説明

対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置、光ディスク装置および対物レンズ駆動装置の共振減衰方法

【課題】 チルト方向の共振振幅を並進方向の共振振幅に対して大きく減衰させることで、光ディスクの回転周波数が対物レンズ駆動装置のチルト共振周波数に近づいた場合でも、記録再生を良好に行うことができる光ディスクの対物レンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】 対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、前記支持ばねの内の所定の前記支持ばねの途中から複数の分岐部が形成され、前記複数の分岐部の内、互いに異なる前記支持ばねに形成されている分岐部先端同士が互い近接し、前記近接した分岐部先端の間に振動減衰部材が取り付けられている構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの対物レンズ駆動装置に関し、特に、チルト方向の共振振幅を並進方向の共振振幅に対して大きく減衰させることで、光ディスクの回転周波数が対物レンズ駆動装置のチルト共振周波数に近づいた場合でも、記録再生を良好に行うことができる光ディスクの対物レンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク装置では、レーザの光束を光ディスクに照射し、その反射光を識別することによって情報を読取っている。ここで、光ディスク装置に搭載されている対物レンズ駆動装置は、反射光から得られる制御信号を用いて、対物レンズを光ディスクの面振れや偏芯などの動きに追従するように制御することにより、フォーカシング方向と、トラッキング方向に駆動し、光ディスクの記録再生面上にスポットが形成するようにされている。
近年の光ディスクの高密度化のためには、小さなスポットを形成することが必要であり、このためには対物レンズの開口(NA)を大きくするか、レーザの波長を短くする必要がある。ここで、NAを大きくしたり、レーザの波長を短くすると、対物レンズの光軸と光ディスクの垂直度がずれることによるコマ収差が発生し易くなり、スポットの品質が劣化する。これによって、記録再生品質が劣化してしまうという問題が生じる。そのため光ディスクと対物レンズの傾き精度を十分に高めなければならない。従って、対物レンズ駆動装置にはフォーカシングやトラッキングした時に可動部(対物レンズ)が傾かないようにすることが望まれている。
また、情報量が多くなるに伴って、情報の記録、再生も高速で行うことが要望されており、そのためには光ディスクを高速に回転させる必要がある。これに伴って、対物レンズを光ディスクに対して高速に追従させなければならない。
ここで、対物レンズ駆動装置には可動部の質量mと可動部を支持する支持ばねのばね定数kxから定まる1次共振が存在する。フォーカシング方向とトラッキング方向の1次共振周波数は数10Hzであることが多い。さらに、1次共振はチルト方向にも存在し、チルト方向の1次共振周波数は可動部の慣性モーメントIと、支持ばねのチルト方向のばね定数kθから定まる。チルト方向の1次共振周波数はフォーカシング方向やトラッキング方向の1次共振周波数の2倍程度になることが多い。
また前述したように光ディスクの回転を高速にしていった場合、光ディスクの回転周波数がチルト方向の1次共振周波数と同期してしまうと、チルトの振幅が著しく増大してしまい、記録、再生特性が急激に劣化するという問題が発生する。また、チルトの一次共振における可動部の回転中心が、対物レンズの主点と異なる位置にある場合はさらに、トラッキング方向にスポットが移動してしまうためトラッキングサーボにも悪影響が発生する。これをラジアルチルト動作によるトラッキング方向へのクロスアクションという。
【0003】
上記問題を回避する対策の一つとして、棒状支持ばねを対物レンズの光軸を中心とした回転方向に傾斜させることで、チルト方向のばね定数を増加させ、チルト方向の1次共振周波数を高くし、光ディスクの回転周波数よりも高く設計することが可能である。
しかし、DVDの記録ドライブに多く採用されているチルト補正対応の対物レンズ駆動装置では、ばね定数を増加するとチルト方向の低域の駆動感度が低下してしまうという問題が発生してしまう。
近年の高速記録再生に対応したドライブでは光ディスクの回転周波数は最大160Hz程度であるが、チルト補正のために、低域のチルト駆動感度を確保するため、チルト方向の1次共振周波数は100Hz程度に設定されることが多く、チルトの共振周波数の帯域においても、光ディスクの回転周波数領域として使用せざるを得ないという状況であった。このように、静的なチルト補正(DCチルト補正)に対応した対物レンズ駆動装置においては大きな問題を有している。
ラジアルチルト方向のみでなく、タンジェンシャルチルト方向に補正可能な4軸駆動の対物レンズ駆動装置においても、タンジェンシャルチルト方向の共振が存在し、タンジェンシャル方向の変動となるため、タンジェンシャルチルトの共振周波数と光ディスクの回転周波数が一致する領域においては信号の劣化が問題となってしまう。
【0004】
