説明

対象物間のネットワーク解析装置

【課題】 撮影された画像に写っている対象物間の連結関係の解析を効率良く行うことが可能な対象物間のネットワーク解析装置を提供する。
【解決手段】 対象物が写っている撮影画像から複数の対象物を選択し、対象物の位置を明示する菱形形状の対象物マーカーを設定する。対象物マーカーは、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない状態では、その長軸の1/2の長さの線分と菱形形状により示される(a)。リンク設定処理が開始されると、対象物マーカーの頂点の近接箇所において、リンクが設定される。リンク設定状態では、リンクを設定される側の対象物マーカーは、リンク設定前と変化がないが、リンクを設定する側の対象物マーカーには、短軸となる2頂点を結ぶ線分が追加される(b)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された画像において、写っている対象物間の連結関係を解析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自然界における事物は互いに何らかの連結関係を持っていることが多く、撮影により得られた画像中の対象物の連結関係を探る試みが行われている。特に、細胞は組織を構成する要素であるため、単独で存在することはまれで、近傍の細胞と接着する場合があり、培養条件により接着の有無、接着の方向性、複数の細胞と接着などを評価したいという要望がある。細胞間の関係については、受精卵からの細胞分裂・発生過程をまとめた細胞系譜作成における母細胞と娘細胞間のリンクの設定をノマルスキー型4次元顕微鏡を用いて行う事例が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2002−45018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1におけるリンクは、遺伝学上のリンクであり、物理的なリンクに関するものではない。そのため、撮影画像中の細胞間の物理的なリンクは、手作業で設定せざるを得ないが、一般に、対象物(ノード)の数がN個あると、設定可能なリンクの数はNの2乗のオーダーになるため、手作業の負荷は膨大になる。また、リンクの設定は、分岐点箇所などで多様な解釈が存在し、設定漏れや重複設定が起こり易いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、撮影された画像に写っている対象物間の連結関係の解析を効率良く行うことが可能な対象物間のネットワーク解析装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明第1の態様では、画像データより複数の対象物を選択し、対象物の位置を明示する対象物マーカーを前記画像データ上に設定する対象物設定手段と、前記設定された対象物マーカーAに対して、同一画像データ上で近傍に位置する他の対象物マーカーBにリンクを張り、当該対象物マーカーBにリンクを張っていることを明示する識別マークを前記対象物マーカーAに付加する対象物間リンク設定手段と、前記複数の対象物の中で設定されているリンクにより連結されている対象物のグループを1つまたは複数個抽出する対象物グループ抽出手段と、前記対象物グループごとに構成される対象物の中に複数の対象物からリンクを張られている対象物を分岐点として抽出する分岐点解析手段を有することを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置を提供する。
【0007】
本発明第1の態様によれば、画像中の複数の対象物にそれぞれ対象物マーカーを設定し、各対象物マーカーから他の対象物マーカーにリンクを張り、リンクにより連結された対象物グループごとにリンクが張られている対象物を分岐点として抽出するようにしたので、撮影された画像に写っている対象物間の連結関係の解析を効率良く行うことが可能となる。
【0008】
また、本発明第2の態様では、本発明第1の態様におけるネットワーク解析装置において、前記対象物間リンク設定手段は、各対象物マーカーは、他の複数の対象物マーカーからのリンクを受け入れるが、他の対象物マーカーへのリンクは1個だけ設定可能としていることを特徴とする。
【0009】
本発明第2の態様によれば、本発明第1の態様において、各対象物マーカーは複数のリンクを受け入れるが、1つだけしかリンクを張ることができないようにしたので、多様な解釈が存在する分岐点の特定が容易になり、設定漏れや重複設定が起こり難くなるという特徴がある。
【0010】
また、本発明第3の態様では、本発明第2の態様におけるネットワーク解析装置において、前記対象物間リンク設定手段は、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーAの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーBの所定のエッジ点に所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクを設定することを特徴とする。
