説明

導光板ユニット

【課題】正面方向の輝度向上を図ることができる導光板ユニット並びにその導光板ユニットを含む面光源装置及び透過型画像表示装置、導光板を提供する。
【解決手段】導光板ユニット55は、一方向に延びるプリズム部41が並列配置された表面40aを有するプリズム板40と、表面40aに対向する出射面51aとプリズム部41の延在方向に延びる凸条部52が並列配置された背面51bと入射面51c,51dとを有する導光板50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導光板ユニット、面光源装置及び透過型画像表示装置、導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、液晶表示パネルといった透過型画像表示部の背面側に配置され、透過型画像表示部にバックライトを供給する面光源装置を有する。このような面光源装置としてエッジライト型の面光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
エッジライト型の面光源装置は、透光性を有する導光板と、導光板の側方に配置され、導光板の側面に光を供給するための光源とを備える。導光板の背面側には、光を反射させるためのレンチキュラーレンズが、光の入射方向に対し直交する方向に延在すると共に相互に平行に複数設けられている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、光源から出射された光は、光源と対向する導光板の側面から導光板内に入射され、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板の背面側には、レンチキュラーレンズが複数形成されているので、レンチキュラーレンズで反射した光は導光板の透過型画像表示部側の出射面から出射される。
【0004】
従来、透過型画像表示装置では、導光板の出射面から出射された光を正面方向に集光することで透過型画像表示部に効率的に入射させるため、導光板と透過型画像表示部との間にプリズム板を配置している。このようなプリズム板としては、透過型画像表示部側の面に複数のプリズム部が並列配置されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−311325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、背面側(反射面側)にレンチキュラーレンズを有する導光板に対して、上記のように導光板と対向する側の面にプリズム部が形成されたプリズム板を配置した場合、正面方向の輝度の向上を十分に図ることができないことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、正面方向の輝度の向上を図ることができる導光板ユニット並びにその導光板ユニットを含む面光源装置及び透過型画像表示装置、導光板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る導光板ユニットは、一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数のプリズム部がプリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と、プリズム板における第1の面に対向する第3の面と、第3の面とは反対側の面であり、プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面とを有する導光板と、を備えており、複数の凸条部の各々は、導光板における入射面から入射され第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、ピーク角度θは、プリズム部の延在方向に略直交する面内において第1の面の法線に対する角度であり、第1の光束は、第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、第2の光束は、一点からピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、出射効率は、入射面へ入射する光の量に対する第3の面から出射される光の量であり、プリズム部の屈折率をnとしたとき、プリズム部は、下記式(1)
【数1】


を満たす頂角αを有している。
【0009】
本発明に係る面光源装置は、一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数のプリズム部がプリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と、プリズム板における第1の面に対向する第3の面と、第3の面とは反対側の面であり、プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面とを有する導光板と、導光板の入射面に対向して配置されており入射面に光を供給する光源部と、を備えており、複数の凸条部の各々は、導光板における入射面から入射され第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、ピーク角度θは、プリズム部の延在方向に略直交する面内において第1の面の法線に対する角度であり、第1の光束は、第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、第2の光束は、一点からピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、出射効率は、入射面へ入射する光の量に対する第3の面から出射される光の量であり、プリズム部の屈折率をnとしたとき、プリズム部は、下記式(2)
【数2】


を満たす頂角αを有している。
【0010】
本発明に係る透過型画像表示装置は、一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数のプリズム部がプリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と、プリズム板における第1の面に対向する第3の面と、第3の面とは反対側の面であり、プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面とを有する導光板と、導光板の入射面に対向して配置されており入射面に光を供給する光源部と、プリズム板の第2の面側に設けられており、プリズム板から出射される光により照明され画像を表示する透過型画像表示部と、を備えており、複数の凸条部の各々は、導光板における入射面から入射され第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、ピーク角度θは、プリズム部の延在方向に略直交する面内において第1の面の法線に対する角度であり、第1の光束は、第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、第2の光束は、一点からピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、出射効率は、入射面へ入射する光の量に対する第3の面から出射される光の量であり、プリズム部の屈折率をnとしたとき、プリズム部は、下記式(3)
【数3】


を満たす頂角αを有している。
【0011】
上記構成の導光板ユニット、面光源装置及び透過型画像表示装置において、導光板の入射面から入射した光は、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板内を伝搬する光が第4の面上に設けられた凸条部に入射すると、凸条部により全反射条件と異なる条件で反射する。よって、凸条部で反射した光は本体部における第3の面から出射され、プリズム板における第1の面から入射して第2の面から出射される。導光板ユニットでは、プリズム部における頂角αが、導光板から出射される光のピーク角度θに基づいて、正面方向(板厚方向)に出射される角度に形成されているので、プリズム板から出射される光は、正面方向により多く集光される。また、導光板ユニットでは、導光板から出射される光のピーク角度θが60°以上となるような凸条部を有しているので、導光板からプリズム板に入射された光は効率的に出射される。さらに、導光板ユニットでは、導光板の第4の面上に設けられた凸条部が上記条件を満たす形状に形成されているので、プリズム板における第2の面から正面方向に出射される割合が高い。これらの作用により、正面方向の輝度が向上する。そして、本発明に係る透過型画像表示装置では、導光板ユニット上に透過型画像表示部が設けられているので、正面方向輝度がより高い光で透過型画像表示部が照明される。その結果、透過型画像表示部で表示される画像の輝度向上を図ることができる。
【0012】
