対地作業装置付き苗移植機
【課題】 この発明の課題は、苗植付部調整時に植付部を作動させても対地作業装置が不意に作動するのを防止し危険を回避することにある。
【解決手段】 本発明は、走行車体(1)の後側に対地作業装置(7)、対地作業装置(7)の後側に苗植付部(6)を配置して設け、対地作業装置(7)は、回転体(8)が接地して回転駆動しながら整地する構成とし、走行車体側の変速操作具(18)により走行速度の速い路上走行速と、走行速度の遅い作業速と、苗植付部(6)のみを作動させる植付部駆動速とに切替可能に構成し、路上走行速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に停止状態とし、作業速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に駆動する状態とし、植付部駆動速では、対地作業装置(7)は停止状態とすると共に苗植付部(6)のみ駆動する構成としてあることを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、走行車体(1)の後側に対地作業装置(7)、対地作業装置(7)の後側に苗植付部(6)を配置して設け、対地作業装置(7)は、回転体(8)が接地して回転駆動しながら整地する構成とし、走行車体側の変速操作具(18)により走行速度の速い路上走行速と、走行速度の遅い作業速と、苗植付部(6)のみを作動させる植付部駆動速とに切替可能に構成し、路上走行速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に停止状態とし、作業速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に駆動する状態とし、植付部駆動速では、対地作業装置(7)は停止状態とすると共に苗植付部(6)のみ駆動する構成としてあることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を移植する対地作業装置付き苗移植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、苗植付部の前側に圃場面を整地する対地作業装置が具備され、対地作業装置が圃場面に非接地状態となるように対地作業装置を車体に対して上昇させたとき、該対地作業装置が非駆動状態となるように構成されたものがある。
【特許文献1】特開平10−127109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来のものでは、対地作業装置を非接地状態に上昇させたとき、非駆動状態にするものであり、対地作業装置が圃場面に接地状態である時には、苗植付部の調整時に対地作業装置が不意に作動することがあり危険である。本発明では、苗植付部のみを作動させる植付部駆動速に切り替えた時には、対地作業装置は停止する構成とすることにより、苗植付部調整時に植付部を作動させても対地作業装置が不意に作動するのを防止し危険を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、走行車体(1)の後側に対地作業装置(7)、対地作業装置(7)の後側に苗植付部(6)を配置して設け、対地作業装置(7)は、回転体(8)が接地して回転駆動しながら整地する構成とし、走行車体側の変速操作具(18)により走行速度の速い路上走行速(H)と、走行速度の遅い作業速(P)と、苗植付部(6)のみを作動させる植付部駆動速(L)とに切替可能に構成し、路上走行速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に停止状態とし、作業速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に駆動する状態とし、植付部駆動速では、対地作業装置(7)は停止状態とすると共に苗植付部(6)のみ駆動する構成としてあることを特徴とする。
【0005】
変速操作具(18)の操作で路上走行速(H)に切り替えた時には、対地作業装置(7)及び苗植付部(6)は共に停止状態となり、この状態で路上走行を行なうことができる。また、作業速(L)に切り替えた時には、対地作業装置(7)及び苗植付部(6)は共に駆動する状態となり、整地しながら苗植付作業を行なうことができる。更に、植付部駆動速(P)に切り替えたときには、対地作業装置(7)は非駆動の停止状態となり、苗植付部(6)のみが駆動される状態となるので、苗植付部のみを駆動しながら苗植付作業を行うことができる。
【0006】
