説明

対人保護システムに使用されるフードの製造方法

【課題】対人保護システムのヘルメットを覆って配置されるフードの製造方法。
【解決手段】柔軟かつ透明な顔面シールド146を設けるステップと、少なくとも1つの透明かつ離脱可能な層150を、前記顔面シールド146を覆って貼り付けるステップであって、前記フードの使用中に前記離脱可能な層150を前記顔面シールド146から取り外すことを可能にする方法を使用する、ステップと、γ線を使用して前記顔面シールド146及び離脱可能な層150のアセンブリを滅菌するステップと、前記フードを構成するために、前記顔面シールド146及び離脱可能な層150のアセンブリを、フィルター媒体から形成された一部を含むシェルに取り付けるステップ、を含むことを特徴とするフードの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2005年3月24日に出願された仮出願第60/664,900号の利得
を主張し、この仮出願は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、一般的に、空気をユーザに分配するために、ユーザに取付け可能な対人保護
システムに関する。この対人保護システムは、外科手術中、医療専門家に利用されるもの
である。本発明は、さらに具体的には、対人保護システムに用いられるヘルメットアセン
ブリおよびガウンに関する。
【背景技術】
【0003】
対人保護システムおよび対人保護システムに利用されるヘルメットアセンブリは、当技
術分野において知られている。前述したように、対人保護システムおよびヘルメットは、
外科手術中の医療専門家、例えば、外科医などを含むユーザに着用されている。
【0004】
従来の対人保護システムおよびヘルメットアセンブリは、様々な理由から、不完全であ
る。例えば、クロッツらに付与された米国特許第6,990,691号明細書(’691
特許)は、空気をファンアセンブリによって引き込み、その空気を前側空気出口および後
側空気出口に分配するヘルメットアセンブリを開示している。しかし、このヘルメットア
センブリがユーザに着用されると、空気出口は、空気がユーザの頭の後ろの中央部近くに
放出されるように、位置することになる。その結果、空気は、殆どの外科医が空気冷却を
望むユーザの首の方に導かれないことになる。
【0005】
従来技術による対人保護システムの他の欠点は、ファンアセンブリに関連するものであ
る。例えば、空気を引き込むために回転するファンのブレードの形状は、最も効率的で最
も静粛な空気流れをもたらすことができない。これによって、過剰な電力消費を招き、そ
の結果、バッテリパックの時期尚早な枯渇を引き起こすと共に、繊細な手術を行なう外科
医の気を散らすことがある過剰な騒音をもたらすことになる。
【0006】
さらに、従来技術によるヘルメットアセンブリは、概して騒がしいと共に、ファンの回
転によって生じた振動をユーザに伝達する傾向にある。騒音および振動は、言うまでもな
く複雑な手仕事に全力を注ぐことが必要とされる外科医の気を散らすことがある。
【0007】
’691特許のさらに他の欠点は、顔面シールドに配置される多数の離脱可能な層に関
するものである。’691特許は、これらの多数の離脱可能な層の滅菌について記述して
いない。しかし、滅菌に関する問題は、外科プロセスに含まれるどのような物品にとって
も、最も重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の理由から、ユーザの首への空気流れをさらに制御し、空気をさらに効率的かつさ
らに静粛に流動させる手段をもたらす対人保護システムを提供することが望ましい。さら
に、外科医の気を散らすことがある騒音および振動が最小限に抑える対人保護システムを
提供することが望ましい。さらに、効率的な方法で滅菌される離脱可能な層を有する顔面
シールドを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様では、対人保護ユニットが開示されている。この対人保護ユニットは
、個人の頭を覆ってフードを吊るす支持構造体を備えている。ファンモジュールが、支持
構造体に取り付けられる。このファンモジュールは、空気を受け取り、空気を排出するも
のである。ダクトが、支持構造体に接続され、このダクトは、ファンモジュールから排出
された空気を受け取るように配置された開口を有している。ダクトは、後側空気出口を有
するように形成されている。ダクトは、ファンモジュールから排出された空気の一部分の
みがダクトに流入するように、ファンモジュールに対して配置されている。ダクトは、支
持構造体から延在し、後側空気出口は、空気が後側空気出口から個人の首に直接排出され
るように、位置決めされている。支持構造体から延在し、空気を首に直接排出するダクト
によって、個人(例えば、外科医)の快適さが向上し、個人が行なう仕事(例えば、外科
手術)に全力を注ぐことが可能になる。
【0010】
本発明の第2態様では、対人保護ユニットは、個人の頭を覆ってフードを吊るす支持構
造体を備えている。この対人保護ユニットは、空気を循環させるファンを備えている。モ
ータが、支持構造体に取り付けられ、ファンを作動させるために、ファンに接続されてい
る。エラストマー製の振動減衰部材が、モータを支持構造体に保持している。振動減衰部
材は、ファンおよび/またはモータによって生じた騒音および/または振動のユーザへの
伝達を低減させるのに役立っている。騒音および/または振動の低減によって、個人の注
意散漫を少なくすることが可能になる。
【0011】