本発明に係る導光板は、一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数のプリズム部がプリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と対向して配置される導光板であって、プリズム板における第1の面に対向して配置される第3の面と、第3の面とは反対側の面であり、プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面と、を備えており、複数の凸条部の各々は、入射面から入射され第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、ピーク角度θは、プリズム部の延在方向に略直交する面内において第1の面の法線に対する角度であり、第1の光束は、第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、第2の光束は、一点からピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、出射効率は、入射面へ入射する光の量に対する第3の面から出射される光の量である。
【0013】
上記構成の導光板において、入射面から入射した光は、導光板内を全反射しながら伝搬する。導光板内を伝搬する光が第4の面上に設けられた凸条部に入射すると、凸条部により全反射条件と異なる条件で反射する。よって、凸条部で反射した光は本体部における第3の面から出射される。このとき、導光板から出射される光のピーク角度θが60°以上となるような凸条部を有している。このような導光板は、所定の頂角を有するプリズム部が第1の面に形成されたプリズム板に対して当該第1の面に対向して配置したとき、プリズム板から出射させる光を正面方向に多く集光させる。これらの作用により、正面方向の輝度が向上する。
【0014】
また、本発明に係る導光板ユニット、面光源装置、透過型画像表示装置、及び導光板では、第2の面に形成される凸条部をレンチキュラーレンズとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、正面方向の輝度の向上を図ることができる導光板ユニット並びにその導光板ユニットを含む面光源装置及び透過型画像表示装置、導光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る導光板ユニットの一実施形態を適用した透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】凸条部の形状を説明するための図面であり、出射面上での局所的な座標系の設定状態を示す図面と、この座標系におけるz軸及びx軸からの角度の規定方法を説明するための図面である。
【図3】凸条部の外形形状の例を説明するための図面である。
【図4】凸条部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図5】図1に示す透過型画像表示装置の一部拡大図である。
【図6】導光板からの光の出射角とプリズム部の頂角とプリズム板からの光の出射角との関係を説明する図面である。
【図7】プリズム板における出射効率を説明する図面である。
【図8】シミュレーションモデルを示す模式図である。
【図9】シミュレーションに用いた凸条部の外形形状を示す図面である。
【図10】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、ピーク角度との関係を示す図表である。
【図11】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、ピーク角度との関係を示す図表である。
【図12】シミュレーションと比較実験とにおける導光板ユニットの概略構成を示した図面である。
【図13】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、光出射効率との関係を示す図表である。
【図14】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、光出射効率との関係を示す図表である。
【図15】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、所定方向における光出射割合との関係を示す図表である。
【図16】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、所定方向における光出射割合との関係を示す図表である。
【図17】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、所定方向における有効光出射割合との関係を示す図表である。
【図18】シミュレーションに使用した凸条部の外形形状と、所定方向における有効光出射割合との関係を示す図表である。
【図19】図17に示した、kとアスペクト比[h/w]とで決まる凸条部の外形形状の底部角度を示す図表である。
【図20】図18に示した、kとアスペクト比[h/w]とで決まる凸条部の外形形状の底部角度を示す図表である。
【図21】図17に示した、kとアスペクト比[h/w]とで決まる凸条部の外形形状の幅wに対する先端部の曲率半径rを示す図表である。
【図22】図18に示した、kとアスペクト比[h/w]とで決まる凸条部の外形形状の幅wに対する先端部の曲率半径rを示す図表である。
【図23】凸条部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図24】凸条部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【図25】凸条部の外形形状を規定する条件を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0018】
図1は、本発明に係る導光板ユニットの一実施形態を適用した透過型画像表示装置の概略構成を示す模式図である。図1では、透過型画像表示装置10の断面構成を分解して示している。透過型画像表示装置10は、携帯電話や各種電子機器の表示装置やテレビ装置として好適に利用することができる。
【0019】
透過型画像表示装置10は、透過型画像表示部20と、透過型画像表示部20に供給するための面状の光を出力する面光源装置30とを備える。以下、説明の便宜のため、図1に示すように、面光源装置30に対して、プリズム板40及び透過型画像表示部20が配列されている方向をZ方向又は正面方向と称する。また、Z方向に直交する2つの方向をX方向及びY方向と称する。X方向及びY方向は互いに直交する。
【0020】
透過型画像表示部20は、面光源装置30から出射される面状の光で照明されることによって画像を表示する。透過型画像表示部20の例は、液晶セル21の両面に直線偏光板22,23が配置された偏光板貼合体としての液晶表示パネルである。この場合、透過型画像表示装置10は、液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル21及び偏光板22,23は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置で用いられているものを用いることができる。液晶セル21の例は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶セルやSTN(SuperTwisted Nematic)型の液晶セル等である。
【0021】
面光源装置30は、透過型画像表示部20に対するバックライトを供給するエッジライト型のバックライトユニットである。面光源装置30は、プリズム板40と導光板50とを含む導光板ユニット55と、導光板50において互いに対向する側面50,50bのそれぞれに対向して配置された光源部60,60とを備える。
【0022】
光源部60,60は、ライン状に配列(図1では、Y方向に配列)された複数の点状光源61を有する。点状光源61の例は、発光ダイオードである。光源部60は、導光板50に光を効率的に入射するために、導光板50と反対側に、光を反射させる反射部としてのリフレクターを備えてもよい。ここでは、複数の点状光源61を有する光源部60を例示したが、光源部60は、冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの線状光源であってもよい。
【0023】
プリズム板40は、導光板50から出射された光を正面方向に集光するために用いられる。プリズム板40は、複数のプリズム部41が透過型画像表示部20側とは反対側の面である表面(第1の面)40aに形成された光学シートである。プリズム板40の平面視形状の例は、略長方形及び略正方形を含む。
【0024】
プリズム部41は一方向(図1では、Y方向)に延在している。複数のプリズム部41は、プリズム部41の延在方向と直交する方向に並列配置されている。プリズム部41の延在方向に直交する断面の形状は、下記に示す頂角αを有する。また、前述の断面形状は、二等辺三角形であることが好ましい。頂角αは、導光板50からの出射される光の出射角度θ(図5参照)に合わせて設定される。具体的には、出射角度θを、導光板50からの出射される光のピーク角度θとして下記式(4)を満たすような頂角αに設定される。ピーク角度とは、出射光の角度分布において最も出射強度が大きい角度を示す。また、下記式(4)におけるnは、プリズム部41の屈折率を示している。
【数4】

【0025】
プリズム部41の頂角αは、通常、60°以上75°以下に設定されている。プリズム部41の頂部41aの形状は、製造誤差などによって生じる程度の湾曲形状であってもよい。