苗植付部(6)の調整時には、変速操作具(18)の植付部駆動速位置によって、対地作業装置(7)は駆動しない状態となっており、調整時に苗植付部を作動させても不意に対地作業装置が駆動するようなことがなく、危険を回避でき安全である。
【発明の効果】
【0007】
以上要するに、本発明によれば、変速操作具(18)の作業速でしか対地作業装置(7)は駆動できない構成であるため、苗植付部調整時に、不意に対地作業装置が駆動する場合の危険回避を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、接地作業装置付きの乗用型田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な6条植えの苗植付部6が装備され、また、苗植付部の前側には対地作業装置(7)の一例である接地回転体として整地ロータ8が具備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0009】
走行車体1の後部で運転席9の左右両側には粒状肥料を圃場に繰出散布するための施肥装置10が設置されている。
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構15を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ16の伸縮作動により昇降する構成である。操作ボックス4の右側面部側には、苗植付部6を昇降操作する植付昇降レバー17が配置され、操作ボックス4の左側面部側には、変速操作具として副変速レバー18が配置されている。
【0010】
また、前記苗植付部6には、左右に往復動する苗載台11、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具12を有する2条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)14,14、センタフロ−ト14S等を備えている。
【0011】
整地ロータ8は、昇降可能なロータ支持フレーム19に回転自在に架設してあり、畦クラッチレバー20近くに配置されたロータ高さ調節レバー21の操作によって非接地状態と接地状態とに上げ下げできる構成になっている。ロータ高さ調節レバー21の上げ下げ操作で、整地ロータ8は昇降ロッド26、昇降アーム27、ケーブル28等を介して昇降する。また、この整地ロータ8は、ロータ駆動モータ22によって駆動する構成であり、接地状態で回転駆動することにより代掻き整地する構成としている。
【0012】
副変速レバー18は、図3に示すように、走行速度の速い路上走行速(移動速)Hと、走行速度の遅い作業速(PTO)Lと、苗植付部のみを作動させる植付部駆動速Pとに切替可能に構成してあり、路上走行速Hでは、整地ロータ8、苗植付部6共に停止状態とし、作業速(特に枕地での作業速)Lでは、整地ロータ8、苗植付部6共に駆動する状態とし、植付部駆動速Pでは、整地ロータ8は停止状態とすると共に苗植付部6のみ駆動する状態となるよう副変速レバー18の切替操作に連動して整地ロータ8及び苗植付部6の駆動を入切する構成としている。
【0013】
副変速レバー18の作業速L位置には、作業速位置を検出する副変速レバーセンサ23を設け、この副変速レバーセンサ23が副変速レバー18の作業速L位置を検出すると、制御装置24を介してロータ駆動モータ22を駆動し、接地状態の整地ロータ8を回転駆動するように連動構成している。また、ロータ高さ調節レバー21のロータ下降操作域には、整地ロータ8が接地作業範囲内まで下降して有るか否かを検出するロータ高さ調節レバーセンサ25を設けてあり、このロータ高さ調節レバーセンサ25が整地ロータの下降接地状態を検出すると、ロータ駆動モータ22を駆動して整地ロータ8を回転駆動し、整地ロータ8の上昇非接地状態を検出すると、ロータ駆動モータ22の駆動を停止するように連動構成している。
【0014】
次に苗植付具の構成例について説明する。
苗植付具12の植付爪30(図6〜図15)において、該爪30の背面30aの部分で植付フォーク31がスライドする先端側の一定範囲L間(図6及び図8参照)を、略同幅でストレートに最大幅をもたせ、且つ、平坦で薄くし、そして、その一定範囲L間より後方で苗に接触しない部分からは徐々に丸み30bをもたせて太くした構成とする。これによって、苗の分離性が良くなり、爪自体の剛性もより確保することができる。
【0015】
また、植付爪30は、フォーク31が通過する背面30a部分よりこの背面側下方に向けて徐々に肉厚tを厚くして断面係数を大きくしている。これによれば、爪の正面(前面)側上方への盛り上がりが少なくなるため、分離抵抗が少なくなり、分離性能が向上する。
【0016】
