説明

導光板用紫外線硬化型インクジェットインク及びこれを用いた導光板

【課題】面光源装置に用いられる導光板の反射ドットをインクジェット印刷により形成する場合において、面光源装置から供給される光をより自然な色調のものとすること。
【解決手段】二酸化チタン粒子と、ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーを含む光重合性成分と、光重合開始剤と、を含有し、二酸化チタン粒子の累積50%粒子径D50が200〜1000nmである、導光板用紫外線硬化型インクジェットインク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板用紫外線硬化型インクジェットインク及びこれを用いた導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、バックライトとしての面光源装置を有している。エッジライト型面光源装置は、透光性樹脂シートを有する導光板と、透光性樹脂シートの端面に光を供給する光源とから構成される。透光性樹脂シートの端面から入射した光が、透光性樹脂シートの背面側に設けられた反射ドット等の反射手段によって反射し、導光板の出射面から画像表示用の面状の光が供給される。
【0003】
反射ドット(配向パターン)を形成する方法として、インクジェットインクを用いたインクジェット印刷の適用が提案されている(特許文献1)。インクジェット印刷によれば、所望のパターンを構成する反射ドットを簡易に形成できることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2006−136867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、インクジェット印刷により形成された反射ドットを有する導光板を用いて構成された面光源装置により供給される光の場合、光の黄色味が強く出るなど、自然な色調が損なわれる傾向があることが明らかとなった。これは、出射光が反射ドットの影響を強く受けたためであると考えられる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、面光源装置に用いられる導光板の反射ドットをインクジェット印刷により形成する場合において、面光源装置から供給される光をより自然な色調のものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、二酸化チタン粒子と、ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーを含む光重合性成分と、光重合開始剤と、を含有する導光板用紫外線硬化型インクジェットインクに関する。本発明に係るインクジェットインクにおいて、二酸化チタン粒子の累積50%粒子径D50は200〜1000nmである。
【0008】
上記本発明に係るインクジェットインクを用いて導光板の反射ドットをインクジェット印刷により形成することにより、面光源装置から供給される光をより自然な色調のものとすることができる。
【0009】
50±10℃におけるインクジェットインクの粘度は、好ましくは5.0〜15.0mPa・s、より好ましくは8.0〜12.0mPa・sである。これにより、インクを安定してインクジェットヘッドから吐出することができるため、高い生産性で導光板を製造することができる。同様の観点から、25.0℃における表面張力は好ましくは25.0〜45.0mJ/m、より好ましくは25.0〜37.0mJ/mである。
【0010】
別の側面において、本発明は、上記本発明に係るインクジェットインクを、インクジェット印刷により透光性樹脂シートの表面にパターン印刷する工程と、パターン印刷されたインクジェットインクを紫外線硬化して反射ドットを形成させる工程と、を備える、導光板の製造方法に関する。
【0011】
本発明に係る製造方法によれば、自然な色調の光を供給することが可能な導光板を得ることができる。また、インクジェット印刷とこれに続く紫外線硬化とを組み合わせることにより、インクを無駄なく利用することができ、より高い生産性が得られる。
【0012】
更に別の側面において、本発明は、透光性樹脂シート及び該透光性樹脂シート上に設けられた反射ドットを備える導光板に関する。本発明に係る導光板は、本発明に係る製造方法によって得ることのできる導光板である。
【0013】
更に別の側面において、本発明は、本発明に係る導光板と、導光板の端面に光を供給する光源と、を備える面光源装置に関する。更に、本発明は、この面光源装置と、面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部と、を具備する透過型画像表示装置にも関する。
【0014】
本発明に係る導光板、面光源装置によれば、自然な色調の光を供給することが可能である。また、本発明に係る透過型画像表示装置によれば、大画面化したときの製造コストをインクジェット印刷の採用により抑制しながら、自然な色調の面光源に基づく高品位の画質の画像を表示することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、面光源装置に用いられる導光板の反射ドットをインクジェット印刷により形成する場合において、面光源装置から供給される光をより自然な色調のものとすることができる。更に、本発明によれば、光源からの光の利用効率の向上、及び、面内での色ムラ抑制に関しても優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】面光源装置を備える透過型画像表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】導光板の製造方法の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図3は、輝度測定の方法を示す模式図である。
