説明

対象における自己免疫疾患の治療法及びinvitro診断アッセイ

【課題】対象における自己免疫疾患を治療する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、インターフェロンアンタゴニスト及びFlt3リガンド(Flt3L)アンタゴニストを投与することにより、対象における自己免疫疾患を治療する方法を提供する。本発明は、1種又は複数のインターフェロンアンタゴニスト、及び1種又は複数のFlt3Lアンタゴニストを含有する組成物、自己免疫疾患発症の対象リスクを決定するためのin vitroアッセイ、並びに特にこのアッセイで使用するためのキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全内容が本願明細書に参照として組入れられている、2001年1月9日に出願された米国特許出願第60/260,541号に優先して請求されるものである。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、自己免疫疾患の治療及び自己免疫疾患に関連した診断アッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
自己免疫疾患は、破綻しかつ無能になる疾患であり、かつ患者自身の免疫系が患者自身の体又は組織を攻撃することにより、それ自身に背く場合に引き起される。自己免疫疾患の一例は、全身紅斑性狼瘡(SLE)であり、これは多臓器の関与及び自己反応性T細胞及びB細胞の存在を含む免疫学的異常を特徴とする。ヌクレオソームに対する自己抗体は、SLEの顕著な特徴であるように思われ、かつこれは死滅しつつある(アポトーシス)細胞の不適切な操作が、SLE発症の重要な病因事象を示し得ることを示唆している。SLEは、免疫系の体液性及び細胞性経路(limb)の両方の調節不能から生じ、その最初の変化は、免疫エフェクター、すなわち樹状細胞(DC)を登録しかつ制御する細胞レベルでのことであることが示されている。
【0004】
樹状細胞(DC)は、T細胞媒介型免疫応答を誘起する特定化された抗原提示細胞である(Steinman, R. M.、Ann. Rev. Immunology、9:271-296(1991)、及びBanchereauら、Ann. Rev. Immuol.、18:767(2000))。DCは、免疫応答を誘導及び維持し、かつ死細胞を捕獲し、かつそれらの抗原をCD4+ T細胞に提示し、その後B細胞を含むそれらの免疫エフェクターを活性化することが示されている。骨髄のDC前駆体は、高い貪食能を伴う未熟細胞としてそれらが存在する組織に戻る循環血中前駆体を生じる。組織が損傷を受けた時点で、DCは抗原(Ag)を捕獲し、引き続きリンパ系器官へ移動し、そこでこれらは稀なAg-特異的T細胞を選択し、これにより免疫応答を開始する。DCは、抗原をCD4+ T細胞に提示し、これは次にCD8+ T細胞及びB細胞のような抗原-特異的なものに加え、マクロファージ、好酸球及びNK細胞のような非特異的なものを含む免疫エフェクターを調節する。DCは更に、B細胞を直接活性化し、かつそれらの形質細胞へのin vitroにおける分化を誘導することもできる。
【0005】
3種のDC前駆体("DCpre")サブセットが、血液を循環する:(1)CD14+ 単球、(2)CD11c+ 骨髄系DCpre、及び(3)CD11c- 形質細胞系(リンパ球系)DCpre。単球は、未熟DC又はマクロファージ(MΦ)の特徴を提示している細胞へ分化することができる。未熟DCは、CD4OL及び/又はLPSによる処理時、もしくはTNF、IL-1及びIL-6を含むサイトカインと共に培養された場合に、成熟DCとなる。CD11c+ 骨髄系DCpreは、局所的サイトカイン環境に応じて、間質DC(intDC)、ランゲルハンス細胞(LC)又はMΦを生じる。
【0006】
CD11c- IL-3Rα+リンパ球系DC前駆体は、インターフェロン-α(IFN-α)の主な給源である。高レベルのIFN-αは、狼瘡血清において認められることが多い(Kimら、Clin. Exp. Immunol.、70:562-269 (1987))。更に、IFN-α処置は、自己抗体の出現、最終的にはSLEを含む自己免疫疾患の発症を誘導することが多い(Ronnblumら、J. Intern. Med.、227:207-210 (1990))。抗-IFN-α抗体がSLE患者において報告されている(Suitら、Clin. Exp. Rheumatol.、1:133-135)。
【0007】
形質細胞系DCは、IFN-αを産生し、これは次に骨髄系DCの分化並びにB細胞の増殖及び活性化に影響を及ぼすことが報告されている。Spitsら(J Exp Med 、192(12):1775-84 (2000))及びBlomら(J Exp Med、192(12):1785-96 (2000))は、CD11c- 形質細胞系DCは、ヒトにおけるリンパ球系起源であることを報告している。Siegalら(Science、284:1835 (1999))は、リンパ球系DC(形質細胞系DC)は、失活した単純ヘルペスウイルスに曝露された場合に多量のIFN-αを産生することを報告している。Cellaら(Nature Medicine、5(8):868-70 (1999))は、リンパ球系DC(形質細胞系DC)は、インフルエンザウイルスに加え、CD40ライゲーションに反応して、大量のIFN-αを産生することを報告している。
【0008】
SLEにおける自己抗体(autoAb)は、3つの大きいカテゴリーに特徴付けることができる:(1)抗-核及び抗-二本鎖DNA抗体;(2)上皮細胞及び血小板の表面に対して示されたautoAb(抗-リン脂質/β2糖タンパク質);及び、(3)造血細胞の表面上の分子に対して示されたautoAb(例えば、Cabral及びAlarcon-Segoviaの論文の総説を参照のこと、Curr. Opin. Rheumatol.、10:409 (1998))。細胞及び/又は組織抗原-抗体相互作用により引き起された直接の損傷に加え、多くの疾患症状が、組織への免疫複合体の沈着による間接的損傷に起因している。この機序は、SLE、腎炎、関節炎、及び血管炎のいくつかの形に寄与することが示されている(Lahita, R.G.、Systemic Lupus Erythematosus、Academic Press社、(1999);Kammer, G.M.及びG.C. Tsokos.、Lupus、Humana Press社(1999))。Fc受容体("FcR")及びC3b-受容体("C3b-R")機能不全を含む免疫複合体クリアランスの欠損、更には補体タンパク質及びC-反応性タンパク質の遺伝的欠損(これらは全て、抗-DNA/ヌクレオソーム複合体の除去における本質的プレーヤーである)は、SLE発症に寄与し得る(Lahita, R.G.、Academic Press社、(1999);Kammer, G.M.及びG.C. Tsokos.、Humana Press社、(1999))。B細胞は、SLE病理発生において主要な役割を果たし、かつこれらは自己抗体産生及び高γグロブリン血症に寄与している。
【0009】
Hooksら(N. Engl. J. Med.、301:5 (1979))は、SLEを含む自己免疫疾患の患者における循環血中の免疫インターフェロンの存在を説明している。Kimらは、IFN-αレベルが、臨床活動度の指標と相関していることを明らかにしている。Prebleら(J. Exp. Med.、157:214 (1983))及びvon Wussowら(Arthritis Rheum.、32:914 (1989))は、IFN-αにより特異的に誘導される2種のタンパク質である、高レベルの2-5Aシンセターゼ及びMXタンパク質は、血清IFN-陽性及び血清IFN-陰性の両方のSLE患者の単核細胞中に認められることを明らかにしている。Vallinら(J. Immuunol.、163:6306 (1999))は、IFN-α誘導因子は、未熟DCを特徴とするリンパ球に作用することを明らかにしている。Batteuxら(Eur. Cytokine Netw.、10:509 (1999))は、SLE血清による IFN-α産生の誘導は、FcγRII(CD32)に左右されることを明らかにしている。
【0010】
ひとつのIFN-α療法の合併症は、自己免疫障害の誘導(症例の約4%〜19%)であり、最も一般的には、甲状腺機能障害である(Ehremsteinら、Arthritis Rheum.、36:279 (1993);Okanoueら、J. Hepatol.、25:283 (1996);Ronnblomら、Ann. Intern. Med.、115:178 (1991);Kalknerら、Qjm.、91:393 (1998))。実際に、Schillingら(Cancer、68:1536 (1991))は、IFN-α療法は、0.15%〜0.7%の頻度で、SLEも誘導することを明らかにしている。全ての症例は、抗-核抗体及び抗-DNA抗体の誘導又は力価の顕著な上昇に関連している。
【0011】
I型糖尿病は、IFN-αが重要な原因病理学的役割を果たす別の自己免疫疾患である。Foulisら(Lancet、2:1423 (1987))及びHuangら(Diabetes、44:658 (1995))は、膵島によるIFN-αの発現と、ヒトにおける自己免疫糖尿病の発症の間の強力な相関関係を明らかにしている。更にChakrabartiら(J. Immunol、157:522 (1996))は、トランスジェニックマウスモデルにおいて、膵ランゲルハンス島のB細胞によるIFN-αの発現が糖尿病を引き起すことを明らかにしている。加えて、Fabrisら(Lancet、340:548 (1992))及びGuerciら(Lancet、343:1167 (1994))は、IFN-α療法が、ヒトにおいてI型糖尿病を引き起し得ることを明らかにしている。
【0012】
FMS-様チロシンキナーゼ3("Flt3")は、KIT(c-kit RTK)、FMS (M-CSF RTK)及び血小板由来増殖因子(PDGF)受容体も含む多くのIII型チロシンキナーゼ受容体ファミリーである。各々、幹細胞因子及びM-CSF であるKIT受容体及びFMS受容体に関するリガンド同様、Flt3受容体は、Flt3-リガンド("Flt3L')と称されるコグネイト分子により活性化される。Flt3は、c-fms受容体及びc-kit受容体に関連したチロシンキナーゼ受容体の変形である(Rosnetら、Oncogene、6,1641-1650 (1991))。Flt3Lは、DCの拡張及び抗腫瘍免疫応答の成立を促進することが示されている造血性サイトカインである(米国特許第5,554,512号「Flt3受容体リガンド」参照)。Flt3Lは、前駆細胞及び幹細胞の増殖及び分化を調節することがわかっている(Blazarら、Biology of Blood and Marrow Transplantation、7:197-207 (2001)及び米国特許第5,843,423号参照)。単球細胞培養物のFlt3L処置は、絶対数(absolute number)の骨髄系-及びリンパ球系-関連DCにおける顕著な拡張並びにドナーの脾T細胞の割合の低下を招くことが示されている(Blazarら)。
【0013】
本出願において言及された刊行物(米国特許、公開されたPCT出願、科学分野の参考文献、書籍、マニュアルなどを含む)の全ての内容は、その全体が、本出願に参照として組入れられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の概要)
本発明は、有効量の(a)I型インターフェロンの活性を低下する少なくとも1種のインターフェロンアンタゴニスト、及び(b)Flt3Lの活性を低下する少なくとも1種のFlt3リガンド(Flt3L)アンタゴニストを対象へ投与し、これにより対象における単球の樹状細胞への分化を低下し、かつ自己免疫疾患を治療することを含む、対象の自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0015】
本発明は同じく、(a)I型インターフェロンの活性を低下する少なくとも1種のインターフェロンアンタゴニスト、及び(b)Flt3Lの活性を低下する少なくとも1種のFlt3リガンド(Flt3L)アンタゴニストを含有する、抗原提示が可能な樹状細胞への単球の分化を阻害する治療的組成物にも関する。このような組成物は、SLE、並びに糖尿病、関節炎、AIDS、乾癬及び甲状腺炎を含むがこれらに限定されるものではない他のIFN-α媒介型自己免疫疾患を含むが、これらに限定されるものではない自己免疫疾患の治療のための治療的組成物を構成している。
【0016】
本発明は同じく、(a)対象から血清試料を得ること;(b)血清試料中のIFN-α及びFlt3リガンド(Flt3L)を定量すること;並びに、(c)IFN-α及びFlt3Lの量を、自己免疫疾患を有する対象の血清中のIFN-α及びFlt3Lの量と比較し、これにより対象の自己免疫疾患発症のリスクを決定することを含む、自己免疫疾患を発症する対象のリスクを決定するためのin vitroアッセイにも関連している。
【0017】
本発明は更に、対象の生物試料中のFlt3L及びIFN-αを検出するのに有効なFlt3L及びIFN-αに特異的に結合する組成物をある量含む、対象の自己免疫疾患発症リスクを決定する又は対象における自己免疫疾患の状態を経過観察するためのためのキットにも関する。このキットは、(a)Flt3Lに結合するモノクローナル抗体及び(b)IFN-αに結合するモノクローナル抗体を含有する組成物を含む。更に、この組成物は検出可能である。このキットは、1種又は複数の試料に結合した組成物の量を検出するための1種又は複数の試薬を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、リンパ球系(形質細胞系)DC及び/又はそれらの産物、例えばI型インターフェロン、並びに骨髄系DCの分化の間の関係を示している、SLEにおける樹状細胞サブセット間の相互作用の概略図である。骨髄系DCの分化は、抗原提示のカスケードを開始し、これはSLE病理発生に寄与する自己反応性T細胞及びB細胞の分化につながる。
【図2】図2A-2Eは、SLE患者血清と共に培養した場合には、クラスター化され、かつ樹状細胞形態を獲得しているが、自家(AS)血清と共に培養した場合にはそうではない、正常ドナーから精製された単球を示している写真図である。単球は、AS血清(図2C)又はSLE血清(図2A-2B)と共に培養する。図2Dは、SLE血清により誘導されたベール状(veiled)細胞のクラスターを描いている。図2Eにおいて、SLE血清と共に24時間培養したサイトスピン処理した単球のギムザ染色が、典型的成熟DCの形態を伴う細胞を明らかにしている("SLE-DC" = SLE血清が誘導したDC)。
