説明

導光板および面光源装置

【課題】コーナー部に光源を配置しても対角方向に出射する光が少ない導光板、およびコーナー部に光源を有しながら、対角方向に出射する光が少ない面光源装置を提供することにある。
【解決手段】出射面とは反対側の面に複数の凸状または凹状のレンズが形成された導光板であり、該レンズが導光板のいずれかの辺に略平行である線状形状である導光板。前記の導光板の少なくとも一つのコーナー部に点光源が配置され、エッジ部にも点光源が配置され、反射板を有してなる面光源装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶テレビ、液晶モニター、パーソナルコンピュータなどに用いられる液晶表示装置に用いられる面光源装置、および該面光源装置に用いられる導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の面光源装置としては、例えば導光板の側方(「端面」または「エッジ」と称する。)にLED光源等の光源を配置し、該LED光源からの光を、全反射により導光板内部を導光させつつ、導光板背面に形成されたレンズパターンやプリズム部等の光偏向手段により、導光板前面から光を均一に出射できるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年の電化製品省電力化の動きに伴い、一つの面光源装置に用いられるLED光源の数を低減させる要望がある。しかし、従来のようなエッジ部に複数のLED光源を並べた構成において、単にLED光源の数を減らすと、隣り合う光源の間の部分に生じる非照明領域(暗くなる領域。図1参照。)が増大し、面光源装置周辺部分の輝度ムラが顕著になってしまう。そこで、矩形導光板のエッジ部ではなく、コーナー部に光源を置くなどすることで、面内の正面輝度の均一性を確保しつつ、光源数を減らす試みが成されている(例えば、特許文献2参照。)。液晶表示装置の画面の大きさに応じて、4つのコーナー部のうち1〜4箇所にLED光源を配置し、必要に応じ、エッジ部にも補助的にLED光源を配置することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−266626号公報
【特許文献2】特開2002−245823号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】月刊ディスプレイ、2005年7月号28〜35頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コーナー部に光源を置くことにより、導光板内部に導かれる光は矩形の導光板の対角方向に向く(以下、光の進む方向を示す直線上の任意の2点から導光板平面に下ろした2本の垂線の足を結んでできる直線が、矩形の導光板のいずれかの対角線と平行に近くなる)ことになり、主たる成分は面光源装置から、対角方向に向いて出射される。一方、液晶表示装置は、その画像表示原理に起因し、対角方向から観察された場合、コントラストが低下することが課題となっている(例えば、非特許文献1参照。)(図2参照。)。
【0007】
これは、黒表示において、対角方向に向いた光に対する液晶セルの光線透過率が、水平方向および垂直方向(液晶表示装置の表示面を略鉛直とした場合の略鉛直に平行な方向を垂直方向、略鉛直に垂直な方向で表示面内の方向を水平方向とする。)に向いた光(光の進む方向を示す直線上の任意の2点から表示面の平面に下ろした2本の垂線の足を結んでできる直線が、水平方向または垂直方向と平行に近くなる方向に出射する光)に対する液晶セルの光線透過率よりも高いために、つまり黒表示の液晶セルから漏れて出射する光の量は、水平方向斜めおよび垂直方向斜め(「斜め」とは光の出射方向が表示面の正面ではない方向。)よりも対角方向斜めの方向の光の方が多いため、黒表示における液晶表示装置の対角方向の輝度が、水平方向および垂直方向の輝度よりも高くなることに起因する。
【0008】
よって、液晶表示装置の対角方向斜めのコントラストを上げるためには、黒表示における対角方向斜め方向の輝度を抑制することが必要であり、そのためには、コーナー部に光源を有しながら、しかも対角方向斜めの輝度が低い面光源装置が求められていた。
【0009】