【0011】
本発明第3の態様によれば、本発明第2の態様において、対象物マーカーAの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーBの所定のエッジ点に所定の距離内に近接している場合に、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクを設定するようにしたので、各対象物間のリンク設定を簡易迅速に行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明第4の態様では、本発明第3の態様におけるネットワーク解析装置において、前記対象物間リンク設定手段は、他の対象物マーカーBへのリンクを既に設定している対象物マーカーAの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーCの所定のエッジ点に所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーCから対象物マーカーAへのリンクを設定することを特徴とする。
【0013】
本発明第4の態様によれば、本発明第3の態様において、既に他へのリンクが張られており、本発明第2の態様に基づき他へのリンクを重複して張ることができない場合であっても、他からの複数のリンクは受け入れ可能であるため、代わりに他から逆方向にリンクを張ってもらうようにしたので、常に所定の距離内に近接している対象物間へリンクを張ることが可能となる。
【0014】
また、本発明第5の態様では、本発明第3の態様におけるネットワーク解析装置において、前記対象物間リンク設定手段は、他の対象物マーカーBへのリンクを既に設定している対象物マーカーAの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーDへのリンクを既に設定している対象物マーカーCの所定のエッジ点に所定の距離内に近接しており、対象物マーカーAの所定のエッジ点が対象物マーカーDの所定のエッジ点に所定の距離以上に離れている場合、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクを解除し、対象物マーカーBから対象物マーカーAへのリンクを設定し、対象物マーカーAから対象物マーカーCへのリンクを設定することを特徴とする。
【0015】
本発明第5の態様によれば、本発明第3の態様において、2つの対象物それぞれが既に他へのリンクを張っており、本発明第2の態様に基づき、いずれの方向からも双方向にリンクを重複して張ることができない場合であっても、一方の対象物マーカーが他へのリンクを解除するとともに、他から当該対象物へリンクを設定してもらうように、リンクを張り替えるようにしたので、常に所定の距離内に近接している対象物間へリンクを張ることが可能となる。
【0016】
また、本発明第6の態様では、本発明第2から第5のいずれかの態様におけるネットワーク解析装置において、前記対象物マーカーは菱形形状をしており、長軸方向の2つの頂点を前記所定のエッジ点とし、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーAの長軸方向の2つの頂点のいずれかが、対象物マーカーBの長軸方向の2つの頂点のいずれかと所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクを設定することを特徴とする。
【0017】
本発明第6の態様によれば、本発明第2から第5のいずれかの態様において、菱形形状の対象物マーカーの長軸方向の2点をエッジ点として、このエッジ点を基準として、リンクを設定するようにしたので、細胞の方向性を考慮したリンクの設定が可能となる。
【0018】
また、本発明第7の態様では、本発明第1から第6のいずれかの態様におけるネットワーク解析装置において、前記分岐点解析手段は、前記対象物グループごとに構成される各対象物マーカーの長さ、幅、面積からなる幾何学形状パラメータをもとに、長さの総和値、幅の最大値、幅の平均値、面積の総和値を算出することを特徴とする。
【0019】
本発明第7の態様によれば、本発明第1から第6のいずれかの態様において、各対象物マーカーの幾何学形状パラメータを基礎として連結されたグループの長さの総和値、幅の最大値、幅の平均値、面積の総和値を算出するようにしたので、連結されたグループ全体の形態を迅速に解析することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、撮影された画像に写っている対象物間の連結関係の解析を効率良く行うことが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るネットワーク解析装置の構成図である。
【図2】本発明のネットワーク解析装置が発生させる対象物マーカーの一例を示す図である。
【図3】多数の対象物マーカーが存在する状況における、対象物マーカー間のリンク設定前とリンク設定後の様子を示す図である。
