説明

封入システム、封筒印刷方法及び封筒印刷制御プログラム

【課題】顧客情報に応じて封筒あるいは内容物に印字される文字のデザインを変更し、あるいは文字を読み手の読みやすい形態に変更することができるようにする。
【解決手段】記憶媒体から顧客情報を読み込み(S101)、無条件にデフォルト設定を適用し(S102)、「変更設定」を先頭のものから読み込み(S103)、その「変更設定」の「条件」がS101で読み込んだ顧客情報に該当するか判定する(S104)。この判定で、該当する場合は「変更内容」を適用し(S105)、該当しない場合は「変更内容」の適用は行わない。そして、全ての「変更設定」を読み込み終えるまでこれを繰り返す(S106)。そして、全ての「変更設定」を読み込み終えたら、適用された設定によって文字データを生成し、印刷データを生成する(S107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入システム、封筒印刷方法及び封筒印刷制御プログラムに係り、さらに詳しくは、用紙、転写紙、シート部材、OHPシートなどのシート状記録媒体(以下、単に「用紙」と称する。)に画像形成を行うことが可能な画像形成装置を備え、封筒内容物を自動的に当該封筒に入れて郵便物を作成する封入システム、このシステムで実行される封筒への印刷方法、及び当該システムで実行される封筒印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客情報に応じて印刷物ごとに印刷内容を変えて印刷することができるバリアブル印刷が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1(特開平11−096150号公報)には、顧客毎に印刷物の内容をカスタマイズする目的で、顧客の個人データから対応情報を参照し、対応する素材データと割付パターンを選択し、一枚毎に異なる印刷データを生成し、印刷紙に形成して出力する構成が開示されている。具体的には、個々の顧客の個人データを入力する個人データ入力手段と、印刷物上に掲載する素材についての素材データを記憶する素材データ記憶手段と、前記素材についての複数の割付パターンを記憶する割付パターン記憶手段と、特定の個人データと特定の割付パターンとを対応づける対応情報を記憶する対応情報記憶手段と、前記入力手段が入力した個人データに基づいて前記対応情報を参照し、前記割付パターン記憶手段内の特定の割付パターンを選択する割付パターン選択手段と、前記素材データ記憶手段から所定の素材データを読み出し、この読み出した素材データに対して、前記割付パターン選択手段によって選択された割付パターンに基づく割付処理を行い、特定の顧客についての印刷用データを生成する割付処理手段と、前記割付処理手段が生成した印刷用データに基づいて、印刷を行う印刷手段と、を備えた個人データに基づく印刷物の作成システムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のバリアブル印刷では、顧客の情報に応じて異なるレイアウトで異なる素材、異なる文章を出力することはできたが、出力する文字の種類までは変更できず、さらに封筒に印刷する手段も、内容物を封入する手段も持ってはいなかった。そのため、顧客情報に応じて封筒あるいは内容物に印字される文字のデザインを変更し、あるいは文字を読み手の読みやすい形態に変更することは不可能で、封筒の印刷を見て、顧客が開封したいという欲求を引き出すことは難しかった。
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、顧客情報に応じて封筒あるいは内容物に印字される文字のデザインを変更し、あるいは文字を読み手の読みやすい形態に変更することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、第1の手段は、文字情報と顧客情報を入力する入力手段と、前記文字情報に基づいて封筒及び用紙に文字を形成する文字形成手段と、内容物を前記封筒に封入する封入手段とを備えた封入システムにおいて、顧客情報に応じて前記文字形成手段によって形成される文字の種類を変更する手段を備え、前記変更する手段によって変更された文字の種類で前記封筒に文字形成させることを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、前記文