本発明の第3態様は、濾過材料を部分的に含む柔軟かつ滅菌可能な材料から形成される
フードであって、頭を覆って着用されるように形成されたフードを有する対人保護システ
ムを提供している。透明な顔面シールドが、フードに取り付けられている。対人保護シス
テムは、頭を覆ってフードを吊るす支持構造体を備えている。空気をフード内に循環させ
るために、ファンが、支持構造体に取り付けられている。無菌の透明材料からなる複数の
個別に離脱可能な層が、顔面シールドを覆って配置されている。
【0012】
本発明の第4態様は、透明な顔面シールドを有する滅菌されたフードアセンブリを組み
立てる方法を提供している。この方法は、滅菌可能な柔軟材料から形成されたフードを設
けるステップであって、材料の一部が濾過材料であるステップを含んでいる。透明な顔面
シールドアセンブリが、フードに取り付けられ、シールドアセンブリは、顔面シールドを
備えている。この方法は、濾過材料に悪影響を及ぼさない滅菌プロセスを用いて、フード
および顔面シールドアセンブリを滅菌するステップをさらに含んでいる。透明なシールド
アセンブリは、顔面シールドを覆って配置される複数の離脱可能な透明層をさらに備えて
いる。顔面シールドおよび離脱可能な層をまとめて一緒に滅菌することによって、次の組
立工程中に汚染物が混入する可能性をなくし、更なる効果的な組立プロセスが得られる。
【0013】
添付の図面と関連して、以下の詳細な説明を参照することにより、本発明が十分理解さ
れるなら、本発明の他の利点が、容易に認識されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ユーザの頭に取り付けられたヘルメットアセンブリとして実施される対人保護システムの斜視図である。
【図2】ヘルメットアセンブリの断面図である。
【図3】ヘルメットアセンブリの分解斜視図である。
【図4】本発明のファンモジュールの好ましい実施形態の分解斜視図である。
【図5】ファンモジュールの好ましい実施形態の断面図である。
【図6】ファンモジュールの代替的実施形態の断面図である。
【図7】翼形状を有するファンブレードを示すファンモジュールのファンの斜視図である。
【図8】翼形状を有するファンブレードを示すファンの平面図である。
【図9】本発明のノズルアセンブリの正面図である。
【図10】ノズルアセンブリのノズルチップの斜視図である。
【図11】ノズルアセンブリのノズルの出入口を示す底面図である。
【図12】本発明の第1の代替的ノズルおよび第1の空気流量調整機構の分解斜視図である。
【図13】本発明の第2の代替的ノズルおよび第2の空気流量調整機構の分解斜視図である。
【図14】ヘルメットアセンブリに取り付けられた一体化顔面シールドを有するフードの斜視図である。
【図15】顔面シールドに取り付けられた離脱可能な顔面シールド層の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、対人保護システムまたは対人保護ユニットが、総称的に20で示さ
れている。なお、さまざまな図面を通して、同様の番号は、対応する部品を示すものとす
る。対人保護システム20は、空気をユーザ(すなわち、個人)に分配するために、ユー
ザに取付け可能である。本発明の対人保護システム20は、ディアズ(Diaz)らに付与さ
れた米国特許第6,481,019号明細書(’019特許)およびディアズ(Diaz)ら
に付与された米国特許第6,973,677号明細書(’677特許)に開示された対人
保護システムから改良されたものである。これらの特許は、参照することによって、ここ
に含まれるものとする。
【0016】
図1に示される好ましい実施形態では、対人保護システム20は、ヘルメット22また
はヘルメットアセンブリ22として、実施されている。対人保護システム20は、ユーザ
、例えば、医療専門家の体26の頭24とユーザの外部環境との間で空気を濾過するもの
である。使用時に、対人保護システム20の好ましいヘルメットアセンブリ22は、ユー
ザの頭24に取り付けられるようになっている。ヘルメットアセンブリ22は、以下に述
べるように、空気をユーザの頭24の周囲に分配するものである。さらに具体的に、好ま
しい実施形態では、ヘルメットアセンブリ22は、頭24の前部、すなわち、ユーザの顔
と、頭24の後部、すなわち、ユーザの首の両方に向かって、空気を分配している。
【0017】
以下、好ましい実施形態のヘルメットアセンブリ22に関連して、本発明の対人保護シ
ステム20を説明する。しかし、これによって、対人保護システム20をヘルメットアセ
ンブリ実施形態に制限すると、解釈されてはならない。
【0018】
図2を参照すると、ヘルメットアセンブリ22は、構造支持体(すなわち、支持構造体
28)をもたらすシェル28を備えている。シェル28は、好ましくは、ユーザの方を向
く内側シェル部30およびユーザから離れた方を向く外側シェル部32を備えている。好
ましい実施形態では、外側シェル部32は、内側シェル部30から離間され、少なくとも
1つの空気流路34を内側シェル部30と外側シェル部32との間を画定している。本発
明は、2つ以上の別々の流路34を備えてもよいことが理解されたい。しかし、好ましい
実施形態は、単一の一体空気流路34を備え、以下、この単一の空気流路34について、
本発明を説明する。シェル28は、好ましくは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン(ABS)から形成されるが、代替的実施形態では、ガラス充填ポリプロピレンまたは
他の適切な材料から形成されてもよい。
【0019】
