説明

導光部材

【課題】光の入射が解除された状態においても導光部材の装飾的効果を高める。
【解決手段】導光部材20において、透光性を有する材料によって、LED光源による光が入射すべき一方の端部から他方の端部に延在するよう形成される。導光部材20は、その延在する方向に垂直な断面が扇形に形成されている。導光部材20は、断面が扇形の2つの直線部分となる2つの裏面20cが略直角に交差するよう形成されている。2つの裏面20cの各々には、複数の点刻20dが散在するよう設けられている。複数の点刻20dは、2つの導光部材20の交線20eを中心に各々が互いに非対称に位置するよう2つの裏面20cの双方に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材に関し、特に、少なくとも一方の端部から光源による光が入射される導光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDなど指向性の高い光源の開発が進められるにしたがって、このような光源から入射した光を内部で通過させて端部や側面から出射する導光部材の用途もまた拡大している。ここで、一方の端部から入射された光を側面から出射させることにより照明として用いる導光棒が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−281457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、導光部材を装飾用光源として利用する場合、光源を点灯させた状態における装飾的効果を高めることは勿論、光源が消灯するなど光源からの光の入射が解除された状態における外観もデザイン上の重要な要素になり得る。しかしながら、上記特許文献では光源の消灯時における導光棒の外観について何ら考慮されておらず、この点において改善の余地がある。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、光の入射が解除された状態においても導光部材の装飾的効果を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の導光部材は、透光性を有する材料によって、光源による光が入射すべき一方の端部から他方の端部に延在するよう形成され、その延在する方向に垂直な断面が扇形に形成されている。
【0006】
この態様によれば、断面が扇形の曲線部分となる曲面から入射した光を、断面が扇形の2つの直線部分となる2つの面によって反射して再び曲面から出射させることができる。このため、光源からの光の入射を解除した状態においても、曲面から見て導光部材をメッキ調に見せることができ、導光部材の装飾的効果を高めることができる。
【0007】
扇形における2つの直線部分が略直角に交差するよう形成されていてもよい。
【0008】
この態様によれば、2つの直線部分に対応する2つの面によって、導光部材の曲面から入射した光をこの2つの面で反射して、曲面への入射方向と逆方向に略全反射させることが可能となる。このため、曲面から見て導光部材をより明確なメッキ調に見せることができ、導光部材の外観をさらに向上させることができる。
【0009】
断面が扇形の2つの直線部分となる2つの面の少なくとも一方に、複数の凹部が散在するよう設けられていてもよい。
【0010】
この2つの面の少なくとも一方に凹部が設けられると、導光部材の曲面から見たときには逆に凸部が設けられているように見えることになる。ここで、発明者による研究開発の結果、このように断面が扇形の2つの直線部分となる2つの面の少なくとも一方に複数の凹部を散在させることにより、少なくとも一方の端部から導光部材に光を入射させたときに、この複数の凹部の反射像が導光部材中に立体的に浮き上がっているように見えることが明らかとなった。このためこの態様によれば、光を入射させたときにおける導光部材の装飾的効果を高めることができる。
【0011】
複数の凹部は、前記2つの面の交線を中心に各々が互いに非対称に位置するよう前記2つの面の双方に設けられていてもよい。
【0012】
複数の凹部が前記2つの面の交線を中心に各々が互いに対称に位置するよう設けられている場合、対称に位置する凹部同士が互いの像を曲面に向けて反射することを阻害し合うおそれがある。この態様によれば、このように凹部同士が互いの像の反射を阻害し合うことを回避することができ、複数の凹部を曲面側から見た複数の凸部を適切に浮き上がるよう見せることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光の入射が解除された状態においても導光部材の装飾的効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るイルミネーションユニットが搭載された車両用のドアを示す図である。
【図2】イルミネーションユニットの正面図である。
【図3】イルミネーションユニットの図2におけるP−P断面図である。