【図3】図3は、成熟DCの表現型を獲得するSLE血清と共に培養した単球のフローサイトメトリー分析の結果を示す図である。各グラフは、各グラフの下に列記された細胞表面マーカーに対して特異的である標識抗体の検出の増大を示している。SLE血清と共に培養した単球(下側パネル)は、CD14発現をダウンレギュレーションし、HLA-DR並びに共刺激因子分子、例えばCD86、CD80、及びCD4Oなどの発現をアップレギュレーションし、かつ成熟DCのマーカーであるCD83の発現を獲得したが、自家血清(上側パネル)と共に培養されたものはそうではなかった。横軸は、イソタイプ対照(点線)及び特異的抗体(実線)に関する蛍光強度を対数スケールで表わしている。縦軸は、相対細胞頻度を表わしている。
【図4】図4A-4Eは、SLE血清捕獲可溶性抗原と共に培養した単球を示すフローサイトメトリー結果を図示している。濃厚化した単球は、SLE血清と共に培養する(図4D及び4E)(SLE1及びSLE2は、2名の異なるSLE患者の血清を意味する)か、又はAS血清(図4C)と共に培養し、かつそれらのエンドサイトーシス活性は、及び4℃(細線)及び37℃(太線)で、FITC-デキストラン(FITC-DX)取込みを用いて決定した。GM-CSF及びIFN-α("GM-IFNα")と共に培養した単球(図4B)に加え、GM-CSF及びIL-4("GM/IL4")と共に培養したもの(図4A)(これはin vitro DC培養の標準である)は、同等のレベルのFITC-DX取込みを示している。AS血清と共に培養した単球は、FITC-DXを取込まない。
【図5】図5は、SLE血清と共に培養した単球は、同種異系のナイーブCD4+ T細胞の増殖を誘導するが、AS血清と共に培養したものは誘導しないことを示すヒストグラムである。GM/IFNα、GM/IL4、SLE1、SLE2及びAS血清と共に培養した単球を洗浄し、かつ漸増用量(1000個細胞及び5000個細胞)で、1x105個のナイーブCD4+CD45RA+同種異系のTリンパ球と共に5日間培養した。T細胞増殖は、チミジン取込みにより決定した(cpm x 103、縦軸)。
【図6】図6は、AS血清中において培養されたSLE-DC又はDCのいずれかにより誘導されたT細胞により産生されたT細胞サイトカインのレベルの図である。サイトカイン放出は、ELISAアッセイによりアッセイし、かつIL-10及びIFN-γは、縦軸にpg x 103/mLで示した。
【図7】図7A、7B及び7Cは、SLE-DCによる自家アポトーシス細胞の捕獲を描く写真である。一晩ギムサ染色したサイトスピン処理した単球を、SLE血清(図7A及び7B)及びAS血清(図7C)と共に培養する。矢印は、SLE血清と一緒の培養における細胞断片の捕獲を示す。
【図8A】図8A及び8Bは、同種異系のアポトーシス細胞の捕獲及び自家CD4+ T細胞に対するそれらの抗原の提示を示す図である。図8Aは、7AADレベルの増加により示されるSLE-DCは、DNAを含むアポトーシスボディを捕獲することを示しているフローサイトメトリー結果を描いている。負荷されたDCを、自家CD4+ T細胞増殖の刺激因子として使用した(チミジン取込みにより測定、縦軸)(図8B)。
【図8B】図8A及び8Bは、同種異系のアポトーシス細胞の捕獲及び自家CD4+ T細胞に対するそれらの抗原の提示を示す図である。図8Aは、7AADレベルの増加により示されるSLE-DCは、DNAを含むアポトーシスボディを捕獲することを示しているフローサイトメトリー結果を描いている。負荷されたDCを、自家CD4+ T細胞増殖の刺激因子として使用した(チミジン取込みにより測定、縦軸)(図8B)。
【図9A】図9A-9Bは、SLE-DC活性を誘導するIFN-αに対するSLE疾患活動性の関係を示す図である。図9Aは、誘導活性とSLEDAIの間の相関関係を示している。図9Bは、誘導能と血清中のIFN-αレベルの相関関係を示している。各グラフ上の各点は、患者から採取した血清を示している。
【図9B】図9A-9Bは、SLE-DC活性を誘導するIFN-αに対するSLE疾患活動性の関係を示す図である。図9Aは、誘導活性とSLEDAIの間の相関関係を示している。図9Bは、誘導能と血清中のIFN-αレベルの相関関係を示している。各グラフ上の各点は、患者から採取した血清を示している。
【図10】図10は、SLE患者から得た血清中のIFN-αのブロックを示す図である。抗原提示細胞は、グラフ上に示されたような、イソタイプ対照又は抗体中和するIFN-αを添加又は非添加のSLE血清により作成される。これらの細胞は、洗浄し、かつ精製した同種異系のCD4+ T細胞(1x105)と共に、5日間、指示した用量で、刺激細胞として培養した。T細胞増殖は、チミジン取込みにより決定した(cpmx103、縦軸)。
【図11】図11は、SLE患者が、IFN-αの高い血清レベルを有することを示している。血清試料は、45名のSLE患者及び28名の正常患者から採取した。
【図12】図12は、SLE患者からの末梢血単核細胞(PBMC)は、in vitroにおいてウイルスの引き金に反応し、IFN-αを分泌することを示す図である。総PBMCは、インフルエンザウイルス(10μg/mL)を伴う又は伴わない96-ウェルプレートにおいて培養した。上清を、24時間培養後収集し、かつELISAによりIFN-α放出についてアッセイした。"All-"は、ウイルスを伴わない対照培養物のレベルを示す。"+"は、ウイルスを伴う培養物を示す。"ND"は、正常ドナーを示す。
【図13A】図13A及び13Bは、IFN-αが、in vitroにおいて単球上でBAFF/Blys(TNFファミリーのB細胞活性化因子)/Blys(Bリンパ球刺激因子)の発現及びPBMC上でBCMA(B細胞成熟化抗原)の発現を誘導することを示す図である。図13Aは、示された条件(IFN-α U/mL)下で、72時間培養した単球におけるBAFF発現(ng/ng 18SリボソームRNA)を示している。NIは、同一ドナー由来の対照の培養されていない単球を意味する。図13Bは、未培養(NI)又は示された時間の1000 U/mL IFN-αと共に培養されたPBMCにおける相対BCMA発現(ng/ng18S)を示している。相対RNA発現は、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System (ABI社)を用い、リアルタイムPCRにより評価した。参照(18SリボソームRNA)に対する標的発現(BAFF又はBCMA)の比は、正規化された発現レベルを示す。
【図13B】図13A及び13Bは、IFN-αが、in vitroにおいて単球上でBAFF/Blys(TNFファミリーのB細胞活性化因子)/Blys(Bリンパ球刺激因子)の発現及びPBMC上でBCMA(B細胞成熟化抗原)の発現を誘導することを示す図である。図13Aは、示された条件(IFN-α U/mL)下で、72時間培養した単球におけるBAFF発現(ng/ng 18SリボソームRNA)を示している。NIは、同一ドナー由来の対照の培養されていない単球を意味する。図13Bは、未培養(NI)又は示された時間の1000 U/mL IFN-αと共に培養されたPBMCにおける相対BCMA発現(ng/ng18S)を示している。相対RNA発現は、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System (ABI社)を用い、リアルタイムPCRにより評価した。参照(18SリボソームRNA)に対する標的発現(BAFF又はBCMA)の比は、正規化された発現レベルを示す。
【図14A】図14A-14Cは、形質細胞系DC(pDC)によるIFN-α分泌のTNF調節を示す図である。図14Aは、内在性TNFの中和が、CD123+ pDCにより持続型IFN-α放出を生じることを示している。縦軸は、示された条件下で生じた培養上清のIFN-αレベル(ng/mL)を示す。図14B-14Cは、TNFのpDCへの添加が、ウイルスが誘導したIFN-α放出を阻害することを示している。図14Bは、縦軸上に、培養上清へ分泌されたIFN-αの阻害の割合(%)を示す。図14Cは、縦軸上に、培養上清のIFN-αレベル(ng/mL)を示す。
【図14B】図14A-14Cは、形質細胞系DC(pDC)によるIFN-α分泌のTNF調節を示す図である。図14Aは、内在性TNFの中和が、CD123+ pDCにより持続型IFN-α放出を生じることを示している。縦軸は、示された条件下で生じた培養上清のIFN-αレベル(ng/mL)を示す。図14B-14Cは、TNFのpDCへの添加が、ウイルスが誘導したIFN-α放出を阻害することを示している。図14Bは、縦軸上に、培養上清へ分泌されたIFN-αの阻害の割合(%)を示す。図14Cは、縦軸上に、培養上清のIFN-αレベル(ng/mL)を示す。
【図14C】図14A-14Cは、形質細胞系DC(pDC)によるIFN-α分泌のTNF調節を示す図である。図14Aは、内在性TNFの中和が、CD123+ pDCにより持続型IFN-α放出を生じることを示している。縦軸は、示された条件下で生じた培養上清のIFN-αレベル(ng/mL)を示す。図14B-14Cは、TNFのpDCへの添加が、ウイルスが誘導したIFN-α放出を阻害することを示している。図14Bは、縦軸上に、培養上清へ分泌されたIFN-αの阻害の割合(%)を示す。図14Cは、縦軸上に、培養上清のIFN-αレベル(ng/mL)を示す。
【図15】図15は、TNFは、骨髄系DCを選択し、形質細胞系DCの分化をブロックすることを示しているフローサイトメトリー実験の図である。この図は、CD34+造血前駆細胞からのpDC産生のTNF阻害を描いている。CD34+CD45RA-造血前駆細胞は、Flt3L(100ng/mL)、TPO(30ng/mL)及び培養第一週のIL-6(25ng/mL)又はTNF 100ng/mLのいずれかの存在下で培養した。その後、これらの細胞は洗浄し、かつ更にFlt3Lのみ(100ng/mL)で3週間培養した。pDC分化は、CD11cネガティブCD123ポジティブ染色により同定される、細胞表面マーカー発現のフローサイトメトリー分析により決定した。
【図16】図16は、インターフェロンアンタゴニストとして機能する外因性TNFにより阻害され得る形質細胞系DC個体発生の経路を示す概略図である。
【図17】図17は、SLE患者の血清中の増大したレベルのFlt3L(pg/mL)を示す概略図である。
【図18】図18は、SLE患者の血清レベルのFlt3LとSLEDAIにより測定した疾患活動性の相関関係を示す図である。統計学的有意性は、線形回帰及びピアソン解析により決定した。
【図19】図19A-19Dは、Flt3Lを補充した培地で培養した単球の、DC形態を伴う細胞への分化を示す写真である。
【図20】図20は、Flt3L(100ng/mL)を補充した培地で培養した単球が、ナイーブCD4+ T細胞をプライミングすることができることを示す図である。
【図21】図21は、Flt3L及びIFN-αの活性のブロックにより変更することができるDCサブセットの発生及び分化におけるいくつかの経路を示す概略図である。
【図22】図22は、SLEにおけるサイトカインとDCの間の相互作用を示し、かつ本発明の治療的組成物のために意図されているサイトカイン及び/又は細胞標的を確定している図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本発明は、(a)I型インターフェロンの活性を低下する1種又は複数のインターフェロンアンタゴニスト、及び(b)Flt3Lの活性を低下する1種又は複数のFlt3リガンド(Flt3L)アンタゴニストの有効量を対象へ投与し、これにより対象における単球の樹状細胞への分化を低下し、かつ自己免疫疾患を治療することを含む、対象の自己免疫疾患を治療する方法が示されている。加えて本発明は、抗原提示が可能である樹状細胞(DC)への単球分化を阻害するのに有用な組成物であり、(a)インターフェロン活性を低下する少なくとも1種のインターフェロンアンタゴニスト、及び(b)Flt3リガンドの活性を低下する少なくとも1種のFlt3リガンドアンタゴニストを含有する組成物を提供する。例えば、この組成物のひとつの成分は、I型インターフェロン(例えばIFN-α)とその受容体の間の結合又は相互作用を低下又は阻害するアンタゴニストであることができる。この組成物は、Flt3L及びその受容体の間の結合又は相互作用を低下又は阻害するアンタゴニストも含有する。
【0020】
本願明細書において使用される「SLE-DC」は、単球を、SLE患者から得た血清(「SLE血清」)と共に培養することにより得られた樹状細胞を意味する。
本願明細書において使用される「インターフェロンアンタゴニスト」は、対象の細胞又はin vitro細胞におけるI型インターフェロンの活性又は機能を低下することが可能である、抗体、抗体の抗原結合性フラグメント、ポリペプチド、ペプチド擬態、ポリペプチドをコードしている核酸、有機分子又はそれらのいずれかの組合せを包含している。
【0021】
本願明細書において使用される「ポリペプチド」は、機能には関係なく、あらゆる長さのペプチド及びタンパク質を包含している。
本願明細書において使用される「I型インターフェロン」は、IFN-α、IFN-β、IFN-varpi、及びIFN-tauを含む。Oritaniらの論文(Cytokine Growth Factor Rev.、12(4):337-48 (2001))は、その他のI型インターフェロンの例の説明を提供している。
【0022】
インターフェロンアンタゴニストは、I型インターフェロン(例えばIFN-α)とその受容体の間の相互作用を妨害し、これは抗原提示細胞となるDCへの単球の分化を低下することにより、抗原提示細胞産生の減少を生じる。抗原提示細胞産生の低下は、1種又は複数の異なる機序により実現することができるが、これが生じる正確な機序は本発明にとっては重要ではない。例えば、TNF及び/又はアンタゴニスト性抗-TNF受容体抗体は、pDCのI型IFN非産生細胞への分化を促進することにより、I型インターフェロン分泌を低下することができる。
【0023】
化合物が、本発明において有用なインターフェロンアンタゴニストであるかどうかの確定を行うことができるアッセイは数多くある。これらのアッセイは、当業者に公知である。ひとつのアッセイは、試験される化合物が、DCへの単球分化に適した条件下で単球培養物に添加される、樹状細胞分化アッセイである。これらの条件は、SLE血清又はインターフェロンのいずれかを添加し、単球にDCへの分化を誘導させることを含む。従って化合物が、該化合物が添加されていない培養物中の単球の分化と比べて、インターフェロン及び/又はSLE血清が起動した単球のDCへの分化の阻害を引き起す場合は、結果的にこの化合物は、インターフェロンアンタゴニストである。
【0024】
