説明

導尿容器

【課題】尿の滴下を常時静かに行うことのできる導尿容器を提供すること。
【解決手段】第1半割体10または第2半割体20の、導尿口40の内端直下に位置する部分に、当該導尿口40から滴下してくる尿を受承する受承面と、この受承面に連続して尿を第1半割体10または第2半割体20の壁の内面に流す流下面とを有した受承部を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに面対称となっている半割体を振動溶着によって溶着することにより形成される合成樹脂製の導尿容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「導尿容器」は、手術中あるいは手術後のためトイレに行けない患者、または自ら尿の排泄ができない患者に樹脂製パイプ等の「カテーテル(導管)」を介して取り付けておき、患者から排泄される尿を貯めておくようにするものである。このような導尿容器としては、特許文献1に記載されているような「導尿バッグ」があるが、この種の導尿バッグは、その全体を軟質の合成樹脂材料によって形成することが殆どであり、その取り扱いは、中の尿が漏れ出ないように慎重に行う必要がある。
【0003】
また、この種の導尿バッグあるいは容器は、その中に貯まった尿の状態、特に色や量を視認することによって、患者の状態を確認する際にも使用されるもので、手術後の回復状況の確認をする際にも使用されるものであるため、その全体を透明ないし半透明の合成樹脂材料によって形成することが殆どである。このため、この種の導尿バッグあるいは容器は、内容物全体が透けて見えるということになり、患者に恥ずかしい思いをさせることがあり、尿を捨てたり検査のために持ち運んだりする作業をしなければならない看護師にとって、この作業が苦痛を伴うこともある。
【特許文献1】特開2004−8446号公報、要約
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明は、「導尿バックの損傷破損防止、外部尿漏れ防止を目的としており、特に寝具内の尿漏れの場合は大変厄介な処理作業となり精神的不安が大でこれらの不安を取り除き、また携行も安全便利な保護容器を提供すること」を目的としてなされたもので、「箱型容器の縦上方外側端に容器の吊り下げ、携行用の把手を設け、同把手の直下部表面側に導尿バック収納の出し入れ口を設け、箱型容器の中央に導尿バック固定用の、着脱可能バンドを設けた、バンドは片側一方端を箱型容器上表面中央外面に表面固定部を設けて固定、他の一方端は箱型容器の中央内側底部に底内面固定部を設けて固定される構造とし、底内面固定部の位置は箱型容器の上部に若干の隙間を持たせて導尿バック把手空間部とバンドが交差収納が出来る余裕の空間を与えた構造」としたものである。
【0005】
この特許文献1に記載されている発明によれば、軟質な導尿バッグを、硬質な材料によって形成したと思われる箱型容器内に収納するのであるから、「導尿バックの損傷破損防止、外部尿漏れ防止」を図ることができ、軟質な導尿バッグの取り扱いも容易に行えるようになるものと考えられる。
【0006】
しかしながら、この特許文献1の発明では、あくまでも「軟質導尿バッグ」を使用するものであり、その箱型容器内へ入れる操作やバンドの固定操作が必要なことや、尿が貯まった導尿バッグを箱型容器から注意深く取り出さなければならないといった問題は、未だ解消されないままである。勿論、患者の容態を知るための「尿の視認」については、全く意が用いられてないないものとなっている。
【0007】
そこで、本発明者は、軟質な導尿バッグを箱型容器に入れるのではなく、箱型容器そのものを導尿バッグ、つまり「導尿容器」にして、軟質な導尿バッグの不具合を無くした合成樹脂製の「導尿容器」を、特願2004−80885号等において既に提案してきている。
【0008】
そして、この合成樹脂製の「導尿容器」について、実際の使用に供してみたところ、人によっては、次のような問題を指摘することがあることが判明したのである。つまり、硬質な「箱」となっている導尿容器内では、尿が貯まるにつれて尿の液面ができ、この液面に尿が滴下すると、微弱ではあるが音が発生するのである。この尿の滴下による音は、昼間であれば何等問題となることは少ないが、深夜などの静かなときに発生すると、体力が低下している病弱な患者にとっては大変気になることがあったのである。
【0009】
この尿の滴下による音は、特許文献1の導尿バッグを箱型容器に収納する方式の場合においても発生し得ると考えられる。何故なら、箱型容器内に収納されている導尿バッグでも、尿が貯まるにつれて液面が形成されるし、その上方にカテーテルの排出口が位置することになるからである。
【0010】
そこで、本発明者等は、硬質の導尿容器について、尿の滴下を常時静かに行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明の目的とするところは、尿の滴下を常時静かに行うことのできる導尿容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化して、導尿口40から導入された尿の収納空間30を内部に形成した導尿容器100であって、