字の種類が文字の印字形態を含むことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段において、前記文字の印字形態が、ひらがな、漢字、ふりがなの有無、書字方向、行間及び字間を含むことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記文字の種類が、文字の印字サイズ、フォント及び色を含むことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段において、前記記憶手段に記憶された前記文字の種類について、予めデフォルトの設定と、デフォルトの設定を変更した複数の設定が用意され、前記変更する手段は、前記顧客情報に基づいて前記各設定から該当する文字の種類を選択し、変更することを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、入力された文字情報と顧客情報に基づいて、封筒に文字を印刷し、当該封筒に内容物を封入する封入システムにおける封筒印刷方法において、記憶手段に記憶された顧客情報を読み込み、文字形成に際し、形成する文字の種類について予め設定されたデフォルト設定を適用する第1の工程と、前記文字の種類について前記デフォルト設定に対して変更する複数の変更設定のうち、未読み込みの設定の中から先頭の変更設定を読み込む第2の工程と、前記第2の工程で読み込んだ変更設定の条件に前記顧客情報が該当するか否かを判定する第3の工程と、第3の工程の判定で、該当する場合は変更設定の変更内容を適用し、該当しない場合は前記変更内容を適用することなく、全ての変更設定を読み込み終えるまで前記第2及び第3の工程を繰り返す第4の工程と、前記第4の工程が終了した後、前記封筒に印刷する印刷データを生成する第5の工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、入力された文字情報と顧客情報に基づいて、封筒に文字を印刷し、当該封筒に内容物を封入する封入システムの制御手段で実行される封筒印刷制御プログラムにおいて、記憶手段に記憶された顧客情報を読み込み、文字形成に際し、形成する文字の種類について予め設定されたデフォルト設定を適用する第1の処理と、前記文字の種類について前記デフォルト設定に対して変更する複数の変更設定のうち、未読み込みの設定の中から先頭の変更設定を読み込む第2の処理と、前記第2の処理で読み込んだ変更設定の条件に前記顧客情報が該当するか否かを判定する第3の処理と、第3の判定処理で、該当する場合は変更設定の変更内容を適用し、該当しない場合は前記変更内容を適用することなく、全ての変更設定を読み込み終えるまで前記第2及び第3の処理を繰り返す第4の処理と、前記第4の処理が終了した後、前記封筒に印刷する印刷データを生成する第5の処理と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
なお、後述の実施形態では、入力手段は操作部101に、文字形成手段はデジタル複写機(画像形成装置)1に、封入手段はSSP装置3に、文字の種類を変更する手段はCPU1aに、第1の工程及び第1の処理はステップS101及びS102に、第2の工程及び第2の処理はステップS103に、第3の工程及び第3の処理はステップS104に、第4の工程及び第4の処理はステップS105及びステップS106に、第5の工程及び第5の処理はステップS107にそれぞれ対応する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、顧客情報に応じて文字形成手段によって形成される文字の種類を変更するので、顧客情報に応じて封筒あるいは内容物に印字される文字のデザインを変更し、あるいは文字を読み手の読みやすい形態に変更することができる。また、その結果、封筒が顧客に開封される蓋然性を高めることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態における複写機とその周辺機器の構成を示す図である。
【図3】封筒を封入する封入装置の要部を拡大し、その詳細を示す図である。
【図4】給紙部の各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系を説明するための斜視図である。
【図5】トレイとトレイ上にセットされた封筒の状態を示す斜視図である。