更に、植付爪30のパーティングラインPlは、図6に示すようになり、爪背面30a部分でL間隔範囲内での苗を分離する部分D幅(図8及び図14参照)が最も広くなり、その広い部分より後方ではラインPlが植付爪中央まで上がっていくようになっている。そのため、苗の分離が容易となり、苗にやさしく作用することになる。また、図14(ロ)に示すように、植付爪30の先端形状において、先端Qより内側は肉薄で半径R1が大きく、外側は半径R2が小さくなるように構成している。分離爪先端の内側では、苗の分離がし易くなり、外側ではR2抵抗が大きいため、左右外側方向へは拡がりにくくなり、強度的に安定した植付爪が得られる。
【0017】
図16に示す実施例は、苗載台11が左右に往復移動して苗載台上のマット苗を苗載台下端側の苗受枠34に設けられた苗取出口35側へ一株づつ順次供給し、それを苗植付具の植付爪30が分離して取り出し下方へ移送して圃場に植え付ける構成のものにおいて、苗受枠34における苗取出口35の裏面側左右部位から適宜下方にわたる部位には、苗植付爪30によって圃場の植付位置へ移送される苗を苗植付爪30から左右方向へ逸脱しないように案内する樹脂等で成形された一対の苗ガイド板36,36が設けられている。苗ガイド板36,36と一体で苗取出口35の上部に位置するスペーサ部37を植付爪の作動軌跡ギリギリまで下げると共に、植付爪と干渉する部分には下向きの切欠凹部38を設ける。苗取り量を少なくすると、取出口35上部との隙間が大きくなり、苗の連れ出しが増加するが、取出口上部を取り量最大時のギリギリまで下げることで、隙間を従来のものより大幅に狭くすることができ、苗の連れ出しが減少する。
【0018】
また、図17に示すように、受枠34の苗取出口35部にプレート状で段差のあるシャッター40を取り付け、そして、シャッター40は、複数段の段差40a,40b…の分だけ移動させる構成とし、苗取り調節の位置に合わせてシャッターを左右に移動させることにより、取出口上部の隙間を適正に補正することができ、上記の実施例(図16)と同様に苗の連れ出しを最小限に抑制することができる。なお、シャッター40は取付ボルト42により取付穴41,41の取付位置を変更することによってスライド調節する。
【0019】
図18、図19に示す実施例では、苗受枠34内にシャッター40を内臓し、そして、そのシャッター40は苗取り量調節に関係なく固定された不動の支持部材に取り付ける構成としている。通常は苗取り量調節を行うと苗取出口35上部と植付爪30との隙間が変化し、隙間が大きくなると苗の連れ出しが多発するが、本例では隙間を一定に保持することができるので、苗取り量が安定し、苗の連れ出しを少なくすることができる。
【0020】
また、図20、図21に示す実施例では、前記プレート状のシャッターに代えて切欠面44aを施した円形状のシャフト44を使用し、苗受枠34の苗取出口35直後に配置し、苗取り量を変更調節すると、切欠きシャフト44が連動して回転するように構成している。苗取り量を変えると取出口が上下し取出口の面積が変化するが、本例の構成によれば、苗取り量を変えても取出口の面積が変わらなくなり、不必要な苗を取らなくなる。しかも、切欠きシャフトの回転であるため、プレート状シャッターのスライド構成に比べて泥や根が絡みにくくなる効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】対地作業装置付き田植機の側面図
【図2】対地作業装置付き田植機の平面図
【図3】変速操作具の操作経路図
【図4】制御ブロック図
【図5】フローチャート
【図6】苗植付具の要部の側面図
【図7】苗植付爪の正面図
【図8】同上背面図
【図9】同上右側面図
【図10】同上平面図
【図11】同上底面図
【図12】図7の参考正面図
【図13】図12のS1−S1断面図
【図14】図12の(イ)S2−S2断面図及び(ロ)その一部の拡大断面図
【図15】図12のS3−S3断面図
【図16】苗植付部の要部の斜視図
【図17】苗載台の要部の分解斜視図
【図18】苗植付部の要部の側面図
【図19】同上要部の斜視図
【図20】苗植付部の要部の側面図
【図21】切欠きシャフトの斜視図
【符号の説明】
【0022】
1 走行車体 6 苗植付部
7 対地作業装置 8 回転体(整地ロータ)
18 変速操作具(副変速レバー) 22 ロータ駆動モータ
23 副変速レバーセンサ 24 制御装置
25 ロータ高さ調節レバーセンサ
H 路上走行速 L 作業速
P 植付部駆動速