図13は、従来の一般的な対物レンズ駆動装置の構成図であり、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
図13に示す従来の対物レンズ駆動装置においては、ベース1上に固定して設けられた固定部材3と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とが、4本の棒状支持ばね9a、9b、9c、9dで支持された構成となっており、この棒状支持ばね9a、9b、9c、9dが、タンジェンシャル方向を長手方向としてフォーカシング方向に平行に配置されていた。なお、対物レンズ保持部材7には、駆動コイル11および駆動磁石13が設けられて可動部を構成している。また、棒状支持ばね9の固定部3側端部周辺には振動減衰材料15が充填されている。
このような構成の場合、振動減衰材料15の特性や充填量によって、減衰量を変化させることが可能であるが、並進方向とチルト方向の特性が同時に変ってしまい個別に管理することが難しかった。
なお、先行技術としては、特許文献1にはXYZ直交座標系において、Z軸方向に光軸を有する対物レンズと、この対物レンズを保持する対物レンズホルダと、この対物レンズホルダを支持部材に変位可能に懸架支持するX軸方向に延在するばね部材と、対物レンズホルダを駆動する電磁駆動手段とを有する光ヘッドアクチュエータにおいて、ばね部材をその途中位置よりXY平面と平行な面内で分岐し、その分岐端部を対物レンズホルダの重心を通るZo,Xo平面近傍において制振手段に結合する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、対物レンズと、この対物レンズを保持する対物レンズホルダと、この対物レンズホルダを支持部材に変位可能に懸架支持するばね部材と、対物レンズホルダを駆動する電磁駆動手段と、対物レンズホルダおよび電磁駆動手段の外側で、かつ対物レンズホルダの重心Gを通りフォーカス方向Zおよびトラッキング方向Yと直交する軸上Xo近傍に設けた制振手段と、この制振手段を対物レンズホルダの重心Gを通りトラッキング方向Yと平行な軸上Yo近傍において対物レンズホルダに連結する連結手段とを有する技術が開示されている。
特許文献3には、サスペンションベースに複数のサスペンションバネを介して対物レンズを保持するレンズホルダを支持し、キャリッジ内部に固定されたヨークとマグネットからなる磁気回路を構成すると共に、レンズホルダに設けられたフォーカスコイルとトラッキングコイルとを磁気回路の中に位置させ、フォーカスコイル及びトラッキングコイルと磁気回路の作用によって、レンズホルダをフォーカス方向及びトラッキング方向に移動させることができるムービングコイルタイプのアクチュエータ装置において、レンズホルダ側に永久磁石を配置し、キャリッジ側に複数の鉄芯を配置する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−191229号公報
【特許文献2】特開平11−191230号公報
【特許文献3】特開2000−322752公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、上記従来技術では、光ディスクの回転周波数が対物レンズ駆動装置のチルト共振周波数に近づいた場合において、フーカシング方向やトラッキング方向に比べてチルト方向の1次共振の振幅が大きくこの周波数近傍での記録再生特性が劣化してしまう。チルト方向の1次共振を減衰させるために、即ち共振点におけるチルト振幅を小さくするために、振動減衰材料を多量に使用したり、振動減衰材料の粘性を増加すると、フォーカシング方向やトラッキング方向の低域感度が劣化したり、経時変化、温度変化に対する特性変化が問題になってしまう。
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、チルト方向の共振振幅を並進方向の共振振幅に対して大きく減衰させることで、光ディスクの回転周波数が対物レンズ駆動装置のチルト共振周波数に近づいた場合でも、記録再生を良好に行うことができる光ディスクの対物レンズ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、前記支持ばねの途中から複数の分岐部が形成され、前記複数の分岐部の内、互いに異なる支持ばねに形成されている分岐部先端同士が互い近接配置され、前記近接した分岐部先端の間に振動減衰部材が取り付けられていることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、前記支持ばねの内、トラッキング方向において異なる位置に配置された前記支持ばねから分岐した分岐部先端同士が互いに近接して配置され、前記先端間に振動減衰部材が保持されていることを特徴とする。
また請求項3記載の発明は、互いに近接している前記分岐部を有する前記支持ばねが、前記フォーカシング方向に僅かにオフセットして配置され、前記分岐部がオフセットした領域に前記振動減衰部材が保持されていることを特徴とする。
