説明

導光板、プリント配線板、キーモジュール、電子機器

【課題】輝度を向上させることができると共に、クリック感を向上させることができる導光板、該導光板を備えたプリント配線板、該プリント配線板を備えたキーモジュール、及び該キーモジュールを備えた電子機器の提供を課題とする。
【解決手段】光源40から肉厚内に入射した光を導光しながら1乃至複数の必要箇所で外部へ出射させるようにした導光板20であって、1乃至複数の所定位置に厚み方向に貫通する1乃至複数のスリットSからなるスリット構造部22を備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、該導光板を備えたプリント配線板、該プリント配線板を備えたキーモジュール及び該キーモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする電子機器において、その一様な照光には導光板が用いられている。導光板にはポリカーボネートやポリウレタンが用いられることが多く、その厚みは一般的に0.1mm〜0.2mmである。導光板による照光輝度は、導光板の厚みが厚肉なものほど光の取り込み量が増し、輝度も高まる傾向にある。
一方、キーとドームスイッチとの間に導光板を配置する携帯電話機等においては、キーを押し込んだ際、導光板を介してドームスイッチが押圧される構造のため、導光板が厚肉なものほど、入力時の感触(クリック感)は低下する傾向にある。
よって輝度を向上させると共に、クリック感を満たす技術の開発が課題となっていた。
輝度を向上させる従来技術として、例えば下記特許文献1、2がある。
下記特許文献1は、面状光源ユニットに関する発明で、LED入光面に対向した面に直接当たる光を利用する技術が開示されている。
また下記特許文献2は、シート状導光体及び操作キー照明装置並びに電子機器に関する発明で、部材コストの増大を抑え、操作キーにおいて複数のキー領域を別々に点灯可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−84140号公報
【特許文献2】特開2009−146653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、LED入光面に対向した面に直接当たる光を有効に利用することで輝度を向上させることができるメリットがある。
しかしながら、LED照射光を上下に分割する第1のプリズム5を精度良く作製するのが困難であるという問題があった。また照光させたいポイントではない第1のプリズム5近傍の輝度が上昇することから、輝度均一性が低下するという問題があった。
また輝度の向上性と同時にクリック感を満たすための構成はなく、そのような記載や示唆もなされていなかった。
また上記特許文献2においては、キー領域14の境界直下にスリットSが形成されて複数の導光領域12に分けられると共に導光領域12毎に異なる光源3が設置される導光体本体16を有し、スリットSの内壁面の少なくとも一部が、遮光材料18で覆われる構成とすることで、複数の導光領域12間を光学的に分断できる。よって複数の導光領域12を別々に点灯することができ、輝度を効率的に向上させることができるメリットがある。
しかしながら、シート状導光体11に形成されるスリットSは、あくまで複数の導光領域12を光学的に分断可能とするために利用されるものであり、輝度の向上性と同時にクリック感を満たす効果を有するものではなかった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、輝度を向上させることができると共に、クリック感を向上させることができる導光板、該導光板を備えたプリント配線板、該プリント配線板を備えたキーモジュール、及び該キーモジュールを備えた電子機器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導光板は、光源から肉厚内に入射した光を導光しながら1乃至複数の必要箇所で外部へ出射させるようにした導光板であって、1乃至複数の所定位置に厚み方向に貫通する1乃至複数のスリットからなるスリット構造部を備えてあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、導光板は、光源から肉厚内に入射した光を導光しながら1乃至複数の必要箇所で外部へ出射させるようにした導光板であって、1乃至複数の所定位置に厚み方向に貫通する1乃至複数のスリットからなるスリット構造部を備えてあることから、導光板内部を伝搬する光をスリット構造部から出射させることができる。よってスリット構造部を備える所定位置の輝度を向上させることができる。またスリット構造部を備えることで、所定位置の屈曲性を増すことができ、導光板の弾性撓み性を向上させることができる。
【0008】
また本発明の導光板は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記スリットは、厚み方向の一方向に向かって広がるテーパー形状の断面を持つことを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記スリットは、厚み方向の一方向に向かって広がるテーパー形状の断面を持つことから、導光板内部を伝搬する光をスリット構造部から一段と効率良く出射させることができる。よってスリット構造部を備える所定位置の輝度を一段と向上させることができる。またスリット構造部を備える所定位置の屈曲性を一段と増すことができ、弾性撓み性を一段と向上させることができる。
【0010】