すなわち本発明の目的は、コーナー部に光源を配置しても対角方向に出射する光が少ない導光板、およびコーナー部に光源を有しながら、対角方向に出射する光が少ない面光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、面光源装置について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、下記の<1>〜<7>を提供する。
<1> 出射面とは反対側の面に複数の凸状または凹状のレンズが形成された導光板であり、該レンズが導光板のいずれかの辺に略平行である線状形状である導光板。
<2> 少なくとも一部のレンズの高さ/短軸幅の比が0.05以上0.4以下の範囲である<1>記載の導光板。
<3> 少なくとも一部のレンズの長軸長さ/短軸幅の比が1.2以上である<1>または<2>に記載の導光板。
<4> 長軸長さ/短軸幅の比が5以上のレンズと5未満のレンズとが形成された<3>記載の導光板。
<5> <1>記載の導光板の少なくとも一つのコーナー部に点光源が配置され、エッジ部にも点光源が配置され、反射板を有してなる面光源装置。
<6> 点光源がLEDである<5>記載の面光源装置。
<7> <5>または<6>記載の面光源装置と液晶セルとを有してなる液晶表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の導光板はコーナー部に光源を配置した場合であっても、対角方向の輝度が低い面光源装置を与えるので、工業的に有用である。そして、本発明の面光源装置は、黒表示において、対角方向斜め方向の輝度が低く、対角方向斜めから見た場合のコントラストが高い液晶表示装置を与える。すなわち、本発明によれば、対角方向斜めから見た場合のコントラストが低いという問題を抑制しつつ、エッジ部に配置する光源数を減らすことができるので、液晶表示装置のコストを低減させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エッジ部に複数のLED光源を並べた構成において、単にLED光源の数を減らすと、隣り合う光源の間の部分に生じる非照明領域の説明図。
【図2】従来技術において対角方向から観察された場合、コントラストが低下することを説明する図。
【図3】本発明の導光板の例を示す図。
【図4】本発明の面光源装置の例を示す図。
【図5】従来のレンズでは、出射光の主光線は、導光板の対角方向に出射されることを示す図。
【図6】レンズ形状を線状とすると、多くの出射光が、レンズの長軸が延びる方向に向きを変えられることを示す図。
【図7】凸状の線状レンズの断面形状を示す図。
【図8】xyz空間内に、x軸方向にレンズの長軸が延びるように設定することを示す図。
【図9】光線が入射したときの極角θと方位角φを示す図。
【図10】入射光、反射光をxy平面に投影したベクトルを示す図。
【図11】実施態様1における線状レンズの断面形状を示す図。
【図12】実施態様1における回転角の入射角依存性の計算結果を示す図。
【図13】実施態様2における線状レンズの断面形状を示す図。
【図14】実施態様2における回転角の入射角依存性の計算結果を示す図。
【図15】線状レンズの高さ(h)と短軸幅(r)の比(h/r)を説明する図。
【図16】実施態様2においてΔz=α−0.1とした場合の回転角の高さ/短軸幅比による変化を計算した結果を示す図。
【図17】実施態様2においてΔz=0とした場合の回転角の高さ/短軸幅比による変化を計算した結果を示す図。
【図18】線状レンズが複数配置された状態を示す図。
【図19】実施態様3における線状レンズの形状を示す図。
【図20】実施態様3における点光源を示す図。
【図21】実施態様3において回転角φの長さ/短軸幅比による変化を計算した結果を示す図。
【図22】線状レンズの形状の例を示す図。
【図23】線状レンズの形状の例を示す図。
【図24】本発明の面光源装置を用いてなる液晶表示装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の導光板は、出射面とは反対側の面に複数の凸状または凹状のレンズが形成された導光板であり、該レンズが導光板のいずれかの辺に略平行である線状形状であることを特徴とする。
【0015】
凸状または凹状のレンズは、導光板の出射面とは反対側の面(導光板背面)に形成され、導光板背面のレンズ部分以外を形成する平面よりもレンズは導光板の出射面とは反対方向(背面方向)に凸または凹状である形状を有する。
【0016】