別のインターフェロンアンタゴニストである化合物を同定するアッセイは、標識されたインターフェロンの細胞上の受容体への結合の阻害を測定する結合アッセイである。化合物が、インターフェロンのその受容体への又はインターフェロン受容体を有する細胞への結合を阻害することができるならば、この化合物は、インターフェロンアンタゴニストである。
【0025】
加えて、化合物がインターフェロンアンタゴニストであるかどうかを決定するアッセイは、例えばウイルスのような、通常インターフェロンの産生及び/又は分泌を誘導する引き金に反応して細胞により産生されたインターフェロンの阻害を測定するアッセイである。従って化合物及び引き金(例えば、ウイルス)の存在下で、通常インターフェロンを産生する細胞が、インターフェロンを産生しないか、又は低下したレベルでインターフェロンを産生する場合は、結果的にこの化合物はインターフェロンインヒビターである。
【0026】
化合物がインターフェロンアンタゴニストであるかどうかを決定する別のアッセイは、腫瘍細胞生存アッセイである。インターフェロンは、直接の増殖阻害及び/又は腫瘍細胞死の誘導による抗-腫瘍活性を有する。このようなインターフェロンに易感受性である腫瘍細胞の例は、黒色腫細胞株を含む。この腫瘍細胞生存アッセイは、インターフェロン及びインターフェロンアンタゴニストの存在下で培養されている、そうでなければ易感受性の黒色腫細胞の生存を測定する。従って、試験される化合物が含まれない同一の培養物と比べ、腫瘍細胞が試験される化合物を含む培養物中で生存している場合は、結果的にこの化合物はインターフェロンアンタゴニストである。
【0027】
別の化合物がインターフェロンアンタゴニストであるかどうかを同定するアッセイは、例えば、MXAタンパク質を含むインターフェロン-誘導可能なタンパク質及びインターフェロン制御因子の(タンパク質及び/又はRNAレベルでの)発現を定量するアッセイである。従って、試験される化合物は、培養物へ添加され、かつ特定化されたインターフェロン-誘導可能なタンパク質のタンパク質レベル及びRNAレベルが測定される。この化合物の添加が、タンパク質及び/又はmRNA発現のレベルを低下する場合は、結果的にこの化合物は、インターフェロンアンタゴニストである。
【0028】
別の化合物がインターフェロンアンタゴニストであるかどうかを決定するアッセイは、in vitro防御アッセイである。通常インターフェロンの細胞培養物への添加は、その細胞を、細胞培養物へ導入されたウイルスの細胞溶解活性から保護し、その結果その培養物中の細胞の生存を延長する。従ってインターフェロンアンタゴニストの添加は、防御を廃絶し、かつ細胞生存は延長されないであろう。
その結果、インターフェロンの抗-ウイルス活性の阻害が測定される場合は、結果的にこの化合物はインターフェロンアンタゴニストである。この阻害測定は、ウイルスに易感受性の細胞の死滅を決定することを基礎としている。
【0029】
インターフェロンアンタゴニストの例は、IFN-αに特異的に結合するモノクローナル抗体を含むが、これらに限定されるものではない。別のインターフェロンアンタゴニストの例は、可溶性IFN-α受容体である。この可溶性受容体は、循環血中I型インターフェロンへの結合に有用であり、従ってこれがその天然の受容体と結合すること及びDCへの単球分化の進行を引き起すことを防ぐ。別の本発明の態様において、インターフェロンアンタゴニストは、IFN-α受容体へ結合するが、このような結合のダウンストリーム作用は引き起さないような有機分子、すなわち非-機能的受容体リガンド擬態であることができる。このような有機分子は、受容体活性化を引き起すことなく、この受容体のIFN-α結合ポケットに特異的に結合することができ、その結果そのように結合することができるIFN-αと置き換わり、これにより受容体を無効とする。更なる本発明の態様において、インターフェロンアンタゴニストは、インターフェロン又はFlt3L又は両方と特異的に結合するモノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。
更に別の本発明の態様において、インターフェロンアンタゴニストは融合ペプチドである。
【0030】
本発明において有用なインターフェロンアンタゴニストは、多くの異なる機序によりI型インターフェロンの活性を低下することができ、かつ本発明はいずれか特定の機序に左右されるものではない。本発明のインターフェロンアンタゴニストは、低下したin vivo活性を有するか又は有さないような修飾されたIFN-αを含むが、これらに限定されるものではない。I型インターフェロンによる抗原提示細胞の作成の破壊に関して、このインターフェロンアンタゴニストは、インターフェロンのシグナル伝達経路における多くの異なる接点において、I型インターフェロン活性に作用することができる。いくつかの例において、このアンタゴニストは、インターフェロンタンパク質それ自身の活性をブロックし;I型インターフェロン受容体の活性をブロックし;インターフェロンの受容体への結合を阻害し;I型インターフェロンのシグナル伝達及び/又は情報伝達をブロックし;通常I型インターフェロンを産生する細胞からのそれの放出をブロックし;通常I型インターフェロンを産生する細胞の生成をブロックし;かつ、通常I型インターフェロンを分泌する細胞からのそれの分泌をブロックすることができる。
通常インターフェロンを産生する細胞の分化又は生成の阻害は、TNF及び/又はアゴニスト性抗-TNF受容体(複数)抗体及び/又は細胞へのTNF-様シグナル伝達を提供する分子投与から生じることができる。この種の化合物は、本発明により提供されたインターフェロンアンタゴニストの例である。加えて、抗原提示細胞の分化及び増殖に必要な I型インターフェロン補因子の失活は、別の本発明のインターフェロンアンタゴニストの可能性のある機序である。
【0031】
本願明細書において使用される「Flt3Lアンタゴニスト」は、Flt3L活性を低下することが可能である、抗体、抗体の抗原結合性フラグメント、ポリペプチド、ペプチド擬態、ポリペプチドをコードしている核酸、有機分子又はそれらのいずれかの組合せを包含している。例えば、Flt3Lアンタゴニストは、前駆細胞の樹状細胞への分化を阻害するように、Flt3リガンド("Flt3L")とその受容体の間の相互作用を妨害することができる。抗原提示細胞の生成の低下は、1種又は複数の異なる機序により実現することができる。例えば、Flt3Lは、衰えないDC活性化に寄与することができ、これは次にSLEにおける自己-抗原提示を起動することができ、従ってFlt3Lは治療的介入の標的である。Flt3Lは恐らく、自己免疫疾患の治療に有用なFlt3L機能のアンタゴニストを作成するSLE自己免疫疾患の発症又は持続において役割を果たしているであろう。
【0032】
ある態様において、治療的有効量のインターフェロンアンタゴニストを確定するアッセイは、in vitroにおける治療を受ける対象から採取した血清へのインターフェロン受容体の結合の低下に必要なインターフェロンアンタゴニスト量を決定することである。この例において、50%のin vitro結合の低下に必要な濃度は、in vivoにおいて治療効果があるであろう。Flt3Lに関する同様のアッセイを実行し、特定の対象又は患者についてのFlt3Lアンタゴニストの有効量を決定することができる。
【0033】
化合物が、本発明において有用なFlt3Lアンタゴニストであることを同定するために行うことができるアッセイは数多く存在する。ひとつのアッセイは、試験される化合物を、DCへの単球分化に適した条件下で、単球の培養物に添加する樹状細胞分化アッセイである。この条件は、単球のDCへの分化を誘導するための、単球培養物へのFlt3Lの添加を含む。従って、この化合物が、該化合物が添加されない単球培養物と比較して、DCへの単球分化の少なくとも50%の阻害を引き起す場合、この化合物はFlt3Lアンタゴニストである。
【0034】
化合物がFlt3Lアンタゴニストであるかどうかを決定する別のアッセイは、標識されたFlt3Lのその受容体への結合の阻害を決定するアッセイである。このアッセイにおいて、検出可能な標識物はFlt3Lへ付着され、かつこの標識されたFlt3Lは、該化合物の存在下及び非存在下でその受容体へ結合することができる。この化合物の存在がFlt3Lの受容体への結合の減少を生じる場合、結果的にこの化合物はFlt3Lアンタゴニストである。
【0035】
化合物がFlt3Lアンタゴニストであるかどうかを決定するのに有用な別のアッセイは、in vitro増殖アッセイである。ヒト造血前駆細胞は、それらの分化及び/又は増殖を誘導するために、Flt3Lと共に培養される。試験される化合物は、一部の培養物に添加され、かつ他のものは化合物を含まない。この化合物を伴う培養物と伴わない培養物の間で比較を行い、増殖及び分化の量を決定する。ヒト造血前駆細胞のFlt3Lで起動された増殖及び/又は分化の阻害が存在するならば、結果的にこの化合物はFlt3Lアンタゴニストである。
【0036】
化合物がFlt3Lアンタゴニストであるかどうかを決定するのに有用な別のアッセイは、in vitro増殖アッセイである。ヒト因子(human factor)-依存型B細胞株は、培養物にこの化合物を添加又は非添加し、培養される。このような細胞株の例は、Flt3を発現するように操作された細胞株である。添加された化合物を伴う培養物が、ヒト因子-依存型B細胞株のFlt3L起動した増殖の少なくとも50%阻害を示す場合は、結果的にこの化合物はFlt3Lアンタゴニストである。
【0037】
試験される化合物がFlt3Lアンタゴニストであるかどうかを決定するのに有用な別のアッセイは、in vivoアッセイである。マウスにFlt3Lが投与され、かつ樹状細胞を含むそれらの造血細胞がin vivoにおいて増大される。これらのマウスは、試験される化合物が投与されるか又は投与されないかのいずれかであり、かつマウスの造血細胞のレベルが測定される。従ってマウスにおけるin vivoの樹状細胞を含む造血細胞のFlt3L-媒介型の増大の阻害は、この化合物がFlt3Lアンタゴニストであることを示している。
【0038】
Flt3Lアンタゴニストの一例は、Flt3Lに特異的に結合するモノクローナル抗体である。Flt3Lアンタゴニストの別の例は、可溶性Flt3L受容体である。この可溶性受容体は、Flt3Lがその天然の受容体と結合し、かつDCへの単球分化の進行を引き起すのを防ぐために、循環血中Flt3Lに結合するのに有用である。本発明のひとつの態様において、Flt3Lアンタゴニストは、Flt3L受容体に結合するが、このような結合のダウンストリーム作用を引き起さない有機分子、すなわち、受容体リガンド擬態であることができる。このような有機分子は、この受容体のFlt3L結合ポケットに特異的に結合し、さもなければそのように結合しているFlt3Lと置き換わる。本発明のFlt3Lアンタゴニストは、前述のモノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチド、又はそれらの融合ペプチドも含む。
【0039】
本願明細書において使用される用語「ヒトモノクローナル抗体」(HuMAb)は、ヒトB細胞から得られるHuMAb(例えば、この抗体は、不死化及び/もしくは活性化されたヒトB細胞を培養することにより、又はこのようなHuMAbをコードしているヒトB細胞cDNAから組換え的に調製され、並びにこの抗体は、その生物学的活性を変更することができる分子、例えば、受容体又はリガンド、酵素、毒素、担体などに結合されるかのいずれかである)、並びにあるイソタイプの本発明のHuMAb(例えば、IgG4)の可変部分の、別のイソタイプのヒト抗体(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgM又はIgE)の定常領域との再結合により作出された抗体を意味する。これらのHuMAbを作成する組換え法は、当該技術分野において公知である(米国特許第5,959,085号参照)。
【0040】
インターフェロンアンタゴニスト及びFlt3Lアンタゴニストの組合せの使用は、DC形成を低下するために非常に少ない数の各分子を使用する利点を達成することができる。このような相乗作用は、本発明の方法及び組成物において各アンタゴニストの治療的有効量の減少を可能にする点が有利である。
【0041】
本発明のひとつの態様において、インターフェロンアンタゴニストもしくはFlt3Lアンタゴニストのいずれか又は両方は、ポリペプチドであることができる。
このポリペプチドは、ペプチド擬態、合成ポリペプチド、天然ポリペプチドの誘導体、修飾されたポリペプチド、標識されたポリペプチド、又は非天然のペプチドを含むポリペプチドであることができる。このポリペプチドは、天然には認められない手掌性を有する、すなわちD-アミノ酸又はL-アミノ酸である、全体的又は部分的に非天然のポリペプチドであることができる。このようなペプチドにおける非天然の連結の使用は、半減期を延長し、かつこのペプチドを天然の酵素による分解から保護する。
【0042】
別の本発明の態様において、自己免疫疾患は、後天性免疫不全症候群(AIDS)、強直性脊椎炎、関節炎、再生不良性貧血、ベーチェット病、糖尿病、移植片対宿主病、グレーブス病、溶血性貧血、低γグロブリン血症、高IgE症候群、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、乾癬、狼瘡及びそれらのいずれかの組合せからなる群より選択される。
【0043】
糖尿病は、真性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、若年型糖尿病又はそれらのいずれかの組合せであることができるが、これらに限定されるものではない。関節炎は、リウマチ性関節炎、若年型リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎又はそれらのいずれかの組合せであることができるが、これらに限定されるものではない。
狼瘡は、全身紅斑性狼瘡(SLE)又は薬剤誘発性狼瘡である。
【0044】
本発明の態様において、対象は哺乳類である。この哺乳類は、ヒト又は霊長類であることができる。対象は、ヒト患者であるか、又はヒト免疫疾患の症状を示し従ってヒト疾患の動物モデル、例えばマウスのトランスジェニック疾患モデル又は霊長類疾患モデル又はヒト免疫系で再構成されたSCIDマウスにおいて確立されたヒト疾患モデルである動物であることができる。この哺乳類は、ヒト、霊長類、ラット、イヌ、ネコ、ブタであることができるが、これらに限定されるものではない。本発明の別の局面において、対象は、マウス対象、ウシ対象、霊長類対象、ウマ対象、ブタ対象、又はイヌ対象である。本発明の別の局面において、この対象はSLEに罹患している。
【0045】
