説明

射出成形機及び樹脂成形品の製造方法

【課題】スクリューによる樹脂の可塑化を行わずに、溶融樹脂を十分に攪拌して均質な樹脂成形品を得ることができる射出成形機及び樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】射出成形機1は、射出プランジャー22を射出方向に押し出して溶融樹脂をノズル24から射出する射出部20と、溶融樹脂を射出シリンダー21内に押し込む押込プランジャー15を有し、射出部20とは別に設けられた可塑化部10と、を備える。射出成形機1は、射出プランジャー22を回転させる射出駆動部22aを備え、射出プランジャー22には、回転に伴って射出シリンダー21内の溶融樹脂を攪拌する攪拌部26が設けられており、攪拌部26は、射出方向に延在する細径部27と、細径部27の外周面から径方向に突出する突起28と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の射出成形機が知られている。この射出成形機は、いわゆるインラインスクリュー式射出成形機と呼ばれるタイプのものであり、射出シリンダー内に設けられたスクリューを備えている。この射出成形機では、スクリューを回転させながら樹脂を可塑化し、その後、射出方向にスクリューを前進させることで、溶融樹脂を前方のノズルから射出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−291409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インラインスクリュー式射出成形機では、例えば、粘性が低い樹脂を用いる場合、スクリューの回転による安定した溶融樹脂の流動ができず、その結果、安定した可塑化ができないといった問題がある。また、インラインスクリュー式射出成形機で長繊維強化樹脂を用いる場合、可塑化開始直後の樹脂中の長繊維が、スクリューから受ける剪断力により破断し易く、その結果、平均繊維長が短くなって樹脂成形品の強度が低下してしまう問題がある。また、インラインスクリュー式射出成形機で硬い繊維(セラミック繊維、鉱物繊維、金属製繊維など)を含む繊維強化樹脂を用いる場合、繊維の硬さに起因して可塑化中にスクリューが傷みやすいといった問題がある。このように、樹脂によっては、スクリューを用いる可塑化には不向きなものもあった。その一方、スクリューを使用しない射出成形機としては、例えば、いわゆるプランジャープリプラ式の射出成形機がある。しかしながら、プランジャープリプラ式の射出成形機では、溶融樹脂が十分に攪拌されない場合があり、均質な樹脂成形品が得られない場合もある。
【0005】
上記の問題に鑑み、本発明は、スクリューによる樹脂の可塑化を行わずに、溶融樹脂を十分に攪拌して均質な樹脂成形品を得ることができる射出成形機及び樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の射出成形機は、射出プランジャーを射出方向に押し出して、射出シリンダー内に貯留された溶融樹脂をノズルから射出する射出部と、樹脂材料を可塑化させた溶融樹脂を押し出して溶融樹脂を射出シリンダー内に押し込む押込プランジャーを有し、射出部とは別に設けられた可塑化部と、を備えた射出成形機であって、射出プランジャーを回転させる回転機構を備え、射出プランジャーには、回転機構による回転に伴って射出シリンダー内の溶融樹脂を攪拌する攪拌部が設けられており、攪拌部は、射出シリンダーの内径よりも細径に設けられ射出方向に延在する細径部と、細径部の外周面から径方向に突出する突起と、を有することを特徴とする。
【0007】
この射出成形機は、射出部とは別に設けられた可塑化部を備え、押込プランジャーで溶融樹脂を射出部に押し込む方式であるので、スクリューによる樹脂の可塑化を行う必要がない。よって、スクリューを用いる可塑化に不向きな樹脂材料にも対応することができる。また、この射出成形機では、押込プランジャーを有する可塑化部において樹脂が可塑化され、射出部に送り込まれる。射出シリンダー内の溶融樹脂は、射出プランジャーの細径部の外周面と射出シリンダーの内壁面との間に入り込む。そして射出前の溶融樹脂は、射出プランジャーの回転により、径方向に突出する突起によって十分に攪拌され、その結果、均質な樹脂成形品が得られる。
【0008】
具体的な構成として、突起は、細径部の外周面から径方向に直線状に延びる棒状をなすこととしてもよい。また、他の具体的な構成としては、射出プランジャーの表面にダイヤカット部が形成されることにより、細径部と突起とが形成されていることとしてもよい。