また請求項4記載の発明は、対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、前記支持ばねの内、前記フォーカシング方向において異なる位置に配置された前記支持ばねから分岐した分岐部先端同士が互いに近接して配置され、前記先端間に振動減衰部材が保持されていることを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、前記互いに近接している分岐部先端を有する前記支持ばねが、トラッキング方向に僅かにオフセットして配置され、このオフセットした領域に前記振動減衰部材が保持されていることを特徴とする。
【0008】
また請求項6記載の発明は、対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、前記固定部が、前記可動部のタンジェンシャル方向両側に配置され、かつ、前記可動部は前記複数の支持ばねによって前記タンジェンシャル方向両側から支持されており、前記支持ばねの途中から分岐部がそれぞれ前記タンジェンシャル方向において前記可動部側に伸びるように構成され、前記可動部の前記タンジェンシャル方向における両側の分岐部先端同士が近接して配置され、先端部の間に振動減衰部材が保持されていることを特徴とする。
また請求項7記載の発明は、近接されて配置された前記分岐部先端の対向部には、互いに平行な平面が形成されていることを特徴とする。
また請求項8記載の発明は、前記支持ばねが、棒状支持ばねからなり、前記振動減衰部材が、粘弾性部材からなることを特徴とする。
また請求項9記載の発明は、光ディスクに対して照射光を発するレーザ光源と、照射光を前記対物レンズに導く照明光学系と、前記光ディスクからの反射光を受光する受光光学系と、請求項1〜8のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置とを備えることを特徴とする。
また請求項10記載の発明は、光ディスクを回転駆動する回転駆動系と、前記光ディスクの半径方向に移動自在に設けられた請求項9記載の光ピックアップ装置とを備える光ディスク装置を特徴とする。
また請求項11記載の発明は、対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の棒状支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置の共振減衰方法であって、 互いに異なる前記棒状支持ばねに形成されている分岐部先端同士の間に設けられた振動減衰部材によってチルト方向の共振振幅を減衰させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チルト方向の共振振幅を並進方向の共振振幅に対して大きく減衰させることで、光ディスクの回転周波数が対物レンズ駆動装置のチルト共振周波数に近づいた場合でも、記録再生を良好に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による対物レンズ駆動装置の第1実施形態の構成図であり、(a)は斜視図であり、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
図1に示す対物レンズ駆動装置は、ベース1上に固定して設けられた固定部材3と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とが、後述する本発明の要部である支持機構で支持された構成となっている。すなわち、対物レンズ5と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とを有する可動部が、対物レンズ5のタンジェンシャル方向において片側に配置された固定部材3からなる固定部に対して、支持機構を介して移動可能に支持されている。
なお、対物レンズ保持部材7には、対物レンズ保持部材7を挟んで両側に駆動コイル11と駆動磁石13とが取り付けられている。本実施例の説明図ではプリントコイルの図になっているが巻線コイルでもよい。磁性体の板金を折り曲げたベース1の折り曲げ部はヨークになっており、ヨーク部に駆動磁石13が駆動コイル11と所定のギャップを隔てた位置に配置されて取り付けられ、磁気回路を構成している。
【0011】
次に、上記支持機構について説明すると、タンジェンシャル方向を長手方向として、4本の棒状支持ばね9a、9b、9c、9dがフォーカシング方向、およびトラッキング方向にそれぞれ並んで配置されており、支持ばね9a、9b、9c、9dの固定部側の端部は対物レンズ5に対してタンジェンシャル方向において片側に配置された固定部材3に接続されている。
そして、支持ばね9の材料としては、例えばベリリウム銅などの導電性材料を使用し、その両端は駆動ドライバと駆動コイル11に電気的に接続されていて、固定部3側の駆動ドライバから磁気回路中に配置されている駆動コイル11に電流を供給することによって、可動部をフォーカシング方向、およびトラッキング方向に駆動することができるようになっている。尚、図では支持ばねと駆動コイル間の配線は省略している。
