説明

封緘具

【課題】一般消費者以外のタグの付け直が許容された特定の者のみがループ形状のロックを解除することを許容し、タグや商品の不正な取り替え行為が蔓延することを防ぐことができる封緘具の提供を目的とする。
【解決手段】紐状体10Aと、該紐状体10Aの両端部に有する連結具10Bとで構成し、上記連結具10Bを、挿入孔21を有するソケット2と、上記挿入孔21に挿入可能な挿入体3とで構成し、上記ソケット2の上記挿入孔21の内面に、係合部23を形成し、上記挿入体3の外面に、上記係合部23と係合する被係合部33を形成し、上記挿入体3を上記係合部23側へ付勢する付勢手段24を、上記ソケット2の上記挿入孔21の内面における上記係合部23との対向部分に形成し、上記挿入体3を該付勢手段24側へ押圧許容する押圧許容部25を、上記ソケット2における上記付勢手段24との対向部分に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣服、靴、鞄等の商品に取り付けるループ形状を形成する封緘具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類全般や靴等の商品に封緘具が取り付けられている。
【0003】
封緘具は、通常、商品やタグに通した後、ループ形状とする紐状体と、ループ形状とした状態で該紐状体の両端部をロックする連結具とで構成している。
【0004】
しかし、従来の封緘具は、連結具を一度連結すると、不可逆的に固定され、ループ形状を解除することができなかった。
【0005】
このため、タグの表示内容を誤るなどして変更したい場合、紐状体を切断するなどして変更したいタグを取り外し、新たなタグに交換する必要があった。このような場合、封緘具が無駄になるとともに、再度、紐状体をタグや商品に通したり、紐状体をループ形状としてロックする手間を要するという課題を有していた。
【0006】
特に、工場などにおいては、一ロットにつき、多量のタグを衣服などに吊下げ取り付ける。このため、タグを変更するべく切断した封緘具は、廃棄することになり、多大な無駄が発生するという課題を有していた。
【0007】
このような課題に対して下記特許文献1に記載の「アタッチ部材」が開示されている。
上記「アタッチ部材」は、上記ループ形成材(1)の一端に、内部に係止部(4,4a)を備えた受孔(3)を有する受部(2)を備え、他端に前記受部(2)の受孔(3)に嵌装され、係止部(4,4a)と掛合する係合部(10)を有する挿入部(8)を備え、前記受孔(3)の一部壁面をバネ性を有する可動片(7)として形成しているものである。
【0008】
挿入部(8)を受孔(3)内に挿入すると、挿入部(8)に形成した係合部(10)が受孔(3)の係止部(4,4a)と掛合されるため、抜け止めされるロック状態となる。可動片(7)を傾動させれば、係止部(4a)と係合部(10)との掛合を解除することができ、挿入部(8)を受孔(3)から引抜くことが可能となる。
【0009】
上記構成により、上記「アタッチ部材」は、受部(2)の受孔(3)に挿入部(8)を挿入し、ロック状態とした後でも可動片(7)を傾動させることで、挿入部(8)のロックを開放することができる。このため、上記「アタッチ部材」は、商品の取り付け部位やタグの種類を変えて再度、同一のものを使用することができるものである。
【0010】
しかし、上記「アタッチ部材」は、受部(2)の一部に設けられた可動片(7)を傾動させるだけでロック解除できる。このため、店舗や工場の従業者などの関係者に限らず、一般の客でも挿入部(8)のロックを容易に解除して別の商品やタグに取り付けることが可能になるという問題点がある。
【0011】
このようにして、商品の値札や高級ブランドのラベルが不正に交換されると消費者に対する信用が害されてしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−328235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明は、一般消費者には取り外しが困難であるとともに、関係者には、取り外しが容易であり、不正な取り替え行為を防止することができる封緘具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の封緘具は、紐状体と、該紐状体の両端部に有する連結具とで構成し、該連結具を連結して上記紐状体をループ形状にロックする封緘具であって、上記連結具を、挿入孔を有するソケットと、上記挿入孔に挿入可能な挿入体とで構成し、上記ソケットの上記挿入孔の内面に、上記挿入体を抜け止め可能に係合する係合部を形成し、上記挿入体の外面に、上記係合部と係合する被係合部を形成し、上記挿入体を上記係合部側へ付勢する付勢手段を、上記ソケットの上記挿入孔の内面における上記係合部との対向部分に形成し、上記付勢手段の付勢力に抗して上記挿入体を該付勢手段側へ押圧許容する押圧許容部を、上記ソケットにおける上記付勢手段との対向部分に備えたことを特徴とする。
【0015】
上記付勢手段により、挿入孔に挿入した挿入体を係合部側へ付勢できるため、係合部と被係合部とを確実に係合させることができる。
【0016】
適宜の押圧部材により押圧許容部を通じて上記挿入体を押圧することにより、上記挿入孔において係合部と被係合部との係合が解除される側へ上記挿入体をスライドさせて、該挿入体を挿入孔から容易に抜き出すことができる。
【0017】
よって、封緘具を変更する場合でも、紐状体を切断するなどして廃棄する必要がなく、ループ形状をした紐状体のロックを解除してタグのみを新たなものに取り替えることができる。よって、封緘具を無駄にすることなく、タグの変更後も引き続き利用することができる。
【0018】
一方、上記挿入体を上記挿入孔から抜くためには、押圧許容部を通じて適宜の押圧部材により上記挿入体を押圧して、係合部と被係合部との係合を解除することが必要になる。このため、係合部と被係合部との解除方法を知らず、適宜の押圧部材も有しない一般消費者は、係合部と被係合部との係合を容易に解除することができない。
【0019】
よって、一般消費者には取り外しが困難であるとともに、関係者には、取り外しが容易であり、不正な取り替え行為を防止することができる封緘具を提供することができる。
【0020】
この発明の態様として上記押圧許容部を、上記係合部よりも挿入方向の奥側に形成することができる。
【0021】
上記構成により、挿入体の被係合部よりも先端部分を、上記押圧許容部を通じて側方から押圧することができる。このため、上記挿入体をその長さ方向の中途部分から基端部分にかけての部分を側方から押圧する場合のように、挿入体が撓んだり、傾いたりするおそれがなく、上記付勢手段の付勢力に抗して該付勢手段側へダイレクトに押圧することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、上記付勢手段を、上記係合部との係合を許容する上記被係合部の係合許容量以上に変位する弾性変位量で形成することができる。
【0023】
上記構成により、上記係合部と上記被係合部との係合を確実に解除されるまで付勢手段をその付勢力に抗して弾性変形させることができる。よって、ソケットから挿入体を確実に抜くことができる。
【0024】
またこの発明の態様として、上記封緘具と、上記押圧許容部を通じて、上記挿入体を側方から押圧する押圧部を有する押圧治具を備えた押圧治具付き封緘具を構成することができる。
【0025】
上記構成により、押圧許容部を通じて、上記挿入体を上記押圧治具の押圧部により側方から押圧し、上記係合部と上記被係合部との係合を解除することができる。よって、封緘具を変更したい場合であっても、従業者等の特定の者が押圧治具で容易にループ形状を解除して、封緘具を交換することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、上記押圧部を、上記係合部の径内方向への突出長さ以上の長さで形成することができる。
【0027】
上記構成によれば、押圧治具の押圧部により押圧許容部を通じて上記挿入体を側方から押圧し、上記係合部と上記被係合部との係合が解除されるまで確実に押圧することができる。
よって、押圧治具によりループ形状をした紐状体のロックを容易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の封緘具の構成説明図。
【図2】本実施形態の封緘具の一部拡大断面図。
【図3】本実施形態の封緘具をループ形状にロックする手順を示す説明図。
【図4】本実施形態の封緘具のロックを解除する手順を示す説明図。
【図5】他の実施形態の封緘具の構成説明図。
【図6】他の実施形態の封緘具の構成説明図。
【図7】他の実施形態の封緘具の構成説明図。
【図8】他の実施形態の封緘具の構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
