〜2〜3mm)内に収容される。次に、小さい内側プローブをある領域(たとえば、腫瘍)内に展開し、1個の比較的大きい(〜3mm)のプローブよりも大きく、かつ迅速な凍結を行う。単に〜1mmの別個のプローブを2〜3個を配置する場合に比べて、この挿入オプションの相対的な長所は、困難なプローブの軌跡に関連する(つまり、肋骨の間、またはその他の挿置組織を回避する)。したがって、凍結領域の別個のコンピュータ制御装置は、全体の凍結範囲をより良好に全体的に彫刻することできるように、1個のプローブ内に収容するか(つまり、挿入上の何らかの利益の点で)、または別個のプローブ内に収容するように想定することができる。
【0086】
vi.プローブの統合および構築オプション
実施態様によっては、これらの凍結プローブは、必要な外側界面構造をロボット利用位置決めシステムにより駆動されるシャフトの頚部に有し、この位置決めシステムは、医師が制御する、CT、MRIまたは超音波検査などの撮像法を含むガイダンスによりプローブを凍結範囲内に正確に配置するために使用される。アメリカの殆どの機関は、体内の流体(つまり、血液、臓器の組織)と接触する手順用の使い捨て式プローブを必要としており、したがって、実施態様によっては、複合材料、プローブ接合部のハンドル、および管類は、最低コストを考慮して選択される。しかし、他の実施態様では、凍結プローブは、損傷せずにオートクレーブの温度に耐えて、何度も再利用されるように意図される。医療手順が行われた後、プローブも、再利用を進めて医療廃棄物をなくすために返却される。
【0087】
vii.空間的位置限定機構
各々の凍結プローブは、3次元イメージングによる位置限定とさらに良好に統合するための別個のデバイスを含む。これは、体内における位置限定を決定するために、表面から応答を要求することが可能な無線周波デバイスの形態を取る。次に、各々の凍結プローブ先端における位置限定は、予め決められた最適位置(つまり、手術前の計画会議において)と比較して、各々の凍結プローブの凍結強度および/または持続時間を調節および制御することができる。無線周波以外の体内位置限定機構は、別法による実施態様で使用され、たとえばJTポート、またはおそらく液体端部チャンバが生成する「口笛音」による超音波検査位置限定が挙げられる。たとえば、一実施態様では、これは、凍結プローブによる患者の体内の最終的位置の角度形成評価の形態を取る。
【0088】
viii.電気解凍、温度測定および神経刺激
凍結プローブの一実施態様は、3種類の潜在的機能のための凍結プローブの凍結範囲内で、ある長さの電機絶縁抵抗ワイヤを使用する(こうした抵抗金属(合金または純粋)の様々な組合せが使用される)。第1に、このワイヤの抵抗は、4本ワイヤ技術を使用して測定され、この抵抗は、凍結先端の温度を決定するために使用される。第2に、これらのワイヤは、プローブの凍結部分を加熱するために使用することができる。凍結プロセスが完了すると、凍結プローブを通る気体の流れは停止し、はるかに多量の電流が抵抗ワイヤを貫流して、プローブ付近の凍結組織を迅速に解凍し、次に、プローブは容易に抜き取られる。第2の「解凍気体」は不要になり、プローブ内により多くの空間が生じ、システムを単一気体形態に単精製することができる。あるいは、閉ループ凍結が完了した後に、開放システム内で、ヘリウムガスまたは低圧の加熱窒素ガスが使用される変更も考えられる。別法によると、第2の気体(つまり、ヘリウム)によりプローブ先端をさらに一般化した加熱も行われる。第3に、これらのワイヤは、知覚および運動テストのために必要な神経の刺激も行うが、プローブの先端は導電性であり、プローブのシャフトは電気的に絶縁されていなければならない。こうした構成は、加熱器/温度計の一方の側部に使用されるワイヤからの刺激をプローブ内の抵抗ワイヤに提供し、電気的刺激の帰路は患者の人体である。もう1つの構成では、別個の専用ワイヤの対は、神経の刺激または知覚もしくは運動的な刺激のために、プローブ内に使用される。これらの電気的刺激ワイヤ、および/または電気加熱器用のワイヤ、および/または解凍気体用の気体流ラインは、寒冷療法プローブ接合するか、またはこの目的で開発された別個のプローブに使用される。
【0089】