本発明のひとつの態様において、インターフェロンアンタゴニストは、抗-IFN-α抗体又はそれらの抗原結合性フラグメントを含む。別の本発明の態様において、インターフェロンアンタゴニストはTNFである。更に本発明の別の態様において、Flt3Lアンタゴニストは、抗-Flt3L抗体又はそれらの抗原結合性フラグメントである。
ある本発明の態様において、本組成物の構成要素であることができる抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、抗-イディオタイプ抗体、ヒト化された抗体、霊長類化された抗体及びそれらの組合せである。
【0046】
別の本発明の態様において、インターフェロンアンタゴニスト及びFlt3Lアンタゴニストは、ひとつの分子の一部である。本発明のある態様において、インターフェロンアンタゴニストの有効量は、対象の血清中のインターフェロン量よりも約1〜約10倍モル過剰の範囲である。本発明の別の局面において、Flt3Lアンタゴニストの有効量は、対象の血清中のFlt3Lの量よりも約1〜約10倍モル過剰の範囲である。
【0047】
本発明の方法は、組成物を対象へ投与することを含み、ここでこの組成物は、抗原提示活性を有するDCへの骨髄系DC成熟のIFN-αによる誘導を阻害する。本組成物の投与は、静脈内、硬膜下注射、経口、局所的、経皮膚、皮下、非経口又はエアゾールによることができる。本発明の組成物の対象への投与は、病巣内、腹腔内、筋肉内又は静脈内注射;点滴;リポソーム媒介型送達;又は、局所的、点鼻、経口、眼内又は耳内送達を包含している。更なる態様において、投与は、気管支内投与、直腸内又は鞘内投与を含む。本発明の組成物は、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年(例えば持続放出型において)に送達されるか、もしくは一回送達として送達される。この送達は、例えば静脈内送達のように、一定期間の連続送達であることができる。送達の好ましい経路及び時期を、当業者は容易に決定することができる。
【0048】
本発明のひとつの態様において、インターフェロンアンタゴニストは、I型インターフェロンのその受容体への結合を低下する。別の態様において、インターフェロンアンタゴニストは、対象の細胞上の受容体へのインターフェロン結合後のシグナル伝達を妨害する。別の態様において、インターフェロンアンタゴニストは、対象内の細胞によるインターフェロンの産生を低下する。別の態様において、インターフェロンアンタゴニストは、対象の細胞によるインターフェロン分泌を低下する。更に別の態様において、インターフェロンアンタゴニストは、対象におけるインターフェロンの生体利用性を低下する。更なる態様において、インターフェロンアンタゴニストはTNFである。
別の本発明の態様において、この組成物は更に担体を含む。別の本発明の態様において、担体は、水性担体、リポソーム、又は脂質担体を含む。
【0049】
本発明の組成物を構成している化合物は、少なくとも部分的に非天然であるペプチド擬態化合物(複数)であることができる。このペプチド擬態化合物は、Flt3LもしくはFlt3L受容体又はI型インターフェロンもしくはI型インターフェロン受容体のアミノ酸配列の一部の小分子擬態であることができる。この化合物は、擬態のために、増大した安定性、効能、効力及び生体利用性を有する。更に、この化合物は減少した毒性を有することができる。ペプチド擬態化合物は、増強された小腸粘膜透過性を有することができる。この化合物は、合成により調製することができる。本発明の化合物は、L-、D-又は非天然のアミノ酸、α、α-二置換されたアミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸(アラニンの等電点アナログ)を含むことができる。この化合物のペプチド骨格は、PSI-[CH=CH]で置き換えられた少なくとも1個の結合を有することができる。この化合物は更に、トリフルオロチロシン、p-Cl-フェニルアラニン、p-Br-フェニルアラニン、ポリ-L-プロパルギルグリシン、ポリ-D,L-アリルグリシン、又はポリ-L-アリルグリシンを含む。
【0050】
本発明のひとつの態様は、ペプチド擬態化合物であり、ここでこの化合物は、適当な擬態で交換された結合、ペプチド骨格またはアミノ酸成分を有する。アミノ酸擬態に適している非天然のアミノ酸の例は、β-アラニン、L-α-アミノ酪酸、L-γ-アミノ酪酸、L-α-アミノイソ酪酸、L-ε-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、システイン(アセトアミドメチル)、N-ε-Boc-N-α-CBZ-L-リシン、N-ε-Boc-N-α-Fmoc-L-リシン、L-メチオニンスルホン、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、N-α-Boc-N-δCBZ-L-オルニチン、N-δ-Boc-N-α-CBZ-L-オルニチン、Boc-p-ニトロ-L-フェニルアラニン、Boc-ヒドロキシプロリン、Boc-L-チオプロリンがある。
【0051】
ある態様において、この化合物は、遊離アミノ基が誘導体化により失活されているペプチドである。例えば、このペプチドは、アリール誘導体、アルキル誘導体または無水物誘導体であることができる。このペプチドは、アセチル化することができる。ペプチドは、その正味電荷を中和するように誘導体化される。
【0052】
本発明の組成物のひとつの態様は、I型インターフェロンまたはFlt3LのいずれかをコードしているmRNAを切断することが可能であるリボザイムである。Cechらの米国特許第4,987,071号;Altmanらの米国特許第5,168,053号;Haseloffetらの米国特許第5,254,678号、Hampelらの公開された欧州特許出願である欧州特許第360,257号を参照のこと。ひとつの態様において本発明の治療的組成物は、組換え体であり並びにI型インターフェロンmRNA及び/又はFlt3L mRNAを切断するように操作されているリボザイムである。本発明の別の局面において、この組成物は、IFN-αをコードしているmRNA及びFlt3LをコードしているmRNAの両方を切断することが可能なリボザイムである組換えられた核酸を含むことができる。加えて、本発明は、Flt3L又はI型インターフェロンのいずれかをコードしているmRNAに結合し、かつこのようなmRNAのタンパク質への翻訳を阻害することが可能であるアンチセンス核酸を提供する。
【0053】
本発明は、樹状細胞が、SLE及び他の自己免疫疾患の原因病理の重要な因子であること、及び、樹状細胞及び/又はそれらの産物がそれ自体SLE及び他の自己免疫疾患の治療にとって重要な標的であることを提供する。自己免疫疾患の例として、SLEは、リンパ球系DCが、IFN-αを含む大量のサイトカインを放出し、これが引き続き骨髄系DCを活性化し、自己免疫反応の引き金を引きかつ持続するような疾患である。このDCサブセット間の相互作用は、(1)主に核抗原に対する、自己抗体の広いスペクトルを持つ顕著なB細胞変更、(2)自己反応性CD4+ T細胞、及び(3)SLE患者の血清中に認められた高レベルのI型インターフェロンに関する説明を提供している。これらの知見は、SLE及び他の自己免疫疾患の原因病理における樹状細胞の重大な関与を裏付けている。
【0054】
図1は、本願明細書において明らかにされたような制御されないIFN-α放出及びそれのSLE病理発生における役割を例証している。SLEの始まりの損傷は、形質細胞系(リンパ球系)DCが、制御様式でIFN-α分泌の引き金を引く要素である。この引き金となる要素は、ウイルス、細菌、真菌及びそれらの産物、例えばCpG DNAなどに加え薬物を含む。非制御のIFN-α放出は、慢性ウイルス感染症のような永久的形質細胞系(リンパ球系)DCアクチベーター、又は例えば、FcR多型又は補体成分の不在を通じて、循環血から適切にクリアランスされない免疫複合体から始まる。形質細胞系DCは、T細胞への引き金要素の提示を可能にする成熟DCへと分化する。放出されたIFN-α(他のサイトカイン類である可能性あり)は、SLE血液中に上昇量存在するアポトーシス細胞を捕獲する、単球を含む骨髄系DCの循環血中前駆体の活性化を誘導する。骨髄系DCは、アポトーシス細胞をプロセシングし、かつそれらの抗原を自己反応性T細胞及び/又はB細胞へと提示する。自己反応性T細胞は、ここでアポトーシス細胞が負荷されたDCと共に、自己反応性B細胞を更に活性化する。これらは、DCの補助により、形質細胞へ分化する。IFN-αは、SLEにおいて循環血B細胞の特徴である部分的胚中心表現型(CD38の誘導)を刺激することができるので、これも、自己反応性のB細胞の生成に直接寄与する。
【0055】
健常ドナーの血液由来の最も豊富な骨髄性DCの前駆体である単球を用い、SLE患者由来の血清を使用し免疫原性DCを誘導する方法が開発された。このようなDCは、アポトーシス細胞を捕獲しかつそれらの抗原を自家CD4+ T細胞へ提示し、その結果それらの活性化及び増殖を起動することができるような活性抗原提示細胞である。このような事象の配列は、SLEにおける病原性の事象を説明している。
このようなDCの形成は、狼瘡血清中のI型インターフェロンのブロックにより妨害することができ、かつこれはDC前駆体のI型インターフェロンと一緒の培養により再生され得る。形質細胞系(リンパ球系)DCの産物は、骨髄系DCの分化を誘導し、その結果抗原提示を支持し、かつ結果的病原性の過程を起動する。
【0056】
ある本発明の態様において、本発明の治療的組成物は、ふたつの構成要素、(1)Flt3Lアンタゴニスト及び(2)インターフェロンアンタゴニストを含む。別の本発明の態様において、これらの構成要素は、Flt3L及びIFN-α又は他のI型インターフェロンの各々に対するアンタゴニスト性又は競合性ペプチドを含む融合タンパク質のようなひとつの化合物又は分子へ融合される。すなわち、融合ペプチドは、Flt3L活性の競合的インヒビターのペプチドである部分及びIFN-α活性の競合的インヒビターのペプチドを含むことができる。別の本発明の局面において、この組成物は、Flt3L及びIFN-αの各々に対するモノクローナル抗体、各抗体の抗原結合性フラグメント(CDR断片など)、又はこれらの抗体の活性(抗原結合性)断片を含む融合タンパク質を含む。別の本発明の局面において、この組成物は、Flt3Lとその受容体の間の相互作用を妨害することが可能であり、かつIFN-αの活性を妨害することが可能である有機小分子から成ることができる。本発明のある局面において、この組成物は、Flt3L及びIFN-αに特異的に結合するモノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)を含むことができる。
【0057】
IFN-αのようなI型インターフェロン又はFlt3Lのアンタゴニストとして有用なポリペプチドは、代表的受容体の結合部位から誘導されたポリペプチドであることができる。加えて、非機能性IFN-α又はFlt3L(受容体結合に競合するが、受容体を持つ細胞における反応の引き金をひかないポリペプチド)が合成され得る。
このような非-機能性ペプチドの一例は、受容体に結合する完全な能力を伴うが、受容体を持つ細胞を活性化する能力は伴わないペプチドである。このようなポリペプチドの通常のアミノ酸配列への置換又は付加又は欠失が存在することができる。保存的アミノ酸置換は以下を含む:アラニンについて置換されたバリン;アルギニンについてのリシン;アスパラギンについてのグルタミン;アスパラギン酸についてのグルタミン;システインについてのセリン;グルタミンについてのアスパラギン;グルタミン酸についてのアスパラギン酸;グリシンについてのプロリン;ヒスチジンについてのアルギニン;イソロイシンについてのロイシン;リシンについてのアルギニン、メチオニンについてのロイシン、フェニルアラニンについてのロイシン;プロリンについてのグリシン、セリンについてのトレオニン;トレオニンについてのセリン;トリプトファンについてのチロシン;チロシンについてのフェニルアラニン及びバリンについてのロイシン。
【0058】
本発明は、抗原提示細胞の産生を促進するためにI型インターフェロンの能力をブロックすることを含む、自己免疫疾患を治療する新規方法を提供する。更に本発明は、患者の自己免疫疾患発症の相対リスクを評価し及び/又は患者の疾患進行を経過観察するためのin vitro診断アッセイも提供する。本発明は、対象における自己免疫疾患の治療に有用な組成物の調製における、(a)I型インターフェロンの活性を低下するインターフェロンアンタゴニスト(I型インターフェロンとその受容体の間の結合を低下するような)、及び(b)Flt3Lの活性を低下するFlt3リガンド(Flt3L)アンタゴニスト(Flt3Lとその受容体の間の結合を低下するような)の使用も提供する。
【0059】
本発明のひとつの態様において、少なくとも1種のインターフェロンアンタゴニスト及び少なくとも1種のFlt3Lアンタゴニストは、個別の時点で対象へ投与される。別の態様において、これらは、同時に投与される。例えば、ひとつのアンタゴニストは午前中に、及びひとつは午後に投与することができる。これらのアンタゴニストの投与の時期及び頻度は、同等でなければならないことはない。
【0060】
本願明細書において示されたように、I型インターフェロン又はI型インターフェロン-含有血清は、DCを含むが、これらに限定されるものではない抗原提示細胞の産生に必要な因子である。このような抗原提示細胞は、本発明において、捕獲されたアポトーシス細胞からの抗原提示により、自家CD4+ T細胞の増殖を起動することが示されている。本発明において、この分化、抗原捕獲及び抗原提示の過程は、I型インターフェロン活性のブロックにより低下される。この治療法は、自己免疫疾患進行の阻害(治療的用途)に加え、適当な遺伝的背景及び疾患発症の高リスクを有する患者における疾患発症の阻害(予防的用途)による疾患の治療に使用することができる。
【0061】