空気流路34は、空気をユーザの頭24の周囲に導くものである。この空気流路34は
、シェル28の構造強度を改良するツイン・シート熱成形プロセスによって、内側シェル
部30および外側シェル部32から形成されるとよい。さらに具体的には、内側シェル部
30および外側シェル部32の各々が外周を備え、ツイン・シート熱成形プロセスによっ
て、内側シェル部30および外側シェル部32のそれぞれの外周が、互いに圧搾される。
その後、空気流路34が、これらの狭窄された外周間に熱成形されることになる。
【0020】
また、ヘルメットアセンブリ22は、シェル28から顔面開口38を画定するように延
在する顔面部36を備えている。このヘルメットアセンブリ22の顔面部36は、顎バー
40である。好ましくは、顎バー40は、柔軟であるとよく、プラスチックから形成され
ている。顎バー40も、ポリプロピレン成分から形成されているとよい。顎バー40が柔
軟性を有することによって、ユーザの顔を保護し、ユーザが外部対象物をヘルメットアセ
ンブリ22に接触させたときに、衝撃を吸収することが可能となっている。
【0021】
図3を参照すると、ヘルメットアセンブリ22は、シェル28によって支持されるファ
ンモジュール42を備えている。さらに具体的には、ファンモジュール42は、シェル2
8によって形成された空洞44内に取り付けられている。ファンモジュール42は、空気
流れを生じるように作動し、空気流路34に流体連通している。図4に示されるように、
ファンモジュール42は、渦巻ハウジング50に取り付けられたファン46およびモータ
48を備えている。モータ48は、ファン46に作動可能に接続された駆動シャフト52
を備え、空気流路34に流れる空気の量または容量と関連する複数の回転速度で、ファン
46を駆動するようになっている。当業者によって理解されるように、ファン46の回転
速度は、回転数(RPM)の単位で測定可能である。
【0022】
図3を参照すると、カバー板54は、ファンモジュール42を空洞44内に保持するた
めに、シェル28およびファンモジュール42に固定されるようになっている。ファンモ
ジュールクッション56は、カバー板54とファンモジュール42の基部との間に配置さ
れている。ファンモジュールクッション56は、モータ48からユーザへの騒音の伝達を
低下させるものである。
【0023】
図4および図5を参照すると、好ましい実施形態では、モータクッション58が、モー
タ48とモータマウント60との間に配置されている。グロメットとして実施される複数
のモータマウントクッション62が、モータマウント60と渦巻ハウジング50との間に
配置されている(明確にするために、渦巻ハウジング50の下方に示されるが、この配列
は、図5に最もよく示されている)。モータクッション58およびモータマウントクッシ
ョン62は、一緒になって、衝撃負荷および振動を低減させる振動減衰部材として作用し
ている。さらに具体的には、モータマウントクッション62は、ヘルメット構造体、例え
ば、シェル28とモータ48との間の衝撃を低減させ、これによって、モータ48の軸受
寿命を延ばし、低騒音特性をもたらす主要素である。モータマウントクッション62は、
モータ48をヘルメット構造体の残りの部分から完全に隔離している。2組のクッション
、すなわち、モータ48とモータマウント60との間のモータクッション58と、モータ
マウント60と渦巻ハウジング50との間のモータマウントクッション62とを有するこ
とによって、ヘルメット構造体とモータ8との間のエネルギーの伝達を微調整することが
可能となっている。モータクッション58およびモータマウントクッション62は、発泡
材および/またはエラストマー材料から形成されているとよい。
【0024】
図6を参照すると、本発明の代替的実施形態では、モータ48を渦巻ハウジング50に
取り付けるモータマウント60は、エラストマー材料から形成されている。好ましくは、
モータマウント60は、10〜80ショアAのデュロメータ硬度を有するシリコーンから
形成されている。好ましい実施形態のモータマウントクッション62と全く同様に、エラ
ストマー製のモータマウント60も、衝撃負荷および振動を低減させるものである。さら
に、渦巻ハウジング50は、振動をさらに低減させるために、ガラス充填ポリプロピレン
から形成されているとよい。
【0025】
図7を参照すると、ファン46は、複数の湾曲ブレード64およびハブ部66を備えて
いる。ファン46の湾曲ブレード64は、空気を渦巻ハウジング50内に送り込むもので
ある。ブレード64は、翼断面を有する遠心ファンブレードとして、さらに画定されてい
る。すなわち、ブレード64は、その長さに沿って次第に薄くなっている。この構成によ
って、一定の厚みを有するブレード64よりも、空気がより効率的かつより静粛に流動す
ることになる。ブレード64の各々の翼断面は、好ましくは、30〜50°の迎角を有し
ている。ファン46は、好ましくは、ガラス充填ポリプロピレン、さらに好ましくは、3
0%ガラス充填ポリプロピレンから形成されている。
【0026】
図4を再び参照すると、渦巻ハウジング50は、基部68および基部68の周りに周方
向に延在する外壁70を備えている。外壁70は、上端72を備えている。渦巻ハウジン
グ50は、少なくとも1つの空気入口74および少なくとも1つの空気出口76をさらに
備えている。好ましい実施形態では、渦巻ハウジング50は、複数の空気出口76、すな
わち、少なくとも2つの空気出口76を備えている。本発明の他の実施形態(図示せず)
では、渦巻ハウジング50を有しないファンモジュール42のみが設けられてもよい。こ