【0026】
プリズム板40は、透光性材料(又は透明材料)からなる。透光性材料の屈折率の例は、1.46〜1.62であり、好ましくは、1.49〜1.59である。透光性材料の例は、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料である。透光性樹脂材料の例は、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率:1.46〜1.58)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(屈折率:1.49)などである。なお、プリズム板40には、本発明の趣旨を逸脱しない程度であれば、拡散剤などが添加されていてもよい。また、プリズム板40の裏面(第2の面)40bは、通常、平滑な面である。しかしながら、裏面40bは、本発明の趣旨を逸脱しない程度の粗さを有する粗面であってもよい。裏面40bを前述した粗面とすることによって、例えば、プリズム板40と透過型画像表示部20との間に他の光学部材を配置した場合に、その光学部材とプリズム板40との貼り付きを防止できる。
【0027】
プリズム板40の厚さは、プリズム部41の頂部41aとプリズム板40の略平坦な裏面40b(表面40aと反対側の面)との間の距離とすることができる。プリズム板40の厚さの例は、0.1mm以上5mm以下の厚さである。
【0028】
面光源装置30は、導光板50に対して透過型画像表示部20と反対側に位置する反射部70を備えてもよい。反射部70は、導光板50から反射部70側に出射した光を導光板50に再度入射させるためのものである。反射部70は、図1に示すようにシート状であってもよい。また、反射部70は、導光板50を収容する面光源装置30の筐体底面であって、鏡面加工を施された底面であってもよい。
【0029】
導光板50は、光源部60から出射された光を透過型画像表示部20に出射するために用いられる。導光板50の平面視形状の例は略長方形及び略正方形を含む。
【0030】
導光板50は、透光性材料(又は透明材料)からなる。透光性材料の屈折率の例は、1.46〜1.62である。透光性材料の例は、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料である。透光性樹脂材料の例は、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率:1.46〜1.58)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(屈折率:1.49)などである。透光性樹脂材料としては、透明性の観点からPMMAがより好ましい。
【0031】
図1に示すように、導光板50は、プリズム板40と互いに対向し、略平坦に形成された出射面(第3の面)51aと、後述する複数の凸条部52が形成された背面(第4の面)51bと、出射面51a及び背面51bに交差する4つの側面51c,51d,51e,51fを有する(図2参照)。図1では、X方向において互いに対向している2つの側面(入射面)51c及び側面(入射面)51dを示している。側面51c及び側面51dは、光源部60と対向する。この場合、側面51c及び側面51dは、光源部60からの光が入射される入射面である。導光板50が有する4つの側面51c,51d,51e,51fのうち残りの2つの側面51e,51f(図2参照)はY方向において互いに対向している。図1では、側面51c及び側面51dと出射面51a及び背面51bとの配置関係の一例として、側面51c及び側面51dは出射面51a及び背面51bに略直交している状態を示している。本実施形態では、導光板50の他の側面51e,51fも出射面51a及び背面51bと直交しているとする。
【0032】
複数の凸条部52は、図1に示すように、Y方向に沿って延在すると共に、X方向において並列配置されている。凸条部52の延在方向に直交する断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸条部52の端である底部52bは、X方向において同じ位置にある。各凸条部52は透明であり、導光板50内を伝搬する光を出射面51a側から出射させるためのものである。各凸条部52の外形形状は、レンチキュラーレンズとしての光学的性能を発揮する形状となっている。
【0033】
各凸条部52の外形形状について説明する。凸条部52は、出射面51a上の任意の点(一点)pから光が出射される場合、出射位置である点pから出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比(比率)に出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形形状を有する。点pは、出射面(第3の面)51aの中央部の点(一点)、すなわち、出射面51aの中心とすることができる。
【0034】
「第1の光束」は、点pから導光板50の外側の全方向(全方位)に出射される光(出射光)の全光束である。「第2の光束」は、点pから所定方向への出射光の単位立体角あたりの光束である。本実施形態において「単位立体角」は1/4πである。「所定方向」は、Y方向に直交する面内において出射面51aの法線に対する角度θであり、点pから出射される光のピーク角度θの方向である。「出射効率」は、入射面としての側面51c,51dに入射される光、すなわち、導光板50に入射される光の量に対する出射面51aから出射される全ての光の量の比である。
【0035】
図2を参照してより具体的に説明する。図2は、凸条部52の外形形状を説明するための図面である。図2の(a)は、出射面51a上での局所的な座標系の設定状態を示す図面である。図2の(b)は、図2(a)に示した座標系におけるz軸及びx軸からの角度の規定方法を説明するための図面である。
【0036】
図2(a)に示すように出射面51a上の任意の点pを原点とした局所的なxyz座標系を設定し、原点を中心とした単位球を仮定する。xyz座標系においてz軸は出射面51aに直交している。すなわち、z軸は出射面51aの法線に対応する。x軸は、X方向に略平行である。すなわち、x軸は、入射面である側面51c,51dに略直交する方向である。この場合、y軸はY方向に略一致する。x軸、y軸及びz軸が、X方向、Y方向及びZ方向に対応していることは、図2(b)においても同様である。
【0037】
図2(b)に示すように、点pからの出射光の方向とz軸との間のなす角度(偏角)をθとし、出射光の方向とx軸とのなす角度(偏角)をφとする。この設定では、上記所定方向は、xz平面内においてピーク角度θの方向である。換言すれば、所定方向は、θ=ピーク角度θ且つφ=0°で規定される方向である。ただし、所定方向は、θ及びφがそれぞれθ=ピーク角度θ±5°及びφ=0±5°を満たす範囲内の方向であればよい。点pから全方向への出射光の全光束をΦとし、所定方向への出射光の単位立体角あたりの光束をΦとする。全光束Φに対する光束Φの比は、所定方向における光出射割合である。以下では、「所定方向における光出射割合」を、単に「光出射割合」とも称する。この光出射割合をRとしたとき、R=Φ/Φである。導光板50に入射される光の量をQと、出射面51aから出射されるすべての光の量をQとする。光出射効率をEとしたとき、E=Q/Qである。
【0038】
このとき、凸条部52の外形形状は、
1.770(%)<R×E×100(=R
を満たす形状である。以下の説明では、Rを有効光出射割合とも称す。
【0039】
図3は、凸条部52の外形形状の例を説明するための図面であり、凸条部52を含む導光板50の断面構成の模式図である。
【0040】
凸条部52における頂部を凸条部52の先端部52aと称し、凸条部52における裾部を凸条部52の底部52bと称する。本実施形態では、凸条部52の外形形状は、延在方向に直交する断面形状が図3に示すように、中心線Cに対して略対称となる外形形状を有している。また、凸条部52は、凸条部52に接する接平面と背面51bとのなす角度が、凸条部52の底部52b側から先端部52a側にかけて単調に減少するような外形形状を有している。
【0041】
図3を参照して、凸条部52の外形形状の種々の例について説明する。ここでは、説明の便宜のために、基準面51を定義する。すなわち基準面51を、図3に示すように凸条部52の断面において、底部52b同士を結ぶ線と平行な面(図3において二点鎖線で示す)、言い換えれば、凸条部52の底面を形成する平面と定義する。本実施形態では、導光板50における出射面51a(図1参照)と基準面51とは互いに平行となっている。
【0042】
有効光出射割合R(%)が上記範囲を満たす凸条部52の外形形状は、図4に示した図表内の組み合わせの何れかによって規定される形状とすることができる。以下、図4に示したアスペクト比〔h/w〕、幅に対する曲率半径〔r/w〕及び底部角度γについて説明する。
【0043】
(I)アスペクト比〔h/w
アスペクト比〔h/w〕とは、図3において、凸条部52の幅をw(μm)、凸条部52の最大高さ(基準面51と先端部52aとの距離)をh(μm)としたとき、幅wに対する最大高さhの比である。
【0044】
(II)幅に対する曲率半径〔r/w