したがって、本発明の実施態様により、非常に小さい幾何学的形状内で凍結プローブ先端の正確かつ迅速な温度測定が可能であり、この温度測定法のコストを、現在使用されている大型凍結プローブのプローブに使用されている熱電対測定システムの現在のコストに比べて十分に削減することが可能である。したがって、図9の(a)部分に示すように、別個の細いプローブ(たとえば、21ゲージ)の抵抗温度計904は、プローブ100に沿って線形の放射線状に構成して、2ヶ所を超える測定点を設けることができる。これらの実施態様は、非常に細い銅ワイヤ、一般にAWG 40以下を使用して熱電対と置き換える。図9の(a)部分は、別個のプローブまたは凍結プローブ自体の一実施態様に巻き付けるためのワイヤの外側セグメントを示し、薄い外側コーティング(たとえば、TEFLON(登録商標)から製造)が、円滑な非差込挿入を提供するが、それでもなお急激な温度反応を緩衝しない。この銅ワイヤの電気抵抗は、温度に応じて変化し、室温と77Kとの間で約5の係数だけ変化する。銅ワイヤのこうした抵抗は、この範囲の温度に対して較正され、こうした電気抵抗の測定値は温度に変換されて、これらの凍結プローブの動作に使用される。図9の(b)部分は、(a)部分に示す物理的構成の電気的特徴を示す電気回路図を示す。温度に応じた銅の電気抵抗の変動は線形であり、この範囲では非常に予測可能であるため、測定した抵抗を温度に変換することは、この新しい温度測定法をサポートする対応読出しソフトウェアで容易に行われる。2つの較正点、1つは室温(300K)、1つは1気圧(77.3K)におけるLN温度は、この温度測定法を全体の範囲で較正するのに適する。
【0090】
こうした1つの特定の実施態様では、直径が非常に小さいワイヤを、凍結プローブ先端の一部である支柱上に約10回巻回する。測定コンピュータにより制御されるディジタル/アナログ変換器(DAC)は、ワイヤを貫流する電流Iを供給するために使用される。すべてのプローブ温度計は、同じDAC電流供給を使用する。プローブ各々に巻き付けられた各々のワイヤは、さらに2個のリードが、凍結プローブ先端(温度を測定される)の周囲に巻き付けられた電流搬送ワイヤの端部ごとに接合され、これらのリードは、専用の計装用増幅器に至り、次に、電流搬送ワイヤに沿った電圧降下をディジタル指示値に変換するアナログ/ディジタル変換器(ディジタイザ、またはADC)に至り、このディジタル指示値は、コンピュータ上でオペレータに対して表示され、および/または一部にはこの温度表示に応じて、またはイメージングシステムに由来するその他の表示に応じてプローブの冷却を自動的に制御するエキスパートシステム内のコンピュータにより使用される。
【0091】
各々の凍結プローブ内の支柱の周囲に巻き付けられた各々のワイヤを通る電流は、巻き付けられた各々のワイヤ専用のADCが「順」電圧Vを測定すると一定に保たれる。次に、電流は、同じ大きさだが極性が逆の電圧をコンピュータの制御下で設定して方向を逆転し、「逆」電位降下Vを測定する。その結果、巻き付けられたワイヤ全体の実際の電圧降下はV=(V−V)/2であり、測定リードに関連する熱起電力差はV=(V+V)/2である。こうした電流逆転方法は、巻き付けられたワイヤ全体の実際の電圧降下を測定する際に、差異的なリード熱に対応する誤差をなくすために使用される。巻き付けられたワイヤの抵抗R=V/1であり、この抵抗は、温度Tに応じた銅の抵抗Rの既知の変動を使用して温度に変換され、この温度範囲では、適切な精度まで線形関係である。実際上、各々の電流方向における電圧測定により強調される電流の逆転は、1秒当たり約10回の電流逆転(「サイクル」)の代表的な期間で頻繁かつ周期的に生じる。次に、制御コンピュータは、電流逆転サイクルごとに、上記のワイヤ抵抗Rを計算し、較正機能を使用してこの抵抗を温度に変換する。
【0092】
この技術に使用されるワイヤは、一般に、直径が非常に小さい)一般的にはAWG 40またはAWG 38であり、AWG 38銅ワイヤを使用して、本明細書中の図面で報告したプロトタイプ上に表示される測定を行ったことに注目する)。こうした小さい細いワイヤは、プローブ先端に取り付けられた支柱の周囲、および凍結プローブの真空空間の範囲内に容易に巻き付けることができ、特殊な製造技術は不要である。さらに、小径の絶縁銅ワイヤは、商業的に容易に入手可能であり、「磁石ワイヤ」と呼ばれることが多い。各々の凍結プローブに使用されるワイヤのコストは、一般に1セントより少なく、従来の熱電対と比べると、事実上何千倍も安価である。その結果、各々のプローブを開発するコストは非常に減少し、殆どの医療手順に使用される使い捨て式プローブのコストが著しく減少する。
【0093】
