説明

将棋ゲーム装置

【課題】実際の将棋の対戦に近いような臨場感のある将棋ゲーム装置を提供する。
【解決手段】将棋ゲーム装置に、移動対象の駒画像50が将棋盤画像10外に設けられている成り/不成領域画像40又は将棋盤画像10内の敵陣領域20との重ね合わせの有無を検知する検知手段と、前記検知手段によって前記重ね合わせが検知されるたびに当該駒画像50の表示を成り駒画像50/不成駒画像55に切り替える画像処理手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、将棋ゲーム装置に関し、特に、ネットワークを介した将棋ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、将棋ゲーム装置として、プレイヤーの駒が成ることが可能な位置に移動した場合に、成るか否かのダイアログボックス等を表示するものがある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−080785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際の将棋の対局では、ダイアログボックス等を表示するという行為に相当するものがない。したがって、特許文献1に開示されている技術は、将棋の対局での場面とは異なり、臨場感に欠けるという問題がある。
【0005】
特に、特許文献1に開示されている手法によれば、移動対象の駒画像が敵陣領域画像と重複するたびに、ダイアログボックス等が表示されることになる。このため、プレイヤー自身も、実際の将棋の対局では行うはずのない、ダイアログボックス等から成り/不成を選択するという操作が必須となる。
【0006】
そこで、本発明は、実際の将棋の対戦に近いような臨場感のある将棋ゲーム装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
将棋盤画像外の成り/不成領域画像又は将棋盤画像内の敵陣領域と移動対象の駒画像との重ね合わせの有無を検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記重ね合わせが検知されるたびに当該駒画像の表示を成り駒画像/不成駒画像に切り替える画像処理手段と、
を備える将棋ゲーム装置。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の将棋ゲーム装置が接続されたディスプレイの表示画面の模式図である。
【図2】将棋ゲーム開始後の任意の場面でのディスプレイの表示画面の模式図である。
【図3】図2とは異なる将棋ゲーム開始後の任意の場面でのディスプレイの表示画面の模式図である。
【図4】図2に示す画面表示を実現するためのCPUの処理手順の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0009】
10 将棋盤画像
20 敵陣領域画像
30,45 持ち駒領域画像
40 成り/不成領域画像
80,85 プレイヤー領域
60,70 カーソル
【発明の実施の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態の将棋ゲーム装置が接続されたディスプレイの表示画面の模式図である。本実施形態では、パーソナルコンピュータとインターネットなどのネットワークとを用いて行う、いわゆるオンライン将棋ゲームを想定して、発明の構成及び動作を説明する。もっとも、本発明は、オンライン将棋ゲーム以外のコンピュータ将棋ゲームにも適用することができる。
【0012】
図1には、将棋盤画像10と、将棋盤画像10の右下及び左上に位置する持ち駒領域画像30,45と、将棋盤画像10の右上に位置していてプレイヤーによって選択された駒が成れる条件であれば当該駒のステータスを示す成り/不成領域画像40と、ゲームの各プレイヤーの名前などが表示されるプレイヤー領域80,85と、将棋ゲームでの対局を投了する際に押下される投了ボタン画像91と、将棋ゲームでの対局を中止する際に押下される引き分けボタン画像92と、将棋ゲームでの対局を保存/終了する際に押下される保存/終了ボタン画像93と、を示している。
【0013】
将棋盤画像10には、飛車駒画像50などの複数の駒画像と、主として駒画像の表示位置を移動させるため手を模したカーソル60,70が表示されている。なお、図1には、説明の便宜上、将棋盤画像10のうち、敵陣領域画像20を特記している。
【0014】
図2は、将棋ゲーム開始後の任意の場面でのディスプレイの表示画面の模式図である。図2(a)には、将棋盤画像10内の敵陣領域画像20外で、飛車駒画像50に固定されたカーソル60を表示させた状態を示している。これは、プレイヤーが飛車駒を敵陣手前で持っている状態に対応する画面である。
【0015】
図2(b)には、将棋盤画像10内の敵陣領域画像20内で、龍王駒画像55に固定されたカーソル60を表示させた状態を示している。これは、プレイヤーが飛車駒を裏返して龍王駒として敵陣内で持っている状態に対応する画面である。
【0016】
本実施形態では、カーソル60が将棋盤画像10内の敵陣領域画像20内に表示される場合には、デフォルトで、飛車駒画像50に代えて龍王駒画像55を表示するようにしている。これは、実際の将棋の対局中には、飛車駒を敵陣に打つ場合に、龍王駒とすることが多いという実情を考慮したものである。
