説明

対応点探索装置、対応点探索方法、およびプログラム

【課題】2以上の画像について高速で且つ極力欠落のない対応点の探索が可能な技術を提供する。
【解決手段】まず、第1および第2画像に対して各々解像度を低下させた関係にある第1および第2低解像度画像が生成される。次に、第1低解像度画像に対して第1基準点が設定され、第2低解像度画像を対象とした第1基準点に対応する第1対応点の探索処理が行われる。その次に、第1画像および/または第2画像のうちの第1基準点に対応する点を包含する評価領域について、画素値の変動に係る評価値が算出される。更に、上記第1対応点の探索処理の結果が利用されて第2画像を対象とした第2基準点に対応する第2対応点が探索される探索処理の実行が、評価値と閾値との比較結果に応じて禁止される。そして、第2対応点の探索処理の実行が禁止される場合に、第1対応点の探索処理の結果に基づいて、第2基準点と第2対応点との関係が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の画像の間で対応点を探索する対応点探索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステレオカメラ等によって同一の被写体が異なる視点から撮影されることで得られる2つの画像の間で、相互に画素が対応付けられる対応点探索技術が知られている。このような対応点探索技術では、一般に2つの画像の間における2次元領域の相関を用いたエリアベースの対応点の探索処理が行われる。
【0003】
このエリアベースの対応点の探索処理では次のような処理が行われる。一方の画像が基準とされ、該一方の画像に対して基準点を重心位置とするウインドウが設定されるとともに、他方の画像に対して同サイズのウインドウが設定される。そして、2つのウインドウに係る画像領域の間における相関に基づき、基準点に対応する他方の画像の対応点が求められる。このような処理が、一方の画像の全画素が順次に基準点とされつつ実施される。
【0004】
但し、このエリアベースの対応点の探索処理では、2つのウインドウ内の画像領域における類似性に応じて対応点の探索が行われるため、コントラストが低い画像領域については、対応点の探索を行うことが非常に難しい。このコントラストが低い画像領域としては、一面が白色の壁や一色の塗装が施された自動車のボディ等がとらえられた画像領域等が挙げられる。
【0005】
そこで、ウインドウ内のエッジの有無に応じてコントラストが低い画像領域(低コントラスト領域)であるか否かが判定され、低コントラスト領域であれば、対応点の探索処理の対象から除外される技術が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【0006】
また、各基準点について2つの画像の間における対応付けの結果に係る信頼度が算出され、該信頼度が低い基準点については、該基準点の周囲の他の画素が基準点とされて求められた対応付けの結果を用いた補間処理によって対応点が決定される技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−120255号公報
【特許文献2】特開2001−148012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、対応点の探索処理の対象から除外される領域については、2つの画像の間における対応付けの結果に欠落が生じる。このため、例えば、該対応付けの結果から生成される3次元の画像データが扱い難いものとなる。このような不具合は、対応点の探索処理の対象から除外される領域が多い場合には顕著となる。
【0009】
また、上記特許文献2の技術では、信頼度が低い基準点については、演算によって求められる当初の対応付けの結果が使用されない。このため、使用されない対応付けの結果を求める演算に要する時間が無駄になってしまう。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、2以上の画像について高速で且つ極力欠落のない対応点の探索が可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の態様に係る対応点探索装置は、第1画像に対して解像度を低下させた関係にある第1低解像度画像を生成するとともに、第2画像に対して解像度を低下させた関係にある第2低解像度画像を生成する生成手段と、前記第1低解像度画像に対して第1基準点を設定するとともに、前記第2低解像度画像を対象として前記第1基準点に対応する第1対応点を探索する第1探索処理を行う第1探索手段とを備える。また、該対応点探索装置は、前記第1画像に対して前記第1基準点に対応する第2基準点を設定するとともに、前記第1探索処理による第1探索結果を利用して、前記第2画像を対象として前記第2基準点に対応する第2対応点を探索する第2探索処理を行う第2探索手段と、前記第1画像のうちの前記第2基準点を包含する領域、および前記第2画像のうちの前記第2基準点に対応する点を包含する領域の少なくとも何れか一方に相当する評価領域について、画素値の変動に係る評価値を算出する算出手段とを備える。更に、該対応点探索装置は、前記評価値と閾値との比較結果に応じて、前記第2探索処理の実行を禁止する禁止手段と、前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合に、前記第1探索結果に基づいて、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する決定手段とを備える。
【0012】
第2の態様に係る対応点探索装置は、第1の態様に係る対応点探索装置であって、前記禁止手段が、前記評価値が前記閾値未満である場合に、前記第2探索処理の実行を禁止する。
【0013】
第3の態様に係る対応点探索装置は、第1または第2の態様に係る対応点探索装置であって、前記評価値が、前記評価領域における画素値のコントラストに係る評価値を含む。
【0014】
第4の態様に係る対応点探索装置は、第3の態様に係る対応点探索装置であって、前記算出手段が、前記評価領域に含まれる各画素に係る画素値と基準値との差分の総和を前記評価値として算出する。
【0015】
第5の態様に係る対応点探索装置は、第4の態様に係る対応点探索装置であって、前記算出手段が、前記評価領域に係る画素値の平均値を前記基準値として算出する。
【0016】
第6の態様に係る対応点探索装置は、第3の態様に係る対応点探索装置であって、前記算出手段が、前記評価領域を対象とした被写体の輪郭を抽出する処理を行い、該評価領域のうちの前記輪郭が占める画素数を前記評価値として算出する。
【0017】
第7の態様に係る対応点探索装置は、第1または第2の態様に係る対応点探索装置であって、前記評価値が、前記評価領域における画素値のパターンの分布に係る評価値を含む。
【0018】
第8の態様に係る対応点探索装置は、第7の態様に係る対応点探索装置であって、前記算出手段が、前記評価領域を対象としたフーリエ変換を行うことで、周波数成分の分布を導出し、該周波数成分の分布に基づいて、前記評価値を算出する。
【0019】
第9の態様に係る対応点探索装置は、第1から第8の何れか1つの態様に係る対応点探索装置であって、前記決定手段が、前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合に、前記第1低解像度画像に係る解像度に応じた誤差の範囲を加えて、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する。
【0020】
第10の態様に係る対応点探索装置は、第1から第8の何れか1つの態様に係る対応点探索装置であって、前記決定手段が、前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合には、前記第1探索結果と前記第1低解像度画像に係る解像度に応じた誤差の範囲とに基づいて、前記第1画像に対する前記第2基準点の位置と前記第2画像に対する前記第2対応点の位置との間におけるずれ量が、前記誤差の範囲内で最も大きくなるように、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する。
【0021】
第11の態様に係る対応点探索装置は、第1から第8の何れか1つの態様に係る対応点探索装置であって、前記決定手段が、前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合には、前記第1探索結果と前記第1低解像度画像に係る解像度に応じた誤差の範囲とに基づいて、前記第1画像に対する前記第2基準点の位置と前記第2画像に対する前記第2対応点の位置との間におけるずれ量が、前記誤差の範囲内で最も小さくなるように、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する。
【0022】
第12の態様に係る対応点探索装置は、第1から第11の何れか1つの態様に係る対応点探索装置であって、前記第1および第2探索処理のうちの少なくとも一方の処理が、位相限定相関法を用いた処理を含む。
【0023】
第13の態様に係る対応点探索装置は、第1から第12の何れか1つの態様に係る対応点探索装置であって、前記決定手段が、前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止されない場合には、前記第2探索処理結果に応じて前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定し、更に、前記第1画像に含まれる各画素に対して、前記第1探索処理結果に基づいて前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定するか、または前記第2探索処理結果に基づいて前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する。
【0024】
第14の態様に係る対応点探索装置は、第13の態様に係る対応点探索装置であって、前記第1画像のうちの一画素から該一画素の周辺に位置する周辺画素に至る迄の中途点について、前記決定手段によって得られる前記一画素に係る前記第2基準点と前記第2対応点との関係と、前記決定手段によって得られる前記周辺画素に係る前記第2基準点と前記第2対応点との関係とを用いた補間演算により、前記第2画像における対応点を導出する補間演算手段を更に備える。
【0025】
第15の態様に係る対応点探索方法は、第1画像に対して解像度を低下させた関係にある第1低解像度画像を生成するとともに、第2画像に対して解像度を低下させた関係にある第2低解像度画像を生成する生成ステップと、前記第1低解像度画像に対して第1基準点を設定するとともに、前記第2低解像度画像を対象として前記第1基準点に対応する第1対応点を探索する第1探索処理を行う第1探索ステップとを備える。また、該対応点探索方法は、前記第1画像のうちの前記第1基準点に対応する第2基準点を包含する領域、および前記第2画像のうちの前記第2基準点に対応する点を包含する領域の少なくとも何れか一方に相当する評価領域について、画素値の変動に係る評価値を算出する算出ステップと、前記第1探索ステップによる第1探索結果を利用して前記第2画像を対象として前記第2基準点に対応する第2対応点を探索する第2探索処理の実行を、前記評価値と閾値との比較結果に応じて禁止する禁止ステップとを備える。更に、該対応点探索方法は、前記禁止ステップによって前記第2探索処理の実行が禁止される場合に、前記第1探索結果に基づいて、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する決定ステップを備える。
【0026】
第16の態様に係るプログラムは、対応点探索装置に含まれる制御部において実行されることにより、前記対応点探索装置を、第1から第14の何れか1つの態様に係る対応点探索装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0027】
第1から第14の何れの態様に係る対応点探索装置によっても、画素値の変動に係る評価値に基づいて、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止され、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした探索処理の結果に基づいて、複数の画像の間における基準点と対応点との関係が決定されるため、2以上の画像について高速で且つ極力欠落のない対応点の探索が可能となる。