本発明の導光板に形成されたレンズは、導光板のいずれかの辺に略平行である線状形状である。すなわち、導光板の背面方向から導光板背面を見た場合のレンズの形状は、円形ではなく、長軸と短軸を有する。長軸長さと短軸幅の比は、長軸長さ/短軸幅の値が1.2以上が本発明の効果が高いので好ましい。以下、本発明の導光板に形成された前記レンズを「線状レンズ」ということがある。長軸長さ/短軸幅の値は1.5以上がより好ましく、2.5以上がさらに好ましく、4.0以上がよりさらに好ましい。長軸長さ/短軸幅の値は、レンズの長軸長さが導光板の長辺と同一で、短軸幅が有効に加工できる最小値である場合に最大となり、長軸長さ/短軸幅の値の上限は100000程度であり、加工の容易さの点から通常は10000以下である。線状レンズの長軸の方向は、導光板のいずれかの辺に略平行である。略平行とは、2本の直線のなす角の小さい方の角が10度程度以内であることをいう。
【0017】
導光板背面のレンズ部分以外を形成する平面からのレンズの最も離れた点までの距離をレンズの高さと称する。本発明の導光板においては、少なくとも一部のレンズの高さ/長軸長さの比が0.05以上0.4以下の範囲であることが本発明の効果が高いので好ましい。
【0018】
本発明の導光板は、図3のように模式的に表すことができる。また、本発明の導光板を用いてなる本発明の面光源装置は図4のように模式的に表すことができる。
【0019】
本発明の導光板としては、略矩形の透明板の表面に複数の凸状または凹状で線状のレンズが形成されたものである。
【0020】
従来技術においては、凸状のレンズは背面方向から見た形状が略円形であり、略円形かつ材料(インク)が白色顔料を含むものであり、特定の方向性を持たずほぼ等方的に光を拡散するものであった。一方、一般的なLED光源の出射光の主光線(強度ピーク)は、LED光源に対してほぼ垂直方向である。よって、略矩形である導光板のコーナー部に点光源を配置した場合、従来のレンズでは、出射光の主光線は、導光板の対角方向に出射されることになる(図5)。
【0021】
ところが、レンズ形状を線状とすると、多くの出射光が、レンズの長軸が延びる方向に向きを変えられることを本発明者は見いだしたのである(図6)。よって、レンズの長軸が延びる方向を、液晶表示装置におけるコントラストが低下する方向から外すことにより、コントラスト低下を目立たなくすることができるのである。
【0022】
以下に、本発明を図面により詳細に説明する。
【0023】
凸状または凹状のレンズのうち凸状のレンズを例に挙げて述べる。
凸状の線状レンズとしては、断面が、例えば図7のような楕円の一部、あるいは、放物線の一部などのような曲線で囲まれた形状が挙げられる。
このような形状を、図8に示すように、xyz空間内に、x軸方向にレンズの長軸が延びるように設定する。導光板原板は、図8のz≧0の領域にあり、図の形状が、導光板の裏面に形成されている。面光源装置は、xy平面に平行であり、z軸の正から負に向かう方向に観察される。
【0024】
線状レンズに対して、図9に示すように、極角(xy平面となす角)がθ、方位角(xy平面に投影したベクトルとy軸とのなす角)がφである光線Aが入射し、線状レンズ表面にて反射された反射光Bについて考える。これらの入射光A、反射光Bをxy平面に投影したベクトル(それぞれaおよびb)を図10に示す。投影した入射光aがx軸となす角φinと、投影した出射光bがx軸となす角φoutの大きさを比較したときに、

回転角Δφd=|φin|−|φout| > 0
(1)
であるような関係であれば、入射光は、線状レンズの長軸が延びる方向に近づくように偏向(回転)されることになる。
【0025】
(実施態様1)
線状レンズの断面形状が、短軸/長軸=0.2である楕円をz軸方向にΔz=0.1だけずらした楕円(図11)として、線状レンズにより反射された光の方向の変化を計算した。この構造に種々の角度で光を入射させたときの回転角Δφdを計算した。入射光は構造全体にわたり入射されるので、入射光とy軸との交点を−1から1まで変化させて、それぞれの場合の回転角Δφdを計算し、その平均値を回転角Δφとした。
【0026】
このとき、楕円の一部を表す数式は次のようになる。


α=0.2、 Δz=0.1
(2)
【0027】
入射光の極角θ、および、方位角φを、それぞれ5〜85度、および、0〜85度の範囲で変化させて、回転角Δφを計算し、さらに、極角θ毎に平均値をとった。その結果を図12に示した。
【0028】