この実施例に関しては、特に小径の絶縁銅ワイヤの使用について特に述べたが、十分な温度係数を有するその他のどのワイヤ(アルミニウム、銀、金、白金または合金)も同様に使用して良い。どのワイヤ材料を使用しても、その抵抗の変動は、凍結プローブおよび対応する支持システムのクラスの開発時における直接的な較正により決定され、この較正は、こうして決定された後は、実質的にこのワイヤ材料から製造されたすべてのプローブの動作で使用される。当業者にとっては明白なことだが、この同じ測定技術は、図9の説明に提案されているように、温度が測定される物体との適切な熱接触を提供する何らかの方法で取り付けられたワイヤに適用される。
【0094】
この温度測定法は、経皮的寒冷療法のための凍結プローブに適用された場合、さらに利益を提供する。凍結プローブ先端に固定されたワイヤを通る電流は、上記のとおり、そのDACを介してコンピュータにより制御される。「解凍」または「剥離」プロセスの際に、これらのワイヤを通る電流は、はるかに高いレベルに容易に増加して、ワット数が多い(一般に30ワット)プローブ先端に直接的なオーム性の加熱を生成することができる。これは、解凍または剥離を達成するために必要な間接的な熱を提供し、流路内の異なる解凍気体、たとえばヘリウムガスに切り換えるというシステムの複雑さ追加されることはない。その結果、はるかに迅速な凍結/解凍の切り換えも可能になり、これは、特定の医療手順では有利である。オーム性加熱のための上の目標温度は、望まない組織の損傷を防止するために、<45℃である。別法によると、プローブの破裂区域は、比較的高温で焼灼して、必要に応じて何らかの溢液現象の傾向を排除することができる。
【0095】
ix.微小注入ライン
凍結プローブの一実施態様では、微小注入ポートは、プローブの遠位の範囲に沿って設けられる。これらの凍結プローブは、血流が高く、出血の危険性ある腎臓腫瘍に使用すると特に効果的である。しかし、寒冷増感剤および増強寒冷生物学が理解されるようになると、射出物質は、血管収縮カクテルに関する現在の提案[たとえば、大凝集アルブミン(MAA)の次に、エピネフリンを含む高張食塩水]を越えて、同じ凍結プローブにより供給される化学療法、放射線治療または免疫療法の物質の様々な取り合わせを含むことが可能である。図8に関連して説明する別個のマルチプロング注入システムも使用することができる。これらの微小注入ラインは、寒冷療法プローブの真空空間を通って走るか、またはこの目的で別個のプローブを開発することができる。
【0096】
x.疼痛除去のための神経刺激おプローブの変更
疼痛の管理は、現在、直径〜20ゲージ(つまり、外径<1mm)のRFプローブを使用している。一実施態様では、最小凍結容量を有する凍結プローブは、プローブの構造を使用して、凍結プローブ全体の直径が£1mmになるように設けられる。最大アイスボール直径は、神経の位置に応じて3〜6mmである。たとえば、脊椎の後部小面および末梢神経の場合、必要なアイスボールの直径は3〜4mmに過ぎない。たとえ交感神経節または星形神経節のアブレーションでも、必要なアイスボールの直径は5〜6mmにすぎない。したがって、上記の電気ワイヤは、正確なプローブ先端の位置を確認して、運動および知覚テストを行うために、刺激する役割を果たす。たとえば、知覚神経は、周囲組織との電位差1mVにより50ヘルツで頻繁に刺激されるが、運動神経は、周囲組織との電位差3mVにより2ヘルツで刺激される。さらに、プローブ先端付近の微小注入ポートは、局所麻酔剤を目標レベルまで染み込ませる役割を果たす。
【0097】
xi.JTポートの考察
図3に示すJTポートの寸法は、凍結プローブの寸法に適合するように設けられ、意図する医療用途ごとに設定される。JTポートは、硬化鋼またはニオビウム−チタン合金から製造された高張力ワイヤであって、供給管状に約3〜5の毛管直径の周囲に延在するワイヤを含む。この領域における供給管の長さは、長い高張力合金、たとえば鋼管類合金から製造され、気体供給管類に接合される。ワイヤは、JTポートの開口部付近における気体の異常に早い流速によりワイヤに加わる流体力学的力により振動する。こうしたハードワイヤの機械的振動は、さもなければJTポートを遮断する恐れがある凍結不純物を分裂させる。こうした革新により、不純物が凍結する危険性がない状態で、非常に小型のJTポートを使用することが可能になり、新奇な多成分混合物を閉サイクルシステムにおける気体として使用することができ、閉サイクル気体システム内の閉サイクル気体成分または不純物の選択的凍結により、JTが汚れる恐れもない。この同じコンセプトは、高レイノルズ数の流動パターンをサポートするすべてのオリフィスに使用され、オリフィスが、燃焼またはその他の化学反応時に閉塞するかまたは汚れるのを防止する。