【図4】導光部材を図3の視点Qから見た図である。
【図5】LED光源が消灯しているときの導光部材を正面から撮影した写真である。
【図6】LED光源が点灯しているときの導光部材を正面から撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るイルミネーションユニット10が搭載された車両用のドア12を示す図である。ドア12は、車両の室内に乗員が乗降するときに開閉されるものであり、図1は、車両の室内から見たドア12の内側を示している。
【0017】
イルミネーションユニット10は、車両の室内において装飾用照明として機能する。イルミネーションユニット10は、ウィンドウ14の下方において、略水平方向に延在するよう設けられる。なお、イルミネーションユニット10の用途が車両用のドアの装飾用照明に限られないことは勿論である。イルミネーションユニット10は、例えばヘッドランプやリヤコンビネーションランプの灯室内に設けられてもよく、或いは車両以外に設けられてもよい。
【0018】
図2は、イルミネーションユニット10の正面図である。イルミネーションユニット10は、導光部材20、LED(Light Emitting Diode)光源22、および取り付けブラケット24を有する。導光部材20は、透光性を有する材料によって細長く延在して形成されている。具体的には、導光部材20は、無色透明な樹脂材料によって形成されている。なお、導光部材20は有色透明な材料によって形成されていてもよく、また、ガラスによって形成されていてもよい。
【0019】
導光部材20は、ドア12のインテリアデザインに合わせてわずかに湾曲するよう形成されている。なお、導光部材20は直線状やリング状に延在するよう設けられていてもよく、他の湾曲形状に形成されていてもよい。
【0020】
LED光源22は2つ設けられ、2つのLED光源22の各々は、導光部材20の双方の端面20aの各々に対向するよう配置される。イルミネーションユニット10は装飾用に利用されるため、LED光源22の各々は青色光などの有色光を発するものが用いられている。なお、LED光源22に白色光を発するものが用いられてもよい。LED光源22は公知であるため、その構成についての説明は省略する。なお、白熱灯や放電灯などLED光源22以外の光源が用いられてもよい。取り付けブラケット24は、導光部材20をドア12に固定すべく、導光部材20の裏面に取り付けられる。
【0021】
LED光源22は1つだけ設けられてもよい。この場合、LED光源22は2つの端面20aのうち一方に対向するよう配置され、導光部材20は、LED光源22による光が入射すべき一方の端部から他方の端部に延在するよう形成される。
【0022】
図3は、イルミネーションユニット10の図2におけるP−P断面図である。図3に示すように導光部材20は、その延在する方向に垂直な断面が扇形に形成されている。したがって導光部材20は、断面が扇形の曲線部分となる曲面である表面20bと、断面が扇形の2つの直線部分となる2つの裏面20cを有する。このように断面が扇形となるよう導光部材20を形成することにより、表面20bから入射した光を2つの裏面20cによって反射して再び表面20bから出射させることができる。このため、導光部材20を消灯した場合においても、正面、すなわち表面20b側から見たときに導光部材20がメッキ調に見えるため、導光部材20の装飾的効果を高めることができる。
【0023】
さらに、本実施形態では、導光部材20の断面の扇形における2つの直線部分が略直角に交差するよう形成されている。すなわち、2つの裏面20cは、交線20eにおいて互いに略直角に交わるよう形成される。これにより、図3の矢印Xに示すように、導光部材20の表面20bから入射した光をこの2つの裏面20cで反射して入射方向と逆方向に略全反射させることが可能となる。このように入射光がその反対方向に全反射されるよう導光部材20を設けることにより、表面20bから見ると導光部材20が明確にメッキ調に見え、導光部材20の装飾的効果をさらに向上させることができる。なお、2つの裏面20cがなす角度が90度に限られないことは勿論である。2つの裏面20cがなす角度は90度より小さい所定角度であってもよく、90度より大きい所定角度であってもよい。
【0024】
2つの裏面20cの各々には、例えばアルミまたは銀の蒸着などの鏡面処理は施されていない。このような鏡面処理を施さなくても導光部材20の断面をこのような扇形に形成することにより、表面20bから入射した光を2つの裏面20cで全反射することが可能だからである。
【0025】
取り付けブラケット24は、導光部材20の2つの裏面20cに接することができるよう、延在方向に垂直な断面がV字状となるよう形成される。取り付けブラケット24は樹脂によって形成される。なお、取り付けブラケット24が金属など樹脂以外の材料によって形成されてもよい。
【0026】