【図4】小型バックライトユニットの長辺方向の輝度のプロファイルを示すグラフである。
【図5】小型バックライトユニットの長辺方向の色度xのプロファイルを示すグラフである。
【図6】小型バックライトユニットの長辺方向の色度yのプロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、面光源装置を備える透過型画像表示装置の一実施形態を示す断面図である。図1に示す透過型画像表示装置100は、面光源装置20と、透過型画像表示部30とから主として構成される。面光源装置20は、透光性樹脂シート11を有する導光板1と、透光性樹脂シート11の端面S3に沿って設けられた光源3とを備えるエッジライト型面光源装置である。透光性樹脂シート11は出射面S1及びその反対側の背面S2を有しており、導光板1は、背面S2側に設けられた反射ドット12を更に有している。透過型画像表示部30は、導光板1の出射面S1側において導光板1と対向配置されている。透過型画像表示部30は、例えば、液晶セルを有する液晶表示部である。
【0019】
光源3から照射された光は、端面S3から透光性樹脂シート11に入射する。透光性樹脂シート11に入射した光は、反射ドット12において乱反射することにより、主として出射面S1から出射される。出射面S1から出射した光は透過型画像表示部30に供給される。均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように、反射ドット12のパターンが調整される。隣り合う反射ドット12同士は、互いに分離していてもよいし、連結していてもよい。
【0020】
透光性樹脂シート11は、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂シート、ポリスチレンシート又はポリカーボネート系樹脂シートであることが好ましく、これらのなかでも、ポリメチルメタクリレート樹脂シート(PMMA樹脂シート)が好ましい。透光性樹脂シート11は拡散粒子を含んでいてもよい。透光性樹脂シート11の反射ドット12が形成される表面(背面S2)とは反対側の表面(出射面S1)は、本実施形態のように平坦面であってもよいが、凹凸形状を有していてもよい。なお、透光性樹脂シート11の厚みは1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。
【0021】
反射ドット12の最大厚さは、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。反射ドット12及び透光性樹脂シート11を、出射面S1の垂線方向において透過する光の分光透過率測定に基づいて求められるイエローインデックスは、好ましくは10以下である。反射ドットを形成するために用いられたインクジェットインクを、透光性樹脂シートの片面全体に印刷し、印刷されたインクを硬化させて反射ドットと同等の厚さの反射膜を有する測定用サンプルを得、これを用いて上記イエローインデックスを測定することができる。10以下のイエローインデックスは、例えば、PMMA樹脂シートと、後述するインクジェットインクとの組み合わせにより容易に達成することができる。イエローインデックスの測定方法の詳細は後述する実施例において説明される。
【0022】
光源3は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)等の線状光源であってもよいが、LED等の点状光源であることが好ましい。この場合、透光性樹脂シート11の矩形の主面を構成する4辺のうち少なくとも1辺に沿って、複数の点状光源が配列される。後述のインクジェットインクにより形成される反射ドットとLEDとを組み合わせることが、自然な色調の光を得るために特に有利である。
【0023】
図2は、導光板の製造方法の一実施形態を示す斜視図である。図2に示す導光板の製造装置200は、透光性樹脂シート11を搬送する搬送手段40と、インクジェットヘッド5と、UVランプ7と、検査装置9とから構成される。インクジェットヘッド5、UVランプ7及び検査装置9は、透光性樹脂シートの移動方向Aにおいて上流側からこの順に配置される。
【0024】
透光性樹脂シート11は、搬送手段40によって、方向Aに沿って連続的又は間欠的に搬送される。透光性樹脂シート11は、製造される導光板のサイズに合わせて予め裁断されていてもよいし、長尺の透光性樹脂シート11上に反射ドット12を形成させ、その後透光性樹脂シート11を裁断してもよい。本実施形態における搬送手段40はテーブルシャトルであるが、搬送手段はこれに限られるものではなく、例えばベルトコンベア、コロ、又はエア浮上移送であってもよい。
【0025】
透光性樹脂シート11の表面に、支持部41に支持されたインクジェットヘッド5により液滴状のインクジェットインクがドット状にパターン印刷される。このとき、印刷されたインクから形成された複数のドットは、互いに分離していてもよいし、連結していてもよい。インクジェットヘッド5は、透光性樹脂シート11の表面における反射ドットが形成される領域の幅方向(Aに対して垂直な方向)全体にわたって、透光性樹脂シート11の背面S2と対向して配列固定された1列又は2列以上の複数のノズルを有している。これら複数のノズルからインクジェット方式により吐出された液滴状のインクが、透光性樹脂シート11の幅方向全体において同時に一括して印刷される。好ましくは、透光性樹脂シート11を一定の速度で連続的に移動させながら、インクが印刷される。或いは、透光性樹脂シート11を停止した状態でインクを印刷することと、透光性樹脂シート11を次の印刷位置まで移動させてから停止することとを繰り返して、複数列のドットから構成されるパターンでインクを効率的に印刷することもできる。透光性樹脂シート11の移動速度は、インクが適切に印刷されるように調整される。本実施形態の場合、インクジェットヘッド5は、それぞれ複数のノズルを有する複数のユニットから構成される。これら複数のユニットは、透光性樹脂シート11が搬送される方向Aにおいて互いの端部が重なるように配置されている。場合により、透光性樹脂シートの表面における反射ドットが形成される領域の幅方向全体にわたって直列に配置された複数のノズルを有するインクジェットを用いてもよい。