のような実施形態では、少なくとも1つの空気入口74および少なくとも1つの空気出口
76はファンモジュール42の要素とみなされることになる。
【0027】
好ましい実施形態の渦巻ハウジング50は、1つ以上の空気出口76において、外壁7
0に沿った傾斜面78(または切断面)を備えているとよい。好ましい実施形態における
傾斜面78は、ファン46およびモータ48の回転軸に対して傾斜している。傾斜面78
は、空気を空気出口76内に効率的に送るものである。事実上、傾斜面78を有する各空
気出口76におけるブレード通過周波数は、少なくとも2つのブレード64が同時に空気
出口76を通過するように、変更されている。外壁70は、好ましくは、傾斜面78を有
する出口において、外壁70のフランジ部80が傾斜面78を画定するように、ファン4
6から外方に離れて巻かれている。好ましくは、外壁70は、空気出口76に対して滑ら
かに移行するために、フランジ部80において丸められている。これによって、空気出口
76を通って流れる空気によって生じる騒音が低減することになる。
【0028】
図2を再び参照すると、ヘルメットアセンブリ22は、外側シェル部32に取り付けら
れた吸気グリッド82をさらに備えている。吸気グリッド82は、ヘルメットアセンブリ
22の外側シェル部32から離間した上面84を備えている。吸気グリッド82は、シェ
ル28の前部と後部との間の外側シェル部32に対応した形状を有している。ファン46
によって、空気が吸気グリッド82を通して渦巻ハウジング50内に引込まれるようにな
っている。ファン46のブレード64は、ブレード64の各々の頂部が渦巻ハウジング5
0の外壁70の上端72から下方に約0.14〜0.20インチ(約0.36〜0.51
センチ)離れるように、寸法決めされている。これによって、ブレード64とその上方の
外側シェル部32との間に、低騒音および高効率をもたらすクリアランスが得られること
になる。
【0029】
空気を渦巻ハウジング50に引き込むために、渦巻ハウジング50の空気入口74は、
シェル28の外側シェル部32に形成される孔86と直通している。本発明の代替的実施
形態では、図示されていない外部構造体をヘルメットアセンブリ22の外部に取付け、空
気を渦巻ハウジング50内に引き込むための渦巻ハウジング50の空気入口74をこの外
部構造体に設置することも可能である。外側シェル部32に形成される孔86は、円形で
あるとよい。孔86の直径は、外側シェル部32の孔86を通して見たときに、ファン4
6の直径の一部のみが露出するように、ファン46の直径に対して寸法決めされるとよい
。ファン46の直径に対する孔86の直径のこの比率は、1:2〜1:1、さらに好まし
くは、1:1.5〜1:1.1であるとよい。
【0030】
図4を参照すると、支持台座88が、モータマウント60から突出している。好ましく
は、支持台座88は、基部68に固定されるモータマウント60の一部として一体に形成
されている。代替的に、支持台座88は、別部品であってもよいことも理解されたい。す
なわち、支持台座88は、ネジ止め、スナップ嵌合などによって、渦巻ハウジング50の
基部に取り付けられるかまたは接続される別部品であってもよい。ファン46のハブ部6
6は、渦巻ハウジング50内において、支持台座88の周りに回転可能に取り付けられて
いる。ファンモジュール42のモータ48は、ヘルメットアセンブリ22内の設置面積を
節約するために、支持台座88の下面に取り付けられている。理解されるように、支持台
座88の下面は、本質的に中空である。モータ48のシャフトが、支持台座88の開口を
通して突出し、ファン46と回転可能に係合するようになっている。カバー板54は、内
側シェル部30においてファンモジュール42を閉鎖するモータ48のカバーとして作用
している。モータ48は、当業者によって理解されるように、1対の軸受を有している。
ファン46は、重力の中心がこれらのモータ48の軸受間の中心に位置するように、構成
されている。これによって、モータ48の軸受を中心とする力のモーメントを低減させ、
モータ48の軸受に加えられる応力を低減させることが可能となる。従って、ファン46
に加えられる負荷は、実質的に、モータ48の軸受間に分配されることになる。
【0031】
作動時には、モータ48がファン46を回転させ、吸気グリッド82および外側シェル
部32の孔86を通して、空気を渦巻ハウジング50の空気入口74内に引込み、この空
気を渦巻ハウジング50の1つまたは複数の空気出口76から空気流路34に分配する。
この空気流路34において、空気がユーザの頭24の周りに分配される。ファン46が空
気を渦巻ハウジング50内で流動させるときに、切断面(いくつかの実施形態では、前述
したように、傾斜した切断面)によって、空気がせん断される。さらに具体的には、図示
されるように、本発明は、空気をせん断させるために、渦巻ハウジング50内にいくつか
の空気流れ切断面を含んでいる。本発明では、モータ48に電力を供給し、ファン46を
モータ48のシャフトを介して回転させるために、電源が内蔵されている。好ましくは、
電源は、再充電可能なDCバッテリである。また、好ましくは、電源は、ヘルメットアセ
ンブリ22内に配置、すなわち、一体化されている。このような場合、電源は、一体化電
源と呼ばれている。代替的に、電源をユーザ(図示せず)の体26に取り付けることが可
能である。この電源は、以下にさらに詳細に述べるパルス幅変調(PWM)によって、モ
ータ48に電力を供給している。渦巻ハウジング50のこの設計は、電源の必要とされる
全体的な電力を少なくして、空気のより効率的な流動をもたらすことができる。さらに、