【0098】
不純な天然ガスは、多くの場合、JTポート膨張プロセスおよび逆流熱交換器を使用して精製される。CO不純物は、熱交換器に沿って、多くの場合は専用トラップおよび/またはサンプにおいて凍結する。可燃性な炭化水素は、JTポートの膨張チャンバで液化され、N不純物は気体相に留まり、吹き飛ばされる。次に、液体の可燃性炭化水素は、天然ガスパイプラインまたは保存場所に送られる前に、周囲圧力に戻る時点で蒸発する。別法によると、液化した可燃性天然ガスは、液体状態で抽出されて、液化天然ガス燃料の車両およびエンジンに使用される。本明細書に記載のJTポートの実施態様は、汚染および閉塞を防止するために、天然ガス精製デバイスおよび液化システム内のJTポートに適用される。その他のこうした実施例としては、エンジンの燃料噴射装置、化学薬品噴霧ノズル、および硬水または海水の沈積物により汚染される噴射水流が挙げられる。こうしたさらに他の用途も、本発明の意図する範囲内である。
【0099】
xii.コネクタのハンドル
上記のとおり、各凍結プローブの頚部は、2本の気体ラインを供える。一方のラインは、流量制御装置システムからの高圧供給ラインであり、他方のラインは、支持工学システムへの低圧戻りラインである。圧力ラインは、密封迅速コネクタを使用する流量制御システムに接続され、その結果、閉サイクル気体システムを汚染せずに容易に着脱することができる。一実施態様では、適切なフィルタもプローブまたはシステム内に配置され、可能性のある汚染物を再接続プロセスから回避する。特定の実施態様における4本ワイヤなどの複数のワイヤはこの頚部組立体を通り、温度計/加熱器/電子刺激制御ユニットに至る。図8に示す微小注入実施態様では、4本の毛管も、温度計/加熱器ワイヤと接続する頚部組立体を通り(必要に応じて、真空シースも通る)、その結果、これらの毛管は、プローブを配置して「差し込む」時に、非閉塞状態を保つことができる。
【0100】
xiii.別法による冷却プロセス
凍結プローブのための別法による冷却プロセスとして、凍結プローブは、パルス管の膨張エンジンにより冷却されるか、または熱音響振動により凍結プローブの冷却端部を実質的に冷却するその他のこうしたドライバにより冷却される。この具現では、凍結プローブは、パルス管の冷凍装置の調節された低温部分になる。パルス管冷凍装置の駆動エンジンは、室温の密封迅速コネクタを通して凍結プローブから分離されており、各々の凍結プローブは、凍結プローブに応じて特に調整される独自の室温駆動エンジンを有する。この方法の1つの利益は、単純な音響相移動装置を使用して、単に室温における駆動装置の音響相を変更することにより、凍結から解凍加熱に移行する能力である。ヘリウムは、凍結および解凍の両方における作動気体として使用される。本明細書に記載する凍結プローブ構造のその他の態様は、この具現を除いて同じであり、内側供給管または対応する熱交換器は不要である。抵抗温度計を読み取るためのワイヤ、および上記の微小注入ライン用の管は、密封迅速コネクタのプローブ側にあるパルス管エンジンの基部間で凍結プローブ内を通る。この具現では、パルス管エンジンは10ポンドの重量であり、患者の上方にある調節可能な支持構造の上に実装される。
【0101】
凍結プローブを冷却するその他の方法および変形は、これらの構造の技術的な変形であると考えられる。こうした冷却モダリティは、気体の等エントロピー膨張、流動液体状態の凍結剤冷却、すべての気体膨脹サイクル冷却モダリティ、および電気接合部冷却(ペルティエ(Peltier)効果極低温冷却)並びにアイスボールを形成するためのこうした冷却モダリティのすべての組合せが挙げられる。
【0102】
2.気体ベースの凍結システム実施態様
i.流量制御