【0009】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、上記の何れかに記載の射出成形機を用いて、射出部から射出された溶融樹脂を型で成形することを特徴とする。この製造方法によれば、射出成形機において溶融樹脂が十分に攪拌されるので、均質な樹脂成形品を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の射出成形機及び樹脂成形品の製造方法によれば、スクリューによる樹脂の可塑化を行わずに、溶融樹脂を十分に攪拌して均質な樹脂成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の射出成形機の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の射出成形機の射出プランジャー先端部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の射出成形機の第2実施形態の射出プランジャー先端部を拡大して示す断面図である。
【図4】図3における攪拌部の構造の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の射出成形機の攪拌部の他の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の射出成形機の攪拌部の更に他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る射出成形機の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で「前方」、「後方」等の前後の概念を含む語を用いる場合には、樹脂が射出される方向(図1の左側)を「前」とする。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示すように、射出成形機1は、樹脂ペレット等の樹脂材料を可塑化(溶融)するプランジャー式の可塑化部10と、可塑化部10で可塑化された溶融樹脂を射出する射出部20と、射出部から射出された溶融樹脂を金型で成形する成形部40と、を備えている。
【0014】
可塑化部10は、射出部20とは別に設けられ、樹脂を可塑化して溶融樹脂を射出部20に送り込む機能を有する。可塑化部10は、射出部20に対して傾いた姿勢で射出部20の先端近傍に取り付けられている。可塑化部10は、樹脂材料が供給されるホッパ11と、溶融樹脂が流動する樹脂流路12が内部に形成された溶融シリンダー13と、溶融シリンダー13内に配置され溶融樹脂を加熱するトーピード14と、を備えている。樹脂流路12の先端には、射出部20に溶融樹脂を供給するための供給口12aが設けられている。
【0015】
更に、可塑化部10は、トーピード14の後方に位置する押込プランジャー15と、当該押込プランジャー15を前後に並進運動させる駆動部15aと、を備えている。樹脂流路12の溶融樹脂は、高温のトーピード14の周囲を通過することで、十分に可塑化される。駆動部15aにより押込プランジャー15が前方に押し出されると、樹脂流路12内の溶融樹脂が供給口12aを通過して射出部20に押し込まれる。
【0016】
射出部20は、射出シリンダー21と、射出プランジャー22と、を備えている。射出シリンダー21内には、溶融樹脂が貯留される貯留室23が設けられている。前述の可塑化部10から送り込まれた溶融樹脂は、この貯留室23に導入される。射出シリンダー21の前端には、貯留室23の溶融樹脂を前方に射出するノズル24が設けられている。射出プランジャー22はノズル24の後方に設けられており、射出駆動部22aの駆動により前後に並進運動する。射出駆動部22aにより射出プランジャー22が前方に押し出されることで、貯留室23内の溶融樹脂がノズル24から前方に射出され、成形部40に送り込まれる。以下、図に示すように、ノズル24を通り、射出部20による溶融樹脂の射出方向(射出プランジャー22の押し出し方向)に延在する仮想の軸線を「軸線A」とする。
【0017】
成形部40は、射出部20の前方に位置し、金型41と当該金型41を締め付ける型締機構を有している。成形部40では、溶融樹脂が金型41で成形され冷却固化されて樹脂成形品が形成される。成形部40は、型締機構で金型41を開いて金型41内の樹脂成形品を取り出す。
【0018】
ここまで説明した射出成形機1の構成は、いわゆる「プランジャープリプラ式射出成形機」と呼ばれる射出成形機の構成である。すなわち、射出成形機1では、射出部20とは別に設けられた可塑化部10が樹脂を可塑化し、押込プランジャー15の並進運動によって溶融樹脂が射出部20に送り込まれ、射出部20の射出プランジャー22の並進運動によって溶融樹脂が成形部40に射出される。