ここで、導光板の表面に臨界角を超える角度で入射した光は、その一部は反射するが多くは導光板から出射されるので、導光板内部を伝搬する光の殆どは、導光板の表面で全反射されてきた光であるので、入射光Aの極角θのほとんどが、

θ<90度−臨界角
(3)

を満たしているといえる。例えばPMMAなどの一般的な透明樹脂を想定した場合、臨界角が40度前後であることを考えれば、θが5〜40度の範囲(図12に5度と40度を矢印で示した。)での回転角Δφの平均値(Δφ5−40)をもって、レンズの偏向能力の指標とすることができる。
【0029】
図12において、θ≦40度の範囲では平均の回転角Δφが常に正であり、線状レンズの長軸が延びる方向に回転していることがわかる。
【0030】
(実施態様2)
線状レンズの断面形状が、α(短軸/長軸)=0.7である楕円をz軸方向に0.6だけずらしたような楕円(図13)である場合を考える(α=0.7、Δz=0.6)。実施態様1と同様にして回転角Δφを計算した結果を図14(図14に5度と40度を矢印で示した。)に示す。θ≦40度の範囲では、平均の回転角Δφが常に正であり、線状レンズの長軸が延びる方向に回転していることがわかる。
【0031】
ここで、線状レンズの高さ(h)と短軸幅(r)の比(h/r)(図15)と回転角Δφの関係を計算により求めた。
【0032】



(4)
【0033】
図16はΔz=α−0.1として、αの値を変えることで高さ/短軸幅比を変化させ、θ=5〜40度の範囲におけるΔφの平均値をプロットしたものである。少なくとも高さ/短軸幅比<0.3の領域では、Δφが常に正の値をとることがわかる。
【0034】
図17はΔz=0として、αの値を変えることで高さ/短軸幅比を変化させ、θ=5〜40度の範囲におけるΔφの平均値をプロットしたものである。(少なくとも、高さ/短軸幅比<0.3の領域では)Δφが常に正の値をとることがわかる。
このように、多少形状にバラツキがあったとしても、レンズを線状にすることで、回転角Δφを正とすることができ、入射光の方向をレンズの長軸が延びる方向に変化させ、光を回転させることができる。
【0035】
よって形状は厳密に揃っている必要はなく、概ね同じ方向を向いた非等方的なものであれば効果が期待できるが、高さ/短軸幅比が0より大きく0.4以下であることが好ましい。より好ましくは、0より大きく0.3以下、さらに好ましくは、0.2以上0.3以下である。
【0036】
また、導光板の面内の場所によって、線状レンズが延びる方向と、入射光が進む方向が異なるため、線状レンズが延びる方向と、主光線の方向がなす角に、面内分布が発生する。つまり全ての線状レンズの断面形状高さ/短軸幅比を一定にした場合、φoutが面内で一様ではない、ということになる。φoutの面内分布が顕著である場合は、高さ/短軸幅比を導光板の面内の位置により変化させてφoutを調整し、φoutの面内分布を低減させることができる。例えば、φinが大きい場所では、回転角Δφが大きくなるような高さ/短軸幅比を設定し、φinが小さい場所では、回転角Δφが小さくなるような高さ/短軸幅比を設定すればよい。一例として、Δz=0となる形状を形成する場合、φinが大きい領域では、高さ/短軸幅比を0.15〜0.25の範囲に設定し、φinが小さい領域では、高さ/短軸幅比を0より大きく0.1以下の範囲に設定すればよい。
【0037】
線状レンズの長さ(L)、および、線状レンズの間隔(d1、d2)は、正面輝度の面内分布を勘案し決定される。前記実施態様の線状レンズが複数配置された状態を図18に示した。正面輝度が低い部分は、L、d1、d2を小さい値に設定し、線状レンズの面内存在率を上げることで、正面輝度を上げることができる。逆に、正面輝度が高い部分は、L、d1、d2を大きい値に設定することで正面輝度を下げることができる。さらに、L、d1、d2を周期的に設定することで、レンズシートや液晶セルなどとの干渉模様が発生する場合は、干渉模様が発生しない程度に周期性を下げることができる。
【0038】
(実施態様3)
線状レンズの形状を、図19に示したように、半径200μmの球を2等分して離し、その間を半径200μmの底面を持つ円柱で接続した立体を円柱の軸に平行な平面で切断した形状として、線状レンズにより反射された光の方向の変化を計算した。この構造に種々の角度で光を入射させたときの回転角Δφdを計算した。入射光は構造全体にわたり入射されるので、それぞれの場合の回転角Δφdを計算し、その平均値を回転角Δφとした。入射光として図20に示したように開き角40度の点光源からの入射光を設定した。線状レンズの長さLを変化させ、Lambda Research社製、TraceProを使用して回転角Δφを計算し長さ/幅に対する回転角Δφを計算した結果を図21に示した。線状レンズの長軸が延びる方向に回転していることがわかる。