【0026】
本実施形態の場合、インクジェットヘッド5の複数のノズルを固定した状態で、インクを透光性樹脂シート11の幅方向全体にわたって一括して印刷することができる。これにより、可動式のノズルを透光性樹脂シート11の幅方向に沿って移動させながらインクを順次印刷する場合と比較して、導光板の生産性が飛躍的に向上する。特に、透光性樹脂シートの短辺の長さが200mm以上1000mm以下であるような大型の導光板を製造する場合、本実施形態の方法による生産性向上の効果が大きい。さらに、インクジェット法によれば、例えば最大径が100μm以下であるような微少な反射ドットであっても、容易にかつ正確に形成することができる。透光性樹脂シートが薄い場合、出射面S1側から反射ドットが透けて見える可能性があるが、反射ドットを小さくすることによりこれを防ぐことができる。また、複数のノズルから供給されたインクがつなぎ合わされて、大きな反射ドットを形成することも可能である。
【0027】
インクジェットヘッド5のノズルは、導管55を介してインク供給ユニット50と連結されている。インク供給ユニット50は、例えば、インクが収容されたインクタンクと、インクを送り出すためのポンプとを有している。複数の導管55が単一のインクタンクに連結されていてもよいし、複数のインクタンクにそれぞれ連結されていてもよい。
【0028】
反射ドット12を形成するためにインクジェット印刷に用いられるインクジェットインクは、顔料と、光重合性成分と、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型のインクである。
【0029】
顔料は、好ましくは二酸化チタン粒子である。二酸化チタン粒子の累積50%粒子径D50は、200〜1000nm、より好ましくは250〜800nm、更に好ましくは300〜600nmである。累積50%粒子径D50が200〜1000nmの範囲内にある二酸化チタン粒子は、市販品から粒度分布に基づいて適宜選択することにより入手が可能である。顔料のインクにおける含有割合は、通常、インクの全体質量を基準として0.5〜15.0質量%程度である。
【0030】
光重合性成分は、ビニル基等の光重合性官能基を有する光重合性モノマー及び/又は光重合性オリゴマーから構成される。色調の改良を重視する場合、光重合性成分は、ポリエステルアクリレートと、ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーとを含むことが好ましい。
【0031】
ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーは、好ましくは、ヒドロキシル基と、1個又は2個以上のビニル基とを有する。例えば、ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーは、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート及びヒドロキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーのインクにおける含有割合は、好ましくは、インクの全体質量を基準として40質量%以下である。ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーの含有割合が40質量%を超えると、色調改善の効果が小さくなる傾向がある。
【0032】
インクに含まれるポリエステル(メタ)アクリレートは、ジオール化合物とジカルボキシル化合物との反応により生成するポリエステル鎖と、(メタ)アクリル酸等により導入されたアクリレート基又はメタクリレート基とを有する光重合性オリゴマーである。ポリエステル(メタ)アクリレートのインクにおける含有割合は、2.0〜8.0質量%であることが好ましい。ポリエステル(メタ)アクリレートの含有割合がこの範囲内にあることにより、インクの粘度を、インクジェットノズルから安定して吐出できる範囲に容易に調整できる。
【0033】
光重合開始剤は、紫外線硬化型樹脂の分野において通常用いられているものから適宜選択することができる。光重合開始剤のインクにおける含有割合は、通常、0.5〜10.0質量%程度である。
【0034】
インクジェットインクは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、顔料、光重合性成分及び光重合開始剤以外の成分を含有していてもよい。
【0035】
40℃におけるインクジェットインクの粘度は、好ましくは5.0〜15.0mPa・s、より好ましくは8.0〜12.0mPa・sである。インクジェットインクの粘度は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び/又は含有割合により調整することができる。ポリエステル(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び含有割合が大きくなると、インクの粘度が大きくなる傾向がある。
