説明

導光板式額縁

【課題】額縁や写真立て等の画像表示装置に納める一般的に不透明な図画や写真をそのままの状態で、周辺の光を用いて表面を照明し周辺よりもさらに明るく鮮明に見ることができる図画像表示装置はいまだ無かった。
【解決手段】額縁等の周辺外縁部に外光取り入れ部を配設し、ここから入った光をその内部に設けた光路を通して導光板の側面に入射させる。この導光板は、通常の額縁等の中央で透明な押さえ板の役割をすると同時に、側面からの入射光を対象の図画や写真等の方向に屈折あるいは反射させこれら図画等の表面を照明する。これにより図画等は直達する光との相互協調効果で周辺より明るく照明される。また、必要に応じて内部に設けられた光源による照明と補完的に作動させよりその照明効果を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真、ポスターおよび一般的図画等の照明表示を一体的に行う新しい額縁、写真立てや表示板等の額縁様画像表示装置の技術に関するものである。これらの周辺外縁部に外光取入れ部を設けここから入った入射光、もしくは額縁等の内部に設けた照明光源からの出射光が、導光板として作用する本体中央表面の薄い透明な板の側面から入射し、その内部で反射屈折して放散され、その直下に設けられた図画をほぼ均等に照明し、また、照明光源の出射光が無い場合でも、前記入射光は図画への直達光と協調して照明する。この結果照明された画像表面から反射した光は前記透明板を表面方向に通過し、透明板の上部から照明されたのとほぼ同じ状態の図画像として、周辺よりさらに明るく鮮明な図画像を得ることができ、大変よく目立つ全く新規の額縁様態の画像表示(ディスプレー)分野を創出できる。外部からの入射光は額縁内部の光路に設けられた太陽電池等で電力に変換され前記照明用光源の電源としても用いられ、これを一時的に蓄電して適宜使用することも可能である。これにより省エネルギーで便利性の高い技術応用による展示、情報、流通等の産業分野や雑貨等一般民生商品分野に応用できる。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような図画等を周辺より明るい図画像として見せる目的の照明表示は、外部からの照明にたよるのが通常で、額縁や写真立て自体に照明効果を有したものは無かった。あえて液晶用導光板の主流であるバックライト方式をこの目的に用いる場合、図画の背面から照明するため図画の透光性が高くなければならないが、通常図画等は不透明な用紙、樹脂膜や繊維等に印刷もしくは描かれるため、特殊な透明性の高い材料や処理をすることはもちろん、裏面にある別の図画や材料自体の模様が影響しないよう特別の配慮をする必要があり、かつその光源の強度が相当高いことが求められたりして、充分に良好な図画像を得られる照明は困難で実用性に乏しかった。また同様目的に一部楔型透明導光板で反射型液晶専用のフロントライトとして用いられる照明方法を転用することも、楔型透明導光板の断面構造が複雑で高価になりやすく、また性能的にも前面への光漏れや筋状の縞模様等が出るため鮮明な図画像は得にくく、また画像の大きさにも限界があり、前述のような通常の図画や写真を保持する額縁や写真立て等の照明は困難であった。また、上述のいずれの場合も照明用の光源の点灯が必要で、常時展示しておくには不経済でもあった。
【発明の開示】
【0003】
前項まで述べたように従来は額縁様画像表示装置自体で保持する図画や写真等を特別の処理を行わず通常の状態のまま、上面から図画像として周囲より明るく鮮明に表示する実際的な方法は無かった。本発明は周辺の光の活用を主体に新構造の導光板を用いて簡易かつ安価にこれを実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
照明の対象となる図画や写真等を保持する額縁、写真立てや表示板等額縁用画像表示装置(以下額縁等)の周辺外縁部に外光取り入れ部を配設し、ここから入った光をその内部に設けた光路を通して導光板の側面に入射させる。ここに、この導光板は、通常の額縁等の表面で図画や写真をその背面に置き展示させるための透明な押さえ板の役割をすると同時に、側面からの入射光を、対象の図画や写真等の方向に屈折あるいは反射させこれらの表面を照明するものである。この際、外光による照明効果をより向上させるため、外光取り入れ部を画像の有効表示面積に比較して充分大きくしたり、ここに入った入射光が高効率で導光板に向かうような光路を形成したり、導光板と照明対象の図画等との間に塩化ビニールやシリコン等の柔らかく透明な樹脂を介在させ密着性をたかめて、より明るく鮮明な図画像が得られようにする。また、必要に応じて補助的な電気光源を用いたり、光路に設けた太陽電池などの起電力を蓄えて用いたりすることも目的達成のために有効な手段となり得る。