【0039】
図21からわかるように、線状レンズの長さ/幅の比は1.5以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、4.0以上がさらに好ましい。
【0040】
長さ/幅の比は、線状レンズ毎に異ならせることができ、長さ/幅の比が1.5未満のものが形成されていても、1.5以上の線状レンズが、導光板の面内で線状レンズ全体の占める面積のうち、長さ/幅の比が1.5以上の線状レンズが占める面積が、30%以上であれば高い効果を示すので好ましく、50%以上がより好ましい。
【0041】
また、導光板の面内の場所によって、線状レンズが延びる方向と、入射光が進む方向が異なるため、線状レンズが延びる方向と、主光線の方向がなす角に、面内分布が発生する。つまり全ての線状レンズの長さ/幅の比を一定にした場合、φoutが面内で一様ではない、ということになる。φoutの面内分布が顕著である場合は、線状レンズの長さ/幅の比を導光板の面内の位置により変化させてφoutを調整し、φoutの面内分布を低減させることができる。
【0042】
線状レンズの形状は、上記実施態様以外にも、図22、図23に示したような形状が挙げられる。
【0043】
(導光板の製造方法)
これらのレンズは、透明板の表面に形成される。
透明板としては、透明ガラス板、透明樹脂板、などが挙げられるが、加工性、レンズとの密着性などから、透明樹脂板が好ましい。
【0044】
前記透明樹脂板は、板状に成形された透明樹脂からなるものであり、前記透明樹脂としては、メタクリル樹脂(PMMA等)、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0045】
前記透明樹脂を板状に成形して透明樹脂板を製造する方法としては次の方法が工業的に通常用いることができる。
【0046】
溶融押出法;透明樹脂材料を、押出機を用いて溶融押出しし、ダイから吐出され得られるシート状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させてシート状に成形して透明樹脂板を製造する方法である。
【0047】
キャスト重合法;単量体成分、および重合開始剤を含有してなる単量体組成物を混合した後にスペーサーを介して二枚のガラスを向かい合わせたセル内に注入してさらに加熱あるいは紫外線照射などの手法により開始剤を活性化させることで重合させてシート状の成形体を得て透明樹脂板を製造する方法である。
【0048】
プレス成形;加熱プレス装置を用いて透明樹脂材料を板状に成形して透明樹脂板を製造する方法である。
【0049】
射出成形;加熱溶融した透明樹脂材料を板状の空隙を有する金型に注入した後、冷却、固化させることで透明樹脂板を製造する方法である。
【0050】
透明樹脂板の厚みは、光源からの出射光を効率よく取り込むことを考慮し設定されるが、通常は0.5mm以上、好ましくは、1mm以上、より好ましくは1.5mm以上に設定される。厚みの上限は、液晶表示装置や面光源装置の構造によって設定されるが、装置全体の厚み、重量を低減する、あるいは、透明樹脂の使用量を低減する目的から、通常は15mm以下、好ましくは、10mm以下、より好ましくは5mm以下に設定される。また、全体の厚みが均一であってもよいし、断面が楔形、バタフライ型(断面が台形である2枚の板が、台形の上底(短い方の底)を共有するように接して一体化した形状を有する型)などのように、厚みに分布を持たせたものでもよい。
【0051】
透明樹脂板の大きさは、表示装置の大きさに合わせ、適宜加工される。いずれの大きさでも対応することが可能である。主に画面に対して垂直な方向から見る機会が多い、パーソナルユースの表示装置(携帯端末、ノートパソコン、モニター、等)にも用いることができるが、テレビ装置、電子掲示板など、大勢の人がいろいろな角度から観察するような機会が多い、大型表示装置において、特に有効である。
【0052】
また、透明樹脂板のコーナー部は、光源からの光を効率的に取り込むために、斜めにカットしてあることが好ましい。カットの形状は、光源の大きさ、導光板の形状など似合わせ適宜設定される。例えば、導光板の辺に対して45度の角度を持たせる、あるいは、導光板の対角線に垂直となるような傾きを持たせる、などしてカットを形成することができる。
【0053】
その他、導光板を、面光源装置内で固定するため、あるいは、位置ずれを防止するための切り欠き部分などがあってもよい。
【0054】
透明板表面へのレンズ形成方法は、板状物の表面に凹凸を形成する一般的な方法を用いることができ、例えば、レーザーアブレーション法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、UV硬化樹脂による型転写、ダイヤモンドバイトなどの刃物による切削、研削加工、等が挙げられる。
【0055】
特に透明樹脂板の場合は、透明樹脂板を成形する際に、所望の線状レンズ形状とは凹凸が逆となるような形状を形成した版を用いて転写することも可能である。溶融押出法においては、前記ロール又は前記ベルトを版として用いることができる。キャスト重合においては、前記セルに用いるガラスを版として用いることができる。プレス成形、射出成形においては、前記金型を版として用いることができる。
【0056】
前記凹凸形成方法の中でも、金型の作製コスト、デザインの自由度などの点から、レーザー照射法、インクジェット法が好ましい。
【0057】
さらには、線状レンズの厚さ、幅、長さなどの調整しやすさの点から、インクジェット法が好ましい。
【0058】
凸部または凹部(レンズ)を線状に加工するには、前記版を用いる場合は、版を作製する際に、所望の形状に加工することで線状レンズを得ることができる。
【0059】
その他の方法、例えばレーザーアブレーション法を用いる場合は、用いるレーザーの波長、出力等を調整することで、線状レンズの幅、厚さを変化させることができ、サンプルステージ、あるいは、光源、レーザー装置のレンズなどを移動させることで、長さを変化させることができる。また、パルス状の光を発するレーザーを用いる場合は、パルスの回数、系の移動速度などを調整することで、線状レンズの幅、厚さ、長さを変化させることができる。
【0060】
また、インクジェット法を用いる場合は、一度に滴下するインクのドロップ数や、一滴に含まれるインク量を調整することで、レンズの幅、厚さを変化させることができ、サンプルステージ、あるいは、ヘッド系を移動させることで、長さを変化させることができる。
【0061】
本発明の面光源装置は、光源、反射板、導光板からなり、図4のように模式的に表すことができる。
【0062】
光源は、点光源を用い、主に発光ダイオード(LED)を用いることができる。LEDを光源として用いる場合は、例えば、赤色、青色、緑色のそれぞれの色を発光する3つのLEDチップを供えた1つの白色発光のLEDであってもよいし、赤色、青色、緑色のそれぞれの色を発光する3つのLEDを接続して一体化したLEDであってもよい。さらには、青色発光LEDチップまたは近紫外発光LEDチップと蛍光体との組合せにより白色発光するLEDであってもよい。
【0063】
LEDから出射される光の配光分布(角度分布)は、広い方が面光源装置の周辺部分の輝度ムラを低減できるという点で好ましい。例えば、輝度の半値角が広いものや、Lambertian型の配光分布が好ましい。
【0064】
光源は、導光板の少なくとも一つのコーナー部に点光源が配置されるが、必要に応じ、エッジ部にも補助的にLED光源を配置することもできる。
【0065】
輝度を調整する、角度分布を調整する、などの理由により、追加の光学シートを設置することができる。追加の光学シートとしては、拡散シート、レンズシート、輝度向上シートなどが挙げられる。
【0066】
拡散シートとしては、通常、透明樹脂基材の表面に、フィラーを含有する透明塗料を塗布することで、表面に凹凸を形成したものが用いられるが、フィルム表面をサンドブラスト処理することなどにより表面に凹凸を形成したものや、表面が平滑で、フィラーにより光拡散性を発現させるもの、あるいは、透明基材にフィラーや気泡を含有するものでもよい。例えば市販品としては、「オパルス」(恵和(株)社製)などが挙げられる。
【0067】