【0036】
25.0℃におけるインクジェットインクの表面張力は、好ましくは25.0〜45.0mJ/m、より好ましくは25.0〜37.0mJ/mである。インクジェットインクの表面張力は、例えば、シリコン系及びフッ素系等の界面活性剤をインクに配合することにより調整することができる。
【0037】
印刷されたインクは、支持部42に支持されたUVランプ7により、領域70において硬化される。これにより、硬化したインクからなる反射ドット12が形成される。
【0038】
その後、形成された反射ドット12の状態を、支持部43に支持された検査装置9によって検査する工程を経て、導光板1が得られる。導光板1は必要により所望のサイズに裁断される。本実施形態のように、インクジェットヘッドの下流側に設けられた検査装置により導光板が連続的に検査される必要は必ずしもなく、別途準備された検査装置によりオフラインで導光板を検査することもできる。あるいは、検査装置による導光板の検査が省略されることもあり得る。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
Al、Si及び有機物により表面処理された顔料としての二酸化チタン粒子(石原産業(株)製、CR−95、ルチル型、TiO率97%)を8.0質量%と、光重合性オリゴマーとしてのポリエステルアクリレート(東亞合成(株)製、アロニックスM−7300K)を5.0質量%と、ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーである2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(東亜合成(株)製、M5700)20.0質量%及びヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトアクリレートHOA)20.0質量%と、その他の光重合性モノマーとしてのイソボルニルアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトアクリレートIBXA)40.0質量%と、光重合開始剤としてのヒドロキシヘキシルフェニルエチルケトン(BASFジャパン(株)製、イルガキュア184)3.0質量%及びフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)製、イルガキュア819)2.0質量%と、4,4’−[1,10−ジオキソ−1,10−デカンジイル]ビス(オキシ)ビス[2,2,6,6,−テトラメチル]−1−ピペリジニルオキシ(BASFジャパン(株)、イルガスタブUV10)を0.1質量%と、顔料分散剤としての有機重合物(日本ループリゾール(株)製、SOLSPERSE 36000)を1.9質量%と含む混合物を、ビーズミル分散機によって処理し、顔料を分散させた。分散後の混合物から濾過により不純物を除去して、紫外線硬化型インクジェットインクを得た。
【0041】
顔料として用いた二酸化チタン粒子の累積50%粒子径D50(体積平均粒子径)を、スペクトリス(株)製のマルバーンZetasizer Nano Sを用いた動的光散乱法(光子相関法)により測定した。1g程度のインクをシクロヘキサノンに100倍に希釈させて、測定用の分散液を調製した。この分散液に対して、超音波洗浄機又はホモジナイザーを用いて超音波を10分間照射した。次いで、分散液をZetasizer Nano Sのサンプル投入口に投入して、顔料の粒子径及び体積を測定した。D50は、全粒子の粒子径及び体積を測定し、小さい粒子径の粒子から順次体積を積算したときに、積算体積が全粒子の合計体積に対して50%となる時点の粒子の粒子径である。顔料のD50は350nmであった。
【0042】
40℃におけるインクの粘度は9.9mPa・sであり、25℃におけるインクの表面張力は37.0mJ/mであった。
【0043】
得られたインクを、50mm角、厚み4mmのPMMA樹脂シートの片方の表面全面にバーコータを用いて塗布し、塗布されたインクを紫外線照射により硬化させて、インクから形成された反射膜を有する分光透過率測定用の小片サンプルを得た。得られたサンプルの反射膜の厚みをデックタック(東朋テクノロジー(株)製、Large Sample Profier FP10)を用いて測定したところ、3.9μmであった。紫外線の照射条件は以下の通りである。
【0044】
紫外線照射条件
ランプ:メタルハライドランプ(集光型)、2本
出力:120W/cm
照射時間:0.5秒
照射距離:焦点距離+10mm
比較例1
顔料を二酸化チタン粒子(石原産業(株)製、タイペークPF−671、ルチル型、TiO率97%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、紫外線硬化型インクジェットインクを得た。用いた顔料のD50は170nmであった。
【0045】
40℃におけるインクの粘度は9.6mPa・sであり、25℃におけるインクの表面張力は28.0mJ/mであった。
【0046】
得られたインクを用いて、実施例1と同様の操作により、インクから形成された反射膜を有する分光透過率測定用の小片サンプルを作製した。反射膜の厚さは0.9μmであった。
【0047】
イエローインデックス(YI)測定
実施例1及び比較例1において準備した分光透過率測定用の小片サンプルを透過する光の分光透過率を、積分球付き分光透過率計(日立製作所製U−4100)を用いて、波長300nmから800nmの範囲で測定した。測定結果から、イエローインデックス(YI)を求めた。
【0048】
導光板作製