【0017】
また、本実施形態では、パーソナルコンピュータに接続されているマウスのマウスホイールの回転量に応じて、飛車駒画像50/龍王駒画像55の表示を切り替えるようにしている。これは、実際の将棋の対局中に、駒の成り/不成は、その駒を指で挟んだ状態で、かつ、空中で駒を裏返すことが多いという実情を考慮したものである。すなわち、空中で駒を裏返す際の動作に近いプレイヤーの操作によって、飛車駒画像50/龍王駒画像55の表示の切り替えを実現している。
【0018】
また、本実施形態では、パーソナルコンピュータに接続されているキーボードの例えばスペースキーの押下を検出するたびに、飛車駒画像50/龍王駒画像55の表示を切り替えるようにもしている。こうして、プレイヤーの操作の選択肢を増やすこと、及び、成り/不成領域画像40までカーソル60を移動させるというマウス移動量の増加を避けることを実現している。
【0019】
なお、図2(a)には飛車駒画像50を表示するとともに、成り/不成領域画像40には現在の駒のステータスである「不成」を表示し、図2(b)には龍王駒画像55を表示するとともに、成り/不成領域画像40には現在の駒のステータスである「成り」を表示しているが、逆に、現在の駒のステータスではなく現在の駒の変更可能な状態を示すために、図2(a)の場合に「成り」と表示し、図2(b)の場合に「不成」と表示してもよい。
【0020】
図2(a),図2(b)に示されている動作を実現するためのプログラム及びパーソナルコンピュータのCPUなどの処理については後述する。
【0021】
図3は、図2とは異なる将棋ゲーム開始後の任意の場面でのディスプレイの表示画面の模式図である。図3(a)には、将棋盤画像10外の成り/不成領域画像40上に、飛車駒画像50に固定されたカーソル60を表示させた状態を示している。これは、プレイヤーが成り/不成領域画像40付近で飛車駒を持っている状態に対応する画面である。
【0022】
図3(b)には、将棋盤画像10外の成り/不成領域画像40上に、龍王駒画像55に固定されたカーソル60を表示させた状態を示している。これは、プレイヤーが成り/不成領域画像40で飛車駒を龍王駒に切り替えた状態に対応する画面である。
【0023】
本実施形態では、実際の将棋の対局中に、飛車駒/龍王駒の変更をしている場合にも、プレイヤーの視線が将棋盤に向いているという実情を考慮して、飛車駒画像50と龍王駒画像55との表示切り替えを、将棋盤画像10外で行うようにして、将棋盤を遮らないようにしている。
【0024】
特に、本実施形態では、将棋盤画像10の右上に成り/不成領域画像40を設けている。これにより、駒の成り/不成の選択をする場合には、その後に当該駒を敵陣領域画像20内に配置させることが多いので、駒画像のカーソル移動量を抑えられるという効果もある。
【0025】
図4は、図2に示す画面表示を実現するためのCPUの処理手順の概要を示すフローチャートである。まず、プレイヤーがパーソナルコンピュータに接続されているマウスをクリックし、マウスからの信号がパーソナルコンピュータに入力されると、CPUは、そのクリックを検知する(ステップS11)。
【0026】
つぎに、CPUは、そのクリックを検知した際のカーソル60の座標と駒画像(ここでは、飛車駒画像50)の座標とが重複しているか否かを判定する(ステップS12)。
【0027】
判定の結果、カーソル60の座標と飛車駒画像50の座標とが重複していない場合には、カーソル60の座標に対応する処理を実行する(ステップS13)。
【0028】
具体的には、そのクリックを検知した際のカーソル60の座標が、例えば、投了ボタン画像91の座標と重複していれば、将棋ゲームを終了し、当該プレイヤーの負けを確定させる処理を実行する。
【0029】
一方、カーソル60の座標と飛車駒画像50の座標とが重複している場合には、カーソル60と飛車駒画像50とを、カーソル60が飛車駒画像50の上層となる態様で固定させるという画像処理を実行する(ステップS14)。
【0030】
したがって、この処理後にプレイヤーがマウスを移動させると、カーソル60と飛車駒画像50とが一体となって、画面上を移動することになる。なお、飛車駒画像50が、ステップS11でのクリック検知前に、例えば自陣領域に飛車駒画像50として、つまり、不成状態の駒画像として表示されていた場合には、カーソル60と一体で表示される駒画像は「飛車」と表示される。
【0031】
そして、カーソル60と飛車駒画像50とが固定された状態で、プレイヤーがマウスを移動させると、それに応じて、カーソル60と飛車駒画像50とが一体となって画面上を移動することになる。
【0032】
この際、当該カーソル60が、敵陣領域画像20外又は成り/不成領域画像40外に位置するか否か、換言すると、敵陣領域画像20等と移動対象の駒画像(ここでは、飛車駒画像50)との重ね合わせの有無が判定される(ステップS15)。
【0033】
判定の結果、当該カーソル60が、敵陣領域画像20外又は成り/不成領域画像40外に位置する場合には、当該カーソル60に固定されている駒画像には不成状態の表示がされ、かつ、成り/不成領域画像40には、そのステータスを示す「不成」との表示がされる(ステップS16)。
【0034】