幅に対する曲率半径〔r/w〕とは、凸条部52の幅をw(μm)、凸条部52の先端部52aの曲率半径をr(μm)としたとき、幅wに対する曲率半径rの比である。先端部52aの曲率半径rは、凸条部52の頂部としての先端部52aの曲がり具合を表すものである。例えば、先端部52aの曲率半径rは、図3に示すように、先端部52aに接する円(図3中の破線で示す円)を仮定した場合の円の半径である。
【0045】
(III)底部角度γ
底部角度γは、中心線Cをとおる断面での凸条部52の輪郭線と基準面51との交点の位置での凸条部52の接平面Pと基準面51との間のなす角度である。また、先端部52aに対して底部は凸条部52の裾部でもある。よって、底部角度γは裾部角度でもある。
【0046】
以下、図4の図表に示したアスペクト比[h/w]に基づいた場合分けに応じて凸条部52が満たす外形形状の条件を具体的に例示する。
【0047】
(1)0.01≦h/w<0.03の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
1.5625≦r/w≦10.3125且つ2.62≦γ≦13.12
【0048】
(2)0.03≦h/w<0.05の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.1563≦r/w≦5.1563且つ4.68≦γ≦24.94
【0049】
(3)0.05≦h/w<0.07場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.5208≦r/w≦2.1875且つ7.82≦γ≦14.21
【0050】
(4)0.09≦h/w<0.11の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
1.4375≦r/w≦1.5625且つ25.26≦γ≦28.15
【0051】
(5)0.11≦h/w<0.13の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.9896≦r/w≦1.0938且つ24.61≦γ≦26.86
【0052】
(6)0.13≦h/w<0.15の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.6696≦r/w≦0.8482且つ24.16≦γ≦28.11
【0053】
(7)0.15≦h/w<0.17の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.4297≦r/w≦0.5859且つ23.84≦γ≦27.14
【0054】
(8)0.17≦h/w<0.19の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.2431≦r/w≦0.3819且つ23.59≦γ≦26.43
【0055】
(9)0.19≦h/w<0.21の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.0938≦r/w≦0.2813且つ23.40≦γ≦27.32
【0056】
(10)0.21≦h/w<0.23の場合
凸条部52の外形形状は、r/w及びγ(°)が以下の条件を満たす形状である。
0.0284≦r/w≦0.1420且つ24.25≦γ≦26.71
【0057】
幅wの例は、10μm以上2mm以下であり、好ましくは、20μm以上1mm以下であり、更に好ましくは、50μm以上600μm以下である。
【0058】
図3は、凸条部52の中心線Cを含む断面の構成を示しているので、幅wは凸条部52の最大幅に対応する。また、hは凸条部52の先端部52aの位置での厚さである。よって、上記アスペクト比[h/w]は、凸条部52の最大幅に対する先端部52aの位置での凸条部52の厚さ(又は高さ)、すなわち、[先端部位置での厚さ]/[凸条部の最大幅]に対応する。通常、先端部52aの位置での凸条部52の厚さは最大であるので、先端部52aの位置での凸条部52の厚さは凸条部52の最大厚さでもある。また、上記(II)に記載した比は、曲率半径rと凸条部52の最大幅との比、すなわち、[曲率半径]/[凸条部の最大幅]に対応する。
【0059】
上記構成の導光板50は、単独の透光性材料で構成された単層の板状体であってもよいし、互いに異なる透光性材料で構成された層が積層された多層構造の板状体でもよい。
【0060】
更に、導光板50を構成する透光性材料として透光性樹脂材料を用いる場合、この透光性樹脂材料に紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、加工安定剤、難燃剤、滑剤等の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、導光板50に紫外線吸収剤が添加されていれば、光源部60から出力される光に紫外線が多く含まれている場合などにおいて、紫外線による導光板50の劣化を防止できるため好ましい。
【0061】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤である。
【0062】
透光性樹脂材料は、通常、添加剤として光拡散剤を添加することなく用いられるが、本発明の趣旨を逸脱しない僅かな量であれば、光拡散剤を添加して用いてもよい。
【0063】
光拡散剤として、通常は、導光板50を主に構成する上述したような透光性材料(又は透明材料)とは屈折率が異なる粉末が用いられ、これを透光性材料中に分散させて用いられる。かかる光拡散剤としては、例えばスチレン樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子などの有機粒子、炭酸カリウム粒子、シリカ粒子等の無機粒子が用いられ、その粒子径は通常0.8μm〜50μmである。
【0064】
また、出射面51aは、平坦であることが好ましい。しかしながら、モアレ低減のために出射面51aは、僅かに表層拡散を有していてもよい。
【0065】
上記凸条部52を備えた導光板50は、例えば透光性材料(又は透明材料)からなる板材を削り出す方法により製造することができる。また、透光性材料として透明樹脂材料を用いる場合は、例えば射出成形法、押出成形法、フォトポリマー法、プレス成形法などの通常の方法により製造することができる。また、フォトポリマー法を用いて導光板50を製造する際には、凸条部52の材料として、紫外線硬化樹脂を利用することができ、紫外線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0066】
次に、上記導光板ユニット55の作用効果について、図1に示したように面光源装置30の一部として透過型画像表示装置10に適用した場合を例にして説明する。図5は、図1に示した透過型画像表示装置10の一部拡大図である。図5では、図1中において側面51c側を拡大して示している。
【0067】
光源部60が有する点状光源61を発光させると、点状光源61からの光は、点状光源61に対向する導光板50の側面51cから導光板50に入射する。導光板50に入射した光は、導光板50内を全反射しながら伝搬する。導光板50内を伝搬する光が、凸条部52に入射すると、凸条部52内では光が全反射条件以外の条件で反射する。そのため、凸条部52内で反射した光は出射面51aから出射角θで出射される。
【0068】
出射面51aから出射された光はプリズム板40におけるプリズム部41の一方の斜辺41bに入射する。プリズム部41の一方の斜辺41bに入射した光は、プリズム部41の他方の斜辺41cにおいて板厚方向(Z方向)に向かって全反射し、プリズム板40における裏面40bから正面方向に出射されるようにプリズム部41の頂角αが設定されている。すなわち、プリズム板40から出射される光の正面方向への輝度が大きくなるようにプリズム部41の頂角αが設定されている。
【0069】
具体的には、図6に示すように、導光板50の出射面51aから出射角θで出射された場合、プリズム部41の一方の斜辺41bに対して入射角θiで入射する。このとき入射角θiを出射角θとプリズム部41の頂角αとを用いて表すと、θi=θ−0.5π+0.5αとなる。また、図6に示すように、正面方向(Z方向)と斜辺41cとの交角は、プリズム部41の頂角αとを用いて表すとα/2となる。プリズム部41の一方の斜辺41bから入射した光が、他方の斜辺41cで全反射してプリズム板40における正面方向に出射されるためには(すなわち、斜辺41cに対してα/2の角度で出射されるためには)、入射角θiに対する屈折角θは1.5α−0.5πであることが必要となる。これらの条件と、下記式(5)に示すスネルの法則(n:プリズム部41の屈折率)とに基づけば、設定すべき上記頂角αは、下記式(6)によって導出することができる。
【数5】


【数6】

【0070】
導光板ユニット55では、プリズム板40のプリズム部41の頂角αが上述したような角度に設定されているので、プリズム板40に入射する光を正面方向に出射することができる。
【0071】
ここで、導光板50からの出射角θが60°よりも小さい場合、導光板ユニット55に用いられる、屈折率が1.46〜1.62の樹脂材料によって形成されるプリズム部41の頂角αを上記式(6)により算出される値としても、図7(a)に示すように、正面方向に向かわない一部の光(図7(a)において点線矢印で示す)が発生するおそれがある。