このような電源要件の低減に加えて、この渦巻ハウジング50によれば、空気速度を全体
的に少なくして、十分な空気流れを維持することができる。これによって、より静粛なヘ
ルメットアセンブリ22が得られることになる。
【0032】
少なくとも2つの空気出口76に対して、渦巻ハウジング50の外壁70は、これらの
空気出口76を画定するように、仕切られている。少なくとも2つの空気出口76を有す
る本発明の好ましい実施形態では、本発明が少なくとも2つの空気出口76に制限されな
いことを理解されたい。すなわち、本発明は、例えば、3つまたは4つの空気出口76を
備えていてもよい。これらの空気出口76によれば、空気が渦巻ハウジング50からユー
ザの頭24の周囲に分配されるときに、完全な空気の均衡が得られることになる。これを
達成するために、ヘルメットアセンブリ22は、空気流路34と流体連通する少なくとも
2つのヘルメット空気出口90,92を備えている。空気を空気流路34内の空気出口7
6からユーザの頭24の方に分配させるために、空気出口76は、少なくとも2つのヘル
メット空気出口90,92と流体連通している。ヘルメットアセンブリ22が少なくとも
2つのヘルメット空気出口90,92を備える本発明の好ましい実施形態では、渦巻ハウ
ジング50が少なくとも2つの空気出口76を備えることは重要ではない。それとは逆に
、これらの実施形態では、渦巻ハウジング50は、少なくとも1つの空気出口76しか有
していなくてもよい。さらに、ヘルメットアセンブリ22は、1つの空気出口しか有して
いなくてもよい。
【0033】
代替的実施形態では、空気出口76の各々から空気流路34に流れる空気の量または容
量に影響を及ぼす少なくとも1つの抽気弁(図示せず)が、渦巻ハウジング50内に組み
込まれていてもよい。これは、ディアズ(Diaz)らに付与された’019特許に示されて
いる。この特許は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0034】
好ましい実施形態では、図2に最もよく示されるように、空気出口90,92は、空気
をユーザの顔および首の両方に有効に分配させるために、ヘルメットアセンブリ22の前
部94および後部96にそれぞれ配置された前側空気出口94および後側空気出口92で
ある。しかし、代替的実施形態では、空気出口90,92は、ユーザの頭24の任意の部
分に向かって空気を分配するために、代替的位置に配置されてもよい。例えば、空気出口
90,92は、空気をユーザの頭24の側面の方に分配するために、側面の空気出口90
,92であってもよい。以下、便宜的に、前側空気出口90および後側空気出口92に関
してのみ、この部番を付して、本発明を説明する。さらに具体的に、前側空気出口90は
、空気を空気流路34からユーザの頭24の前側に向かって分配するために、前部94に
配置され、後側空気出口92は、空気を空気流路34からユーザの頭24の後側に向かっ
て分配するために、後部96に配置されている。
【0035】
図2をさらに参照すると、内側シェル部30と外側シェル部32との間に画定された空
気流路34は、前側空気出口90を有する前部94で終端している。さらに具体的には、
内側シェル部30および外側シェル部32は、前部94に向かって収束し、前側空気出口
90を画定している。前側空気出口90は、外側シェル部32と内側シェル部との間に画
定された空気偏向具(図示せず)を有していてもよい。この空気偏向具は、ユーザの頭2
4の前部に向かって空気を適切に偏向させるために、前側空気出口90において、外側シ
ェル部32を内側シェル部30の方に傾斜させることによって、構成されている。このよ
うな空気偏向具は、ディアズ(Diaz)らに付与された’019特許に最もよく示される。
この特許は、参照することによって、ここに含まれるものとする。空気流路34は、前側
空気出口90に達するときに、発散するようになっている。空気流路34の収束および発
散によって、ユーザの頭24の周囲における均衡の取れた空気流れが維持されることにな
る。最終的に、この均衡の取れた空気流れによって、ヘルメットアセンブリ22内の騒音
を最小限に抑えるかまたはさらに完全に排除する効果も得られることになる。
【0036】
後側空気出口92は、(ダクト98またはダクトアセンブリ98とも呼ばれる)ノズル
アセンブリ98内に組み込まれている。図9を参照すると、ノズルアセンブリ98は、回
転可能に調整することができるノズルチップ102を有するノズル100を備えている。
ノズル100は、該ノズル100の壁104が空気流路34内に配置されように渦巻ハウ
ジング50に取付けられ、空気を方向転換させ、空気出口76の少なくとも1つから少な
くとも1つの出入口、好ましくは、2つの出入口106内に流入されるようになっている
。出入口106は、ここでは、導管を画定する排出部材106、または簡単に、排出部材
106と呼ばれている。出入口106は、空気を回転可能に調整することができるノズル
チップ102に送給するものである。後側空気出口92は、ノズルチップ102内に画定
されている。図2に示されるように、対人保護システムがユーザに取り付けられたとき、
ノズルチップ102および後側空気出口92は、前側空気出口90よりも下方に延在し、
空気をユーザの首に導いている。また、以下に述べるように、後側空気出口92は、ヘル
メットアセンブリ22の頭部支持アセンブリ108よりも下方に延在している。
【0037】
図10を参照すると、ノズルチップ102の各々は、ノズルチップ102の後側空気出
口92を画定するノズルヘッド110を備えている。ノズルチップ102の各々は、ノズ