【0019】
射出成形機1は、上述したようなプランジャープリプラ式射出成形機の構成に加え、更に以下の構成を備えている。
【0020】
図2に示すように、射出プランジャー22の先端部には、貯留室23内の溶融樹脂を攪拌するための攪拌部26が設けられている。攪拌部26は、射出シリンダー21の内径よりも細径に設けられ軸線A方向に延在する円柱形状の細径部27と、細径部27の外周面から突出する多数のピン状の突起28と、を有している。突起28は、例えば、細径部27の径方向に直線状に延びる丸棒状をなしており、細径部27の外周面上に規則的に配列されている。また、射出駆動部22a(図1)は、射出プランジャー22を軸線A方向に並進移動させる機能のみならず、射出プランジャー22を軸線A周りに回転させる回転機構としての機能を有している。
【0021】
また、攪拌部26とプランジャーヘッド22cとの間には、溶融樹脂の逆流を防止するための逆止リング22bが、射出プランジャー22に取り付けられている。以下、貯留室23のうち、逆流防止リング22bよりも前方の部分を「貯留室前部23a」といい、逆流防止リング22bよりも後方の部分を「貯留室後部23b」という。逆止リング22bは、貯留室前部23aから貯留室後部23bに移動する溶融樹脂は通過させ、貯留室前部23aから貯留室後部23bへの溶融樹脂の移動(逆流)は阻止する機能を有している。
【0022】
具体的には、逆止リング22bは、攪拌部26の前端部に位置するシールリング22cと、プランジャーヘッド22cとの間を軸線A方向に移動可能である。逆止リング22bに後方からの樹脂圧が作用すると、逆止リング22bはプランジャーヘッド22cの後部に押し当てられる。そして、逆止リング22bとプランジャーヘッド22cとの間隙を通じて、貯留室後部23bから貯留室前部23aに溶融樹脂が移動する。一方、逆止リング22bに前方からの樹脂圧が作用すると、逆止リング22bの後端面がシールリング22dのテーパ面に隙間なく押し当てられる。そうすると、溶融樹脂の流路が塞がれ、貯留室前部23aから貯留室後部23bへの溶融樹脂の移動が阻止される。
【0023】
なお、上述したような逆止リング22bを含む逆流防止機構は、公知のインラインスクリュー式射出成形装置においてスクリューの先端に設けられる逆流防止機構と同様の構造及び機能を有するものである。
【0024】
続いて、図1及び図2を参照し、上述の射出成形機1を用いて行われる樹脂成形品の製造方法について説明する。
【0025】
まず、射出プランジャー22は、前回の溶融樹脂射出の直後で、最も前方に移動した状態(図2の状態)にあり、攪拌部26の後端部が供給口12aの位置にある。一方、可塑化部10では、ホッパ11から供給される樹脂材料が、樹脂流路12に導入され加熱されて可塑化されている。そして、押込プランジャー15の前進によって、樹脂流路12の溶融樹脂が貯留室後部23bに徐々に押し込まれる。そうすると、溶融樹脂は、射出シリンダー21の内壁面と細径部27との間隙に入り込む。ここで、射出駆動部22aにより射出プランジャー22が軸線A周りに回転されることにより、回転径方向に突出した突起28が、射出シリンダー21の内壁面と細径部27との間隙に入り込んだ溶融樹脂を攪拌する。貯留室後部23bで攪拌された溶融樹脂は、逆止リング22bを通過して貯留室前部23aに徐々に流入していき、その樹脂圧によって射出プランジャー22が徐々に後退していく。
【0026】
その後、貯留室前部23aに所定量の溶融樹脂が貯留されると、駆動部15aが押込プランジャー15の前進を停止させ、射出プランジャー22の後退及び回転も停止する。その後、射出駆動部22aが射出信号に従って射出プランジャー22を高速で前進させることで、貯留室前部23aの溶融樹脂がノズル24を通じて前方に射出され、成形部40の金型41に注入される。射出プランジャー22の前進時には、逆止リング22bによって貯留室後部23bへの溶融樹脂の逆流が防止されるので、貯留室前部23aの溶融樹脂がノズル24から円滑に射出される。成形部40では、溶融樹脂が金型41で成形され冷却固化されて樹脂成形品が形成される。その後、成形部40は、型締機構で金型41を開いて金型41内の樹脂成形品を取り出す。
【0027】
続いて、射出成形機1及び上述の製造方法による作用効果について説明する。
【0028】