第1半割体10または第2半割体20の、導尿口40の内端直下に位置する部分に、当該導尿口40から滴下してくる尿を受承する受承面41aと、この受承面41aに連続して尿を第1半割体10または第2半割体20の壁の内面に流す流下面41bとを有した受承部41を形成したことを特徴とする導尿容器100」
である。
【0013】
すなわち、この請求項1に係る導尿容器100は、図1に示すように、互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化したものであり、その内部に、例えば図4あるいは図6に示すような収納空間30を形成したものである。
【0014】
この導尿容器100は、その中に患者からの尿をカテーテル90等を介して導入するものであるから、この導入する際のカテーテル90等の接続を行うための導尿口40が、図4〜図8に示すように、第2半割体20の上面側に形成してある。なお、この導尿口40の隣には、精密測定部31内に導入された尿の分の空気を排出するための空気孔42が設けてあり、この空気孔42の中には精密測定部31内に異物が入り込まないようにし、かつ尿の臭いが外に出ないようにするためのフィルターが入れてある。
【0015】
なお、この導尿容器100では、その第1半割体10の、精密測定部31及び貯留部32に対向する各部分に、図1及び図2に示したように、導入された尿を外部から視認するための第1窓51及び第2窓52が、それぞれ設けてある。
【0016】
さて、この導尿容器100においては、図2、図4〜図8に示すように、カテーテル90等を通して患者から送られてきた尿を上述した収納空間30内に流し込むための導尿口40が形成してあった。この導尿口40に対しては、図9または図10に示すように、カテーテル90の先端が接続部材91を介して連結されるのであるが、この連結あるいはその取り外しは簡単に行えるようにしてある。
【0017】
また、この導尿口40は、当該導尿容器100内の収納空間30内に連通しているものであるが、本発明においては、この導尿口40の直下に位置する部分に受承部41を形成するようにして、導尿口40から流れ落ちてくる尿が、収納空間30あるいはこの中に形成された尿の液面上に直接落下しないようにしてある。
【0018】
つまり、受承部41は、まず、その受承面41aによって、図9または図10に図示したように、導尿口40から流下してくる尿を直接受けるのである。この受承面41a及びこれが形成してある受承部41は、導尿口40の直下に位置する部分に形成してあるから、尿が滴になっていたとしても、その落下距離は精々2〜3cm程度となっている。このため、滴になっている尿の受承面41a上への落下音は殆ど発生しないし、その殆どが飛び散ることなく、受承面41aに連続している流下面41bから収納空間30内に流下するのである。
【0019】
従って、この請求項1に係る導尿容器100によれば、収納空間30を構成する第1半割体10及び第2半割体20を硬質な材料で形成したとしても、尿が受承部41上に静かに落下又は流下するため、当該導尿容器100では、尿の落下音が殆どしないのである
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の導尿容器100について、
「受承部41を、第1半割体10または第2半割体20の壁の内面であって、導尿口40の内端直下に位置する部分に一体的に形成され、受承面41aと流下面41bとを有した突起としたこと」
である。
【0020】
すなわち、この請求項2に係る導尿容器100では、受承部41そのものを、図9に示すように、第1半割体10または第2半割体20の内壁と一体的なものとしたものである。この受承部41は、受承面41a及び流下面41bを有したものとして、第1半割体10または第2半割体20と同時かつ一体的に形成できるため、簡単に形成できるものとなっているのである。
【0021】
従って、この請求項2に係る導尿容器100によれば、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、尿の落下音を殆ど発生させないようにする受承部41を簡単に形成できるのである。
【0022】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の導尿容器100について、
「受承部41を、導尿口40の内端直下に位置する第1半割体10または第2半割体20の壁の内面を内側に後退させた部分として、この部分に受承面41aと流下面41bとを形成したこと」
である。
【0023】
すなわち、この請求項3に係る導尿容器100では、図10に示すように、導尿口40の内端直下に位置する第1半割体10または第2半割体20の壁の内面を内側に後退させた部分を受承部41としたものであり、これによってできる段部上面を受承面41aとしたものである。勿論、この段部より下側になる第1半割体10または第2半割体20の壁は、流下面41bとなることは言うまでもない。そして、これらの受承面41a及び流下面41bの、尿落下に対する機能は、上記請求項1の場合と同様である。
【0024】
