説明

導光板、バックライト・ユニット及び表示装置

【課題】高い入射効率および正面輝度を実現でき、且つホットスポットを軽減した光学部材を提供する。
【解決手段】光源5および反射板2と対向する光入射面1を少なくとも一つ有し、前記光入射面と略直交する光反射面と、前記光反射面の逆面に光出射面3を有する透明な導光板20であって、前記光入射面に三角プリズム形状である微細な凹凸15を具備し、前記微細な凹凸が前記光出射面に対して略垂直方向に延在する形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光路の制御に用いられる凹凸形状光学シート、光源ユニットおよびディスプレイ装置に係り、特に、フラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置における照明光路制御に使用される導光板、バックライト・ユニット及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した液晶ディスプレイ装置は、主としてOA分野のカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。このような液晶ディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側(観察者側とは反対側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、いわゆる、バックライト方式が採用されている。
【0003】
この種のバックライト方式に採用されているバックライト・ユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、「エッジライト方式」)と、導光板を用いずに冷陰極管(CCFL)等の光源ランプからの光で直接照明する「直下型方式」とがある。
【0004】
導光板ライトガイド方式のバックライト・ユニットが搭載された液晶ディスプレイ表示装置としては、例えば、図4に示すものが一般に知られている。図4に示す液晶ディスプレイ装置50は、表裏両面を偏光板51、52で挟んでなる液晶パネル53が上部に位置して配設され、液晶パネル53の下面側に略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板54が設置されており、この導光板54の上面(光射出面54a側)に拡散フィルム55(拡散層)が設けられている。さらに、導光板54の下面には、導光板54に導入された光を効率よく液晶パネル53に向け均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部(図示省略)が印刷などによって設けられるとともに、前記散乱反射パターン部の下方に反射フィルム56(反射層)が設けられている。
【0005】
また、導光板54には、その側端部に光源ランプ57が設けられており、さらに光源ランプ57の光を効率よく導光板54中に入射させるべく、光源ランプ57の背面側を覆うようにして高反射率の反射板58が設けられている。前記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し、乾燥、形成したものであり、導光板54内に入射した光に指向性を付与し、光射出面54a側へと導くようになっている。これは、高輝度化を図るための工夫である。
【0006】
しかし、図4に例示した液晶ディスプレイ装置では、視野角の制御が拡散フィルム55の拡散性のみに委ねられており、その制御が難しいという問題があった。例えば、正面方向から見た場合は、液晶ディスプレイの表示画面は明るいが、横方向から見た場合には表示画面が暗くなる場合があり、また、液晶表示画面の中心部は明るく、周辺部が暗くなる欠点もあった。このように、光の利用効率が悪いという問題があった。
【0007】
一方、直下型方式は、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの表示装置が用いられている。
【0008】
この直下型方式の液晶ディスプレイ装置としては、図5に例示する装置が一般的に知られている。この図5に示す液晶ディスプレイ装置60は、表裏両面を偏光板61、62に挟んでなる液晶パネル63が上部に位置して配設され、液晶パネル63の下面側に蛍光管等からなる光源64が配置される。さらに、光源64の上面側に拡散フィルム65のような光学シートが設けられている。また、光源64の背面には、光源64から液晶パネル63と反対の方向に向かう光を液晶パネル63側へ反射させる反射板66が配置されている。これによって、光源64から射出される光は拡散フィルム65で拡散され、この拡散光を高効率で液晶パネル63の有効表示エリアに集光させるものである。
【0009】
しかし、この図5に示した液晶ディスプレイ装置60では、視野角の制御が拡散フィルム65の拡散性のみに委ねられているため、その制御は難しいという問題があった。例えば、液晶表示画面を正面方向から見た場合はその表示画面は明るいが、液晶表示画面を横方向から見た場合にはその表示画面が暗くなる場合があり、また液晶表示画面の中心部は明るく、周辺部が暗くなる欠点もあった。このように、光の利用効率が悪いという問題があった。
【0010】