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を移植する対地作業装置付き苗移植機に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されているように、苗植付部の前側に圃場面を整地する対地作業装置が具備され、対地作業装置が圃場面に非接地状態となるように対地作業装置を車体に対して上昇させたとき、該対地作業装置が非駆動状態となるように構成されたものがある。
【特許文献1】特開平10−127109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来のものでは、対地作業装置を非接地状態に上昇させたとき、非駆動状態にするものであり、対地作業装置が圃場面に接地状態である時には、苗植付部の調整時に対地作業装置が不意に作動することがあり危険である。本発明では、苗植付部のみを作動させる植付部駆動速に切り替えた時には、対地作業装置は停止する構成とすることにより、苗植付部調整時に植付部を作動させても対地作業装置が不意に作動するのを防止し危険を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、走行車体(1)の後側に対地作業装置(7)、対地作業装置(7)の後側に苗植付部(6)を配置して設け、対地作業装置(7)は、回転体(8)が接地して回転駆動しながら整地する構成とし、走行車体側の変速操作具(18)により走行速度の速い路上走行速(H)と、走行速度の遅い作業速(P)と、苗植付部(6)のみを作動させる植付部駆動速(L)とに切替可能に構成し、路上走行速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に停止状態とし、作業速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に駆動する状態とし、植付部駆動速では、対地作業装置(7)は停止状態とすると共に苗植付部(6)のみ駆動する構成としてあることを特徴とする。
【0005】
変速操作具(18)の操作で路上走行速(H)に切り替えた時には、対地作業装置(7)及び苗植付部(6)は共に停止状態となり、この状態で路上走行を行なうことができる。また、作業速(L)に切り替えた時には、対地作業装置(7)及び苗植付部(6)は共に駆動する状態となり、整地しながら苗植付作業を行なうことができる。更に、植付部駆動速(P)に切り替えたときには、対地作業装置(7)は非駆動の停止状態となり、苗植付部(6)のみが駆動される状態となるので、苗植付部のみを駆動しながら苗植付作業を行うことができる。
【0006】
苗植付部(6)の調整時には、変速操作具(18)の植付部駆動速位置によって、対地作業装置(7)は駆動しない状態となっており、調整時に苗植付部を作動させても不意に対地作業装置が駆動するようなことがなく、危険を回避でき安全である。
【発明の効果】
【0007】
以上要するに、本発明によれば、変速操作具(18)の作業速でしか対地作業装置(7)は駆動できない構成であるため、苗植付部調整時に、不意に対地作業装置が駆動する場合の危険回避を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、接地作業装置付きの乗用型田植機を示すものであり、車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な6条植えの苗植付部6が装備され、また、苗植付部の前側には対地作業装置(7)の一例である接地回転体として整地ロータ8が具備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0009】
走行車体1の後部で運転席9の左右両側には粒状肥料を圃場に繰出散布するための施肥装置10が設置されている。
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構15を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ16の伸縮作動により昇降する構成である。操作ボックス4の右側面部側には、苗植付部6を昇降操作する植付昇降レバー17が配置され、操作ボックス4の左側面部側には、変速操作具として副変速レバー18が配置されている。
【0010】
また、前記苗植付部6には、左右に往復動する苗載台11、1株分の苗を切取って土中に植込む苗植付具12を有する2条分植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)14,14、センタフロ−ト14S等を備えている。
【0011】