ルチップ102をノズル100に回転可能に係止する1対のスナップ係止フィンガー11
2も備えている。図10と共に図11を参照すると、ノズル100は、出入口106の各
々内に配置された内側フランジ114を備え、スナップ係止フィンガー112は、ノズル
100にスナップ係止された時点で、内側フランジ114によって軸方向に保持されるよ
うになっている。ノズルチップ102は、外側フランジ116を備えている。外側フラン
ジ116は、ノズル100の遠位端に当接し、ノズルチップ102をさらに軸方向に保持
している。一方、外側フランジ116の円筒肩118が、出入口106の内側に嵌入され
、出入口106内において、ノズルチップ102を回転可能に支持している。スナップ係
止フィンガー112は、肩から延在している。加えて、複数の戻り止めフィンガー120
が肩から延在し、内側フランジ114の内方に突出する表面に画定された複数の凹凸12
2に沿って係留されている。これによって、ノズルチップ102は、ノズルチップ102
の偶発的な回転を阻止するように段階的に制御されて、ノズル100を回転させている。
ノズルチップ102は、ユーザの好みに基づいて、ユーザの首に向うかまたはユーザの首
から離れる方向に空気流れを変化させるように、調整可能である。代替的実施形態では、
調整可能な偏向具(図示せず)が、ノズルチップ102内に組み込まれ、ユーザの首の空
気が後側空気出口92から導かれる箇所をさらに変化させることが可能となっている。
【0038】
ノズル100は、好ましくは、ABSから形成され、ノズルチップ102は、好ましく
は、LEXANポリカーボネートから形成されている。勿論、ノズル100およびノズ
ルチップ102は、当業者に知られている他の適切な材料から形成されてもよい。
【0039】
図12および図13を参照すると、代替的ノズル100およびこれらのノズルと共に用
いられる空気流量を調整することができる機構が示されている。図12をまず参照すると
、図示の第1の代替的ノズル100は、開口124を備えている。この開口124は、空
気流路34内に配置された空気流れ閉塞具128のアーム126を摺動可能に受容するよ
うに構成されている。ヘルメットアセンブリ22のユーザは、空気流れ閉塞具128の位
置を変化させることによって、出入口106、次いで、後側空気出口92を通って流出す
る空気流量を調整することが可能である。アーム126を開口124内で摺動させること
によって、ユーザは、空気流れ閉塞具のバッフル130の位置を調整することができる。
バッフル130が渦巻ハウジング50の空気出口76の方に調整されると、空気出口76
を通ってノズル100に向かう空気流れが減少することになる。または、バッフル130
が空気出口76からずれた方向に調整されると、空気出口76を通ってノズル100に向
かう空気流れが増加することになる。空気流れ閉塞具128は、全開位置、全閉位置、ま
たはそれらの間の任意の中間位置に配置させることが可能となっている。
【0040】
図13を参照すると、ノズル100は、ノズル孔132を備え、空気流量を調整するこ
とができる機構は、スライダー134の形態にある。このスライダー134は、複数の位
置間で移動可能である。広く開いた位置では、スライダー134のスライダー孔136は
、ノズル100のノズル孔132と一列に並んでいる。その結果、渦巻ハウジング50の
空気出口76からの大量の空気流量が、出入口106に達する前に、ノズル100から放
出されることになる。これによって、後側空気出口92を通る空気流量は、著しく低減す
ることになる。全閉位置では、ノズル孔132は、スライダー134のパネル138によ
って閉鎖され、渦巻ハウジング50の空気出口76からの全空気流量は、後側空気出口9
2に導かれることになる。ノブ140が、ノズル100内のスロットを介してスライダー
134に取り付けられている。このノブ140を用いて、ユーザは、スライダー134の
位置を変化させ、空気流量を制御することができる。
【0041】
ユーザが対人保護システム20を使用している全期間、すなわち、対人保護システム2
0の使用の全体にわたって、ヘルメットアセンブリ22内を流れる空気を一定量に保持す
る方法が、本発明によって提供される。この方法は、’677特許において詳述される電
源を選択的に作動および停止するステップを含んでいる。この特許は、参照することによ
って、ここに含まれるものとする。
【0042】
図3を参照すると、調整可能な頭部支持アセンブリ108が、ユーザの頭24および首
の張りを最小限に抑えるのを補助している。ユーザの頭24および首の張りや捩じれは、
ヘルメットアセンブリ22を種々の大きさの頭24に嵌合させるように調整するときでも
、ユーザの首の上のファンモジュール42の重量を保持することによって、最小限に抑え
られる。頭部支持アセンブリ108は、後部支持体142を備えている。この後部支持体
142は、シェル28から曲がらずに延在し、後部96に接続されている。後部支持体1
42は、ヘルメットアセンブリ22に接続される別部品であってもよく、ヘルメットアセ
ンブリ22の一体部品であってもよいことを理解されたい。好ましい実施形態では、後部
支持体142は、内側シェル部30の後部96に接続され、そこから延在している。しか
し、後部支持体142は、シェル28のどの部分に接続され、そこから延在してもよいこ
とを理解されたい。
【0043】
ユーザとヘルメットアセンブリ22との間に快適なバリアをもたらすために、粘弾性発
泡パッド(図示せず)が、ヘルメットアセンブリ22の種々の個所に貼り付けられてもよ