これにより、第1半割体10または第2半割体20の壁の厚さを均等にしたまま、当該受承部41を有する導尿容器100を形成できるのであり、第1半割体10または第2半割体20の射出成形を安定したものとすることができるだけでなく、型の製造を簡単にすることができるのである。
【0025】
従って、この請求項3に係る導尿容器100によれば、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、収納空間30を有するものとしての製造を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上、詳述した通り、本発明に係る導尿容器100は、
「第1半割体10または第2半割体20の、導尿口40の内端直下に位置する部分に、当該導尿口40から滴下してくる尿を受承する受承面41aと、この受承面41aに連続して尿を第1半割体10または第2半割体20の壁の内面に流す流下面41bとを有した受承部41を形成したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、収納空間30を構成する第1半割体10及び第2半割体20を硬質な材料で形成したとしても、尿を受承部41上に静かに落下又は流下させることができるのであり、尿の落下音が殆どしないものとすることができるのである
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態である導尿容器100について説明すると、図1にはこの最良形態の導尿容器100を斜め前方からみた斜視図が、また図4にはこの導尿容器100を斜め後方からみた斜視図が、それぞれ示してある。図2は、この最良形態の導尿容器100の正面図である。
【0028】
この最良形態の導尿容器100は、半割体形状に形成した第1半割体10と第2半割体20とを、その各第1半割体10側の第1振動溶着面13と第2半割体20側の内部隔壁21、及び第1半割体10側の第2振動溶着面14と第2半割体20側の外壁22にて振動溶着により一体化することにより形成したものであり、患者の尿を一時的にいれておくものである。
【0029】
すなわち、この導尿容器100は、手術中あるいは手術後の患者の身体から引き出されたカテーテル90を通して送られてくる尿を一時的に溜めておくものであり、図4〜図8に示した導尿口40からの尿が導入される複数の収納空間30を内部に形成したものである。本最良形態の導尿容器100における収納空間30は、図3に示したように、導入されてきたばかりの新しい尿の量を収納して測定するための精密測定部31と、この精密測定部31内の尿を、図4に示したオーバーフロー口16から導入されることになる貯留部32とに機能別に分けたものである。
【0030】
そのために、この導尿容器100では、図3及び図6に示したように、各半割体10・20の内部に、上述した収納空間30を形成するための内部隔壁11・21が形成してあるとともに、これらの内部隔壁11及び21の開口部側端面を、第1半割体10側の第1振動溶着面13及び第2半割体20側の第1振動溶着面23としてある。
【0031】
また、各半割体10・20には、図3及び図6に示したように、これを構成している内部隔壁11・21を外側から包み込むための外壁12・22が、当該各半割体10・20にそれぞれ形成してあるとともに、これらの外壁12及び22の開口部側端面を、第1半割体10側の第2振動溶着面14及び第2半割体20側の第2振動溶着面24としてある。
【0032】
この導尿容器100は、第1半割体10及び第2半割体20を、各内部隔壁11・21及び外壁12・22にて、振動溶着によって互いに接合することにより一体化することにより形成されるものであることは上述した通りである。なお、本最良形態では、各半割体10・20の少なくともいずれか一方の内部隔壁11または21の第1振動溶着面13または23の高さを、外壁12または22の第2振動溶着面14または24より高くしてある。
【0033】
換言すれば、当該導尿容器100は、これを構成する両側面10・20内に、端面が第1振動溶着面13・23となる内部隔壁11・21、及び端面が第2振動溶着面14・24となる外壁12・22を設けておくとともに、第1振動溶着面13・23が第2振動溶着面14・24に対して少し高くなるように形成しておいて、これらの内部隔壁11・21及び外壁12・22同士を、各第1半割体10と第2半割体20との振動溶着によって一体化することにより、内部に、導尿口40に直接連なる精密測定部31と、この精密測定部31の下方を主たる部分とする貯留部32とを形成したものである。
【0034】
なお、精密測定部31と貯留部32とを振動溶着するにあたって、本最良形態では、各外壁12・22の内側、あるいは各内部隔壁11・21の両側に帯壁部を形成しておくことがなされる。この帯壁部は、第1半割体10及び第2半割体20が相対的に振動しあったときに生ずることがある「スリ屑」を包み込むものである。
【0035】
そして、以上の第1半割体10または第2半割体20の、導尿口40の内端直下に位置する部分には、図9または図10に示したように、導尿口40から落下または流下してきた尿を受け止める導尿口40が形成してある。この導尿口40は、導尿口40から滴下してくる尿を受承する受承面41aと、この受承面41aに連続して尿を第1半割体10または第2半割体20の壁の内面に流す流下面41bとを有したものである。