【図4】手動でリンク設定を変更する場合の様子を示す図である。
【図5】対象物間のネットワーク・トポロジー解析の大まかな流れを示す図である。
【図6】対象物グループ抽出手段43によるツリー解析の詳細を示す図である。
【図7】分岐点解析手段44による各ツリーの分岐点解析と幾何形状解析の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(1.細胞の培養および撮影)
本発明に係るネットワーク解析装置は、撮影画像中の様々な対象物の連結関係を解析可能であるが、特にその対象として有望なのが、細胞を対象物とする場合である。特に、血管内皮細胞などの血管系細胞のネットワーク構造を解析する際に有用である。細胞の連結関係を解析する場合、事前に細胞を培養し、培養した細胞を撮影する工程が必要になる。本実施形態では、細胞接着可変領域/細胞非接着性領域が設けられた表面を有する細胞培養基材を用意し、この基材上で細胞を培養する。例えば、細胞接着可変領域/細胞非接着領域が50ミクロン/100ミクロンの幅のラインパターンを有する基材上に細胞を播種すると、所定条件で培養することで、細胞接着可変領域のみに細胞が接着し、増殖していく。所定時間接着させた後に、細胞接着性可変領域の表面が変化するような環境に暴露させ、ゼラチンなどの生体材料と接触させることで細胞パターンを維持したまま細胞の回収を行うことができる。回収した細胞パターンを他の細胞シート間に挟みこみ、擬似的な3次元組織を生体外で作製し、その挙動を解析することもできる。その際に、ライン状に構築した血管のパターンが擬似3次元組織内でどのような挙動を示すかといった研究も盛んに行われている。あらかじめデザインされたパターンであっても、3次元組織の環境においては、そのパターン維持されるケースと維持されないケースがある。つまり、ある間隔でラインパターンを構築していたひも状の細胞が相互に刺激し合い(パラクライン効果)、細胞間の橋架けを生じることも十分考えられる。橋架けが起こると、分岐点や枝の本数が増えるため、パターンの設計(ライン幅、間隔)と得られる血管ネットワーク構造の関係を系統的に解析するといった研究も多い。そこで、擬似3次元組織を作製し、血管系細胞を特異的に染色する処理をしておき、共焦点レーザー顕微鏡(カールツァイス、LSM5など)で画像を取得することが必要である。
【0023】
(2.装置構成)
画像ファイルが取得できたら、本発明に係るネットワーク解析装置により、この画像ファイル内の対象物の連結関係の解析を行う。まず、本発明に係るネットワーク解析装置の構成について説明する。図1は本発明に係るネットワーク解析装置の構成図である。図1において、10は画像データ記憶手段、20は画像表示手段、30は入力指示手段、40は演算処理部、41は対象物設定手段、42は対象物間リンク設定手段、43は対象物グループ抽出手段、44は分岐点解析手段である。
【0024】
画像データ記憶手段10は、前準備により得られた画像ファイル(細胞撮影画像)を記憶しているとともに、ネットワーク解析処理により生じる種々のデータを記憶するものであり、ハードディスク等のコンピュータに接続または内蔵された記憶装置により実現される。画像ファイルとしては、具体的には、Metamorph(モレキュラーデバイス社)等により処理されたものが準備される。また、画像データ記憶手段10内の画像ファイルは、複数の静止画像(フレーム)の集合として存在する動画ファイルでも良い。動画ファイルとしては、具体的には、オリンパス社のソフトウェアDPManager、NIH社のソフトウェアImageJおよびそのプラグインソフトウェアであるMTrackJなどにより処理されたものが準備される。また、画像データ記憶手段10は、画像上の座標値に基づく距離をSI単位系の距離に変換することを可能とするため、撮影画像の縮尺情報を記憶している。さらに、画像データ記憶手段10は、画像データ記憶手段10に動画ファイルが記憶されている場合には、タイムラプスデータの情報として、各静止画像が実際にどの程度の時間間隔で撮影されたものであるかを示す情報をフレームレートとして記憶している。
【0025】
画像表示手段20は、画像データ記憶手段10内に記憶された画像ファイルまたは動画ファイルを構成する各フレームを静止画として表示するものであり、液晶ディスプレイ等のコンピュータに接続された各種表示装置により実現される。入力指示手段30は、演算処理部40に対して、様々な入力指示を行うためのものであり、キーボード、マウス等の入力指示機器により実現される。
【0026】
演算処理部40は、対象物設定手段41、対象物間リンク設定手段42、対象物グループ抽出手段43、分岐点解析手段44を有しており、コンピュータのCPU、ビデオメモリ、描画アクセラレータおよび主メモリにより実現される。対象物設定手段41、対象物間リンク設定手段42、対象物グループ抽出手段43、分岐点解析手段44は、主メモリに専用のプログラムを読み込み、CPUが適宜描画アクセラレータに所定の指令を出し、ビデオメモリに所定のデータを書き込みながら実行することにより実現される。図1に示したネットワーク解析装置は、現実には汎用のコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現される。