そして、棒状支持ばね9a、9b、9c、9dの内、トラッキング方向において異なる位置に配置されている所定の支持ばね9a、9cは、その固定部材3側の途中から内側に分岐された分岐部9e、9fが形成されており、支持ばね9a、9cの分岐部9e、9fの先端Aおよび先端Bが互いに近接するようになっている。この先端Aおよび先端Bが互いに近接する近接部は、フォーカシング方向に僅かな隙間(例えば0.5mm程度)を有しており、この間に振動減衰部材としての粘弾性部材17が保持されている。すなわち、互いに近接している分岐部9e、9fを有する支持ばね9a、9cが、フォーカシング方向に僅かにオフセットして配置され、分岐部9e、9fがオフセットした領域に振動減衰部材17が保持されている。これにより、簡易な構成で振動減衰部材17を取り付ける空間を形成することができる。
なお、分岐部9e、9fは、図1に示すように、支持ばね9a、9cの一部が突出した構成としてもよいが、先端Aと先端Bをフォーカシング方向に隙間を持たせるように構成することは非常に難しい。そこで、変形例として、図2および図3に示すように、樹脂モールド部品19を支持ばね9a、9cの一部に一体成型して分岐を構成するようにしても良い。このように構成することで精度良く隙間を形成することができる。
【0012】
図2は、本発明による対物レンズ駆動装置の第1実施形態の変形例の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は分岐部の拡大斜視図である。また図3は、図2に示した対物レンズ駆動装置の一体成型構成をタンジェンシャル方向から見た図である。
さて、ここで、従来の対物レンズ駆動装置を用いてフォーカシングサーボ、およびトラッキングサーボを行うと、光ディスクの面振れや偏芯に応じて対物レンズ駆動装置の可動部が移動する。このとき、実際には組付誤差などがあるためフォーカシング、トラッキング動作によって、チルトが発生してしまう場合がある。光ディスクを高速回転させ、その回転周波数がチルト方向の1次共振周波数に近くなってくると、特にチルトの振幅が増幅してしまう。
ところが、本実施形態では、可動部がチルト方向に動作したときには、分岐部の先端Aと先端Bの間隔が変化する。そのため、一次共振周波数付近で大きな振幅が発生しても、この部分に保持されている振動減衰材料Aが変形、もしくは流動するため、大きな減衰効果を得ることができる。
一方、可動部がフォーカシング方向に動いた時には分岐部の先端Aと先端Bの距離は変化しないのでフォーカシング方向の駆動感度を低下させることはない。
また、従来の固定部と支持部材の間に振動減衰材料を充填する構成と比較して、本発明は支持部材間に振動減衰材料を設けているので、並進動作による振幅変化に対するチルト動作による振幅変化の割合を大きくすることができる。そのためチルト方向の共振減衰効果を相対的に高めることが可能である。
尚、本実施形態では、振動減衰材をフォーカシング方向における光ディスク側の支持ばねだけに設けているが、全ての支持ばねに設けても良い。
【0013】
ここで、フォーカス方向動作時とラジアルチルト動作時の分岐部先端Aおよび先端B間距離の振幅の違いを比較してみる。図4は、支持ばね9の変形の様子を示す説明図であり、(a)はフォーカス方向動作時の変形の様子を、(b)はラジアルチルト動作時の変形の様子を夫々示した図である。
図4を見て分かるように、フォーカス方向動作時には分岐部9e、9fの先端間の距離が変化しないのに対して、ラジアルチルト動作時には分岐部9e、9fの先端間の距離が変化している。この位置に振動減衰材料17を保持することで、振動減衰材料17が変形、もしくは流動するためラジアルチルト方向の動作に対して高い減衰効果が得られることができる。
また、分岐部9e、9fの先端Aおよび先端Bを互いに平面同士が対向するようにすることで減衰効果をより高めている。
また、支持ばね9の固定部3側端部周辺にも、他の振動減衰材料を取り付けてあるが、分岐部9e、9fに取り付けられている振動減衰材料17の粘性は、上記他の振動減衰材料の粘性よりも大きいものを使用している。これは、分岐部9e、9fにおける振幅は固定部3端部における振幅と比較すると相対的に小さくなりやすいため、固定部3端部周辺に取り付ける他の振動減衰材料と同程度の粘性では十分な減衰性能が得られない。そこで粘性を大きくすることで大きな減衰性能を得ている。並進方向に移動した時には振幅が小さいので低域の駆動感度が低下することはない。
【0014】
図5は、本発明による対物レンズ駆動装置の第2実施形態の構成図であり、(a)は斜視図であり、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
図5に示す対物レンズ駆動装置は、ベース1上に固定して設けられた固定部材3と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とが、後述する本発明の要部である支持機構で支持された構成となっている。すなわち、対物レンズ5と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とを有する可動部が、対物レンズ5のタンジェンシャル方向において片側に配置された固定部材3からなる固定部に対して、支持機構を介して移動可能に支持されている。
なお、対物レンズ保持部材7には、対物レンズ保持部材7を挟んで両側に駆動コイル11と駆動磁石13とが取り付けられている。本実施例の説明図ではプリントコイルの図になっているが巻線コイルでもよい。磁性体の板金を折り曲げたベース1の折り曲げ部はヨークになっており、ヨーク部に駆動磁石13が駆動コイル11と所定のギャップを隔てた位置に配置されて取り付けられ、磁気回路を構成している。