【0072】
例えば、導光板50からの出射角θを50°、プリズム部41の屈折率nを1.58とすると、上記式(6)により算出される頂角αは54.7°となる。ところがこの場合、図7(a)に示すように、プリズム部41を構成する一方の斜辺41bから入射した光の一部は、他方の斜辺41cによって反射されないことがある。このため、プリズム板40に入射した光の一部が正面方向に向かわないこととなり、出射効率が低下してしまうおそれがある。
【0073】
一方、導光板50からの出射角θが60°以上である場合、導光板ユニット55に用いられる、屈折率が1.46〜1.62の樹脂材料によって形成されるプリズム板40の頂角αを上記式(6)により算出される値とすると、図7(b)に示すように、全ての光が正面方向に向かうようになる。
【0074】
例えば、導光板50からの出射角θを60°、プリズム板40の屈折率nを1.58とすると、上記式(6)により、設定される頂角αは60.0°となる。この場合、図7(b)に示すように、プリズム部41を構成する一方の斜辺41bから入射した光は、他方の斜辺41cによって確実に反射される。このため、プリズム板40に入射した光は全て正面方向に向かうこととなり、プリズム板40の正面方向からの出射効率が高まる。
【0075】
導光板ユニット55において、導光板50は出射面51aから出射される光のピーク角度θが60°以上となる外形形状の凸条部52を有しているので、プリズム板40に入射する光を効率的に出射することができる。この結果、プリズム板40を経て透過型画像表示部20に入射される光の輝度が向上する。
【0076】
さらに、有効光出射割合R(%)が1.770%より大きくなる外形形状を凸条部52が有することから、プリズム板40の出射面から正面方向に出射される光の割合がより高くなる。その結果、プリズム板40を経て透過型画像表示部20に入射される光の輝度がより向上する。
【0077】
次に、凸条部52が図4に示す条件を満たす場合に、導光板ユニット55におけるプリズム板40の正面方向への出射光がより多くなる点についてシミュレーション結果に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらシミュレーションに限定されるものではない。
【0078】
図8は、シミュレーションモデルを示す模式図である。説明の便宜のため、図1に示した構成要素に対応する構成要素には、導光板50のようにMを付して記載する。シミュレーションは、図8に示したように導光板50の側面50a,50bに対向する位置にそれぞれ点状光源61,61を配置すると共に、導光板50の下方に反射部70としての反射シートを配置したモデルにおいて、光線追跡法を用いて行った。点状光源61,61は、導光板50の短辺方向において、短辺方向の中央部に位置している。
【0079】
シミュレーション条件は、次のとおりである。
・導光板50の構成材料:PMMA(屈折率:1.49)を仮定
・導光板50の平面視形状(板厚方向からみた形状):長方形
・導光板50の長辺の長さW1:540mm
・導光板50の短辺の長さW2: 20mm
・導光板50の厚さt:4mm
・導光板50の凸条部52の先端部52aと反射部70との間の距離:0.1mm
・反射部70:ミラー(反射率100%)を仮定
・点状光源61の特性:点光源とし、等方出射を仮定
・点状光源61から出射される光の波長:550nmを仮定
・点状光源61と導光板50との距離:0.1mm
なお、導光板50の側面51e及び側面51fでは周期的境界条件を仮定した。すなわち、側面51e及び51fでは光はすべて反射し導光板50内に戻るとした。このように、導光板50における短辺方向(Y方向)に周期的境界条件を設けることによって、短辺方向の長さが実質的に無限の導光板を想定したシミュレーションを実施していることになる。また、導光板50の厚さtは、凸条部52の厚みを含まないものとする。
【0080】
シミュレーションでは、図3に示したように凸条部52の中心線Cを含む凸条部52の断面構成において、凸条部52の輪郭線を円錐曲線で表した。具体的には、図9に示すように、uv座標系を設定し、凸条部52の断面形状を式(7)で示す円錐曲線v(u)により規定した。uv座標系のv軸は、図3における凸条部52の中心線Cに対応する。また、u軸は、図3に示すX方向に対応する。
【数7】

【0081】
式(7)において、kは、式(7)で表される円錐曲線のとがり方を示すパラメータであり、凸条部52の先端部52aのとがり方を表している。例えばkが0のとき、凸条部52の外形は放物線形状となり、kが1のとき、凸条部52の外形はプリズム形状となり、kが−1のとき、凸条部52の外形は楕円を半分に切った形状となる。
【0082】
シミュレーションモデルでは、導光板50の背面51b側に複数の凸条部52を被覆率100%で配置した。すなわち、図8に示すように、導光板50の背面51b側には、長辺方向(X方向)に隣接する凸条部52同士が隙間なく配置されており、隣接する凸条部52の端である底部52bの位置が互いに一致している。凸条部52の最大幅は500μmである。
【0083】
シミュレーションでは、まず、式(7)で規定される外形形状を有する凸条部52を設計した。設計した凸条部52を有する導光板50に対して、点状光源61から光が入射した場合を想定し、導光板50の出射面51aの中央部に光の出射位置としての点pを仮定した。
【0084】
次に、k及びh/wを変更することによって、設定される複数の凸条部52の形状に対して導光板50から出射される光のピーク角度θについてシミュレーションをそれぞれ実施した。シミュレーション結果は、図10及び図11に示した図表のとおりである。図10及び図11は、式(7)におけるkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状と、出射光のピーク角度θの関係を示す図表である。図10はkが0.1以上且つ0.9以下の範囲を示している。図11は、kが−0.9以上且つ0以下の範囲を示している。図10及び図11において着色が施されたセルは、ピーク角度θが60°以上であることを示している。すなわち、着色が施されたセルに対応するkとアスペクト比[h/w]とで規定される形状の凸条部52を有する導光板50から出射される光のピーク角度θは60°以上となる。
【0085】
次に、図2(a)(又は図2(b))に示した局所的なxyz座標系を設定し、点pからの全放射束と、点pからピーク角度θの方向、且つφ=0°の方向(以下、所定方向と称す)に出射された出射光の単位立体角あたりの放射束を算出した。具体的には、シミュレーションでは、後述する比較実験と対比するため、0°≦θ≦90°及び0°≦φ≦360°の範囲(図2(b)に示した単位球の球面のうちz≧0の領域の半球面に相当)に出射された出射光の放射輝度を半球面上の複数の点で算出した。その後、算出された放射輝度に基づいて、半球面全体の全放射束及び所定方向の単位立体角当たりの放射束を算出した。
【0086】
放射輝度を算出する上記複数の点は、所定方向の点を含むように、θ方向に5°刻みで設定すると共に、φ方向に10°刻みで設定した。放射輝度から全放射束及び放射束の算出は次のように実施した。
【0087】
すなわち、まず、各算出点の放射輝度を、単位立体角あたりの放射束に換算した。単位立体角としては1/4πを設定した。次に、各放射束を単位球面上の面要素あたりの放射束に換算した。その後、単位球面上の面要素あたりの放射束を半球面全体にわたって数値積分することによって全放射束を算出した。所定方向に対する単位立体角あたりの放射束には、所定方向上の算出点における換算値を使用した。シミュレーションでは、物理量として放射束を算出しているが、放射束は、いわゆる心理物理量の光束(単位時間あたりの光量)に対応する。よって、算出した全放射束に対する所定方向の単位立体角当たりの放射束の比、すなわち、[単位立体角当たりの放射束]/[全放射束]は、光出射割合(所定方向への光出射割合)Rに対応する。
【0088】
導光板50に入射する光の量に対する出射面51aからの全ての出射光の量の比を算出することで光出射効率Eが得られる。
【0089】
及びh/wを変更することによって、設定される複数の凸条部52の形状に対して上記シミュレーションをそれぞれ実施し、光出射割合R及び光出射効率Eをそれぞれ算出し、各シミュレーション結果に対する有効光出射割合Rを得た。
【0090】
比較のために、図12(a)に示すような、白色ドット81を備えた導光板80を含む導光板ユニット155を用いて実測値に基づく有効光出射割合Rfを得た。比較のための実験(以下、「比較実験」と称す)では、ソニー株式会社製「KDL−40EX700」に使用されているバックライトユニットを取り出し、当該バックライトユニットの導光板ユニットを導光板ユニットとして使用した。当該バックライトの導光板ユニット155は、導光板80、拡散フィルム144、プリズムフィルム(頂角90°)140及び反射型偏光フィルム145を有していた。比較実験に使用した導光板ユニット155に含まれる導光板80は白色ドット81を備えていた。そして、バックライトユニットの導光板ユニット155と点状光源61(光源部60)とを使用して、導光板80の背面側に白色反射板を設けた。