I型インターフェロンタンパク質及び/又はFlt3Lのブロックは、抗原提示細胞を産生するそれらの能力を中和する抗体(複数)を使用することを含むが、これらに限定されるものではない。I型インターフェロン受容体又はFlt3L受容体のブロックは、抗原提示細胞の産生につながる、リガンドとその受容体(複数)の間の相互作用を特異的に妨害する抗体、ペプチド又は化学物質の使用を含むが、これらに限定されるものではない。本発明において有用な阻害性であるアンタゴニスト(すなわち、本発明の組成物)を送達する方法は、タンパク質及びこのタンパク質をコードしているベクターを含むが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明のひとつの態様において、I型インターフェロン及び/又はFlt3Lの機能をブロックするペプチドをコードしている核酸が対象へ投与される。例えば、ウイルスベースのベクター(遺伝子導入ベクターの例)は、これらの核酸の対象への送達に使用することができ、その結果このペプチドの翻訳がin vivoにおいて生じる。この遺伝子導入ベクターは、宿主細胞内において複製することができる構築体のいずれかであることができ、かつプラスミド、DNAウイルス、レトロウイルス、更には単離されたヌクレオチド分子を含むが、これらに限定されるものではない。例えばレトロウイルス又はアデノウイルスベースのベクターを使用することができる。アデノウイルスは、発現ベクターとして、特にヒトの遺伝子療法に関して、注目が増してきている(Berkner、Curr. Top. Microbiol. Immunol.、158:39-66 (1992))。このようなベクターは、ウイルスゲノムの全て又は一部、例えば長い末端反復配列("LTR")、プロモーター(例えば、CMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター)、エンハンサーなどを含む。場合によっては、ベクターは、1種より多いウイルスの要素を含むことができる。本発明において使用することができるアデノウイルスの例は、当該技術分野において周知であり、かつ40種を超える異なるヒトアデノウイルス、例えばAd12(亜属A)、Ad3及びAd7(亜属B)、Ad2及びAd5(亜属C)、Ad8(亜属D)、Ad4(亜属E)、Ad40(亜属F)を含む(Wigandら、「Adeno Virus DNA」、Doerfler編集、Martinus Nijhoff Publishing社、ボストン、408-441ページ(1986))。アデノウイルスベクター作出法は、当該技術分野において周知である(Berknerら、Nucleic Acids Res.、11:6003-6020 (1983);van Dorenら、Mol. Cell. Biol.、4:1653-1656 (1984);Ghosh-Choudhuryら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、147:964-973 (1987);McGroryら、Virol.、163:614-617 (1988);及び、Gluzmanら、「Eurkaryotic Viral Vectors」、Gluzman, Y.編集、187-192ページ、Cold Spring Harbor Laboratory社、(1982))。得られるベクターは、(例えば、トランスフェクション又は形質転換、又は感染、又は注入などにより)対象中のin vivoであるか又はin vitroである宿主細胞に導入される。遺伝子導入ベクターのリポソーム媒介型導入も、本発明において行うことができる。
【0063】
対象における自己免疫疾患の治療において本発明を実行するための細胞への遺伝子導入に使用することができるウイルスベクターの他の例は、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)のようなレトロウイルス;JC、SV40、ポリオーマ、アデノウイルスのようなパポーバウイルス;エプスタイン-バーウイルス(EBV);パピローマウイルス、例えばウシパピローマウイルスI型(BPV);ワクシニア及びポリオウイルス;レンチウイルスベクター、並びに他のヒト及び動物のウイルスを含むが、これらに限定されるものではない。
【0064】
本発明において有用なI型インターフェロン及びFLT3Lのシグナル伝達及び情報伝達の経路のブロックは、関連のあるシグナル伝達及び/又は情報伝達の経路を特異的に標的化する化学物質の使用を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本発明において有用なI型インターフェロンの放出及び/又は産生のブロックは、(1)特異的化学物質を使用する細胞によるI型インターフェロン合成のブロック;(2)I型インターフェロンを産生する細胞の標的化、その結果としてのI型インターフェロン産生能の低下、並びに(3)細胞によるI型インターフェロンの産生又は放出を低下又は阻害するための、産生及び/又は放出のシグナル伝達に必要な受容体の標的化を含むが、これらに限定されるものではない。本発明のある局面において、これらの細胞は、形質細胞系樹状細胞である。別の本発明の局面において、本発明の組成物により標的化されたI型インターフェロンを産生する細胞は、様々な分化段階(例えば、骨髄前駆細胞及び血液前駆体)での繊維芽細胞、内皮細胞及び形質細胞系樹状細胞を含むが、これらに限定されるものではない。
前述のようなその機能を低下するための組成物による細胞の標的化は、造血前駆細胞からの形質細胞系樹状細胞の分化が生じる時のこのような分化の特異的ブロックを含むが、これに限定されるものではない。
【0066】
本発明の組成物によるI型インターフェロンの産生及び/又は放出をシグナル伝達するために必要な受容体の標的化は、細胞上のマンノース受容体及び/又はCD32の機能をブロックするための組成物の使用を含むが、これらに限定されるものではない。
【0067】
ひとつの局面において、本発明は、対象における自己免疫疾患の状態を経過観察するための、又は対象が自己免疫疾患発症のリスクがあるかかどうかを同定するために有用であるin vitro診断アッセイを提供する。この診断アッセイは、(1)試験される対象からある量の血清を得る工程;(2)いずれか公知の方法を用い(例えば、Flt3L及びIFN-αに特異的な抗体によるELISAの使用など)、対象の血清試料中のFlt3Lレベル及びIFN-αレベルを決定する工程;(3)対象血清において測定されたFlt3Lレベル及びIFN-αレベルを、年齢が合致しかつ性別が合致した正常な健常対象から得た血清試料中に存在することが決定された各因子のレベルと比較する工程;(4)試験される対象から測定されたレベルが、健常な対象の値よりも高いか又は低いかを確定し、これにより対象の自己免疫疾患の状態を経過観察するか又は自己免疫疾患発症に関する対象のリスクついて評価する工程を含む。
【0068】
本発明は更に、(a)対象から血清試料を得る工程;(b)血清試料中のIFN-α及びFlt3リガンド(Flt3L)を定量する工程;及び、(c)工程(b)において測定したIFN-α及びFlt3Lを、健常対象から採取した血清及び自己免疫疾患の患者から採取した血清中で測定したIFN-α及びFlt3Lの量と比較し、これにより該対象の自己免疫疾患発症リスクを決定する工程を含む、自己免疫疾患の発症に関する対象のリスクを決定するためのin vitroアッセイに関する。自己免疫疾患発症の高リスクは、自己免疫疾患患者に関する測定量の30%範囲内であるような前記工程(b)の量により示される。このリスクは、量が20%である場合に増大する。別の本発明の局面において、これらの対象は年齢を合致することができる。
【0069】
本発明は、対象からの生物試料中のFlt3L及びIFN-αに特異的に結合する組成物を含む対象の自己免疫疾患の発症リスクを決定するため又は対象における自己免疫疾患の状態の経過観察のためのキットにも関し、ここでこの組成物は検出可能である。この検出可能なマーカーは、蛍光マーカー、放射性マーカー、酵素マーカー、比色分析用マーカー、化学発光マーカー又はこれらのいずれかの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明のひとつの態様において、生物試料は、血液試料又は血清試料である。
本発明の別の態様において、組成物は、(a)Flt3Lに結合するモノクローナル抗体、及び(b)IFN-αに結合するモノクローナル抗体の混合物を含む。本発明の更なる局面において、キットは更に、1種又は複数の試料に結合した組成物の量を検出及び比較するための、1種又は複数の試薬を含む。別の本発明の態様において、このキットは更に、自己免疫疾患の発症の相対リスク又は自己免疫疾患の相対的状態に対し、生物試料に結合した組成物の量を相関させるための成分を含む。
別の本発明の態様において、組成物は検出可能なマーカーにより標識されている。この検出可能なマーカーは、蛍光マーカー、放射性マーカー、酵素マーカー、比色分析用マーカー、化学発光マーカー又はこれらのいずれかの組合せであるが、これらに限定されるものではない。このキットは、診断アッセイが比較的同等の細胞数又は血清容量を比較していることを確実にするために、試料間で標準化又は正規化するための成分も含むことができる。
【0071】
本発明は、(a)対象から血清試料を得る工程;(b)血清試料中のIFN-α及びFlt3リガンド(Flt3L)を定量する工程;及び、(c)IFN-α及びFlt3Lの量を、自己免疫疾患対象の血清中のIFN-α及びFlt3Lの量と比較し、これにより、自己免疫疾患発症に関する該対象のリスクを決定する工程を含む、自己免疫疾患発症に関する対象のリスクを決定するための、in vitroアッセイを提供する。
【0072】
加えて本発明は、(a)対象から血清試料を得る工程;(b)単球分化に適した条件下で、in vitroにおいて血清を単球と混合する工程;(c)対象血清の、抗原を提示することが可能な樹状細胞への単球の分化を誘導する能力を測定する工程;及び、(d)工程(c)で測定された能力を、(i)健常対象から採取した血清の能力、及び(ii)自己免疫疾患に罹患した対象から採取した血清の能力と比較し、これにより自己免疫疾患発症に関する該対象のリスクを決定する工程を含む、自己免疫疾患を発症する対象のリスクを決定するためのin vitroアッセイも提供する。
【0073】
別の局面において本発明は、自己免疫疾患発症の患者のリスクを決定しかつ経過観察するための、in vitro診断アッセイである。この診断アッセイは、患者が自己免疫疾患を発症するリスクを評価するために、患者血清のin vitroにおける単球の樹状細胞への分化を誘導する能力を測定する。これに関して、患者の血清が、公知の正常基準(数名の年齢が合致し、性別が合致した健常な個人からの血清を使用することにより決定され得る)よりもより効果的に単球の樹状細胞への分化を誘導するならば、このアッセイは、自己免疫疾患患者の疾患再燃を予測し、及び/又は患者が、自己免疫疾患発症のリスクがあるかどうかの詳細な診断評価が必要であることの指標となる。加えてこの診断アッセイは、患者が既に自己免疫疾患であると診断されている場合には、患者の疾患状態の経過観察に有用であり、患者は本発明の診断アッセイを、自宅で又は他の都合の良い場所で、自己免疫疾患の進行又は改善を経過観察し、並びにそれに従い患者の治療方式を調節するために、利用することができる。
【0074】
この組成物の有効量は、使用される実際の組成物によって決まるであろう。この実際の有効量は、化合物のサイズ、化合物の生物分解性、化合物の生体活性、及び化合物の生体利用性を基にしている。この化合物が迅速に分解されず、生体利用可能で高い活性がある場合は、有効であるためにはより少ない量が必要とされる。この有効量は、当業者により決定され;これは、化合物の形状、化合物のサイズ及び化合物の生体活性により決まるであろう。当業者は、バイオアッセイにおいて生体活性を決定し、その結果有効量を決定するために、化合物に関する経験的活性試験を慣習的に行うことができる。
【0075】
本発明は、治療的有効量のポリペプチド組成物及び化合物を、適当な希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体と共に含有する、医薬組成物を提供する。このような組成物は、液体であるか、もしくは凍結乾燥されるか又はさもなければ乾燥された処方であることができ、かつ様々な緩衝剤成分(例えば、Tris-HCl、酢酸、リン酸)、pH及びイオン強度の希釈剤、表面への吸収を防止するためのアルブミン又はゼラチンのような添加剤、界面活性剤(例えば、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量剤又は張度改良剤(例えば、乳糖、マンニトール)、化合物へのポリエチレングリコールのような高分子の共有結合、金属イオンとの錯体形成、又は化合物の、ポリ乳酸、ポリグリコール酸ヒドロゲルのような高分子化合物の粒状調製物の中へのもしくは上への取込み、又はリポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層もしくは多層ベシクル、赤血球ゴーストもしくはスフェロプラスト上への取込みを含む。このような組成物は、化合物又は組成物の物理的状態、溶解度、安定性、in vivo放出速度、及びin vivoクリアランス速度に影響を及ぼすであろう。組成物の選択は、その組成物の物理的及び化学的特性によって決まるであろう。
【0076】
制御型又は持続型放出組成物は、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油)内の処方を含む。
更に本発明により包括されるのは、ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)により被覆された粒状組成物、及び組織-特異的受容体、リガンドもしくは抗原に対する抗体に結合された、もしくは組織-特異性受容体の又はいずれか他の組織-もしくは細胞-標的化ペプチドのリガンドに結合された、治療的組成物である。別の本発明の治療的組成物の態様は、非経口、肺内、鼻腔及び経口を含む様々な投与経路に関する、粒状の保護的コーティング、プロテアーゼインヒビター又は透過性増強剤を取込んでいる。
【0077】
化合物が投与される場合、これは循環血から迅速にクリアランスされることが多く、従って比較的短い寿命の薬学的活性を引き出す。結果的に、治療的効能を持続するためには、生体活性化合物の比較的大用量の頻回注射が必要であることがある。ポリエチレングリコール(PEG)のような水溶性ポリマー、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はポリプロリンとの共有結合により修飾された化合物は、対応する未修飾の化合物よりも、静脈内注射後の血中で実質的により長い半減期を示すことがわかっている。
このような修飾は、水溶液中のこの化合物の溶解度を増大し、凝集を排除し、化合物の物理的及び化学的安定性を増強し、かつ化合物の免疫原性及び反応性を大きく低下することがある。結果的に、所望のin vivo生物活性を、このようなポリマー-化合物の付加物の、未修飾の化合物よりもより少ない頻度又はより少ない用量での投与により、達成することができる。
【0078】
ポリエチレングリコール(PEG)の化合物への結合は、PEGは哺乳類における毒性が非常に低いので、特に有用である(Carpenterら、1971)。例えば、アデノシンデアミナーゼのPEG付加物は、米国において、重症の合併症である免疫不全症候群の治療のための臨床使用が認可されている。PEGの共役によりもたらされる第二の利点は、異種(heterologous)化合物の免疫原性及び抗原性の効果的低下である。例えば、ヒトペプチドのPEG付加物は、重度の免疫応答を惹起するリスクを伴わずに、他の哺乳類種の疾患の治療に有用となることができる。本発明のポリペプチド又は組成物は、該ポリペプチドに対する又は該ポリペプチドを生成し得る細胞に対する宿主免疫応答を低下又は防止するために、マイクロカプセル封入装置内で送達することができる。本発明のポリペプチド又は組成物は、リポソームのような膜内にマイクロカプセル封入することにより送達することもできる。