現在、射出成形機として最も多く用いられているのは、インラインスクリュー式射出成形機である。しかしながら、例えば、インラインスクリュー式射出成形機で粘性が低い樹脂を用いる場合、スクリューの回転による安定した溶融樹脂の流動ができず、その結果、安定した可塑化ができないといった問題がある。また、インラインスクリュー式射出成形機で長繊維強化樹脂を用いる場合、可塑化開始直後の樹脂中の長繊維が、スクリューから受ける剪断力により破断し易く、その結果、平均繊維長が短くなって樹脂成形品の強度が低下してしまう問題がある。また、インラインスクリュー式射出成形機で硬い繊維(セラミック繊維、鉱物繊維、金属製繊維など)を含む繊維強化樹脂を用いる場合、繊維の硬さに起因して可塑化中にスクリューが傷みやすいといった問題がある。このように、樹脂によっては、スクリューを用いる可塑化には不向きなものもあった。
【0029】
これに対し、射出成形機1はプランジャープリプラ式射出成形機に類する構造をなすので、スクリューによる樹脂の可塑化は行われない。よって、スクリューを用いる可塑化に不向きな樹脂材料も、射出成形機1では好適に使用することができる。すなわち、射出成形機1で長繊維強化樹脂を用いる場合、前述のようなスクリューに起因する長繊維の破断が避けられ、その結果、平均繊維長が長くなって樹脂成形品の強度向上を図ることができる。また、射出成形機1では、押込プランジャー15や射出プランジャー22の並進運動により溶融樹脂の主な移動が行われるので、粘性が低い樹脂であっても、スクリューによる搬送に比べて円滑に溶融樹脂が移動する。また、硬い繊維との接触でスクリューが傷みやすいといった問題も避けられるので、セラミック繊維、鉱物繊維、又は金属製繊維などを含む繊維強化樹脂の成形にも射出成形機1を使用することができる。
【0030】
その一方、プランジャープリプラ式射出成形機においては、溶融樹脂が十分に攪拌されない場合があり、均質な樹脂成形品が得られない場合もある。これに対し、射出成形機1は、射出プランジャー22の先端部に攪拌部26が設けられ、射出駆動部22aが射出プランジャー22を回転させる回転機構として機能する。この構成により、射出前の溶融樹脂は、予め貯留室後部23bにおいて攪拌部26により十分に攪拌されるので、その結果、均質な樹脂製品を得ることができる。
【0031】
例えばインラインスクリュー式射出成形機のように、スクリューを用いて長繊維強化樹脂の可塑化を行う場合、樹脂材料が未だ固い状態の可塑化開始直後から、樹脂材料がスクリューに絡むことになる。この場合、スクリューの回転により樹脂に作用する剪断力は大きく、樹脂に含まれる長繊維が破断し易い。これに対し、射出成形機1の攪拌部26による溶融樹脂の攪拌は、可塑化部10によって十分に樹脂が可塑化された後に行われる。よって、攪拌部26の攪拌により溶融樹脂に作用する剪断力は十分に小さく、長繊維の破断も少なく抑えられる。また、突起28は、スクリューのフィン部のように連続的なものではなく不連続に間隔を空けて配置されていることも、長繊維の破断を少なく抑える効果に寄与する。
【0032】
また、インラインスクリュー式では、溶融樹脂は、スクリューによって高い圧力で押し付けられながらシリンダー内壁面を擦っていくので、強い剪断力が発生し長繊維が破断し易い。これに対し、攪拌部26では、細径部27が軸線A方向に延びる円柱形状であるので、細径部27の外周面と射出シリンダー21の内壁面との間隙が一様であり、溶融樹脂に対して極度に高い圧力が発生することも少なく、長繊維の破断が少ない。
【0033】
また、射出部20の射出駆動部22aには、射出プランジャー22を高速前進させる機能と、射出プランジャー22を回転させる機能と、の両方の機能が必要である。このような機能を持つ駆動装置は、既に、公知のインラインスクリュー式射出成形機に備えられている。よって、既存のインラインスクリュー式射出成形機において、スクリューを射出プランジャー22に取り替えると共に、可塑化部10を加えることにより、既存のインラインスクリュー式射出成形機を射出成形機1に改造することができる。すなわち、射出成形機1は、既存のインラインスクリュー式射出成形機を改造することで、比較的容易に製造することができる。
【0034】
また、インラインスクリュー式射出成形機のスクリューとは異なり、射出プランジャー22は、その回転速度を適宜調整することが可能である。従って、射出成形機1によれば、樹脂成形品の要求仕様に応じ、回転速度を上げて樹脂の均一性を高める樹脂成形方法と、回転速度を下げて樹脂に含まれる長繊維の平均繊維長を高める樹脂成形方法と、を選択的に使い分けることができる。
【0035】
(第2実施形態)