【0091】
比較実験では、導光板80の側面から白色光を導光板80内に供給して、反射型偏光フィルム145上の所定位置(反射型偏光フィルム145の中央位置)からの輝度を測定した。測定は、輝度計(TOPCOM社製「色彩輝度計BM-5AS」)を用いて行った。具体的には、反射型偏光フィルム145上の一点pに図2(b)に示すような局所的なx座標系を設定し、点pからθ=0°の方向(以下、正面方向と称す)に出射された輝度を測定した。
【0092】
測定した輝度を光度、すなわち、単位立体角あたりの光束に換算した。単位立体角としては、上記輝度計で設定されている1/4πを採用した。次に、各単位立体角あたりの光束(光度)を単位球面上の面要素あたりの光束に換算した。その後、単位球面上の面要素あたりの光束を半球面全体にわたって数値積分することによって全光束を算出した。所定方向への単位立体角あたりの光束としては、所定方向に位置する測定点の輝度に基づいて換算された単位立体角あたりの光束を採用した。所定方向に対する単位立体角あたりの光束Φを全光束Φで除することによって、比較実験における光出射割合(正面方向における光出射割合)Rfを算出した。その結果、比較実験における光出射割合Rfは4.430%であった。
【0093】
スクリーン印刷で形成された白色ドット81を有する導光板ユニット55の出射効率は80%として知られている。そのため、比較実験において、導光板ユニット55の出射効率を80%と仮定した。算出した所定方向への光出射割合Rfに、仮定した光出射効率Eである80%を乗算することによって、比較実験における有効光出射割合Rfを算出した。その結果、得られた有効光出射割合Rfの値は3.540%であった。
【0094】
ここで、この比較実験において算出される有効光出射割合Rfの値は、図12(a)に示す正面方向(白抜矢印方向)からの実測を元に、反射型偏光フィルム145の出射面145aから出射される光出射割合Rfとして算出された値に、後述する光出射効率Eを乗じたものである。これに対して、当該シミュレーションにおいて得られる光出射割合Rは、導光板50の出射面51aから出射される光としての値である。そこで、両者が単純に比較できるように検討した。具体的には、当該シミュレーションにおいてプリズム板40の出射面40aから出射される光は、図12(b)に示すように、プリズム部41における一方の斜辺41bから入射する光と、他方の斜辺41cから入射する光があることを考慮して、上記シミュレーションにおいて得られる光出射割合Rを2倍した光出射割合R2に基づいて算出される有効光出射割合R2と、比較実験における有効光出射割合Rfとを比較するようにした。
【0095】
シミュレーション結果は、図13〜図22に示した図表のとおりである。図13及び図14は、式(7)におけるkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状と、光出射効率Eとの関係を示す図表である。図13はkが0.1以上且つ0.9以下の範囲を示している。図14は、kが−0.9以上且つ0以下の範囲を示している。図13及び図14に示す光出射効率Eはパーセンテージ(百分率)で示されている。また、図13及び図14に示す図表において着色が施されたセルは、図10及び図11に示した図表のセルと同様に、ピーク角度θが60°以上であることを示している。
【0096】
図15及び図16は、式(7)におけるkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状と、所定方向(ピーク角度θ方向)に対する光出射割合R2との関係を示す図表である。図15は、kが0.1以上且つ0.9以下の範囲を示している。図16は、kが−0.9以上且つ0以下の範囲を示している。図15及び図16では、図13及び図14の場合と同様に、光出射割合R2はパーセンテージで示されている。図15及び図16に示す光出射割合R2は、上述したように2つの光の経路を考慮した数値であるから、所定方向(ピーク角度θ方向)に対する光出射割合Rを2倍した数値となっている。また、図15及び図16に示す図表において着色が施されたセルは、図10及び図11に示した図表のセルと同様に、ピーク角度θが60°以上であることを示している。
【0097】
図17及び図18は、式(7)におけるkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状と、有効光出射割合R2との関係を示す図表である。図17はkが0.1以上且つ0.9以下の範囲を示している。図18は、kが−0.9以上且つ0以下の範囲を示している。図17に示す図表中の各セルの値は、図13及び図15に示した図表の対応するセルの値に基づいている。同様に、図18に示す図表中の各セルの値は、図14及び図16に示した図表の対応するセルの値に基づいている。図17及び図18では、図13及び図15の場合と同様に、有効光出射割合R2はパーセンテージで示されている。また、図17及び図18に示す有効光出射割合R2は、図15及び図16と同様に、上述したように2つの光の経路を考慮した数値であるから、所定方向(ピーク角度θ方向)に対する有効光出射割合R2を2倍した数値となっている。また、図17及び図18に示す図表において着色が施されたセルは、図10及び図11に示した図表のセルと同様に、ピーク角度θが60°以上であることを示し、セル内に数値がなく「−」が記載されたセルは、ピーク角度θが60°未満であることを示している。
【0098】
図19及び図20は、図17及び図18に示したkとアスペクト比[h/w]とで決まる凸条部の外形形状の底部角度γを示す図表である。図21及び図22は、図17及び図18に示したkとアスペクト比[h/w]とで決まる凸条部の外形形状の幅wに対する先端部52aの曲率半径[r/w]を示す図表である。
【0099】
図17及び図18に示した図表では、比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)よりも大きい有効光出射割合R2にハッチングが付されている。この図表に示される有効光出射割合R2は、上述したように2つの光の経路を考慮した数値であるから、上記シミュレーションにより得られる値を2倍した数値となっている。すなわち、ハッチングが付されたセルは、導光板50の出射面51aから出射される有効光出射割合Rとして1.770%よりも大きくなる部分である。有効光出射割合R(R2)の大きい方が、プリズム板40の正面方向近傍に出射される光が多いことを示している。すなわち、有効光出射割合R(R2)が大きい方が、プリズム板40と組み合わせた際に、輝度向上が図れる。よって、図17及び図18に示した図表において、ハッチングを付した箇所(セル)に対応する形状を有する凸条部を備える導光板50とプリズム板40とを備えた導光板ユニット55では、比較実験の導光板ユニット155の場合より、プリズム板40と組み合わせた際に、輝度向上が図れることになる。
【0100】
また、図17及び図18に示した図表では、上記ハッチングに加え、有効光出射割合R2の値に応じて、以下に示すように、下線なし、波線下線、二重下線、及び太線下線表示をしている。
・比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)より大きく1.2倍未満(3.540%より大きく4.250%未満)となる凸条部52の形状に対応する有効光出射割合R2には、ハッチングのみが付され下線は付されていない。
・比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の1.2倍以上1.5倍未満(4.250%以上5.310%未満)となる凸条部52の形状に対応する有効光出射割合R2には、ハッチングに加え波線下線が付されている。
・比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の1.5倍以上2.0倍未満(5.310%以上7.090%未満)となる凸条部52の形状に対応する有効光出射割合R2には、ハッチングに加え二重下線が付されている。
・比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の2.0倍以上(7.090%以上)となる凸条部52の形状に対応する有効光出射割合R2には、ハッチングに加え太線下線が付されている。
【0101】
また、図19〜図22においても、図17及び図18と対応するセルに同様の処理(ハッチング、下線なし、波線下線、二重下線、及び太線下線表示)を施している。
【0102】
図17〜図22において、ハッチングが付されたセルについて検討する。これらのセルに対応する凸条部52のアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γは、図4に示した図表の範囲内である。よって、図4に示したアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせで規定される凸条部52を有する導光板50とプリズム板40とを備える導光板ユニット55では、導光板50から出射される光のピーク角度θが60°以上となり、かつ、プリズム板40の正面方向に出射される光の割合が多い。そのため、本実施形態における導光板ユニット55を採用することで、透過型画像表示装置10において、より高い輝度で透過型画像表示部20を照明することが可能である。その結果、透過型画像表示部20で表示される画像の輝度向上を図ることができる。