また本発明の導光板は、上記本発明の第1又は第2の特徴に加えて、前記スリット構造部に対応して導光板を通過してきた光を外部へ出射させる光出射構造部を備えていることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、前記スリット構造部に対応して導光板を通過してきた光を外部へ出射させる光出射構造部を備えていることから、導光板を通過してきた光を光出射構造部で効率的に外部へ出射させることができる。よってスリット構造部を備える所定位置の輝度を更に一段と向上させることができる。
【0012】
また本発明のプリント配線板は、第1〜第3の何れか1つの特徴に記載の導光板を備えたことを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、プリント配線板は、第1〜第3の何れか1つの特徴に記載の導光板を備えることにより、スリット構造部を備える所定位置の輝度及び弾性撓み性を向上させることができる。
【0014】
また本発明のキーモジュールは、第4の特徴に記載のプリント配線板と、該プリント配線板の導光板に対して光を入射させる光源と、前記プリント配線板の上方に位置し、所定の指令を入力するためのキースイッチと、該キースイッチの下方に位置し、前記キースイッチの動作に従動してスイッチオン、スイッチオフを行うドーム状のスイッチ動作子とから構成されることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、キーモジュールは、第4の特徴に記載のプリント配線板と、該プリント配線板の導光板に対して光を入射させる光源と、前記プリント配線板の上方に位置し、所定の指令を入力するためのキースイッチと、該キースイッチの下方に位置し、前記キースイッチの動作に従動してスイッチオン、スイッチオフを行うドーム状のスイッチ動作子とから構成されることから、スリット構造部を備える所定位置の輝度及び弾性撓み性を向上させることができる。
【0016】
また本発明のキーモジュールは、上記本発明の第5の特徴に加えて、前記導光板は、前記プリント配線板と、前記キースイッチとの間に配置されると共に、該キースイッチに対応する位置に前記スリット構造部を備えてあることを第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、上記本発明の第5の特徴による作用効果に加えて、前記導光板は、前記プリント配線板と、前記キースイッチとの間に配置されると共に、該キースイッチに対応する位置に前記スリット構造部を備えてあることから、導光板内部を伝搬する光をキースイッチ方向へ出射させることができる。よってキースイッチの輝度を向上させることができる。また導光板においてキースイッチに対応する位置の屈曲性を増すことができ、弾性撓み性を向上させることができる。よってキースイッチを押圧した際のクリック感を向上させることができる。
【0018】
また本発明の電子機器は、第5又は第6の特徴に記載のキーモジュールを備えたことを第7の特徴としている。
【0019】
上記本発明の第7の特徴によれば、電子機器は、第5又は第6の特徴に記載のキーモジュールを備えたことから、スリット構造部を備える所定位置の輝度及び弾性撓み性を向上させることができる。またキースイッチの輝度を向上させることができると共に、キースイッチを押圧した際のクリック感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の導光板、該導光板を備えたプリント配線板、該プリント配線板を備えたキーモジュール及び該キーモジュールを備えた電子機器によれば、輝度を向上させることができると共に、クリック感を向上させることができる導光板を提供することができる。またそのような導光板を備えたプリント配線板、該プリント配線板を備えたキーモジュール及び該キーモジュールを備えた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器としての携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子機器としての携帯電話機のキーモジュールの平面図である。
【図3】図2に示すキーモジュールにおける要部の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る導光板におけるキースイッチに対応する部分を示す図で、(a)は平面図、(b)はキースイッチ押圧時における導光板の状態を簡略化して示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る導光板に入射する光を簡略化して説明する図である。
【図6】キースイッチとスイッチ動作子との間に配置される従来の導光板におけるキースイッチに対応する部分を示す図で、(a)は平面図、(b)はキースイッチ押圧時における導光板の状態を簡略化して示す正面図である。
【図7】本発明における導光板に形成される1つのスリット部分を示す拡大図である。
【図8】本発明の実施形態に係る導光板の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図1〜図8を参照して、本発明に係る電子機器の例として、携帯電話機1をあげて説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0023】
まず図1に示すように、携帯電話機1は、入力部1aと、表示部1bとを備える。表示部1bは、ヒンジ部1cを介して入力部1aに開閉自在とされている。
【0024】
図2、図3も参照して、前記入力部1aには、ケース1d内に入力モジュールとしてのキーモジュール2を備えている。キーモジュール2は、キースイッチ10、導光板20、ドーム状可動接点シート30、光源40、プリント配線板50を備えている。