【0015】
次に、上記支持機構について説明すると、タンジェンシャル方向を長手方向として、4本の棒状支持ばね9a、9b、9c、9dがフォーカシング方向、およびトラッキング方向にそれぞれ並んで配置されており、支持ばね9a、9b、9c、9dの固定部側の端部は対物レンズ5に対してタンジェンシャル方向において片側に配置された固定部材3に接続されている。
そして、支持ばね9の材料は、導電性材料(例えばベリリウム銅など)を使用し、その両端は駆動ドライバと駆動コイル11に電気的に接続されていて、固定部3側の駆動ドライバから磁気回路中に配置されている駆動コイル11に電流を供給することによって、可動部をフォーカシング方向、およびトラッキング方向に駆動することができるようになっている。尚、図では支持ばねと駆動コイル間の配線は省略している。
そして、棒状支持ばね9a、9b、9c、9dの内、フォーカシング方向において異なる位置に配置されている所定の支持ばね9a、9bと支持ばね9c、9dとにそれぞれ分岐部9e、9fが形成されている。すなわち、支持ばね9a、9bの場合で説明すると、支持ばね9a、9bの固定部材3側の途中からフォーカシング方向に内側に分岐された分岐部9e、9fが形成されており、支持ばね9a、9bの分岐部9e、9fの先端Aおよび先端Bが互いに近接するようになっている。この先端Aおよび先端Bが互いに近接する近接部は、フォーカシング方向に僅かな隙間(例えば0.5mm程度)を有しており、この間に振動減衰部材としての粘弾性部材17が保持されている。そして、互いに近接している分岐部先端を有する支持ばね9a、9bが、トラッキング方向に僅かにオフセットして配置され、このオフセットした領域に振動減衰部材17が保持されている。これにより、簡易な構成で振動減衰部材17を取り付ける空間を形成することができる。
なお、棒状支持ばね9c、9dも同様な構成となっているので、以後は、支持ばね9a、9bのみ説明する。
【0016】
また、図5(b)に示すように、分岐は樹脂モールド部品19を支持ばね9の一部に一体成型することで先端部Aと先端Bを構成してある。このように構成することで精度良く隙間を形成することができる。図6は、一体成型部分をタンジェンシャル方向から見た図である。
本実施形態では、可動部がチルト方向に動作したときには、分岐部の先端Aと先端Bの間隔が変化する。そのため、一次共振周波数付近で大きな振幅が発生しても、この部分に保持されている振動減衰材料17が変形、もしくは流動するため、大きな減衰効果を得ることができる。
一方、可動部がフォーカシング方向、トラッキング方向に動いた時には、分岐部の先端Aと先端Bの距離は変化しないので駆動感度を低下させることはない。先端部A、先端部Bは面内方向に若干その相対位置が変化するが面内方向の変動に対しては大きな抵抗にはならないため、並進方向の低域感度の低下にはつながらない。
従来の固定部と支持部材の間に振動減衰材料を充填する構成と比較して、本発明は支持部材間に振動減衰材料を設けているので、並進動作による振幅変化に対するチルト動作による振幅変化の割合を大きくすることができる。そのため、ラジアルチルト方向およびタンジェンシャルチルト方向を含むチルト方向の共振減衰効果を相対的に高めることが可能である。
【0017】
ここで、フォーカス方向動作時とラジアルチルト動作時の分岐部先端Aおよび先端B間距離の振幅の違いを比較してみる。図7は、支持ばねの変形の様子を示す説明図であり、(a)はフォーカス方向動作時の変形の様子を、(b)はラジアルチルト動作時の変形の様子を夫々示した図である。これらの図を見て分かるようにフォーカス方向動作時には分岐部の先端間の距離が変化しないのに対して、ラジアルチルト動作時には分岐部の先端間の距離が変化している。この位置に振動減衰材料Aを保持することで、振動減衰材料Aが変形、もしくは流動するためラジアルチルト方向の動作に対して高い減衰効果が得られることができる。また、分岐部9e、9fの先端Aおよび先端Bは互いに平面同士が対向するようにすることで減衰効果をより高めている。
また支持ばねの固定部側端部周辺には振動減衰材料Bを取り付けてあるが、分岐部に取り付けられている振動減衰材料Aの粘性は、振動減衰材料Bの粘性よりも大きいものを使用している。これは、分岐部における振幅は固定部端部における振幅と比較すると相対的に小さくなりやすいため、固定部端部周辺に取り付ける振動減衰材料Bと同程度の粘性では十分な減衰性能が得られない。
そこで粘性を大きくすることで大きな減衰性能を得ている。並進方向に移動した時には振幅が小さいので低域の駆動感度が低下することはない。
【0018】
図8は、本発明による対物レンズ駆動装置の第3実施形態の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
図8に示す対物レンズ駆動装置は、ベース1の両端上に固定して設けられた固定部材3と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とが、後述する本発明の要部である支持機構で支持された構成となっている。すなわち、対物レンズ5と、対物レンズ5を保持する対物レンズ保持部材7とを有する可動部が、対物レンズ5のタンジェンシャル方向において片側に配置された固定部材3からなる固定部に対して、支持機構を介して移動可能に支持されている。