図4は、導光部材20を図3の視点Qから見た図である。2つの裏面20cの各々には、凹部である点刻20dが複数散在するよう設けられている。本実施形態では、複数の点刻20dの各々は、円錐状に凹むよう形成される。なお点刻20dの形状がこれに限られないことは勿論である。
【0027】
この2つの裏面20cに凹部である点刻20dが設けられると、導光部材20の表面20b側から見たときには逆に裏面20cに凸部が設けられているように見えることになる。このように裏面20cに点刻20dを設けることで、この点刻20dでLED光源22からの光が反射され、点刻20dが凸部として発光しているように見せることができる。このため、高い装飾的効果を得ることができる。
【0028】
発明者による研究開発の結果、このように断面が扇形のうち2つの直線部分となる2つの裏面20cの各々に点刻20dを散在させることにより、LED光源22が点灯して導光部材20に光が入射したときに、複数の点刻20dの各々がその光を反射して、複数の凸部があたかも発光して導光部材20中に立体的に浮き上がっているように見えることが確認された。このためこのような複数の点刻20dを設けることによって、端面20aから光を入射させたときにおける導光部材20の装飾的効果を高めることができる。
【0029】
複数の点刻20dは、交線20eを中心に各々が互いに非対称に位置するよう2つの裏面20cの双方に設けられている。複数の点刻20dが2つの裏面20cの交線を中心に各々が互いに対称に位置するよう設けられている場合、対称に位置する点刻20d同士が、互いの反射像の反射を阻害し合うおそれがある。このように複数の点刻20dを交線20eを中心に各々が非対称に位置するよう配置することで、点刻20d同士が互いの像の反射を阻害し合うことを回避することができ、複数の点刻20dの反射像を浮き上がるよう見せることができる。なお、複数の点刻20dは、2つの裏面20cのいずれか一方に散在するよう設けられてもよい。
【0030】
本実施形態では、複数の点刻20dは、交線20eを中心とした反転像を重ね合わせると、矩形の格子の交点の位置に規則的に並ぶよう各々が配置される。なお、複数の点刻20dの並び方がこれに限られないことは勿論であり、点刻20dが不規則に並んでいてもよい。
【0031】
図5は、LED光源22が消灯しているときの導光部材20を正面から撮影した写真である。図5に示すように、LED光源22が消灯しており、さらに裏面20cに鏡面処理などが施されていないにもかかわらず、導光部材20は外部からの光が反射して光っている。したがって、導光部材20にメッキ処理が施されているかのようにユーザに見せることができ、LED光源22が消灯しているときにおいても高い装飾的効果を得ることができる。
【0032】
図6は、LED光源22が点灯しているときの導光部材20を正面から撮影した写真である。図6に示すように、LED光源22の点灯時には、複数の点刻20dによる反射像が、導光部材20の内部において立体的に浮き上がっているように見せることができる。このため、LED光源22の点灯時においても、高い装飾的効果を得ることができる。
【0033】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を本実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0034】
10 イルミネーションユニット、 20 導光部材、 20a 端面、 20b 表面、 20c 裏面、 20d 点刻、 20e 交線、 22 LED光源、 24 取り付けブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する材料によって、光源による光が入射すべき一方の端部から他方の端部に延在するよう形成され、その延在する方向に垂直な断面が扇形に形成されていることを特徴とする導光部材。
【請求項2】
前記扇形における2つの直線部分が略直角に交差するよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
前記断面が前記扇形の2つの直線部分となる2つの面の少なくとも一方に、複数の凹部が散在するよう設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の導光部材。
【請求項4】
前記複数の凹部は、前記2つの面の交線を中心に各々が互いに非対称に位置するよう前記2つの面の双方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の導光部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−109131(P2012−109131A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257479(P2010−257479)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】