920mm×540mmのPMMA樹脂シートからマスキングフィルムを剥離した。露出した面に実施例1又は比較例1のインクを、インクジェット印刷によりパターン印刷した。印刷されたインクを紫外線照射により硬化させて反射ドットを形成させ、ドット状のパターンで形成された反射ドットを有する導光板を得た。反射ドットによる被覆率は50面積%であった。印刷条件及び紫外線照射条件は以下の通りである。
【0049】
印刷条件
ノズル径:30μm
印加電圧:20V
パルス幅:40μs
駆動周波数:2500Hz
解像度:150dpi
加熱温度:40℃
【0050】
紫外線照射条件
ランプ:メタルハライドランプ(集光型)、2本
出力:120W/cm
照射時間:0.5秒
照射距離:焦点距離+10mm
【0051】
輝度測定
図3は、輝度測定の方法を示す模式図である。フレームの短辺の内壁に沿って設けられた、複数のLED3を有するLEDバーモジュールを有する小型バックライトユニット80に、上記「導光板の作製」において準備した導光板1を、反射ドットが形成された面が小型バックライトユニットの底面側に位置する向きで組み込んだ。小型バックライトユニットの底面には、反射フィルムが設けられている。さらに、導光板1上に拡散フィルム81、プリズムフィルム82の順に重ね、それらを固定した。プリズムフィルム82は溝の延在方向がLEDバーモジュールと平行になるような向きに配置した。この状態でLED3を点灯させ、プリズムフィルム82と対向して設置された輝度計85(アイシステム製、Eye Scale3W、マルチポイント輝度計)を用いて、輝度、色度x及び色度yを測定した。
【0052】
図4、図5及び図6は、それぞれ、小型バックライトユニットの長辺方向の輝度、色度x及び色度yのプロファイルを示すグラフである。表1には、これらプロファイルから求められた面内最小輝度、面内平均色度及び面内色度差を示す。面内最小輝度が小さいほど、LED光源からの光がより高い効率で出射面から取り出されたことを意味する。面内色度差は面内における色度の最大値と最小値との差である。この値が高いことは、画面内に色ムラが大きいことを意味する。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示されるように、顔料のD50が200〜1000nmの範囲内にあるインクを用いた実施例1によれば、顔料のD50が200未満である比較例1と比較して、イエローインデックスが顕著に低下するとともに、面内平均色度が明らかに小さくなった。すなわち、本発明によれば、面光源装置から供給される光をより自然な色調のものとすることが可能であることが確認された。
【0055】
さらに、実施例1によれば、面内最小輝度が比較例1よりも小さいことから、より高い効率でLED光源からの光を利用できる。加えて、実施例1によれば、面内色度差も比較例1より小さいことから、本発明によれば色ムラ抑制の効果が得られることも確認された。
【符号の説明】
【0056】
1…導光板、3…光源、5…インクジェットヘッド、7…UVランプ、9…検査装置、11…透光性樹脂シート、12…反射ドット、20…面光源装置、30…透過型画像表示部、40…搬送手段、50…インク供給ユニット、55…導管、100…透過型画像表示装置(液晶表示装置)、200…導光板の製造装置、S1…出射面、S2…背面、S3…端面、A…透光性樹脂シートの移動方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタン粒子と、ヒドロキシル基を有する光重合性モノマーを含む光重合性成分と、光重合開始剤と、を含有し、
前記二酸化チタン粒子の累積50%粒子径D50が200〜1000nmである、
導光板用紫外線硬化型インクジェットインク。
【請求項2】
50±10℃における当該インクジェットインクの粘度が5.0〜15.0mPa・sである、請求項1に記載の導光板用紫外線硬化型インクジェットインク。
【請求項3】
25.0℃における当該インクジェットインクの表面張力が25.0〜45.0mJ/mである、請求項1又は2に記載の導光板用紫外線硬化型インクジェットインク。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットインクを、インクジェット印刷により透光性樹脂シートの表面にパターン印刷する工程と、
パターン印刷された前記インクジェットインクを紫外線硬化して反射ドットを形成させる工程と、
を備える、導光板の製造方法。
【請求項5】
透光性樹脂シート及び該透光性樹脂シート上に設けられた反射ドットを備え、請求項4に記載の製造方法によって得ることのできる導光板。
【請求項6】
前記反射ドットの最大厚さが20μm以下であり、前記反射ドット及び前記透光性樹脂シートを透過する光の分光透過率測定に基づいて求められるイエローインデックスが10以下である、請求項5に記載の導光板。
【請求項7】
前記透光性樹脂シートがポリメチルメタクリレート樹脂シートである、請求項5又は6に記載の導光板。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の導光板と、前記導光板の端面に光を供給する光源と、を備える面光源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の面光源装置と、
前記面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部と、
を具備する透過型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160314(P2012−160314A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18546(P2011−18546)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】