そこで、上述の問題を解決する一つの方法として、図6に示す液晶ディスプレイ装置70では、米国3M社の登録商標である輝度強調フィルム(BEF:Brightness Enhancement Film)71をバックライト用照明光源74の上方に位置して配置され、さらに、BEF71の上方である光出射面側に図示しない光拡散フィルムを配置する方法が採用されている。BEF71は、透明基材72の上面である光出射面に、断面が三角形状の単位プリズム73が一方向に一定のピッチで配列されたフィルムである。この単位プリズム73は光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。BEFは、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。
【0011】
輝度強調フィルム71は、ディスプレイ装置の使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させ、ディスプレイ装置の表示品位を向上させる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。また、輝度強調フィルム71は、通常、単位プリズムの反復的アレイ構造が1方向のみの配列からなり、その配列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。そのため、水平方向及び垂直方向の両方向での表示光の輝度制御を行なうためには、単位プリズム群の配列方向が互いに略直交するように、2枚のBEFシートを重ねて組み合わせて用いる必要がある。
【0012】
そこで、最近では、光利用効率をアップして高輝度化を図るために、図7に示すように、拡散フィルム55と液晶パネル53との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)59(591、592)を設けることが提案されている。このプリズムフィルム591、592は導光板54の光射出面54aから射出され、拡散フィルム55で拡散された光を高効率で液晶パネル53の有効表示エリアに集光させるものである。このようなBEFを採用することにより、ディスプレイ設計者が電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができるようになった。このようなBEFに代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材をディスプレイ装置に採用した技術は、例えば特許文献1乃至3などにおいて従来から知られている。
【0013】
また、液晶表示装置には、薄型、高輝度、軽量、低消費電力であることが市場ニーズとして強く要請されており、それに伴い液晶表示装置に搭載されるバックライト・ユニットも軽量、高輝度、低消費電力であることが要求されている。特に、最近、目覚しく発展しているカラー液晶表示装置においては、液晶パネルの透過率がモノクロ対応の液晶パネルに比べ格段に低いため、バックライト・ユニットの輝度向上を図ることが、装置自体の低消費電力を得るために必須となっている。
【0014】
さらに、最近では映像媒体の多様化に伴い、高画質化が進み、それに映像の臨場感を味わいたいというニーズから、3D表示が可能な液晶表示装置の需要が増加している。3D表示を液晶表示装置で行なう場合、専用メガネを必要とする「アクティブシャッター方式」という方式が現在一般的である。この方式は、右目用と左目用の映像を交互に表示し、専用メガネにあるシャッターが開閉することで、映像を右目用と左目用に振り分け立体的に表示させるものである。しかしながら、この方式では、発光時間が通常の半分になり、また専用メガネの偏光板や反射などのロスもあって通常の2D表示時に比べて輝度が10分の1程度にまで低下することが知られている。そのため、3D用液晶表示装置には2D表示の通常の液晶表示装置よりも高輝度化が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
液晶表示装置の輝度向上を実現するための方法として、最も確実かつ簡便であるのは光源を増やすことだが、これは上述した低消費電力という市場ニーズに反し、また発熱によって装置の劣化を誘発し、更にコストアップにも繋がるなど、多くの問題を生じさせるため、完全な解決策とはならない。
【0017】
また、光源としてLEDに代表される点光源を使用した場合、図9に例示するように、導光板内における光入射面側の端部付近で光の明暗が生じてしまい、表示品位を低下させる「ホットスポット」という問題があった。
【0018】
本発明は上記のような実情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、単体で従来の物より光取り出し効率が高く、且つホットスポットを軽減させる導光板、並びにそれを用いたバックライト・ユニット及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、光源および反射板と対向する光入射面を少なくとも一つ有し、前記光入射面と略直交する光反射面と、前記光反射面の逆面に光出射面を有する透明な導光板であって、前記光入射面に微細な凹凸を具備し、前記微細な凹凸が前記光出射面に対して略鉛直方向に延在する形状であることを特徴とする導光板である。
【0020】
これの対応する概略図を、図1に示す。
【0021】
ここでいう前記光出射面に対して略鉛直方向とは、図1におけるy軸方向のことを指している。
【0022】
また、請求項2に記載の発明は、前記微細な凹凸が三角プリズム形状であることを特徴とする、請求項1に記載の導光板である。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は、前記三角プリズムの頂角をA(°)、ピッチをP(μm)としたとき、
5≦P≦−0.0614A+7.701A+48.375