【0025】
前記キースイッチ10は、プリント配線板50の上方に配置され、所定の指令を入力するための操作を行う部分で、前記入力部1aに露出したキースイッチ11〜13で構成されている。なお、ここでキースイッチ11〜13は、図2に示すように、碁盤の目状に配置してあるキースイッチ10において、光源40に最も近い側に配置したキースイッチをキースイッチ11とし、最も遠い側に配置したキースイッチをキースイッチ13とする。
【0026】
キースイッチ10は、透明性の硬質樹脂で形成され、数字、アルファベット、記号等の特定の形状が視認可能に設けられている。数字、アルファベット、記号等の特定の形状の形成方法は、特定の形状を遮光性材料でマークするものや、特定の形状以外を遮光性材料でマークするものの何れであってもよい。
【0027】
前記導光板20は、図3に示すように、プリント配線板50とキースイッチ10との間に配置され、光源40から肉厚内に入射させた光を導光しながら1乃至複数の必要箇所で外部へ出射させ、照光を行うためのものである。
より具体的には、図3に示すように、導光板20は、光源40の照光端面41から放たれた光を導光板20の光入射端面21から入射させて、導光板20の厚み内で全反射させながら入射側とは反対側まで導光すると共に、キースイッチ10方向へ出射し、これによりキースイッチ10の照光を行う。
【0028】
また図3、図4(a)に示すように、導光板20において、所定位置となるキースイッチ10に対応する位置には、厚み方向に貫通する複数のスリットSからなるスリット構造部22を備えている。
より具体的には、図4(a)に示すように、キースイッチ10の領域を網羅するように、平面視縦方向に同一幅、同一長のスリットSを等間隔に5本形成すると共に、縦方向に形成したスリットSの中心と直交するように、縦方向に形成したスリットSと同一幅のスリットSを横方向に1本形成し、いわゆる碁盤の目状にスリットSを形成している。
このようにキースイッチ10の領域を網羅するように碁盤の目状にスリットSを形成することで、導光板20内部を伝搬する光(特に光源遠方側となる光入射端面21に対向する端面に直接届く、いわゆる平行光線)をキースイッチ10方向へ導光させて照光させることができる。よってキースイッチ10の輝度を向上させることができる。
【0029】
ここで「平行光線」とは、図5において破線の矢印で示すように、光源40から導光板20へ入射する光のうち、光入射端面21に対して直角に入射し、導光板20内を下面23及び上面24に対して平行に進行し、光入射端面21と対向する端面25に直接当たる光のことを示す。
【0030】
つまり光源40から様々な角度で光入射端面21から導光板20に入射した光は、反射を繰り返しながら進行し、1乃至複数の必要箇所で外部へ出射される。しかし導光板20内に平行に入射した平行光線は、極端な場合、一度も反射することなく、即ち入力キー10の照光に寄与することが全くないまま、入射側とは反対側の端面25から出てゆくこととなる。
よってスリットSからなるスリット構造部22を設けることで、入力キー10の照光に寄与することがなかった平行光線を有効に利用して入力キー10の照光を行うことができ、キースイッチ10の輝度を向上させることができる。
【0031】
更に平面視縦方向に複数形成したスリットSを同一幅、同一長、等間隔のスリットSとすると共に、横方向に形成したスリットSを縦方向に形成したスリットSの中心と直交するように形成し、キースイッチ10の領域を規則正しく整列された複数のスリットSで碁盤の目状に網羅するような構成とすることで、キースイッチ10の輝度均一性を向上させることができる。
【0032】
またスリットSは、図3に示すように、厚み方向の一方向に向かって広がるテーパー形状の断面を持つように形成されている。より具体的には、下面23から照光面たる上面24方向に向かって広がるテーパー形状の断面を持つように形成されている。このようにスリットSに傾斜をつけることで、導光板20内部を伝搬する光をスリット構造部22からキースイッチ10方向へ一段と効率良く出射させることができる。よってキースイッチ10の輝度を一段と向上させることができる。
【0033】
またキースイッチ10に対応する位置にスリットSを厚み方向に貫通させて形成することで、導光板20におけるキースイッチ10に対応する部分の屈曲性を増すことができる。よってキースイッチ10の押圧時におけるクリック感を向上させることができる。
【0034】
つまり図3に示す本発明の実施形態に係るキーモジュール2と同様に、キースイッチ10と後述するスイッチ動作子31との間に導光板20を配置する携帯電話機等においては、スイッチ動作子31は導光板20を介してキースイッチ10により押圧される。
またこのような携帯電話機等においては、一般的に導光板20は複数のスイッチ動作子31で支持されながら、最外周部が両面テープ等で固定されている。よって図6に示すように、キースイッチ10を押圧する際、導光板20におけるキースイッチ10に対応する部分は、その周囲360度で支持された状態となる。従って導光板20は屈曲し難く、キースイッチ10の押圧時に良好なクリック感を得ることができない。
【0035】
これに対し、本発明のように、導光板20におけるキースイッチ10に対応する位置にスリット構造部22を備える構成とした場合には、図4に示すように、キースイッチ10を押圧する際、導光板20におけるキースイッチ10に対応する部分は、その周囲360度で支持された状態とはならない。つまり支持箇所を減少させることができ、導光板20におけるキースイッチ10に対応する部分の屈曲性を増すことができる。従って導光板20の弾性撓み性を向上させることができ、携帯電話機1の操作時におけるクリック感を向上させることができる。