【図6】トレイにセットされた封筒のサイズを検知するサイズ検知装置を示す図である。
【図7】本実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図8】封筒に印刷する文字の種類の「変更設定」の一例を示す図である。
【図9】封筒に印刷する文字の種類の設定変更における処理手順を示すフローチャートである。
【図10】4つの顧客情報を持つ顧客を例に封筒の印刷データを生成した場合の印刷画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、顧客情報に応じて文字の種類を変更する文字変更手段と、文字情報に基づいて封筒及び用紙に文字を形成する文字形成手段と、内容物を封筒に封入する封入手段とを備えたことを特徴とし、これにより、顧客情報に応じて封筒あるいは内容物に印字される文字のデザインの変更、あるいは文字を読み手の読みやすい形態に変更し、顧客が文字に好感を持つことにより、顧客が開封する誘因になるように意図している。
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。同図において、本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置としてのデジタル複写機1(以下、単に「複写機」と称す。:図1ではデジタル複写機のプリンタ部のみ図示)と、複写機1の側部に装着され、後処理装置として機能するソータ・ステイプラ・パッケージャ装置(以下、「SSP装置」と称す。)3とから構成されている。複写機1は、郵便物(封筒やはがき等)を含むシートとしての用紙等に画像形成を行うと共にその画像形成済みの郵便物(封筒やはがき等)あるいは用紙を搬送することが可能な画像形成手段として機能する。SSP装置3は、複写機1本体から搬送されてくる画像形成済みの封筒、はがき等、あるいは用紙Pを積載する複数の用紙積載手段(シート積載手段)として機能する用紙積載ビン(以下、単に「ビン」と称す。)35と、複写機1本体の用紙(シート)収納部としての給紙部11から給送、給紙されて画像形成された用紙Pを各ビン35に仕分けして排出する仕分排出手段となるソートガイド部44と、ビン35上の用紙Pを封筒Pf内に搬入する手段となるパックユニット46とを備えている。
【0018】
給紙部11には、給紙カセット15A,15B,15C,15D及びトレイ24が設けられ、これら給紙カセット15A〜15D及びトレイ24は、何れも、給紙される用紙P、封筒Pfあるいははがき(図示せず)を収納又はセットできるように構成されている。上述した通り、シートには、用紙の他に、郵便物(封筒やはがき等)及び厚紙、OHPフィルム等、画像形成手段で画像形成が可能な全てのシート状の記録媒体が含まれる。従って、画像形成手段には、本実施形態例の電子写真方式の複写機1に限らず、電子写真方式・磁気記録方式の単色カラーないしフルカラー複写機、インクジェット記録装置、孔版印刷機等を含む印刷機、これら2つ以上の機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置が含まれる。
【0019】
複写機1は、給紙部11の給紙カセット15A〜15D及びトレイ24等から給紙される用紙P、封筒Pf、又ははがき(図示せず)等のサイズをそれぞれ検知する用紙(シート)サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段の両機能を兼ねる各サイズ検知センサ32及びサイズ検知装置30並びに図示しないサイズ測定装置と、これらのサイズ検知系によって検知された封筒やはがき等の郵便物のサイズを表示する郵便物サイズ報知手段、あるいは郵便物サイズ表示手段として機能する表示部104(封筒サイズ表示部)と、各サイズ検知センサ32、サイズ検知装置30又はサイズ測定装置が検知したサイズの用紙Pを収納可能な封筒サイズを認識、判断し、その判断した封筒サイズとサイズ検知センサ32又はサイズ検知装置30が検知した封筒サイズとを照合するなどの機能及び本実施形態に特有の後述する諸機能を備えた制御装置120とを有している。また、制御装置120には、メイン電源の断接を行うメインスイッチ70が接続されている。
【0020】
