導波管をベースとする無線分配システムおよびその作動方法
簡略化された効率の高い、導波管をベースとする無線分配システムの構造および使用法が提供されている。信号源から1つ以上の受信ロケーションへ無線信号をトランスポートするのに、低損失の導波管を使用する。1つ以上の無線信号の抽出を可変制御するよう、システムの長手方向に沿った所定位置にて、導波管内に1つ以上の調節可能な信号結合デバイスが部分的に挿入されている。導波管結合デバイスと出力コネクタとの間に低損失インピーダンスマッチング回路が設けられ、システムの効率を高く維持する。システムは複数の信号ラジエータを介し、広い無線カバー領域内の多数の受信機へ高強度および高品位の信号を供給する能力を提供する。システムの一部の実施例は、HVACプレナムスペース内の無線分配サービスに容易に適合できる。消火機能と導波管無線分配機能とを組み合わせたシステムも開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願とのクロスレファレンス)
この特許出願は、2005年9月19日に「導波管無線分配システム」を発明の名称として出願された米国仮特許出願第60/718,419号の利益を主張するものである。
【0002】
本願は、無線分配システムに関し、より詳細には、ビル、例えばオフィス、工場、倉庫、学校、家庭および政府施設およびオープン領域、例えばスポーツスタジアム、公園、道路および鉄道において無線信号を分配し、収集するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
様相のうちの1つ以上における明細書に開示する要旨を適用できる特定の問題に関連して本発明の背景となる情報を提供する。この特定の問題として、オフィスまたはその他のビルの内外における無線信号の効率的に分配することが挙げられ、このようなオフィスまたはビルでは、本発明を用いない場合、距離および構造上の障害、または他の物体が無線信号の強度および質を低下させることがあり、オープン領域では無線信号の効率的な分配が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1000MHz以上のレンジ内にある周波数で無線通信信号を使用する携帯通信ユニットおよびその他のユーザーデバイス、例えばノートブックコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ペイジャー、携帯電話、ポータブルオーディオおよびビデオ受信機、およびテレメータ測定器は、現在ではありふれたものとなっている。頻繁に進入するビルおよびその他の屋内および屋外領域において、ユビキタスで、信頼できる無線接続をユーザーに利用できるようにしたいというユーザーによる期待と共に、上記タイプのデバイスに対する無線通信サービスを容易に利用したいという要求はかなり増大している。携帯無線通信デバイスと固定無線通信デバイスの双方の使用は急速に高まっていることにより、現在利用されている、政府によって制限されている無線周波数スペクトル割り当てを完全に利用するために、ビル構造の内外の特定の領域内で、より効率的に、かつ正確に無線信号を分配することが必要となっている。
【0005】
デジタルおよびアナログ無線信号において符号化され、次第に高速となっているデータ、音声およびビデオ情報の使用は、障害物、距離または規制が無線通信レンジを制限し得るビルおよびその他の施設内のアンテナシステムの設計に対する要求を増加させている。このことは特に、政府の電波規制および業界の規格が送信電力を低レベルに制限している場合に当てはまる。同時に、携帯電源、例えばバッテリーに対するドレイン量を低減し、更に同じチャンネルにおける近接システムへの干渉も低減するために、携帯パーソナル無線デバイスからの送信電力を制限するという要求も存在する。
【0006】
受信アンテナに2つ以上の方向から同時に到達する無線信号の構造物および物体によって誘導されたマルチ反射は、受信機に与えられる無線周波数の符号化されたデータの時間歪みおよびフェージングを生じさせ得る。無線搬送される情報を信頼性高く、低コストで、かつ高速で送受信するには、フェージングおよび到達時間の歪みが最小である、高強度の、かつ高い質の信号が必要である。例えば現在のIEEE802.11a/b/g規格に基づく無線アクセスポイント無線は、一般にビル内のある領域をカバーするのに簡単な全方向アンテナまたは適度な指向性を有するアンテナを一般に使用している。標準的なアクセスポイントの無線設備は、ビル構造物内の単一の特定ロケーションにおいて、壁に設置された1つのアンテナまたは恐らくは3つまでのアンテナを使用できる。次に、この無線設備はユーザーの無線デバイスに到達するためにビルの障害物および内在物およびそのまわりに通過させ、できるだけ遠くに信号を放射しようとする。同じ場所に設置された多数の受信アンテナからの信号を、受信機をベースとするソフトウェア処理をすると、信号の質をある程度改善できるが、信号がとった物理的に群となっている反射パスにおいて、既に大きな時間遅延拡散歪みおよび振幅歪みを受けている送信信号は、適度に良好な再生しかできない。
【0007】
無線信号がビル内に一般に存在する壁、パーティション、床、階段吹き抜けおよびその他の構造物および物体を通過することにより生じる振幅の減衰および反射遅延に起因して集中アンテナを使用するときに、高速無線データ、音声およびビデオサービスのユーザーに信頼できる通信サービスを提供することが次第に困難となっている。
【0008】
無線送信機の最大出力パワーを制限する政府の規制の環境内で、信頼できる通信を行う十分で、かつ予測可能な信号強度および質で、施設内の必要なすべての領域をカバーする試みが続けられて(かつ増加して)いる。特に、デジタル無線システムにおける、次第に高くなるデータレートにより、それに付随する、より高いレベルの符号化と共にフルスピードの信頼できる運用をサポートするために、より高い信号対ノイズ比およびより高い信号の質が必要となっている。
【0009】
受信技術は現在のシステム設計における感度の理論的限界近くに達しつつあるので、上記周波数レンジにおける無線機の感度の改良によるこれら無線通信の問題を解決することは、次第に困難な状況となっている。高速デジタル信号プロセッサを使用することは、データの再生率を多少改善できるが、このことは、より多い電源ドレイン量を犠牲に、ポータブルシステムにおけるバッテリーの寿命をより短くし、ソフトウェアをより複雑にし、コストを高めてしまう。送信機の出力パワーおよび受信機の感度が制限されている場合、より高いデータレートおよび現在のシステム設計を使用するシステムは、より狭い作動レンジに制限されるので、所定の領域をカバーするのに、より多数の無線トランシーバを必要とする。このことによって、システムのコストが高くなり、共通するチャンネル周波数を共用しなければならない近接領域で無線機間で干渉する危険性が高くなっている。
【0010】
IEEE802.11a/b/g通信の他に、2.4GHzおよびそれより高い周波数レンジで作動するその他のタイプの無線システム、例えばブルートゥース、ジグビー(ZigBee)およびRFIDシステムは、より効率的な信号分配システムを必要としている。これら技術に対する規格は、部品を小型化し、機能ごとのコストを低減し、電源からの全体のデバイスドレイン量を低減するために、より簡単な符号化フォーマット、より低いデータレート、より小さい電力パワーおよびより低い受信機感度を指定している。これらファクターのいくつかが組合わさり、これらタイプのシステムの通信レンジまたは経済的な設置を制限している。ある状況では、限られたレンジが望ましいが、所定の信号強度および質で所望する領域をカバーするのに、ほとんどの無線システムにはカバー範囲および/または能力が限られているという問題がある。
【0011】
各無線デバイスのための基地ユニットアンテナを接近させ、同じスペクトルを共用する近接無線送信機が、構造物およびその他の物体を通過する最大通信レンジを得ることができるように、大パワーで作動するときに、特に同じ周波数バンドで作動する異なるタイプの無線デバイス間が非コンパーチブルであることも、大きな問題である。
【0012】
構造的な障害物によって生じる減衰および/または遅延歪みを克服するための試みとして使用されて来た1つの方法は、電磁波をリークすることが容易なラジエータを使用する施設の一部内で信号を分散させることである。このタイプのラジエータは通常形状が特殊なタイプの同軸ケーブルとなっており、この同軸ケーブルはケーブルの全長にわたって、制御された放射量をリーク、すなわち放射できる、外側導線内の孔またはスロットを使用している。このタイプのリークの容易な線状のラジエータには、リークの容易な同軸ケーブルの実際の直径で固有の、比較的大きい長手方向の信号減衰量に起因し、より高い周波数で多数の欠点がある。この特性により、即座に、特にマイクロウェーブ周波数において、使用可能な長手方向および直交カバー距離が制限されている。リークの容易な同軸ラジエータの他の欠点として、カップリング量を変える能力が欠如していること、すなわちケーブル内でのリニア損失を補償するために、ケーブルの長手方向に沿ったリークレートを変えることができないこと、およびケーブルに直交する360°のゾーン、および全長に沿った放射および受信特性が望ましくないことを挙げることができる。使用したいユーザーは一般に、例えばケーブルの下方に位置するので、ラジアル方向にフルに放射することはほとんどの使用例で不利である。この場合において、ケーブルから上方向への放射は、上部のビルの構造物内で吸収されることによって無駄となり、リークの容易なラインよりも上方で生じた信号からの進入を受ける可能性も生じさせる。ケーブルが上下に通過している、使用を意図しない領域におけるリークの容易なケーブルからの放射も、信号パワーの望ましくない無駄であり、防止することが困難である。その理由は、信号を選択的に特定ゾーンに送り、他のゾーンには送らないようにする、リークの容易なケーブルシステムを実現することは困難であるからである。
【0013】
リークの容易な同軸ケーブルラジエータを使用するとき、このラジエータは通常、天井より上の空間に設置される。最近のオフィスビルはこれらスペースを暖房、換気および空調(HVAC)システムからの循環空気のためのリターンプレナムとして使用していることが多い。ほとんどの政府が強制している連邦防火基準は、プレナム空気スペース内に火災が発生したときに、HVACシステムを通して人の居住領域に循環する有毒な煙の発生を防止するために、このタイプの環境に設置されるアイテムの組み合わせに対し厳格な制限を課している。この結果、同軸ケーブルおよびプレナムスペース内でサービスを行うように設計された他の任意のタイプの信号部品は、その構造体に特殊な絶縁材料、例えばデュポン社のポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))を使用しなければならず、これにより、このタイプの材料から製造される無線周波数同軸ケーブルは多くの使用例において禁止的に高価なものになっている。これら制限により、現に利用できる技術はHVACプレナムスペース内の使用例に対して設計された実用的で効率的な、隠された無線分配システムも提供できなければ、プレナムスペースのサイト外に設置されるように設計された無線分配システムも存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書に説明する新しい技術および方法は、当技術分野における現在の技術の上記およびそれ以外の欠点を解決する解決案を提供するものである。
【0015】
(概要)
本明細書に開示する技術および原理は、無線分配システムを提供するものであり、より詳細にはビル、例えばオフィス、工場、倉庫、学校、家庭および政府施設およびオープン領域、例えばスポーツスタジアム、公園、道路および鉄道において無線信号を分配し、収集するための高効率の導波管をベースとするシステムに関する。本明細書に開示する要旨の1つの特徴によれば、簡略化された、高効率の、導波管をベースとする無線分配システムが提供される。ここに開示する導波管をベースとする無線分配システムは、信号源からの無線信号を、信号受信機の近くのロケーションにトランスポートする。無線導波管は中空横断面の構造建建築部を備え、この中空横断面構造的建築部は導電性の内側表面を含む。少なくとも1つの無線通信信号カップリングデバイスは、無線導波管に沿った少なくとも1つの所定の開口ロケーションにおいて、無線導波管に一部が挿入されている。インピーダンスマッチング回路がカップリングデバイスの出力を、少なくとも1つの無線信号ラジエータのための少なくとも1つの接続ポイントに接続している。ここに開示するシステムの構造および作動により、異なる多数のコンフィギュレーションおよび実現例が可能である。
【0016】
本明細書に記載する説明から、ここに開示する要旨の上記およびそれ以外の特徴だけでなく、新規な追加的特徴が明らかとなろう。この概要の目的は、請求項に記載の要旨の包括的な説明ではなく、むしろ要旨の機能の一部の短い概略を説明するものである。当業者が添付図面および詳細な説明を検討すれば、本明細書に記載する他のシステム、方法、特徴および利点が明らかとなろう。この明細書の説明に含まれるような、かかる別のシステム、方法、特徴および利点のすべては、特許請求の範囲内にあるものと見なすべきである。
【0017】
添付図面と共に、下記の詳細な説明を読めば、本明細書に開示する要旨の特徴、性質および利点がより明らかとなろう。図中、参照番号はこの説明全体に記載されている種々の要素を識別するものである。
【実施例】
【0018】
(特定の実施例の詳細な説明)
開示する要旨は、添付図面に示された導波管をベースとする無線分配システムの種々の実施例を含み、同様な参照番号はいくつかの図面にわたって同様な部品およびアセンブリを示す。種々の実施例を参照しても、請求項に記載した要旨の範囲を制限するものではない。
【0019】
「無線」および「ラジオ」なる用語は、特定の通信方式および/または周波数(例えばIEEE802.11b、ブルートゥース)などを表示しない限り、任意の形態の無線、すなわち任意の使用可能な周波数における無線信号通信を一般に意味するよう、詳細な説明全体にわたり、同義語として使用する。
【0020】
導波管システム
図1は、所定のバンドパス周波数レンジにおいて、請求項記載の要旨の特徴に従って構成された導波管をベースとする無線分配システム10の一実施例を示す。この導波管をベースとする無線分配システム10は、導波管11を備え、この導波管は開口部24および/または54および/またはスロット28を備えた1つ以上の導波管セクション12と、セクションコネクタ22と、端部アセンブリ14および16と、取り付けられた補助アセンブリ30、52および34から構成されている。
【0021】
本明細書は信号源から導波管を通した、放射無線通信デバイスへの無線信号エネルギーの送信、更に自由スペースを通し、受信デバイスに取り付けられているアンテナへの無線信号エネルギーの送信について説明を集中する。導波管をベースとする無線分配システムは、無線信号の1つ以上のラジオデバイスへの分配、および1つ以上のラジオデバイスからの無線信号の受信を行うように、双方向に作動する。従って、例えば導波管11に取り付けられている信号カプラーに接続されたアンテナ、または導波管11内に形成されたスロットラジエータは、無線信号を送受信するよう、双方向に作動する。
【0022】
導波管11は、セクションコネクタアセンブリ22を使って導波管セクション12をタンデム状に一体となるように、機械的かつ電気的に接続することによって形成されている。1つ以上の導波管セクションは、電気または磁気カプラー52または34をそれぞれ取り付けるようになっている、あらかじめ形成されたカプラー開口部24および54を含むことができ、および/またはラジエータスロット28を含むことができる。図5A〜5E、6および7を参照し、導波管11の内外に信号を結合するための実施例について説明する。図8A〜8Cを参照し、導波管セクション12を接合するためのセクションコネクタの一例について説明する。
【0023】
図1に示された導波管をベースとする無線分配システム10および導波管11は、導波管端部アセンブリ14(最初の端部と記載)において、信号エネルギーを注入/抽出するようになっており、この場合、導波管11の反対の端部アセンブリ16は、導波管のインピーダンスに等しいインピーダンスで終端されている。開示される要旨の特徴によれば、導波管11は、導波管11からの無線信号を効率的に結合するためのカプラーデバイスおよびインピーダンス変換回路を使用する導波管に沿った所定の負荷(アンテナ)取り付けポイントを有するように構成されている。別の構成として、(a)インピーダンス終端がマッチングされた導波管端部アセンブリ14および16の双方を設け、更に信号注入/抽出するための1つ以上の中間導波管セクションを設ける構成、および(b)異なる周波数および適当なフィルタ/合波器を使用して、信号注入/抽出するための導波管端部アセンブリ14および16を設け、各端部も反対の端部から注入された信号周波数でインピーダンス終端をマッチングさせるようになっている構成を挙げることができる。
【0024】
導波管の最初の端部には導波管端部アセンブリ14が設置されており、このアセンブリは同軸コネクタ20を備える。例えば信号インターフェースアセンブリ30により、導波管11に無線信号が与えられ、またはこの導波管11から無線信号が抽出されるようになっている。信号インターフェースアセンブリ30は、その同軸コネクタ42から対応する導波管端部アセンブリ14の同軸コネクタ20に接続されており、信号インターフェースアセンブリ30は導波管を励起するための適当な4分の1波長、またはその他の適当なプローブを含む。例えば信号インターフェースアセンブリ30は、送信機、受信機、トランシーバ、1つまたは複数のフィルタ、合波器、デュプレクサ、1つまたは複数の増幅器またはこれらの任意の組み合わせ、もしくは導波管11の内外に無線信号を接続するようになっている他の任意の受動的または能動的無線周波数デバイスとすることができる。信号インターフェースアセンブリ30は、端部アセンブリ14の同軸コネクタ20に直接接続してもよいし、または他の手段、例えば適当な同軸ケーブルまたは他の任意のタイプの適当な信号ケーブルによって接続してもよい。無線分配用の情報は、入力ポート32を介して信号インターフェースアセンブリ30へ結合され、入力ポート32は1つまたは2つ以上の信号パスを有することができる。
【0025】
導波管端部アセンブリ14に与えられる無線信号は、導波管11を通して伝搬し、電気または磁気カプラー52または34にそれぞれ接続された電気または磁気プローブに結合されている。カプラー52または34は、導波管11の長手方向に沿った所定のポイント24に取り付けられ、挿入されている。いずれのタイプのカプラーの出力も、次にインピーダンスマッチング回路を通して、直接または中間送信ラインを通して、出力コネクタ上のアンテナに結合されている。導波管11内の信号も、ラジエータスロット28を通して直接フリースペースへ送信することもできる。好ましい実施例に関する、図5Aおよび5Bを参照して更に説明するように、導波管セクション12の少なくとも一部は、あらかじめ形成されたカプラー開口部24および54、もしくはラジエータスロット28を備える。導波管に沿った開口部ロケーションで、カプラーまたはスロットを使用しない場合、導波管11の信号の完全性を維持するために(例えば導電性接着テープにより)これらあらかじめ形成された開口部が最初にカバーされる。カプラー開口部および/またはスロットラジエータにおける選択されたアンテナ取り付けポイントは、導波管11に沿ったロケーションにおいて、信号の抽出/放射をおこなえるように、システムの構成中または設置中に導波管セクション12の選択されたロケーションではカバーされない。アンテナ36および/またはラジエータスロット28によって放射される信号26は、ラジオ受信機40によって受信され、デコードされる。
【0026】
図5A〜5Eおよび図6並びに7を更に参照して説明するように、導波管に沿った選択されたロケーションには信号カプラー34および52が設けられており、これらカプラーは主に調節可能な信号プローブを使用することにより、導波管11から所定量のエネルギーを結合する方法を実行するために主に使用される。カプラーのプローブのインピーダンスとアンテナのインピーダンス(一般に50Ω)との間のマッチングも行われる。
【0027】
導波管11の内外へ電磁信号26を結合するすべての方法は、アンテナ36またはラジエータスロット28のいずれかの受信ゾーンに位置する取り付けられたクライアントアンテナ38を通して無線機40へ送信される信号の振幅を調節できる。
【0028】