整地ロータ8は、昇降可能なロータ支持フレーム19に回転自在に架設してあり、畦クラッチレバー20近くに配置されたロータ高さ調節レバー21の操作によって非接地状態と接地状態とに上げ下げできる構成になっている。ロータ高さ調節レバー21の上げ下げ操作で、整地ロータ8は昇降ロッド26、昇降アーム27、ケーブル28等を介して昇降する。また、この整地ロータ8は、ロータ駆動モータ22によって駆動する構成であり、接地状態で回転駆動することにより代掻き整地する構成としている。
【0012】
副変速レバー18は、図3に示すように、走行速度の速い路上走行速(移動速)Hと、走行速度の遅い作業速(PTO)Lと、苗植付部のみを作動させる植付部駆動速Pとに切替可能に構成してあり、路上走行速Hでは、整地ロータ8、苗植付部6共に停止状態とし、作業速(特に枕地での作業速)Lでは、整地ロータ8、苗植付部6共に駆動する状態とし、植付部駆動速Pでは、整地ロータ8は停止状態とすると共に苗植付部6のみ駆動する状態となるよう副変速レバー18の切替操作に連動して整地ロータ8及び苗植付部6の駆動を入切する構成としている。
【0013】
副変速レバー18の作業速L位置には、作業速位置を検出する副変速レバーセンサ23を設け、この副変速レバーセンサ23が副変速レバー18の作業速L位置を検出すると、制御装置24を介してロータ駆動モータ22を駆動し、接地状態の整地ロータ8を回転駆動するように連動構成している。また、ロータ高さ調節レバー21のロータ下降操作域には、整地ロータ8が接地作業範囲内まで下降して有るか否かを検出するロータ高さ調節レバーセンサ25を設けてあり、このロータ高さ調節レバーセンサ25が整地ロータの下降接地状態を検出すると、ロータ駆動モータ22を駆動して整地ロータ8を回転駆動し、整地ロータ8の上昇非接地状態を検出すると、ロータ駆動モータ22の駆動を停止するように連動構成している。
【0014】
次に苗植付具の構成例について説明する。
苗植付具12の植付爪30(図6〜図15)において、該爪30の背面30aの部分で植付フォーク31がスライドする先端側の一定範囲L間(図6及び図8参照)を、略同幅でストレートに最大幅をもたせ、且つ、平坦で薄くし、そして、その一定範囲L間より後方で苗に接触しない部分からは徐々に丸み30bをもたせて太くした構成とする。これによって、苗の分離性が良くなり、爪自体の剛性もより確保することができる。
【0015】
また、植付爪30は、フォーク31が通過する背面30a部分よりこの背面側下方に向けて徐々に肉厚tを厚くして断面係数を大きくしている。これによれば、爪の正面(前面)側上方への盛り上がりが少なくなるため、分離抵抗が少なくなり、分離性能が向上する。
【0016】
更に、植付爪30のパーティングラインPlは、図6に示すようになり、爪背面30a部分でL間隔範囲内での苗を分離する部分D幅(図8及び図14参照)が最も広くなり、その広い部分より後方ではラインPlが植付爪中央まで上がっていくようになっている。そのため、苗の分離が容易となり、苗にやさしく作用することになる。また、図14(ロ)に示すように、植付爪30の先端形状において、先端Qより内側は肉薄で半径R1が大きく、外側は半径R2が小さくなるように構成している。分離爪先端の内側では、苗の分離がし易くなり、外側ではR2抵抗が大きいため、左右外側方向へは拡がりにくくなり、強度的に安定した植付爪が得られる。
【0017】
図16に示す実施例は、苗載台11が左右に往復移動して苗載台上のマット苗を苗載台下端側の苗受枠34に設けられた苗取出口35側へ一株づつ順次供給し、それを苗植付具の植付爪30が分離して取り出し下方へ移送して圃場に植え付ける構成のものにおいて、苗受枠34における苗取出口35の裏面側左右部位から適宜下方にわたる部位には、苗植付爪30によって圃場の植付位置へ移送される苗を苗植付爪30から左右方向へ逸脱しないように案内する樹脂等で成形された一対の苗ガイド板36,36が設けられている。苗ガイド板36,36と一体で苗取出口35の上部に位置するスペーサ部37を植付爪の作動軌跡ギリギリまで下げると共に、植付爪と干渉する部分には下向きの切欠凹部38を設ける。苗取り量を少なくすると、取出口35上部との隙間が大きくなり、苗の連れ出しが増加するが、取出口上部を取り量最大時のギリギリまで下げることで、隙間を従来のものより大幅に狭くすることができ、苗の連れ出しが減少する。
【0018】
また、図17に示すように、受枠34の苗取出口35部にプレート状で段差のあるシャッター40を取り付け、そして、シャッター40は、複数段の段差40a,40b…の分だけ移動させる構成とし、苗取り調節の位置に合わせてシャッターを左右に移動させることにより、取出口上部の隙間を適正に補正することができ、上記の実施例(図16)と同様に苗の連れ出しを最小限に抑制することができる。なお、シャッター40は取付ボルト42により取付穴41,41の取付位置を変更することによってスライド調節する。