【0079】
例として、PEGのようなポリマーは、治療的組成物のペプチド中の1個又は複数の反応性アミノ酸残基、例えば、アミノ末端アミノ酸のα-アミノ基、リシン側鎖のεアミノ基、システイン側鎖のスルフヒドリル基、アスパルチル及びグルタミル側鎖のカルボキシル基、カルボキシ-末端アミノ酸のα-カルボキシル基、チロシン側鎖、又はある種のアスパラギン、セリン又はトレオニン残基に結合した糖鎖の活性化された誘導体に都合良く結合され得る。
【0080】
タンパク質との直接反応に適したPEGの多くの活性化された形が説明されている。タンパク質アミノ基との反応に有用なPEG試薬は、カルボン酸の活性エステル又はカルボン酸誘導体、特に脱離基がN-ヒドロキシスクシンイミド、p-ニトロフェノール、イミダゾール又は1-ヒドロキシ-2-ニトロベンゼン-4-スルホン酸エステルであるものを含む。マレイミド又はハロアセチル基を含むPEG誘導体は、タンパク質と無関係の(protein free)スルフヒドリル基の修飾に有用な試薬である。同様に、アミノヒドラジン又はヒドラジド基を含むPEG試薬は、タンパク質中の糖基の過ヨウ素酸酸化により生成されたアルデヒドとの反応に有用である。
【0081】
ある好ましい態様において、医薬担体は液体であることができ、かつこの医薬組成物は溶液の形状である。別の同等に好ましい態様において、医薬として許容できる担体は固形物であり、かつこの組成物は散剤又は錠剤の形状である。更なる態様において、医薬担体はゲルであり、この組成物は坐剤又はクリーム剤の形状である。更なる態様において、活性成分は、医薬として許容できる経皮貼付剤の一部として処方することができる。
【0082】
固形担体は、矯味矯臭剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、直打用滑沢剤、圧縮助剤、結合剤又は錠剤の崩壊剤としても作用することができる1種又は複数の物質を含み得;更にこれはカプセル封入物質であることもできる。散剤において、担体は、微粉砕された活性成分と混合されている微粉砕された固形物である。錠剤において、活性成分は、適当な割合で必要な圧縮特性を有する担体と混合され、並びに所望の形状及びサイズに圧縮される。散剤及び錠剤は、活性成分を最大99%含有することが好ましい。適当な固形担体は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳酸、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス及びイオン交換樹脂を含む。
【0083】
液体担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤及び加圧した組成物の調製において使用される。活性成分は、水、有機溶媒、両方の混合物のような医薬として許容できる液体担体、又は医薬として許容できる油分もしくは脂質中に、溶解又は懸濁することができる。液体担体は、他の適当な医薬添加剤、例えば可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、甘味剤、矯味矯臭剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤又は浸透圧調節剤などを含有することができる。経口及び非経口投与に適した液体担体の例は、水(部分的に、前記添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含有する)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、並びに油分(例えば、分画されたココナツ油及び落花生油)を含む。非経口投与については、担体は、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルのような油状のエステルであることもできる。滅菌液体担体が、非経口投与用の無菌の液体型組成物において有用である。加圧型組成物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素又は他の医薬として許容できる噴射剤であることができる。
【0084】
無菌の液体又は懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、鞘内、硬膜外、腹腔内又は皮下注射により利用することができる。無菌液は、静脈内投与することもできる。この活性成分は、滅菌した水、生理食塩水又は他の適当な滅菌した注射用媒質を用い、投与時に溶解又は懸濁することができる無菌の固形組成物として調製することもできる。担体は、必要かつ不活性の結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、甘味剤、保存剤、色素及び着色剤を含むことが意図されている。
【0085】
本発明の治療的組成物の活性成分(すなわち、Flt3Lアンタゴニスト及びインターフェロンアンタゴニスト)は、例えば等張液を作成するのに十分な生理食塩水又はブドウ糖、胆汁酸塩、アラビアゴム、ゼラチン、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート80(エチレンオキシドと共重合されたソルビトールのオレイン酸エステル及びその無水物)などのような、他の溶質又は懸濁化剤を含有する、無菌の液剤又は懸濁剤の形状で経口投与することができる。
【0086】
活性成分は、液体又は固形組成物のいずれかの形状で経口投与することもできる。経口投与に適した組成物は、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、錠剤及び散剤のような固形の形状、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤及び懸濁剤のような液体の形状を含む。非経口投与に有用な形状は、無菌の液剤、乳剤及び懸濁剤を含む。
【0087】
特に記さない限りは、本発明の実践は、当該技術分野の範囲内である、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、及び免疫学の通常の技術を利用するであろう。このような技術は、下記の文献に説明されている:例えば、Sambrook、Fritsch、及びManiatis、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、(1989);DNA Cloning、第I及びII巻(D. N. Glover編集、1985);Oligonucleotide Synthesis 、(M. J. Gait編集、1984);Nucleic Acid Hybridization(B. D. Hames及びS. J. Higgins編集、1984);Animal Cell Culture (R. K. Freshney編集、1986);Immobilized Cells and Enzymes (IRL press社、1986);Perbal, B.、A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);一連の、Methods In Enzymology (S. Colowick及びN. Kaplan編集、Academic Press社);並びに、Handbook of Experimental Immunology、第I-IV巻(D. M. Weir及びC. C. Blackwell編集、1986、Blackwell Scientific Publications社)。
【0088】
本願明細書において使用される単語「又は」は、特定のリストの一員を意味し、かつそのリストの一員のあらゆる組合せを含む。
本願明細書において使用される単数形「ひとつの(a, an)」及び「この(the)」は、本文において特に明確に指摘しない限りは、複数の意味も含む。
【0089】
本発明は更に、下記実施例を参照し説明されるであろう;しかし、本発明は、このような例に限定されないことは、理解されなければならない。むしろ、本発明を実践する上で現在最良の態様を説明している本発明の説明を考慮し、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者は多くの修飾及び変更を行うであろう。「特許請求の範囲」と同等の意味及び範囲内である全ての変更、修飾及び変化は、その範囲内であると見なされるべきである。
【実施例1】
【0090】
実施例1:SLE血清は樹状細胞様特性を持つ細胞への単球の分化を誘導する
正常な単球を、SLE血清にin vitroにおいて曝した:12〜24時間以内に、単球のクラスター化が認められ;かつ、24〜48時間以内に、クラスター化された細胞は、DC培養物を暗示する細かい細胞質突起を示した(図2A及び2B)。SLE血清のみが、12〜24時間以内に単球のクラスター化を誘導し、かつベール状(veiled)の細胞形態を獲得した(図2A-2Bと、図2CのAS比較)。
【0091】
SLE血清:SLEに関するアメリカリウマチ学会(ACR)の診断基準を満たした患者から、インフォームドコンセントを得た後、血液を採取した。全血を、EDTA又はヘパリンを含有するチューブに採取し、かつ直ぐに100 x g、4℃での遠心により分離した。血漿を収集し、トロンビン(Jones Pharma社、MO)処理し、使用時まで-80℃で保存した。疾患活動性は、血液標本を得た日に決定し、SLE疾患活動性指標(SLEDAI)スコアを用いて評価した(Lahita, R.G.、1999、Systemic Lupus Erythematosus、Academic Press社、第3版)。
【0092】
細胞培養及び表現型分析:単球は、Ficoll-Paque(登録商標)勾配の後、精製した抗-CD3、抗-CD19、抗-CD56及び抗-グリコホリンA抗体を用い、T細胞、B細胞及びNK細胞を枯渇することにより、引き続きの免疫磁気による枯渇(Dynabead)により、血液単核細胞から単離した。濃厚化したCD14+単球を、6ウェルプレート(1x106/ウェル)で、GM-CSF 100ng/mL及びIFN-α1000UI/mL;又は、GM-CSF 100ng/mL及びIL-4 20ng/mL;又は、狼瘡血清;又は、自家血清の存在下で、3日間培養した。3日目に、細胞を収集し、かつ抗-CD14-PE抗体、抗-CD83-PE抗体、抗-HLA-DR-PrCP(ペリディニンクロロフィルタンパク質)抗体、抗-マンノース-受容体-PE抗体、抗-CD80PE(フィコエリトリン)抗体、抗-CD86-PE抗体、抗-CD40-PE抗体、抗-CD16-PE抗体、抗-CD32-PE抗体、抗-CD64-PE抗体及び抗-CD1a-FITC抗体により、染色した。
【0093】
正常ドナー由来の濃厚化したCD14+単球は、20%狼瘡血清又は自家血清の存在下で、培養した(1x106/ウェル)。単球は、SLE-DCと共に培養し、3日目に細胞を収集し、ある細胞表面分子の発現についてフローサイトメトリーにより評価した。フローサイトメトリー分析は、CD14のダウンレギュレーション、並びにMHCクラスII、共刺激分子:CD40、CD86及びCD8O、CD83に加え、マンノース-受容体、CD32及びCD36の増加した発現を明らかにした(図3)。マクロファージ(MΦ)ではなく、DCの形態及び表現型を有する細胞への単球分化の誘導は、SLE血清中で増殖されたそれらのDCに限定された。実際に、自家血清も同種異系の血清もこのような表現型を誘導しなかった(図2C)。
【0094】
下記抗原に対するモノクローナル抗体(mAb)を利用した:CD14、HLA-DR(Becton Dickinson社);CD86、CD40、HLA-ABC、CD1a(Dako, Carpinteria社、CA);CD80、CD83(Beckman Coulter/Immunotech社、ニューヨーク)。
【0095】
SLE血清が誘導した細胞は、抗原捕獲受容体を展示し、かつ抗原を捕獲する能力はDCの重要な特性であるので、培養物中で分化された細胞は、可溶性抗原を捕獲することができるかどうかを決定した。この目的のために、SLE血清培養した単球を、FITC-デキストランと共にインキュベーションした。図4A-4Eに示したように、SLE血清-誘導した細胞は、FITC-デキストランの取込みにおいて、GM-CSF/IL-4誘導したDCと同程度有効であった。
【0096】
培養物中で分化した細胞のエンドサイトーシス活性を、100μg/mL FITC-デキストランと共に細胞を37℃で1時間インキュベーションすることにより決定した。対照として、一部の細胞を、氷上で、FITC-デキストランと共にインキュベーションした。これらの細胞は、冷PBS/FCSで洗浄し、かつフローサイトメトリーにより分析した。
【0097】
その結果、形態、表現型及び抗原捕獲は、SLE血清が単球の、抗原の捕獲が可能な細胞、すなわちCD14、マンノース受容体及びCD36のような抗原捕獲分子を発現している細胞(未熟DC及びMΦの特徴)、並びにHLA-DR、共刺激分子及びCD83を含む抗原提示に重要な分子、及び成熟DCのマーカーを発現している細胞への分化を指示していることを示した。
【0098】
次に、SLE血清と共に培養された単球が、全ての抗原提示細胞の間でDCに独自の特性であるナイーブCD4+ T細胞の増殖を誘導することができるかどうかを決定した。図5に示したように、自家血清と共に培養された単球は、同種異系のCD4+ Tリンパ球の限定された増殖を誘導したのに対し、SLE血清と共に培養された単球は、DCのin vitroにおける標準の特性である、GM-CSF/IL-4 DCに類似した強力なT細胞増殖を誘導した。図6は、SLE-DC又はAS血清中で培養されたDCのいずれかにより誘導されたT細胞により産生されたT細胞サイトカインのレベルを図示している。SLE-DCは、T細胞のIFN-α産生は誘導したが、IL-10は誘導せず(無視できるレベルを除く)、従って、I型分極(polarization)(Th1)を明らかにしている。SLE血清、AS血清、GM-CSF/IFN-α又はGM-CSF/IL-4のいずれかと共に培養した単球は、洗浄し、かつ同種異系のCD4+ T細胞と共に播種した。5日培養した後上清を収集し、かつ一晩PHAで再刺激した。サイトカイン放出は、ELISAアッセイによりアッセイし、かつIL-10及びIFN-γは、縦軸上に、pg x 103/mLで示した。その結果、活性化したCD4+ Tリンパ球は、高レベルのインターフェロン-γ、低レベルのIL-10を分泌し、及びIL-4は分泌せず、I型分極と一致した。