なお図4(b)は、図4(a)において縦方向に5本形成したスリットSのうち、1本のスリットSのみを示す図である。
【0036】
更にスリット構造部22を複数のスリットSで形成すると共に、キースイッチ10の領域を網羅するようにスリット構造部22を形成することで、導光板20におけるキースイッチ10に対応する部分の屈曲性を複数のスリットSで一体的に向上させることができる。よってキースイッチ10を押圧した際の導光板20の弾性撓み性を一段と向上させることができる。従って操作時におけるクリック感を一段と向上させることができる。
【0037】
なおスリットSにおいて最も幅広な部分の長さは、導光板20の厚みの20倍以内、より好ましくは6倍以内であることが望ましい。
具体的には図7に示すように、導光板20の厚みをT、導光板20の下面23方向へ出射される光の出射角度をΘとしたとき、破線で示す直角三角形Pの一辺Xは、T/tan(Θ)で求められる。また導光板20から下面23方向へ出射される光は、平均的に破線で示す直角三角形Pの一辺Xの3倍以上の距離を経てキースイッチ10を照光することから、スリットSにおいて最も幅広な部分の長さをLとした場合、Lは以下の式を満たす値であることが望ましい。
(式) L<T/tan(Θ)×3
ここで導光板20は、上面24からキースイッチ10までの距離をHとした場合、T<Hを満たす位置に配置されることが必要である。
なお図7においては、説明の便宜上、スリットSは導光板20の厚み方向の一方向に向かって広がるテーパー形状の断面を持つ構成とはせず、下面23と上面24とを鉛直方向に貫く形状としてある。
【0038】
またスリットSは、打抜き加工で形成することができる。
また平面視縦方向に同一幅、同一長のスリットSを等間隔に5本形成すると共に、縦方向に形成したスリットSの中心と直交するように、縦方向に形成したスリットSと同一幅のスリットSを横方向に1本形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、スリットSの形状、大きさ、数、配置位置等は適宜変更可能である。
またスリットSはテーパー形状の断面を持つ構成に限るものではなく、下面23と上面24とを鉛直方向に貫く形状とする構成であってもよい。
また本実施形態においては、複数のスリットSでスリット構造部22を形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、1つのスリットSでスリット構造部22を形成する構成としてもよい。
【0039】
また図3に示すように、導光板20の下面23には、スリット構造部22に対応して導光板20を通過してきた光をキースイッチ10方向へ散乱、回折させて出射させる凸状のドットからなる光出射構造部26を複数備える構成としてある。このような構成とすることで、導光板20を通過してきた光を物理的な凸形状のパターンの位置で確実に散乱させてキースイッチ10方向へ出射させることができる。よってキースイッチ10の輝度を一段と効率良く向上させることができる。
この凸状のドットからなる光出射構造部26は、ホットスタンピング、射出成形、マイクロブラスト、その他の方法で成形することが可能である。
【0040】
なお光出射構造部26は、必ずしも凸状のドットで形成する構成に限るものではなく凹状のドットで形成する構成でもよいし、光散乱剤の含有されたインクによる印刷パターンで形成する構成でもよい。
また光出射構造部26の配置位置は導光板20の下面23に限るものではなく、上面24であってもよい。また光出射構造部26の形状、大きさ、数、隣接する光出射構造部26の距離等も本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
また光出射構造部26を設けない構成であってもよい。
【0041】
また導光板20は、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル樹脂等、可視光域の光を十分透過させることができる樹脂で形成される。
なお導光板20の厚みは、20μm〜200μmとし、上述のように上面24からキースイッチ10までの距離Hが導光板20の厚みTよりも大きくなる位置に配置される。
【0042】
前記ドーム状可動接点シート30は、いわゆるドームスイッチの層を形成するものである。このドーム状可動接点シート30は、図3に示すように、メタルドームと称する導電性金属膜からなるドーム状のスイッチ動作子31をキースイッチ10の下方に備え、プリント配線板50の上面部を被覆するように配設されている。ドーム状のスイッチ動作子31が、キースイッチ10の動作に従動し、プリント配線板50と接触、非接触されることで、キーモジュール2のスイッチオン、スイッチオフが行われる。
なおドーム状可動接点シート30は、ラバー等の軟質の弾性シートから構成することができる。またドーム状可動接点シート30の厚みは、20μm〜200μmとすることが望ましい。
【0043】
前記光源40は、導光板20に対して光を入射させるためのものであり、例えばLEDで構成することができる。この光源40は、図3に示すように、プリント配線板50上における導光板20の光導入端面21と対向する位置に設備される。
なお本実施形態においては、図2に示すように、光源40を導光板20の側面に配置し、キースイッチ11〜キースイッチ13を一体的に照光する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。例えば複数の光源40で、キースイッチ11、キースイッチ12、キースイッチ13を別個に照光する構成とすることができる。このような構成とすることで、導光板20全体の輝度均一性を向上させることができる。