【0028】
第3から第6の何れの態様に係る対応点探索装置によっても、画像におけるコントラストから画素値の変動が少なく且つ適正な対応点の探索処理が実行不可能であると予測される画像領域については、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止されるため、2以上の画像に係る対応点の探索が高速化される。
【0029】
第7および第8の何れの態様に係る対応点探索装置によっても、画素値のパターンの分布から画素値の変動が少なく且つ適正な対応点の探索処理が実行不可能であると予測される画像領域については、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止されるため、2以上の画像に係る対応点の探索が高速化される。
【0030】
第9の態様に係る対応点探索装置によれば、探索精度に応じた誤差の範囲を加味した対応点探索の結果を得ることができる。
【0031】
第10の態様に係る対応点探索装置によれば、2以上の画像の間における視差が極力大きめに認識される方が好ましい用途への適用が可能となる。
【0032】
第11の態様に係る対応点探索装置によれば、2以上の画像の間における視差が極力小さめに認識される方が好ましい用途への適用が可能となる。
【0033】
第13の態様に係る対応点探索装置によれば、第1画像の各画素について、第2画像における対応点を高速で且つ極力欠落なく探索することができる。
【0034】
第14の態様に係る対応点探索装置によれば、対応点の探索結果に係る分解能の向上を図ることができる。
【0035】
第15の態様に係る対応点探索方法および第16の態様に係るプログラムの何れによっても、画素値の変動に係る評価値に基づいて、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止され、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした探索処理の結果に基づいて、複数の画像の間における基準点と対応点との関係が決定されるため、2以上の画像について高速で且つ極力欠落のない対応点の探索が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一実施形態および変形例に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
【図2】一実施形態および変形例に係る情報処理システムの要部構成を示すブロック図である。
【図3】一実施形態に係る制御部において実現される機能的な構成を示す図である。
【図4】基準画像および参照画像を例示する図である。
【図5】第1縮小基準画像および第1縮小参照画像を例示する模式図である。
【図6】第2縮小基準画像および第2縮小参照画像を例示する模式図である。
【図7】第3縮小基準画像および第3縮小参照画像を例示する模式図である。
【図8】基準画像に対する探索基準点の設定態様を模式的に示す図である。
【図9】3層目に係る基準点および処理対象点の設定例を示す模式図である。
【図10】3層目に係る基準領域および比較領域の設定例を示す模式図である。
【図11】2層目に係る評価領域および基準領域の設定例を示す模式図である。
【図12】1層目に係る評価領域および基準領域の設定例を示す模式図である。
【図13】第1画像に対する評価領域および基準領域の設定例を示す模式図である。
【図14】2層目に係る比較領域の設定例を示す模式図である。
【図15】1層目に係る比較領域の設定例を示す模式図である。
【図16】参照画像に対する比較領域の設定例を示す模式図である。
【図17】POC法を用いた対応点の探索処理を具体的に説明するための図である。
【図18】基準領域と比較領域との相関を示すPOC値の分布を例示する図である。
【図19】一実施形態に係る対応点探索動作の流れを示すフローチャートである。
【図20】一実施形態に係る対応点探索動作の流れを示すフローチャートである。
【図21】一実施形態に係る対応点探索動作の流れを示すフローチャートである。
【図22】変形例に係る制御部において実現される機能的な構成を示す図である。
【図23】変形例に係る補間演算方法の一例を説明するための図である。
【図24】変形例に係る対応点探索動作の流れを示すフローチャートである。
【図25】変形例に係る対応点探索動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
<(1)情報処理システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1Aの概略構成を示す図であり、図2は、情報処理システム1Aの要部構成を示すブロック図である。
【0039】
情報処理システム1Aは、2眼のステレオカメラ2と、ステレオカメラ2に対してデータ伝送可能に接続する情報処理装置3Aとを備える。
【0040】
2眼のステレオカメラ2には、それぞれ撮像素子を有する2つの撮像系21,22が設けられる。撮像系21,22は、所定方向に沿って離隔配置され、カメラ正面の被写体OBを、同じタイミングで異なる視点から撮像するように構成される。撮像系21,22によって同じタイミングで撮像される2つの画像は、いわゆるステレオ画像であり、データ線CBを介して情報処理装置3Aに送信される。
【0041】
なお、ステレオ画像を構成する2画像のうち、撮像系21の撮像によって取得される画像を、適宜「第1撮像画像」G1と称し、撮像系22の撮像によって取得される画像を、適宜「第2撮像画像」G2と称する。従って、2眼のステレオカメラ2によって、同一の被写体OBがそれぞれとらえられた第1および第2撮像画像G1,G2が取得される。
【0042】
そして、本実施形態では、説明の複雑化を避けるために、撮像系21によって取得される第1撮像画像G1において被写体のある部分をとらえた画素の座標と、撮像系22によって取得される参照画像G2において被写体の同一部分をとらえた画素の座標とが、Y方向には同一で且つX方向に異なるように撮像系21と撮像系22とが設置されているものとして説明する。
【0043】
情報処理装置3Aは、例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)で構成され、マウスやキーボードを含む操作部31と、例えば液晶ディスプレイ等で構成される表示部32と、ステレオカメラ2からのデータを受信するインターフェース(I/F)部33とを備える。また、情報処理装置3Aは、記憶部34と入出力部35と制御部36Aとを有する。
【0044】
記憶部34は、例えばハードディスク等で構成され、後述する対応点探索動作を行うためのプログラムPGa等が格納される。
【0045】
入出力部35は、例えばディスクドライブを備えて構成され、光ディスク等の記憶媒体9を受け付け、制御部36Aとの間でデータの授受を行う。
【0046】
制御部36Aは、プロセッサーとして働くCPU36a、および情報を一時的に記憶するメモリ36bを有し、情報処理装置3Aの各部を統括的に制御する。制御部36Aでは、記憶部34内のプログラムPGaが読み込まれて実行されることで、各種機能や情報処理等が実現される。
【0047】
制御部36Aのメモリ36bには、記憶媒体9に記憶されているプログラムデータを入出力部35を介して格納させることができる。これにより、この格納したプログラムを情報処理装置3Aの動作に反映させることができる。
【0048】
また、制御部36Aは、ステレオカメラ2で取得されたステレオ画像を構成する2画像(具体的には、第1および第2撮像画像G1,G2)の間において被写体の同じ部分をとらえた各対応点を探索する一連の動作(対応点探索動作)を行う。この対応点探索動作については後述する。更に、制御部36Aは、画像間の対応点の情報を用いた三角測量の原理に基づき、被写体OBの3次元位置を算出する。
【0049】
表示部32では、制御部36Aで算出された被写体OBの3次元位置に基づく被写体OBの3次元画像が可視的に出力される。
【0050】
なお、本実施形態では、説明を簡素化するために、ステレオカメラ2の収差は良好に補正されており、且つ撮像系21,22は、略平行(好ましくは完全に平行)に設定される。つまり、撮像系21,22の光軸が略平行(好ましくは完全に平行)に設定され、第1および第2撮像画像G1,G2で捉えられた被写体は、第1および第2撮像画像G1,G2の外縁に対して略同一の角度関係(好ましくは完全に同一の角度関係)を有する。また、実際のステレオカメラ2の構成が、このような条件にない場合は、画像処理によって同等の条件下で撮像されたステレオ画像に変換されても良い。
【0051】
<(2)対応点探索動作>
本実施形態に係る対応点探索動作では、まず、ステレオ画像を構成する第1撮像画像G1と第2撮像画像G2との組をベースとして、解像度が複数段階に低減された画像の組が生成される。次に、第1撮像画像G1の各画素について、解像度が低い画像の組から順に被写体の同じ部分をとらえた対応点の探索が行われる。このとき、解像度が相対的に1段階低い画像の組を対象とした対応点の探索結果が、解像度が相対的に1段階高い画像の組を対象とした次段の対応点の探索に利用される。但し、無駄な対応点の探索が行われないように、次段の対応点の探索が行われる前に、対応点の探索に適した画像であるか否かが評価され、その評価結果に応じて次段の対応点の探索が禁止されるとともに、前段の対応点の探索結果に基づいて対応点が決定される。
【0052】
以下、このような対応点探索動作を実現するための機能的な構成、対応点の探索処理に係る基本原理、および対応点探索動作に係る動作フローについて順次に説明する。
【0053】
<(2-1)対応点探索動作に係る機能的な構成>
図3は、対応点探索動作が実行される際に制御部36Aにおいて実現される機能的な構成を示す図である。制御部36Aでは、例えば、記憶部34に格納されるプログラムPGaが読み込まれて実行されることで、図3で示されるような機能的な構成が実現される。
【0054】
図3で示されるように、制御部36Aは、機能的な構成として、画像取得部361、解像度変換部362、探索基準点設定部363、下層画像指定部364、初期視差設定部365、初期ウインドウ設定部366、下層対応点探索部367、次層画像指定部368、評価領域設定部369、評価値算出部370、探索禁止部371、次層視差設定部372、次層ウインドウ設定部373、次層対応点探索部374、残層判定部375、対応点決定部376、記憶処理部377、および残画素判定部378を有する。
【0055】
以下、制御部36Aにおいて実現される機能的な各構成について説明する。
【0056】
<(2-1-1)画像取得部>
画像取得部361は、記憶部34から同一の被写体を同じタイミングでとらえた第1撮像画像G1と第2撮像画像G2とを取得する。
【0057】
図4は、第1および第2撮像画像G1,G2の形態をそれぞれ例示する模式図である。第1および第2撮像画像G1,G2では、多数の画素がマトリックス状に配列される。具合的には、縦方向(Y方向)に第1所定数(ここでは、480個)の画素が配列されるとともに、横方向(X方向)に第2所定数(ここでは、640個)の画素が配列される。
【0058】
なお、第1および第2撮像画像G1,G2では、左上の位置が原点とされ、第1および第2撮像画像G1,G2を構成する各画素の横方向における位置がX座標で示され、縦方向における位置がY座標で示される。つまり、第1および第2撮像画像G1,G2では、各画素の位置がXYの座標(x,y)で示され、例えば、右方向(X方向)に1画素ずれるとX座標の値が1つ増加し、下方向(Y方向)に1画素ずれるとY座標の値が1つ増加する。
【0059】
また、対応点探索動作では、第1撮像画像G1が基準となる画像(基準画像)となり、第2撮像画像G2が参照される画像(参照画像)となる。以下では、第1撮像画像G1を基準画像G1と称し、第2撮像画像G2を参照画像G2と称する。なお、画像取得部361では、厳密には、基準画像G1および参照画像G2を示すデータが取得されるが、本明細書では、基準画像G1を示すデータおよび基準画像G1そのものを基準画像G1と総称し、参照画像G2を示すデータおよび参照画像G2そのものを参照画像G2と総称する。
【0060】
<(2-1-2)解像度変換部>
解像度変換部362は、基準画像G1をベースとして、該基準画像G1に対して解像度を段階的に低下させた関係にある画像(低解像度基準画像)を生成するとともに、参照画像G2をベースとして、該参照画像G2に対して解像度を段階的に低下させた関係にある画像(低解像度参照画像)を生成する。