図2は本実施形態における複写機1とその周辺機器の構成を示す図である。図2において、複写機1は、本体(プリンタ部)の上部に循環型原稿自動給送装置(RDH)2を搭載し、左側面の上部に後処理装置であるSSP装置3を、このSSP装置3の下部に用紙が封入された封筒を収納する収納キャリア4をそれぞれ装着している。
【0021】
図2に示す複写機1では、画像走査部5によって画像処理した後の画像情報は、書き込み部6によるレーザ光のラスター走査により光の点の集合の形で像担持体としての感光体ドラム7上に書き込まれる。レーザ光のレーザ光源としては半導体レーザが使用されている。感光体ドラム7の表面は、コロトロン方式の帯電チャージャ8によって均一に負帯電される。この負帯電された感光体ドラム7にレーザ光が照射されて、画像部分の電位が落とされると、当該感光体ドラム7の表面には、地肌部分の電位が−750〜−800Vで、画像部の電位が−50V程度の静電潜像が形成される。
【0022】
感光体ドラム7上に形成された静電潜像は、現像器9の現像ローラにより−500〜−600Vのバイアス電圧が与えられることによって負帯電されたトナーにより顕像化される。顕像化された画像は、給紙部11から給紙されて感光体ドラム7の回転に合わせてタイミング調整された用紙P又は封筒の表面上に、転写チャージャ12によって紙面の裏面側から正電位のチャージが加えられることによって転写される。
【0023】
画像が転写された用紙は、転写チャージャ12と一体に保持される分離チャージャ13により交流除電されることによって、感光体ドラム7の表面から分離される。このとき、感光体ドラム7上に残った残留トナーは、クリーニング装置14のクリーニングブレード(図示せず)により感光体ドラム7の表面から掻き落とされ、それが回収タンク(図示せず)内に収容される。感光体ドラム7の表面に残留する電位は、除電ランプ(図示せず)によって光が照射されることにより消去される。
【0024】
一方、画像が転写される用紙P又は封筒は、給紙部11に設けられている4段の給紙カセット15A〜15Dの中から用紙サイズに応じて選択的に送り出される。すなわち、オペレータによって何れか一つの給紙段の給紙カセットが選択されて図示しない操作パネルのスタートキーが押されると、選択された給紙段のシート給送手段としての給紙コロが回転して給紙カセット内の用紙が給送され、給送された用紙がシート搬送路上の図示する複数箇所に設けられているシート搬送手段としてのコロによってレジストローラ16のニップに突き当たるまで給送される。レジストローラ16は、感光体ドラム7に形成された画像の位置と用紙の位置とが一致するようにタイミングをとって、用紙Pあるいは封筒を感光体ドラム7に向けて給送する。
【0025】
このようにして用紙Pあるいは封筒が給紙され、そこに前述した方法によって画像が転写され、その画像(トナー像)が定着ローラによって定着される。その画像が定着された用紙Pは、その後、SSP装置3内に送り込まれ、通常のプリント時には直進状態の位置にある切換爪21に案内されて排紙トレイ22上に排出される。
【0026】
図3は、封筒を封入する封入装置の要部を拡大し、その詳細を示す図である。同図において、用紙後処理装置としてのSSP装置3は、図2に示す装置本体1から画像が形成されて排出される用紙あるいは封筒Pf等を前述したように排紙トレイ22に排出し、あるいはその用紙等を選択される内容に応じて仕分けして多段に配置されている各ビン35上に排出し、さらにスティプラ47で排出された用紙等を綴じ、さらに、それを封筒Pf内に送り込むという機能を有する。
【0027】
SSP装置3は、用紙を積載する複数の用紙積載ビン35と、装置本体1から排出された用紙等を排紙トレイ22上に排出する横搬送路41と、その横搬送路41に設けられている切換爪21によって下方へ向けて案内された用紙等を下方へ搬送する縦搬送路42と、その縦搬送路42へ送り込まれた用紙をビン35上へ選択的に排出するSSPユニット40等によって構成されている。
SSPユニット40は、モータと上下のプーリとその間に張設される駆動ベルトとからなる昇降装置43によって各ビン35間を昇降する。SSPユニット40は装置本体1内で画像が形成された用紙Pを各ビン35に仕分けして排出する仕分排出手段となるソートガイド部44と、その下方に設けられ、ビン35上の用紙Pを封筒チャック部45によって保持される封筒内に搬入する手段であるパックユニット46と、そのパックユニット46に一体に取り付けられているスティプラ47等によって構成されている。
【0028】
縦搬送路42は、上下に設けた一対のプーリ49(図では下方側は見えない位置にある)間に回動可能に張設された搬送ベルト48等によって構成され、搬送ベルト48に接するように繰り出しベルト50が設けられている。繰り出しベルト50は、一端がSSPユニット40のフレーム51の上端に固定され、他端側は複写機1本体1の固定部に回転可能に取り付けられている巻き取りローラ52に固定され、当該ローラ52の矢示B方向への回転によって繰り出しベルト50が巻き取られるようになっている。
【0029】
巻き取りローラ52は、常に繰り出しベルト50を巻き取る矢示B方向にバネ(図示せず)によって弾性付勢され、SSPユニット40が上下方向に移動するのに合わせて繰り出しベルト50を繰り出し、あるいは巻き取って繰り出しベルト50に常に所定の張力を付与し、繰り出しベルト50が弛むことなく搬送ベルト48との間で縦搬送路を形成するようにしている。
【0030】
図4は、給紙部11の各給紙カセット15A〜15Dと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系を説明するための斜視図である。同図において、給紙部11の各給紙カセット15A〜15Dには、収納する各用紙サイズ又は封筒サイズにそれぞれ対応させて形成したサイズ指示板31が取り付けてあり、その給紙カセットを複写機1本体にセットすると、本体側にそのサイズ指示板31に対応させて設けてあるサイズ検知センサ32がそのサイズ指示板31を検知して、カセット内に入っている用紙又は封筒(図4では封筒Pfがセットされている。)のサイズを検知する。なお、給紙カセット15A〜15Dの各側面15aには、サイズシール33を貼着してユーザがカセット内の収納物のサイズを一目でわかるようにしてある。また、この複写機1における用紙の給紙は、 図2の複写機1本体1の右側面に実線と仮想線で示した位置とに開閉可能な手差しトレイ23と、その下方に設けているトレイ24からもできるようになっている。
図5は、トレイとトレイ上にセットされた封筒の状態を示す斜視図、図6はトレイにセットされた封筒のサイズを検知するサイズ検知装置を示す図である。図5において、トレイ24は、給紙カセット15A〜15Dよりも多くの用紙や封筒をセットできるようになっており、図6にも示すように底板25上に封筒Pfを載置して、その封筒Pfの側面側を図5に示すガイドロッド26に沿って矢示A方向にスライド可能な一対のサイドガイド27,28によって挾んで底板25の中央位置にセットする。底板25の下側には、サイドガイド28の位置を検知することにより底板25上の用紙サイズを検知するサイズ検知装置30(例えば可変抵抗型位置センサ)が配設され、サイズ検知装置30によって検知した値を予め記憶させてあるサイズデータと比較して、底板25上にセットされている用紙P又は封筒Pfのサイズを認識することができる。
【0031】
図7は、本実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示すブロック図である。本画像形成装置は図1にも示した通り、画像形成装置1とSSP装置3とからなる。また、画像形成装置1には操作部101が接続され、画像形成装置1に対するユーザインターフェースとして機能する。画像形成装置1及びSS装置3はそれぞれCPU1a,3aを備え、両者はそれぞれ通信ポート1b,3bを介して相互に通信可能に接続されている。また、画像形成装置1は記憶媒体1cを備え、記憶媒体1cはCPU1aによって制御される。記憶媒体1cには、顧客情報、変更設定等の情報が保存されている。なお、CPU1a,3aは、図示しないROM及びRAMを備え、ROMに記憶されているプログラムコードを読み出して、RAMに展開し、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながらプログラムコードで定義された制御を実行する。また、外部から図示しない記憶媒体にアプリケーションをロードし、そのアプリケーションのプログラムコードを読み出して当該アプリケーションを実行する。
【0032】