図2Aおよび図2Bに表示する実施態様では、凍結領域内に挿入される各々の凍結プローブを通る気体流は、コンピュータの自動化により制御され、電子的にコンピュータとインターフェースする流量制御計量バルブの多岐管により作動する。各々の凍結プローブからの戻り気体は戻り多岐管内に入り、この閉サイクルシステム内の気体中の不純物を捕捉するように構成された化学的シーブを通過する。閉サイクルでは、多くの異なる気体が使用され、こうした気体としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素、および意図する冷凍手術のために用意される多成分気体が挙げられる。コンピュータプログラムは、多数の凍結プローブの各々(または、多数のJTポートがプローブ内に存在する場合、各プローブ内の個々のJTポート)を通る気体流を連続的に変更することにより、医師が指定して意図された凍結領域に適合するように設計さる。
【0103】
ii.コンピュータイメージングインターフェース
コンピュータは、標準のイメージング(つまり、US、CTまたはMRI)で指摘されるように消費される氷の予め定義されたイメージングパラメーターと相互に作用する。こうしたパラメーターとしては、約0℃に対応するアイスボールの縁部において視覚化された位相変化(つまり、固体:液体)としての凍結マージンの定義、または氷の前縁の後〜5mmを測定して仮定した細胞傷害性マージン(<−40℃)の定義が含まれる。温度マッピングは、現在定義されているMRIプロトコル、超音波検査における音速の変化、またはその他のイメージ関連温度関数の形態を取ることができる。予想される氷の範囲の術前腫瘍マッピング(図4に示す)から、各々のプローブは、腫瘍のこれまでに「彫刻された」氷の適用範囲に達する適切な最大値まで駆動することができる。こうして、前進する凍結領域のイメージングドキュメンテーションは、元の術前「計画モデル」と比較され、各々の凍結プローブを通る気体流を調節して、医師が指定する所望の凍結領域を達成する。医師が、各々のJTポートを通る気体流を手動で制御し、ひいては凍結の前進を手動で制御することを望む場合、医師には手動オーバライド機能が与えられている。
【0104】
iii.グラフィックユーザインターフェース(GUI)
GUIは、コンピュータごとに提供されるため、医師は、イメージングモダリティから決定したように、意図する凍結領域を3次元レンダリング上に指定することができる。次に、コンピュータは、図4に示すように、放射線でガイドされ、手動またはロボットを利用して配置される凍結プローブの分配を支援し、次に、組織内の各々のプローブの凍結領域の位置を確認する。この位置情報は、コンピュータ内の組織の熱物理モデルに提供され、コンピュータは、各々のプローブを通る流量を変化させて、医師が指定する所望の凍結範囲を達成する。上記のとおり、各々の凍結プローブ内の位置センサは、治療計画時の最適な位置と相対的に、配置の際に生じる位置の差に応じて、各プローブの最終凍結パラメーター(強度および持続時間)をより良好に変更することができる。
【0105】
iv.閉サイクル圧縮器/フィルタシステム
閉サイクル圧縮器システムは、圧縮の各々の段の間に内側冷却器(熱交換器)を有する多段圧縮器を備える。化学フィルタシー部は、圧縮器の取入口に位置し、閉サイクル流動システムから不純物を除去するように最適化される。圧縮器内の関連温度、圧力および流量はコンピュータにより監視され、圧縮器の悪化の兆候は、コンピュータにより折り返し報告され、オペレータが介入する必要はない。一般に、圧縮器は、1年に1回の定常的なサービスを要する。特定の気体、ひいては最適なフィルタ材料は特定の医療用途により決まり、必要な場合、出張修理サービスにより変更することができる。
【0106】
v.圧縮器要件および気体混合物の最適化
上記の凍結プローブの多くの小面により、システム全体の熱力学的効率が改善され、各プローブからの流量要件が低下するため、比較的小型の圧縮器が可能になる。こうした要件としては、凍結プローブの熱絶縁シャフト;流量インピーダンスが最小の熱交換器を同時に最適化するための標準流体力学的コードおよび熱流ルーチン(つまり、プローブの基準温度において、1個のプローブ当たり約15〜30ワットの冷却力)が挙げられるが、これらだけに限らない。これは、実施態様によっては、高圧ライン上の内径が少なくとも0.5cm、戻りライン上の内径が少なくとも2.5cmの管類で凍結プローブを支持し、圧縮器への/圧縮器からの層状流状態を確保することにより適応される。こうした比較的大径の管は、凍結プローブの頚部における凍結プローブの小さい寸法までテーパが付いており、圧縮器が、プローブから/プローブまでの長い長さにおける乱流を支持するために、不必要に動作することがないようになっている。たとえば、長さが20mmの能動的凍結領域を有する直径2.0mmの凍結プローブ(約40mmのアイスボールを作るのに適する)は、約1cfmのアルゴン流量を使用することが可能である。他成分気体混合物は、生成された後、非常に低下する可能性がある。この気体混合物の1つの利益は、これらの混合物が圧縮しやすいことである。これらの気体混合物は、単位体積当たり非常に高い比熱を有するため、室温においても「理想気体」とは程遠く、圧縮効率の点でより適している(つまり、圧縮熱が比較的低い)。気体混合物の場合、JTポートが閉塞する可能性がはるかに大きい問題であるが、本発明の挿入ワイヤは、ポートの汚染を防止する。