【0061】
詳細には、解像度変換部362では、基準画像G1を構成する複数の縦方向の画素の列(垂直ライン)および複数の横方向の画素の行(水平ライン)のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、縮小された低解像度の基準画像(第1縮小基準画像)G11(図5)が生成される。第1縮小基準画像G11では、縦方向に320個および横方向に240個の画素がマトリックス状に配列される。
【0062】
そして、解像度変換部362では、第1縮小基準画像G11のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の基準画像(第2縮小基準画像)G12(図6)が生成される。第2縮小基準画像G12では、縦方向に160個および横方向に120個の画素がマトリックス状に配列される。
【0063】
更に、解像度変換部362では、第2縮小基準画像G12のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の基準画像(第3縮小基準画像)G13(図7)が生成される。第3縮小基準画像G13では、縦方向に80個および横方向に60個の画素がマトリックス状に配列される。
【0064】
また、解像度変換部362では、参照画像G2を構成する複数の垂直ラインおよび複数の水平ラインのうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、縮小された低解像度の参照画像(第1縮小参照画像)G21(図5)が生成される。第1縮小参照画像G21では、縦方向に320個および横方向に240個の画素がマトリックス状に配列される。
【0065】
そして、解像度変換部362では、第1縮小参照画像G21のうち、1列おきの垂直ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の参照画像(第2縮小参照画像)G22(図6)が生成される。第2縮小参照画像G22では、縦方向に160個および横方向に120個の画素がマトリックス状に配列される。
【0066】
更に、解像度変換部362では、第2縮小参照画像G22のうち、1列おきの垂直画素ラインおよび1行おきの水平ラインがそれぞれ間引かれることで、更に縮小された低解像度の参照画像(第3縮小参照画像)G23(図7)が生成される。第3縮小参照画像G23では、縦方向に80個および横方向に60個の画素がマトリックス状に配列される。
【0067】
このように、解像度変換部362によって、基準画像G1と参照画像G2の組が基準とされ、1段階解像度が低減された第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が、1層目の低解像度の画像の組として生成される。また、2段階解像度が低減された第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が、2層目の低解像度の画像の組として形成される。更に、3段階解像度が低減された第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との組が、3層目(最下層)の低解像度の画像の組として形成される。
【0068】
<(2-1-3)探索基準点設定部>
探索基準点設定部363は、基準画像G1に対して、対応点探索の基準となる点(基準点)Sp1(図8)を設定する。
【0069】
具体的には、探索基準点設定部363によって、まず、基準画像G1のうちの左上の画素が基準点Sp1として設定される。そして、基準点Sp1に対して参照画像G2から対応点が検出される度に、新たな基準点Sp1が設定される。詳細には、基準画像G1に対して、図8の矢印で示されるように、基準点Sp1が、上方向(+Y方向)から順に、左から右方向(X方向)に沿って所定画素(ここでは、1画素)ずつずらされながら時間順次に設定され、各基準点Sp1に対応する対応点が、参照画像G2上で検出される。
【0070】
換言すれば、基準画像G1については、−Y方向から+Y方向に向けて並んだX方向に平行な各水平ラインに沿って、基準点Sp1が時間順次に設定される。そして、X方向に平行な1つの水平ラインに沿った基準点Sp1の設定が完了すると、1画素分+Y方向に位置するX方向に平行な次の水平ラインに沿って基準点Sp1が時間順次に設定される。
【0071】
<(2-1-4)下層画像指定部>
下層画像指定部364は、最下層の低解像度の画像の組(具体的には、第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23)を、処理対象となる画像の組として指定する。
【0072】
<(2-1-5)初期視差設定部>
初期視差設定部365は、第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間における対応点の探索の基準となる所定の初期視差を仮に設定する。所定の初期視差としては、例えば、ゼロ等に設定される。
【0073】
そして、初期視差設定部365は、図9で示されるように、探索基準点設定部363によって設定された基準点Sp1に対応する点(基準点)Sp13を第3縮小基準画像G13に対して設定するとともに、第3縮小参照画像G23に対して、演算処理の対象となる点(処理対象点)Pp23を設定する。ここでは、第3縮小基準画像G13における基準点Sp13の位置と、第3縮小参照画像G23における処理対象点Pp23の位置との間におけるX座標のずれ量が、所定の初期視差に相当する。
【0074】
<(2-1-6)初期ウインドウ設定部>
初期ウインドウ設定部366は、図10で示されるように、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13を中心として包含すウインドウ(基準領域)W13を設定するとともに、第3縮小参照画像G23に対して処理対象点Pp23を中心として包含するウインドウ(比較領域)W23を設定する。なお、基準領域W13および比較領域W23は、同一サイズの正方形の領域あり、例えば、縦方向および横方向にそれぞれ17画素が配列されて構成される。
【0075】
<(2-1-7)下層対応点探索部>
下層対応点探索部367は、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点を探索する。この下層対応点探索部367では、後述する位相限定相関法(POC法)を用いて得られる基準領域W13と比較領域W23との相関に基づいて、対応点の探索が行われる。
【0076】
つまり、本実施形態では、初期視差設定部365、初期ウインドウ設定部366、および下層対応点探索部367によって、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13が設定されるとともに、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点を探索する処理(初期探索処理)が行われる。
【0077】
なお、下層対応点探索部367による探索結果を示す情報は、適宜、次層視差設定部372または対応点決定部376に対して出力される。
【0078】
<(2-1-8)次層画像指定部>
次層画像指定部368は、直前に対応点の探索処理の対象となった低解像度の画像の組よりも、解像度が1段階高い画像の組を、処理対象となる画像の組として指定する。
【0079】
例えば、直前に第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間で対応点の探索処理が行われていれば、次層画像指定部368によって、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22とが指定される。また、直前に第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との間で対応点の探索処理が行われていれば、次層画像指定部368によって、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とが指定される。更に、直前に第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との間で対応点の探索処理が行われていれば、次層画像指定部368によって、基準画像G1と参照画像G2とが指定される。
【0080】
<(2-1-9)評価領域設定部>
評価領域設定部369は、次層画像指定部368によって指定された画像の組のうち、基準画像G1に係る画像に対して評価領域を設定する。
【0081】
例えば、次層画像指定部368によって2層目に係る第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G23とが指定されていれば、図11で示されるように、評価領域設定部369によって、第2縮小基準画像G12のうちの基準点Sp1に対応する基準点Sp12が設定される。そして、基準点Sp12を中心点として包含する評価領域Ae12が第2縮小基準画像G12に対して設定される。
【0082】
また、次層画像指定部368によって1層目に係る第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とが指定されていれば、図12で示されるように、評価領域設定部369によって、第1縮小基準画像G11のうちの基準点Sp1に対応する基準点Sp11が設定される。そして、基準点Sp11を中心点として包含する評価領域Ae11が第1縮小基準画像G11に対して設定される。
【0083】
更に、次層画像指定部368によって基準画像G1と参照画像G2とが指定されていれば、図13で示されるように、評価領域設定部369によって、基準画像G1のうちの基準点Sp1を中心点として包含する評価領域Ae1が基準画像G1に対して設定される。
【0084】
なお、評価領域Ae1,Ae11,Ae12は、同一サイズの正方形の領域あり、例えば、縦方向および横方向にそれぞれ17画素が配列されて構成される。
【0085】
<(2-1-10)評価値算出部>
評価値算出部370は、評価領域設定部369によって設定された評価領域に含まれる画像領域について、画素値のコントラストに係る評価値を算出する。
【0086】
具体的には、下記数1で示されるように、評価領域に含まれる画像領域を構成する各画素に係る画素値の平均値が基準値として算出されるとともに、評価領域に含まれる画像領域を構成する各画素に係る画素値と基準値との差分がそれぞれ算出され、該差分の総和が評価値CTRとして算出される。
【0087】
【数1】

【0088】
上記数1では、評価領域を構成するX方向の画素数およびY方向の画素数がそれぞれw(ここでは、17個)で示され、該評価領域の左上の画素が原点とされて該評価領域に含まれる各画素のX座標が変数iで示されているとともにY座標が変数jで示されている。
【0089】
なお、評価値算出部370で算出される評価値CTRを示す情報は、探索禁止部371に対して出力される。
【0090】
<(2-1-11)探索禁止部>
探索禁止部371は、評価値算出部370によって算出される評価値CTRと、閾値Thとの比較結果に応じて、次層対応点探索部374による探索処理の実行を禁止する。具体的には、評価値CTRが、閾値Th未満である場合に、次層対応点探索部374による探索処理の実行が禁止される。
【0091】
なお、次層対応点探索部374による探索処理の実行が禁止される場合には、その旨を示す信号が、対応点決定部376に対して出力される。一方、探索処理の実行が禁止されない場合には、その旨を示す信号が、次層視差設定部372に対して出力される。
【0092】
<(2-1-12)次層視差設定部>
次層視差設定部372は、次層画像指定部368によって指定された画像の組に対して、対応点の探索の基準となる視差(基準視差)を仮に設定する。
【0093】
ここでは、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組である場合には、下層対応点探索部367による探索結果に応じた基準視差が設定される。
【0094】
詳細には、次層視差設定部372は、図14で示されるように、第2縮小参照画像G22に対して、演算処理の対象となる点(処理対象点)Pp22を設定する。このとき、第2縮小基準画像G12における基準点Sp12(図11)の位置と、第2縮小参照画像G22における処理対象点Pp22の位置との間におけるX座標のずれ量が、基準視差に相当する。