【0099】
T-細胞増殖及びサイトカインアッセイ:DCは、cRPMI+10%ヒトAB血清中、1x105個の新たに単離したCD4+同種異系のT細胞と共に漸増用量で5日間、もしくはナイーブCD4+CD45RA+同種異系のTリンパ球と共に培養した。自家T細胞増殖をアッセイするために、GM-CSF/IFN-α又はGM-CSF/IL4又は狼瘡-細胞を、DNA-ボディで4時間パルスし、かつ漸増用量で1x105個の自家T細胞と共に培養した。細胞は、最後の16時間、0.5μCi[3H]チミジン/ウェルでパルスした(New England Nuclear社、ボストン、MA)。サイトカイン分析に関しては、上清を培養後5日目に収集し、かつこれらの細胞を新鮮培地中PHAで24時間再刺激した。サイトカインの放出を、ELISAキットによりアッセイした(R&D Systems社、ミネアポリス、MN)。
【実施例2】
【0100】
実施例2:SLE-DCは捕獲されたアポトーシス細胞から抗原を提示する
免疫系によるアポトーシス細胞の非-正常かつ不適切なプロセシングは、SLEにおける病原性事象のひとつと見なされる。従って次にSLE-DCは、捕獲されたアポトーシス細胞から抗原を提示することができるかどうかを決定した。この目的のために、SLE-DCは、培養物中のアポトーシス細胞断片を捕獲することができることが示された(図7A-7B)。
【0101】
SLE-DCは、黒色腫細胞由来のアポトーシスボディを含むDNAも捕獲することができる。図8A及び8Bは、同種異系のアポトーシス細胞の捕獲及び自家CD4+ T細胞に対するそれらの抗原提示を示している。SLE-DCは、DNAを含むアポトーシスボディを捕獲し(図8A)、かつCD4+ T細胞増殖の誘導により示されるような、自家CD4+ T細胞に対するそれらの抗原を提示した(図8B)。AS血清、SLE血清及びGM-CSF/IL-4により誘導されたHLA-DR+単球は、7AAD標識されたDNA-ボディ (γ線照射(150Gy)により殺傷された黒色腫細胞株)を捕獲した。アポトーシスボディの捕獲を可能にするために、抗原提示細胞を、殺傷された細胞と混合し、かつ37℃で1時間インキュベーションした。その後これらの負荷されたSLE-DCを、フローサイトメトリーにより選別し、かつ自家CD4+ T細胞と共に培養した。T細胞増殖は、5日後に決定した。
【0102】
これらの負荷されたSLE-DCはその後、自家CD4+ T細胞と共に培養した。図8Bに示したように、負荷されたSLE-DCは、自家CD4+ T細胞の増殖を誘導することができた。従ってSLE血清は、単球に、アポトーシス細胞からプロセシングされた抗原を捕獲及び提示することができる機能性DCへの分化を誘導する。
【実施例3】
【0103】
実施例3:IFN-αを含む活動性SLE血清のみが単球がSLE-DCになることを誘導する 全てのSLE血清が、単球にDCへの分化を指示することができるかどうかを決定するために、実験を行った。単球は、それらの混合型白血球応答又は混合型リンパ球反応(MLR)を刺激する能力について試験される19種の異なるSLE血清と共に培養した。表1に示したように、自家血清と共に培養した単球は、非常に低いT細胞増殖(陰性対照)のみを誘導し、かつGM-CSF/IL-4と共に培養した単球は、DC誘起された100%MLR(陽性対照)を産出し、この平均増殖は7.5%(±6.4%、n=5)であることがわかった。SLE血清と共に培養した単球を同じ方法で評価し、カットオフ値を20%増殖(自家血清で培養物した単球の平均+2SD)とみなすと、19種の血清が誘導した単球の中の11種が、アロ刺激性DCとなり、平均増殖は41%±15%であった。皮膚筋炎患者からの血清は、この歪み(skew)では再生することができず、かつ皮膚筋炎患者はSLE患者と同じステロイド方式で治療されたので、SLE血清の作用は、ステロイドとは無関係であると結論付けた。更に2名の新たに診断された治療を受けていない患者が、単球をSLE-DCへ効率的に分化した。重要なことは、SLE-DCにより誘導された11種の血清の中で、IFN-αレベルについて試験された7種の血清が、190pg/mLより多いIFN-αを含んだのに対し、SLE-DCを誘導することができないほとんどの他の血清は、このアッセイにおいて検出される値(12pg/mL)よりも低いIFN-αを含むことである(表1)。更に、SLE血清のDC誘導能は、疾患活動性に関連していた。図9A-9Bにおいて、グラフは、SLE疾患活動性のSLE-DCの誘導活性に対する関係を示している。単球は、活動型狼瘡(SLE疾患活動性指標(SLEDAI)>6)の患者又は非活動型狼瘡(SLEDAI<6)の患者から採取した11種の異なるSLE血清と共に培養し、かつ産生された細胞を、T細胞増殖を誘導するそれらの能力について試験した。対照として単球を、GM-CSF及びIL-4と共に培養した。縦軸は、誘導されたアロ刺激能の割合(%)を示した。その結果、SLE血清の単球分化をDCへと歪める能力は疾患-特異的であり、かつIFN-αのレベルと相関していた。
【0104】

【0105】
単球を、異なるSLE血清と共に培養し(表1、第1欄)、かつ産生された細胞を、それらの同種異系のT細胞増殖を誘導する能力について試験した(混合型リンパ球反応{第2欄、表1、MLR})。対照として、単球を、GM-CSF及びIL-4と共に培養し、かつ100%標準として使用した。SLE血清と共に培養した単球のアロ刺激活性は、T細胞増殖の割合(%)として表現し、GM-CSF及びIL-4と比較し、かつ血清中IFN-αレベル(第3欄、表1)及び疾患活動性(SLEDAI、第4欄、表1)と関連づけた。SLEDAIは、9群の臨床及び臨床検査評価からなり、これは臓器系の評価:CNS、血管、腎、骨格筋、漿膜、皮膚、免疫学的及び血液学的評価を含む。NDは、実施せずを意味し、ASは、健常ドナー由来の自家血清を意味し、SLEは、SLE患者由来の血清を意味する。
【実施例4】
【0106】
実施例4:SLE血清のSLE-DCを誘導する能力はIFN-αのブロックにより破棄される 単球の抗原提示細胞産生への分化を歪めるDCの能力は、SLE血清中のIFN-αのレベルに関連していた。SLE-DCの表現型は、GM-CSF及びIFN-αにより誘導されることを暗示しており、かつその結果、SLE血清を、抗-IFN-α中和抗体と共に予備インキュベーションした。このような血清と共に培養した細胞を、それらのMLR誘導能として測定した、それらの単球のDCへの分化の誘導能について試験した。
SLE血清の機能的DCの誘導能は、IFN-αの中和により阻害されたが、そのイソタイプ対照(図10に示した)のみではなく、他のIL-4、CD40-L及びIL-10に対する遮断抗体によっても阻害されず、これはIFN-αが、SLE-DCの誘導に必須であることを示している。図10は、SLE患者から得た単球細胞培養物血清中におけるIFN-αのブロックを例示している。インターフェロン遮断抗体の添加は、同種異系のCD4+ T細胞の増殖を誘導する能力の大きい低下を生じた。これらの結果は、SLE血清のDCを誘導する活性が、IFN-αにより左右され、かつ単球培養に使用されるSLE血清中のIFN-αのブロックにより破棄されることを示している。精製した単球は、SLE血清、又は飽和濃度のIFN-α遮断Ab(SLE ab)(Biosource社)で30分間予備インキュベーションした血清、又はイソタイプ対照(SLE対照)の対応する濃度と共に培養した。3日後、細胞を、同種異系のCD4+ T細胞の増殖を誘導する能力について評価した。
【実施例5】
【0107】
実施例5:SLE患者はIFN-α高血清レベルを有する
小児SLE患者のIFN-αの血清レベルを測定した。図11に示したように、SLE患者から採取した血清は、健常対象(対照)から得た血清よりも非常に高レベルのIFN-αを有した。血清をSLE患者から採取した。この血清を、ヒトインターフェロンに関する国際参照基準(米国立衛生研究所(NIH)承認)を基にしたELISAキット(BioSource社、製造業者の推奨に従い使用)を使用し、IFN-αに関してアッセイした。比色反応を、HRP及びTNBを用いて発色した。450nmでの吸光度を、マイクロプレートリーダーにより決定した。このアッセイの拡大範囲プロトコールを用い、10〜5000pg/mLの範囲の血清レベルを決定することができる。
【実施例6】
【0108】
実施例6:PBMC SLE患者はウイルス引き金に反応してIFN-αを分泌する
インフルエンザウイルスに曝露した場合に、SLE患者のPBMCは、インフルエンザウイルスに曝露された健常成人のPBMCから放出されたIFN-αレベルと比べ、高レベルのIFN-αを放出した(図12参照)。
【実施例7】
【0109】
実施例7:IFN-αは単球上のBAFF/Blys発現及びPBMC上のBCMA発現を誘導する
BAFF/Blys-L(TNFファミリーに属するB細胞活性化因子)と称されるTNFファミリーの新規メンバーが、DC及びT細胞上で発見され、かつこれはB細胞上のふたつの受容体、すなわちBCMA及びTACIに結合し、かつそれらの増殖及び免疫グロブリン分泌を誘導する。従って、IFN-αが、各細胞型上で両分子(すなわち、BCMA及びTACI)の発現を調節するかどうかを決定した。図13A-13Bに示されたように、IFN-αは、リアルタイムPCRにより決定されたように、単球において高レベルのBAFF/Blysを誘導するが、他の因子は誘導しない。更にIFN-αは、正常PBMC上にBCMA発現を誘導する。
【実施例8】
【0110】
実施例8:In vitro診断アッセイにおける単球分化の誘導に関する患者血清のスクリーニング
患者由来の血清は、その後の分化をI型インターフェロンの中和によりブロックすることができるような樹状細胞への単球分化を誘導するその能力についてスクリーニングした。
【0111】
実施例1に詳述した手順に従い、患者血清を得た。実施例1に述べた手順に従い、患者血清のアリコートを、正常な患者からの精製した単球アリコートに添加した。約3日後、単球の樹状細胞への分化の程度を、当該技術分野において公知の手段により評価した。アッセイ法の例は、直接の形態学的分析、フローサイトメトリーによる表現型分析、FITC-デキストラン取込みにより測定可能な抗原捕獲、及びチミジン取込みによる測定可能な同種異系のナイーブCD4+ T細胞の誘導がある。このin vitro診断アッセイは、その患者から採取した血清の試料により得られた結果を分類するための、公知の標準セットを含む。簡単に述べると、正常患者、すなわち自己免疫疾患に罹患していないことがわかっている患者からの血清に、このアッセイを行い、かつ得られた結果を自己免疫疾患発症に関する低リスクの標準指標として使用する。同様に、SLEのような自己免疫疾患を有することがわかっている患者の血清を採取し、このアッセイにおいて使用し、かつ得られた結果を、自己免疫疾患発症に関する高リスクの基準指標として使用する。I型インターフェロンによりブロックすることができる高程度の樹状細胞への単球分化を支持する患者血清は、自己免疫疾患発症のリスクの高い患者であるとみなされる。単球分化の「高程度」は、患者の血清を使用するアッセイにおける単球分化の量の、先に確立された高リスク値、低リスク値及び他の中リスク値に関する標準との比較により決定される。自己免疫疾患発症リスクの各レベルは、本アッセイにおいて認められた単球分化のレベルに関連づけられる。患者血清が、I型インターフェロンによりブロックされ得る高程度の単球の樹状細胞への分化を支持しないならば、この患者の自己免疫疾患発症のリスクのレベルは、ほとんどないか又はリスクがない。自己免疫疾患と診断された患者について、このアッセイによる患者血清の定期的評価は、疾患再燃又は進行に関する経過観察の方法を提供する。
【実施例9】
【0112】
実施例9:TNFは pDCによるI型インターフェロン分泌を阻害する
Kadowakiら(J. Exp. Med、192:1785-96 (2000))は、自己分泌IFN-αは、pDC生存を支持する一方で、自己分泌TNF-αは、IFN-αを産生することができない成熟pDCへのそれらの成熟を誘導することを明らかにした。従って、中和TNF抗体の正常pDC培養物への添加が、ウイルス引き金に反応したそれらのIFN-α産生を維持するかどうかを決定するために研究を行った。
【0113】
これらの研究のために、pDCを、CD11c陰性細胞及びCD123陽性細胞のフローサイトメトリー選別により、CD34+造血前駆細胞の培養物から単離した。単離したpDCは、50,000細胞/ウェル/200μLの濃度で、インフルエンザウイルス(5μL)及び対照抗体又は中和抗-TNF抗体のいずれかと共に培養した(初代培養)。初代培養24時間の後、これらのプレートを遠心し、上清を収集し、かつこれらの細胞を新鮮な培地において、新たな用量(5μL)の流感(flu)ウイルスと共に再培養した(二次培養)。更に24時間の二次培養後、上清を収集し、かつIFN-αレベルの存在について評価した。
【0114】
図14A-14Cは、形質細胞系DC(pDC)によるIFN-α分泌のTNF調節を示している。CD34+造血前駆細胞のFlt3L(100ng/mL)及びトロンボポエチン(TPO)(30ng/mL)と一緒の培養によりin vitroにおいて産生された精製したDCは、濃度50,000細胞/ウェルで、精製したインフルエンザウイルス(5μL)と共に、対照抗体(5μg/mL)又は中和抗-TNF抗体(5μg/mL)のいずれかと共に、もしくは外因性TNF(100ng/mL)と共に培養した(初代培養)。24時間培養後、これらのプレートを遠心し、上清を収集し、かつこれらの細胞を新鮮な培地において、新たな用量のインフルエンザウイルスと共に再培養した(二次培養)。更に24時間の培養後、上清をIFN-αレベルの評価のために収集した。図14Aに示したように、中和抗-TNF抗体の添加は、二次培養物中のIFN-αの3-倍増加した放出を生じた。対照的に、TNFの添加は、pDCの初代培養において最大70%のIFN-α放出の阻害を生じた(図14B参照)。図14Cに示したように、初代培養上清中のIFN-αの濃度は、100ng/mLから40ng/mLへ減少した。
【0115】
この研究は、いかにして未熟pDCは、TNF(又はアゴニスト性抗-TNF受容体結合物質)中のインキュベーションによりIFN-α分泌をブロックすることができるかに関する図16に要約した限定的でない理論を提供している。従って、TNFと共にインキュベーションされたpDCは、成熟pDCとなるよう促進され、これはIFN-αを分泌しない。
【実施例10】
【0116】
実施例10:TNFはpDC個体発生を阻害する