【0027】
(3.処理動作)
次に、図1に示したネットワーク解析装置の処理動作について説明する。システムを起動すると、対象物設定手段41が、画像データ上において対象物を検出し、検出した対象物に対象物マーカーを設定する。
【0028】
画像データ内の対象物の検出は、静止画像中から対象物を検出するための公知の技術を採用することができる。検出された対象物の特定手法としては、様々なものがあるが、ここでは、画像データ上における対象物のx座標最大値、x座標最小値、y座標最大値、y座標最小値の4つの値で特定するものとし、この4つの値で特定される矩形領域を対象物領域とする。なお、画像データにおける対象物の特定は、コンピュータが検出するものでなくても良く、対象物設定手段41により画像表示手段20に表示された画像を肉眼で確認し、利用者が、入力指示手段30を利用して画像データ上における対象物を特定するようにしても良い。
【0029】
続いて、対象物設定手段41は、特定した対象物のxy最大最小値を基に検出された対象物領域を構成する画素のX方向およびY方向の範囲を明示する輪郭線を発生させ、この輪郭線を対象物マーカーとして顕微鏡画像に重ねて表示出力する。
【0030】
次に、この対象物マーカー発生の詳細について説明する。まず、対象物領域を構成する画素のXY座標値の平均値をもとに重心座標を算出する。そして、重心座標より互いに180度反対の2方向に延ばした直線と対象物領域を構成する画素とが最も重心座標より離れた位置で交差する直線方向を長軸とする。さらに、長軸に対して直交し、重心座標より互いに180度反対の2方向に延ばした直線と対象物領域を構成する画素とが最も重心座標より離れた位置で交差する直線方向を短軸とする。このようにして求められた長軸および短軸を利用し、この長軸と短軸で構成される菱形を対象物マーカーとして発生させる。
【0031】
このようにして対象物設定手段41により発生された対象物マーカーの一例を図2(a)に示す。図2(a)に示すように、初期状態では、対象物マーカーは輪郭線と長軸を表示した状態で設定される。長軸の一方の端点を軸始点、他方の端点を軸終点とする。また、長軸上に位置しない他の2点間の長軸と直交する方向における距離を幅方向とする。
【0032】
対象物設定手段41は、発生させた対象物マーカーに、各対象物マーカーを特定するためのマーカーIDを付与し、菱形形状の4頂点(エッジ点)の座標値と対応付けて、画像データ記憶手段10に登録する。
【0033】
次に、対象物間リンク設定手段42が、設定された対象物マーカー間にリンクを設定する。各対象物マーカーからは他の1つの対象物マーカーだけに対してリンクを設定することが可能となっている。他の対象物マーカーから設定されるリンクの数については制限はない。具体的なリンク設定ルールとしては、まず、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーAの長軸の軸始点または軸終点のいずれかが、他の対象物マーカーBの軸始点または軸終点のいずれかに所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクを設定する。
【0034】
また、他の対象物マーカーBへのリンクを既に設定している対象物マーカーAの長軸の軸始点または軸終点のいずれかが、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーCの軸始点または軸終点のいずれかに所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクはそのままにするため、対象物マーカーAから対象物マーカーCへのリンクは前述のリンク設定ルールにより設定できない。そこで逆に、対象物マーカーCから対象物マーカーAへのリンクを設定する。
【0035】
ここで、他の対象物マーカーに対してリンクを張っていない対象物マーカー、他の対象物マーカーに対してリンクを張っていない対象物マーカーの一例をそれぞれ図2(b)(c)に示す。リンクを張っていない対象物マーカーは、図2(b)に示すように、菱形の内部に軸始点を始点とし、長軸の1/2の長さの線分を発生させたものとなっている。また、リンクを張っている対象物マーカーは、図2(c)に示すように、リンクを張っていない対象物マーカーにさらに長軸上に位置しない他の2つの菱形の頂点を結んだ線分を追加したものとなっている。対象物間リンク設定手段42によるリンク設定処理後は、図2(b)(c)に示したような2種類の対象物マーカーが撮影画像上に表示されるため、リンク設定状況が一目瞭然となる。
【0036】
具体的なリンク設定は、対象物間リンク設定手段42が、対象物マーカーを特定するためのマーカーIDに対応付けてリンク先の対象物マーカーのマーカーIDをリンク先マーカーIDとして登録することにより行われる。
【0037】