なお、対物レンズ保持部材7には、対物レンズ保持部材7を挟んで両側に駆動コイル11と駆動磁石13とが取り付けられている。本実施例の説明図ではプリントコイルの図になっているが巻線コイルでもよい。磁性体の板金を折り曲げたベース1の折り曲げ部はヨークになっており、ヨーク部に駆動磁石13が駆動コイル11と所定のギャップを隔てた位置に配置されて取り付けられ、磁気回路を構成している。
【0019】
次に、上記支持機構について説明すると、さらにタンジェンシャル方向を長手方向として、8本の支持ばね9a、9b、9c、9d、9g、9h、9i、9jが一平面上に配置されており、支持ばね9の固定部側の端部は可動部に対してタンジェンシャル方向における両側に配置された固定部材3に接続されている。
そして、支持ばね9の材料は、導電性材料(例えばベリリウム銅など)を使用し、その両端は駆動ドライバと駆動コイル11に電気的に接続されていて、固定部3側の駆動ドライバから磁気回路中に配置されている駆動コイル11に電流を供給することによって、可動部をフォーカシング方向、およびトラッキング方向に駆動することができるようになっている。尚、図では支持ばねと駆動コイル間の配線は省略している。
そして、棒状支持ばね9a、9b、9c、9dの内、トラッキング方向において異なる位置に配置されている所定の支持ばね9a、9b、9c、9dと支持ばね9g、9h、9i、9jとの内、所定の支持ばね9b、9dおよび9h、9jにそれぞれ分岐部9e、9fが形成されている。
すなわち、支持ばね9a、9b、9c、9dの場合で説明すると、支持ばね9b、9dの途中からトラッキング方向に外側に分岐された分岐部9e、9fが形成されており、支持ばね9b、9dの分岐部9e、9fの先端Aおよび先端Bが互いに近接するようになっている。この先端Aおよび先端Bが互いに近接する近接部は、フォーカシング方向に僅かな隙間(例えば0.5mm程度)を有しており、この間に振動減衰材料17が保持されている。また、分岐部9e、9fの先端Aおよび先端Bは互いに平面同士が対向するようにすることで減衰効果をより高めている。
なお、棒状支持ばね9h、9jも同様な構成となっているので、以後は、支持ばね9b、9dのみ説明する。
言い換えるならば、各々の支持ばね9b、9dの途中には2箇所ずつ、タンジェンシャル方向において異なる位置に分岐を有しており、分岐部9e、9fは、まずトラッキング方向に分岐した後、タンジェンシャル方向(可動部側)に折れ曲り、可動部のタンジェンシャル方向両側に配置された支持ばね9b、9dからの分岐部の先端部A、および先端部Bが互いに近接するようになっている。この近接部には振動減衰材料17が保持されている。
【0020】
分岐部は、図8に示すように樹脂モールド部品19を支持ばね9の一部に一体成型することで前述の先端部Aと先端Bを構成してある。このようにすることで、精度良く隙間を形成することができる。図9は、先端部Aと先端Bをトラッキング方向から見た図である。
本実施形態では、可動部がタンジェンシャルチルト方向に動作したときには、分岐部9e、9fの先端Aと先端Bの間隔が変化する。そのため、一次共振周波数付近で大きな振幅が発生しても、この部分に保持されている振動減衰材料Aが変形、もしくは流動するため、大きな減衰効果を得ることができる。一方、可動部がフォーカシング方向、トラッキング方向に動いた時には、分岐部の先端Aと先端Bの距離はそれほど大きく変化しないので低周波数領域の駆動感度を低下させることはない。フォーカシング動作によって先端部A、先端部Bの対向面の相対角度が変化するが、相対距離の変化と比較すると大きな抵抗にはならないため、並進方向の低域感度の低下にはつながらない。
ここで、フォーカス方向動作時とタンジェンシャルチルト動作時の分岐部先端の振幅の違いを比較してみる。図10は、支持ばねの変形の様子を示す説明図であり、(a)はフォーカス方向動作時の支持ばねの変形の様子、(b)はタンジェンシャルチルト動作時の支持ばねの変形の様子である。これらを見て分かるようにフォーカス方向動作時に比較して、タンジェンシャルチルト動作時には分岐部の先端間の距離が大きくなっておりこの位置に振動減衰材料Aを取り付けることで、タンジェンシャルチルト方向の動作に対して高い減衰効果が得られることができる。
また、従来どおり支持ばねの固定部側端部周辺には他の振動減衰材料を取り付けてあるが、分岐部に取り付けられている振動減衰材料17の粘性は、他の振動減衰材料の粘性よりも大きいものを使用している。これは、分岐部における振幅は固定部端部における振幅よりも小さいことが多いため、固定部端部周辺に取り付ける他の振動減衰材料と同程度の粘性では十分な減衰性能が得られない。そこで粘性を大きくすることで大きな減衰性能を得ている。並進方向に移動した時には振幅が小さいので低域の駆動感度が低下することはない。
尚、第1実施形態における分岐部の構成は支持ばねが6本の3軸駆動の対物レンズ駆動装置、支持ばねが8本の4軸駆動の対物レンズ駆動装置に適用することも可能であるし、第2実施形態における分岐部の構成はやはり支持ばねが6本の3軸駆動の対物レンズ駆動装置に適用することも可能である。