続いて、図3を参照しながら、本発明の第2実施形態である射出成形機201について説明する。この射出成形機201と前述の射出成形機1とが備える同一又は同等の構成部分には、図面に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
射出成形機201は、射出成形機1における攪拌部26に代えて、射出プランジャー222に設けられた攪拌部226を備えている。攪拌部226は、射出プランジャー222の表面にダイヤカット加工で形成されたダイヤカット部225を有している。ダイヤカット部225が形成されることにより、射出シリンダー21の内径よりも溝の深さ分だけ径が細く軸線A方向に延在する細径部227と、細径部227の外周面から径方向に突出したダイヤ形(菱形)の突起228とが、射出プランジャー222に形成されることになる。
【0037】
この攪拌部226によれば、ダイヤカット部225として凹凸が形成された攪拌部226に溶融樹脂が入り込み、射出プランジャー222の軸線A周りの回転によって、溶融樹脂が攪拌される。このように、攪拌部226も射出成形機1における攪拌部26と同様の機能を有するので、射出成形機201によっても射出成形機1と同じ作用効果が奏される。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。
【0039】
例えば、図4に示すように、外周面に突起228が形成されたスリーブ226aを準備し、射出プランジャー222の本体部にスリーブ226aを取り付けて攪拌部226を形成してもよい。また、図5に示すように、突起38が設けられた狭幅のリング状のスリーブ36aと、スペーサ用スリーブ36bと、を軸線A方向に交互に重ねて射出プランジャー222の本体部に取り付けてもよい。これらの構成によれば、スリーブを交換することにより、突起の形状などの攪拌部の構成を比較的容易に変更することができる
【0040】
また、攪拌部の突起は、実施形態のような直線丸棒のピン形状やダイヤ形状に限られず、例えば、円錐形状や切頭円錐形状等の種々の突起形状を採用することができる。また、図6に示すように、螺旋状に湾曲した突起48を採用してもよい。また、各突起の配置や配置密度やサイズ等も適宜変更可能である。また、以上で説明した各攪拌部が備える各構成を、適宜組み合わせて採用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,201…射出成形機、10…可塑化部、15…押込プランジャー、20…射出部、21…射出シリンダー、22,222…射出プランジャー、22a…射出駆動部(回転機構)、24…ノズル、26,226…攪拌部、27,227…細径部、28,228…突起、41…金型、225…ダイヤカット部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出プランジャーを射出方向に押し出して、射出シリンダー内に貯留された溶融樹脂をノズルから射出する射出部と、
樹脂材料を可塑化させた前記溶融樹脂を押し出して前記溶融樹脂を前記射出シリンダー内に押し込む押込プランジャーを有し、前記射出部とは別に設けられた可塑化部と、
を備えた射出成形機であって、
前記射出プランジャーを回転させる回転機構を備え、
前記射出プランジャーには、
前記回転機構による回転に伴って前記射出シリンダー内の前記溶融樹脂を攪拌する攪拌部が設けられており、
前記攪拌部は、
前記射出シリンダーの内径よりも細径に設けられ前記射出方向に延在する細径部と、前記細径部の外周面から径方向に突出する突起と、を有することを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記突起は、前記細径部の前記外周面から前記径方向に直線状に延びる棒状をなすことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記射出プランジャーの表面にダイヤカット部が形成されることにより、前記細径部と前記突起とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の射出成形機を用いて、前記射出部から射出された溶融樹脂を型で成形することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86455(P2013−86455A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231567(P2011−231567)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(598102546)南真化学工業株式会社 (12)
【出願人】(300030554)
【Fターム(参考)】