通常、撮影画像中には多数の対象物が存在するため、多数の対象物マーカーが設定されることになる。図3に、多数の対象物マーカーが存在する状況における、対象物マーカー間のリンク設定前とリンク設定後の様子を示す。図3(a)は、リンク設定前の様子、図3(b)は、リンク設定後の様子を示している。図3(a)において、点線の円で示した2箇所は、対象物マーカーの軸始点、軸終点のいずれかが、他の対象物マーカーの軸始点、軸終点のいずれかと所定の距離内に近接している箇所を示している。図3(a)に示した対象物マーカー群に対して、対象物間リンク設定手段42がリンク設定処理を実行した結果、対象物マーカー群は、図3(b)に示したような状態に変更される。図3(a)において、軸始点、軸終点のいずれも近接箇所となっている中央の対象物マーカーは、右側の3つの対象物マーカーとの近接箇所においては、軸終点として他の3つの対象物マーカーからリンクが設定され、左側の対象物マーカーとの近接箇所においては、軸始点として他の単一の対象物マーカーにリンクを設定する。左側の近接箇所において、左端の対象物マーカーは、右側の対象物マーカーからリンクが設定されるため、左端が軸始点、右端が軸終点に設定される。
【0038】
対象物マーカーは、上述のように、対象物設定手段41が、対象物検出処理を実行し、対象物であると判断された対象物領域に設定されるが、他の対象物マーカーから設定されるリンクの数については制限はないものの、各対象物マーカーからは他の1つの対象物マーカーだけに対してリンクを設定することが可能となっている。そのため、たとえ対象物マーカー間が所定の距離内に近接していても、そのままではリンクを張ることができない場合が発生する。このような状況に対応するため、本システムでは、リンクの方向転換、張替えなどのリンク設定の補正を自動的に行う機能をもたせている。
【0039】
図4は、自動的にリンク設定を変更することが必要となる場合の事例を示す図である。図4(a)に示すように、対象物マーカーDが対象物マーカーFにリンクを設定するとともに、対象物マーカーEが対象物マーカーGにリンクを設定している場合、対象物マーカーDと対象物マーカーEの軸始点、軸終点のいずれかが近接していても、対象物マーカーDと対象物マーカーEの間にリンクは設定されない。このような場合であっても、対象物マーカーD〜対象物マーカーGが付されている対象物を撮影画像上で確認すると、対象物マーカーDと対象物マーカーEの間にリンク設定するべき状況が存在する。
【0040】
この場合、対象物間リンク設定手段42は、まず対象物マーカーFと対象物マーカーGの軸始点、軸終点のいずれかが近接しているか否かを確認し、近接している場合は、対象物マーカーDと対象物マーカーEの間にリンクを設定せず、代わりに、対象物マーカーFから対象物マーカーGへのリンクまたは対象物マーカーGから対象物マーカーFへのリンクを設定する。対象物マーカーFと対象物マーカーGの軸始点、軸終点のいずれもが近接していない場合は、対象物マーカーFが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが存在するか否かを確認し、存在しないことが確認できた場合、対象物間リンク設定手段42は、対象物マーカーDから対象物マーカーFへのリンクを外し、逆に対象物マーカーFから対象物マーカーDへのリンクを再設定する。この結果、対象物マーカー間のリンク関係は、図4(b)に示すような状態に変更される。
【0041】
この段階で対象物マーカーDが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが無くなるため、続いて、対象物間リンク設定手段42は、対象物マーカーDから対象物マーカーEへのリンクを設定する処理を行う。対象物マーカーDと対象物マーカーEの間のように軸始点、軸終点のいずれも接していない場合、リンクを設定すると同時に、対象物間リンク設定手段42は、対象物マーカー同士の軸始点と軸終点が接するように、対象物マーカーDと対象物マーカーEを移動させる。この結果、対象物マーカー間のリンク関係は、図4(c)に示すような状態に変更される。
【0042】
また、対象物マーカーFと対象物マーカーGの軸始点、軸終点のいずれもが近接していない場合で、対象物マーカーFが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが存在する場合、対象物マーカーGが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが存在するか否かを確認し、存在しないことが確認できた場合、対象物マーカーEから対象物マーカーGへのリンクを外し、逆に対象物マーカーGから対象物マーカーEへのリンクを再設定する。この段階で対象物マーカーEが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが無くなるため、対象物間リンク設定手段42は、対象物マーカーEから対象物マーカーDへのリンクを設定する処理を行う。
【0043】