【発明の効果】
【0005】
前項の構成により、外光のあるときは簡単な構成で特に電気光源を用いないで、対象の図画や写真等を周辺より明るく鮮明で自然に照明する全く新規の画像表示方法が実現し、かつ対象の図画等に特別の処置をすることなくそのまま自在に取替えが可能となる。応用例として額縁や写真立て、以外に広告板、案内板のような表示板等も可能となる。また、明るい所あるいは逆に暗い所では強度や色調を調整した補助光源を併せて用いることで、より目立たせるための大きな効果も期待でき、夜間に視認できることはもちろん、照明装置としても用い得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施は前項までに既述のように、額縁等の周辺外縁部に適宜外光取り入れ部を設けここよりの入射光を内部に形成する光路を通して[0004]項に述べたように押さえ板を兼ねる導光板の側面に入射させる。導光板に進入した光は内部で反射、屈折して導光板に密接して設けられる図画等(図画側)にあたりこれを照明する。このため図画表面から反射された光は導光板に対して反対方向(表面側)に向かい、結果的に外部から図画像として視認される。ここに周辺が明るいとき得られる上記の効果は、図画に直達する従来の光による照明効果に追加されるため、周辺よりさらに明るい画像が得られる。ここに、入射光を導光板に導く光路には、主に反射鏡またはプリズムあるいはレンズ等を個別にもしくは組み合わせて用い、できるだけ広い面積で得たこの光を比較的狭い導光板の側面の入射光入り口に到達するように形状、材質を選定し構成する。導光板も同様にこの入射光が図画等の方向に多くかつ均一に向かうような形状、材質で構成する。また場合により、この光路中に光発電装置や電気式光源を設け両者の組み合わせによる出射光と前記外光からの入射光とを補完的に働かせるように構成することも場合に応じて効果的である。なお、前記導光板と図画等の間には空気層が無く密着していることが好ましいため両者の間に透明で軟らかい樹脂系のシートあるいは噴霧等によるジェル状物質の介在をさせるとよい。
【実施例】
【0007】
以下、本発明を図1および図2の実施例について説明する。図1は本発明による装置の代表例としての額縁の平面概略図で、図2は図1のA−A断面に沿った同装置の断面構造の概略図である。本装置の構造は主に額縁本体(1)およびその中央にあって押さえ板を兼ねる透明な導光板(2)、表示対象の図画(3)、および外枠(10)を全体の構造として形成される。本発明の骨子である外光取り入れ部(5)は図1のように額縁本体で前面の外縁部に適宜設けられ、その光を導くための反射板(6)もこれに応じた位置に図2の例のごとく配設される。本装置では外光取り入れ部(5)は単なる窓状、もしくは透明なガラスもしくは樹脂で構成されるが、その面積合計ができるだけ大なるようにするほど、図画の照明に有効であるため、図1のような額縁本体(1)の部分的な配置でなく、前面全てを透明なガラスもしくは樹脂で構成してもよい。また図示しないがこの外光取り入れ部(5)の非長手方向の断面は凸レンズ状にしてより外光を取り入れるようにすることも効果的になる。上記の反射板(6)は額縁内部に収納されるか場合により外枠の一部を兼ねるように構成(図示せず)され、図2のように額縁周縁長手方向で同図の上部の外光取り入れ部(5)から進入した光をその表面に形成された反射面で反射させ、導光板(2)の側面に向かわせる。ここに、反射板(6)の断面形状は同図2のような直線とは限らず適宜最適な曲線形状とし入射光の方向を適宜決定でき、額縁平面における照明状況が最適になるように設定される。なお、この反射板(6)には額縁本体(1)の設置状況に応じてその設置角度を調節できるような調節装置を設けることもできる。また、反射方式でなく、ここにプリズムあるいはレンズ等を置いて同様に光を屈折させ導光板(2)に入射させてもよい。これらの各要素をそれぞれ個別にもしくは組み合わせてその効果を向上させることも適宜選択される。