関連するアンテナ/信号カバープランを含む請求項に記載の要旨に係わる導波管をベースとする無線分配システムの特定の実現例は、詳細な説明および公知の導波管の設計原理の教示内容に基づく設計上の選択事項である。基本的な設計上の検討事項として、(a)導波管の構成(例えば横断面およびその内部の導電性)、(b)アンテナの選択/設計、(c)アンテナの設置および(d)信号結合係数(例えば導波管から抽出される信号エネルギー)を挙げることができる。これら設計上の検討事項は当業者であれば理解できるような相互に関連する設計上の妥協点を示す。
【0029】
図5Aおよび5Bを参照して更に説明するように、導波管11のための好ましい横断面の構造は、極めて高導電性であり、スムーズな内側表面を含む楕円横断面を有する中空形状となっている。この横断面の構造は設計上の選択事項である。当該周波数での導波管の伝搬をサポートする一貫した横断面および寸法の任意の長手方向の形状のように導波管に対しては一般に、例えば四角形または円形の横断面の形状が一般に使用されており、これら形状を使用することができる。導波管セクション12に対する設計上の検討事項として、周波数のバンドパス、伝搬効率、物理的ロバストネス、設置上の制限/条件および可能な建築学的/美的検討事項を挙げることができる。
【0030】
図2Aおよび2Bは、3つのオフィスおよび無線シールドされた領域112に関連するアンテナ/信号カバープランをそれぞれ示し、ここでは構造的要素74が屋根または地面より上の床であり、構造的要素96が地面の床となっている。(選択された横断面の)導波管11は、吊り下げ天井78および屋根/床構造要素74によって境界が定められたスペース76を通過しており、オーバーヘッドロケーション72における領域に進入し、オーバーヘッドロケーション84における領域を出ている状態に示されている。この導波管システムは、一方の方向または両方向にオーバーヘッドロケーション72または84を越えて伸びることができ、最終的に図1に示されるような導波管端部で終端している。
【0031】
吊り下げ天井78より上の空気76の容積部は、プレナムスペースとなっており、このスペースは暖房、換気および空調(HVAC)システムにおける戻り空気のために一般に使用されている。このスペースは、所定のガスの毒性に起因し、このタイプの領域に入れることができる材料のタイプの制限を受けることが多く、このガスはプレナムスペース内の火災または配線の過熱の発生時に、ビルの居住者に有害となり得るくすぶりまたは引火物質から生じる。本明細書の導波管システムの実施例はHVACプレナムスペースに関係するような防火および安全性基準の条件を満たすようになっている。導波管アセンブリ11は、同軸コネクタ20および信号カプラー52および34で使用される絶縁体を除けば、すべて金属で構成でき、これらはいずれも極めて少ない容積のプレナム定格の絶縁材料を使って製造できる。
【0032】
導波管11は現在存在する壁または他の構造要素、例えば防火壁80を通過するように設置できる。これとは異なり、壁の一方の側面で(例えば図1に示された終端端部アセンブリ16のように)導波管11を終端でき、次に適当な同軸ケーブルに接続でき、必要であれば、この同軸ケーブルをプレナム定格とすることができ、同軸ケーブルを壁に通過させ、次に壁の反対側で別の同軸セクションの最初の端部アセンブリ14に接続してもよい。
【0033】
所定の導波管設備に対し、アンテナ/信号カバープランは、アンテナの利得およびパターン、アンテナの設置場所および信号結合係数に基づくルーチング作業の設計上の妥協によって決定される。これらファクターのいずれも、組み合わされて、指定されたユーザー領域における信号レベルを所望するレベルにできる。図2Aおよび2Bに示されたアンテナ/信号カバープランは、3つのオフィスに対し(オーバーラップ信号ゾーン108を含む)信号ゾーン104および110、および無線シールド領域112における別個の信号ゾーンカバー範囲を有する信号分布プロフィル(図2Bに示されたフロア照射)を提供している。
【0034】
従って、2つのアンテナ/カプラー36Aおよび36Bにより3つのオフィスがカバーされており、アンテナ37は2つの部屋を主にカバーするように配置されており、この結果、オーバーラップする信号ゾーン108によって3つの部屋がフルにカバーされている。アンテナ/カプラー36Aおよび36Bは、図1に示されるような信号カプラー34および52を使用しており、これらカプラーについては図5A〜5Dおよび図6および7を参照して、より詳細に説明する。これらカプラーは、各領域に対して必要な信号結合係数に基づき、導波管11からの信号エネルギーを結合する。
【0035】
アンテナ/カプラー36Aおよび36Bは、各信号結合係数およびアンテナデザインによって設定される、あらかじめ選択した信号レベルで信号を放射し、吊り下げ天井78を通してそれぞれの信号ゾーン104および110を照射するが、この天井はかなりの量のマイクロウェーブエネルギーを吸収することもなければ、反射することもない。
【0036】
金属被覆壁92および金属カバー天井86によって構成された無線シールド領域112は、シールドされた無線周波数障害物となり、このような障害物は、例えば壁構造体内に金属サイディングおよび金属パネルを使用する食料保管領域内のウォークイン冷却器、医療設備における放射線ルームおよびビルの一部を含む構造物内に存在することが多い。このタイプの無線シールドされた領域112をカバーするための一実施例は、同軸ケーブル90を使用しており、このケーブルはカプラー83に接続されると共に、金属天井86内の開口部82を通過し、次に無線シールドされた領域に照射を行うアンテナ94に接続されている。
【0037】
アンテナ/カプラー36Aおよび36Bは、任意の放射結合デバイスとすることができ、これらデバイスは指定された領域を照射するのに必要な信号強度および三次元の信号ゾーンカバーパターンのための設計検討事項を満たし、これら検討事項はビルの法規、規制、環境条件および各オフィス、学校、政府施設、工場、倉庫、居住構造物またはこれらデバイスが設置されるその他の構造物の所有者が課す美的条件を満たさなければならない。
【0038】
アンテナ36Aおよび36Bとして示されたアンテナ/カプラー構造の別の構造として、アンテナとして作動する放射スロット(例えば図1に示される放射スロット28)を、例えば使用する領域をカバーするのにスロット放射器からの、あまり合焦されていない放射パターンで十分となっている使用例で使用できる。導波管から出力結合される信号量は、例えば図3Bにおいて132および134で示される、あらかじめ設置されたスロットの有効寸法を調節することによって変えることができる。
【0039】
ビルの内側壁98は、アンテナ/カプラー36Aおよび36Bからの放射を比較的透過するように見え、これら壁は、壁に対して基本的には直角に入射する信号の進入を可能にする。このような効果は、一般的な壁ではビル構造体は木または金属スタッドによって構成されており、これら壁はドライ壁(シートロック)材料によってカバーされており、これら材料は図示するように、一次元において直角に接近した場合、低いマイクロウェーブエネルギーの通過を可能にし、その結果生じる信号の減衰または反射を適度なものにするからである。構造体内の2つ以上の部屋には、この技術を本開示において適用する際に、この方法を使用することによってマイクロウェーブ信号を照射できる。
【0040】
構造物においてオーバーヘッドラジエータを使用することによって信号ゾーンを照射する、図示した方法は、現在の単一ポイント無線設備が受ける多くの付随的問題を解消できる。このような単一ポイント無線設備は、一般的な設備の内部にある金属スタッド、家具、機械、静止している人および動いている人の双方、および機器による吸収およびこれらからのマルチパス反射に起因する広範な信号劣化を受けた無線信号を回復するための試みとして、1つまたは数個の同じ位置に設置された受信アンテナに依存している。本願の導波管をベースとする無線分配システムにより、指定された各信号ゾーンにおいて、選択可能な、プリセットされた信号強度を適用することが可能となり、この無線分配システムはマルチ反射によるエンベロープ遅延歪みが少ないことに起因し、信号の質の劣化が少ないという別の利点を提供できる。このシステムは、サービス対象の領域内のクライアント無線デバイスに対し、信号強度、一貫性、質およびデータレート保証が改善された信号により、カバー範囲の面積の大幅な拡張を可能にすることもできる。使用する領域外の他の受信機に対する干渉を生じさせ得る過剰な信号も大幅に低減され、この過剰な信号によって、例えばブルートゥース(登録商標)またはZigBeeによるIEEE802.11b/gのような、かかる近接サービスが同時に存在できるようにもする。
【0041】
図3Aおよび3Bは、本開示の特徴に従った構造的建築部となるように、導波管11を一体化するための別々の実施例をそれぞれ示す。図3Aはビル内での建築表面の代表的な合流を示す水平表面120と垂直表面122とを示す。導波管11は、これら表面の交差部に位置する、例えば美的なカバートリム124内に収納されている。本例ではダイポールアンテナとして示されているアンテナ124は、アンテナカプラー52または34を介して導波管11に結合でき、更に無線機40のクライアントアンテナ38に対して信号26を放射するのに使用できる。導波管ラジエータはラジエータスロット28から同じように構成でき、この場合、導波管11をカバーする材料はマイクロウェーブエネルギーを透過できるか、またはそれに近いものでなければならない。
【0042】
図3Bは締結器134および136により垂直支持ポスト142に取り付けられた、ハンドレールとして構成された導波管セクション12を示す。ラジエータスロット28は多数の可能な位置のうちの2つに示されている。ラジエータスロット28は必ず導波管の壁(ハンドレール)内に進入するので、これらスロットはオーバーレイ材料、例えばプラスチックによって被覆でき、この材料は導波管を湿気および有害な物体の侵入から保護するよう、導波管をシールする。このカバー材料は導波管から出る信号に対して減衰率が低いものでなければならない。スロットのサイズは寸法が固定されていてもよいし、またはこの位置において導波管から放射される信号レベルの値および方向の変動に適応するように現場で調節自在でもよい。二重目的の締結器134は、支持ポスト142に導波管11を機械的に締結する別の手段であり、可変ラジエータスロット132を内蔵し、このスロットはスロット132の1つ以上の寸法を変えることにより、導波管セクション12からの放射量を調節するのに使用される。
【0043】
図3Cは、ラジエータスロット128により壁140に取り付けられたハンドレールとして使用される導波管11を示す、図3Bの変形図である。ラジエータスロット28、128および132はいずれも、放射信号26を介し、クライアントのアンテナ38に対する放射信号26により、無線機40と通信する。特定の使用例に対して図3Bと図3Cとの間で各設計の要素を交換してもよい。
【0044】
図3Dおよび3Eは、オフィスおよび工業的サイトにおけるオーバーヘッドスペースで一般に見られるキャリアトレイと共に設置するようになっているか、キャリアトレイ内に一体化するようになっている導波管をベースとする無線分配システムの実施例を示す。トレイ121は一般にケーブル、パイプまたは抱くと123を指示する。図3Dを参照すると、トレイ121には導波管125、127および129が取り付けられている。ケーブル/パイプ/ダクトキャリアトレイ121と、1つ以上の導波管要素とを組み合わせると、この複合体により、より簡単な多機能装置が得られ、この多機能装置内に、本明細書に開示する要旨の特徴に従った導波管をベースとする無線分配システムの一部として使用される導波管に沿ってケーブル、パイプまたはダクトを設置できる。
【0045】
導波管125、127および129からのエネルギーを抽出/結合するために、導波管に沿った、あらかじめ選択されたロケーションにて導波管125、127および129に対して信号カプラー52または34を介してアンテナ36が結合されており、導波管125、127および129は、導波管での伝搬をサポートするような任意の横断面形状とすることができる。各アンテナに対し、例として示された電気信号カプラー52は、アンテナコネクタ44に接続され、上記導波管からの所定量の信号エネルギーをアンテナ36に結合し、選択されたアンテナ/信号カバープランに従って信号エネルギーを放射する。同じ機能を達成するのに、導波管125、127および129内のスロットラジエータも使用できる。
【0046】
図3Eは、キャリアトレイ124を示し、このキャリアトレイは、トレイ構造体と一体化された(その一部として製造された)1つ以上の導波管要素131および133を備え、これら導波管要素131および133は、導波管での伝搬をサポートする任意の横断面形状とすることができる。図3Dに示されるように、アンテナ36による放射のために、導波管要素131および/または133からのエネルギーを効率的に抽出するよう、信号カプラー52または34を使用できる。これとは異なり、電気カプラー52/アンテナ36、または磁気信号カプラー34/アンテナ36の代わりにスロットラジエータを使用してもよい。
【0047】
図4A、4Bおよび4Cは、例えばIEEE802.11aおよびXM Radioのような異なる周波数バンドで作動する2つ以上の異なる通信方式のために、別個の導波管分配システムを組み合わせるための別の実施例を示す。図4Aおよび4Bは、基本作動モードで使用されるときに異なるバンドパス周波数で作動する大きい導波管150および、比較的小さい導波管152の横断面を示す。この方式を使用し、RF合波器/デュプレクサ技術を使用する各導波管において、使用可能な周波数グループを組み合わせることにより、多数のグループの周波数に適合できる。導波管150と152は、1回のプロセス、例えば金属またはプラスチックの押し出し技術で共に接続してもよいし、または別々に製造し、次に機械的に一体となるように取り付けてもよい。導波管150および152の内側表面は、スムーズで、高導電性表面、例えば銅、銀、アルミまたは金から構成されている。
【0048】
図4Cは、共通密閉体155内に2つの導波管150および152を収納する方法の一例を示す。外部アンテナに接続するための導波管接続ポート160は、導波管150および152に取り付けられた信号カプラー(図示せず)から形成されている。これとは異なり、スロットが壁を通して放射できるように密閉体155を配向してもよく、この場合、壁はマイクロウェーブエネルギーの通過を大幅に阻止しない材料、例えば適当なプラスチックまたはセラミック材料から製造できる。別の方法として、ラジエータスロット156を、例えば導波管150内に形成された内側放射スロット(図示せず)に隣接する金属バージョンの密閉体155に設けた開口部とすることができ、このスロットは内側スロットラジエータの放射フィールドパターンの特徴を大幅に歪まさないように十分大きく製造される。
【0049】
導波管および信号の抽出
図5A〜5Bは、図1に示されるように、信号カプラー34および52を使用して導波管セクション12から信号エネルギーを出力結合するための実施例を示す。導波管セクション12は導波管11を形成するように一体に接合することが好ましい。図6および7は、2つのタイプのカプラー、すなわち電気カプラーと磁気カプラーのための好ましい実施例をそれぞれ示す。
【0050】
図5Bを参照する。好ましい実施例に対し、導波管セクション12は無線周波数エネルギーを効率的に閉じ込めて、このエネルギーを伝搬させるような任意の材料から製造された、横断面が楕円形の中空体である。例えばこの楕円導波管セクション12は、プリカーサ形状を押し出し、引き抜きまたは変形する、他の任意の手段により金属またはプラスチックから製造され、最終横断面における寸法および比を適当な値とし、マイクロウェーブエネルギーを効率的に伝搬させることができる。この結果得られる導波管の内側表面はスムーズで、高導電性の表面となっていなければならず、例えば銅、アルミ、銀または金の金属表面となっていなければならない。導波管セクション12の端部は、導波管セクション12の端部の外側に嵌合するように製造された、他の導波管セクション12または図5Cおよび5Dに示される導波管端部シュラウドアセンブリ18のいずれかにより、相補的なエッジ間の嵌合を可能にするように形成されている。
【0051】
導波管セクション12を製造する別の方法は、図9Aおよび9Bに示されるようなコーティング314および320で示されるような高導電性材料、例えば銅、アルミ、銀または金により、選択されたプラスチックまたは金属の長手方向形状の内側表面をライニングまたはコーティングすることを含む。この方法を使用する場合、内側の導電性表面を導波管セクション12の端部の面に連続させることにより、信号カプラー34および52、並びに端部アセンブリ14または16をコーティング314および320に直接接続することによって適合化を行うことができる。
【0052】
本開示の原理を実施するための導波管の使用は、中空導波管の他の横断面の形状の構造、例えば四角形または円形の使用、または中空でない導波管、例えばトラフ、同軸またはストリップラインタイプの伝送ラインの使用を含む、特定の使用例の設計上の妥協に基づく設計上の選択事項である。
【0053】
中空導波管の形状のすべては2つ以上の送信モードで作動できる。本実施例は、これらモードのうちの1つ以上のモードで同時に作動できる。例えば導波管の横断面が楕円形である場合、eH11およびoH11モードで効率的に伝搬するような周波数レンジによって、これら双方のモードを使用できる。楕円導波管の寸法は2つのモードの各々に適用される周波数の別々のグループを分離するように選択することが好ましい。例えばoH11モードのカットオフ周波数は、別の同時eH11モードで使用される最高周波数よりも高くなるように選択できる。選択される導波管の横断面が楕円形であり、1つの周波数グループしか伝搬すべきでない場合、eH11モードの作動が好ましい。
【0054】
導波管セクションに対し、図5Aおよび5Bを参照すると、信号抽出は導波管に取り付けられた信号カプラー34および52を使用して行うことが好ましく、および/または導波管内に形成された1つ以上のラジエータスロット28により信号を抽出してもよい。これら信号カプラーおよび/またはスロットは、例えば図2Aおよび2Bに示されるように、所望する無線信号分布プロフィルを得るように、導波管12上にあらかじめ位置決めするか、または製造後に選択可能なポイントに位置させる。図6および7を参照し、信号カプラー34および52の好ましい実施例について説明する。
【0055】
図5Bに示されるように、楕円導波管セクション12の広い面に位置する、好ましくはあらかじめ形成されたカプラー開口部24内に、電気信号カプラー52を挿入するか、または好ましいeH11導波管モードで各々が作動できるように、導波管セクション12の狭い面に好ましくはあらかじめ構成されたカプラー開口部54に、磁気信号カプラー34を挿入する。開口部の好ましい位置は通常、導波管の面の中心ラインに沿って位置するが、中間位置からずれていてもよく、一部の使用例ではこのようにずらすことが好ましい場合がある。電気信号カプラー52および磁気信号カプラー34は、製造時にそれらの結合係数となるようにあらかじめ設定してもよいし、または特定の使用例の条件を満たすように現場で調節してもよい。
【0056】
図5Aに示されたプローブの設置は楕円導波管モードeH11の設置を仮定している。表示される位置で使用されるときのいずれかのプローブは、eH11モードで励起する。別のモード、例えばoH11モードを使用する場合、図5Aに示される2つのタイプのプローブの位置を反転しなければならない。特定の導波管がサポートする他のモード、例えばオーバーモード動作を選択することができる。この場合、導波管の自然の(より低い)カットオフ周波数よりもかなり高い周波数を使用する。オーバーモード動作をするには、モード抑制デバイス、例えば翼を導波管の内部に設置しなければならない場合がある。
【0057】
図6Aを参照して更に説明するように、導波管セクション12内への電気プローブ210の挿入深さを制御することにより、電気信号カプラー52の結合係数を変えることができる。図7を参照して更に説明するように、サンプリングループ268の面積を変え、および/またはその軸線を中心として回転(268)することにより、導波管セクション12内の信号の直交磁界ラインに対するプローブループ268の面積を最大にすることにより、磁気信号カプラー34の結合係数を調節できる。
【0058】
図5Bは、2つのラジエータスロット28、電気信号カプラー52のためのカプラー開口部24および磁気信号カプラー34のためのカプラー開口部54を有する導波管セクション12を示す。現場で使用する前に、導波管セクション12に対するすべての開口部を導電性材料170により被覆することができる。導電性材料170を固定する機械的手段を使用してもよいし、または導波管セクション12の連続する壁の一部として導電性材料170が電気的に見えるようにできる適当な接着材料により、導電性材料170を固定してもよく、この場合、材料170は、この導電性材料170が所定位置にあるときに導波管内部での信号の伝搬を大幅に乱すことはない。
【0059】
図5Cおよび5Dは、導波管11の端部において同軸ケーブルから導波管への移行を行う端部アセンブリ14または16を示す。電気的かつ機械的なアース接続174により、端部シュラウド18に同軸コネクタ20が締結されている。この端部アセンブリの内部において、同軸コネクタ20の中心導線はプローブ21に取り付けられており、このプローブ21は端部アセンブリの反射端部174から作動周波数において約4分の1波長だけ離間している。プローブ21は、直径が約0.02波長であり、所望する作動周波数において、約4分の1波長の長さとなっていることが好ましいが、一部の使用例では、直径をこれより大きくするか小さくするかしてもよく、導波管に対してプローブのインピーダンスマッチングを最良にするよう選択される。端部アセンブリ内部のプローブ21の長さを調節しながら、これと同時に反射端部178からのプローブ21の距離を調節することにより、導波管11からプローブ21への最大効率のエネルギー伝達が得られる。
【0060】
導波管セクション12に端部シュラウド18をスライド嵌合できるように、かつ良好な機械的、電気的接触が得られるよう、端部アセンブリ14または16の横断面形状の周辺部は導波管セクション12の横断面形状よりも若干大きく構成できる。端部シュラウド18は高導電性金属から製造することが好ましく、製造コストを最低にするためにできるだけ薄い肉厚とし、かつ使用する形状を支持するのに適当な強度とすることが好ましい。レリーフスロット175を、導波管セクション12の端部に設置し、導波管セクション12に端部シュラウド18を良好に電気的かつ機械的に接触できるように圧縮すると、アセンブリのリップの周辺を若干縮小する手段となる。端部シュラウド18は導波管および端部シュラウド18のまわりに機械ストラップを使用するか、または他の適当な任意の固定デバイスを使用することにより、所定場所に係止し、導波管セクション12に良好に電気的に接触させることができる。端部シュラウド18のための別の許容できる横断面形状は、導波管セクション12の端部形状および寸法に一致する形状である。この場合、端部シュラウド18は機械的コネクタおよびクランプ方法、例えば図8Cに示されているものと同様なコネクタおよびクランプ方法を使って、導波管セクション12に取り付けられることになる。
【0061】
端部シュラウド18の内側表面179は、導波管アセンブリ14または16内部での電力散逸を最小にするよう、最低作動周波数における有効無線周波数導電性のスキン深度の約5倍よりも厚い、好ましい厚さを有するような、高導電性材料、例えば銅、アルミ、銀または金となっている。
【0062】
図5Eは、導波管セクション12が2つの別個のグループの周波数F1およびF2を同時に挿入抽出するよう構成された別の実施例を示す。楕円導波管内の2つの軸線の面の中心内に実質的に同一の電気信号カプラー52が直角に挿入されている。同じグループの周波数を使用することができるが、一方の軸から他の軸への結合の起こり得るモード(モードホッピング)の競合を最小にするために、2つのグループの周波数は別個の周波数バンドとなっていることが好ましい。技術文献に説明されているように、選択される導波管タイプの寸法を正しく選択することによってこのような周波数バンドの分離を高めることができる。オプションとして、図5Eのように、双方の軸に対して磁気信号カプラー34を電気信号カプラー52に置換してもよい。2つの同時モードを使用する場合、図5Dに示されるように、端部アセンブリ14および16に別の直交するプローブも取り付けなければならない。これによって第2モードの伝搬および終端が可能となる。この第2プローブ173は、プローブ21と同一の特性を有し、面の中心に沿って設けられた開口部内に位置しなければならず、かつプローブ21から約4分の3波長離間すると共に、導波管の端部から離間するように位置することが好ましい。
【0063】
信号カプラー
図6は、導波管セクション12の内外へ無線信号を結合するための好ましい電気信号カプラーを示す。この電気信号カプラー52は、4つのセクション48、216、218および220から成る。
【0064】
セクション48は、同軸コネクタの出力ポートの外観を有し、ネジ切りされたアースシェル186、絶縁スペーサ184および中心導線182から構成されている。同軸コネクタ48およびその類似する同軸構造は、適当なインピーダンスの標準的または非標準的同軸コネクタと嵌合するように任意に設計でき、雄型、雌型または雄型兼雌型でよい。中心導線182の外径、アースシェル186の内径および絶縁スペーサ184の相対的誘電率のサイズパラメータは、コネクタのインピーダンスを決定すると共に、基地の公式および設計基準に基づいて選択される。セクション216を直接アンテナの給電システムに接続する場合、同軸コネクタ48は省略できる。
【0065】
導波管の電界からエネルギーを抽出するには、導波管内に挿入されたプローブの深さを制御しなければならない。所定量の信号パワーを抽出しながら挿入されたプローブによって生じる導波管内での電界の乱れの大きさを、最小にしなければならない。当技術分野では、導波管内に挿入される電気プローブによって抽出される信号パワーの大きさは、一般に導波管内の最大電界の領域に平行に挿入されるプローブの長さに比例することが分かっている。最大量未満のエネルギーを導波管から結合する場合、4分の1波長より長さの短いプローブを使用できる。4分の1波長未満のプローブを短いアンテナとして見ると、短いプローブは外部の標準的な望ましい同軸インピーダンス、例えば50Ωにインピーダンスマッチングするには極めて不良であることが認識されている。
【0066】
図6に示される電気信号カプラー52に関し、プローブ210をネジとして構成し、このネジは導波管システムの製造中、設置中または設定中に、調節自在な大きさだけ、導波管セクション12の内部に挿入できる。インピーダンスマッチングを行わない場合、導波管に挿入されるプローブは、プローブからミスマッチングされた標準的な非リアクティブ負荷に十分なエネルギーを結合するように、長さが過剰になっていなければならない。導波管に挿入される過剰なプローブ長さは、導波管内部で望ましくないリアクタンスを生じさせ、このことは導波管内で有害な反射を生じさせ、導波管システムから抽出される全パワー量を制限し、更に、使用する周波数バンドにわたる導波管の振幅応答に望ましくない過剰な変動も生じさせる。例えば導電性アース平面より上方に設置された、例えば導波管セクション12の内部に設置された、約0.1波長の短いプローブは、数Ωのレンジの抵抗成分および数百Ωの容量性リアクタンス成分を生じさせる給電ポイントインピーダンスを有する。このようなレンジ内の補正されていないインピーダンスから、標準的な50Ωの負荷へのパワー伝達効率は極めて低くなる。
【0067】
セクション216、218およびオプションの要素208および230の目的は、挿入されたプローブ210のインピーダンスを、同軸コネクタ48への出力に対する標準的なインピーダンス、例えば50Ωまたは他の標準的なインピーダンスに変換し、補正し、最小限に挿入されたプローブ210から信号カプラーの出力に接続されている負荷へのパワー伝達を最大にすることにある。電気信号カプラー52は、導波管から効率的にエネルギーを結合するために、ユニークな構造となっている。
【0068】
外側ソースから電気信号カプラー52を通る信号の流れをトレースすると、まず同軸コネクタ48の中心導線182に信号電圧が加えられる。この中心導線は次に中空の中心導線192に接続されている。同軸コネクタ48およびそれに類似する同軸構造は、適当なインピーダンスの標準的な、または非標準的な同軸コネクタに嵌合できる。絶縁体190によって囲まれた中空の同軸中心導線192をアースシェル188が囲んでおり、絶縁体190は適当な誘電率を有し、所望する作動周波数で消散損失が低い適当な絶縁体とすることができる。セクション216は、所望する作動周波数で4分の1波長の伝送ラインを形成し、同軸コネクタ48を介して電気信号カプラー52が接続される負荷インピーダンスよりも低い適当な特性インピーダンスを有するように計算されている。セクション218は、セクション216よりもインピーダンスが低い4分の1波長の追加セクションとなっている。セクション218の、より低いインピーダンスは、中心導線200の直径を大きくし、および/または所望する周波数で低い消散ファクターおよび高い相対的誘電率を有する絶縁材料198により、周辺中心導線200を囲むことによって得ることができる。相対的に、より高い誘電率を有する絶縁体を使用する場合、セクション218の速度ファクターが減少するので、この結果、この例の構造として示されるように、セクション218は物理的に短くなる。
【0069】
従って、タンデム状に見ると、セクション216および218は、所望する作動周波数およびその近くで2ステージの4分の1波長インピーダンス変換器を形成する。中心導線192は、プローブ210を形成するネジを囲んでおり、このプローブ210は金属スペーサ/コンタクト194により中心導線192内に保持され、コンタクト194は中心導線192の内側低いに電気的かつ機械的に接触する。領域202の底部とスペーサ/コンタクト194の底部との間のスペースは、長さが可変できるが、作動周波数では4分の1波長未満となっている同軸伝送ラインの短縮セクションの内側容積を構成する。
【0070】
4分の1波長未満の短縮伝送ラインのインピーダンスは、誘導性であり、物理的ラインの電気角のタンジェントと同軸ラインの特性インピーダンスとの積に比例するので、プローブ210の内側セクションおよび中心導線192の内側表面によって形成されるインピーダンスは、導波管セクション12の内部から電気信号カプラー52を見たときのインピーダンスに、可変誘導リアクタンスを加算したものとなる。このインダクタンスは、導波管セクション12に導波管セクション12に挿入された短いプローブ長さを示す高容量性リアクタンスと直列であり、このリアをキャンセルするのに使用される。出力負荷を後方に見たとき、セクション218および216は、同軸コネクタ48に接続された負荷に最大パワー変換するために、リアクタンスがキャンセルされているプローブの低抵抗を標準的な高抵抗の低リアクティブインピーダンスに変換する。
【0071】
導波管セクション12の内側表面204を基準に、プローブ210をこのプローブ210のネジの上で上下できるように、スペーサ/コンタクト194は中心部にネジが切られており、一方、スペーサ194は192内で固定されているので、プローブ210の導波管21への進入深度を変えることができる。中心導線192の内部に良好に電気的に接触した状態を維持しながら、プローブの導波管セクション12への進入深度を変えることができるよう、スペーサ/コンタクト194は中心導線192内でも移動できるようになっており、これによってプローブの挿入深度を最適にでき、かつ囲まれた伝送ラインの長さを変える、中心導線192内にスペーサ/コンタクト194を位置決めすることにより、容量性プローブのリアクタンスをチューニングアウトするように、必要な誘導性リアクタンスを同時に追加できる。
【0072】
プローブ210の表面積を増加するように、容量ハットとしてオプションの金属シリンダ208を追加し、更に短いプローブ長さを使用するときに、プローブの容量性リアクタンスを下げることができる。同様に、シリンダ208に誘電取り付け部230を取り付け、プローブの容量性リアクタンスを更に下げると共に、短いプローブが必要なときに導波管セクション12内部の電界に対する乱れが小さい細状態で、より近似したインピーダンスマッチングを行うことができる。プローブ210の表面は、高導電性材料、例えば銅、銀、アルミまたは金から製造することが好ましい。このプローブの表面材料の厚さは、作動周波数における無線周波数の表皮深度の5倍よりも大きくすることが好ましい。
【0073】
導波管壁226の開口部24を通して電気信号カプラー52をガイドする手段として、アースシェル188にカラー206が機械的かつ電気的に取り付けられており、このカラーは導波管セクション12に対する電気信号カプラー52の底部のためのアース接触表面ともなっている。このカラー206は、電機信号カプラー52のあらかじめ設置した機械部品の形状となっていてもよいし、および/または導波管セクション12の壁226内に設けられた開口部24の一部としてもよい。
【0074】
接合ポイント222にて、アースシェル188にはフランジ224が機械的かつ電気的に取り付けられている。フランジ224は導波管セクション12の外側表面228に接触しており、更にこのフランジは接続ストラップのための圧縮ポイントまたは導波管セクション12に電気信号カプラー52を固定する他の手段として働き、更に物理的取り付け機構の一部および導波管セクション12の外側表面228における電気信号カプラー52の底部に対する適当なアースの双方として働く。
【0075】
当業者であれば、電気信号カプラー52を実現するための多数のルーチング作業による設計の最適化およびその他の可能な構造、または導波管から信号エネルギーを出力結合する汎用目的に使用される電気カプラーの別の実施例について想到できよう。例えば所望するインピーダンスマッチングを行う方法として、これまで説明したリアクタンスをキャンセルする方法の代わりに、またはこの方法と組み合わせて、1つの、または2つ以上の4分の1波長のインピーダンス変換セクションまたは4分の1波長長さ以外の伝送ラインセクションを使用することを挙げることができ、またはインピーダンス変換および補正目的のためにテーパ付きラインセクションまたはランプ状の一定ネットワークを使用できる。
【0076】
図7は、導波管セクション12の内外に無線信号を結合するための磁気信号カプラー34の一例を示す。信号カプラー34は4つのセクション49、274、276および278から構成されている。
【0077】
セクション49は、アースシェル242と、絶縁スペーサ244と、中心導線246から構成された同軸コネクタの出力ポートを備え、同様な同軸構造が適当なインピーダンスの標準的または非標準的同軸コネクタに嵌合でき、この構造は雄型でもよいし、雌型でもよいし、または雄型兼雌型でもよい。中心導線246の外径、アースシェル242の内径のサイズパラメータおよびスペーサ244の相対的誘電率は、コネクタのインピーダンスを決定し、既知の公式および設計上の基準に基づく設計上の選択事項となる。アンテナの給電システムにセクション274を直接接続する場合、同軸コネクタ49を省略できる。
【0078】
同軸コネクタ49にはセクション274が続いており、このセクションは中心導線254を同軸状に囲むアースシェル248を備え、中心導線254は絶縁体252によって囲まれており、この絶縁部252は所望する作動周波数で低散逸損失を有する、空気を含む適当な誘電体とすることができる。中心導線254は金属スペーサ250を通してネジ262に内部が接続されており、264にて磁気ループプローブ268の一端にネジ262が電気的かつ機械的に接続されている。
【0079】
導波管からエネルギーを抽出したり、または導波管内部にエネルギーを注入したりするよう、導波管セクション12内の高磁界の領域内に導線ループプローブ268が挿入されている。導線ループプローブの挿入によって生じる導波管内部の磁界の乱れ量を、最小にしなければならない。当技術分野では、導波管内に挿入される磁気プローブによって抽出される信号パワーの量は、一般にループによって遮られる磁界ラインの値にほぼ比例し、この遮られる磁界ラインの量はループの面積および導波管の磁界内の向きによって決定される。導波管から最大未満の量のエネルギーを出力結合すべき場合、小さい横断面の面積を有するループプローブを使用できる。小さいループアンテナとして見たときの(ワイヤー長さが約0.1波長未満の)小さい横断面面積のループプローブは、標準的な望ましい同軸インピーダンス、例えば50Ωにインピーダンスマッチングするのに極めて不良である。
【0080】
導波管セクション12からエネルギーを効率的に抽出するには、導波管から所定量のパワーを抽出しながら、導波管セクション12内での電磁界の乱れ量を制限するよう、導線ループプローブ268の横断面の面積を最小にすることが必要である。最大値未満の量のエネルギーを導波管から出力結合すべき場合、導波管セクション12から十分なパワーを出力結合しながら、ループプローブ268が示す横断面の面積を最小に低減する。
【0081】
プローブ268は、その表面を高導電性材料、例えば銅、銀、アルミまたは金で製造することが好ましい。このプローブの表面材料の厚みは作動周波数における無線周波数表皮深度の5倍よりも大にすることが望ましい。プローブ268の小さいバージョンのインピーダンスは、一般に抵抗が小さく(0.1Ω〜数Ω)であり、数百Ωまでの誘導性リアクタンスを生じさせる。導波管セクション12内に挿入された小サイズのループプローブ268からの信号変換を最適にするには、インピーダンス補正および変換が必要である。パワー変換の効率を最大にするには、プローブ268のインピーダンスを補正し、同軸コネクタ49に接続された負荷のインピーダンスに変換する。インピーダンスマッチングを行わない場合、導波管セクション12に挿入される導線ループプローブはサイズを過剰にしなければならず、導線ループプローブ268から標準的な非リアクティブ負荷、例えば50Ωにミスマッチングされた状態で、十分なパワーを結合するには、導波管内部で必要な値よりも大きいループを形成することになる。導波管に挿入された過剰に大きいリアクティブなループプローブ268は、導波管内に致命的な反射も生じさせ、導波管システムから抽出された総パワー量を制限し、更に使用する周波数バンドにわたって振幅応答の過剰な変動も生じさせる。
【0082】
磁気ループプローブ268は導波管セクション12の内部に調節自在に進入し、導波管内部の高磁界の領域において、導波管セクション12の内部に対するループプローブ268が示す横断面の面積を選択自在に増加する。電流ループプローブ268を調節するのに、270が示すように、磁気信号カプラー34を回転させ、導波管セクション12内部の磁界に対するカプラーの向きを変え、異なる度合いの信号結合を行うことができる。タンデム状のセクション276および274は、挿入されたループプローブのインピーダンスの低放射抵抗成分を50Ωまたは他の任意の所望する標準的インピーダンスに変換する。セクション274は、所望する作動周波数で4分の1波長の同軸状伝送ラインを形成し、このセクションは同軸コネクタ49を通して磁気カプラー240が結合されている負荷インピーダンスよりも低い、適当な特性インピーダンスを有するように計算されている。セクション276はセクション274よりもインピーダンスが小さい4分の1波長の追加同軸セクションである。セクション274と比較して低くなっているセクション276のインピーダンスは、領域260が示すように中心導線254の直径を増し、および/または所望する周波数で相対的な高誘電率を有し、低散逸率を有する誘電材料256により囲む(260)ことによって得ることができる。相対的に高い誘電率の絶縁材料を使用する場合、セクション276の速度ファクターが減少し、その結果、セクション276の物理的長さは短くなる。タンデム状のセクション276および274は、2ステージの同軸インピーダンス変換器を形成する。セクション276および274は、同軸コネクタ49が接続されている負荷に最大のパワーを伝達するために、プローブの低抵抗を有効な標準的インピーダンスに変換する。
【0083】
導線254の内側表面と電気的かつ機械的に接触している金属シリンダ250によって、導線254の内部にネジ262が固定されている。シリンダ250の底部と領域260の底部との間のスペースは、作動周波数における4分の1波長と半波長との間で長さを可変できる同軸伝送ラインの短縮セクションを形成する。この波長の短縮された伝送ラインのインピーダンスは容量性であり、物理的同軸ラインの電気角のタンジェントと同軸ラインの特性インピーダンスとの積に比例するので、262と254の内側表面によって形成されるインピーダンスは導波管セクション12の内部から電気信号カプラー52を見たときのインピーダンスに可変容量を加えた値となる。この容量は導線ループプローブ268が示す誘導性リアクタンスに直列であり、この誘導性リアクタンスをキャンセルするのに使用される。
【0084】
シリンダ250は中心導線254の内部にスライドコンタクトを形成し、これによって領域260の底部を基準にネジ262を上下できるようにし、このことは、導波管内部のループプローブの横断面の面積を設定するために、導波管セクション12内の導線ループ268の長さを変えるように働く。シリンダ250は中心導線254の内部との良好な電気的な接触を維持しながら、中心導線254の内部で移動でき、よって導線254内のシリンダ250の調節位置により、ループプローブ268の誘導性リアクタンスをキャンセルできる。
【0085】
信号カプラー34のアースシェル248にはカラー277が機械的かつ電気的に取り付けられており、このカラーは導波管の壁226を通してカプラーアセンブリをガイドするための手段として使用され、このカラーは導波管セクション12に対する、カプラーアセンブリの底部のためのアースコンタクトポイントとなっている。カラー277は信号カプラー34のあらかじめ設置した機械的かつ電気的アースコネクタの形態でもよいし、および/または導波管セクション12の壁226内に設けられた開口部の一部でもよい。接合ポイント266にてループプローブ268にはフランジ272が機械的かつ電気的に取り付けられており、かつ導波管セクション12の外側表面228にも取り付けられているが、最終締結前にカプラーアセンブリ34を回転することが可能となっている。フランジ272は、締結ストラップのための、または導波管セクション12に対し信号カプラー34を固定する他の方法のための圧縮ポイントとして働き、取り付け機構として、かつ導波管の外側表面228において導波管セクション12に対する信号カプラー34の底部のための適当なアースとしても働く。
【0086】
当業者であれば、導線ループ信号カプラー34を実現するための多数の潜在的な設計上の最適化、または本導波管をベースとする無線分配システムの一部となっている導波管から信号エネルギーを出力結合する汎用目的のためのこの磁気カプラーの他の実施例も想到できよう。所望するインピーダンスマッチングを行う方法として、インピーダンスキャンセルの上記方法の代わりに、またはこの方法と組み合わせて、例えば全くインピーダンスセクションを用いないか、または1つ以上の4分の1波長インピーダンスセクション、テーパ付き伝送ライン、ランプ状低インピーダンス変換ネットワーク、または任意のタイプの長さが調節された伝送ラインセクションを使用する方法を挙げることができる。
【0087】
セクションの接続
図8A〜8Cは、導波管セクション接続実施例の分解図および組み立て図を示す。セクションコネクタアセンブリ22により別の導波管セクション12には好ましい楕円導波管セクション12が機械的かつ電気的に接続されている。図8Bおよび8Cを参照すると、セクションコネクタアセンブリ22は金属コネクタシュラウド300、ストラップ298およびオプションのクランプ受信機アセンブリ296から構成されている。ストラップ298は留め金304により固定されており、この留め金は共通螺旋ネジ被動タイプのホースクランプ張力機構を使用してもよいし、または閉じた位置においてあらかじめ調節された張力により、ストラップ298に張力を加える他の任意のタイプの機構、例えば好ましくはストラップ298に設けられたホールドオーバータイプの固定留め金でもよい。シュラウド300の反対側にはオプションのクランプアセンブリ296が取り付けられ、このクランプアセンブリ296は、導波管セクション12上のオプションのクランプ受信機に嵌合する。
【0088】
2つの導波管セクション12の完成した接続部の組み立ては、まず金属シュラウド300の内側表面を、輝く金属仕上げ面となるようにクリーニングすることによって行うことが好ましい。導波管セクション12の端部の外側表面も、シュラウド300との電気接触導電度が高くなるように、輝く金属仕上げ面に調製する。次に、コネクタシュラウド300内に反対方向から導波管セクション12の2つの端部を挿入する。この導波管セクション12の2つの端部は、シュラウド300の中間部の近くで軸線が同一直線上に位置した状態に配向された導波管12の双方のセクションと合流するように位置することが好ましい。次に、オプションのクランプ292に最も近いシュラウド300の端部と反対の円形クランプ298をシュラウド300のまわりに置き、次にシュラウド300のまわりを十分に締め付け、下方にある導波管セクション12の端部に対してシュラウド300をスリップすることなく、シュラウドを所定位置に保持する。次に、オプションの留め金296と294とを係合させ、導波管セクション12の2つの端部を共に接近するように引き寄せる。2つの導波管セクション12の端部は、シュラウド300の内部で合流することが好ましいが、正しく作動させるためには約1〜3mmのオーダーのギャップが許容される。次にすべての留め金を完全に締め付けると、これによってシュラウド300が導波管セクション12を囲み、これを締め付けるので、良好な電気接触が得られる。シュラウド300のまわりのクランプ298の締め付けも、導波管セクションの端部の形状の小さい変化を生じさせ、平均的な好ましい形状に一致する。完了時にシュラウド300の長手方向エッジは導波管セクション12の広い面のうちの中心ラインの1つの近くにあることが好ましい。
【0089】
導波管
システムに必要な基本的な導波管形状は、必要な形状に押し出すか、または引き抜くことによって製造してもよいし、または中間形状に成形し、その後、最終形状となるように仕上げてもよい。導波管の材料が金属製である場合、好ましい金属はアルミまたは銅である。材料がプラスチックである場合、完成した導波管の内側表面に高導電性コーティングを設ける。プロセスで成形可能な任意の材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)を使用できる。別の製造方法として、一般的に入手できる金属またはプラスチックの標準的形状から、導波管横断面を形成し、プロセス、例えば圧縮を通してこれを変形し、この形状を所望する横断面の形状に成形する方法がある。
【0090】
図9Aおよび9Bは、金属コーティングされたフォイルまたは金属コーティングされたパイプを使用して、導波管セクションを形成するための別の実施例をそれぞれ示す。図9Aにおける外側パイプ310は、所望する周波数で導波管横断面を構成するのに必要な形状を保持する任意の材料から構成できる。次に、製造時またはその後、例えば設置中に、外側パイプ310内に材料312を挿入する。金属材料312は、比較的薄い材料、例えばスムーズな導電性表面314でコーティングされた金属フォイルまたはプラスチックシート材料とすることが好ましく、このコーティング膜は十分厚く、内側表面314に沿って導波管エネルギーを長手方向に十分伝搬させるよう、使用を意図するマイクロウェーブ周波数で十分な導電度を有する。310内に挿入するように材料312を分割する場合、ギャップ316を最小にし、導波管の内側壁において最小の電流のラインに沿って導波管の長手方向に小さくなるようにすべきである。
【0091】
図9Bは、一貫した長手方向横断面内に形成された形状318から導波管を形成する別の方法を示す。形状318の内側表面320の長手方向に沿ったマイクロウェーブエネルギーの伝搬をサポートするために、318の内側表面に高導電性コーティング320が塗布されている。このコーティング320は導波管アセンブリ内で低損失伝搬を行うよう、十分な導電度を供給する任意の導電体とすることができ、形状318の内側表面にスムーズな高導電性表面を提供する方法によって塗布できる。図9Aおよび9Bに示された例を組み立てるのに、所望する周波数で無線周波数エネルギーを伝搬できる、横断面が一貫した形状の中空形状を使用できる。図9Aおよび9Bに示された導波管組み立て方法を使用する場合、カプラー34および52に適当なアース方法を使用し、これらカプラーを任意の内側導線に取り付けなければならない。このアース方法は、例えば図9Aまたは9Bに示された内側導線を導波管セクション12の端部および外側エッジに伸長させることを含むことができる。
【0092】
構成可能な導波管システム
図10A、10Bおよび10Cは、導波管11に沿ってモータ駆動される信号カプラーを使用し、信号コネクタへの信号結合を設置後調節するようになっている、請求項に記載の要旨にかかわる導波管をベースとする無線分配システムの実現例を示し、信号コネクタの各々は設置後、遠隔的かつ選択的に調節自在となっている。
【0093】
図10Aを参照する。この図では端部アセンブリ14および16により、導波管11にコントローラ348が取り付けられている構成可能な導波管システムが示されており、端部アセンブリ14および16は、導波管11の端部にマイクロウェーブエネルギーを注入したり、またはこれから信号を抽出したりするための立ち上げおよび終端アセンブリを構成する、同軸コネクタ20および内部伝送プローブ(図5Cおよび5Dにおけるプローブ21)を備える。(図1に示されるが、上記図には示されていない)信号インターフェースアセンブリ30から、端部アセンブリ14上の同軸コネクタ20へ信号が接続される。本実施例における端部アセンブリ14および16、並びに信号インターフェースアセンブリ30は、図1を参照して説明したものと同じ属性および能力を有する。組み立てられた全導波管11の長手方向に沿った所望する位置にて、導波管セクション12内に位置する開口部にコントローラ348および336が取り付けられている。これらコントローラは、電気、すなわち導電性ループ導波管プローブまたは放射開口部の結合係数を制御する。コントローラ348内に一体化されたインピーダンス補正セクションは、外部無線周波数コネクタに出力を提供し、このコネクタはその後直接アンテナに接続されるか、またはアンテナに接続されている同軸ケーブルに接続されるか、もしくは同軸ケーブルを使用する別の導波管システムもしくは他の任意のタイプの伝送ライン相互接続手段に接続されている。
【0094】
制御信号アセンブリ332は、システム内に接続されたコントローラ348および336のすべてに必要なパワーをトランスポートし、これらコントローラへの信号を制御するよう、十分な導電度の1本以上の導線のケーブルを含むことができる。各コントローラ348および336には、アセンブリ332内の別個の導線(単数または複数)を割り当てることができ、ケーブル内の少ない本数の導線を並列か、またはシリアル構造の多重化された信号制御システム内で使用できる。コントローラアセンブリ348および336内での制御信号のデコードは、能動的または受動的手段のいずれかにより達成できる。標準的なビル内イーサネット(登録商標)または電話配線設備で見られるようなケーブルが、コントローラ348および336の接続に使用できる適当なタイプのケーブルの好ましい例である。プレナム定格または非プレナム定格のいずれかの、使用されるケーブルのタイプは、ここの用途によって決定される。
【0095】
各コントローラにおける接続ポイント344は、ケーブルがコントローラ348および336のセクションを通過するか、または隣接する場合の、信号アセンブリ332への接続方法として、絶縁体変位(皮むき)タイプの接続を使用することにより、332および/または348および336上のあらかじめ設置されたコネクタにより達成される。電力および信号に対する適当なリターンパスとして使用される導波管11により、シリアル制御信号および給電フィード線が1本の導線上で多重化される場合、すべてのコントローラに給電し、かつこれを制御するのにわずか1本のワイヤーを使用してもよい。ケーブルである場合、信号アセンブリ332を物理的に係止するために、製造中、導波管セクション12の長手方向部分内に別個の外側溝またはチャンネルを内蔵させてもよい。同軸コネクタ346は、インピーダンス補正セクション349を通してコントローラ348によって導波管から回収される信号に対する出力ポートであり、インピーダンス補正セクションの特性は基本的には図6または7を参照して説明したものと同一である。コネクタ346は標準的または非標準的な無線周波数コネクタとすることができる。電磁波は、可変導波管スロット開口部334から直接進行し、このスロット開口部の寸法上の特性、従って放射特性は、制御アセンブリ332を通るコマンドを介し、コントローラ336により制御される。
【0096】
端部アセンブリ16の同軸コネクタ20には、検波器342の入力が取り付けられるように示されている。検波器342は、導波管11によって検波器に与えられる無線周波数信号レベルに比例する電圧となるように無線周波数信号を変換するデバイスである。この検波器342の出力は信号アセンブリ332へ送られ、導波管システムの正しい作動を調節するための較正およびテスト信号として検出される。検波器342は、受動的または能動的な構造のマイクロウェーブ検波器とすることができ、この検波器は、導波管の端部またはローパス(4分の1波長)プローブまたは信号カプラーを使用する中間ポイントにて、導波管内の信号レベルを測定する。この検波器342は、例えば低損失導波管プローブに取り付けられた無線周波数ダイオード検波器から構成され、このプローブは導波管の端部にて、基本的には非反射負荷内で導波管のインピーダンスを終端させるか、または導波管に沿った中間ポイントで使用する場合には、信号測定をしながら、導波管からのエネルギーを最小サンプリングできるよう、電気信号カプラー52または磁気信号カプラー34と共に使用される。
【0097】
完全な導波管システム内に接続された導波管セクション12の多数のタンデム長さの無負荷の損失は、十分な精度で予測できるので、信号源と検波器342との間にある導波管システム内の他のポートにおける信号を抽出することから生じる、検波器342によって示される信号レベル変化は、各コントローラ348またはスロットコントローラ336が導波管に課しているRF負荷の大きさを関数として予測できる。逆に、各コントローラの調節中に、検波器342からの検出された出力レベルをモニタすることにより、各カプラーコントローラ348またはスロットコントローラ336を、所望する結合係数に調節できる。所望する導波管信号分配システムを構成するよう、プローブコントローラ348および336と組み合わせて、マニュアル調節可能なプローブを使用することもできる。
【0098】
信頼できる検出された信号レベルと一致する、最小量のマイクロウェーブエネルギーを導波管から吸収するように、一部の用途において検波器342を調節することが望ましい。この場合、検波器は信号ケーブル332を通して給電される検波後のオプションの増幅器により構成できる。電気インターフェース330は、オペレータが1つ以上の検波器342の出力をモニタしながら、信号アセンブリ332によりコントローラ348および336の遠隔的なマニュアル制御を可能にできる。これとは異なり、インターフェース330をコンピュータの制御により作動させてもよい。後者の場合、1つ以上の検波器342がレポートするレベルから、各コントローラ336および348のための適正な設定を決定し、かつ導波管11の減衰特性を知る計算式を使用することにより、導波管システム上のコントローラ348の出力コネクタおよび開口部334上で示される所望する信号レベルの各々の調節値を計算するのに、コンピュータを使用できる。
【0099】
コントローラ348上の出力コネクタは、信号ラジエータ(図示せず)に直接接続してもよいし、または同軸ケーブルを介して信号ラジエータに接続してもよいし、または拡張伝送ラインとしての別の導波管システムおよび/または別領域にサービスする別個の導波管をベースとする無線分配システムの追加同軸コネクタ20に接続することができる。完成した別の導波管分配システムを相互接続するとき、1つ以上のグループの周波数を選択的に可能にしたり、または不能にしたりするよう、セクション間にフィルタリング、合波およびその他の標準技術およびデバイスを追加できる。
【0100】
導波管11のセクションが、その実用長さ限界342、20および18まで伸長し、次に伸長した導波管11のセクションの端部まで移動するとき、ケーブル332の端部にあるケーブル340は、別のコントローラ348および336(図示せず)まで連続することができる。導波管11の最大長さは導波管12のタンデムセクションの無負荷の減衰量およびすべての取り付けられたポートが必要とする信号パワーと、導波管システムに提供されるソースから入手できる全信号パワーとの和によって決定される。下流側の信号レベルのモニタを容易にするために、導波管11の長さのその後の走行部に1つ以上の検波器342を追加できる。
【0101】
図10Bは、導波管の壁226を介して導波管セクション12の外側表面228に取り付けられるプローブコントローラ348の機能の詳細を示す。プローブ352は、電気ループプローブアセンブリでもよいし、または導電性ループプローブアセンブリでもよい。電気ループプローブアセンブリの場合、351によって示されるように、導波管へのプローブ352の挿入の大きさによって結合の変動が生じる。プローブが磁気プローブである場合、結合量は、ループプローブ面積と、350が示すように、プローブループ352によって導波管セクション12の内部磁界への回転量との双方によって決定される。いずれのタイプのプローブも、インピーダンス変換器354によりポート346の外部コネクタインピーダンスにインピーダンスマッチングされ、このインピーダンス変換器354は、例えば図6または7を参照して説明したようなものでもよく、タンデム状の適当な4分の1波長の伝送ラインセクションのうちの1つ以上のセクションまたはインピーダンス変換特性のために選択された他のタイプのインピーダンスマッチング技術を含むことができ、更に変換器354の入力セクションで導入されるリアクタンスを適当にキャンセルするための回路を含むこともできる。変換器354は、本明細書に説明したような検波器342に類似する検波器機能も含むことができ、導波管セクション12から結合された適当なパワーを正確に設定するよう、各プローブコントローラ348の出力をモニタするために使用することができる。
【0102】
プローブ352は、ギアボックス341の作用により、導波管11内で電気プローブまたは磁気プローブを挿入したり、または回転したりするように作動し、ギアボックス341は、モータ駆動回路345からのコマンドを受信するモータ343によって駆動され、駆動回路345は、信号アセンブリ332を通してコントローラ330と通信するデコードモジュール347からのアナログおよび/またはデジタル特性のデータ信号によって駆動される。ポジションセンサ349からのポジションの表示は、電気信号カプラー52または導電性グループカプラー34からのそれぞれの並進位置データまたは回転位置データを決定するために、信号アセンブリ332を通してコントローラ330へ読み出すことができる。
【0103】
図10Cはコントローラ348の変形例であるスロットコントローラ336の機能の詳細を示す。このスロットコントローラは導波管セクション12内のスロット開口部334のウィンドーサイズを制御し、導波管から導波管システムの近くにある使用を意図する領域内への放射線の直線的な制御可能なレベルを可能にする。スライドアセンブリ351、すなわち導波管セクション12の外側表面228上の材料の、等角な導電性シートは、ギアボックス341からの並進運動353によりスロット334を可変状態で遮るように機械的に駆動され、ギアボックス341はデコーダ347によってデコードされるコマンドを受信するモータドライブ345によって電気的に駆動されるモータ343によって駆動され、デコーダ347はコントローラ330から信号アセンブリ332を通して信号を受信するようになっている。コントローラ330はリモート電気制御装置によってマニュアルで操作してもよいし、またはコンピュータ制御により操作してもよい。ポジションインジケータ349は、スライドアセンブリ351の位置を検出し、ケーブル332を通してその位置をコントローラ330にレポートする。スライドアセンブリ351は、スロット334の長軸に対して平行または直交する運動またはそれらの並進運動の組み合わせによって、スロット334をふさぐことができる。
【0104】
図10Dは、無線情報を分配する目的と、休止消火システムとして同時に使用する目的の二重目的のために使用される、請求項記載の要旨の一実施例を示す。導波管セクション355は、使用時に加圧されると乾式消火システムで使用される空気圧を含むのに適当な強度で製造されており、無線信号を導波管で伝搬させるために適当な導電体、例えば銅、アルミ、銀または金でコーティングされた内側表面も有することができる。これらセクションはパイプジョイント356により一体になるように接続されている。パイプの好ましい形状は楕円形であるが、導波管として無線信号を伝えるような他の任意の形状、例えば円形の横断面または四角形の横断面も使用できる。信号はカプラー357により導波管355から出力結合され、これらカプラーはカプラー34および/または52に対して説明したのと同じ特性を有し、この信号は、無線アンテナ兼通常の熱起動消火ヘッドとして働く放水ヘッド/アンテナ358に印加される。このパイプは、通常内部が乾燥状態にあり、空気または別のガス、例えば窒素によって加圧されている。ヘッド358は、熱を検出したときに通路に対して開口し、355内に空気圧を解放し、熱を検出しないときは導波管355に接続されたアンテナとして働く。システムを製造する際に空気圧/流体の配管および導波管伝送技術の一般的な条件を同時に満たされなければならない。
【0105】
導波管の形成
図11は、平らでロール加工された板金素材から導波管セクションを形成するための一実施例を示す。板金素材は成形されると、高導電性のスムーズな内側表面を維持できる。一様な金属または基礎となる金属、例えば銅、アルミまたは他の任意の高導電性材料がコーティングまたは接合されたスチールのスムーズな表面を有する板金の供給ロールを使用できる。最終形状の部品を形成するのに必要な幅のシート材料が、スタンド382に支持されている成形器390の一端にて、例えばロール状の供給形状に吊り下げられている。好ましい材料は、高導電性金属表面、例えば成形プロセス後、寸法を良好に維持するアルミまたは銅を有していなければならない。成形でき、必要な形状を維持できれば、プラスチック材料も使用できる。この材料は良好な構造上の強度を有すると共に、機械的プロセスまたは電気的プロセスにより高導電性材料、例えば銅、アルミ、銀、金または十分高い導電度を有する他の材料でコーティングしなければならない。これとは異なり、導波管セクション12の内側表面となる広い表面に十分導電性の材料であらかじめコーティングしてもよい。
【0106】
パンチステーション374内に、まず材料の単一層372が供給され、このステーションで所望する開口孔および/またはラジエータスロットおよび/またはアセンブリ孔がパンチングされる。次に、パンチングされたこれら板金または金属コーティングされたプラスチックが成形セクション376を通過し、ここで材料は導波管の終わりから2番目の形状とされる。
【0107】
成形器390における処理の結果得られるいくつかの生じ得る予備的導波管の横断面の形状が、番号384、386および388で示されている。材料をパンチングし、成形した後に、カッターを使って導波管部品を所望する長さのセクションにカットする。この長さは設備内の特定の使用例に応じて、数インチから何百フィートとし得る。導波管の1つのセクションの全長は、板金ロール370に含まれる供給部の長さだけによって限定される。予備的導波管の形状384は、製造できる可能な横断面を示し、この横断面は元の材料の2つの長手方向の外側エッジを有し、これらエッジは完成した導波管セクションを形成するのに閉じなければならない。成形された導波管セクション384内に示されるエッジの位置は、これら導波管セクション12が正常に作動する伝搬モード用の好ましい位置にある。成形器390による成形プロセスには、例えば圧接による384、386および388のエッジをシールする目的のための別ステージを追加できる。
【0108】
成形器390によって製造できる他の可能な成形体が、386で示されている。これら形状は、閉鎖のために2回のシール作業を必要とするが、運搬がより容易である。その理由は、これら形状を相互に内側に配向させることによって効率的に積み重ねることができるからである。成形体386は、現場で圧接方法、溶接方法またはクランプ方法によって接合し、導波管をベースとする無線分配システム内に設置するよう、フル導波管セクション12を完成する。
【0109】
これまで説明した成形システムによって実行される作業のすべては、マニュアル手段、またはプログラムされ、記憶された論理コントローラまたはプログラマブルコンピュータのような自動化手段によって制御できる。プログラム可能な場合、成形システム390は自動化作業に必要なセンサおよびアクチュエータを含む。
【0110】
図12は板金からハーフ分割体として成形された導波管を組み立て、コンセプトを別個に使用する際に、完成した導波管セクションの2つのセクションを機械的かつ電気的に接続するための締結具を使用する導波管セクション12を接合するための別の実施例を示す。
【0111】
内側の高導電性のスムーズな金属製コーティング402および予備的に位置決めされる孔404を有する、成形された導波管セクション400を共に接合し、ピン406および係止クリップ408によって所定位置に保持する。このプロセスのためにリベットを使用してもよい。2つの導波管セクションの間のコネクタとして使用する場合、セクション400はこのセクションを取り付ける成形された導波管セクションよりも若干寸法が大きく製造されるが、接合した2つの導波管の両端に、密に、かつきつく嵌合する。この場合、予じめ位置決めされた孔404は、接合すべき導波管セクション12の端部のエッジ内に位置決めされる孔とラインアップする。導波管セクション12を384、386または388で示されたハーフセクションから製造するとき、導波管の各形状のリッジラインおよび/または他の広い面および狭い面内に開口部のための予備的に位置決めしたノッチを置き、図12の接合方法を使用するときに、信号カプラーを収納することができる。同じように、製造時に導波管12内に放射スロットを設置してもよい。
【0112】
図13Aおよび13Bは、接合プロセスを実施するために連続抵抗溶接機を使用して成形された板金のハーフセクションを完全な導波管に組み立てるための一実施例を示す。図13Aは溶接システムの平面図である。ベース422は、4つのスプリング負荷または液圧圧縮された電気溶接ホイール424を支持しており、このホイールは連続的に回転し、ハーフセクション420の双方のシーム部を圧縮しながら、連続的に回転すると共に、接合すべき導波管420のシーム部に大電流を供給する。接触ポイント426でハーフセクションのシーム部を部分的に溶融するような十分大きい電流が加えられる。材料が例えば金属である場合、2つのシーム部は端面図428に示されるように、シーム部が閉じた、完成した導波管セクションとなるように溶接される。図13Bは、抵抗溶接システムの端面図を示す。電力導線440に取り付けられたコネクタ438に接続された電源から、低抵抗ブラシアセンブリ442および430、更にホイール424に直接接続されている接点434を介し、ホイール424へ溶接のための十分な電流が供給される。溶接電源へのリターンケーブルであるケーブル432を通して、出力電流が送られる。
【0113】
試験結果
図14は、本発明に従って製造された導波管11の無負荷の約60メートル(200フィート)の楕円横断面バージョンの電圧定在波比(VSWR)の測定結果を示し、この導波管は図8A、8Bおよび8Cと基本的に同じように説明され、示された導波管説明12およびセクションコネクタ、並びに図5Cおよび5Dに説明され、図示されているような端部セクションを使用しているが、この試験では導波管11に沿った中間信号カプラーまたは放射スロットは使用されていない。アンリツ社のモデル331Aサイトマスタースイープ測定器を使って、2400MHz〜2500MHzまでのスイープ無線周波数信号を注入し、遠方端セクションに設けた同軸コネクタにおいて、50Ωの負荷で導波管の遠方端部を終端したときに、システムの一端を見た場合のリターン信号パワーを検出した。次にこのデータからVSWRを計算した。注目されるように、当該バンドにわたって極めて低いレベルの信号反射しか示されなかった。
【0114】
図15は、図14に説明された無負荷の約60メートル(200フィート)の導波管の別の試験を示す。ヒューレットパッカード社のモデル8620C/86290Cマイクロウェーブ信号発生器から、9ミリワットの無変調信号を2400MHzから2500MHzまでスイープし、約60メートル(200フィート)の無変調導波管の端部から端部への損失を試験した。ヒューレットパッカード社のモデル435B/8485Aパワー測定機器により、導波管の端部へのパワーを測定した。当該周波数バンドにわたって測定した、入力同軸コネクタ20から遠方端における終端出力同軸コネクタ20までの平均損失は、約30メートル(100フィート)の導波管長さ当たり0.5dBよりも若干大きかった。この測定喪失は、端部セクションにおける同軸コネクタおよびプローブ固有の導波管端部における立ち上がりおよび検索損失を含む。信号発生器と導波管の入力ポイントとの間で使用した相互接続ケーブルの端部で発生器のパワー出力の較正を実行し、信号発生器の導波管の送信端部との間に接続された約2.5mのRG−58同軸ケーブルの周波数ロールオフを保証するのに、ケーブルスロープ補償は使用しなかった。従って導波管自身の基本的損失特性は、表示されたデータよりも良好である。
【0115】
図16は、図14に記載された約60メートル(200フィート)の導波管の更に別の試験を示す。この試験において、導波管の送信端部から約12メートル(40フィート)、約18メートル(60フィート)、約24メートル(80フィート)、約30メートル(100フィート)、約36メートル(120フィート)および約42メートル(140フィート)の位置に6個の電気信号カプラー52を設置した。このテストに対し、図14に関して説明したものと同じ信号発生およびパワー測定器を使用した。導波管送信システムのスタート端部の同軸コネクタ内に10ミリワットの入力パワーを注入した。表示された周波数レンジにわたるシステムの端部における平均パワーは、2.01ミリワットであった。試験した周波数にわたるシステムの端部における信号レベルの平均偏差は、約±1.5dBであった。
【0116】
信号源と、信号受信機に近い少なくとも1つのロケーションとの間で、無線信号を搬送するための、現時点で開示する簡略化された高効率の分配システムは、種々の態様で実現できる。従って、好ましい実施例のこれまでの説明は、当業者が請求項記載の要旨を製造し、使用できるように提供したものであり、当業者にはこれら実施例の種々の変形例が容易に明らかとなり、革新的な設備を使用することなく、本明細書に記載した包括的な原理を他の実施例に適用できよう。従って、請求項記載の要旨は、本明細書に示した実施例だけに限定されるものでなく、本明細書に開示した原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に従うべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の特徴にかかわる導波管をベースとする無線分配システムの位置実施例を示す。
【図2A】3つのオフィスおよび無線シールドされた作業領域のための導波管をベースとする無線分配システムのアンテナのカバープランの一例の側面図を示す。
【図2B】3つのオフィスおよび無線シールドされた作業領域のための導波管をベースとする無線分配システムのアンテナのカバープランの一例の平面図を示す。
【図3A】建築的特徴部内に導波管セクションを設置するための別の実施例を示す。
【図3B】建築的特徴部内に導波管セクションを設置するための別の実施例を示す。
【図3C】建築的特徴部内に導波管セクションを設置するための別の実施例を示す。
【図3D】ケーブルまたはパイプのキャリッジとして設置のためにビル内に一般的に見られるようなキャリアトレイに設置した、本導波管システムの実施例を示す。
【図3E】ケーブルまたはパイプのキャリッジとして一体化のためにビル内に一般的に見られるようなキャリアトレイと一体的な、本導波管システムの実施例を示す。
【図4A】異なる周波数レンジ内で作動する2つの異なる通信方式(例えばIEEE802.11AおよびXM Radio)のための導波管分配システムを同時に設けるための別の実施例を示す。
【図4B】異なる周波数レンジ内で作動する2つの異なる通信方式(例えばIEEE802.11AおよびXM Radio)のための導波管分配システムを同時に設けるための別の実施例を示す。
【図4C】異なる周波数レンジ内で作動する2つの異なる通信方式(例えばIEEE802.11AおよびXM Radio)のための導波管分配システムを同時に設けるための別の実施例を示す。
【図5A】(a)電界結合、(b)磁界結合および(c)スロットラジエータを使って導波管の内外に無線信号を結合するための別の実施例を示す。
【図5B】(a)電界結合、(b)磁界結合および(c)スロットラジエータを使って導波管の内外に無線信号を結合するための別の実施例を示す。
【図5C】同軸部−導波管への移行部を含む、導波管を終端させるための端部アセンブリの位置実施例を示す。
【図5D】同軸部−導波管への移行部を含む、導波管を終端させるための端部アセンブリの位置実施例を示す。
【図5E】2つの異なる同時送信モードを同じ導波管内で使用する方法を示す。
【図6】導波管から無線信号を結合するための電界信号カプラーの一例を示す。
【図7】導波管から無線信号を結合するための磁界信号カプラーの一例を示す。
【図8A】導波管セクションを接続するための一実施例の組み立て図を示す。
【図8B】導波管セクションを接続するための一実施例の分解図を示す。
【図8C】導波管セクションを接続するための一実施例の組み立て図を示す。
【図9A】有効な導波管を形成するのにプリセットフォーム内に金属被覆されたフォイルを使用して導波管を形成するための別の実施例を示す。
【図9B】有効な導波管を形成するのに内部が金属被覆されたパイプを使用して導波管を形成するための別の実施例を示す。
【図10A】遠隔制御により選択的に構成できる導波管システムの一例を示す。
【図10B】遠隔制御により選択的に構成できる導波管システムの別の実施例を実現するための関連するモータ制御される信号カプラーを示す。
【図10C】遠隔制御により選択的に構成できる導波管システムの別の実施例を実現するための関連するモータ制御される信号カプラーを示す。
【図10D】商業的ビル、工業的ビル、個人的ビルおよび政府ビルで見られるような消火システムの機能に組み込まれ、この機能と組み合わされた、本明細書に開示する原理を示す。
【図11】板金またはプラスチック材料から導波管セクションを形成するための一実施例を示す。
【図12】完成した2つの導波管セクションを機械的および電気的に接続することにより、導波管を組み立てるために、締結具を使用する一実施例を示す。
【図13A】連続抵抗溶接機を使用して連続的な、仕上げられた導波管セクションを形成するよう、導波管の半セクションを組み立てるための一実施例を示す。
【図13B】連続抵抗溶接機を使用して連続的な、仕上げられた導波管セクションを形成するよう、導波管の半セクションを組み立てるための一実施例を示す。
【図14】本発明の要旨を使用した結果を実証する試験システム例から得られた試験データのグラフを示す。
【図15】本発明の要旨を使用した結果を実証する試験システム例から得られた試験データのグラフを示す。
【図16】本発明の要旨を使用した結果を実証する試験システム例から得られた試験データのグラフを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願とのクロスレファレンス)
この特許出願は、2005年9月19日に「導波管無線分配システム」を発明の名称として出願された米国仮特許出願第60/718,419号の利益を主張するものである。
【0002】
本願は、無線分配システムに関し、より詳細には、ビル、例えばオフィス、工場、倉庫、学校、家庭および政府施設およびオープン領域、例えばスポーツスタジアム、公園、道路および鉄道において無線信号を分配し、収集するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
様相のうちの1つ以上における明細書に開示する要旨を適用できる特定の問題に関連して本発明の背景となる情報を提供する。この特定の問題として、オフィスまたはその他のビルの内外における無線信号の効率的に分配することが挙げられ、このようなオフィスまたはビルでは、本発明を用いない場合、距離および構造上の障害、または他の物体が無線信号の強度および質を低下させることがあり、オープン領域では無線信号の効率的な分配が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1000MHz以上のレンジ内にある周波数で無線通信信号を使用する携帯通信ユニットおよびその他のユーザーデバイス、例えばノートブックコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ペイジャー、携帯電話、ポータブルオーディオおよびビデオ受信機、およびテレメータ測定器は、現在ではありふれたものとなっている。頻繁に進入するビルおよびその他の屋内および屋外領域において、ユビキタスで、信頼できる無線接続をユーザーに利用できるようにしたいというユーザーによる期待と共に、上記タイプのデバイスに対する無線通信サービスを容易に利用したいという要求はかなり増大している。携帯無線通信デバイスと固定無線通信デバイスの双方の使用は急速に高まっていることにより、現在利用されている、政府によって制限されている無線周波数スペクトル割り当てを完全に利用するために、ビル構造の内外の特定の領域内で、より効率的に、かつ正確に無線信号を分配することが必要となっている。
【0005】
デジタルおよびアナログ無線信号において符号化され、次第に高速となっているデータ、音声およびビデオ情報の使用は、障害物、距離または規制が無線通信レンジを制限し得るビルおよびその他の施設内のアンテナシステムの設計に対する要求を増加させている。このことは特に、政府の電波規制および業界の規格が送信電力を低レベルに制限している場合に当てはまる。同時に、携帯電源、例えばバッテリーに対するドレイン量を低減し、更に同じチャンネルにおける近接システムへの干渉も低減するために、携帯パーソナル無線デバイスからの送信電力を制限するという要求も存在する。
【0006】
受信アンテナに2つ以上の方向から同時に到達する無線信号の構造物および物体によって誘導されたマルチ反射は、受信機に与えられる無線周波数の符号化されたデータの時間歪みおよびフェージングを生じさせ得る。無線搬送される情報を信頼性高く、低コストで、かつ高速で送受信するには、フェージングおよび到達時間の歪みが最小である、高強度の、かつ高い質の信号が必要である。例えば現在のIEEE802.11a/b/g規格に基づく無線アクセスポイント無線は、一般にビル内のある領域をカバーするのに簡単な全方向アンテナまたは適度な指向性を有するアンテナを一般に使用している。標準的なアクセスポイントの無線設備は、ビル構造物内の単一の特定ロケーションにおいて、壁に設置された1つのアンテナまたは恐らくは3つまでのアンテナを使用できる。次に、この無線設備はユーザーの無線デバイスに到達するためにビルの障害物および内在物およびそのまわりに通過させ、できるだけ遠くに信号を放射しようとする。同じ場所に設置された多数の受信アンテナからの信号を、受信機をベースとするソフトウェア処理をすると、信号の質をある程度改善できるが、信号がとった物理的に群となっている反射パスにおいて、既に大きな時間遅延拡散歪みおよび振幅歪みを受けている送信信号は、適度に良好な再生しかできない。
【0007】
無線信号がビル内に一般に存在する壁、パーティション、床、階段吹き抜けおよびその他の構造物および物体を通過することにより生じる振幅の減衰および反射遅延に起因して集中アンテナを使用するときに、高速無線データ、音声およびビデオサービスのユーザーに信頼できる通信サービスを提供することが次第に困難となっている。
【0008】
無線送信機の最大出力パワーを制限する政府の規制の環境内で、信頼できる通信を行う十分で、かつ予測可能な信号強度および質で、施設内の必要なすべての領域をカバーする試みが続けられて(かつ増加して)いる。特に、デジタル無線システムにおける、次第に高くなるデータレートにより、それに付随する、より高いレベルの符号化と共にフルスピードの信頼できる運用をサポートするために、より高い信号対ノイズ比およびより高い信号の質が必要となっている。
【0009】
受信技術は現在のシステム設計における感度の理論的限界近くに達しつつあるので、上記周波数レンジにおける無線機の感度の改良によるこれら無線通信の問題を解決することは、次第に困難な状況となっている。高速デジタル信号プロセッサを使用することは、データの再生率を多少改善できるが、このことは、より多い電源ドレイン量を犠牲に、ポータブルシステムにおけるバッテリーの寿命をより短くし、ソフトウェアをより複雑にし、コストを高めてしまう。送信機の出力パワーおよび受信機の感度が制限されている場合、より高いデータレートおよび現在のシステム設計を使用するシステムは、より狭い作動レンジに制限されるので、所定の領域をカバーするのに、より多数の無線トランシーバを必要とする。このことによって、システムのコストが高くなり、共通するチャンネル周波数を共用しなければならない近接領域で無線機間で干渉する危険性が高くなっている。
【0010】
IEEE802.11a/b/g通信の他に、2.4GHzおよびそれより高い周波数レンジで作動するその他のタイプの無線システム、例えばブルートゥース、ジグビー(ZigBee)およびRFIDシステムは、より効率的な信号分配システムを必要としている。これら技術に対する規格は、部品を小型化し、機能ごとのコストを低減し、電源からの全体のデバイスドレイン量を低減するために、より簡単な符号化フォーマット、より低いデータレート、より小さい電力パワーおよびより低い受信機感度を指定している。これらファクターのいくつかが組合わさり、これらタイプのシステムの通信レンジまたは経済的な設置を制限している。ある状況では、限られたレンジが望ましいが、所定の信号強度および質で所望する領域をカバーするのに、ほとんどの無線システムにはカバー範囲および/または能力が限られているという問題がある。
【0011】
各無線デバイスのための基地ユニットアンテナを接近させ、同じスペクトルを共用する近接無線送信機が、構造物およびその他の物体を通過する最大通信レンジを得ることができるように、大パワーで作動するときに、特に同じ周波数バンドで作動する異なるタイプの無線デバイス間が非コンパーチブルであることも、大きな問題である。
【0012】
構造的な障害物によって生じる減衰および/または遅延歪みを克服するための試みとして使用されて来た1つの方法は、電磁波をリークすることが容易なラジエータを使用する施設の一部内で信号を分散させることである。このタイプのラジエータは通常形状が特殊なタイプの同軸ケーブルとなっており、この同軸ケーブルはケーブルの全長にわたって、制御された放射量をリーク、すなわち放射できる、外側導線内の孔またはスロットを使用している。このタイプのリークの容易な線状のラジエータには、リークの容易な同軸ケーブルの実際の直径で固有の、比較的大きい長手方向の信号減衰量に起因し、より高い周波数で多数の欠点がある。この特性により、即座に、特にマイクロウェーブ周波数において、使用可能な長手方向および直交カバー距離が制限されている。リークの容易な同軸ラジエータの他の欠点として、カップリング量を変える能力が欠如していること、すなわちケーブル内でのリニア損失を補償するために、ケーブルの長手方向に沿ったリークレートを変えることができないこと、およびケーブルに直交する360°のゾーン、および全長に沿った放射および受信特性が望ましくないことを挙げることができる。使用したいユーザーは一般に、例えばケーブルの下方に位置するので、ラジアル方向にフルに放射することはほとんどの使用例で不利である。この場合において、ケーブルから上方向への放射は、上部のビルの構造物内で吸収されることによって無駄となり、リークの容易なラインよりも上方で生じた信号からの進入を受ける可能性も生じさせる。ケーブルが上下に通過している、使用を意図しない領域におけるリークの容易なケーブルからの放射も、信号パワーの望ましくない無駄であり、防止することが困難である。その理由は、信号を選択的に特定ゾーンに送り、他のゾーンには送らないようにする、リークの容易なケーブルシステムを実現することは困難であるからである。
【0013】
リークの容易な同軸ケーブルラジエータを使用するとき、このラジエータは通常、天井より上の空間に設置される。最近のオフィスビルはこれらスペースを暖房、換気および空調(HVAC)システムからの循環空気のためのリターンプレナムとして使用していることが多い。ほとんどの政府が強制している連邦防火基準は、プレナム空気スペース内に火災が発生したときに、HVACシステムを通して人の居住領域に循環する有毒な煙の発生を防止するために、このタイプの環境に設置されるアイテムの組み合わせに対し厳格な制限を課している。この結果、同軸ケーブルおよびプレナムスペース内でサービスを行うように設計された他の任意のタイプの信号部品は、その構造体に特殊な絶縁材料、例えばデュポン社のポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))を使用しなければならず、これにより、このタイプの材料から製造される無線周波数同軸ケーブルは多くの使用例において禁止的に高価なものになっている。これら制限により、現に利用できる技術はHVACプレナムスペース内の使用例に対して設計された実用的で効率的な、隠された無線分配システムも提供できなければ、プレナムスペースのサイト外に設置されるように設計された無線分配システムも存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書に説明する新しい技術および方法は、当技術分野における現在の技術の上記およびそれ以外の欠点を解決する解決案を提供するものである。
【0015】
(概要)
本明細書に開示する技術および原理は、無線分配システムを提供するものであり、より詳細にはビル、例えばオフィス、工場、倉庫、学校、家庭および政府施設およびオープン領域、例えばスポーツスタジアム、公園、道路および鉄道において無線信号を分配し、収集するための高効率の導波管をベースとするシステムに関する。本明細書に開示する要旨の1つの特徴によれば、簡略化された、高効率の、導波管をベースとする無線分配システムが提供される。ここに開示する導波管をベースとする無線分配システムは、信号源からの無線信号を、信号受信機の近くのロケーションにトランスポートする。無線導波管は中空横断面の構造建建築部を備え、この中空横断面構造的建築部は導電性の内側表面を含む。少なくとも1つの無線通信信号カップリングデバイスは、無線導波管に沿った少なくとも1つの所定の開口ロケーションにおいて、無線導波管に一部が挿入されている。インピーダンスマッチング回路がカップリングデバイスの出力を、少なくとも1つの無線信号ラジエータのための少なくとも1つの接続ポイントに接続している。ここに開示するシステムの構造および作動により、異なる多数のコンフィギュレーションおよび実現例が可能である。
【0016】
本明細書に記載する説明から、ここに開示する要旨の上記およびそれ以外の特徴だけでなく、新規な追加的特徴が明らかとなろう。この概要の目的は、請求項に記載の要旨の包括的な説明ではなく、むしろ要旨の機能の一部の短い概略を説明するものである。当業者が添付図面および詳細な説明を検討すれば、本明細書に記載する他のシステム、方法、特徴および利点が明らかとなろう。この明細書の説明に含まれるような、かかる別のシステム、方法、特徴および利点のすべては、特許請求の範囲内にあるものと見なすべきである。
【0017】
添付図面と共に、下記の詳細な説明を読めば、本明細書に開示する要旨の特徴、性質および利点がより明らかとなろう。図中、参照番号はこの説明全体に記載されている種々の要素を識別するものである。
【実施例】
【0018】
(特定の実施例の詳細な説明)
開示する要旨は、添付図面に示された導波管をベースとする無線分配システムの種々の実施例を含み、同様な参照番号はいくつかの図面にわたって同様な部品およびアセンブリを示す。種々の実施例を参照しても、請求項に記載した要旨の範囲を制限するものではない。
【0019】
「無線」および「ラジオ」なる用語は、特定の通信方式および/または周波数(例えばIEEE802.11b、ブルートゥース)などを表示しない限り、任意の形態の無線、すなわち任意の使用可能な周波数における無線信号通信を一般に意味するよう、詳細な説明全体にわたり、同義語として使用する。
【0020】
導波管システム
図1は、所定のバンドパス周波数レンジにおいて、請求項記載の要旨の特徴に従って構成された導波管をベースとする無線分配システム10の一実施例を示す。この導波管をベースとする無線分配システム10は、導波管11を備え、この導波管は開口部24および/または54および/またはスロット28を備えた1つ以上の導波管セクション12と、セクションコネクタ22と、端部アセンブリ14および16と、取り付けられた補助アセンブリ30、52および34から構成されている。
【0021】
本明細書は信号源から導波管を通した、放射無線通信デバイスへの無線信号エネルギーの送信、更に自由スペースを通し、受信デバイスに取り付けられているアンテナへの無線信号エネルギーの送信について説明を集中する。導波管をベースとする無線分配システムは、無線信号の1つ以上のラジオデバイスへの分配、および1つ以上のラジオデバイスからの無線信号の受信を行うように、双方向に作動する。従って、例えば導波管11に取り付けられている信号カプラーに接続されたアンテナ、または導波管11内に形成されたスロットラジエータは、無線信号を送受信するよう、双方向に作動する。
【0022】
導波管11は、セクションコネクタアセンブリ22を使って導波管セクション12をタンデム状に一体となるように、機械的かつ電気的に接続することによって形成されている。1つ以上の導波管セクションは、電気または磁気カプラー52または34をそれぞれ取り付けるようになっている、あらかじめ形成されたカプラー開口部24および54を含むことができ、および/またはラジエータスロット28を含むことができる。図5A〜5E、6および7を参照し、導波管11の内外に信号を結合するための実施例について説明する。図8A〜8Cを参照し、導波管セクション12を接合するためのセクションコネクタの一例について説明する。
【0023】
図1に示された導波管をベースとする無線分配システム10および導波管11は、導波管端部アセンブリ14(最初の端部と記載)において、信号エネルギーを注入/抽出するようになっており、この場合、導波管11の反対の端部アセンブリ16は、導波管のインピーダンスに等しいインピーダンスで終端されている。開示される要旨の特徴によれば、導波管11は、導波管11からの無線信号を効率的に結合するためのカプラーデバイスおよびインピーダンス変換回路を使用する導波管に沿った所定の負荷(アンテナ)取り付けポイントを有するように構成されている。別の構成として、(a)インピーダンス終端がマッチングされた導波管端部アセンブリ14および16の双方を設け、更に信号注入/抽出するための1つ以上の中間導波管セクションを設ける構成、および(b)異なる周波数および適当なフィルタ/合波器を使用して、信号注入/抽出するための導波管端部アセンブリ14および16を設け、各端部も反対の端部から注入された信号周波数でインピーダンス終端をマッチングさせるようになっている構成を挙げることができる。
【0024】
導波管の最初の端部には導波管端部アセンブリ14が設置されており、このアセンブリは同軸コネクタ20を備える。例えば信号インターフェースアセンブリ30により、導波管11に無線信号が与えられ、またはこの導波管11から無線信号が抽出されるようになっている。信号インターフェースアセンブリ30は、その同軸コネクタ42から対応する導波管端部アセンブリ14の同軸コネクタ20に接続されており、信号インターフェースアセンブリ30は導波管を励起するための適当な4分の1波長、またはその他の適当なプローブを含む。例えば信号インターフェースアセンブリ30は、送信機、受信機、トランシーバ、1つまたは複数のフィルタ、合波器、デュプレクサ、1つまたは複数の増幅器またはこれらの任意の組み合わせ、もしくは導波管11の内外に無線信号を接続するようになっている他の任意の受動的または能動的無線周波数デバイスとすることができる。信号インターフェースアセンブリ30は、端部アセンブリ14の同軸コネクタ20に直接接続してもよいし、または他の手段、例えば適当な同軸ケーブルまたは他の任意のタイプの適当な信号ケーブルによって接続してもよい。無線分配用の情報は、入力ポート32を介して信号インターフェースアセンブリ30へ結合され、入力ポート32は1つまたは2つ以上の信号パスを有することができる。
【0025】
導波管端部アセンブリ14に与えられる無線信号は、導波管11を通して伝搬し、電気または磁気カプラー52または34にそれぞれ接続された電気または磁気プローブに結合されている。カプラー52または34は、導波管11の長手方向に沿った所定のポイント24に取り付けられ、挿入されている。いずれのタイプのカプラーの出力も、次にインピーダンスマッチング回路を通して、直接または中間送信ラインを通して、出力コネクタ上のアンテナに結合されている。導波管11内の信号も、ラジエータスロット28を通して直接フリースペースへ送信することもできる。好ましい実施例に関する、図5Aおよび5Bを参照して更に説明するように、導波管セクション12の少なくとも一部は、あらかじめ形成されたカプラー開口部24および54、もしくはラジエータスロット28を備える。導波管に沿った開口部ロケーションで、カプラーまたはスロットを使用しない場合、導波管11の信号の完全性を維持するために(例えば導電性接着テープにより)これらあらかじめ形成された開口部が最初にカバーされる。カプラー開口部および/またはスロットラジエータにおける選択されたアンテナ取り付けポイントは、導波管11に沿ったロケーションにおいて、信号の抽出/放射をおこなえるように、システムの構成中または設置中に導波管セクション12の選択されたロケーションではカバーされない。アンテナ36および/またはラジエータスロット28によって放射される信号26は、ラジオ受信機40によって受信され、デコードされる。
【0026】
図5A〜5Eおよび図6並びに7を更に参照して説明するように、導波管に沿った選択されたロケーションには信号カプラー34および52が設けられており、これらカプラーは主に調節可能な信号プローブを使用することにより、導波管11から所定量のエネルギーを結合する方法を実行するために主に使用される。カプラーのプローブのインピーダンスとアンテナのインピーダンス(一般に50Ω)との間のマッチングも行われる。
【0027】
導波管11の内外へ電磁信号26を結合するすべての方法は、アンテナ36またはラジエータスロット28のいずれかの受信ゾーンに位置する取り付けられたクライアントアンテナ38を通して無線機40へ送信される信号の振幅を調節できる。
【0028】
関連するアンテナ/信号カバープランを含む請求項に記載の要旨に係わる導波管をベースとする無線分配システムの特定の実現例は、詳細な説明および公知の導波管の設計原理の教示内容に基づく設計上の選択事項である。基本的な設計上の検討事項として、(a)導波管の構成(例えば横断面およびその内部の導電性)、(b)アンテナの選択/設計、(c)アンテナの設置および(d)信号結合係数(例えば導波管から抽出される信号エネルギー)を挙げることができる。これら設計上の検討事項は当業者であれば理解できるような相互に関連する設計上の妥協点を示す。
【0029】
図5Aおよび5Bを参照して更に説明するように、導波管11のための好ましい横断面の構造は、極めて高導電性であり、スムーズな内側表面を含む楕円横断面を有する中空形状となっている。この横断面の構造は設計上の選択事項である。当該周波数での導波管の伝搬をサポートする一貫した横断面および寸法の任意の長手方向の形状のように導波管に対しては一般に、例えば四角形または円形の横断面の形状が一般に使用されており、これら形状を使用することができる。導波管セクション12に対する設計上の検討事項として、周波数のバンドパス、伝搬効率、物理的ロバストネス、設置上の制限/条件および可能な建築学的/美的検討事項を挙げることができる。
【0030】
図2Aおよび2Bは、3つのオフィスおよび無線シールドされた領域112に関連するアンテナ/信号カバープランをそれぞれ示し、ここでは構造的要素74が屋根または地面より上の床であり、構造的要素96が地面の床となっている。(選択された横断面の)導波管11は、吊り下げ天井78および屋根/床構造要素74によって境界が定められたスペース76を通過しており、オーバーヘッドロケーション72における領域に進入し、オーバーヘッドロケーション84における領域を出ている状態に示されている。この導波管システムは、一方の方向または両方向にオーバーヘッドロケーション72または84を越えて伸びることができ、最終的に図1に示されるような導波管端部で終端している。
【0031】
吊り下げ天井78より上の空気76の容積部は、プレナムスペースとなっており、このスペースは暖房、換気および空調(HVAC)システムにおける戻り空気のために一般に使用されている。このスペースは、所定のガスの毒性に起因し、このタイプの領域に入れることができる材料のタイプの制限を受けることが多く、このガスはプレナムスペース内の火災または配線の過熱の発生時に、ビルの居住者に有害となり得るくすぶりまたは引火物質から生じる。本明細書の導波管システムの実施例はHVACプレナムスペースに関係するような防火および安全性基準の条件を満たすようになっている。導波管アセンブリ11は、同軸コネクタ20および信号カプラー52および34で使用される絶縁体を除けば、すべて金属で構成でき、これらはいずれも極めて少ない容積のプレナム定格の絶縁材料を使って製造できる。
【0032】
導波管11は現在存在する壁または他の構造要素、例えば防火壁80を通過するように設置できる。これとは異なり、壁の一方の側面で(例えば図1に示された終端端部アセンブリ16のように)導波管11を終端でき、次に適当な同軸ケーブルに接続でき、必要であれば、この同軸ケーブルをプレナム定格とすることができ、同軸ケーブルを壁に通過させ、次に壁の反対側で別の同軸セクションの最初の端部アセンブリ14に接続してもよい。
【0033】
所定の導波管設備に対し、アンテナ/信号カバープランは、アンテナの利得およびパターン、アンテナの設置場所および信号結合係数に基づくルーチング作業の設計上の妥協によって決定される。これらファクターのいずれも、組み合わされて、指定されたユーザー領域における信号レベルを所望するレベルにできる。図2Aおよび2Bに示されたアンテナ/信号カバープランは、3つのオフィスに対し(オーバーラップ信号ゾーン108を含む)信号ゾーン104および110、および無線シールド領域112における別個の信号ゾーンカバー範囲を有する信号分布プロフィル(図2Bに示されたフロア照射)を提供している。
【0034】
従って、2つのアンテナ/カプラー36Aおよび36Bにより3つのオフィスがカバーされており、アンテナ37は2つの部屋を主にカバーするように配置されており、この結果、オーバーラップする信号ゾーン108によって3つの部屋がフルにカバーされている。アンテナ/カプラー36Aおよび36Bは、図1に示されるような信号カプラー34および52を使用しており、これらカプラーについては図5A〜5Dおよび図6および7を参照して、より詳細に説明する。これらカプラーは、各領域に対して必要な信号結合係数に基づき、導波管11からの信号エネルギーを結合する。
【0035】
アンテナ/カプラー36Aおよび36Bは、各信号結合係数およびアンテナデザインによって設定される、あらかじめ選択した信号レベルで信号を放射し、吊り下げ天井78を通してそれぞれの信号ゾーン104および110を照射するが、この天井はかなりの量のマイクロウェーブエネルギーを吸収することもなければ、反射することもない。
【0036】
金属被覆壁92および金属カバー天井86によって構成された無線シールド領域112は、シールドされた無線周波数障害物となり、このような障害物は、例えば壁構造体内に金属サイディングおよび金属パネルを使用する食料保管領域内のウォークイン冷却器、医療設備における放射線ルームおよびビルの一部を含む構造物内に存在することが多い。このタイプの無線シールドされた領域112をカバーするための一実施例は、同軸ケーブル90を使用しており、このケーブルはカプラー83に接続されると共に、金属天井86内の開口部82を通過し、次に無線シールドされた領域に照射を行うアンテナ94に接続されている。
【0037】
アンテナ/カプラー36Aおよび36Bは、任意の放射結合デバイスとすることができ、これらデバイスは指定された領域を照射するのに必要な信号強度および三次元の信号ゾーンカバーパターンのための設計検討事項を満たし、これら検討事項はビルの法規、規制、環境条件および各オフィス、学校、政府施設、工場、倉庫、居住構造物またはこれらデバイスが設置されるその他の構造物の所有者が課す美的条件を満たさなければならない。
【0038】
アンテナ36Aおよび36Bとして示されたアンテナ/カプラー構造の別の構造として、アンテナとして作動する放射スロット(例えば図1に示される放射スロット28)を、例えば使用する領域をカバーするのにスロット放射器からの、あまり合焦されていない放射パターンで十分となっている使用例で使用できる。導波管から出力結合される信号量は、例えば図3Bにおいて132および134で示される、あらかじめ設置されたスロットの有効寸法を調節することによって変えることができる。
【0039】