(60≦A≦130)
を満たすことを特徴とする、請求項1および2に記載の導光板である。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の導光板と、前記光入射面に対向して配置される光源と、を備えることを特徴とするバックライト・ユニットである。
【0025】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4の記載において、前記光入射面以外の端面に対向して配置される光反射テープと、を備えることを特徴とするバックライト・ユニットである。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4乃至5の記載において、前記導光板の出射面上に配置され、前記出射面から出射された面状の光の輝度分布を調整する光学シートをさらに備えることを特徴とするバックライト・ユニットである。
【0027】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6に記載のバックライト・ユニットと、前記バックライト・ユニットから出射される光が背面側から入射されるように配置された画像表示素子と、を備えることを特徴とする表示装置である。
【0028】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7の記載において、前記画像表示素子は画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定することを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0029】
正面輝度の向上を実現するためには、光ムラが生じにくいよう導光した後、光出射面から効率よく光を取り出すことが重要となる。しかし、それに先立って、光源からの光を効率よく導光板内に入射させることが出来れば、それが正面輝度の向上に大きく寄与することは自明である。
【0030】
本発明では光入射面に微細な凹凸を設けることにより、光源からの光の全反射を抑制して入射光のロスを軽減し、その結果として高い正面輝度を実現することが出来る。
【0031】
また、光源としてLEDに代表される点光源を使用した場合、導光板内における光入射面側の端部において、光源の近傍は明るく、光源同士の中間付近は暗くなることが容易に視認できる。
【0032】
本発明では光入射面に設けた微細な凹凸によって、入射光の拡散性を増すことにより、ホットスポットと呼ばれる上記の明暗ムラを軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)本発明の実施形態である導光板の形状例を示す斜視図である。(b)本発明の実施形態である導光板の形状例を示す正面図である。
【図2】(a)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(b)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(c)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(d)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(e)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(f)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(g)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。(h)本発明の実施形態である導光板の、表面形状例を示す斜視図である。
【図3】本発明の液晶ディスプレイ装置の構成例を示す模式的な正面図である。
【図4】従来の液晶ディスプレイ装置の構成例を示す模式的な断面図である。
【図5】従来の液晶ディスプレイ装置の他の構成例を示す模式的な断面図である。
【図6】従来のバックライト・ユニットの一例を示す模式的な断面図である。
【図7】従来の液晶ディスプレイ装置の他の構成例を示す模式的な断面図である。
【図8】本発明の導光板を使用した際の、評価結果を示すグラフである。
【図9】(a)従来の導光板における、導光の様子を示す模式的な正面図である。(b)本発明の実施形態である導光板の、導光の様子を示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態である導光板20の斜視図である。図2はその導光板20の正面図である。この導光板20は光透過性に優れた材料によって平板状に形成されており、その平板の一端面を光入射面1としている。光入射面1に対して略直交する向きの一方の面を光反射面2とし、この光反射面2の逆側の面を光出射面3としている。光入射面1には微細な凹凸15を形成しており、この凹凸15は光出射面3に対して略垂直方向に延在する形状のものである。この凹凸15は、例えば、図1(b)に示すように、光出射面3に略平行な面に沿う断面での形状が三角形となっており、その凹凸15が形成する頂部や谷部の向きが光出射面3に対して略垂直方向つまり光出射面3に対して略垂直な向きになっている。
【0035】
光入射面1には複数の光源5が配置され、光源5からの光は凹凸15を透してある程度の広い範囲に分布するように導光板20内に入射される。
【0036】