図8は封筒に印刷する文字の種類の「変更設定」の一例を示す図である。「変更設定」にはデフォルト設定(図8(a))とそれ以外の変更設定(図8(b)〜(e))との2種類がある。デフォルト設定には「条件」がなく「変更内容」のみがあり、デフォルト設定以外の「変更設定」には「条件」と「変更内容」がある。この「条件」の項目全てに該当する顧客の印刷ジョブに対して当該「変更内容」が適用される。「変更設定」によって変更が行われなかった項目には、デフォルト設定が適用される。なお、文字の種類自体は、サイズ、フォント、色であるが、文字の印字形態としては、ひらがな、漢字、ふりがなの有無、書字方向、行間、字間が挙げられる。
【0033】
デフォルト設定では、変更内容は、図8(a)に示すように「ひらがな変換」、「ふりがな」、「サイズ」、「フォント」、「色」、「書字方向」、「行間」及び「字間」の8項目である。変更設定は1から4まで本実施形態では設定されている。変更設定1では、図8(b)に示すように条件として「性別」、「年齢」があり、変更内容が「ひらがな変換」、「フォント」及び「色」が設定されている。これにより男女、及び年齢に応じて「ひらがな変換」、「フォント」及び「色」がそれぞれ選択され、これらの組み合わせで性別と年齢に対して好適と考えられる文字の種類と色で封筒に印刷される。
【0034】
また、変更設定2では、図8(c)に示すように、条件が「年齢」で、変更内容が「ふりがな」、変更設定3では、図8(d)に示すように条件が「年齢」で変更内容が「フォント」と「サイズ」、変更設定4では、図8(e)に示すように条件が「住所」、変更内容が「書字方向」である。設定内容4の住所はここでは、国内と海外であり、海外の場合には書字方向を横とする変更が可能となる。なお、設定変更1から4については、設定変更1から4に行くに従って優先順が高くなっている。
【0035】
図9は封筒に印刷する文字の種類の設定変更における処理手順を示すフローチャートである。同図において、まず、記憶媒体1cから顧客情報を読み込み(ステップS101)、無条件にデフォルト設定を適用する(ステップS102)。次いで、「変更設定」を先頭のものから読み込み(ステップS103)、その「変更設定」の「条件」がステップS101で読み込んだ顧客情報に該当するか判定する(ステップS104)。この判定で、該当する場合は「変更内容」を適用し(ステップS105)、該当しない場合は「変更内容」の適用は行わない。そして、全ての「変更設定」を読み込み終えるまでこれを繰り返す(ステップS106)。ここで、2回目以降の「変更設定」の適用の際、それ以前に変更した項目を上書きする形で適用する可能性があるため、「変更設定」は後から適用される末尾の方を優先度の高いものにしておく必要がある。そして、全ての「変更設定」を読み込み終えたら、適用された設定によって文字データを生成し、印刷データを生成する(ステップS107)。これを顧客毎に行い、個別の印刷データを生成してバリアブル印刷を行う。
【0036】
なお、文字情報と顧客情報の入力、及び変更設定の入力は、PC(パーソナルコンピュータ)を入力機器として用いる。
【0037】
図10は以下の4つの顧客情報を持つ顧客を例に封筒の印刷データを生成した場合の印刷画像を示す図である。
例1 年齢:25 性別:男 住所:国内
例2 年齢:8 性別:女 住所:国内
例3 年齢:12 性別:男 住所:国内
例4 年齢:72 性別:女 住所:海外
図10の例1では、設定変更1〜4に「年齢:25 性別:男 住所:国内」の場合変更は「適用なし」なので、デフォルト設定の印刷画像となる。デフォルトでは、10ポのゴシック体で黒の縦書き、行間、字間がそれぞれ1.5mmの設定で「特別優待のご案内」P1と印刷される。
【0038】
例2では、設定変更1の変更内容が該当し、年齢8歳、女性、国内であることから、ひらがなに変換され、青色のポップ体で「とくべつゆうたいのごあんない」P2と印刷される。
【0039】
例3では、設定変更2の変更内容が該当し、年齢12歳、男性、国内であることから、縦書きの「特別優待のご案内」の漢字の横にふりがなが振られる(P3)。
【0040】
例4では、設定変更3、4の変更内容が該当し、年齢72歳、女性、海外であることから、設定変更4で書字方向が横、設定変更3でフォントが明朝、サイズが12ポに変更され、横書き12ポで明朝体によって「特別優待のご案内」P4と印刷される。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、顧客情報に応じて封筒や内容物に印字される文字のデザインを変更したり、文字を読み手の読みやすい形態に変更したりして顧客に良い印象を持たせることができる。その結果、封筒が顧客に開封される蓋然性を高めることが可能となる。