【0103】
次に、図17〜図22において、ハッチング及び波線下線が付されたセルについて検討する。ハッチング及び波線下線が付されたセルに対応するアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせで規定される凸条部52を有する導光板50を含む導光板ユニット55では、比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の1.2倍(4.250%)以上となり、比較実験の導光板ユニット155と比べると、プリズム板40の正面方向に出射される光の割合がより多くなる。このため、ハッチング及び波線下線が付されたセルに対応するアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせは、比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)よりも大きくなる図5に示す組み合わせよりも好ましいと言える。これらのセルに対応する凸条部52のアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせを算出すると、図23に示した図表の範囲内となる。
【0104】
次に、図17〜図22において、ハッチング及び二重下線が付されたセルについて検討する。ハッチング及び二重下線が付されたセルに対応するアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせで規定される凸条部52を有する導光板50を含む導光板ユニット55では、比較実験における有効光出射割合Rf2の値(3.540%)の1.5倍(5.310%)以上となり、比較実験の導光板ユニット155と比べると、プリズム板40の正面方向に出射される光の割合がより多くなる。このため、ハッチング及び二重下線が付されたセルに対応するアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせは、比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の1.2倍(4.250%)以上となる図23に示す組み合わせよりも好ましいと言える。これらのセルに対応する凸条部52のアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせを算出すると、図24に示した図表の範囲内となる。
【0105】
次に、図17〜図22において、ハッチング及び太線下線が付されたセルについて検討する。ハッチング及び太線下線が付されたセルに対応するアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせで規定される凸条部52を有する導光板50を含む導光板ユニット55では、比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の2.0倍(7.090%)以上となり、比較実験の導光板ユニット155と比べると、プリズム板40の正面方向に出射される光の割合がより多くなる。このため、ハッチング及び太線下線が付されたセルに対応するアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせは、比較実験における有効光出射割合Rfの値(3.540%)の1.5倍(4.250%)以上となる図24に示す組み合わせよりも好ましいと言える。これらのセルに対応する凸条部52のアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせを算出すると、図25に示した図表の範囲内となる。
【0106】
なお、図4に示した組み合わせで規定される凸条部52を有する導光板50を含む導光板ユニット55には、図23、図24及び図25に示した組み合わせで規定される凸条部を有する導光板を含む導光板ユニットが含まれることがある。また、図23に示した組み合わせで規定される凸条部を有する導光板を含む導光板ユニットには、図24及び図25に示した組み合わせで規定される凸条部を有する導光板を含む導光板ユニットが含まれることがある。また、図24に示した組み合わせで規定される凸条部を有する導光板を含む導光板ユニットには、図25に示した組み合わせで規定される凸条部を有する導光板を含む導光板ユニットが含まれることがある。
【0107】
次に、図17〜図22において、太破線及び太線で囲まれた領域内のセルであって、ハッチングが付されたセル(下線の種類、有無については問わない)について検討する。ここで、太破線で囲まれた領域に属するkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状は、出射光角度特性に影響を及ぼしやすい。例えば、出射光角度特性の一つであるピーク角度θで説明すると、図10及び図11に示すように、太破線で囲まれた領域に属するピーク角度θは、k又はアスペクト比[h/w]の値が少し変更(例えば、アスペクト比[h/w]の値を0.22から0.2に変更)されると、その値も大きく変わる。これに対し、太線で囲まれた領域に属するピーク角度θは、k又はアスペクト比[h/w]の値が少し変更(例えば、アスペクト比[h/w]の値が0.04から0.02に変更)されても、太破線で囲まれた領域に属するものと比べ、その値が大きく変わることはない。すなわち、太線で囲まれた領域に属するkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状を有する導光板を使用する場合には、太破線で囲まれた領域に属するkとアスペクト比[h/w]とで規定される凸条部の外形形状を有する導光板を使用する場合に比べ、凸条部の外形形状精度(レンチキュラーレンズ成形精度)を緩和できるので扱いやすい。
【0108】
なお、図17〜図22において太破線によって囲まれるセルに対応する凸条部52のアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせを算出すると、図4、図23、図24及び図25に示す図表において太破線によって囲まれる範囲内の数値となる。同様に、図17〜図22において太線によって囲まれるセルに対応する凸条部52のアスペクト比[h/w]、幅に対する曲率半径[r/w]及び底部角度γの組み合わせを算出すると、図4、図23及び図24に示す図表において太線によって囲まれる範囲内の数値となる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0110】
また、凸条部52の形状は、図3に例示したように、凸条部52の接平面と背面51bとのなす角度が、凸条部52の底部側から先端部側にかけて単調に減少する形状を有することが好ましい。しかしながら、凸条部52は、図4に示したh/w、r/w及びγで示した組み合わせで規定される形状を有するなどにより、有効光出射割合Rが1.770%より大きくなるような形状を有していれば、凸条部52の接平面と背面51bとのなす角度との先端部52a側にかけて単調に減少していなくてもよい。
【0111】
また、凸条部52の配列については、図1などに示すように、長辺方向に隣接する凸条部52同士が隙間なく配置されており、隣接する凸条部52の端である底部52bの位置が互いに一致している例(被覆率100%)を挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、長辺方向に隣接する凸条部52同士は、互いに離れて配置されてもよいし、また、長辺方向に隣接する凸条部52同士の距離(ピッチ)は、長辺方向において変化するように配置されてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、凸条部52を含めて一体的に形成された導光板50について説明したが、本発明の導光板はこれに限定されるものではない。例えば、フォトポリマー法を用いて、図3に示す基準面51より下の部分である本体部に対して、基準面51より上の部分である凸条部52を形成してもよい。
【0113】
更に、光源部60の配置位置は、2つの箇所に限定されない。例えば、光源部60は、3つ以上の箇所に配置することもできる。この場合、例えば、導光板50が有する側面51e,51fのうちの少なくとも一つに対して更に設けることができる。また、光源部60は一箇所に配置することもできる。この場合、光源部60は、図1に示した側面51c及び側面51dのうちの一方に配置される。光源部60からの光が入射される一方の側面と対向する他方の側面には、光漏れを防止するための、ミラーテープや白色拡散テープなどの反射テープが貼付されてもよい。
【0114】
また、図1に示した透過型画像表示装置10において、本発明の趣旨を逸脱しなければ、導光板50とプリズム板40との間に他の光学部材を配置したり、プリズム板40と透過型画像表示部20との間に他の光学部材を配置したりすることもできる。導光板50とプリズム板40との間に設ける他の光学部材の例は、本発明の趣旨を逸脱しない程度の光拡散特性を有する光拡散シート、マイクロレンズシートである。また、プリズム板40と透過型画像表示部20との間に設ける他の光学部材の例は、反射型偏光分離シート、光拡散シート、マイクロレンズシート、レンチキュラーレンズシート及びプリズムシートが含まれる。