【0107】
3.液体ベースの凍結システムの実施態様
内蔵の液体ベース寒冷療法システムの実施態様について、図6A〜Fに関して説明した。説明はLNを重視したが、より一般的には、どの液体凍結剤でも使用することができる。
【0108】
i.流量制御
図6A〜図6Eに示す実施態様では、凍結領域内に挿入された各々の凍結プローブを通るLNの流れは、コンピュータの自動化により制御され、コンピュータとインターフェースする流量制御計量バルブの多岐管により作動する。LN流凍結プローブは、33.5バールという臨界圧力付近で実質的に連続的に作動するが、流量は、凍結プローブからの排出(つまり「戻り」)ライン中で、コンピュータにより調節可能な流量インピーダンスにより制御される。この調節可能な流量インピーダンスは、プローブ内のLNが、その臨界圧力に非常に近く維持されるように、システム内における最大の流量インピーダンスでなければならない。
【0109】
初期の冷却では、流量インピーダンスは、低い値で制御コンピュータにより設定され、対応する近臨界LN流量は非常に高い。その結果、可能な最も迅速なプローブの冷却、したがって可能な周囲組織の最も早い冷凍が可能である。プローブは、数秒以内に77K(−196℃)付近の基準温度に達し、次に、制御コンピュータが、流量インピーダンスを最大限可能な値まで増加し、しかも、プローブの温度は77Kを維持する。その結果、近臨界LNの最小限の流量を各々のプローブに使用し、デューアに対するLNの再充填間に比較的長い凍結時間を設けることができる。この流量のLNは、自主的な制御計画を使用して制御コンピュータにより時間と共に減少される。なぜなら、プローブ先端における最大冷却力は、成長するアイスボールが、アイスボールの周囲で冷凍される組織から凍結プローブを部分的に絶縁する時に、時間と共に減少するからである。制御コンピュータは、凍結サイクル時にプローブ温度を連続的に監視し、プローブに対する熱負荷の急激な変化が生じた場合、結果として生じるプローブ温度の上昇は、排出ラインの流量インピーダンスの低下により緩和され、その結果、近臨界LN2の可能な最低流量で、凍結プローブの最適な性能を継続させるのに適するように流量を増加させることができる。同様の自動化制御は、「差込み」サイクルなどのその他のサイクル時に使用され、この場合、LNの流れは、排出ライン上の流量インピーダンスを完全に閉鎖し(無限インピーダンス)、次に、制御コンピュータにより予め決められた時間間隔にわたって、ワイヤを巻き付けられた加熱器を通る電流を増加させることにより完全に停止され、その結果、プローブから離れている目標解凍深さまで組織を解凍することができる。
【0110】
ii.コンピュータ−イメージングインターフェース
コンピュータは、標準断面イメージング(つまり、US、CTまたはMRI)で指摘されるように膨張する氷の予め定義されたイメージングパラメーターと相互に作用する。こうしたパラメーターとしては、約0℃に対応するアイスボールの縁部において視覚化された位相変化(つまり、固体:液体)としての凍結マージンの定義、または氷の前縁の後〜5mmを測定して仮定した細胞傷害性マージン(つまり、<−40℃)の定義が含まれる。温度マッピングは、現在定義されているMRIプロトコル、超音波検査における将来の音速の変化、またはその他のイメージ関連温度関数の形態を取ることができる。予想される氷の範囲の術前腫瘍マッピング(図4に示す)から、各々のプローブは、腫瘍のこれまでに「彫刻された」氷の適用範囲に達する適切な最大値まで駆動することができる。こうして、前進する凍結領域のイメージングドキュメンテーションは、元の術前「計画モデル」と比較され、各々の凍結プローブを通る流を調節して、医師が指定する所望の凍結領域を達成する。医師が、各々のプローブを通るLN流を手動で制御し、ひいては凍結の前進を手動で制御することを望む場合、医師には手動オーバライド機能が与えられている。