仮に、光入射面1が完全な平坦面であった場合、この光入射面に対して一定以下の角度を持った光線は透過・屈折を伴って導光板20内に入射するが、一定以上の角度の光は平坦な光入射面上における全反射により導光板20内に侵入できないようになる。
【0037】
そこで、本発明では、光入射面1が平坦面でなく、微細な凹凸を有する構造にすることで、従来のものより広範囲で光源5からの光を多く導光板20内に入射させることが可能となる。
【0038】
この導光板20を組み込んだ液晶ディスプレイ装置の例を図3に示している。この場合の導光板20は正面から見て全体的に矩形状のものであり、これを同じく矩形状の筐体フレーム7に嵌め込み装着している。さらに、光入射面1を除く導光板20の端面と、筐体フレーム7との間には反射テープ6を介在させて、光入射面1を除く導光板20の端面を反射テープ6で覆うようにしている。
【0039】
本発明での導光板は、光入射面の微細な凹凸が必ずしも一定である必要は無いが、光入射面の位置による凹凸の表面粗さの変化勾配があまりに急峻であると、光の入射効率が局所的に急変してしまう部位が生じることがあり、結果として表示品位を低下させる虞があるため、光入射面の微細な凹凸の表面粗さは、光入射面全面を通して大きな差異が無いことが好ましい。
【0040】
また、一つの光源と導光板の光入射面の面積を比較すると、図1における、導光板の光入射面1と光出射面3の両方に垂直な方向であるy軸方向では一辺の長さの差は小さいが、光入射面1の面方向でx軸方向とy軸方向に直交するz軸方向では圧倒的に長さや面積の差異が大きいことが多い。特に、LED光源などの点光源の場合、その違いは顕著である。
【0041】
そのため、例えば、研磨や切削などの手法によって一次元的に延在する形状の光入射面を作製するとき、光源からの光量のロスを軽減することを考慮すると、凹凸の形状をy軸方向に略平行に延在させたものが最も効果が高くなる。この際、y軸方向に対して精確に平行でなくとも好適に使用することが出来る。
【0042】
次に、光入射面1の微細な凹凸15の概略的な断面形状の例を図1(b)に示す。同図1中において、A,P,Hはそれぞれ凹凸の頂角,凹凸のピッチ,凹凸の高さを表している。
【0043】
また、光入射面1の微細な凹凸15が延在する形状である場合、必ずしも凹凸が直線状である必要は無く、凹凸15の延在する形が曲線状であっても良い。また、緩やかに屈曲する線であってもよい。
【0044】
また、光入射面1の微細な凹凸における頂部、すなわち最も光源に接近している部位は、極端に鋭角でないことが好ましい。例えば、微細な凹凸15が上述した図1,2に示した形状のように三角プリズム形状のとき、頂角Aが60°より小さいと、耐擦性が低くなり、振動などの影響を受けて磨耗・欠損しやすくなるからである。
【0045】
光反射面の凹凸を作製するための主たる方式として、印刷方式、レーザー方式、インクジェット方式、インジェクション方式、押出賦形方式などが挙げられるが、本発明の導光板においては光反射面の方式に制限は無い。
【0046】
本発明の導光板は、光反射面・光出射面の少なくとも一方に微細なレンズ形状を具備し、その微細なレンズ形状で光の反射性・集光性・拡散性を有していても良い。
【0047】
ここで、微細なレンズ形状の種類としては、凸状シリンドリカル形状のもの、レンズ形状のもの、三角プリズム形状のものなどが挙げられるが、これらに限らず、光の反射性・集光性・拡散性が微細なレンズ形状が付与される前に比較して向上するものであれば、上記の形状に限らない。
【0048】
また、導光板の入射端面に微細なレンズ形状を形成した場合には光学密着、ムラ、ニュートンリングなどの外観特性を向上することもできる。
【0049】
本発明の導光板は、光反射面・光出射面ともに微細なレンズ形状を有することが有り得る。この主だった形状の例を図2に示した。ただし、効率的に光の反射・集光・拡散を行える形状であれば、レンズ形状は例示したものに限らない。
【0050】
図2(a)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状のものの断面形状がいずれも同じ三角形状のものである。
【0051】
図2(b)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状のものの断面形状が同じ多角形状であって、例えば、4角形状の場合であり、特に頂点側の辺が谷側の辺よりも短く左右の辺が均等に配置される形状のものである。
【0052】
図2(c)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状のものの断面形状がいずれも三角形状であって、三角形状の高さが異なる2種類のものを一つ置きに交互に配置した形状のものである。
【0053】
図2(d)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状のものの断面形状がいずれも三角形状であって、高さが異なる2種類のものを含み、高さが低いものを2つ続けて並べ、これと高さが高いものを交互に配置した形状のものである。
【0054】
図2(e)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状のものの断面形状の高さが同等の半円形状のものである。
【0055】
図2(f)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状の頂き部分にその頂部に沿って溝を形成したものである。
【0056】
図2(g)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状のものの断面形状が半円形状であって、高さが異なる2種類のものを含み、高さが低いものと高いものとを交互に配置した形状のものである。