【0036】
図9に示した最良形態の受承部41は、第1半割体10または第2半割体20の壁の内面であって、導尿口40の内端直下に位置する部分に一体的に形成され、受承面41aと流下面41bとを有した突起としたものである。つまり、図9に示した受承部41は、第1半割体10または第2半割体20の一部を膨出させることにより形成したもので、第1半割体10または第2半割体20の内壁と一体的なものとしたものである。この受承部41は、受承面41a及び流下面41bを有したものとして、第1半割体10または第2半割体20と同時かつ一体的に形成できるため、簡単に形成できるものとなっている。
【0037】
この図9に示した受承部41の受承面41aは、導尿口40から流下してくる尿を直接受けるのであるが、導尿口40の直下からの距離は精々2〜3cm程度となっている。つまり、この受承面41aは、滴になっている尿を落下音を殆ど発生させないで受けることができるものであり、滴となった尿の殆ど飛び散ることなく、当該受承面41aに連続している流下面41bから流下させるものである。
【0038】
また、図10に示した導尿容器100では、その受承部41を、導尿口40の内端直下に位置する第1半割体10または第2半割体20の壁の内面を内側に後退させた部分として、この部分に受承面41aと流下面41bとを形成したものである。つまり、この図10に示した受承部41では、その第1半割体10または第2半割体20の壁の内面を内側に後退させることによってできた段部上面を受承面41aとしたものであり、この段部より下側になる第1半割体10または第2半割体20の壁を流下面41bとしたものである。
【0039】
この図10に示した受承部41は、第1半割体10または第2半割体20の壁の厚さを均等にしたまま、当該受承部41を有する導尿容器100を形成できるのであり、第1半割体10または第2半割体20の射出成形を安定したものとすることができて、型の製造を簡単にすることもできる。
【0040】
さて、この導尿容器100の下方部分には、図1に示したように、内部の尿を排出するための排尿コック70が設けられるのであるが、この排尿コック70は、図3に示した、第1半割体10及び第2半割体20の下方部分に形成したコック穴71内に取付けられるものである。そして、この導尿容器100の中央部分には、図1に示したように、精密測定部31の尿を貯留部32側に流すためのリセットコック80が設けられるのであるが、このリセットコック80は、図3に示したように、第1半割体10及び第2半割体20に形成したコック穴81内に設けられるものである。
【0041】
なお、この導尿容器100は、その全体を手で持って搬送し易くするために、第1半割体10及び第2半割体20の上部にハンドル部を形成したものであり、また、当該導尿容器100を吊り下げるためのフックを、第2半割体20側のハンドル部の上部に一体的に形成したものである。そして、当該導尿容器100は、机の上等にも載置することがあるため、各第1半割体10及び第2半割体20の下部にはスタンド部がそれぞれ一体的に形成してある。
【0042】
また、この導尿容器100では、図5に示したように、その精密測定部31内の尿を直接採ることができるようにするための採尿ポート27が形成してある。この採尿ポート27は、通常は精密測定部31を閉じておくものであるが、採尿器の吸引針を差し込めるようにしているものである。
【0043】
さらに、この導尿容器100では、その第1半割体10の、精密測定部31及び貯留部32に対向する各部分に、図1及び図2に示したように、導入された尿を外部から視認するための第1窓51及び第2窓52が、それぞれ設けてある。
【0044】
第1窓51は、精密測定部31に対向するものであるが、これに形成した小部分と大部分とは所定の間隔をおいて形成したものであり、これらの間は、図2に示したように、順次下窄まりとした連結部分によって連続したものとしてある。なお、大部分の下方部分についても、順次下窄まりとしてある。勿論、これらの各部分には、その位置に対応する尿の量を示す目盛が付してある。
【0045】
一方、第2窓52は、排尿コック70の直上にて、「く」の字状のものとして形成してあり、その表面には、目盛が付してある。
【0046】
さて、第1窓51あるいは第2窓52に対向する、第1半割体10または第2半割体20の内側部分には光反射部分が形成してある。この光反射部分は、種々な形態のものが考えられるが、要するに、第1窓51あるいは第2窓52から入ってきた光を乱反射させるものであればどのようなものであってもよい。
【0047】
この光反射部としては、これを例えば白色の合成樹脂によって、第2半割体20または第1半割体10に対して一体的に成形してもよいし、第2半割体20または第1半割体10の該当部分に貼付される反射材としてもよいものである。また、この光反射部は、これが設けられている第1半割体10または第2半割体20の該当部分を、窓51または52に向けて突出させるように実施してもよいものである。この場合には、当該光反射部と窓51または52の間隔を小さくすることができて、その中にある尿等の液体の層を小さくすることができるから、光の透過を損失がない状態で行え、液体の状態の視認がより確実に行えることになる。