更に、対象物マーカーFと対象物マーカーGの軸始点、軸終点のいずれもが近接していない場合で、対象物マーカーFが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが存在し、かつ、対象物マーカーGが他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが存在する場合、対象物間リンク設定手段42は、対象物マーカーFまたは対象物マーカーGがリンクを設定している各々のリンク先の対象物マーカーに対して、他の対象物マーカーに対して設定しているリンクが存在するか否かを同様に確認し、存在しないことが確認できた場合、リンク方向を逆にするような補正処理を同様に行う。
【0044】
対象物間リンク設定手段42による対象物マーカー間のリンク設定が終わったら、対象物グループ抽出手段43、分岐点解析手段44が、対象物間のネットワーク・トポロジー解析を行う。対象物間のネットワーク・トポロジー解析の大まかな流れを図5に示す。まず、対象物グループ抽出手段43が、リンクにより連結されている対象物のグループを抽出する。このグループの抽出にあたり、ツリー解析を用いる。具体的には、リンクで接続された一連の対象物マーカー群をツリーとし、撮影画像中で設定されたN個の対象物マーカーをM個のツリーに分類する(S100)。このツリーが、対象物のグループに相当する。
【0045】
対象物グループ抽出手段43によるツリー解析の詳細を図6に示す。ツリー解析にあたり、N個の対象物マーカーS(i)(i=0,1,2,・・・,N−1)が他のマーカーS(j)にリンクを設定している場合、L(i)=jとし、リンクを設定していない場合、L(i)=−1とする。また、求めようとするツリーの個数をM、N個の対象物マーカーに付与するツリーIDをT(i)とする。このように定義した状態で、最初に、i=0、M=0とするとともに、j=0,1,2,・・・,N−1においてT(j)=0に初期化する(S101)。
【0046】
次に、ツリーIDが0であるかどうかを判断する(S102)。ツリーIDが0である場合、その対象物マーカーにツリーIDが設定されていないことを意味するので、ツリー個数を示す変数Mを1増加し、その対象物マーカーのツリーIDに変数Mを設定する(S103)。S102においてツリーIDが0でない場合、およびS103においてツリーIDにMが設定された場合は、その対象物マーカーのリンク先の対象物マーカーのツリーIDが0、すなわちT(L(i))=0であるかどうかを判断する(S104)。ある対象物マーカーが属するツリーと、その対象物マーカーのリンク先の対象物マーカーが属するツリーは同じであるので、両者のツリーIDを同一に設定する必要がある。したがって、リンク先の対象物マーカーのツリーIDが0である場合は、そのツリーIDであるT(L(i))をリンク元のツリーIDであるT(i)と同じ値に設定する(S105)。
【0047】
S104において、その対象物マーカーのリンク先の対象物マーカーのツリーIDが0でないと判断された場合には、既にリンク先の対象物マーカーのツリーIDが設定されていることになる。この場合であっても、ある対象物マーカーが属するツリーと、その対象物マーカーのリンク先の対象物マーカーが属するツリーは同じであるので、両者のツリーIDを同一に設定する必要がある。そこで、S106〜S109において、若いツリーIDに統一する処理を行う。
【0048】
まず、リンク先の対象物マーカーのツリーIDであるT(L(i))と、リンク元の対象物マーカーのツリーIDであるT(i)のどちらが大きいかを判断する(S106)。そして、S107、S108においては、S106における判断の結果、小さい方をT1に、大きい方をT2に設定する。具体的には、T(L(i))の方が大きい場合は、T(i)をT1に、T(L(i))をT2に設定し(S107)、T(i)の方が大きい場合は、T(L(i))をT1に、T(i)をT2に設定する(S108)。
【0049】
そして、全ての対象物マーカーのツリーIDであるT(j)について、その値がT2であれば、T1に変更する(S109)。これは、リンク元とリンク先の対象物マーカーのツリーIDうち、大きい方と同一のツリーIDをもつ対象物マーカーのツリーIDを全て小さい方のツリーIDに統一する処理である。さらに、S109においては、全ての対象物マーカーのツリーIDであるT(j)について、その値がT2より大きければ、そのツリーIDの値を1だけ減じる。これは、T2の値を持つツリーIDをT1に変更したことによりT2が欠番となるため、その後のツリーIDの値を1ずつ詰める処理である。S109における処理を終えたら、ツリー個数を示す変数Mを1だけ減じる(S110)。
【0050】
S105における処理、またはS106〜S110における処理により、リンク元とリンク先のツリーIDを統一したら、次の対象物マーカーに対して処理すべく、変数iを1だけ増加する(S111)。そして、iがNに達したかどうかを判断する(S112)。iが総マーカー数Nに満たない場合は、S102に戻って処理を繰り返し、iが総マーカー数Nに達した場合は、全ての対象物マーカーに対して処理を行ったことになるので、終了する。対象物グループ抽出手段43が、図6のフローチャートに従った処理を実行した結果、各対象物マーカーには、ツリーIDが付与され、同一のツリーIDをもつ対象物マーカーは同じツリーに属するものとしてグループに分類される。