次に、TNFのpDCに対する作用は、それらの成熟/IFN-α産生について制限されるかどうか、もしくは骨髄系樹状細胞分化の調節に関与している主要なプロ炎症性サイトカインであるTNFも同じくpDCの造血前駆細胞からの分化に影響を及ぼすかどうかを決定する研究を行った。これらの研究において、CD34+CD45RA-造血前駆細胞を、フローサイトメトリーにより、純度90%以上で選別し、引き続きFlt3L(100ng/mL、R&D社)、トロンボポエチン(TPO、30ng/mL、R&D社)、及びインターロイキン-6(IL-6、25ng/mL、R&D社)又は腫瘍壊死因子(TNF、100ng/mL、R&D社)のいずれかの存在下で培養し、第一週の培養は2/5 x 105〜5 x 105/ウェルの密度であった。その後これらの細胞を洗浄し、更に約3週間、Flt3L(100ng/mL)のみと共に培養した。
【0117】
図15は、TNFは、骨髄系DCを選択し、形質細胞系DCの分化をブロックすることを示す、フローサイトメトリー実験の結果を示している。pDC分化は、CD11cネガティブCD123ポジティブ染色により同定された、pDCによる細胞表面マーカー発現のフローサイトメトリー分析により決定した。従って、第一週のTNF添加は、CD123+CD11c- pDCへの前駆細胞分化の完全な阻害を生じ、かつCD123-DC11c+骨髄系DCへの分化へ歪曲された。従って、TNF及び/又はアゴニスト性抗-TNF受容体抗体は両方とも、前駆細胞細胞上のTNF受容体を刺激するが、これらはpDCの分化をブロックし、かつ前駆細胞の骨髄系DCへの分化を再指示する。
【0118】
本研究は、いかにしてIFN-αの産生及び分泌は、前駆細胞のTNF(又は、アゴニスト性抗-TNF受容体結合物質)への曝露によりブロックされ得るかに関する図16に示した限定的でない理論を提供している。このような曝露は、インターフェロンを産生し得るpDCの出現の阻害につながり、その結果インターフェロンの産生及び分泌をブロックする。
【実施例11】
【0119】
実施例11:Flt3LレベルはSLEに罹患した対象の血清中で上昇される
前記実施例において説明されたように、衰えないDC誘導は、SLEにおける自己免疫応答の破綻を起動し、かつ本願明細書に記されたように、IFN-α及びFlt3Lを共に標的化することにより制御され得ると考えられる。しかし本願明細書において「DC-ポエチン」と称される他のサイトカインは、in vivoにおいて抗原提示細胞へ分化するために、DCを移動及び/又は活性化することができる。このDCの移動又は活性化は、多くの異なる方法で起こり得る。例えばこのようなDC-ポイエチンは、プレDC細胞の成熟樹状細胞への分化を増大することができ、これは免疫原性反応を増大し続けかつ自己免疫応答を増悪することができる。別の例として、DC-ポイエチンは、対象における自己免疫応答に寄与する新たな成熟DCの実際の産生を増大することができ、もしくはDC-ポイエチンは成熟DCの活性を増大することができる。
【0120】
ある限定的でないDC-ポイエチンは、Flt3Lであり、これはヒト及びマウスのモデルにおいて、in vivoにおいて骨髄系及び形質細胞系の両方のDCを大量に移動することが示されている(Maraskovskyら、Adv. Exp. Med. Biol. 417:33-40 (1997);J. Exp. Med.、184(5):1953-62 (1996);Blood、96(3):878-84 (2000))。
更に、本発明において示されたように、CD34+造血幹細胞のFlt3Lとの培養は、形質細胞系DCのみではなく、CD11c+骨髄系DCに加え単球も生じた。
【0121】
SLE患者(83種血液試料)に加え健常対照(35種血液試料)の血清Flt3Lレベルを、市販のELISA(R&D社)を用いて決定した。図17に示したように、SLE患者は、健常対象から採取した血清において測定された値に比べ有意に高い血清Flt3Lレベルを有し(p<0.002)、これは血清の<12.5〜582pg/mLの範囲であった。SLE患者からの83種の血液試料及び健常患者からの35種の血液試料(健常対照)は、市販のELISAを用いて試験した。これらの血清試料中のFlt3Lレベルの差異は、パラメトリック解析及びノンパラメトリック解析の両方を用い、統計学的に有意であった。
【実施例12】
【0122】
実施例12:Flt3L血清レベルは自己免疫疾患活動性に相関する
血清Flt3Lレベルは、SLE Disease Activity Index (SLEDAI)により測定した疾患活動性と相関することが決定した。図18に示したように、そこには有意な正の相関関係があり(p=0.02)、これはFlt3Lの高血清レベルを伴う個人は、高いSLE疾患活動性も示すことを指摘している。従って血清中のFlt3Lレベルの上昇の出現は、対象における自己免疫リスク又は活動型自己免疫疾患の指標である。
【実施例13】
【0123】
実施例13:Flt3Lは単球のDCへの分化を許容する
健常ドナーの末梢血単核細胞(PBMC)から単離された単球は、CD14ビーズを使用する陽性選択により単離されるか、もしくは接着により濃厚化され、その後2日間完全培養培地(10%熱-失活したウシ胎児血清を補充した、RPMI1640)において、Flt3L(100ng/mL)及びIL-3(10ng/mL)及び/又はIFN-α(1000U/mL)と共に培養されるかのいずれかである。対照培養は、GM-CSF及びIL-4により行った。図19Aは、Flt3L/IFN-α(1000u/mL)と共に培養された細胞を示している。図19Bは、GM-CSF(100ng/mL)/IL-4(5ng/mL)と共に培養された細胞を示している。図19Cは、IFNα(1000u/mL)/IL-3(10ng/mL)と共に培養された細胞を示している。図19Dは、Flt3L/IFN-α(1000u/mL)/IL-3(10ng/mL)と共に培養された細胞を示している。2日培養後、サイトスピン処理した単球をギムザ染色した。その結果Flt3L及びIFN-αと共に培養した単球は、形態学的(図19A-19D)、表現型(CD14低、DC-SIGN+、CD40+、HLA-DR+、CD11c+)、及び機能、すなわち樹状細胞機能の特徴である同種異系のCD4+ T細胞の増殖を誘導する能力(図20)により決定されたように、DCの特徴を示す細胞へ分化された。図20において、105個の精製した同種異系のCD4+ T細胞は、漸増数の抗原提示細胞と共に(横軸)、5日間培養した。T細胞増殖は、Flt3Lを補充した培地での培養後のチミジン取込み(縦軸、cpm x 103)により測定した。図21は、Flt3L及びIFN-αの活性のブロックにより変更され得るDCサブセットの出現及び分化のいくつかの経路をまとめ概略を示している。これらの治療的標的は、1)TNFによるかもしくはFlt3Lアンタゴニストによるか又はTNF及びFlt3Lアンタゴニストの両方の組合せのいずれかによりブロックすることができる、造血前駆細胞からpDCへの分化経路であり、その最終結果は、インターフェロン産生が、インターフェロンを産生することができる細胞の分化の阻害を通じて阻害されること、2)TNFにより促進することができる、pDC成熟経路であり、その最終結果は、pDCは非-インターフェロン産生細胞となり、その結果インターフェロンレベルが低下すること、3)単球から樹状細胞への分化経路であり、これはインターフェロンアンタゴニストによるか又はFlt3Lアンタゴニストによるか、又はインターフェロンアンタゴニスト及びFlt3Lアンタゴニストの組合せのいずれかによりブロックすることができ、この最終結果は、さもなければアポトーシス細胞を捕獲しかつ提示することができ、かつ自己反応性B細胞及び自己反応性T細胞の分化の誘導により、自己免疫疾患を起動するような樹状細胞の分化を阻害することを含む。
【実施例14】
【0124】
実施例14:SLE血清中のFlt3Lの中和はSLE血清が誘導した単球の樹状細胞への分化を阻害する
単球は、SLE患者から得た血清と共に培養した。Flt3Lに特異的に結合するモノクローナル抗体(抗-Flt3Lモノクローナル抗体)の有効量を、飽和濃度、すなわち濃度範囲が約1〜10倍モル過剰となるよう、単球細胞培養物へ、単球分化に適した培養条件下で添加した。3日インキュベーションした後、モノクローナル抗体を受け取っていない同じ単球培養物よりも、より少ない数の単球が、DCへ分化した。結果として、培養物中のFlt3L活性を中和するこのFlt3Lに対するモノクローナル抗体は、SLE-誘導した単球のDCへの分化を阻害する。
【実施例15】
【0125】
実施例15:Flt3Lアンタゴニスト及びインターフェロンアンタゴニストの組成物の、SLE血清中で増殖した単球への添加は、単球の抗原提示DCへの分化を阻害する
対象における自己免疫疾患を治療する方法は、対象において自己-抗体を産生する自己反応性T細胞及び自己反応性B細胞の刺激を引き起す抗原提示細胞の産生を低下又は阻害するために、本発明の治療的組成物を対象へ投与することにより、ここで例証されている。
【0126】
治療的組成物は、治療される患者の血清中において、各々、Flt3L及びIFN-αのレベルが約1〜10倍と等しいような、(a)ある量の抗-Flt3Lモノクローナル抗体及び(b)ある量の抗-IFN-αモノクローナル抗体により調製される。Flt3Lに対するモノクローナル抗体の調製法は公知であり、例えばこのような方法のひとつは、米国特許第5,843,423号「造血細胞のflt3-リガンドによる刺激法」の実施例6において開示されている。IFN-αに対するモノクローナル抗体の調製法は公知であり、例えばこの方法は、米国特許第5,919,453号に開示されている。
【0127】
血清を自己免疫疾患の対象から入手し、かつこの治療的組成物の投与を確証するために、Flt3L及びIFN-αの十分なレベルが血清中に存在することを確認するために試験した。
【0128】
この組成物は、該組成物中のこれらのふたつの構成要素の血清レベルがFlt3L及び/又はIFN-αの約1〜約10倍モル過剰の範囲であることを確実にするために、注射又は静脈内送達法により、毎日投与される。対象の状態の経過観察は、APCの生成レベルを決定するために、治療期間を通じて行った。対象血清中のDCの存在は、治療を通じて経過観察した。この治療は、自己免疫障害の症状が軽減した時点で停止し、かつ2回の連続する血液分析においてFlt3L及び/もしくはIFN-αレベルが増加傾向を示した時点並びに/又は自己免疫障害の症状が増悪した時点で、再開した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD4+ T細胞の増殖を誘導する樹状細胞の能力を低下させるための組成物であって、インターフェロンアンタゴニストを含み、該インターフェロンアンタゴニストが、抗-IFN-α抗体又はそれらの抗原結合性フラグメントである、組成物。
【請求項2】
抗-IFN-α抗体が、モノクローナル抗体、キメラ抗体、抗-イディオタイプ抗体、ヒト化抗体若しくは霊長類化抗体、又はこれらの組み合わせである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
インターフェロンアンタゴニストが、ヒト化抗-IFN-α抗体である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、更に担体を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
抗-IFN-α抗体が単一の有効成分である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
インターフェロンアンタゴニストの有効量が、インターフェロンの約1〜約10倍モル過剰のインターフェロンアンタゴニストを含有する、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
インターフェロンアンタゴニストが、I型インターフェロンのその受容体との結合を低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
インターフェロンアンタゴニストが、インターフェロン-依存型情報伝達を低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
インターフェロンアンタゴニストが、インターフェロンの血清レベルを低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
インターフェロンアンタゴニストが、インターフェロン受容体結合アッセイにより測定された、細胞からのインターフェロン分泌を低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
インターフェロンアンタゴニストが、インターフェロン受容体結合アッセイにより測定された、血清中のインターフェロンの生体利用性を低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
インターフェロンアンタゴニストが、単球分化アッセイにより測定された、血清中のインターフェロンの生体利用性を低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
インターフェロンアンタゴニストが、単球分化アッセイにより測定された、対象におけるI型インターフェロンを産生する細胞の出現を低下する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
抗原提示が可能な樹状細胞への単球の分化を阻害するための組成物であって、
I型インターフェロンの活性を低下する少なくとも1種のインターフェロンアンタゴニスト及び担体からなり、
該インターフェロンアンタゴニストが、ヒト化された抗-IFN-α抗体又はそれらの抗原結合性フラグメントを含む、組成物。
【請求項15】
組成物が、抗原提示が可能な樹状細胞へのCD14+単球の分化を阻害する、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、更に担体を含有する、請求項14記載の組成物。
【請求項17】
抗-IFN-α抗体が単一の有効成分である、請求項14記載の組成物。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−132736(P2009−132736A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63336(P2009−63336)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2002−567137(P2002−567137)の分割
【原出願日】平成14年1月8日(2002.1.8)
【出願人】(503247975)ベイラ、リサーチ、インスティテュート (3)
【Fターム(参考)】