い。好ましい実施形態では、ヘルメットアセンブリ22を形成するのに用いられる材料、
特に、シェル28、渦巻ハウジング50、およびファン46を形成するのに用いられる材
料は、騒音減衰特性に基づいて選択されている。これらの材料の剛性は、振動を減少させ
、伝達された騒音の周波数をより穏やかな周波数に変化させるように、選択されている。
【0044】
図1を再び参照すると、対人保護システム20は、ユーザの頭24を収容するヘルメッ
トアセンブリ22を覆うフード144を備えている。このフード144は、’019特許
に記載されるように、ユーザと外部環境との間で空気を濾過するフィルター媒体として、
作用するものである。この特許は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0045】
図14を参照すると、本発明は、ユーザがフード144およびヘルメットアセンブリ2
2の顔面開口38を通して見ることを可能にする顔面シールド146も備えている。この
顔面シールド146は、該顔面シールド146を介する視覚を高める抗反射膜および/ま
たは抗屈折膜を備えていてもよい。顔面シールド146は、ユーザが対人保護システム2
0を着用したときに、顔面シールド146がヘルメットアセンブリ22の顔面部36およ
び顔面開口38を覆うように、フード144に取り付けられるようになっている。さらに
具体的には、顔面シールド146は、ユーザと外部環境との間に完全なバリアを維持する
ように、フード144に取り付けられるようになっている。ヘルメットアセンブリ22の
顔面開口38は、本質的に、顔面シールド146を受けるものである。好ましくは、ヘル
メットアセンブリ22の顔面部36は、顔面開口38を覆うために、顔面シールド146
を顔面部36に取り付けるのをさらに容易にする面ファスナー148を備えている。
【0046】
図15を参照すると、フード144またはガウン内に組み込まれる顔面シールド146
は、好ましくは、少なくとも1つの離脱可能なまたは剥離可能な層150を備え、この層
150は、使用中に顔面シールド146に堆積された破片を容易に、かつ効果的に除去す
る方法をもたらしている。これによって、使用中に堆積された破片を顔面シールド146
から拭取る必要がなくなる。最も好ましい実施形態では、複数の離脱可能な層150が用
いられている。これらの離脱可能な層150は、顔面シールド146と共に滅菌されて、
ユーザに届けられるだろう。離脱可能な層150は、各離脱可能な層150を顔面シール
ド146から離脱した後も汚染が存在しないかまたは汚染に晒されないように、各離脱可
能な層ごとに滅菌される。離脱可能な層150は、透明で、好ましくは、柔軟である。一
実施形態では、離脱可能な層150は、薄く、柔軟で、顔面シールド146の形状に合っ
た形状を有している。さらに、離脱可能な層150間の空隙は、多面的な反射/屈折像を
少なくするために、最小限に抑えられている。好ましくは、離脱可能な層150は、γ線
を用いて滅菌される。好ましい実施形態では、顔面シールド146および離脱可能な層1
50は、組み付けられる。次いで、顔面シールド146および離脱可能な層150は、γ
線によって滅菌される。この後、離脱可能な層150を有する滅菌された顔面シールド1
46は、クリーンルーム環境内において、フード144に取り付けられる。顔面シールド
146が取り付けられたフード144またはガウンは、個別に包装され、エチレンオキシ
ドによって滅菌される。
【0047】
しかし、代替的実施形態では、離脱可能な層150は、エチレンオキシド(EtO)ガ
スによって滅菌されてもよい。この実施形態では、離脱可能な層150は、EtOガスに
よる滅菌を効果的に行なうために、通気性を有していなければならない。
【0048】
一実施形態では、離脱可能な層150は、静電気による付着、透明接着剤などのような
自己接着による取付け法を用いて、顔面シールド146に直接取り付けられている。図示
されるように、ユーザまたは助手が離脱可能な層150を顔面シールド146から剥ぎ取
るために掴める剥離タブ152を備えていてもよい。タブ152は、離脱可能な層150
のどの部分に配置されてもよく、例えば、「下向きに剥ぎ取る」ために上端に配置されて
もよく、「上向きに剥ぎ取る」ために底に配置されてもよく、「横向きに剥ぎ取る」ため
に、側面に配置されていてもよい。さらに、離脱可能な層150の各々は、多数のタブ1
52を有していてもよい。離脱可能な層150は、好ましくは、多面的な像を減らすこと
によって、視覚を改良する抗反射膜および/または抗屈折膜を備えている。一実施形態で
は、離脱可能な層150は、1〜5ミル厚みの鮮明なウレタン膜から形成されている。さ
らに他の実施形態では、離脱可能な層150は、隣接する離脱可能な層150間の空気層
150を低減または排除するポリエステル、例えば、Mylar(登録商標)、または他のγ
線安定材料から形成されている。
【0049】
代替的実施形態では、離脱可能な層150は、薄くて、半剛性または剛性で、隣接する
離脱可能な層150間の空隙を最小限に抑えながら、顔面シールド146の形状に合った
形状を有している。離脱可能な層150は、半剛性フィルムまたは剛性フィルムとして形
成されていてもよい。この実施形態では、離脱可能な層150は、例えば、接着剤、テー
プ、点溶接、静電気による付着、または他の従来の取付け方法によって、非連続的に、顔
面シールド146の周囲に取り付けられるとよい。これによって、EtOガスが、これら
の周囲を貫通し、離脱可能な層150間の最終滅菌を行なうことが可能となる。この実施
形態では、離脱可能な層150は、平らな形状に製造され、次いで、顔面シールド146