【0051】
対象物グループ抽出手段43によるツリー解析が終わったら、分岐点解析手段44が、ツリーごとの分岐点解析と幾何形状解析を行う。具体的には、図5に示したように、ツリーごとに、2つ以上の対象物マーカーよりリンクが張られている対象物マーカーの数を解析し(S200)、ツリーごとに、構成する対象物マーカーの長さと面積の総和値を算出出力し、構成する対象物マーカーの幅の最大値を出力する(S300)。
【0052】
分岐点解析手段44は、解析にあたり、初期設定を行う。具体的には、N個の対象物マーカーに対して、他の対象物マーカーより設定されているリンク数(これを「分岐数」とする。)をB(i)(i=0,1,2,・・・,N−1)とする処理を行う。また、初期状態をj=0,1,2,・・・,N−1においてB(j)=0とした後、i=0,1,2,・・・,N−1において、L(i)≧0の場合、B(L(i))=B(L(i))+1なる演算を順次実行する。これにより、各リンク先の対象物マーカーL(i)の分岐数B(L(i))が算出される。
【0053】
分岐点解析手段44による各ツリーの分岐点解析と幾何形状解析の詳細を図7に示す。N個の対象物マーカーの各々に対して、対象物マーカーの長さをD(i)、対象物マーカーの面積をA(i)、対象物マーカーの幅をW(i)とする(ただし、i=0,1,2,・・・,N−1)。分岐点解析手段44は、まず、各ツリーごとに、ツリーの総分岐数Bt(j)、ツリーの長さDt(j)、ツリーの面積At(j)、ツリーの最大幅Wt(j)を設定した後、i=0とし、j=0,・・・,M−1において、Bt(j)=Dt(j)=At(j)=Wt(j)=0とする処理を行う(S201)。
【0054】
続いて、分岐点解析手段44は、各ツリーについて、ツリーの総分岐数Bt(T(i))、ツリーの長さDt(T(i))、ツリーの面積At(T(i))、ツリーの最大幅Wt(T(i))を求める処理を行う(S301)。具体的には、B(i)>1であれば、その対象物マーカーS(i)は複数の対象物マーカーからリンクが設定されていることを意味し、分岐点となっているので、まず、総分岐数Bt(T(i))を1だけ増加する。また、ツリーの長さDt(T(i))に、その対象物マーカーS(i)の長さD(i)を加算する。さらに、ツリーの面積At(T(i))に、その対象物マーカーS(i)の面積A(i)を加算する。さらに、B(i)>1を満たした状態で、対象物マーカーS(i)の幅W(i)がW(i)>Wt(T(i))を満たすのであれば、ツリーの最大幅Wt(j)をその対象物マーカーS(i)の幅W(i)に置き換える処理を行う。
【0055】
なお、S301において、W(i)≦Wt(T(i))であれば、ツリーの最大幅に変化はないので、Wt(T(i))に対しては、何ら処理を行わない。また、B(i)≦1であれば、対象物マーカーS(i)においては、分岐していないことを意味するので、S301におけるBt(j)、Dt(j)、面積At(j)、Wt(j)に対する更新処理は行われない。
【0056】
対象物マーカーS(i)についてのS301の処理が終わったら、iの値を1増加して、次の対象物マーカーS(i)についてS301の処理を実行する。このようにして、N個全ての対象物マーカーS(i)についてS301の処理を実行し、N個の対象物マーカーS(i)について、S301の処理が終わったら、ツリーごとの分岐点解析、幾何形状解析処理を終了する。
【0057】
上記S301における処理においては、ツリーの総分岐数Bt(T(i))、ツリーの長さDt(T(i))、ツリーの面積At(T(i))、ツリーの最大幅Wt(T(i))を求める処理を行ったが、さらに各対象物マーカーS(i)の幅W(i)の平均値を求めるようにしても良い。この場合、W(i)>Wt(T(i))という条件を課す必要は無い。
【0058】
これらのパラメータ(ツリーの総分岐数、長さ、面積、幅)は、血管ネットワークの定量化に大いに役立つものである。特に再生医療分野においては、生体外で擬似3次元組織を構築し、それを生体に戻すという一連の流れにおいて、如何に効率的に血管ネットワークを擬似3次元組織内で構築するかという重要な課題があり、研究が盛んに行われている。その際、あらかじめ任意にデザインされた血管パターンが擬似3次元組織内でどのような挙動を示すかを解析する必要がある。また、血管系組織のラインパターンがある程度近接していると、相互に刺激し合うことによりパターンの橋架け(ブリッジ)を起こしやすい。任意にパターンを設計する際に、パターンを維持するためにはある程度の間隔でラインパターンを設計することでブリッジが起こりにくくなる。任意にデザインされたパターンが3次元組織内でそのパターンを維持するためにはそのデザインを最適化する必要があるが、その場合、血管ネットワークの分岐数を指標に評価するといった研究も行われる。以上のことより、これらのパラメータは、血管系などの動的な組織を生体外で構築し、その挙動を解析する際に非常に有用な情報であると考えられる。
【0059】