つまり、ステップS16の処理の結果、カーソル60が、敵陣領域画像20外に位置すると判定された場合には、カーソル60と一体となった駒画像には「飛車」と表示される。これは、図2(a)に示す状態の表示である。
【0035】
換言すると、カーソル60が、成り/不成領域画像40外に位置すると判定されることにもなるから、カーソル60と一体となった駒画像には「飛車」と表示される。これは、図3(a)に示す状態の表示である。
【0036】
一方、当該カーソル60が、敵陣領域画像20内又は成り/不成領域画像40内に位置する場合には、当該カーソル60に固定されている駒画像には成り状態の表示がされ、かつ、成り/不成領域画像40には、そのステータスを示す「成り」が表示される(ステップS17)。
【0037】
つまり、ステップS17の処理の結果、カーソル60が、敵陣領域画像20内に位置すると判定された場合には、カーソル60と一体となった駒画像には「龍王」と表示される。これは、図2(b)に示す状態の表示である。
【0038】
また、ステップS17の処理の結果、カーソル60が、成り/不成領域画像40内に位置すると判定された場合にも、カーソル60と一体となった駒画像には「龍王」と表示される。これは、図3(b)に示す状態の表示である。
【0039】
それから、プレイヤーによるマウスのクリックがあるかどうかという、クリック検知の判定される(ステップS18)。
【0040】
判定の結果、クリックが検知されてない場合には、ステップS15に移行し、その後ステップS18においてクリックが検知されるまで、以後、ステップS15〜S18の処理が実行される。このため、ステップS17の処理後に、再び、当該カーソル60が、敵陣領域画像20内に戻ると、カーソル60と一体で表示される駒画像も、再び、「龍王」から「飛車」に切り替えられることになる。
【0041】
一方、クリックが検知された場合には、カーソル60と駒画像との固定を解除して、クリック位置に対応する領域に、当該駒画像を固定する(ステップS19)。
【0042】
以上の処理により、図2(a),図2(b)に示す画像表示、又は、図3(a),図3(b)に示す画像表示を実現することができる。もっとも、実際には、ステップS15の処理とともに、マウスホイールが所定量以上に回転されたか否か、又は、スペースキーが押下されたか否かも判定しており、当該判定の結果、マウスホイールが所定量以上に回転されるたび、又は、スペースキーが押下されるたびに、移動対象の駒画像の成状態/不成状態の表示切り替えを実行している。
【0043】
ところで、本実施形態によれば、ステップS15の処理を実行していることから、カーソル60と移動対象の駒とが固定した状態でプレイヤーがマウスを移動させると、これに応じて、一体となったカーソル60と移動対象の駒とが画面上を移動することになる。将棋は、種々のその後の相手の一手、二手、三手と先を読む楽しみがある。
【0044】
本実施形態では、図4のフローチャートから明らかなように、いずれのプレイヤーがカーソルを動かす様子も、成り/不成を選択している様子も、ディスプレイにも画面表示されるようにしてある。したがって、カーソル移動等のさまを見て、相手プレイヤーの思考を探ると言った実際の将棋に近い状況を実現できるという利点がある。
【0045】
なお、図2,図3を見ると明白であるが、本実施形態では、カーソル60とカーソル70の大きさを異ならせて表示させている。具体的には、カーソル60をカーソル70よりも大きく表示している。この表示の大小は、次の一手を行うプレイヤーを一目でわかりやすくするための工夫である。
【0046】
これを実現するためには、図4のステップS19の後に、カーソル60とカーソル70の大きさとを切り替えると言うステップを実行すればよい。このような処理は、一般的なゲーム装置の場合には見られない、将棋ゲーム装置ならではの創意工夫である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
将棋盤画像外の成り/不成領域画像と移動対象の駒画像との重ね合わせの有無を検知する手段と、
前記重ね合わせが検知されるたびに当該駒画像の表示を成り駒画像/不成駒画像に切り替える手段と、
を備える将棋ゲーム装置。
【請求項2】
将棋盤画像内の敵陣領域画像と移動対象の駒画像との重ね合わせの有無を検知する手段と、
前記重ね合わせが検知されるたびに当該駒画像の表示を成り駒画像/不成駒画像に切り替える手段と、
を備える将棋ゲーム装置。
【請求項3】
当該駒画像の表示を成り駒画像/不成駒画像が切り替えられるたびに前記将棋盤画像外の成り/不成領域画像の成り表示/不成表示を切り替える手段を備える、請求項1又は2記載の将棋ゲーム装置。
【請求項4】
前記駒画像を移動させるためのカーソルの大きさを駒移動が完了するたびに切り替える手段を備える、請求項1又は2記載の将棋ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−156133(P2011−156133A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19921(P2010−19921)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(503362784)
【Fターム(参考)】