【0111】
iii.グラフィックユーザインターフェース(GUI)
GUIは、コンピュータごとに提供されるため、医師は、イメージングモダリティから決定したように、意図する凍結領域を3次元レンダリング上に指定することができる。次に、コンピュータは、図4に示すように、放射線でガイドされ、手動またはロボットを利用して配置される凍結プローブの分配を支援し、次に、組織内の各々のプローブの凍結領域の位置を確認する。この位置情報は、コンピュータ内の組織の熱物理モデルに提供され、コンピュータは、各々のプローブを通る流量を変化させて、医師が指定する所望の凍結範囲を達成する。上記のとおり、各々の凍結プローブ内の位置センサは、治療計画時の最適な位置と相対的に、配置の際に生じる位置の差に応じて、各プローブの最終凍結パラメーター(強度および持続時間)をより良好に変更することができる。
【0112】
iv.閉サイクルまたは開サイクル圧縮器/フィルタシステム
気体ベースのシステムと違って、本発明の近臨界法によるLNの効率的な利用により、大型用途および神経用途の小型で便利なシステムの両方、または数分ではなく秒台のごく短い凍結破裂のみを要するその他の非医療用途のための内蔵ユニットが可能になる。LNの利用に関する本願特許出願人の現在の概算は2リットルのLNであり、これは、1個のプローブに〜25ワットの連続冷却力で少なくとも60分間にわたって電力を供給するのに十分である。これは増減可能であり、5〜10ガロンのLNの1回の充填は、3個の代表的な前立腺のケースに適しており、再充填は不要である(つまり、直径〜15〜2.0mmの6個のプローブ、およびケース1個当たり20分を2サイクルと仮定する)。
【0113】
v.圧縮器要件および最適化
上記の凍結プローブの多くの小面により、システム全体の熱力学的効率が改善され、各プローブからの流量要件が低下するため、比較的小型の圧縮器システムが可能になる。こうしたシステムとしては、すべての液体凍結剤に類似する構成を含み、以下に記載のLNシステムに限定されない。
【0114】
極低温温度で動作するLN圧縮器システムは、77KにおけるLNの圧力を1気圧から、33.5バールの臨界圧力またはその付近の圧力における同じ温度に増大させるために使用される。液体窒素は、この圧力範囲全体でほぼ非圧縮性であり、周囲のLNをその臨界圧力まで圧縮するために、体積の変化は殆ど必要ないことを意味する。LNの圧縮熱は、圧縮液体リットル当たり181Jで比較的小さい。後圧縮熱交換器は、毎時約0.8リットルの周囲LNを蒸発させ、凍結プローブを通るLNの近臨界流量を毎秒約0.2STPリットルの流量に維持し、これは、寒冷外科用途では一般的である。したがって、図6Bに関連して説明する圧縮器は、凍結プローブごとに近臨界圧力において毎秒0.2STPリットルの流量を維持することを意図されている。このシステムは、同時に動作する8個以下のこうしたプローブをサポートし、その結果、以下に記載するLN圧縮器全体の容量は、毎秒1.6STPリットルであり、LN槽との後圧縮熱交換によって対応する圧縮熱が除去され、33.5バールの液体/蒸気臨界圧力付近の圧力においてLNの近臨界超冷却流が生じるが、この冷却流は、入口において77Kまで超冷却される。この構造は、その他の比較的大型または比較的小型の用途に応じて拡大縮小可能であり、このLN圧縮器構造に対応する革新が異なる流量に使用されることは、当業者には明白であると考えるべきである。
【0115】
このシステムを作動させる制御コンピュータは、ステッパモータの前進速度を制御し、圧縮ベーパーロックの圧縮がその最大レベルに近くなったら、ステッパモータの方向を逆転させる。制御コンピュータは、直接的なステッパモータ較正、またはシャフトのロードセル指示値を使用して、ステッパモータにより加わる力を監視し、こうして加わった力であって、ベローの端部領域により分割された力が、システムの設計動作圧力(約33.5気圧)に一致するようにする。制御コンピュータは、ステッパモータ制御装置を適切に調節し、この一定の力を何れかの方向に連続的に加え、しかも共通のエンドプレートの位置を監視し、方向を逆転する必要がある時期を決定する。類似の設計手順は、他のすべての液体−上記冷却システムに適用され、圧縮後に容器/熱交換器内で、臨界圧力またはその付近において超冷却液体を精製する。
【0116】