なお、反射板(6)の一部に太陽光電池(図示せず)を置きこれで得られる電力を蓄電池(9)等に蓄え、必要時に電気光源(7)を点灯させてこの出射光も導光板(2)に入射させて前記の外光と同様図画(3)の照明に供すると外光と補完的に働かせ得る。電源に電灯用電力もしくは電池を用いても同様である。ここに電気光源(7)は外光用の反射板(6)やプリズムあるいはレンズ等を共用し、これで反射あるいは屈折された出射光が導光板(2)に最適に向かう位置に設置され、その平面上の位置も導光板(2)の平面の明るさを目的に応じたようになるよう設定される。また、導光板(2)の側面には必要に応じて入射光の方向や色合い等を調整できるような入射光調整部(8)を設け、入射した光が導光板(2)でより有効に働くようにさせ得る。密着用シート(4)は、図画(3)の表面が平滑でなく導光板(2)との間に空隙が生じると鮮明な画像を得にくくなるため、これを防ぐために両者を密着させるために設けられる。材質には軟らかく図画等の表面に密着しやすいシリコンゴムや軟質塩化ビニール等の樹脂膜もしくは噴霧されて形成されるゲル状膜等で図画等を侵食しない無害なものを選定する。これにより布上に描かれた油絵や、版画等多少の図画等の表面の凹凸やゆがみは克服され得る。
【産業上の利用可能性】
【0008】
既述のごとく写真、ポスター、あるいは一般図画等を特別の処理や加工なしで、外光のあるときは発光源なしでもそのままで周囲より格段に明るく視認できる画像を鮮明に得られ、発光源が補完的に働くときは別途多様な効果が得られ、かつ太陽光発電装置のような光による起電力を併用すれば省エネルギー製の高い装置が実現するので、全く新規の画像表示(ディスプレー)分野を創出できる。これにより額縁、写真立て、各種表示板などの雑貨等一般民生商品分野はもとより各種の情報、流通、展示等の産業分野にも応用が展開できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に関わる図画表示装置の一例である額縁の平面の概略図を示す。
【図2】前記図のA−A断面の構造概略図を示す。
【符号の説明】
【0010】
(1)額縁本体
(2)導光板
(3)図画
(4)密着用シート
(5)外光取り入れ部
(6)反射板
(7)電気光源
(8)入射光調整部
(9)蓄電池
(10)外枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
額縁様画像表示装置において、その中央で図画等をその上から固定し外光のあるとき、それを下の図画に直接光として照明し前面から図画像を視認させるために設けられる透明な押さえ板を、同時に導光板として働くようにし、前記装置の表面周辺外縁部に設けた外光取り入れ部からの入射光をこれに導き、さらに下の図画の照明をさせ前者の直接光とあわせて外周より、より明るい状態の図画像を生成させる構造およびシステム。
【請求項2】
上記[請求項1]の構造およびシステムにおいて、入射した外光を導光板に導くため額縁の外部周辺内部または外部に反射板、プリズムやレンズを個々に、もしくはあわせて設け、比較的広い面積で集めた光を比較的狭い導光板の側面入射光部に導くよう配設、構成される構造およびシステム。
【請求項3】
前述までの額縁様画像表示装置において、別途内部に設けられる電気光源からの出射光も同様に導光板に導くために、上記[請求項2]の構造及びシステムにおいて用いられる反射板、プリズムやレンズからなる光路を制御する構造およびシステムを一部または全部共用可能な配置、構成とすること。
【請求項4】
前記までの構造およびシステムにおいて、導光板を通して図画の照明に供される外部からの入射光と別途内部の光源からの出射光を適宜補完的に用いて、所定の照明効果を得るための調整、制御用装置、機能等を備えた構造およびシステム。
【請求項5】
前記までの構造及びシステムにおいて、外部からの市売電力から、あるいは額縁様画像表示装置の表面または入射光路中に設けた太陽光発電装置等で直接の外光あるいは入射光により発生した電力を一時的に蓄える2次電池もしくはキャパシター等充電装置、あるいは単独の電池を備え、適宜これの放電により同照明装置や制御装置を駆動させるようにする構造及びシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate