説明

射出成形機におけるフレーム

【課題】射出成形機の各種装置を分解してこれらの装置を搬送用コンテナ内に収容する際、各種装置を載せるフレームのサイズを小さくし、搬送用コンテナ内に収容できるようにする。
【解決手段】鋼材フレーム6a,6b、この鋼材フレーム6a,6bの各々を一体に連結する上側,下側連結部材7,8、一方の鋼材フレーム6aから外側に突出された配線受け部材10等を備えた射出成形機に構成されるフレーム1において、鋼材フレーム6aの外側に配線受け部材10が取り付けられていることで規格化された搬送用コンテナ5内にフレーム1を収容できない際、配線受け部材10を鋼材フレーム6aから簡単に取り外すことができるから、フレーム1の寸法を搬送用コンテナ5の内寸より小さくすることができる。よって、規格化された搬送用コンテナ5内に固定ダイプレート2等の各種装置を載せたフレーム1を荷台として収容することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用コンテナを用いて射出成形機に構成される各種装置を輸送する際、これら各種装置を射出成形機に構成されるフレームに載せて搬送用コンテナ内に収容できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどの成形体を成形する射出成形機においては、その構成を大別すると概ね、型締めユニットと及び射出ユニットから構成されており、型締めユニットにおいては、固定金型が固定される固定ダイプレート、可動金型が固定される可動ダイプレート、型開閉を行うためトグル機構等が、射出ユニットには溶融樹脂を射出するための射出ノズルや、成形材料となるペレットを溶融するための加熱シリンダ等が構成されており、これらの装置が単独の機台上に固定するなどして設けられている。
【0003】
前述した各種装置を構成する射出成形機を、規格化された寸法の箱型の搬送用コンテナ内へ梱包する際には、比較的大型である射出成形機の全体を1つの輸送用コンテナ内に全て収容することが困難なため、固定金型の取り付けられる固定ダイプレートや可動金型の取り付けられる可動ダイプレート等の各々を予め分解し、分解されたものを複数の荷台上に載せて、搬送用コンテナに収容して輸送することが一般的に行なわれている。
【0004】
上記従来技術に関連するものとして、特許文献1には、搬送用コンテナに収容して輸送するに際し、荷台としてのパレットの上部に2輪車両を保持する点が開示されており、また、特許文献2には、縦型射出成形機を搬送するに際し、搬送用コンテナ内に収容できるよう、高さを低くできるようにした縦型射出成形機が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−253435号公報
【特許文献2】特開2007−069571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、搬送対象が比較的小型である2輪車両であるため、2輪車両を分解するなどしなくても、簡単に搬送用コンテナ内に収容することができるが、特許文献2においては、比較的大型な射出成形機を搬送用コンテナ内に収容できるようにするため、射出成形機の高さ寸法を低くできるようになっている。しかしながら、大型な射出成形機を規格化された搬送用コンテナ内に収容する際には、その寸法如何によっては、射出成形機に構成されている各種装置を分解しなければ、搬送用コンテナ内に収容できない場合が起こり得ることがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、射出成形機に構成される各種装置を分解してこれらを搬送用コンテナ内に収容する際、分解した各種装置を載せるフレームのサイズを小さくでき、規格化された搬送用コンテナ内に収容できるようにした射出成形機におけるフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る射出成形機におけるフレームは、左右に離間させ平行に設けた鋼材フレームと、該左右に離間して設けた鋼材フレームの各々を一体に連結する複数の連結部材と、前記鋼材フレームから外側に突出された射出成形機に用いられる配線ケーブルを収納する配線受け部材とを備えた、規格化された搬送用コンテナ内に収容される射出成形機におけるフレームにおいて、
前記規格化された搬送用コンテナ内に前記配線受け部材を取り外すことで収容できるように、前記配線受け部材を前記鋼材フレームから着脱できる固定手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る射出成形機におけるフレームは、請求項1に記載の射出成形機におけるフレームにおいて、前記固定手段はねじによって構成され、前記鋼材フレームと前記配線受け部材との各々にねじ孔を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る射出成形機におけるフレームは、請求項1又は2に記載の射出成形機におけるフレームにおいて、前記連結部材は、前記鋼材フレームの下部を水平方向に連結する下側連結部材と、前記鋼材の上部を水平方向に連結する上側連結部材とからなり、フォークリフトによって、前記配線受け部材を取り外したフレームを前記搬送用コンテナに搬送してその床まで搬送できるように、前記上側連結部材と下側連結部材との間に前記フォークリフトの爪を挿通することができる爪挿通部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る射出成形機におけるフレームは、請求項1〜3の何れか1項に記載の射出成形機におけるフレームにおいて、前記フレームに載せて前記搬送用コンテナ内に搬送される対象物は、射出成形機に構成される可動金型又は/及び固定金型が取り付けられる可動ダイプレート又は/及び固定ダイプレートであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る射出成形機におけるフレームは、請求項1〜4の何れか1項に記載の搬送用コンテナのフレームにおいて、前記平行に設けた鋼材フレームは断面H型の形状であり、該鋼材フレームに取り付けられた前記配線受け部材を取り外し、該配線受け部材を取り外した鋼材フレームを平坦部に載置して、前記フレームを起立保持できるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項6における前記フレームは、請求項4において、前記固定ダイプレートに固定される前記固定金型と前記可動ダイプレートに固定される可動金型とを用いて型開閉される部位を閉塞するための安全ドアを案内することができる安全ドアレールが側部に取り付けられるフレームであり、該フレームを前記搬送用コンテナ内に収容される荷台フレームとして兼用するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、規格化された搬送用コンテナ内に、射出成形機に構成される、可動金型や固定金型等の取り付けられる可動ダイプレートや固定ダイプレート等の各種装置をフレームに載せて収容する際、フレームに構成された配線受け部材を取り外し、このフレームの寸法を規格化された搬送用コンテナの内寸より小さくすることができるから、射出成形機を分解した各種装置を載せたフレームを搬送用コンテナ内に収容することが可能になる。
【0015】
さらに、前記固定手段はねじであり、前記鋼材フレームと配線受け部材にねじ孔を備えたので、鋼材フレームと配線受け部材のねじ孔に挿通されたねじを取り外すだけで、フレームから簡単に配線受け部材を取り外すことができる。
【0016】
さらに、フレームの上側連結部材と下側連結部材の間に、フォークリフト等の爪を挿通するための爪挿通部を設けたので、爪挿通部から挿通されたフォークリフト等の爪を上側連結部材の下面に当接させ、各種装置が載せられると共に配線受け部材を取り外したフレームを搬送用コンテナ内に収容することが可能になる。
【0017】
さらに、断面H型の形状の鋼材フレームを平行に設けたので、配線受け部材を取り外した側の鋼材フレームを床などの平坦なところに載置して、フレームが倒れることがないようバランスを保たせながら起立させることができる。よって、例えば、フレームの外側表面に付加的な部品を溶接付け等で着脱する必要が生じ、配線受け部材の取り付けられている側の鋼材フレームを床に載置した状態でフレームを起立させなければその作業ができないようなことがあったとしても、そうした不具合を解消することができる。
【0018】
さらに、フレームは、可動金型と固定金型を用いて型開閉される部位が外部に露出しないように閉塞するための安全ドアが取り付けられるフレームであり、射出成形機に構成されるフレームを搬送用コンテナ内に収容することが可能な荷台フレームとして兼用することができるので利便性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図1〜図3により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施例において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0020】
図1は射出成形機に構成される固定ダイプレート及び可動ダイプレートをフレームに載置した状態を示す斜視図、図2はフレームに安全ドアレールと配線受け部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0021】
1は、射出成形機に構成される固定金型の固定される固定ダイプレート2と、可動金型の固定される可動ダイプレート3が型開閉される際に、その部位を外部に露出しないよう覆う安全ドア4が取り付けられるフレームであり、このフレーム1は、射出成形機を分解して、図1に示す搬送用コンテナ5内に収容のために搬送する際には、分解した各種装置(固定ダイプレート2、可動ダイプレート3等)を載せる荷台フレームとしても用いるものである。
【0022】
フレーム1には、図2に示すように、断面H型の形状の鋼材フレーム6a,6bが平行に設けられており、左右の鋼材フレーム6a,6bの上部を連結する上側連結部材7と、下部を連結する下側連結部材8が構成されている。
【0023】
また、上側連結部材7と下側連結部材8との間には開口した爪挿通部9が設けられていて、搬送用コンテナ5内にフレーム1を搬送する際には、爪挿通部9にフォークリフトの爪を挿通し、上側連結部材7の下面にフォークリフトの爪の上部を当接させてフレーム1を持ち上げて搬送することができる。
【0024】
10は、射出成形機に用いられる配線ケーブルを収容するための配線受け部材であり、この配線受け部材10は、配線受け部材10に形成したねじ孔と鋼材フレーム6aに形成したねじ孔に固定手段たるねじが挿通され、一方の鋼材フレーム6aにねじ止めされている。
【0025】
また、11は、前述した安全ドア4を案内するための安全ドアレールであり、この安全ドアレール11には、安全ドア4が開閉自在に取り付けられるようになっており、安全ドアレール11は、安全ドアレール11に形成したねじ孔と鋼材フレーム6bに形成したねじ孔に固定手段たるねじが挿通され、他方の鋼材フレーム6bにねじ止めされている。
【0026】
図3は、配線受け部材及び安全ドアレールを取り外し、フレームを起立させた状態で溶接作業を行なっている状態を示す説明図である。同図に示すように、本実施例のフレーム1には、H型の形状の鋼材フレーム6a,6bが平行に設けられていることから、床などの平坦面に鋼材フレームの何れか一方側を載置させ起立させることができる。なお、起立させる際には、床に設置する側に有する配線受け部材10又は安全ドアレール11を取り外すことで、図3に示すように、フレーム1を床などの平坦部に起立させることができるようになっていて、これにより、例えばフレーム1の外側表面に付加的な部品を溶接付け等で着脱する必要が生じ、フレーム1を起立させなければその作業ができないようなことがあったとしても、フレーム1を起立させた状態で前記部品等の溶接による着脱作業を容易に行なうことができる。
【0027】