【0021】
図11は、本実施形態の対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップの適応例の構成図である。
図11に示すように、光学ピックアップ22に搭載されている光源23から出射した拡散光は、コリメートレンズ24によって略平行光になる。その後ビームスプリッタ25を通り、立上げミラー26により折り曲げられる。
立上げミラー26によって折り曲げられた平行光は光学ピックアップ21に搭載された対物レンズ駆動装置21の対物レンズ5に入射しメディア20上にスポットを形成する。
スポットの反射光はビームスプリッタ25によって入射した方向と向きをかえて、集光レンズ27とシリンドリカルレンズ28を通った後、受光素子29に入射する。メディア20上のスポットの反射光が受光素子29に入射するように配置しておく。受光素子29で得られた信号を元にして対物レンズ駆動装置21のフォーカシングコイル、トラッキングコイルを駆動することによってメディアに対して対物レンズを追従することでメディアの情報を得ることができる。
ここで、光学ピックアップ22に搭載されている対物レンズ駆動装置21は、前記実施形態で説明したようにフォーカシング、トラッキング動作によるチルト変動が小さい対物レンズ駆動装置21が搭載されているため、良好な信号を得られる光ピックアップを提供することができる。
また、対物レンズ駆動装置21はタンジェンシャル方向において片側にはさえぎるものがないため、立上げミラーとレーザ光をフォーカシング方向において略同一平面上に配置することができるので、全体の厚さが薄い小型で良好な信号が得られる光ピックアップを構成することが可能である。
【0022】
次に、上述した対物レンズ駆動装置の実施形態を搭載した光ピックアップの適応例について説明する。
図12は、図11に示した光ピックアップを搭載した光ディスク装置の適応例の構成図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図12に示すように、光ディスクドライブの筐体31に防振ゴム32を介してピックアップモジュールベース33が設置されている。ピックアップモジュールベース33にはメディア20を回転させるスピンドルモータ34が固定されている。また、ピックアップモジュールベース33に取り付けられたシークレール35には光学ピックアップ22が搭載されている。光学ピックアップ22は、シークレール35上をメディア20の半径方向に移動可能である。
ここで、本実施例の光ディスクドライブに搭載されている光学ピックアップ22は、前記実施形態で説明したように良好なスポットを維持し、良好な信号を得ることができる光ピックアップであるため、記録再生性能が優れた光ディスクドライブを提供することができる。また光ピックアップの厚さが薄いので、薄型のコンパクトな光ディスクドライブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による対物レンズ駆動装置の第1実施形態の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
【図2】本発明による対物レンズ駆動装置の第1実施形態の変形例の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
【図3】図2の変形例の一体成型構成をタンジェンシャル方向から見た図である。
【図4】支持ばね9の変形の様子を示す説明図であり、(a)はフォーカス方向動作時の変形の様子を示す図、(b)はラジアルチルト動作時の変形の様子を示す図である。
【図5】本発明による対物レンズ駆動装置の第2実施形態の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
【図6】一体成型部分をタンジェンシャル方向から見た図である。
【図7】支持ばねの変形の様子を示す説明図であり、(a)はフォーカス方向動作時の変形の様子を示す図、(b)はラジアルチルト動作時の変形の様子を示す図である。
【図8】本発明による対物レンズ駆動装置の第3実施形態の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は分岐部の拡大斜視図である。
【図9】先端部Aと先端Bをトラッキング方向から見た図である。
【図10】支持ばねの変形の様子を示す説明図であり、(a)はフォーカス方向動作時の変形の様子を示す図、(b)はタンジェンシャルチルト動作時の変形の様子を示す図である。
【図11】本発明による対物レンズ駆動装置の実施形態を搭載した光ピックアップの適応例の構成図である。