以上のようにして、ネットワーク解析装置が処理を行った結果、各対象物マーカーが属するツリー(グループ)の詳細情報を得ることができる。このツリーは各対象物マーカーの連結関係を示しているため、各対象物マーカーが設定される基礎となった対象物間の連結関係と推定することができる。このため、結果として、対象物間の連結関係を解析することが可能となる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、処理対象として顕微鏡画像をもとにした画像データを用い、細胞を対象物として、その連結関係を解析するようにしたが、例えば、航空写真画像や地上監視カメラにより道路・線路等を撮影した画像データを用い、道路網、線路網等のネットワークを解析するようにしても良い。
【符号の説明】
【0061】
10・・・画像データ記憶手段
20・・・画像表示手段
30・・・入力指示手段
40・・・演算処理部
41・・・対象物設定手段
42・・・対象物間リンク設定手段
43・・・対象物グループ抽出手段
44・・・分岐点解析手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データより複数の対象物を選択し、対象物の位置を明示する対象物マーカーを前記画像データ上に設定する対象物設定手段と、
前記設定された対象物マーカーに対して、同一画像データ上で近傍に位置する他の対象物マーカーにリンクを張り、当該他の対象物マーカーにリンクを張っていることを明示する識別マークを前記対象物マーカーに付加する対象物間リンク設定手段と、
前記複数の対象物の中で設定されているリンクにより連結されている対象物のグループを1つまたは複数個抽出する対象物グループ抽出手段と、
前記対象物グループごとに構成される対象物の中に複数の対象物からリンクが張られている対象物を分岐点として抽出する分岐点解析手段と、
を有することを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象物間リンク設定手段は、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーAの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーBの所定のエッジ点に所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーAから対象物マーカーBへのリンクを設定することを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記対象物間リンク設定手段は、各対象物マーカーは、他の複数の対象物マーカーからのリンクを受け入れるが、他の対象物マーカーへのリンクは1個だけ設定可能としていることを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記対象物間リンク設定手段は、他の対象物マーカーBへのリンクを既に設定している対象物マーカーAの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーへのリンクを設定していない対象物マーカーCの所定のエッジ点に所定の距離内に近接している場合、対象物マーカーCから対象物マーカーAへのリンクを設定することを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記対象物間リンク設定手段は、他の対象物マーカーFへのリンクを既に設定している対象物マーカーDの所定のエッジ点が、他の対象物マーカーGへのリンクを既に設定している対象物マーカーEの所定のエッジ点に所定の距離内に近接しており、対象物マーカーFの所定のエッジ点が対象物マーカーGの所定のエッジ点に所定の距離以上に離れている場合、対象物マーカーDから対象物マーカーFへのリンクを解除し、対象物マーカーFから対象物マーカーDへのリンクを設定し、対象物マーカーDから対象物マーカーEへのリンクを設定することを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかにおいて、
前記対象物マーカーは菱形形状をしており、長軸方向の2つの頂点を前記所定のエッジ点とすることを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかにおいて、
前記分岐点解析手段は、前記対象物グループごとに構成される各対象物マーカーの長さ、幅、面積からなる幾何学形状パラメータをもとに、長さの総和値、幅の最大値、幅の平均値、面積の総和値を算出することを特徴とする対象物間のネットワーク解析装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のネットワーク解析装置として、コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−250440(P2010−250440A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97243(P2009−97243)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】