なお、図1(a)は、領域Xを拡大した封緘具10の正面図、図1(b)は、後述するソケット2の一部断面図、図1(c)は、図1(b)中のA−A線断面図、図1(d)は、図1(b)中のB−B線断面図を示す。図2は、後述するソケット2に挿入体3を挿入した直後の様子を示すとともに、ソケット2、挿入体3、及び、押圧治具41の各部のサイズの関係を示す。
【0030】
本実施形態における封緘具10は、図1、図2に示すように、紐状体10Aと、該紐状体10Aの両端部に有する連結具10Bとで構成されている。紐状体10Aは、綿や合成樹脂などの紐状の部材で形成され、連結具10Bは、合成樹脂で形成されている。
【0031】
連結具10Bは、上記紐状体10Aをループ形状に連結してロックすることができ、挿入孔21を有したソケット2と、上記挿入孔21に挿入可能な挿入体3とで構成されている。
【0032】
紐状体10Aは、撓み変形自在に可撓性を有して形成されている。
【0033】
ソケット2は、挿入孔21を有する円筒状に形成され、基部34に対して突出した棒状の挿入体3が挿入可能に形成されている。
【0034】
上記ソケット2の上記挿入孔21の内周面22には、上記挿入体3を抜け止め可能に係合する係合部23が形成されている。係合部23は、上記挿入体3の挿入方向D1へ向けて徐々に突出した可撓性を有する突片状に形成され、復元力を有している。
【0035】
すなわち、係合部23は、挿入体3の挿入口側に傾斜面を有し、挿入体3の挿入方向D1の奥側の面は、挿入方向D1に対して垂直か、係合部23の基部から奥側へ突出する形状で釣針のかえしの如く形成されている。
【0036】
一方、上記挿入体3の外周面には、係合部23と係合する被係合部33が形成されている。
詳しくは、上記挿入体3は、上記紐状体10Aの長さ方向の一端側に連結された基部34(図1参照)と、該基部34に対して突出し、上記挿入孔21に挿入される部分となる挿入部30とで構成されている。
【0037】
挿入部30は、その軸方向の先端側外周面全体の一部分を他の部分と比較して細径となる細径部31が形成されるとともに、軸方向の細径部31よりも先端部分に、きのこ型形状で突出する先端頭部32が形成されている。
【0038】
さらに、先端頭部32の基端部には、上記細径部31の先端側から細径のまま先端頭部32側へくり抜いたくり抜き形状で係合部23と係合可能な被係合部33が形成されている。
【0039】
また、上記ソケット2の上記挿入孔21の内周面22における上記係合部23と対向する対向部分であって、係合部23の挿入方向D1の奥側近傍部分には、挿入孔21に挿入した挿入体3を係合部23側へ付勢する付勢突片部24が形成されている。
【0040】
付勢突片部24は、上記挿入孔21の内径方向であって係合部23の突出方向とは逆方向、すなわち、挿入方向D1とは逆方向D2へ突出した可撓性を有した突片状に形成し、図2に示すように、被係合部33における係合部23との係合許容量(β)以上の弾性変位量(β’)となる関係で形成されている(β≦β’)。
なお、付勢突片部24の弾性変位量とは、付勢突片部24が定常状態のときから圧縮状態まで弾性変形したときの変位量(β’)を示す。
ここで、付勢突片部24の定常状態とは、挿入部30が上記挿入孔21に挿入されておらず、付勢突片部24に負荷がかかっていない状態を示し、付勢突片部24の圧縮状態とは、挿入部30の先端頭部32が付勢突片部24に接触し、ソケット2の挿入孔21の内周面22側へ圧縮している状態を示す。
【0041】
付勢突片部24の挿入方向D1の奥側の面は、基部から先端側へ向かって抜き取り方向へ突出する傾斜面で形成し、挿入部30を抜く際には、引っ掛からない。
【0042】
さらに、挿入部30を上記挿入孔21に挿入したとき、付勢突片部24の付勢力を作用させるための条件として上記挿入孔21の内径(φd)、上記係合部23の径内方向への突出長さ(α)、付勢突片部24の弾性変位量(β’)、上記挿入部30の先端頭部32の外径(φD)、との間に、φd−(α+β’)<φDの関係が成り立つ必要がある。
【0043】
さらにまた、図2に示すように、上記挿入孔21は、上記係合部23の径内方向への突出長さ(α)と、上記挿入部30の先端頭部32の外径(φD)との和以上の内径(φd)で形成されている(φd≧α+φD)。
【0044】
上記ソケット2における付勢突片部24との対向部分であって、係合部23よりも挿入方向D1の奥側近傍部分には、ソケット2の内側の挿入孔21と外側とを連通する正面視円形の押圧許容連通孔25を形成されている。押圧許容連通孔25は、指が入らない小孔である。
【0045】
また、この封緘具10と押圧治具41とで押圧治具付き封緘具1を構成している(図2参照)。押圧治具41は、上記押圧許容連通孔25を通じて上記挿入体3を側方から押圧するための治具であり、押圧許容連通孔25に挿入可能な円筒状の押圧部42と、該押圧部42の一端側から円板状に形成した押圧付与部43とで一体に構成している。押圧付与部43は、例えば、親指の腹と略同じ大きさで親指を当接可能な平坦状で形成している。
【0046】
上記押圧部42は、上記係合部23における上記被係合部33との係合許容量(α)、すなわち、上記係合部23の径内方向への突出長さ(α)以上の長さ(α’)で形成されている。
【0047】
続いて上記構成の封緘具10をループ形状にロックする手順について図2、図3(a)から(d)を用いて説明する。
なお、封緘具10は、適宜、紐状体10Aを商品やタグに通した状態でループ形状にロックするが、その図示は省略するものとする。また、図3(a)から(d)は、封緘具10をループ形状にロックする手順を説明する説明図である。
まず、図2、図3(a)に示すように挿入体3をソケット2の挿入孔21に挿入していく。
【0048】
挿入体3における先端頭部32が挿入方向D1における係合部23、付勢突片部24を有する部分を通過する際に、先端頭部32は、きのこ型(半球状)であるから図3(b)に示すように、係合部23をソケット2の挿入孔21の内周面22側へ撓み変形させる。これにより、図3(c)に示すように、挿入体3の先端頭部32を、被係合部33、付勢突片部24よりも奥側へ挿入することができる。
【0049】
挿入体3の先端頭部32を被係合部33、付勢突片部24よりも挿入方向D1の奥へ挿入すれば、被係合部33、付勢突片部24は、挿入体3の先端頭部32よりも後方側の外周面に当接するように復元(付勢)する。
【0050】
よって、図3(d)に示すように、挿入体3をソケット2から抜こうとすれば、係合部23が被係合部33に係合し、挿入体3が抜け出ることを確実に阻止することができる。
【0051】
しかも、付勢突片部24は、挿入体3を係合部23の側へ付勢するため、挿入体3に形成した被係合部33と、係合部23とをしっかりと係合した状態に保つことができる。
【0052】
続いてループ形状をした封緘具10のロックを解除する手順について図4(a)から(d)を用いて説明する。
なお、図4(a)から(d)は、ループ形状とした封緘具10のロックを解除する手順を説明する説明図である。
【0053】
図4(a)に示すように、押圧治具41の押圧部42を押圧許容連通孔25を通じて挿入孔21に挿入し、図4(b)に示すように、指先などで(図示せず)押圧付与部43をソケット2側へ押圧することにより、押圧部42により挿入体3を側方から付勢突片部24の付勢力に抗して該付勢突片部24側へ押圧する。
【0054】
上記押圧部42は、係合部23の係合許容量(α)以上の長さ(α’)で形成されているため(図2参照)、図4(c)に示すように、係合部23と被係合部33との係合が確実に解除されるまで挿入孔21において挿入体3を移動させることができる。
【0055】
よって、図4(d)に示すように、挿入体3をソケット2の挿入孔21から真直ぐ抜けば、容易に抜き出すことができ、ループ形状の封緘具10のロックを解除することができる。
【0056】
上述した封緘具10は、以下の作用、効果を得ることができる。
上記挿入体3を上記挿入孔21に挿入するだけで、係合部23と被係合部33とを係合することができ、封緘具10をループ形状にロックすることができる(図3(a)〜(d)参照)。
【0057】
上記付勢突片部24により、挿入孔21に挿入した挿入体3を係合部23側へ付勢できるため、係合部23と被係合部33とを確実に係合した状態に保つことができる(図3(d)参照)。
【0058】
上記挿入孔21に挿入された上記挿入体3を、押圧許容連通孔25を通じて例えば、押圧治具41などの適宜の押圧部材で押圧することにより、上記挿入孔21において挿入体3を係合部23と被係合部33との係合が解除するまで側方へスライドさせることができ、該挿入体3を挿入孔21から容易に抜き出すことができる(図4(a)〜(d)参照)。
【0059】
よって、ループ形状をした紐状体10Aのロックを解除することができるため、タグの表示内容を変更する必要がある場合でも、従来のように封緘具10自体を取り替える必要がなく、タグのみを新たなものに取り替えることができる。よって、封緘具を無駄にすることなく、タグの変更後も引き続き利用することができる。
【0060】
一方、上記挿入体3を上記挿入孔21から抜くためには、押圧許容連通孔25を通じて、例えば、押圧治具41などの適宜の押圧部材により挿入体3を側方から押圧して、係合部23と被係合部33との係合を解除することが要求される。
【0061】
このため、例えば、上記挿入体3を押圧するための専用の押圧部材を保持していない一般消費者は、上記挿入体3を押圧し、上記挿入孔21において係合部23と被係合部33との係合を容易に解除することができない。
【0062】
よって、商品の値札や高級ブランドのラベル交換といった不正行為を防ぐことができ、一般消費者に対するタグの表示内容の信用を確保することができる。
【0063】
また、上記押圧許容連通孔25を、上記係合部23よりも挿入方向D1の奥側に形成することにより、押圧治具41の押圧部42により上記押圧許容連通孔25を通じて挿入体3の先端頭部32を側方(付勢突片部24の対向位置)から押圧することができる。
【0064】
このように、挿入体3の先端頭部32を押圧することにより、例えば、上記挿入体3の長さ方向の中途部分を押圧する場合のように、挿入体3が撓んだり傾いたりするおそれがなく、挿入体3を上記付勢突片部24の付勢力に抗して該付勢突片部24側へ向けて効果的に押圧することができる。
【0065】
さらにまた、押圧治具41の押圧部42は、上記係合部23における上記被係合部33との係合許容量(α)以上の長さ(α’)で形成されているため(α’>α)(図2参照)、押圧許容連通孔25を通じて、上記挿入体3を側方から押圧部42により押圧し、係合部23と被係合部33との係合が解除されるまで確実に押圧することができる。
よって、押圧治具41により容易にループ形状をした紐状体10Aのロックを解除することができる。、
また、付勢突片部24は、上記被係合部33における上記係合部23との係合許容量(β)以上の弾性変位量(β’)で形成されている(β≦β’)。
【0066】
このため、挿入体3を付勢突片部24の側へ押圧すれば、上記係合部23と上記被係合部33との係合が確実に解除されるまで付勢突片部24をその付勢力に抗して弾性変形させることができる。
【0067】
よって、ソケット2から挿入体3を確実に抜くことができる。
【0068】
続いて、他の実施形態の押圧治具付き封緘具1A,1B,1C,1D,1E,1Fについて説明する。
但し、以下で説明する押圧治具付き封緘具封緘具1A,1B,1C,1D,1E,1Fの構成のうち、上述した実施形態における押圧治具付き封緘具封緘具1と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0069】
本実施形態の押圧治具付き封緘具封緘具1Aは、図5に示すように、封緘具11と押圧治具48とで構成し、該押圧治具48には、親指などの指先を差し込んで保持可能な環状の環状保持部44が形成されている。詳しくは、環状保持部44は、押圧付与部43における押圧部42と反対側の面の中央部分に接続部45を介して備えている。
【0070】
上記構成により、押圧治具48により挿入体3を押圧する際には、例えば、親指などの指の腹が押圧付与部43側の方向へ向くよう指先を上記環状保持部44に挿入して嵌め込む。その状態で、親指の指先を、押圧部42が押圧許容連通孔25に挿入した状態で押圧することで、押圧部42により挿入体3を容易に押圧することができ、ループ形状をした封緘具11のロックをスムーズに解除することができる。
なお、押圧治具41を保持するための構成としては、環状保持部44に限らず、例えば、指先で摘める大きさの適宜の形状で形成してもよい。
【0071】
さらにまた、他の実施形態の押圧治具付き封緘具封緘具1Bについて説明する。
本実施形態の押圧治具付き封緘具封緘具1Bには、図6に示すように、封緘具12を備え、該封緘具12のソケット2の内周面に形成した付勢突片部46は、その先端部分を屈曲して形成した屈曲片47を有した逆への字型で形成されている。なお、図6では、押圧治具を省略している。
【0072】
詳しくは、付勢突片部46は、挿入孔21の中心側であって挿入方向D1と逆方向D2へ向けて突出し、その中途部分を挿入孔21の内周面22の側へ向けて屈曲した形状で形成されている。付勢突片部46の挿入孔21の内周面22へ向けて突出した突出部分を、上記屈曲片47として形成されている(図6中の領域Xの拡大図参照)。
【0073】
上記構成により、挿入体3を挿入孔21に挿入すると、挿入体3の先端頭部32は、付勢突片部46の中でも上記屈曲片47に当接するため、挿入孔21において付勢突片部46が不測に反り返り先端頭部32に巻き込まれることがなく、挿入体3の先端頭部32を付勢突片部46よりも奥側へ挿入することができる。
【0074】
さらに、付勢突片部46の基端部だけでなく屈曲片47の先端部が挿入孔21の内周面22に接触した状態となるため、付勢突片部46の基端部と付勢突片部46の先端部との2点で支持した状態となり、挿入体3を屈曲片47により係合部23の側へしっかりと付勢することができる。
【0075】
また、他の実施形態の押圧治具付き封緘具封緘具1Cについて図7(a),(b)を用いて説明する。
図7(a)は、連結具10Bの断面図であり、図7(b)は、後述する押圧許容押し込み片26を正面側から視た連結具10Bの側面図である。
【0076】
本実施形態の押圧治具付き封緘具封緘具1Cは、封緘具13と押圧治具48とで構成し、該封緘具13は、上記ソケット2に押圧許容連通孔25を形成せず、該押圧許容連通孔25に相当する部分を正面視正方形の一辺を除く全周をコの字型に切り欠いた押圧許容押し込み片26を形成している。
【0077】
押圧許容押し込み片26を上記ソケット2の外側から例えば、図7(a)に示した押圧治具48のような適宜の押圧部材で押圧すると、押圧許容押し込み片26は、挿入孔21の側へ押し込むことができる。よって、押圧許容押し込み片26ごと挿入部30の先端頭部32を押圧して、係合部23と被係合部33との係合を解除することができる。
【0078】
本発明の押圧治具付き封緘具は、上述した実施形態に限らず、その他にも様々な実施形態で形成することができる。
【0079】
例えば、押圧治具付き封緘具1Dは、図8(a1),(b1),(c1)に示すように、封緘具14と押圧治具48Dとで構成し、封緘具14は、上記ソケット2の外周面に形成した押圧許容連通孔25Dを上述したように正面視円形ではなく正面視三角形状で形成している。
なお、図8(a1)は、押圧許容連通孔25Dを正面側から視た連結具10Bの側面図である。図8(b1)は、ソケット2の押圧許容連通孔25Dに押圧治具48Dを差し込む直前の様子を示す説明図であり、図8(c1)は、図8(b1)のA−A線拡大端面図である。
【0080】
一方、押圧治具48Dは、図8(b1),(c1)に示すように、正面視三角形状の押圧許容連通孔25Dに挿通可能に押圧部42を断面視三角形状で構成している。
【0081】
上記構成により、例えば、爪楊枝や針など身近にある円柱状の細長い棒状部材(図示せず)を押圧許容連通孔25Dに差し込もうとしても円柱状の棒状部材の先端部分が押圧許容連通孔25Dの周縁部に干渉するため、円柱状の棒状部材が不測に押圧許容連通孔25Dに差し込まれることを阻止することができる。
これにより、不測に円柱状の棒状部材により、係合部23と被係合部33との係合が解除され、挿入体3が不測に挿入孔21から抜け出ることを防ぐことができる。
【0082】
さらに、押圧治具付き封緘具1Eは、図8(a2),(b2),(c2),(c2’)に示すように、封緘具15と押圧治具48Eとで構成し、封緘具15は、上記ソケット2の外周面に形成した押圧許容連通孔25Eを、ソケット2の周方向に長い正面視長方形状で形成してもよい。
なお、図8(a2)は、押圧許容連通孔25Eを正面側から視た連結具10Bの側面図である。図8(b2)は、ソケット2の押圧許容連通孔25Eに押圧治具48Eを差し込む直前の様子を示す説明図であり、図8(c2)は、押圧部42の先端が平坦である場合の図8(b2)のA−A線拡大端面図であり、図8(c2’)は、押圧部42の先端が凹状である場合の図8(b2)のA−A線拡大端面図である。
【0083】
一方、押圧治具48Eは、正面視長方形状の押圧許容連通孔25Eに挿通可能に押圧部42,42’を断面視長方形状で構成している。
【0084】
さらに、押圧部の先端部分は、図8(c2)で示した押圧部42のように先端部を平坦状で構成したもの、或いは、図8(c2’)で示した押圧部42’のように先端部を挿入体3の先端頭部32の円筒状の外周面に面接触状態で接触するよう円弧状に凹んだ形状で構成したものであってもよい。
【0085】