【0095】
また、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組である場合には、次層対応点探索部374による直前の探索結果に応じた基準視差が設定される。このとき、直前の探索結果は、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との間における対応点の探索結果である。
【0096】
詳細には、次層視差設定部372は、図15で示されるように、第1縮小参照画像G21に対して、処理対象点Pp21を設定する。このとき、第1縮小基準画像G11における基準点Sp11(図12)の位置と、第1縮小参照画像G21における処理対象点Pp21の位置との間におけるX座標のずれ量が、基準視差に相当する。
【0097】
また、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、基準画像G1と参照画像G2との組である場合には、次層対応点探索部374による直前の探索結果に応じた基準視差が設定される。このとき、直前の探索結果は、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との間における対応点の探索結果である。
【0098】
詳細には、次層視差設定部372は、図16で示されるように、参照画像G2に対して、処理対象点Pp2を設定する。このとき、基準画像G1における基準点Sp1(図13)の位置と、参照画像G2における処理対象点Pp2の位置との間におけるX座標のずれ量が、基準視差に相当する。
【0099】
<(2-1-13)次層ウインドウ設定部>
次層ウインドウ設定部373は、次層画像指定部368によって指定された画像の組に対して、ウインドウを設定する。
【0100】
ここでは、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組である場合には、図11および図14で示されるように、ウインドウ(基準領域)W12とウインドウ(比較領域)W22とが設定される。
【0101】
詳細には、第2縮小基準画像G12に対して基準点Sp12を中心として包含する基準領域W12が設定されるとともに、第2縮小参照画像G22に対して処理対象点Pp22を中心として包含する比較領域W22が設定される。なお、本実施形態では、基準領域W12と評価領域Ae12とが同一の領域となる。
【0102】
また、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組である場合には、図12および図15で示されるように、ウインドウ(基準領域)W11とウインドウ(比較領域)W21とが設定される。
【0103】
詳細には、第1縮小基準画像G11に対して基準点Sp11を中心として包含する基準領域W11が設定されるとともに、第1縮小参照画像G21に対して処理対象点Pp21を中心として包含する比較領域W21が設定される。なお、本実施形態では、基準領域W11と評価領域Ae11とが同一の領域となる。
【0104】
また、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、基準画像G1と参照画像G2との組である場合には、図13および図16で示されるように、ウインドウ(基準領域)W1およびウインドウ(比較領域)W2が設定される。
【0105】
詳細には、基準画像G1に対して基準点Sp1を中心として包含する基準領域W1が設定されるとともに、参照画像G2に対して処理対象点Pp2を中心として包含する比較領域W2が設定される。なお、本実施形態では、基準領域W1と評価領域Ae1とが同一の領域となる。
【0106】
なお、基準領域W1,W11,W12および比較領域W2,W21,W22は、同一サイズの正方形の領域あり、例えば、縦方向および横方向にそれぞれ17画素が配列されて構成される。
【0107】
<(2-1-14)次層対応点探索部>
次層対応点探索部374は、次層画像指定部368によって指定された画像の組について、対応点の探索を行う。この次層対応点探索部374では、位相限定相関法(POC法)が採用される。
【0108】
ここでは、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組である場合には、第2縮小参照画像G22が対象とされて基準点Sp12に対応する対応点が探索される。
【0109】
また、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組である場合には、第1縮小参照画像G21が対象とされて基準点Sp11に対応する対応点が探索される。
【0110】
更に、次層画像指定部368によって指定された画像の組が、基準画像G1と参照画像G2との組である場合には、参照画像G2が対象とされて基準点Sp1に対応する対応点が探索される。
【0111】
つまり、本実施形態では、評価領域設定部369、次層視差設定部372、次層ウインドウ設定部373、および次層対応点探索部374によって、第2縮小基準画像G12に対して基準点Sp12が設定されるとともに、下層対応点探索部367による探索結果が利用されて、第2縮小参照画像G22を対象として基準点Sp12に対応する対応点を探索する処理(第2層探索処理)が行われる。
【0112】
また、本実施形態では、評価領域設定部369、次層視差設定部372、次層ウインドウ設定部373、および次層対応点探索部374によって、第1縮小基準画像G11に対して基準点Sp11が設定されるとともに、次層対応点探索部374による前回の探索結果が利用されて、第1縮小参照画像G21を対象として基準点Sp11に対応する対応点を探索する処理(第1層探索処理)が行われる。
【0113】
更に、本実施形態では、探索基準点設定部363、次層視差設定部372、次層ウインドウ設定部373、および次層対応点探索部374によって、基準画像G1に対して基準点Sp1が設定されるとともに、次層対応点探索部374による前回の探索結果が利用されて、参照画像G2を対象として基準点Sp1に対応する対応点を探索する探索処理(最終探索処理)が行われる。
【0114】
なお、次層対応点探索部374による探索結果を示す情報は、適宜、次層視差設定部372または対応点決定部376に対して出力される。
【0115】
<(2-1-15)残層判定部>
残層判定部375は、次層対応点探索部374による前回の探索処理の対象となった画像の組よりも、高い解像度の画像の組が存在しているか否かを判定する。
【0116】
なお、残層判定部375によって、前回の探索処理の対象よりも高い解像度の画像の組が存在していれば、その旨を示す信号が、次層画像指定部368に対して出力される。該信号に応じて、次層画像指定部368では、直前に探索処理の対象となっていた低解像度の画像の組よりも、解像度が1段階高い画像の組が、処理対象となる画像の組として指定される。
【0117】
<(2-1-16)対応点決定部>
対応点決定部376は、探索基準点設定部363において設定された基準点Sp1に対応する対応点を決定する。つまり、基準点Sp1と対応点との関係が決定される。
【0118】
詳細には、対応点決定部376では、探索禁止部371から探索処理の実行が禁止される旨を示す信号が入力されると、下層対応点探索部367または次層対応点探索部374における直前の探索結果に基づいて、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。このとき、探索における誤差の範囲が適宜加えられて、基準点Sp1と対応点との関係を示す情報が生成される。
【0119】
より詳細には、第2縮小基準画像G12の評価領域Ae12に係る評価値CTRに基づき、探索禁止部371によって、次層対応点探索部374による探索処理の実行が禁止される場合には、下層対応点探索部367による探索結果に基づいて、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。
【0120】
具体的には、直前に下層対応点探索部367によって第3縮小参照画像G23から対応点が検出されていれば、該対応点に対応する複数の画素が、参照画像G2から認識され、該複数の画素のうちの略中心の位置が対応点(被検出対応点)として決定される。
【0121】
但し、第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23の解像度は、基準画像G1および参照画像G2の解像度の1/8となっている。このため、被検出対応点を示す情報に対しては、第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23の解像度に応じた探索おける誤差の範囲(ここでは、±4)が加えられた状態となる。
【0122】
また、第1縮小基準画像G11の評価領域Ae11に係る評価値CTRに基づき、探索禁止部371によって、次層対応点探索部374による探索処理の実行が禁止される場合には、次層対応点探索部374による探索結果に基づいて、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。
【0123】
具体的には、直前に次層対応点探索部374によって第2縮小参照画像G22から対応点が検出されていれば、該対応点に対応する複数の画素が、参照画像G2から認識され、該複数の画素のうちの略中心の位置が対応点(被検出対応点)として決定される。
【0124】
但し、第2縮小基準画像G12および第2縮小参照画像G22の解像度は、基準画像G1および参照画像G2の解像度の1/4となっている。このため、被検出対応点を示す情報に対しては、第2縮小基準画像G12および第2縮小参照画像G22の解像度に応じた探索おける誤差の範囲(ここでは、±2)が加えられた状態となる。
【0125】
また、基準画像G1の評価領域Ae1に係る評価値CTRに基づき、探索禁止部371によって、次層対応点探索部374による探索処理の実行が禁止される場合には、次層対応点探索部374による探索結果に基づいて、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。
【0126】
具体的には、直前に次層対応点探索部374によって第1縮小参照画像G21から対応点が検出されていれば、該対応点に対応する複数の画素が、参照画像G2から認識され、該複数の画素のうちの略中心の位置が対応点(被検出対応点)として決定される。
【0127】
但し、第1縮小基準画像G11および第1縮小参照画像G21の解像度は、基準画像G1および参照画像G2の解像度の1/2となっている。このため、被検出対応点を示す情報に対しては、第1縮小基準画像G11および第1縮小参照画像G21の解像度に応じた探索おける誤差の範囲(ここでは、±1)が加えられた状態となる。
【0128】
一方、対応点決定部376では、探索禁止部371から探索処理の実行が禁止される旨を示す信号が入力されない場合には、次層対応点探索部374における最終探索処理の結果に基づいて、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。このとき、最終探索処理の結果が、そのまま基準点Sp1と対応点との関係として採用される。
【0129】
<(2-1-17)記憶処理部>
記憶処理部377は、対応点決定部376によって決定される基準点Sp1と対応点との関係を示す情報を記憶部34に記憶する。
【0130】
<(2-1-18)残画素判定部>
残画素判定部378は、探索基準点設定部363によって基準画像G1の全画素が基準点Sp1として設定されたか否かが判定される。ここでは、基準画像G1の全画素が基準点Sp1として設定されていなければ、その旨を示す信号が、探索基準点設定部363に対して出力される。一方、基準画像G1の全画素が基準点Sp1として既に設定されていれば、基準画像G1と参照画像G2との間における対応点探索動作が終了される。
【0131】
<(2-2)POC法を用いた対応点の探索処理に係る基本原理>
ここで、POC法を用いた対応点の探索処理に係る基本原理について説明する。
【0132】
本実施形態では、基準画像G1と参照画像G2との間における対応点の探索処理、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との間における対応点の探索処理、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との間における対応点の探索処理、および第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間における対応点の探索処理が行われるが、何れの対応点の探索処理においてもPOC法を用いた同様な対応点の探索処理が行われる。
【0133】
そこで、以下では、基準画像G1と参照画像G2との間における対応点の探索処理を代表例として挙げつつ、POC法を用いた対応点の探索処理に係る基本原理について説明する。
【0134】
基準画像G1および参照画像G2では、X方向に沿って所定数(N個)の画素が配列されることで長辺が形成され、X方向とは異なるY方向に沿って所定数(M個)の画素が配列されることで短辺が形成されるものとする。
【0135】
対応点の探索処理では、まず、図13で示されるように、基準画像G1上で指定される基準点Sp1を中心点として内包するウインドウ(基準領域)W1が基準画像G1上に設定される。その一方で、図16で示されるように、ウインドウW1のサイズと同じサイズを有するウインドウ(比較領域)W2が参照画像G2に設定される。基準領域W1および比較領域W2では、多数の画素がマトリックス状に配列される。具体的には、X方向に沿って所定数N1の画素が配列され、Y方向に沿って所定数N2の画素が配列される。次に、基準領域W1と比較領域W2との相関を示す値(以下「相関値」と称する)が算出される。そして、該相関値(ここでは、後述するPOC値)に基づき、参照画像G2から基準点Sp1に対応する点(対応点)が検出される。
【0136】
図17は、POC法を用いた対応点の探索処理を具体的に説明するための図である。
【0137】
POC法を用いた対応点の探索処理では、まず、基準画像G1に対するウインドウ(基準領域)W1の設定処理T0aと、参照画像G2に対するウインドウ(比較領域)W2の設定処理T0bとが行われる。このとき、基準領域W1および比較領域W2にそれぞれ相当する画像領域が、次の数2で表されるものとする。
【0138】
【数2】

【0139】
ここで、上記数2におけるf(n1,n2)は、基準画像G1上の基準領域W1を示し、上記数2におけるg(n1,n2)は、参照画像G2上のの比較領域W2を示す。また、N1およびN2は、例えばN1=2M1+1、N2=2M2+1と設定されている。
【0140】
次に、基準画像G1および参照画像G2の基準領域W1および比較領域W2に相当する各画像領域に対し、次の数3で示される演算式を用いた2次元のフーリエ変換処理T1a、T1bが行われる。
【0141】
【数3】

【0142】
なお、上記の数3のただし書におけるWの添字Pには、N1、N2が代入され、またkの添字sには、1、2が代入される。
【0143】
このようなフーリエ変換処理T1a、T1bが施された各画像領域に対しては、次の数4で示される演算式を用いて、画像の振幅成分を除去するための規格化処理T2a、T2bがそれぞれ行われる。
【0144】
【数4】

【0145】
規格化処理T2a、T2bが完了すると、次の数5で示される演算式を用いた合成処理T3が行われるとともに、数6で示される演算式を用いた2次元の逆フーリエ変換処理T4が行われる。これにより、各画像間の相関演算が実施されることとなり、その結果(POC値)が出力される。
【0146】
【数5】

【0147】
【数6】

【0148】
以上の処理により、基準領域W1と比較領域W2との相関を示す演算結果(POC値)が得られ、例えば、図18で示されるような結果(POC値)が得られる。
【0149】
図18においては、ウインドウ(N1×N2)内で相関が高い箇所のPOC値が大きくなっており、参照画像G2上の参照画像W2内のうち、POC値のピークJcに対応する位置が、基準画像G1上の基準領域W1の中心点(基準点)Sp1に対応した参照画像G2上の対応点に相当する。このため、POC値のピークJcが検出されることで、基準画像G1上の基準点Sp1に対応した参照画像G2上の対応点が検出される。
【0150】
このようなPOC法を用いた対応点の探索処理によれば、画像の振幅成分が除去され、画像の位相成分のみで相関演算が行われるため、輝度変動やノイズの影響が抑制されて対応点が精度良く検出される。
【0151】
<(2-3)対応点探索動作に係る動作フロー>
図19〜図21は、本実施形態に係る対応点探索動作の流れを示すフローチャートである。本動作フローは、制御部36AがプログラムPGaを読み込んで実行することで実現される。なお、本動作フローは、例えば、操作部31からの指示に応じて開始されて、図19のステップST1に進む。
【0152】
ステップST1では、画像取得部361によって、記憶部34から基準画像G1と参照画像G2とが取得される。
【0153】
ステップST2では、解像度変換部362によって、基準画像G1をベースとして、該基準画像G1から解像度が段階的に低減された関係にある第1〜3層目の第1〜3縮小基準画像G11〜G13がそれぞれ生成されるとともに、参照画像G2をベースとして、該参照画像G2から解像度が段階的に低減された関係にある第1〜3層目の第1〜3縮小参照画像G21〜23がそれぞれ生成される。
【0154】
ステップST3では、探索基準点設定部363によって、基準画像G1に対して、基準点Sp1が設定される。なお、本ステップST3では、図21のステップST32から戻って来る度に、探索基準点設定部363によって、基準画像G1のうちの未だに基準点Sp1として設定されていない画素が基準点Sp1として設定される。
【0155】
ステップST4では、下層画像指定部364によって、最下層に係る第3縮小基準画像G13および第3縮小参照画像G23が、処理の対象となる画像の組として指定される。
【0156】
ステップST5では、初期視差設定部365によって、第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間における所定の初期視差が仮に設定される。
【0157】
具体的には、初期視差設定部365によって、ステップST3で設定された基準点Sp1に対応する基準点Sp13が第3縮小基準画像G13に対して設定される。
【0158】
ステップST6では、初期ウインドウ設定部366によって、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13を中心として包含するウインドウ(基準領域)W13が設定されるとともに、第3縮小参照画像G23に対して処理対象点Pp23を中心として包含するウインドウ(比較領域)W23が設定される。
【0159】
ステップST7では、下層対応点探索部367によって、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点が探索される。
【0160】
このように、ステップST5〜ST7では、第3縮小基準画像G13に対して基準点Sp13が設定されるとともに、第3縮小参照画像G23を対象として基準点Sp13に対応する対応点を探索する初期探索処理が行われる。
【0161】
なお、ステップST7の処理が終了されると、図20のステップST11に進む。
【0162】
ステップST11では、次層画像指定部368によって、直前に対応点の探索処理の対象となっていた低解像度の画像の組よりも、解像度が1段階高い画像の組が、処理の対象となる画像の組として指定される。
【0163】
例えば、直前に第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間で対応点の探索処理が行われていれば、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22とが指定される。
【0164】
また、直前に第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との間で対応点の探索処理が行われていれば、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とが指定される。
【0165】
更に、直前に第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との間で対応点の探索処理が行われていれば、基準画像G1と参照画像G2とが指定される。
【0166】
ステップST12では、評価領域設定部369によって、ステップST11で指定された画像の組のうち、基準画像G1に係る画像に対して評価領域が設定される。
【0167】
例えば、ステップST11で2層目に係る第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22とが指定されていれば、第2縮小基準画像G12のうちの基準点Sp1に対応する基準点Sp12が設定される。そして、該基準点Sp12を中心点として包含する評価領域Ae12が第2縮小基準画像G12に対して設定される。
【0168】
また、ステップST11で1層目に係る第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とが指定されていれば、第1縮小基準画像G11のうちの基準点Sp1に対応する基準点Sp11が設定される。そして、該基準点Sp11を中心点として包含する評価領域Ae11が第1縮小基準画像G11に対して設定される。
【0169】
更に、ステップST11で基準画像G1と参照画像G2とが指定されていれば、基準画像G1のうちの基準点Sp1を中心点として包含する評価領域Ae1が基準画像G1に対して設定される。
【0170】
ステップST13では、評価値算出部370によって、ステップST12で設定された評価領域に含まれる画像領域について、コントラストに係る評価値が算出される。ここでは、評価領域に含まれる画像領域に係る画素値の平均値が基準値として算出され、評価領域に含まれる画像領域を構成する各画素に係る画素値と基準値との差分の総和が評価値CTRとして算出される。
【0171】
ステップST14では、探索禁止部371によって、ステップST13で算出された評価値CTRが閾値Th未満であるか否かが判定される。ここでは、評価値CTRが閾値Th未満でなければ、ステップST15に進み、評価値CTRが閾値Th未満であれば、ステップST20に進む。
【0172】
ステップST15では、次層視差設定部372によって、ステップST11で指定された画像の組に対して、対応点の探索の基準となる基準視差が仮に設定される。
【0173】
例えば、ステップST11で第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が指定されていれば、第2縮小参照画像G22に対して、処理対象点Pp22が設定される。
【0174】
また、ステップST11で第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が指定されていれば、第1縮小参照画像G21に対して、処理対象点Pp21が設定される。
【0175】
更に、ステップST11で基準画像G1と参照画像G2との組が指定されていれば、参照画像G2に対して、処理対象点Pp2が設定される。
【0176】
ステップST16では、次層ウインドウ設定部373によって、ステップST11で指定された画像の組に対して、ウインドウがそれぞれ設定される。
【0177】
例えば、ステップST11で第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が指定されていれば、第2縮小基準画像G12に対してウインドウ(基準領域)W12が設定されるとともに、第2縮小参照画像G22に対してウインドウ(比較領域)W22が設定される。
【0178】
また、ステップST11で第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が指定されていれば、第1縮小基準画像G11に対してウインドウ(基準領域)W11が設定されるとともに、第1縮小参照画像G21に対してウインドウ(比較領域)W21が設定される。
【0179】
更に、ステップST11で基準画像G1と参照画像G2との組が指定されていれば、基準画像G1に対してウインドウ(基準領域)W1が設定されるとともに、参照画像G2に対してウインドウ(比較領域)W2が設定される。
【0180】
ステップST17では、次層対応点探索部374によって、ステップST16で指定された画像の組について、対応点の探索が行われる。
【0181】
例えば、ステップST11で第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が指定されていれば、第2縮小参照画像G22を対象とした基準点Sp12に対応する対応点の探索が行われる。
【0182】
また、ステップST11で第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が指定されていれば、第1縮小参照画像G21を対象とした基準点Sp11に対応する対応点の探索が行われる。
【0183】
更に、ステップST11で基準画像G1と参照画像G2との組が指定されていれば、参照画像G2を対象とした基準点Sp1に対応する対応点の探索が行われる。
【0184】
ステップST18では、残層判定部375によって、直前のステップST17において探索処理の対象となった画像の組よりも、上層に係る高い解像度の画像の組が存在しているか否かが判定される。ここでは、上層に係る高い解像度の画像の組が存在していれば、ステップST11に戻り、上層に係る高い解像度の画像の組が存在していなければ、ステップST19に進む。なお、ステップST19に進む場合には、直前のステップST17における探索処理は最終探索処理となっている。
【0185】
ステップST19では、対応点決定部376によって、ステップST17における最終探索処理の結果に基づいて、ステップST3で設定された基準点Sp1に対応する対応点が決定され、基準点Sp1と対応点との関係を示す情報が生成される。ここでは、最終探索処理の結果が、そのまま基準点Sp1と対応点との関係として採用される。そして、このステップST19の処理の終了に応じて、図21のステップST31に進む。
【0186】
なお、ステップST19の処理が行われる場合には、現在指定されている基準点Sp1に対しては、後述するステップST20において探索処理の実行が禁止されていないことになる。
【0187】
ステップST20では、探索禁止部371によって、直前のステップST11で指定された画像の組を対象とした次層対応点探索部374による探索処理の実行が禁止される。
【0188】
ここでは、例えば、ステップST11で第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が指定されていれば、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22とを対象とした対応点の探索処理が禁止される。
【0189】
また、ステップST11で第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が指定されていれば、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とを対象とした対応点の探索処理が禁止される。
【0190】
更に、ステップST11で基準画像G1と参照画像G2との組が指定されていれば、基準画像G1と参照画像G2とを対象とした対応点の探索処理が禁止される。
【0191】
ステップST21では、対応点決定部376によって、ステップST3で設定された基準点Sp1に対応する対応点が決定される。
【0192】
ここでは、例えば、直前のステップST11で第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との組が指定されていれば、ステップST7における対応点の探索処理の結果に基づいて、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。このとき、探索における誤差の範囲(ここでは、±4)が加えられた基準点Sp1と対応点との関係を示す情報が生成される。
【0193】
また、直前のステップST11で第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との組が指定されていれば、直前のステップST17における第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22とを対象とした対応点の探索処理の結果に基づき、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。このとき、探索における誤差の範囲(ここでは、±2)が加えられた基準点Sp1と対応点との関係を示す情報が生成される。
【0194】
更に、直前のステップST11で基準画像G1と参照画像G2との組が指定されていれば、直前のステップST17における第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とを対象とした対応点の探索処理の結果に基づき、基準点Sp1に対応する対応点が決定される。このとき、探索における誤差の範囲(ここでは、±1)が加えられた基準点Sp1と対応点との関係を示す情報が生成される。
【0195】
このステップST21の処理が終了されると、図21のステップST31に進む。
【0196】
図21のステップST31では、記憶処理部377によって、ステップST19またはステップST21における決定結果、すなわち基準点Sp1と対応点との関係を示す情報が、記憶部34に記憶される。
【0197】
ステップST32では、残画素判定部378によって、ステップST3において基準画像G1の全画素が基準点Sp1として既に設定されたか否かが判定される。ここでは、基準画像G1の全画素が基準点Sp1として設定されていなければ、ステップST3に戻り、基準画像G1のうちの基準点Sp1として未だに設定されていない画素が基準点Sp1として設定される。一方、基準画像G1の全画素が基準点Sp1として既に設定されていれば、本動作フローが終了される。
【0198】
このようにして、基準画像G1に含まれる複数の画素が順次に基準点Sp1として指定されるとともに、各基準点Sp1に対して、第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23との間における対応点の探索処理の結果、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22との間における対応点の探索処理の結果、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21との間における対応点の探索処理の結果、および基準画像G1と参照画像G2との間における対応点の探索処理の結果のうちの何れかに基づいて、基準点Sp1と対応点との関係が導出される。
【0199】
以上のように、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1Aによれば、画像における画素値のコントラストに係る評価値に基づいて、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止され、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした探索処理の結果に基づいて基準画像G1と参照画像G2との間における基準点Sp1と対応点との関係が決定される。このため、2以上の画像について高速で且つ極力欠落のない対応点の探索が可能となる。
【0200】
そして、このような処理が、基準画像G1の各画素について行われるため、基準画像G1の各画素について、参照画像G2の対応点が高速で且つ極力欠落なく探索される。
【0201】
また、特に、画像における画素値のコントラストから、画素値の変動が少なく且つ適正な対応点の探索処理が実行不可能であると予測される領域については、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止される。その結果、無駄な演算が省略されるため、2以上の画像に係る対応点の探索が高速化される。
【0202】
また、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした探索処理の結果に基づいて基準画像G1と参照画像G2との間における基準点Sp1と対応点との関係が決定される場合には、基準点Sp1と対応点との関係に対して探索精度に応じた誤差の範囲が付加される。その結果、探索精度に応じた誤差の範囲を加味した対応点探索の結果が得られる。
【0203】
<(3)変形例>
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0204】
◎例えば、上記一実施形態では、対応点の各探索処理が、POC法を用いて行われたが、これに限られない。例えば、少なくとも1つの探索処理に対して、SAD(Sum of Absolute Differences;差分絶対値和)法等といったその他の手法が採用されても良い。
【0205】
◎また、上記一実施形態では、評価値算出部370において、評価領域に係る画素値の平均値が基準値として算出され、評価領域内の各画素に係る画素値と基準値との差分の総和が評価値CTRとして算出されたが、これに限られない。
【0206】
例えば、評価領域内の画像領域を対象として輪郭(エッジ)が抽出される処理が行われ、該評価領域内においてエッジが占める画素数の総和(エッジ量)がコントラストに係る評価値として算出されても良い。
【0207】
ここで実施されるエッジ抽出の方法については、SobelやPrewit等と称される種々の方法が適用されれば良い。なお、エッジ抽出の結果としての画像(エッジ画像)が閾値を基準として2値化された後に、エッジが占める画素数の総和(エッジ量)が求められるようにしても良い。
【0208】
このように、コントラストに係る評価値に基づいて、次段の解像度に係る対応点の探索処理を行うか否かが判定される構成は、テンプレートマッチング等といったコントラストが大きく影響する対応点の探索処理が実行される構成に対して、より適している。
【0209】
また、コントラストに係る評価値が算出される代わりに、その他の方法により、評価領域について画素値の変動に係る評価値が算出されても良い。
【0210】
例えば、評価領域内の画像領域を対象としたフーリエ変換が行われることで、周波数成分の分布(パワースペクトル)が導出され、該分布に基づいて評価値が算出されても良い。該評価値は、評価領域における画素値のパターンの分布に係る評価値に相当する。
【0211】
具体的には、例えば、下記(I)または(II)の方法によって評価値が算出されれば良い。
【0212】
(I)まず、評価領域内の画像領域を対象としたフーリエ変換が実行されることで、空間周波数に係る周波数成分の分布(パワースペクトル)が得られる。次に、パワースペクトルにおけるパワー(エネルギー)の総和が評価値として算出される。
【0213】
(II)まず、評価領域内の画像領域を対象としたフーリエ変換が実行されることで、空間周波数に係る周波数成分の分布(パワースペクトル)が得られる。次に、周波数毎に設定された閾値Th(ρ)が基準とされて、パワースペクトルにおけるパワー(エネルギー)が2値化される。そして、パワースペクトルの2値化によって得られる周波数成分の分布(2値分布)について、パワー(エネルギー)の総和が評価値として算出される。
【0214】
なお、上記(II)の方法では、例えば、低周波領域をより重視した評価値が得られるようにすれば、いわゆるエイリアシングの影響等を抑制した評価が可能となる。また、POC法を用いた対応点の探索処理では、ウインドウ内の画像が幅広く色々な周波数成分を有する方が高精度な探索処理が可能となるため、上記(II)の方法が用いられて、幅広く色々な周波数成分が重視されて、評価値が適宜算出される方が好ましい。
【0215】
このような構成が採用されれば、画素値のパターンの分布に係る評価結果から画素値の変動が少なく且つ適正な対応点の探索処理が実行不可能であると予測される画像領域については、より詳細な対応点の探索処理の実行が禁止される。このため、上記一実施形態と同様に、2以上の画像に係る対応点の探索が高速化される。
【0216】
◎また、上記一実施形態では、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした対応点の探索処理の結果に基づいて基準画像G1と参照画像G2との間における基準点Sp1と対応点との関係が決定される場合には、基準点Sp1と対応点との関係に対して、探索精度に応じた誤差の範囲が付加されたが、これに限られない。
【0217】
例えば、対応点探索動作によって得られる情報の用途に応じて、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした対応点の探索処理の結果とその解像度に応じた誤差の範囲とに基づいて、基準画像G1に対する基準点Sp1の位置と参照画像G2に対する対応点の位置との間におけるX座標のずれ量が、解像度に応じた誤差の範囲内で最も大きくなるように、基準点Sp1と対応点との関係が決定されても良い。
【0218】
このような構成が適している用途としては、車載カメラによって得られるステレオ画像を用いて障害物の接近を検知して追突を防止するようなシステムが考えられる。このような用途に対しては、視差がより大きく検出される方が、障害物の接近を厳し目に検知することが可能であり、安全を保持する上で好ましい。
【0219】
また、対応点探索動作によって得られる情報の用途に応じて、逆に、相対的に低い解像度の複数の画像を対象とした対応点の探索処理の結果とその解像度に応じた誤差の範囲とに基づいて、基準画像G1に対する基準点Sp1の位置と参照画像G2に対する対応点の位置との間におけるX座標のずれ量が、解像度に応じた誤差の範囲内で最も小さくなるように、基準点Sp1と対応点との関係が決定されても良い。
【0220】
このような構成が適している用途としては、監視カメラによって得られるステレオ画像を用いて人物等が危険な場所に近づいている状況を検知して報知するようなシステムが考えられる。例えば、危険な場所(池、川、崖、および各種施設等)の近隣において該危険な場所に向けて監視カメラが設けられる場合には、人物等が危険な場所に近づけば近づく程、ステレオ画像において人物等が遠くにとらえられる。このため、このような用途に対しては、視差がより小さく検出される方が、人物等の危険な場所への接近を厳し目に検知することが可能であり、安全を保持する上で好ましい。
【0221】
◎また、上記一実施形態では、POC値が離散的に求められたが、これに限られない。例えば、隣接画素間でPOC値の補間演算を行い、ピークJcの位置を1画素のサイズよりも細かいサブピクセルのサイズで推定することで、更に細かく対応点の探索を行うこともできる。補間演算の手法としては、離散的に求められたPOC値の分布から放物線の関数を求める手法等が考えられる。このような構成によれば、対応点の探索結果における分解能の向上が図られる。
【0222】
但し、演算量の増加の抑制および演算の高速化の観点から言えば、各解像度の画像間における対応点の探索処理においてサブピクセルのサイズで対応点の探索が行われるよりも、各画素について基準点Sp1と対応点との関係が決定される際に限定して、サブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる方が好ましい。このため、例えば、最終探索処理においてのみサブピクセルのサイズで対応点の探索が行われる態様や、最終探索処理以外の探索処理においてサブピクセルのサイズで対応点の探索が行われる態様等、種々のバリエーションが考えられる。
【0223】
◎また、上記一実施形態では、基準画像G1の各画素に対して、参照画像G2において対応する画素が検出されたが、これに限られない。例えば、画素同士の位置の対応付けの他に、画素と画素との間の部分(サブピクセル)の位置に対して、参照画像G2における対応点が検出される構成等が考えられる。
【0224】
このような構成については、最終探索処理の結果からサブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる態様や、最終探索処理以外の探索処理の結果からサブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる態様等、種々のバリエーションが考えられる。このような態様によれば、対応点の探索結果における情報量、すなわち分解能の向上が図られる。
【0225】
ここで、最終探索処理の結果からサブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる態様について具体例を挙げて説明する。
【0226】
図22は、本変形例に係る制御部36Bにおいて実現される機能的な構成を示す図である。本変形例に係る情報処理システム1Bは、上記一実施形態に係る情報処理システム1Aと比較して、制御部36Aが、機能的な構成である補間演算部379Bが追加された制御部36Bに変更されるとともに、記憶部34に格納されるプログラムPGaがプログラムPGbに変更され、該変更に伴って、情報処理装置3Aが情報処理装置3Bに変更されたものである。このため、本変形例に係る情報処理システム1Bは、上記一実施形態に係る情報処理システム1Aと、大部分において同様な構成を有する。このため、同様な構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について以下説明する。
【0227】
補間演算部379Bは、対応点決定部376によって得られるピクセル単位の基準点Sp1と対応点との関係と、対応点決定部376によって得られる基準点Sp1の周囲に位置する画素(周辺画素)に係る基準点Sp1と対応点との関係とを用いた補間演算を行う。この補間演算により、補間演算部379Bは、基準画像G1のうちの基準点Sp1として設定される一画素から該一画素の周辺に位置する周辺画素に至る迄の途中の点(中途点)について、参照画像G2における対応点を導出する。
【0228】
なお、補間演算としては、基準画像G1のうちの同じY座標の連続して列ぶ3画素について決定される視差が単調な減少または単調な増加の傾向を示す場合には、例えば、隣接画素間の中点に係る視差がいわゆる内挿によって求められる演算が採用されれば良い。また、基準画像G1のうちの同じY座標の連続して列ぶ3画素について決定される視差が単調な減少または単調な増加の傾向を示さない場合には、各種フィッティング等が採用されれば良い。
【0229】
図23は、本変形例に係る補間演算方法の一例を説明するための図である。
【0230】
ここで、仮に、基準画像G1のうちの同じY座標の連続して列ぶ3点について、最終探索処理によって基準画像G1と参照画像G2との間における視差が求められているものとする。具体的には、X座標がXaの画素に対して視差Vaが求められ、X座標がXbの画素に対して視差Vbが求められ、X座標がXcの画素に対して視差Vcが求められているものとする。
【0231】
このような条件では、図23で示されるように、横軸がX座標を示すとともに縦軸が視差を示すグラフに、連続する3点のX座標と視差に係るプロットPLa〜PLcが付される。次に、中央のプロットPLbと、両側のプロットPLa,PLcのうちの視差がプロットPLbを基準としてより大きく異なるプロット(図23ではプロットPLa)とを結ぶ直線(一点鎖線)が引かれる。更に、該直線と傾きの正負が逆の直線(一点鎖線)が、残余のプロット(図23ではプロットPLc)を通るように引かれる。そして、2本の直線が交叉する点(図23では、X座標がXe、視差がVe)が求められる。この点に係るX座標がXeと視差がVeとの組合せに係る情報が、補間演算によって得られる結果に相当する。
【0232】
図24は、情報処理システム1Bにおける対応点探索動作に係る動作フローを例示するフローチャートである。本動作フローは、制御部36BがプログラムPGbを読み込んで実行することで実現される。なお、本動作フローは、図19〜図21で示された上記一実施形態に係る対応点探索動作に係る動作フローと比較して、図20のステップST19から図21のステップST31に進む迄の間に、ステップST191,ST192が追加されている点で異なり、その他の点については同様なものとなっている。以下、相違点であるステップST191,ST192について説明する。
【0233】
ステップST191では、補間演算部379Bによって、基準画像G1の同一のY座標における3つの連続する画素について3回連続して最終探索処理が実行されたところであるか否かが判定される。ここで、3回連続して最終探索処理が実行されたところであれば、ステップST192に進み、3回連続して最終探索処理が実行されたところでなければ、図21のステップST31に進む。
【0234】
ステップST192では、補間演算部379Bによる補間演算が実行される。該補間演算では、上述したように、3回連続して実行された最終探索処理によって得られる基準画像G1と参照画像G2との間における視差に基づいて、サブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる。ここでは、該3つの画素のうちの1つの画素に係る視差については、直前のステップST19において導出されている。
【0235】
なお、ステップST192が終了されると、図21のステップST31に進むが、このとき、ステップST31では、ステップST19における決定結果、およびステップST192における補間演算の結果に係る情報が、記憶部34に記憶される。
【0236】
次に、最終探索処理以外の探索処理の結果からサブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる態様について具体例を挙げて説明する。
【0237】
図22で示されるように、本変形例に係る情報処理システム1Cは、上記一実施形態に係る情報処理システム1Aと比較して、制御部36Aが、機能的な構成である補間演算部379Cが追加された制御部36Cに変更されるとともに、記憶部34に格納されるプログラムPGaがプログラムPGcに変更され、該変更に伴って、情報処理装置3Aが情報処理装置3Cに変更されたものである。このため、本変形例に係る情報処理システム1Cは、上記一実施形態に係る情報処理システム1Aと、大部分において同様な構成を有する。このため、同様な構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について以下説明する。
【0238】
補間演算部379Cは、上述した補間演算部379Bと同様な構成を有する。但し、補間演算部379Cでは、補間演算部379Bと比較して、補間演算に用いられる情報が異なっている。この相違点について、図25で示される情報処理システム1Cにおける対応点探索動作に係る動作フローを示すフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0239】
なお、本動作フローは、図19〜図21で示された上記一実施形態に係る対応点探索動作に係る動作フローと比較して、図20のステップST21から図21のステップST31に進む迄の間に、ステップST201が追加されている点で異なり、その他の点については同様なものとなっている。
【0240】
ステップST201では、補間演算部379Cによる補間演算が実行される。該補間演算では、基準画像G1のうちの同じY座標の連続して列ぶ3つの画素に対して決定された視差に基づいて、サブピクセルのサイズで対応点の検出が行われる。ここでは、該3つの画素のうちの1つの画素に係る視差については、直前のステップST21において導出されている。
【0241】
なお、ステップST201が終了されると、図21のステップST31に進むが、このとき、ステップST31では、ステップST21における決定結果、およびステップST201における補間演算の結果に係る情報が、記憶部34に記憶される。
【0242】
◎また、上記一実施形態では、制御部36Aにおいて、画像間の対応点の情報を用いた三角測量の原理に基づき、被写体OBの3次元位置が算出され、該被写体OBの3次元位置に基づく被写体OBの3次元画像が表示部32において可視的に出力されるが、この表示の態様としては、種々のバリエーションが考えられる。
【0243】
例えば、探索精度に応じた誤差の範囲が付加されている基準点Sp1と対応点との関係から求められた被写体OBの3次元位置については、誤差の範囲が付加されていない基準点Sp1と対応点との関係から求められた被写体OBの3次元位置と区別可能な態様で表示される態様が考えられる。この区別可能な態様としては、例えば、色の違いや輪郭の強調等によって実現される。これにより、ユーザーにとって、探索精度が高い部分と探索精度が低い部分との区別が容易となる。
【0244】
また、例えば、車載カメラによって得られるステレオ画像を用いて障害物の接近を検知して追突の危険性がある障害物を視認可能な状態で表示するような構成では、探索精度に応じた誤差の範囲が付加されている基準点Sp1と対応点との関係から求められた被写体OBの3次元位置については、障害物が接近しているか否かを判定するための閾値を厳し目に設定するような態様が考えられる。
【0245】