【図12】図11に示した光ピックアップを搭載した光ディスク装置の適応例の構成図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図13】従来の一般的な対物レンズ駆動装置の構成図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1…ベース、3…固定部材、5…対物レンズ、7…対物レンズ保持部材、9…棒状支持ばね、11…駆動コイル、13…駆動磁石、17…振動減衰材料、19…樹脂モールド部品、20…メディア、21…光学ピックアップ、21…対物レンズ駆動装置、22…光学ピックアップ、23…光源、24…コリメートレンズ、25…ビームスプリッタ、26…ミラー、27…集光レンズ、28…シリンドリカルレンズ、29…受光素子、31…筐体、32…防振ゴム、33…ピックアップモジュールベース、34…スピンドルモータ、35…シークレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、
前記支持ばねの途中から複数の分岐部が形成され、前記複数の分岐部の内、互いに異なる支持ばねに形成されている分岐部先端同士が互い近接配置され、前記近接した分岐部先端の間に振動減衰部材が取り付けられていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】
対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、
前記支持ばねの内、トラッキング方向において異なる位置に配置された前記支持ばねから分岐した分岐部先端同士が互いに近接して配置され、前記先端間に振動減衰部材が保持されていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項3】
互いに近接している前記分岐部を有する前記支持ばねが、前記フォーカシング方向に僅かにオフセットして配置され、前記分岐部がオフセットした領域に前記振動減衰部材が保持されていることを特徴とする請求項2記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項4】
対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、
前記支持ばねの内、前記フォーカシング方向において異なる位置に配置された前記支持ばねから分岐した分岐部先端同士が互いに近接して配置され、前記先端間に振動減衰部材が保持されていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項5】
前記互いに近接している分岐部先端を有する前記支持ばねが、トラッキング方向に僅かにオフセットして配置され、このオフセットした領域に前記振動減衰部材が保持されていることを特徴とする請求項4記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項6】
対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置であって、
前記固定部が、前記可動部のタンジェンシャル方向両側に配置され、かつ、前記可動部は前記複数の支持ばねによって前記タンジェンシャル方向両側から支持されており、前記支持ばねの途中から分岐部がそれぞれ前記タンジェンシャル方向において前記可動部側に伸びるように構成され、前記可動部の前記タンジェンシャル方向における両側の分岐部先端同士が近接して配置され、先端部の間に振動減衰部材が保持されていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項7】
近接されて配置された前記分岐部先端の対向部には、互いに平行な平面が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項8】
前記支持ばねが、棒状支持ばねからなり、前記振動減衰部材が、粘弾性部材からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
光ディスクに対して照射光を発するレーザ光源と、照射光を前記対物レンズに導く照明光学系と、前記光ディスクからの反射光を受光する受光光学系と、請求項1〜8のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置とを備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項10】
光ディスクを回転駆動する回転駆動系と、前記光ディスクの半径方向に移動自在に設けられた請求項9記載の光ピックアップ装置と、を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
対物レンズと前記対物レンズを保持する対物レンズ保持部材とからなる可動部と、固定部と、前記可動部を前記固定部に対して少なくともフォーカシング方向に移動可能に支持している複数の棒状支持ばねからなる光ディスクの対物レンズ駆動装置の共振減衰方法であって、
互いに異なる前記棒状支持ばねに形成されている分岐部先端同士の間に設けられた振動減衰部材によってチルト方向の共振振幅を減衰させることを特徴とする対物レンズ駆動装置の共振減衰方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−42151(P2007−42151A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222035(P2005−222035)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】