【0019】
図18、図19に示す実施例では、苗受枠34内にシャッター40を内臓し、そして、そのシャッター40は苗取り量調節に関係なく固定された不動の支持部材に取り付ける構成としている。通常は苗取り量調節を行うと苗取出口35上部と植付爪30との隙間が変化し、隙間が大きくなると苗の連れ出しが多発するが、本例では隙間を一定に保持することができるので、苗取り量が安定し、苗の連れ出しを少なくすることができる。
【0020】
また、図20、図21に示す実施例では、前記プレート状のシャッターに代えて切欠面44aを施した円形状のシャフト44を使用し、苗受枠34の苗取出口35直後に配置し、苗取り量を変更調節すると、切欠きシャフト44が連動して回転するように構成している。苗取り量を変えると取出口が上下し取出口の面積が変化するが、本例の構成によれば、苗取り量を変えても取出口の面積が変わらなくなり、不必要な苗を取らなくなる。しかも、切欠きシャフトの回転であるため、プレート状シャッターのスライド構成に比べて泥や根が絡みにくくなる効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】対地作業装置付き田植機の側面図
【図2】対地作業装置付き田植機の平面図
【図3】変速操作具の操作経路図
【図4】制御ブロック図
【図5】フローチャート
【図6】苗植付具の要部の側面図
【図7】苗植付爪の正面図
【図8】同上背面図
【図9】同上右側面図
【図10】同上平面図
【図11】同上底面図
【図12】図7の参考正面図
【図13】図12のS1−S1断面図
【図14】図12の(イ)S2−S2断面図及び(ロ)その一部の拡大断面図
【図15】図12のS3−S3断面図
【図16】苗植付部の要部の斜視図
【図17】苗載台の要部の分解斜視図
【図18】苗植付部の要部の側面図
【図19】同上要部の斜視図
【図20】苗植付部の要部の側面図
【図21】切欠きシャフトの斜視図
【符号の説明】
【0022】
1 走行車体 6 苗植付部
7 対地作業装置 8 回転体(整地ロータ)
18 変速操作具(副変速レバー) 22 ロータ駆動モータ
23 副変速レバーセンサ 24 制御装置
25 ロータ高さ調節レバーセンサ
H 路上走行速 L 作業速
P 植付部駆動速
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の後側に対地作業装置(7)、対地作業装置(7)の後側に苗植付部(6)を配置して設け、対地作業装置(7)は、回転体(8)が接地して回転駆動しながら整地する構成とし、走行車体側の変速操作具(18)により走行速度の速い路上走行速(H)と、走行速度の遅い作業速(P)と、苗植付部(6)のみを作動させる植付部駆動速(L)とに切替可能に構成し、路上走行速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に停止状態とし、作業速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に駆動する状態とし、植付部駆動速では、対地作業装置(7)は停止状態とすると共に苗植付部(6)のみ駆動する構成としてあることを特徴とする対地作業装置付き苗移植機。
【請求項1】
走行車体(1)の後側に対地作業装置(7)、対地作業装置(7)の後側に苗植付部(6)を配置して設け、対地作業装置(7)は、回転体(8)が接地して回転駆動しながら整地する構成とし、走行車体側の変速操作具(18)により走行速度の速い路上走行速(H)と、走行速度の遅い作業速(P)と、苗植付部(6)のみを作動させる植付部駆動速(L)とに切替可能に構成し、路上走行速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に停止状態とし、作業速では、対地作業装置(7)、苗植付部(6)共に駆動する状態とし、植付部駆動速では、対地作業装置(7)は停止状態とすると共に苗植付部(6)のみ駆動する構成としてあることを特徴とする対地作業装置付き苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−174932(P2007−174932A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374841(P2005−374841)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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