【0057】
図2(h)で示すものは、複数の凸状シリンドリカル形状であって、高さが異なる2種類のものを含み、高さが低いものを2つ続けて並べ、この2つのものと高さが高いものを交互に配置した形状のものである。
【0058】
また、導光板の光反射面・光出射面は、同じ形状であっても良いし、異なる形状であっても良い。
【0059】
導光板の光反射面および光出射面が共に一方向に延在するレンズアレイ形状を有している場合、両面の形状に起因するモアレの発生を抑制することを考慮し、光反射面・光出射面の微細なレンズ形状同士は直交していることが最も好ましい。ただし、精確に直交していなくとも好適に使用することが出来る。
【0060】
本発明の導光板は複層構造でも良く、透明層を含んでいても良い。
【0061】
本発明の導光板は光入射面の表面形状に依存するものであり、導光板の厚みについては特に制限はない。
【0062】
本発明の導光板を形成する主たる材料は、光透過性を考慮するとアクリル系樹脂が好ましく、特にPMMA(ポリメチルメタアクリレート)が良い。
【0063】
ただし、ポリカーボネート樹脂やポリスチレン樹脂、フッ素系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などの、一般的によく用いられている様々な材料においても有効である。
【0064】
また、主となる材料の中に分散された透明粒子を具備することも可能である。
【0065】
本発明の導光板の製法例として、まず樹脂ペレットを溶融し、押出機にてダイより一定の厚みを有する板状に樹脂を押し出し、樹脂板が冷却・硬化する前に基材シートとラミネートし、冷却した後基材シートから剥離して、所望のレンズ形状を有する導光板を得ることができる。
【0066】
なお、最終的に同一の表面形状を有する導光板を作製できるならば、その作製手段については特に制限は無い。
【0067】
本発明の導光板は、用途に応じて光学シートを積層して使用しても良く、また光学シートの枚数は適宜増やしても良い。ただしシート境界面が増え過ぎることによる光量ロスを考慮すれば、4枚以下の積層であることが好ましい。
【0068】
本発明の導光板を使用したバックライト・ユニットが、導光板ライトガイド方式である場合、一辺,二辺または四辺に光源を備えたものが一般的だが、どの場合においても好適に使用できる。
【0069】
また、本発明の導光板は、バックライト・ユニット内において光源が配置されている辺に対向する全ての端面に凹凸を具備することが最も好ましいが、最低でも一辺の端面に凹凸が具備されているならば、充分に優位性を発揮することが出来る。
【0070】
バックライト・ユニット内において、導光板の光入射面と光源との距離が極端に離れていると、光入射面に一度も当たらずに脇に漏れる光線量が多くなり、その結果として光出射面の正面輝度の低下を引き起こす。
【0071】
そのため、熱によって導光板に反りや歪みが生じない程度に、導光板の光入射面と光源との隙間は小さくすることが好ましい。
【0072】
本発明の導光板を使用したとき、従来の導光板と比較して光の入射角度が広く分布するため、光入射面以外の端面から抜け出す光が存在することを無視できない。
【0073】
そこで図3に示すように、光入射面以外の端面と対向するようにバックライト・ユニット内部に光反射効率の高いテープ等を具備することで漏れ光を抑制し、光出射面から出射する光量を更に増大させることが出来る。
【0074】
また、バックライト・ユニット内に光反射テープを具備する場合、光入射面以外の端面と対向する全ての辺に光反射テープを具備することが最も好ましいが、最低でも一辺に光反射テープが具備されているならば、充分に優位性を発揮することが出来る。
【0075】
バックライト・ユニットの光源としては、CCFL、LED、有機又は無機ELなど、様々な光源を使用できる。
【0076】
また、バックライト・ユニットに内蔵される光源の個数には特に制限は無い。
【0077】
以上のように作製した導光板は、従来の導光板と比較して光の入射効率が高く、その結果として光出射面における正面輝度が高い。バックライト・ユニットに使用する際は、市販の光学シートなど様々な光学部材と共に本発明の導光板を組み合わせて使用することにより、所望の表示性能を持つディスプレイを提供することができる。
【実施例】
【0078】
本発明による導光板を作製し、その効果を確認するべく評価を実施した。
【0079】
その製造法として、まず樹脂ペレットを溶融し、押出機にてダイより一定の厚みを有する板状に樹脂を押し出し、樹脂板が冷却・硬化する前に基材シートとラミネートし、冷却した後基材シートから剥離して、本発明の導光板を得るという手法を用いた。
【0080】
なお、光入射面に関しては、上記の方法で導光板を作製した後、端面に断裁・研磨・切削などの処理を行うことにより所望の形状を得た。
【0081】
以下に示す結果は材料にPMMAを用い、光出射面としてレンチキュラーレンズ、光反射面として鏡面上の白色反射ドットを使用した、厚さ3mmの導光板による評価結果である。
【0082】
(正面輝度評価)
液晶テレビ(LG製FLATRON E2360V−PN)の液晶パネルを外し、光出射面が上方に向くようにテレビを静置し、導光板・拡散フィルム・拡散フィルム・90°プリズムを、この順番に積層した状態で、導光板の鉛直方向から輝度測定を実施した。測定装置にはSR−3(株式会社トプコン製)を使用し、暗所にてTVと50cmの距離から俯瞰する形で実施した。
【0083】