の曲率に合わせて巻かれ、これによって、離脱可能な層150間の間隙を最小限に抑え、
顔面シールド146および離脱可能な層150から見るときに、望ましくない像を低減さ
せることが可能である。この実施形態における離脱可能な層150は、視覚を改良する抗
反射膜および/または抗屈折膜を備えていてもよく、また、離脱可能な層150を取り外
すタブ152を備えていてもよい。
【0050】
さらに他の実施形態では、離脱可能な層150は、薄くて柔軟性があるか、または薄く
て半剛性または剛性であるかにかかわらず、偏光皮膜を用いて偏光されてもよい。離脱可
能な層150は、ユーザの視野を改良するために、拡大皮膜を備えていてもよい。拡大は
、離脱可能な層150によって単独になされてもよいし、または代替的実施形態では、離
脱可能な層150と顔面シールド146との組合せによってなされてもよい。さらに他の
実施形態では、拡大は、顔面シールド146によって単独になされている。加えて、離脱
可能な層150は、UV阻止フィルムまたはUV阻止接着剤を用いることによって、UV
保護の機能を有することが可能である
【0051】
顔面シールド146は、使用中に顔面シールド146から離脱され得る多数の離脱可能
な層150と共に包装されてもよい。しかし、場合によっては、用いられる離脱可能な層
150の種類、例えば、薄くて柔軟、または薄くて半剛性または剛性のいずれかを選択す
る融通性を大幅にユーザに委ねことも有益であるし、または離脱可能な層150を用いる
かどうかを選択する余地をユーザに委ねることも有益である。そのためには、各離脱可能
な層150(柔軟、半剛性、または剛性)は、フード144またはガウン内に組み込まれ
た顔面シールド146とは別に包装されるようになっている。その結果、ユーザは、使用
前に、顔面シールド146に取り付けられる離脱可能な層の種類および数を選択すること
ができる。代替的に、離脱可能な層150(柔軟、半剛性、または剛性)は、ユーザの目
に映る像の品質を改良するために、個別に、抗反射膜、抗屈折膜、および/または拡大膜
が施されて、包装されてもよい。この場合、これらの皮膜は、ユーザの目に映る像の品質
を改良するのに、顔面シールド146の相補的な皮膜と連携してもよいし、または離脱可
能な層150のこれらの層のみが、単独で作用してもよい。
【0052】
離脱可能な層150は、個別に包装される場合、EtOガス滅菌、好ましくは、γ線滅
菌によって、個別に滅菌されてもよい。ガンマ線滅菌が用いられるとき、隣接する離脱可
能な層150間の空気層150を低減または排除することによって、離脱可能な層150
を介してユーザの目に映る像の品質を改良することが可能である。離脱可能な層150を
形成するのに、γ線安定材料を用いることによっても、光学的な明瞭性を改良することが
できる。
【0053】
本発明は、好ましくは、ユーザが、無菌性を保って、単独で着用するのを支援する位置
決め/支持システムを備えるとよい。このシステムは、ディアズ(Diaz)らに付与された
’019特許に十分に記載されている。この特許は、参照することによって、ここに含ま
れるものとする。本発明は、ディアズ(Diaz)らに付与された’019特許に開示されて
いるような目視による位置決めシステムを備えていてもよい。この特許は、参照すること
によって、ここに含まれるものとする。
【0054】
明らかに、上記の示唆に照らせば、本発明の多くの修正および変更が可能である。本発
明は、特許請求の範囲内において、ここに具体的に記載された以外の方法によって実施さ
れてもよい。加えて、特許請求の範囲における参照番号は、単なる便宜上のものであり、
どのようにも制限するとみなされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対人保護システムのヘルメットを覆って配置されるフードの製造方法であって、
柔軟かつ透明な顔面シールドを設けるステップと、
少なくとも1つの透明かつ離脱可能な層を、前記顔面シールドを覆って貼り付けるステップであって、前記フードの使用中に前記離脱可能な層を前記顔面シールドから取り外すことを可能にする方法を使用する、ステップと、
γ線を使用して前記顔面シールド及び離脱可能な層のアセンブリを滅菌するステップと、
前記フードを構成するために、前記顔面シールド及び離脱可能な層のアセンブリを、フィルター媒体から形成された一部を含むシェルに取り付けるステップであって、前記少なくとも1つの透明かつ離脱可能な層は、前記顔面シールドの外方に向いた面上に配置される、ステップと、
前記シェルと前記顔面シールド及び離脱可能な層のアセンブリとの両方を含む前記フードを、エチレンオキシドで滅菌するステップと、
を含むことを特徴とするフードの製造方法。
【請求項2】
前記透明かつ離脱可能な層は、ポリエステルから形成されることを特徴とする、請求項1に記載のフードの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−211427(P2012−211427A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114043(P2012−114043)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【分割の表示】特願2008−503203(P2008−503203)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(506410062)ストライカー・コーポレイション (36)
【Fターム(参考)】