【0048】
ところで、この導尿容器100では、その各半割体10・20の少なくともいずれか一方の内部隔壁11または21の第1振動溶着面13または23の高さを、外壁12または22の第2振動溶着面14または24より高くなるようにしてある。他より高さが高くなっている部分は、例えば内部隔壁11の第1振動溶着面13だけ、あるいは第2振動溶着面14側の第2振動溶着面24だけであってもよく、さらには両者に形成されていてもよいものであり、具体的には、0.1mm〜0.2mm程度の高さである。
【0049】
このように構成した各第1半割体10及び第2半割体20を、その各開口部が互いに対向し合うようにセットして互いに当接させると、まず、内部隔壁11・21の第1振動溶着面13・23が当接し合う。ここで、振動溶着を行うと、内部隔壁11・21の第1振動溶着面13・23が当接状態で互いに擦れ合い、第1振動溶着面13・23が熱を発生して溶融する。
【0050】
そして、これらの第1振動溶着面13・23が順に溶融して溶着し合うとともに、それ自身の高かった部分が段々低くなり、今度は、第2振動溶着面14・24が当接して溶融し始めるのである。つまり、振動溶着の初期において、各第1振動溶着面13・23の溶着が隙間無く行われた後に、各第1振動溶着面13・24の振動溶着が始まるのであり、各第1振動溶着面13・23の振動溶着作業は、外壁12・22の各第1振動溶着面13・24におけるそれ対して先に行われるのである。
【0051】
換言すれば、この導尿容器100においては、内部となっていて表には出ていない少なくとも第1半割体10側の第1振動溶着面13の、第2半割体20側の第1振動溶着面23に対する振動溶着が他に先立ってなされているのであるが、この第1振動溶着面13は、僅かに突出させてあったから、この部分の振動溶着が十分成されているか否かは、図2に示した寸法受承部41分だけの隙間から確認しながら行うことができる。そして、この第1振動溶着面13の溶融が済んだ後に、第1半割体10側の第2振動溶着面14と第2半割体20側の第2振動溶着面24との溶着がなされるのであり、第1半割体10側の第2振動溶着面14と第2半割体20側の第2振動溶着面24との溶着は外から容易に確認できるため、結果として得られた導尿容器100は、内側部分も外側部分も、十分かつ完全に接合し合ったものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る導尿容器として採用される導尿容器の前方側からみた斜視図である。
【図2】同導尿容器の正面図である。
【図3】同導尿容器を構成している第1半割体の開口部側の端面図である。
【図4】同導尿容器の後方側からみた斜視図である。
【図5】同導尿容器の背面図である。
【図6】同導尿容器を構成している第2半割体の開口部側の端面図である。
【図7】同導尿容器の右側面図である。
【図8】同導尿容器の平面図である。
【図9】図8中の1−1線に沿ってみた受承部の一例を示す部分拡大横断面図である。
【図10】図8中の1−1線に沿ってみた受承部の他の例を示す部分拡大横断面図である。
【符号の説明】
【0053】
100 導尿容器
10 第1半割体
11 内部隔壁
12 外壁
13 第1振動溶着面
14 第2振動溶着面
16 オーバーフロー口
20 第2半割体
21 内部隔壁
22 外壁
23 第1振動溶着面
24 第2振動溶着面
30 収納空間
31 精密測定部
32 貯留部
40 導尿口
41 受承部
41a 受承面
41b 流下面
42 空気穴
51 第1窓
52 第2窓
70 排尿コック
80 リセットコック
90 カテーテル
91 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに面対称となった略箱型で合成樹脂製の第1半割体及び第2半割体を、その各開口部側にて振動溶着するとにより一体化して、導尿口から導入された尿の収納空間を内部に形成した導尿容器であって、
前記第1半割体または第2半割体の、前記導尿口の内端直下に位置する部分に、当該導尿口から滴下してくる尿を受承する受承面と、この受承面に連続して尿を前記第1半割体または第2半割体の壁の内面に流す流下面とを有した受承部を形成したことを特徴とする導尿容器。
【請求項2】
前記受承部を、前記第1半割体または第2半割体の壁の内面であって、前記導尿口の内端直下に位置する部分に一体的に形成され、前記受承面と流下面とを有した突起としたことを特徴とする請求項1に記載の導尿容器。
【請求項3】
前記受承部を、前記導尿口の内端直下に位置する前記第1半割体または第2半割体の壁の内面を内側に後退させた部分として、この部分に前記受承面と流下面とを形成したことを特徴とする請求項1に記載の導尿容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−14923(P2006−14923A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195374(P2004−195374)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】