その際、光入射面の微細な凹凸の形状が異なる複数種のサンプルを作製し、基準となるサンプルより正面輝度が3%以上高くなるものならば充分に有用であると判断した。その結果を、図8および表1に記す。
【0084】
図8は光入射面の頂角AおよびピッチPに対し、正面輝度が基準サンプルより3%以上である場合を○で、3%未満である場合を×で表記したグラフである。評価が○となる境界線は、式P=−0.0614A+7.701A+48.375で近似される。
【表1】

【0085】
(光反射テープの効果)
また、図3に示したような、光入射面以外の端面と対向するように筐体内に光反射テープを貼ったバックライト・ユニットを用いて同様に正面輝度測定を行うと、光反射テープを使用しなかった場合と比較して、少なくとも同等以上の輝度となることが確認でき、最大で、2.6%程度の輝度向上が見られた。
【0086】
(ホットスポット評価)
液晶テレビ(LG製FLATRON E2360V−PN)の液晶パネルを外し、光出射面が上方に向くようにテレビを静置し、導光板・拡散フィルム・90°プリズムをこの順番に積層した状態で、光源から10mmの位置でz軸方向の明暗コントラストを測定した。
【0087】
光入射面が平坦であるときの上記コントラストと比較して、光入射面に凹凸を具備した場合には、凹凸の形状に依らずコントラスト値は減少しており、最もコントラスト値が小さいときには、光入射面が平坦であるときの50%にまで減少した。
【0088】
また導光板の鉛直方向から目視で観察したとき、光入射面に凹凸を具備した場合には、明確にホットスポットの軽減が確認できた。
【0089】
(耐擦性評価)
まず、四辺全ての端面を三角プリズム状に加工した、1045mm×596mmのサイズの導光板を複数種用意した。その際、三角プリズムのピッチを50μmおよび100μm、頂角を30°、60°、120°とした。
【0090】
上記の各導光板を筐体内に設置した46インチの薄型液晶テレビを梱包箱に収納し、前期薄型液晶テレビが直立するように梱包箱を立てた状態で、室温にて上下、左右、前後の三方向に各60分ずつ振動させた。その際の振動条件として、振動数は5〜50Hz、振幅は0.2〜19.8mmとしている。
【0091】
振動終了後すぐに前記薄型液晶テレビ筐体から導光板を取り出し、目視及び電子顕微鏡にて光入射面の頭頂部における磨耗痕の有無を確認したところ、ピッチが50μmおよび100μmどちらの場合も、頂角が30°の導光板においては三角プリズム頭頂部に磨耗もしくは欠損が確認され、頂角が60°および120°の導光板においては問題の発生は見られなかった。
【0092】
これにより、光入射面の頂部が極端に鋭角でない場合(少なくとも頂角が60°以上の場合)には、高い耐擦性を得られることが判じられた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る導光板は様々な用途において、好適に利用することができる。本発明に係る導光板を搭載したバックライト・ユニット及び表示(ディスプレイ)装置などについても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…光入射面
2…光反射面
3…出射面
4…端面
5…光源
15…微細な凹凸
20…導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源および反射板と対向する光入射面を少なくとも一つ有し、前記光入射面と略直交する光反射面と、前記光反射面の逆面に光出射面を有する透明な導光板であって、
前記光入射面に微細な凹凸を具備し、
前記微細な凹凸が前記光出射面に対して略垂直方向に延在する形状であることを特徴とする導光板。
【請求項2】
前記微細な凹凸が三角プリズム形状であることを特徴とする、請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記三角プリズムの頂角をA(°)、ピッチをP(μm)としたとき、
5≦P≦−0.0614A+7.701A+48.375
(60≦A≦130)
を満たすことを特徴とする、請求項1および2に記載の導光板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の導光板と、前記光入射面に対向して配置される光源と、を備えることを特徴とするバックライト・ユニット。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記光入射面以外の端面に対向して配置される光反射テープと、を備えることを特徴とするバックライト・ユニット。
【請求項6】
請求項4乃至5の記載において、前記導光板の出射面上に配置され、前記出射面から出射された面状の光の輝度分布を調整する光学シートをさらに備えることを特徴とするバックライト・ユニット。
【請求項7】
請求項4乃至6に記載のバックライト・ユニットと、前記バックライト・ユニットから出射される光が背面側から入射されるように配置された画像表示素子と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項7において、前記画像表示素子は画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73114(P2013−73114A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213409(P2011−213409)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】