レンズシートとしては、片方の面が平坦面で、もう一方の面に、断面が先細の多角形状等の線状レンズ構造が、平行に複数形成されている。線状レンズ構造の稜線に直交する垂直断面での断面形状が、例えば三角形の場合、その三角形の頂点のうち稜線を形成する頂点の頂角θは、導光板からの出射角度、および、その分布形状によって、適宜定めることが出来るが、50〜120度の範囲であることが好ましい。また、この三角形は、各辺が等辺、不等辺の何れであってもよい。レンズシートの設置方法は、線状レンズ構造が形成されたレンズ構造面が導光板側、液晶パネル側、いずれでもよいが、通常は、正面輝度を考慮しながら定められる。さらに、その稜線の方向は、線状のレンズ列に対し、垂直、または、水平方向であることが、正面輝度を効率的に上昇させるという点で好ましい。例えば市販品としては、「BEF」(3M社製、日本では住友スリーエム(株)社製)などが挙げられる。
【0068】
輝度向上シートとしては、例えば反射型偏光シートが挙げられ、屈折率の異方性を有する層を多数重ね合わせた構造を有するもの、あるいは、偏光状態により光反射特性の異なる機能を有する液晶材料を塗布したような構造を有するものなどが挙げられる。例えば市販品としては、「DBEF」(3M社製、日本では住友スリーエム(株)社製)などが挙げられる。
【0069】
本発明の導光板、および、面光源装置は、液晶表示装置に用いることができる。
液晶表示装置は、図24のように模式的に表すことができる。
【0070】
液晶セルとしては、液晶層が2枚の偏光板に挟まれてなり、2枚の偏光板のうち、光の出射面側(観察者側)の偏光板を前面側偏光板、面光源装置側の偏光板を背面側偏光板という。背面側偏光板と前面側偏光板は、それらの透過軸が直交の関係となるように配置されている(図示せず)。また、図24に示すように、レンズシートは、光入射側(導光板側)の面に線状プリズムが平行に複数形成されており、光出射側(視認側)の面(背面側偏光板に対向する表面)が平坦面である。そして、レンズシートは、その線状プリズムの稜線の方向が、光源の延在方向(点状光源の場合は光源列の方向、線状光源の場合は光源に平行な方向)、および、背面側偏光板の吸収軸方向と実質的に平行となるよう配置されている。レンズシートの線状プリズムの稜線の方向が背面側偏光板の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置することも可能であるが、前述の通り吸収軸方向と実質的に並行となるように配置することで、面光源装置から出射される光の偏光状態を有効に活用することが出来る点で好ましい。
【0071】
液晶セルは、スペーサーにより所定距離を隔てて対向配置された一対の透明基板と、この一対の透明基板の間に液晶を封入してなる液晶層を備える。一対の透明基板には、それぞれ透明電極や配向膜が積層形成されており、透明電極間に表示データに基づいた電圧が印加されることによって液晶が配向する。液晶セル表示方式は、TN方式、IPS方式、VA方式など、種々の表示方式が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面とは反対側の面に複数の凸状または凹状のレンズが形成された導光板であり、該レンズが導光板のいずれかの辺に略平行である線状形状である導光板。
【請求項2】
少なくとも一部のレンズの高さ/短軸幅の比が0.05以上0.4以下の範囲である請求項1記載の導光板。
【請求項3】
少なくとも一部のレンズの長軸長さ/短軸幅の比が1.2以上である請求項1または2に記載の導光板。
【請求項4】
長軸長さ/短軸幅の比が5以上のレンズと5未満のレンズとが形成された請求項3記載の導光板。
【請求項5】
請求項1記載の導光板の少なくとも一つのコーナー部に点光源が配置され、エッジ部にも点光源が配置され、反射板を有してなる面光源装置。
【請求項6】
点光源がLEDである請求項5記載の面光源装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の面光源装置と液晶セルとを有してなる液晶表示装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図1】
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【図2】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−77439(P2013−77439A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216495(P2011−216495)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】