次に、超冷却された近臨界液体は、真空ジャケットで被覆されたラインであって、容器/熱交換器から凍結プローブの流入ラインに走るラインを通って、凍結プローブに供給される。プローブを通る近臨界LNの流量は、プローブからの流出流上にある流量制御装置により制限される。この流量制御装置は、この流動回路内に最大の流量インピーダンスを提供することにより定常状態で動作し、プローブ内のLNが、容器/熱交換器内のLN2とほぼ同じ近臨界圧力であり、真空ジャケットで被覆された供給ライン、およびプローブを介した圧力低下が、臨界圧力付近の絶対圧力の小部分であるようにする。
【0117】
vi.電気アブレーションによる凍結プローブの組織消滅率の強化
凍結プローブの真空絶縁シャフトは、セラミックまたは複合材料などの電気絶縁材料から製造される。その結果、導電性プローブ先端を電気アブレーション用途における電極として使用することが可能である。多数のプローブが腫瘍組織内に配置されると、電流が、強制的に一方のプローブ先端から他方のプローブ先端に流れる。プローブ先端は、挿置された組織を十分に加熱して、ある程度の凝固を生じさせ、主にプローブ先端間の領域を貫流する血液を減少させる。しかし、これは、組織は非常凍結しやすくなるにも関わらず、疼痛を発現させる。次に、加熱機能は、最初の急速凍結後に比較的良好に使用され、サイクルが開始および停止する。凍結により、プローブ先端間にアイスボールが生じると、別の電流がプローブ先端間を通過し、凍結領域外周部の組織を破壊し、氷の縁部周囲の腫瘍の外周部における血液の流れをさらに減衰させる。この用途では、アイスボールがプローブ先端間に存在すると、凍結した組織は、アイスボール周囲の組織よりはるかに不良な導電体である。したがって、電流は一方のプローブ先端から他方のプローブ先端に、主に腫瘍の外周部に流れ、この周囲領域の組織および血液の流れを破壊する。したがって、1つの最適な電気アブレーション/極低温アブレーションシーケンスは、交互の凍結期間および電気アブレーション期間を含む。この最適なシーケンスは、医師が、腫瘍アブレーション手順時に、主に、アブレートされる組織のほぼ実時間イメージングにより決定した実行可能な最大のアブレーション領域を生成する効果に基づいて決定する。
【0118】
本発明の方法は、コンピュータ可読プログラムが内部に埋め込まれて、上記などの寒冷療法システムの動作を指示するためのコンピュータ可読記憶媒体内に埋め込むことができる。コンピュータ可読プログラムは、上記の実施態様による寒冷療法システムを動作させるための命令を含む。
【0119】
したがって、以上でいくつかの実施態様について説明したが、当業者であれば、様々な変更、別法による構成および等価なものは、本発明の精神を逸脱することなく使用することができることを認識するであろう。したがって、上記の説明は、以下の請求の範囲で定義する本発明の範囲を制限するものであると解釈するべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2B】
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【図4】
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【図6C】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図2A】
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【図3】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6D】
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【図6E】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−51827(P2010−51827A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278973(P2009−278973)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【分割の表示】特願2006−501041(P2006−501041)の分割
【原出願日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(505267500)クライオダイナミクス, エルエルシー. (3)
【Fターム(参考)】