【符号の説明】
【0115】
10…透過型画像表示装置、20…透過型画像表示部、21…液晶セル、22,23…偏光板、30…面光源装置、40…プリズム板、40a…表面(第1の面)、40b…裏面(第2の面)、41…プリズム部、41a…頂部、41b,41c…斜辺、50…導光板、51…基準面、51a…出射面(第3の面)、51b…背面(第4の面)、51c,51d…側面(入射面)、51e,51f…側面、52…凸条部、52a…先端部、52b…底部、55…導光板ユニット、60…光源部、61…点状光源、70…反射部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数の前記プリズム部が前記プリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と、
前記プリズム板における前記第1の面に対向する第3の面と、前記第3の面とは反対側の面であり、前記プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、前記第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面とを有する導光板と、
を備えており、
複数の前記凸条部の各々は、
前記導光板における前記入射面から入射され前記第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、前記第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、前記第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、
前記ピーク角度θは、前記プリズム部の延在方向に略直交する面内において前記第1の面の法線に対する角度であり、
前記第1の光束は、前記第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、
前記第2の光束は、前記一点から前記ピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、
前記出射効率は、前記入射面へ入射する光の量に対する前記第3の面から出射される光の量であり、
前記プリズム部の屈折率をnとしたとき、前記プリズム部は、下記式(1)
【数1】


を満たす頂角αを有している、導光板ユニット。
【請求項2】
前記凸条部は、レンチキュラーレンズである、
請求項1に記載の導光板ユニット。
【請求項3】
一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数の前記プリズム部が前記プリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と、
前記プリズム板における前記第1の面に対向する第3の面と、前記第3の面とは反対側の面であり、前記プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、前記第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面とを有する導光板と、
前記導光板の前記入射面に対向して配置されており前記入射面に光を供給する光源部と、を備えており、
複数の前記凸条部の各々は、
前記導光板における前記入射面から入射され前記第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、前記第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、前記第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、
前記ピーク角度θは、前記プリズム部の延在方向に略直交する面内において前記第1の面の法線に対する角度であり、
前記第1の光束は、前記第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、
前記第2の光束は、前記一点から前記ピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、
前記出射効率は、前記入射面へ入射する光の量に対する前記第3の面から出射される光の量であり、
前記プリズム部の屈折率をnとしたとき、前記プリズム部は、下記式(2)
【数2】


を満たす頂角αを有している、面光源装置。
【請求項4】
前記凸条部は、レンチキュラーレンズである、
請求項3に記載の面光源装置。
【請求項5】
一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数の前記プリズム部が前記プリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と、
前記プリズム板における前記第1の面に対向する第3の面と、前記第3の面とは反対側の面であり、前記プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、前記第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面とを有する導光板と、
前記導光板の前記入射面に対向して配置されており前記入射面に光を供給する光源部と、
前記プリズム板の前記第2の面側に設けられており、前記プリズム板から出射される光により照明され画像を表示する透過型画像表示部と、
を備えており、
複数の前記凸条部の各々は、
前記導光板における前記入射面から入射され前記第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、前記第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、前記第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、
前記ピーク角度θは、前記プリズム部の延在方向に略直交する面内において前記第1の面の法線に対する角度であり、
前記第1の光束は、前記第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、
前記第2の光束は、前記一点から前記ピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、
前記出射効率は、前記入射面へ入射する光の量に対する前記第3の面から出射される光の量であり、
前記プリズム部の屈折率をnとしたとき、前記プリズム部は、下記式(3)
【数3】


を満たす頂角αを有している、透過型画像表示装置。
【請求項6】
前記凸条部は、レンチキュラーレンズである、
請求項5に記載の透過型画像表示装置。
【請求項7】
一方向に延在している複数のプリズム部が形成された第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有しており、複数の前記プリズム部が前記プリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されたプリズム板と対向して配置される導光板であって、
前記プリズム板における前記第1の面に対向して配置される第3の面と、
前記第3の面とは反対側の面であり、前記プリズム部の延在方向と略平行方向に延在すると共に、当該延在方向に略直交する方向に並列配置された複数の凸条部が形成された第4の面と、
前記第3及び第4の面に交差しており、光が入射される入射面と、
を備えており、
複数の前記凸条部の各々は、
前記入射面から入射され前記第3の面から出射される光の角度分布において最も出射強度が大きい角度であるピーク角度θが60°以上となり、かつ、前記第3の面から出射される光の第1の光束に対する第2の光束の比に、前記第3の面から出射される光の光出射効率を乗じた値が1.770%より大きくなるような外形を有しており、
前記ピーク角度θは、前記プリズム部の延在方向に略直交する面内において前記第1の面の法線に対する角度であり、
前記第1の光束は、前記第3の面上の一点から全方向に出射される光の全光束であり、
前記第2の光束は、前記一点から前記ピーク角度θの方向に出射される光の単位立体角あたりの光束であり、
前記出射効率は、前記入射面へ入射する光の量に対する前記第3の面から出射される光の量である、導光板。
【請求項8】
前記凸条部は、レンチキュラーレンズである、
請求項7に記載の導光板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図12】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−45724(P2013−45724A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184053(P2011−184053)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】