本実施例におけるフレーム1によれば、左右に離間させ平行に設けた鋼材フレーム6a,6b、左右に離間して設けた鋼材フレーム6a,6bを一体に連結する複数の連結部材7,8と、鋼材フレーム鋼材フレーム6aから外側に突出された、射出成形機に用いられる配線ケーブルを収納する配線受け部材10や安全ドアレール11を備え、鋼材フレーム6a,6bの外側に配線受け部材10や安全ドアレール11が取り付けられていることで、規格化された箱型の搬送用コンテナ5内にフレーム1を収容できない際、固定手段としてのねじを取り外して、フレーム1から配線受け部材10又は/及び安全ドアレール11を取り外すことができるので、配線受け部材10又は/及び安全ドアレール11を取り外すのに伴い、フレーム1の寸法を搬送用コンテナ5に収容できるようその内寸より小さくすることができるから、規格化された搬送用コンテナ5内に、射出成形機に構成される固定ダイプレート2や可動ダイプレート3等の各種装置を載せたフレーム1を収容することができる。
【0028】
さらに、フレーム1の上側連結部材7と下側連結部材8の間に、フォークリフト等の爪を挿通するための爪挿通部9を設けたので、爪挿通部9から挿通されたフォークリフト等の爪を上側連結部材7の下面に当接させ、各種装置を載せたフレーム1を持ち上げて搬送用コンテナ内に搬送することができる。
【0029】
さらに、断面H型の形状の鋼材フレーム6a,6bを平行に設けたので、配線受け部材10や安全ドアレール11を取り外した側の鋼材フレーム6a,6bの一方を床などの平坦なところに載置して、フレーム1が倒れることがないようバランスを保たせながら起立させることができる。よって、フレーム1を溶接により組み上げる場合においても、配線受け部材10或いは安全ドアレール11の取り付けられている側の鋼材フレームを床に載置した状態でフレーム1を起立させなければその作業ができないようなことがあったとしても、そうした不具合を解消することができる。
【0030】
さらに、フレーム1は、可動金型と固定金型を用いて型開閉される部位が外部に露出しないように閉塞するための安全ドア4が取り付けられるフレーム1であり、射出成形機に構成されるこのフレーム1を搬送用コンテナ5内に収容することが可能な荷台フレームとして兼用することができるので利便性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】射出成形機に構成される固定ダイプレート及び可動ダイプレートをフレームに載置した状態を示す斜視図である。
【図2】同上、フレームに安全ドアレールと配線受け部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】同上、フレームを起立させた状態で溶接作業を行なっている状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 フレーム(荷台フレーム)
2 固定ダイプレート(各種装置)
3 可動ダイプレート(各種装置)
4 安全ドア
5 搬送用コンテナ
6a 鋼材フレーム
6b 鋼材フレーム
7 上側連結部材(連結部材)
8 下側連結部材(連結部材)
9 爪挿通部
10 配線受け部材
11 安全ドアレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に離間させ平行に設けた鋼材フレームと、該左右に離間して設けた鋼材フレームの各々を一体に連結する複数の連結部材と、前記鋼材フレームから外側に突出された射出成形機に用いられる配線ケーブルを収納する配線受け部材とを備えた、規格化された搬送用コンテナ内に収容される射出成形機におけるフレームにおいて、
前記規格化された搬送用コンテナ内に前記配線受け部材を取り外すことで収容できるように、前記配線受け部材を前記鋼材フレームから着脱できる固定手段を設けたことを特徴とする射出成形機におけるフレーム。
【請求項2】
前記固定手段はねじによって構成され、前記鋼材フレームと前記配線受け部材との各々にねじ孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機におけるフレーム。
【請求項3】
前記連結部材は、前記鋼材フレームの下部を水平方向に連結する下側連結部材と、前記鋼材の上部を水平方向に連結する上側連結部材とからなり、フォークリフトによって、前記配線受け部材を取り外したフレームを前記搬送用コンテナに搬送してその床まで搬送できるように、前記上側連結部材と下側連結部材との間に前記フォークリフトの爪を挿通することができる爪挿通部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形機におけるフレーム。
【請求項4】
前記フレームに載せて前記搬送用コンテナ内に搬送される対象物は、射出成形機に構成される可動金型又は/及び固定金型が取り付けられる可動ダイプレート又は/及び固定ダイプレートであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の射出成形機におけるフレーム。
【請求項5】
前記平行に設けた鋼材フレームは断面H型の形状であり、該鋼材フレームに取り付けられた前記配線受け部材を取り外し、該配線受け部材を取り外した鋼材フレームを平坦部に載置して、前記フレームを起立保持できるようにしたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の射出成形機におけるフレーム。
【請求項6】
請求項4に記載の前記射出成形機におけるフレームは、前記固定ダイプレートに固定される前記固定金型と前記可動ダイプレートに固定される可動金型とを用いて型開閉される部位を閉塞するための安全ドアを案内することができる安全ドアレールが側部に取り付けられるフレームであり、該フレームを前記搬送用コンテナ内に収容される荷台フレームとして兼用するものであることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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