特に、押圧部42’の先端部分を円弧状に凹んだ形状で構成することにより、押圧部42’を押圧許容連通孔25Eに差し込んだとき、該押圧部42’の先端部分が挿入体3の先端頭部32の外周面に面接触状態で接触し、挿入体3を側方から均等に力が伝わるよう押圧できるため、確実、且つ、容易に係合部23と被係合部33との係合を解除することができる。
【0086】
よって、係合部23を、より撓み変形し難いよう形成し、被係合部33との係合具合を強くすることができ、より挿入体3が挿入孔21から不測に抜け難くすることができる。
【0087】
同時に、意図的に挿入体3を挿入孔21から抜き出す際には、上述した押圧治具48Eを通じて挿入体3を効率的に押圧することができるため、確実に係合部23と被係合部33との係合を容易に解除することができ、スムーズに挿入体3を抜き出すことができる。
【0088】
以上、詳述したように、押圧許容連通孔は、正面視三角形状に限らず、その他にも例えば、図8(a3)に示すように、正面視六角形状などの多角形状、或いは、図示しないが楕円形状など、身近にある部材では差込むことができないような特殊形状で形成することができる。
【0089】
同様に押圧部材についても、例えば、図8(b3),(c3)に示すように、押圧部材48Fの押圧部42は、上述した押圧許容連通孔25Fに挿通可能に、押圧許容連通孔25Fの正面視六角形状に応じた断面視六形状で形成するなど、様々な断面視形状で形成することができる。
【0090】
上述した実施形態と、この発明の構成との対応において、
付勢突片部24,46は、付勢手段に対応し、
押圧許容連通孔25,25D,25E,25F、及び、押圧許容押込み片26は、押圧許容部に対応するものとする。
【符号の説明】
【0091】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…押圧治具付き封緘具封緘具
10,11,12,13,14,15,16…封緘具
10A…紐状体
10B…連結具
2…ソケット
3…挿入体
21…挿入孔
22…挿入孔の内周面
23…係合部
24,46…付勢突片部
25,25D,25E,25F…押圧許容連通孔
26…押圧許容押込み片
33…被係合部
41,48,48D,48E,48E…押圧治具
42,42’…押圧部
D1…挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体と、該紐状体の両端部に有する連結具とで構成し、該連結具を連結して上記紐状体をループ形状にロックする封緘具であって、
上記連結具を、挿入孔を有するソケットと、上記挿入孔に挿入可能な挿入体とで構成し、
上記ソケットの上記挿入孔の内面に、上記挿入体を抜け止め可能に係合する係合部を形成し、
上記挿入体の外面に、上記係合部と係合する被係合部を形成し、
上記挿入体を上記係合部側へ付勢する付勢手段を、上記ソケットの上記挿入孔の内面における上記係合部との対向部分に形成し、
上記付勢手段の付勢力に抗して上記挿入体を該付勢手段側へ押圧許容する押圧許容部を、上記ソケットにおける上記付勢手段との対向部分に備えた
封緘具。
【請求項2】
上記押圧許容部を、上記係合部よりも挿入方向の奥側に形成した
請求項1に記載の封緘具。
【請求項3】
上記付勢手段を、上記係合部との係合を許容する上記被係合部の係合許容量以上の弾性変位量で形成した
請求項1、又は、2に記載の封緘具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の封緘具と、請求項1に記載の押圧許容部を通じて、上記挿入体を側方から押圧する押圧部を有する押圧治具を備えた
押圧治具付き封緘具。
【請求項5】
上記押圧部を、上記係合部の径内方向への突出長さ以上の長さで形成した
請求項4に記載の封緘具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−95554(P2011−95554A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250256(P2009−250256)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【特許番号】特許第4459296号(P4459296)
【特許公報発行日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(502439201)株式会社弘染塾 (5)
【Fターム(参考)】