具体的には、例えば、障害物が20m以内にあれば、追突の危険性があると判定される場合に、閾値がデフォルトである20mから30mに変更されるような態様が考えられる。このような態様により、障害物の接近に対する安全性が高まる。
【0246】
また、例えば、3次元位置が閾値未満の距離にある2点については1つの物体をとらえた画像領域に含まれるものと判定されるクラスタリングが実行される際に、閾値が、探索精度に応じた誤差の範囲に応じて変更されるような態様が考えられる。
【0247】
具体的には、例えば、隣接する2点の3次元位置が、10cm以内にあれば、1つの物体を構成するものと判定される場合に、クラスタリングに係る閾値が±10cmに設定される。これに対して、探索精度に応じた誤差の範囲に応じて、該クラスタリングに係る閾値が、±20cmに変更されるような態様が考えられる。
【0248】
◎また、上記一実施形態では、評価値CTRが算出される際に、評価領域に係る画素値の平均値が基準値として算出されたが、これに限られない。例えば、基準値が、各画素に隣接する4方向または8方向の画素の平均値等であっても良い。
【0249】
◎また、上記一実施形態では、基準画像G1および参照画像G2を対象として、1本の水平ラインおきおよび1本の垂直ラインおきに画素の間引きが行われることで、段階的に50%ずつ縮小された第1〜3縮小基準画像G11〜G13および第1〜3縮小参照画像G21〜G23が生成されたが、これに限られない。
【0250】
例えば、段階的な縮小率は50%ずつの一定である必要性はない。但し、第1縮小基準画像G11と第1縮小参照画像G21とが同一の解像度であり、第2縮小基準画像G12と第2縮小参照画像G22とが同一の解像度であり、第3縮小基準画像G13と第3縮小参照画像G23とが同一の解像度である必要性がある。
【0251】
◎また、上記一実施形態では、単純に画素値が用いられて、コントラストに係る評価値が算出されたが、これに限られない。例えば、ステレオ画像が、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)等を用いたカラー画像であれば、色毎に、画素値が用いられて、コントラストに係る評価値が算出され、該評価値を用いた判定が行われても良い。
【0252】
◎また、上記一実施形態では、2つの画像(基準画像G1と参照画像G2)の間における対応点の探索について説明したが、これに限られない。本発明は、2以上の画像の間における対応点の探索に適用することができる。
【0253】
◎また、上記一実施形態では、基準画像G1に係る画像(具体的には、基準画像G1、第1縮小基準画像G11、および第2縮小基準画像G12)に対して評価領域が設定され、該評価領域について評価値が算出されたが、これに限られない。例えば、参照画像G2に係る画像(具体的には、参照画像G2、第1縮小参照画像G21、および第2縮小参照画像G22)に対して評価領域が設定され、該評価領域について評価値が算出されても良い。このとき、評価領域が、例えば、処理対象点Pp2,Pp21,Pp22が中心点として包含されるように設定される態様等が考えられる。
【0254】
◎なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0255】
1A,1B,1C 情報処理システム
2 ステレオカメラ
3A,3B,3C 情報処理装置
34 記憶部
36A,36B,36C 制御部
361 画像取得部
362 解像度変換部
363 探索基準点設定部
364 下層画像指定部
365 初期視差設定部
366 初期ウインドウ設定部
367 下層対応点探索部
368 次層画像指定部
369 評価領域設定部
370 評価値算出部
371 探索禁止部
372 次層視差設定部
373 次層ウインドウ設定部
374 次層対応点探索部
375 残層判定部
376 対応点決定部
377 記憶処理部
378 残画素判定部
379B,379C 補間演算部
Ae1,Ae11,Ae12 評価領域
G1 基準画像
G11〜G13 第1〜3縮小基準画像
G2 参照画像
G21〜G23 第1〜3縮小参照画像
PGa,PGb,PGc プログラム
Pp2,Pp21,Pp22,Pp23 処理対象点
Sp1,Sp11,Sp12,Sp13 基準点
W1,W11,W12,W13 基準領域
W2,W21,W22,W23 比較領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像に対して解像度を低下させた関係にある第1低解像度画像を生成するとともに、第2画像に対して解像度を低下させた関係にある第2低解像度画像を生成する生成手段と、
前記第1低解像度画像に対して第1基準点を設定するとともに、前記第2低解像度画像を対象として前記第1基準点に対応する第1対応点を探索する第1探索処理を行う第1探索手段と、
前記第1画像に対して前記第1基準点に対応する第2基準点を設定するとともに、前記第1探索処理による第1探索結果を利用して、前記第2画像を対象として前記第2基準点に対応する第2対応点を探索する第2探索処理を行う第2探索手段と、
前記第1画像のうちの前記第2基準点を包含する領域、および前記第2画像のうちの前記第2基準点に対応する点を包含する領域の少なくとも何れか一方に相当する評価領域について、画素値の変動に係る評価値を算出する算出手段と、
前記評価値と閾値との比較結果に応じて、前記第2探索処理の実行を禁止する禁止手段と、
前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合に、前記第1探索結果に基づいて、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする対応点探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の対応点探索装置であって、
前記禁止手段が、
前記評価値が前記閾値未満である場合に、前記第2探索処理の実行を禁止することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の対応点探索装置であって、
前記評価値が、
前記評価領域における画素値のコントラストに係る評価値を含むことを特徴とする対応点探索装置。
【請求項4】
請求項3に記載の対応点探索装置であって、
前記算出手段が、
前記評価領域に含まれる各画素に係る画素値と基準値との差分の総和を前記評価値として算出することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項5】
請求項4に記載の対応点探索装置であって、
前記算出手段が、
前記評価領域に係る画素値の平均値を前記基準値として算出することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項6】
請求項3に記載の対応点探索装置であって、
前記算出手段が、
前記評価領域を対象とした被写体の輪郭を抽出する処理を行い、該評価領域のうちの前記輪郭が占める画素数を前記評価値として算出することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の対応点探索装置であって、
前記評価値が、
前記評価領域における画素値のパターンの分布に係る評価値を含むことを特徴とする対応点探索装置。
【請求項8】
請求項7に記載の対応点探索装置であって、
前記算出手段が、
前記評価領域を対象としたフーリエ変換を行うことで、周波数成分の分布を導出し、該周波数成分の分布に基づいて、前記評価値を算出することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1つの請求項に記載の対応点探索装置であって、
前記決定手段が、
前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合に、前記第1低解像度画像に係る解像度に応じた誤差の範囲を加えて、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8の何れか1つの請求項に記載の対応点探索装置であって、
前記決定手段が、
前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合には、前記第1探索結果と前記第1低解像度画像に係る解像度に応じた誤差の範囲とに基づいて、前記第1画像に対する前記第2基準点の位置と前記第2画像に対する前記第2対応点の位置との間におけるずれ量が、前記誤差の範囲内で最も大きくなるように、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項11】
請求項1から請求項8の何れか1つの請求項に記載の対応点探索装置であって、
前記決定手段が、
前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止される場合には、前記第1探索結果と前記第1低解像度画像に係る解像度に応じた誤差の範囲とに基づいて、前記第1画像に対する前記第2基準点の位置と前記第2画像に対する前記第2対応点の位置との間におけるずれ量が、前記誤差の範囲内で最も小さくなるように、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか1つの請求項に記載の対応点探索装置であって、
前記第1および第2探索処理のうちの少なくとも一方の処理が、
位相限定相関法を用いた処理を含むことを特徴とする対応点探索装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか1つの請求項に記載の対応点探索装置であって、
前記決定手段が、
前記禁止手段によって前記第2探索処理の実行が禁止されない場合には、前記第2探索処理結果に応じて前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定し、更に、前記第1画像に含まれる各画素に対して、前記第1探索処理結果に基づいて前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定するか、または前記第2探索処理結果に基づいて前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定することを特徴とする対応点探索装置。
【請求項14】
請求項13に記載の対応点探索装置であって、
前記第1画像のうちの一画素から該一画素の周辺に位置する周辺画素に至る迄の中途点について、前記決定手段によって得られる前記一画素に係る前記第2基準点と前記第2対応点との関係と、前記決定手段によって得られる前記周辺画素に係る前記第2基準点と前記第2対応点との関係とを用いた補間演算により、前記第2画像における対応点を導出する補間演算手段、
を更に備えることを特徴とする対応点探索装置。
【請求項15】
第1画像に対して解像度を低下させた関係にある第1低解像度画像を生成するとともに、第2画像に対して解像度を低下させた関係にある第2低解像度画像を生成する生成ステップと、
前記第1低解像度画像に対して第1基準点を設定するとともに、前記第2低解像度画像を対象として前記第1基準点に対応する第1対応点を探索する第1探索処理を行う第1探索ステップと、
前記第1画像のうちの前記第1基準点に対応する第2基準点を包含する領域、および前記第2画像のうちの前記第2基準点に対応する点を包含する領域の少なくとも何れか一方に相当する評価領域について、画素値の変動に係る評価値を算出する算出ステップと、
前記第1探索ステップによる第1探索結果を利用して前記第2画像を対象として前記第2基準点に対応する第2対応点を探索する第2探索処理の実行を、前記評価値と閾値との比較結果に応じて禁止する禁止ステップと、
前記禁止ステップによって前記第2探索処理の実行が禁止される場合に、前記第1探索結果に基づいて、前記第2基準点と前記第2対応点との関係を決定する決定ステップと、
を備えることを特徴とする対応点探索方法。
【請求項16】
対応点探索装置に含まれる制御部において実行されることにより、前記対応点探索装置を、請求項1から請求項14の何れか1つの請求項に記載の対応点探索装置として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−95975(P2011−95975A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248836(P2009−248836)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】