【0042】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態で示した実施例は、好適なものをそれぞれ示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 デジタル複写機(画像形成装置)
1a,3a CPU
3 SSP装置
101 操作部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平11−096150号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報と顧客情報を入力する入力手段と、
前記文字情報に基づいて封筒及び用紙に文字を形成する文字形成手段と、
内容物を前記封筒に封入する封入手段と、
を備えた封入システムにおいて、
顧客情報に応じて前記文字形成手段によって形成される文字の種類を変更する手段を備え、
前記変更する手段によって変更された文字の種類で前記封筒に文字形成させることを特徴とする封入システム。
【請求項2】
請求項1記載の封入システムにおいて、
前記文字の種類が文字の印字形態を含むことを特徴とする封入システム。
【請求項3】
請求項2記載の封入システムにおいて、
前記文字の印字形態が、ひらがな、漢字、ふりがなの有無、書字方向、行間及び字間を含むことを特徴とする封入システム。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1項に記載の封入システムにおいて、
前記文字の種類が、文字の印字サイズ、フォント及び色を含むことを特徴とする封入システム。
【請求項5】
請求項4記載の封入システムにおいて、
前記記憶手段に記憶された前記文字の種類について、予めデフォルトの設定と、デフォルトの設定を変更した複数の設定が用意され、前記変更する手段は、前記顧客情報に基づいて前記各設定から該当する文字の種類を選択し、変更することを特徴とする封入システム。
【請求項6】
入力された文字情報と顧客情報に基づいて、封筒に文字を印刷し、当該封筒に内容物を封入する封入システムにおける封筒印刷方法において、
記憶手段に記憶された顧客情報を読み込み、文字形成に際し、形成する文字の種類について予め設定されたデフォルト設定を適用する第1の工程と、
前記文字の種類について前記デフォルト設定に対して変更する複数の変更設定のうち、未読み込みの設定の中から先頭の変更設定を読み込む第2の工程と、
前記第2の工程で読み込んだ変更設定の条件に前記顧客情報が該当するか否かを判定する第3の工程と、
第3の工程の判定で、該当する場合は変更設定の変更内容を適用し、該当しない場合は前記変更内容を適用することなく、全ての変更設定を読み込み終えるまで前記第2及び第3の工程を繰り返す第4の工程と、
前記第4の工程が終了した後、前記封筒に印刷する印刷データを生成する第5の工程と、
を備えていることを特徴とする封筒印刷方法。
【請求項7】
入力された文字情報と顧客情報に基づいて、封筒に文字を印刷し、当該封筒に内容物を封入する封入システムの制御手段で実行される封筒印刷制御プログラムにおいて、
記憶手段に記憶された顧客情報を読み込み、文字形成に際し、形成する文字の種類について予め設定されたデフォルト設定を適用する第1の処理と、
前記文字の種類について前記デフォルト設定に対して変更する複数の変更設定のうち、未読み込みの設定の中から先頭の変更設定を読み込む第2の処理と、
前記第2の処理で読み込んだ変更設定の条件に前記顧客情報が該当するか否かを判定する第3の処理と、
第3の判定処理で、該当する場合は変更設定の変更内容を適用し、該当しない場合は前記変更内容を適用することなく、全ての変更設定を読み込み終えるまで前記第2及び第3の処理を繰り返す第4の処理と、
前記第4の処理が終了した後、前記封筒に印刷する印刷データを生成する第5の処理と、
を備えていることを特徴とする封筒印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−56182(P2012−56182A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201117(P2010−201117)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】