【0044】
前記プリント配線板50は、図3に示すように、プリント配線層51と、樹脂層52とから構成される。このプリント配線板50は、上方に導光板20を備え、更に既述したキースイッチ10と、ドーム状可動接点シート30と、光源40とでキーモジュール2を構成している。
【0045】
前記プリント配線層51は、スイッチ接点となる導電層たる回路部を備えるものであり、銅箔によるパターンを樹脂層52上に形成することで構成される。
【0046】
次に図8を参照して、本発明の実施形態における導光板の変形例を説明する。
本変形例は、導光板に形成されるスリットの形状を変化させたものである。その他の構成については、既述した本発明の実施形態と同一である。同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の説明を省略する。
【0047】
まず図8(a)を参照して、本変形例1は、縦方向にスリットSを1本形成し、縦方向に形成したスリットSの中心と直交するように横方向にスリットSを1本形成すると共に、縦方向のスリットSと横方向のスリットSとの交差点を通過する斜め方向のスリットSを縦方向のスリットSを対称軸として2本形成したものである。
このように斜め方向のスリットSを形成する構成とすることで、碁盤の目状にスリットSを形成する場合に比べ、少ない本数でキースイッチ10の領域を網羅するようにスリット構造部22を形成することができる。よってキースイッチ10の輝度及び輝度均一性を一段と効率良く向上させることができると共に、製造効率の良いキーモジュール2とすることができる。
なお縦方向、横方向、斜め方向に形成するスリットSの形状、大きさ、幅等は本変形例1のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0048】
次に図8(b)を参照して、本変形例2は、略リング状にスリットSを形成したものである。
このような構成とすることで、スイッチ動作子31の形状に合わせてスリットSを形成することができる。よってキースイッチ10の輝度及び輝度均一性を一段と効率良く向上させることができる。
なお略リング状に形成するスリットSの形状、大きさ、幅等は本変形例2のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0049】
なお本発明の実施形態においては携帯電話機に適用したが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、他の電子機器に適用する構成であってもよい。例えばPDA、モバイルタイプPC(パーソナルコンピュータ)、携帯型ゲーム機等に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は携帯電話機等の電子機器、それに用いられるキーモジュールとして利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話機
1a 入力部
1b 表示部
1c ヒンジ部
1d ケース
2 キーモジュール
10 キースイッチ
11 キースイッチ
12 キースイッチ
13 キースイッチ
20 導光板
21 光入射端面
22 スリット構造部
23 下面
24 上面
25 端面
26 光出射構造部
30 ドーム状可動接点シート
31 スイッチ動作子
40 光源
41 照光端面
50 プリント配線板
51 プリント配線層
52 樹脂層
S スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から肉厚内に入射した光を導光しながら1乃至複数の必要箇所で外部へ出射させるようにした導光板であって、1乃至複数の所定位置に厚み方向に貫通する1乃至複数のスリットからなるスリット構造部を備えてあることを特徴とする導光板。
【請求項2】
前記スリットは、厚み方向の一方向に向かって広がるテーパー形状の断面を持つことを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記スリット構造部に対応して導光板を通過してきた光を外部へ出射させる光出射構造部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の導光板を備えたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項4に記載のプリント配線板と、該プリント配線板の導光板に対して光を入射させる光源と、前記プリント配線板の上方に位置し、所定の指令を入力するためのキースイッチと、該キースイッチの下方に位置し、前記キースイッチの動作に従動してスイッチオン、スイッチオフを行うドーム状のスイッチ動作子とから構成されることを特徴とするキーモジュール。
【請求項6】
前記導光板は、前記プリント配線板と、前記キースイッチとの間に配置されると共に、該キースイッチに対応する位置に前記スリット構造部を備えてあることを特徴とする請求項5に記載のキーモジュール。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のキーモジュールを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−100577(P2011−100577A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253275(P2009−253275)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】