ビルの内側壁98は、アンテナ/カプラー36Aおよび36Bからの放射を比較的透過するように見え、これら壁は、壁に対して基本的には直角に入射する信号の進入を可能にする。このような効果は、一般的な壁ではビル構造体は木または金属スタッドによって構成されており、これら壁はドライ壁(シートロック)材料によってカバーされており、これら材料は図示するように、一次元において直角に接近した場合、低いマイクロウェーブエネルギーの通過を可能にし、その結果生じる信号の減衰または反射を適度なものにするからである。構造体内の2つ以上の部屋には、この技術を本開示において適用する際に、この方法を使用することによってマイクロウェーブ信号を照射できる。
【0040】
構造物においてオーバーヘッドラジエータを使用することによって信号ゾーンを照射する、図示した方法は、現在の単一ポイント無線設備が受ける多くの付随的問題を解消できる。このような単一ポイント無線設備は、一般的な設備の内部にある金属スタッド、家具、機械、静止している人および動いている人の双方、および機器による吸収およびこれらからのマルチパス反射に起因する広範な信号劣化を受けた無線信号を回復するための試みとして、1つまたは数個の同じ位置に設置された受信アンテナに依存している。本願の導波管をベースとする無線分配システムにより、指定された各信号ゾーンにおいて、選択可能な、プリセットされた信号強度を適用することが可能となり、この無線分配システムはマルチ反射によるエンベロープ遅延歪みが少ないことに起因し、信号の質の劣化が少ないという別の利点を提供できる。このシステムは、サービス対象の領域内のクライアント無線デバイスに対し、信号強度、一貫性、質およびデータレート保証が改善された信号により、カバー範囲の面積の大幅な拡張を可能にすることもできる。使用する領域外の他の受信機に対する干渉を生じさせ得る過剰な信号も大幅に低減され、この過剰な信号によって、例えばブルートゥース(登録商標)またはZigBeeによるIEEE802.11b/gのような、かかる近接サービスが同時に存在できるようにもする。
【0041】
図3Aおよび3Bは、本開示の特徴に従った構造的建築部となるように、導波管11を一体化するための別々の実施例をそれぞれ示す。図3Aはビル内での建築表面の代表的な合流を示す水平表面120と垂直表面122とを示す。導波管11は、これら表面の交差部に位置する、例えば美的なカバートリム124内に収納されている。本例ではダイポールアンテナとして示されているアンテナ124は、アンテナカプラー52または34を介して導波管11に結合でき、更に無線機40のクライアントアンテナ38に対して信号26を放射するのに使用できる。導波管ラジエータはラジエータスロット28から同じように構成でき、この場合、導波管11をカバーする材料はマイクロウェーブエネルギーを透過できるか、またはそれに近いものでなければならない。
【0042】
図3Bは締結器134および136により垂直支持ポスト142に取り付けられた、ハンドレールとして構成された導波管セクション12を示す。ラジエータスロット28は多数の可能な位置のうちの2つに示されている。ラジエータスロット28は必ず導波管の壁(ハンドレール)内に進入するので、これらスロットはオーバーレイ材料、例えばプラスチックによって被覆でき、この材料は導波管を湿気および有害な物体の侵入から保護するよう、導波管をシールする。このカバー材料は導波管から出る信号に対して減衰率が低いものでなければならない。スロットのサイズは寸法が固定されていてもよいし、またはこの位置において導波管から放射される信号レベルの値および方向の変動に適応するように現場で調節自在でもよい。二重目的の締結器134は、支持ポスト142に導波管11を機械的に締結する別の手段であり、可変ラジエータスロット132を内蔵し、このスロットはスロット132の1つ以上の寸法を変えることにより、導波管セクション12からの放射量を調節するのに使用される。
【0043】
図3Cは、ラジエータスロット128により壁140に取り付けられたハンドレールとして使用される導波管11を示す、図3Bの変形図である。ラジエータスロット28、128および132はいずれも、放射信号26を介し、クライアントのアンテナ38に対する放射信号26により、無線機40と通信する。特定の使用例に対して図3Bと図3Cとの間で各設計の要素を交換してもよい。
【0044】
図3Dおよび3Eは、オフィスおよび工業的サイトにおけるオーバーヘッドスペースで一般に見られるキャリアトレイと共に設置するようになっているか、キャリアトレイ内に一体化するようになっている導波管をベースとする無線分配システムの実施例を示す。トレイ121は一般にケーブル、パイプまたは抱くと123を指示する。図3Dを参照すると、トレイ121には導波管125、127および129が取り付けられている。ケーブル/パイプ/ダクトキャリアトレイ121と、1つ以上の導波管要素とを組み合わせると、この複合体により、より簡単な多機能装置が得られ、この多機能装置内に、本明細書に開示する要旨の特徴に従った導波管をベースとする無線分配システムの一部として使用される導波管に沿ってケーブル、パイプまたはダクトを設置できる。
【0045】
導波管125、127および129からのエネルギーを抽出/結合するために、導波管に沿った、あらかじめ選択されたロケーションにて導波管125、127および129に対して信号カプラー52または34を介してアンテナ36が結合されており、導波管125、127および129は、導波管での伝搬をサポートするような任意の横断面形状とすることができる。各アンテナに対し、例として示された電気信号カプラー52は、アンテナコネクタ44に接続され、上記導波管からの所定量の信号エネルギーをアンテナ36に結合し、選択されたアンテナ/信号カバープランに従って信号エネルギーを放射する。同じ機能を達成するのに、導波管125、127および129内のスロットラジエータも使用できる。
【0046】
図3Eは、キャリアトレイ124を示し、このキャリアトレイは、トレイ構造体と一体化された(その一部として製造された)1つ以上の導波管要素131および133を備え、これら導波管要素131および133は、導波管での伝搬をサポートする任意の横断面形状とすることができる。図3Dに示されるように、アンテナ36による放射のために、導波管要素131および/または133からのエネルギーを効率的に抽出するよう、信号カプラー52または34を使用できる。これとは異なり、電気カプラー52/アンテナ36、または磁気信号カプラー34/アンテナ36の代わりにスロットラジエータを使用してもよい。
【0047】
図4A、4Bおよび4Cは、例えばIEEE802.11aおよびXM Radioのような異なる周波数バンドで作動する2つ以上の異なる通信方式のために、別個の導波管分配システムを組み合わせるための別の実施例を示す。図4Aおよび4Bは、基本作動モードで使用されるときに異なるバンドパス周波数で作動する大きい導波管150および、比較的小さい導波管152の横断面を示す。この方式を使用し、RF合波器/デュプレクサ技術を使用する各導波管において、使用可能な周波数グループを組み合わせることにより、多数のグループの周波数に適合できる。導波管150と152は、1回のプロセス、例えば金属またはプラスチックの押し出し技術で共に接続してもよいし、または別々に製造し、次に機械的に一体となるように取り付けてもよい。導波管150および152の内側表面は、スムーズで、高導電性表面、例えば銅、銀、アルミまたは金から構成されている。
【0048】
図4Cは、共通密閉体155内に2つの導波管150および152を収納する方法の一例を示す。外部アンテナに接続するための導波管接続ポート160は、導波管150および152に取り付けられた信号カプラー(図示せず)から形成されている。これとは異なり、スロットが壁を通して放射できるように密閉体155を配向してもよく、この場合、壁はマイクロウェーブエネルギーの通過を大幅に阻止しない材料、例えば適当なプラスチックまたはセラミック材料から製造できる。別の方法として、ラジエータスロット156を、例えば導波管150内に形成された内側放射スロット(図示せず)に隣接する金属バージョンの密閉体155に設けた開口部とすることができ、このスロットは内側スロットラジエータの放射フィールドパターンの特徴を大幅に歪まさないように十分大きく製造される。
【0049】
導波管および信号の抽出
図5A〜5Bは、図1に示されるように、信号カプラー34および52を使用して導波管セクション12から信号エネルギーを出力結合するための実施例を示す。導波管セクション12は導波管11を形成するように一体に接合することが好ましい。図6および7は、2つのタイプのカプラー、すなわち電気カプラーと磁気カプラーのための好ましい実施例をそれぞれ示す。
【0050】
図5Bを参照する。好ましい実施例に対し、導波管セクション12は無線周波数エネルギーを効率的に閉じ込めて、このエネルギーを伝搬させるような任意の材料から製造された、横断面が楕円形の中空体である。例えばこの楕円導波管セクション12は、プリカーサ形状を押し出し、引き抜きまたは変形する、他の任意の手段により金属またはプラスチックから製造され、最終横断面における寸法および比を適当な値とし、マイクロウェーブエネルギーを効率的に伝搬させることができる。この結果得られる導波管の内側表面はスムーズで、高導電性の表面となっていなければならず、例えば銅、アルミ、銀または金の金属表面となっていなければならない。導波管セクション12の端部は、導波管セクション12の端部の外側に嵌合するように製造された、他の導波管セクション12または図5Cおよび5Dに示される導波管端部シュラウドアセンブリ18のいずれかにより、相補的なエッジ間の嵌合を可能にするように形成されている。
【0051】
導波管セクション12を製造する別の方法は、図9Aおよび9Bに示されるようなコーティング314および320で示されるような高導電性材料、例えば銅、アルミ、銀または金により、選択されたプラスチックまたは金属の長手方向形状の内側表面をライニングまたはコーティングすることを含む。この方法を使用する場合、内側の導電性表面を導波管セクション12の端部の面に連続させることにより、信号カプラー34および52、並びに端部アセンブリ14または16をコーティング314および320に直接接続することによって適合化を行うことができる。
【0052】
本開示の原理を実施するための導波管の使用は、中空導波管の他の横断面の形状の構造、例えば四角形または円形の使用、または中空でない導波管、例えばトラフ、同軸またはストリップラインタイプの伝送ラインの使用を含む、特定の使用例の設計上の妥協に基づく設計上の選択事項である。
【0053】
中空導波管の形状のすべては2つ以上の送信モードで作動できる。本実施例は、これらモードのうちの1つ以上のモードで同時に作動できる。例えば導波管の横断面が楕円形である場合、eH11およびoH11モードで効率的に伝搬するような周波数レンジによって、これら双方のモードを使用できる。楕円導波管の寸法は2つのモードの各々に適用される周波数の別々のグループを分離するように選択することが好ましい。例えばoH11モードのカットオフ周波数は、別の同時eH11モードで使用される最高周波数よりも高くなるように選択できる。選択される導波管の横断面が楕円形であり、1つの周波数グループしか伝搬すべきでない場合、eH11モードの作動が好ましい。
【0054】
導波管セクションに対し、図5Aおよび5Bを参照すると、信号抽出は導波管に取り付けられた信号カプラー34および52を使用して行うことが好ましく、および/または導波管内に形成された1つ以上のラジエータスロット28により信号を抽出してもよい。これら信号カプラーおよび/またはスロットは、例えば図2Aおよび2Bに示されるように、所望する無線信号分布プロフィルを得るように、導波管12上にあらかじめ位置決めするか、または製造後に選択可能なポイントに位置させる。図6および7を参照し、信号カプラー34および52の好ましい実施例について説明する。
【0055】
図5Bに示されるように、楕円導波管セクション12の広い面に位置する、好ましくはあらかじめ形成されたカプラー開口部24内に、電気信号カプラー52を挿入するか、または好ましいeH11導波管モードで各々が作動できるように、導波管セクション12の狭い面に好ましくはあらかじめ構成されたカプラー開口部54に、磁気信号カプラー34を挿入する。開口部の好ましい位置は通常、導波管の面の中心ラインに沿って位置するが、中間位置からずれていてもよく、一部の使用例ではこのようにずらすことが好ましい場合がある。電気信号カプラー52および磁気信号カプラー34は、製造時にそれらの結合係数となるようにあらかじめ設定してもよいし、または特定の使用例の条件を満たすように現場で調節してもよい。
【0056】
図5Aに示されたプローブの設置は楕円導波管モードeH11の設置を仮定している。表示される位置で使用されるときのいずれかのプローブは、eH11モードで励起する。別のモード、例えばoH11モードを使用する場合、図5Aに示される2つのタイプのプローブの位置を反転しなければならない。特定の導波管がサポートする他のモード、例えばオーバーモード動作を選択することができる。この場合、導波管の自然の(より低い)カットオフ周波数よりもかなり高い周波数を使用する。オーバーモード動作をするには、モード抑制デバイス、例えば翼を導波管の内部に設置しなければならない場合がある。
【0057】
図6Aを参照して更に説明するように、導波管セクション12内への電気プローブ210の挿入深さを制御することにより、電気信号カプラー52の結合係数を変えることができる。図7を参照して更に説明するように、サンプリングループ268の面積を変え、および/またはその軸線を中心として回転(268)することにより、導波管セクション12内の信号の直交磁界ラインに対するプローブループ268の面積を最大にすることにより、磁気信号カプラー34の結合係数を調節できる。
【0058】
図5Bは、2つのラジエータスロット28、電気信号カプラー52のためのカプラー開口部24および磁気信号カプラー34のためのカプラー開口部54を有する導波管セクション12を示す。現場で使用する前に、導波管セクション12に対するすべての開口部を導電性材料170により被覆することができる。導電性材料170を固定する機械的手段を使用してもよいし、または導波管セクション12の連続する壁の一部として導電性材料170が電気的に見えるようにできる適当な接着材料により、導電性材料170を固定してもよく、この場合、材料170は、この導電性材料170が所定位置にあるときに導波管内部での信号の伝搬を大幅に乱すことはない。
【0059】
図5Cおよび5Dは、導波管11の端部において同軸ケーブルから導波管への移行を行う端部アセンブリ14または16を示す。電気的かつ機械的なアース接続174により、端部シュラウド18に同軸コネクタ20が締結されている。この端部アセンブリの内部において、同軸コネクタ20の中心導線はプローブ21に取り付けられており、このプローブ21は端部アセンブリの反射端部174から作動周波数において約4分の1波長だけ離間している。プローブ21は、直径が約0.02波長であり、所望する作動周波数において、約4分の1波長の長さとなっていることが好ましいが、一部の使用例では、直径をこれより大きくするか小さくするかしてもよく、導波管に対してプローブのインピーダンスマッチングを最良にするよう選択される。端部アセンブリ内部のプローブ21の長さを調節しながら、これと同時に反射端部178からのプローブ21の距離を調節することにより、導波管11からプローブ21への最大効率のエネルギー伝達が得られる。
【0060】
導波管セクション12に端部シュラウド18をスライド嵌合できるように、かつ良好な機械的、電気的接触が得られるよう、端部アセンブリ14または16の横断面形状の周辺部は導波管セクション12の横断面形状よりも若干大きく構成できる。端部シュラウド18は高導電性金属から製造することが好ましく、製造コストを最低にするためにできるだけ薄い肉厚とし、かつ使用する形状を支持するのに適当な強度とすることが好ましい。レリーフスロット175を、導波管セクション12の端部に設置し、導波管セクション12に端部シュラウド18を良好に電気的かつ機械的に接触できるように圧縮すると、アセンブリのリップの周辺を若干縮小する手段となる。端部シュラウド18は導波管および端部シュラウド18のまわりに機械ストラップを使用するか、または他の適当な任意の固定デバイスを使用することにより、所定場所に係止し、導波管セクション12に良好に電気的に接触させることができる。端部シュラウド18のための別の許容できる横断面形状は、導波管セクション12の端部形状および寸法に一致する形状である。この場合、端部シュラウド18は機械的コネクタおよびクランプ方法、例えば図8Cに示されているものと同様なコネクタおよびクランプ方法を使って、導波管セクション12に取り付けられることになる。
【0061】
端部シュラウド18の内側表面179は、導波管アセンブリ14または16内部での電力散逸を最小にするよう、最低作動周波数における有効無線周波数導電性のスキン深度の約5倍よりも厚い、好ましい厚さを有するような、高導電性材料、例えば銅、アルミ、銀または金となっている。
【0062】
図5Eは、導波管セクション12が2つの別個のグループの周波数F1およびF2を同時に挿入抽出するよう構成された別の実施例を示す。楕円導波管内の2つの軸線の面の中心内に実質的に同一の電気信号カプラー52が直角に挿入されている。同じグループの周波数を使用することができるが、一方の軸から他の軸への結合の起こり得るモード(モードホッピング)の競合を最小にするために、2つのグループの周波数は別個の周波数バンドとなっていることが好ましい。技術文献に説明されているように、選択される導波管タイプの寸法を正しく選択することによってこのような周波数バンドの分離を高めることができる。オプションとして、図5Eのように、双方の軸に対して磁気信号カプラー34を電気信号カプラー52に置換してもよい。2つの同時モードを使用する場合、図5Dに示されるように、端部アセンブリ14および16に別の直交するプローブも取り付けなければならない。これによって第2モードの伝搬および終端が可能となる。この第2プローブ173は、プローブ21と同一の特性を有し、面の中心に沿って設けられた開口部内に位置しなければならず、かつプローブ21から約4分の3波長離間すると共に、導波管の端部から離間するように位置することが好ましい。
【0063】
信号カプラー
図6は、導波管セクション12の内外へ無線信号を結合するための好ましい電気信号カプラーを示す。この電気信号カプラー52は、4つのセクション48、216、218および220から成る。
【0064】
セクション48は、同軸コネクタの出力ポートの外観を有し、ネジ切りされたアースシェル186、絶縁スペーサ184および中心導線182から構成されている。同軸コネクタ48およびその類似する同軸構造は、適当なインピーダンスの標準的または非標準的同軸コネクタと嵌合するように任意に設計でき、雄型、雌型または雄型兼雌型でよい。中心導線182の外径、アースシェル186の内径および絶縁スペーサ184の相対的誘電率のサイズパラメータは、コネクタのインピーダンスを決定すると共に、基地の公式および設計基準に基づいて選択される。セクション216を直接アンテナの給電システムに接続する場合、同軸コネクタ48は省略できる。
【0065】
導波管の電界からエネルギーを抽出するには、導波管内に挿入されたプローブの深さを制御しなければならない。所定量の信号パワーを抽出しながら挿入されたプローブによって生じる導波管内での電界の乱れの大きさを、最小にしなければならない。当技術分野では、導波管内に挿入される電気プローブによって抽出される信号パワーの大きさは、一般に導波管内の最大電界の領域に平行に挿入されるプローブの長さに比例することが分かっている。最大量未満のエネルギーを導波管から結合する場合、4分の1波長より長さの短いプローブを使用できる。4分の1波長未満のプローブを短いアンテナとして見ると、短いプローブは外部の標準的な望ましい同軸インピーダンス、例えば50Ωにインピーダンスマッチングするには極めて不良であることが認識されている。
【0066】
図6に示される電気信号カプラー52に関し、プローブ210をネジとして構成し、このネジは導波管システムの製造中、設置中または設定中に、調節自在な大きさだけ、導波管セクション12の内部に挿入できる。インピーダンスマッチングを行わない場合、導波管に挿入されるプローブは、プローブからミスマッチングされた標準的な非リアクティブ負荷に十分なエネルギーを結合するように、長さが過剰になっていなければならない。導波管に挿入される過剰なプローブ長さは、導波管内部で望ましくないリアクタンスを生じさせ、このことは導波管内で有害な反射を生じさせ、導波管システムから抽出される全パワー量を制限し、更に、使用する周波数バンドにわたる導波管の振幅応答に望ましくない過剰な変動も生じさせる。例えば導電性アース平面より上方に設置された、例えば導波管セクション12の内部に設置された、約0.1波長の短いプローブは、数Ωのレンジの抵抗成分および数百Ωの容量性リアクタンス成分を生じさせる給電ポイントインピーダンスを有する。このようなレンジ内の補正されていないインピーダンスから、標準的な50Ωの負荷へのパワー伝達効率は極めて低くなる。
【0067】
セクション216、218およびオプションの要素208および230の目的は、挿入されたプローブ210のインピーダンスを、同軸コネクタ48への出力に対する標準的なインピーダンス、例えば50Ωまたは他の標準的なインピーダンスに変換し、補正し、最小限に挿入されたプローブ210から信号カプラーの出力に接続されている負荷へのパワー伝達を最大にすることにある。電気信号カプラー52は、導波管から効率的にエネルギーを結合するために、ユニークな構造となっている。
【0068】
外側ソースから電気信号カプラー52を通る信号の流れをトレースすると、まず同軸コネクタ48の中心導線182に信号電圧が加えられる。この中心導線は次に中空の中心導線192に接続されている。同軸コネクタ48およびそれに類似する同軸構造は、適当なインピーダンスの標準的な、または非標準的な同軸コネクタに嵌合できる。絶縁体190によって囲まれた中空の同軸中心導線192をアースシェル188が囲んでおり、絶縁体190は適当な誘電率を有し、所望する作動周波数で消散損失が低い適当な絶縁体とすることができる。セクション216は、所望する作動周波数で4分の1波長の伝送ラインを形成し、同軸コネクタ48を介して電気信号カプラー52が接続される負荷インピーダンスよりも低い適当な特性インピーダンスを有するように計算されている。セクション218は、セクション216よりもインピーダンスが低い4分の1波長の追加セクションとなっている。セクション218の、より低いインピーダンスは、中心導線200の直径を大きくし、および/または所望する周波数で低い消散ファクターおよび高い相対的誘電率を有する絶縁材料198により、周辺中心導線200を囲むことによって得ることができる。相対的に、より高い誘電率を有する絶縁体を使用する場合、セクション218の速度ファクターが減少するので、この結果、この例の構造として示されるように、セクション218は物理的に短くなる。
【0069】
従って、タンデム状に見ると、セクション216および218は、所望する作動周波数およびその近くで2ステージの4分の1波長インピーダンス変換器を形成する。中心導線192は、プローブ210を形成するネジを囲んでおり、このプローブ210は金属スペーサ/コンタクト194により中心導線192内に保持され、コンタクト194は中心導線192の内側低いに電気的かつ機械的に接触する。領域202の底部とスペーサ/コンタクト194の底部との間のスペースは、長さが可変できるが、作動周波数では4分の1波長未満となっている同軸伝送ラインの短縮セクションの内側容積を構成する。
【0070】
4分の1波長未満の短縮伝送ラインのインピーダンスは、誘導性であり、物理的ラインの電気角のタンジェントと同軸ラインの特性インピーダンスとの積に比例するので、プローブ210の内側セクションおよび中心導線192の内側表面によって形成されるインピーダンスは、導波管セクション12の内部から電気信号カプラー52を見たときのインピーダンスに、可変誘導リアクタンスを加算したものとなる。このインダクタンスは、導波管セクション12に導波管セクション12に挿入された短いプローブ長さを示す高容量性リアクタンスと直列であり、このリアをキャンセルするのに使用される。出力負荷を後方に見たとき、セクション218および216は、同軸コネクタ48に接続された負荷に最大パワー変換するために、リアクタンスがキャンセルされているプローブの低抵抗を標準的な高抵抗の低リアクティブインピーダンスに変換する。
【0071】
導波管セクション12の内側表面204を基準に、プローブ210をこのプローブ210のネジの上で上下できるように、スペーサ/コンタクト194は中心部にネジが切られており、一方、スペーサ194は192内で固定されているので、プローブ210の導波管21への進入深度を変えることができる。中心導線192の内部に良好に電気的に接触した状態を維持しながら、プローブの導波管セクション12への進入深度を変えることができるよう、スペーサ/コンタクト194は中心導線192内でも移動できるようになっており、これによってプローブの挿入深度を最適にでき、かつ囲まれた伝送ラインの長さを変える、中心導線192内にスペーサ/コンタクト194を位置決めすることにより、容量性プローブのリアクタンスをチューニングアウトするように、必要な誘導性リアクタンスを同時に追加できる。
【0072】
プローブ210の表面積を増加するように、容量ハットとしてオプションの金属シリンダ208を追加し、更に短いプローブ長さを使用するときに、プローブの容量性リアクタンスを下げることができる。同様に、シリンダ208に誘電取り付け部230を取り付け、プローブの容量性リアクタンスを更に下げると共に、短いプローブが必要なときに導波管セクション12内部の電界に対する乱れが小さい細状態で、より近似したインピーダンスマッチングを行うことができる。プローブ210の表面は、高導電性材料、例えば銅、銀、アルミまたは金から製造することが好ましい。このプローブの表面材料の厚さは、作動周波数における無線周波数の表皮深度の5倍よりも大きくすることが好ましい。
【0073】
導波管壁226の開口部24を通して電気信号カプラー52をガイドする手段として、アースシェル188にカラー206が機械的かつ電気的に取り付けられており、このカラーは導波管セクション12に対する電気信号カプラー52の底部のためのアース接触表面ともなっている。このカラー206は、電機信号カプラー52のあらかじめ設置した機械部品の形状となっていてもよいし、および/または導波管セクション12の壁226内に設けられた開口部24の一部としてもよい。
【0074】
接合ポイント222にて、アースシェル188にはフランジ224が機械的かつ電気的に取り付けられている。フランジ224は導波管セクション12の外側表面228に接触しており、更にこのフランジは接続ストラップのための圧縮ポイントまたは導波管セクション12に電気信号カプラー52を固定する他の手段として働き、更に物理的取り付け機構の一部および導波管セクション12の外側表面228における電気信号カプラー52の底部に対する適当なアースの双方として働く。
【0075】
当業者であれば、電気信号カプラー52を実現するための多数のルーチング作業による設計の最適化およびその他の可能な構造、または導波管から信号エネルギーを出力結合する汎用目的に使用される電気カプラーの別の実施例について想到できよう。例えば所望するインピーダンスマッチングを行う方法として、これまで説明したリアクタンスをキャンセルする方法の代わりに、またはこの方法と組み合わせて、1つの、または2つ以上の4分の1波長のインピーダンス変換セクションまたは4分の1波長長さ以外の伝送ラインセクションを使用することを挙げることができ、またはインピーダンス変換および補正目的のためにテーパ付きラインセクションまたはランプ状の一定ネットワークを使用できる。
【0076】
図7は、導波管セクション12の内外に無線信号を結合するための磁気信号カプラー34の一例を示す。信号カプラー34は4つのセクション49、274、276および278から構成されている。
【0077】
セクション49は、アースシェル242と、絶縁スペーサ244と、中心導線246から構成された同軸コネクタの出力ポートを備え、同様な同軸構造が適当なインピーダンスの標準的または非標準的同軸コネクタに嵌合でき、この構造は雄型でもよいし、雌型でもよいし、または雄型兼雌型でもよい。中心導線246の外径、アースシェル242の内径のサイズパラメータおよびスペーサ244の相対的誘電率は、コネクタのインピーダンスを決定し、既知の公式および設計上の基準に基づく設計上の選択事項となる。アンテナの給電システムにセクション274を直接接続する場合、同軸コネクタ49を省略できる。
【0078】
同軸コネクタ49にはセクション274が続いており、このセクションは中心導線254を同軸状に囲むアースシェル248を備え、中心導線254は絶縁体252によって囲まれており、この絶縁部252は所望する作動周波数で低散逸損失を有する、空気を含む適当な誘電体とすることができる。中心導線254は金属スペーサ250を通してネジ262に内部が接続されており、264にて磁気ループプローブ268の一端にネジ262が電気的かつ機械的に接続されている。
【0079】
導波管からエネルギーを抽出したり、または導波管内部にエネルギーを注入したりするよう、導波管セクション12内の高磁界の領域内に導線ループプローブ268が挿入されている。導線ループプローブの挿入によって生じる導波管内部の磁界の乱れ量を、最小にしなければならない。当技術分野では、導波管内に挿入される磁気プローブによって抽出される信号パワーの量は、一般にループによって遮られる磁界ラインの値にほぼ比例し、この遮られる磁界ラインの量はループの面積および導波管の磁界内の向きによって決定される。導波管から最大未満の量のエネルギーを出力結合すべき場合、小さい横断面の面積を有するループプローブを使用できる。小さいループアンテナとして見たときの(ワイヤー長さが約0.1波長未満の)小さい横断面面積のループプローブは、標準的な望ましい同軸インピーダンス、例えば50Ωにインピーダンスマッチングするのに極めて不良である。
【0080】
導波管セクション12からエネルギーを効率的に抽出するには、導波管から所定量のパワーを抽出しながら、導波管セクション12内での電磁界の乱れ量を制限するよう、導線ループプローブ268の横断面の面積を最小にすることが必要である。最大値未満の量のエネルギーを導波管から出力結合すべき場合、導波管セクション12から十分なパワーを出力結合しながら、ループプローブ268が示す横断面の面積を最小に低減する。
【0081】
プローブ268は、その表面を高導電性材料、例えば銅、銀、アルミまたは金で製造することが好ましい。このプローブの表面材料の厚みは作動周波数における無線周波数表皮深度の5倍よりも大にすることが望ましい。プローブ268の小さいバージョンのインピーダンスは、一般に抵抗が小さく(0.1Ω〜数Ω)であり、数百Ωまでの誘導性リアクタンスを生じさせる。導波管セクション12内に挿入された小サイズのループプローブ268からの信号変換を最適にするには、インピーダンス補正および変換が必要である。パワー変換の効率を最大にするには、プローブ268のインピーダンスを補正し、同軸コネクタ49に接続された負荷のインピーダンスに変換する。インピーダンスマッチングを行わない場合、導波管セクション12に挿入される導線ループプローブはサイズを過剰にしなければならず、導線ループプローブ268から標準的な非リアクティブ負荷、例えば50Ωにミスマッチングされた状態で、十分なパワーを結合するには、導波管内部で必要な値よりも大きいループを形成することになる。導波管に挿入された過剰に大きいリアクティブなループプローブ268は、導波管内に致命的な反射も生じさせ、導波管システムから抽出された総パワー量を制限し、更に使用する周波数バンドにわたって振幅応答の過剰な変動も生じさせる。
【0082】
磁気ループプローブ268は導波管セクション12の内部に調節自在に進入し、導波管内部の高磁界の領域において、導波管セクション12の内部に対するループプローブ268が示す横断面の面積を選択自在に増加する。電流ループプローブ268を調節するのに、270が示すように、磁気信号カプラー34を回転させ、導波管セクション12内部の磁界に対するカプラーの向きを変え、異なる度合いの信号結合を行うことができる。タンデム状のセクション276および274は、挿入されたループプローブのインピーダンスの低放射抵抗成分を50Ωまたは他の任意の所望する標準的インピーダンスに変換する。セクション274は、所望する作動周波数で4分の1波長の同軸状伝送ラインを形成し、このセクションは同軸コネクタ49を通して磁気カプラー240が結合されている負荷インピーダンスよりも低い、適当な特性インピーダンスを有するように計算されている。セクション276はセクション274よりもインピーダンスが小さい4分の1波長の追加同軸セクションである。セクション274と比較して低くなっているセクション276のインピーダンスは、領域260が示すように中心導線254の直径を増し、および/または所望する周波数で相対的な高誘電率を有し、低散逸率を有する誘電材料256により囲む(260)ことによって得ることができる。相対的に高い誘電率の絶縁材料を使用する場合、セクション276の速度ファクターが減少し、その結果、セクション276の物理的長さは短くなる。タンデム状のセクション276および274は、2ステージの同軸インピーダンス変換器を形成する。セクション276および274は、同軸コネクタ49が接続されている負荷に最大のパワーを伝達するために、プローブの低抵抗を有効な標準的インピーダンスに変換する。
【0083】
導線254の内側表面と電気的かつ機械的に接触している金属シリンダ250によって、導線254の内部にネジ262が固定されている。シリンダ250の底部と領域260の底部との間のスペースは、作動周波数における4分の1波長と半波長との間で長さを可変できる同軸伝送ラインの短縮セクションを形成する。この波長の短縮された伝送ラインのインピーダンスは容量性であり、物理的同軸ラインの電気角のタンジェントと同軸ラインの特性インピーダンスとの積に比例するので、262と254の内側表面によって形成されるインピーダンスは導波管セクション12の内部から電気信号カプラー52を見たときのインピーダンスに可変容量を加えた値となる。この容量は導線ループプローブ268が示す誘導性リアクタンスに直列であり、この誘導性リアクタンスをキャンセルするのに使用される。
【0084】
シリンダ250は中心導線254の内部にスライドコンタクトを形成し、これによって領域260の底部を基準にネジ262を上下できるようにし、このことは、導波管内部のループプローブの横断面の面積を設定するために、導波管セクション12内の導線ループ268の長さを変えるように働く。シリンダ250は中心導線254の内部との良好な電気的な接触を維持しながら、中心導線254の内部で移動でき、よって導線254内のシリンダ250の調節位置により、ループプローブ268の誘導性リアクタンスをキャンセルできる。
【0085】
信号カプラー34のアースシェル248にはカラー277が機械的かつ電気的に取り付けられており、このカラーは導波管の壁226を通してカプラーアセンブリをガイドするための手段として使用され、このカラーは導波管セクション12に対する、カプラーアセンブリの底部のためのアースコンタクトポイントとなっている。カラー277は信号カプラー34のあらかじめ設置した機械的かつ電気的アースコネクタの形態でもよいし、および/または導波管セクション12の壁226内に設けられた開口部の一部でもよい。接合ポイント266にてループプローブ268にはフランジ272が機械的かつ電気的に取り付けられており、かつ導波管セクション12の外側表面228にも取り付けられているが、最終締結前にカプラーアセンブリ34を回転することが可能となっている。フランジ272は、締結ストラップのための、または導波管セクション12に対し信号カプラー34を固定する他の方法のための圧縮ポイントとして働き、取り付け機構として、かつ導波管の外側表面228において導波管セクション12に対する信号カプラー34の底部のための適当なアースとしても働く。
【0086】
当業者であれば、導線ループ信号カプラー34を実現するための多数の潜在的な設計上の最適化、または本導波管をベースとする無線分配システムの一部となっている導波管から信号エネルギーを出力結合する汎用目的のためのこの磁気カプラーの他の実施例も想到できよう。所望するインピーダンスマッチングを行う方法として、インピーダンスキャンセルの上記方法の代わりに、またはこの方法と組み合わせて、例えば全くインピーダンスセクションを用いないか、または1つ以上の4分の1波長インピーダンスセクション、テーパ付き伝送ライン、ランプ状低インピーダンス変換ネットワーク、または任意のタイプの長さが調節された伝送ラインセクションを使用する方法を挙げることができる。
【0087】
セクションの接続
図8A〜8Cは、導波管セクション接続実施例の分解図および組み立て図を示す。セクションコネクタアセンブリ22により別の導波管セクション12には好ましい楕円導波管セクション12が機械的かつ電気的に接続されている。図8Bおよび8Cを参照すると、セクションコネクタアセンブリ22は金属コネクタシュラウド300、ストラップ298およびオプションのクランプ受信機アセンブリ296から構成されている。ストラップ298は留め金304により固定されており、この留め金は共通螺旋ネジ被動タイプのホースクランプ張力機構を使用してもよいし、または閉じた位置においてあらかじめ調節された張力により、ストラップ298に張力を加える他の任意のタイプの機構、例えば好ましくはストラップ298に設けられたホールドオーバータイプの固定留め金でもよい。シュラウド300の反対側にはオプションのクランプアセンブリ296が取り付けられ、このクランプアセンブリ296は、導波管セクション12上のオプションのクランプ受信機に嵌合する。
【0088】
2つの導波管セクション12の完成した接続部の組み立ては、まず金属シュラウド300の内側表面を、輝く金属仕上げ面となるようにクリーニングすることによって行うことが好ましい。導波管セクション12の端部の外側表面も、シュラウド300との電気接触導電度が高くなるように、輝く金属仕上げ面に調製する。次に、コネクタシュラウド300内に反対方向から導波管セクション12の2つの端部を挿入する。この導波管セクション12の2つの端部は、シュラウド300の中間部の近くで軸線が同一直線上に位置した状態に配向された導波管12の双方のセクションと合流するように位置することが好ましい。次に、オプションのクランプ292に最も近いシュラウド300の端部と反対の円形クランプ298をシュラウド300のまわりに置き、次にシュラウド300のまわりを十分に締め付け、下方にある導波管セクション12の端部に対してシュラウド300をスリップすることなく、シュラウドを所定位置に保持する。次に、オプションの留め金296と294とを係合させ、導波管セクション12の2つの端部を共に接近するように引き寄せる。2つの導波管セクション12の端部は、シュラウド300の内部で合流することが好ましいが、正しく作動させるためには約1〜3mmのオーダーのギャップが許容される。次にすべての留め金を完全に締め付けると、これによってシュラウド300が導波管セクション12を囲み、これを締め付けるので、良好な電気接触が得られる。シュラウド300のまわりのクランプ298の締め付けも、導波管セクションの端部の形状の小さい変化を生じさせ、平均的な好ましい形状に一致する。完了時にシュラウド300の長手方向エッジは導波管セクション12の広い面のうちの中心ラインの1つの近くにあることが好ましい。
【0089】
導波管
システムに必要な基本的な導波管形状は、必要な形状に押し出すか、または引き抜くことによって製造してもよいし、または中間形状に成形し、その後、最終形状となるように仕上げてもよい。導波管の材料が金属製である場合、好ましい金属はアルミまたは銅である。材料がプラスチックである場合、完成した導波管の内側表面に高導電性コーティングを設ける。プロセスで成形可能な任意の材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)を使用できる。別の製造方法として、一般的に入手できる金属またはプラスチックの標準的形状から、導波管横断面を形成し、プロセス、例えば圧縮を通してこれを変形し、この形状を所望する横断面の形状に成形する方法がある。
【0090】
図9Aおよび9Bは、金属コーティングされたフォイルまたは金属コーティングされたパイプを使用して、導波管セクションを形成するための別の実施例をそれぞれ示す。図9Aにおける外側パイプ310は、所望する周波数で導波管横断面を構成するのに必要な形状を保持する任意の材料から構成できる。次に、製造時またはその後、例えば設置中に、外側パイプ310内に材料312を挿入する。金属材料312は、比較的薄い材料、例えばスムーズな導電性表面314でコーティングされた金属フォイルまたはプラスチックシート材料とすることが好ましく、このコーティング膜は十分厚く、内側表面314に沿って導波管エネルギーを長手方向に十分伝搬させるよう、使用を意図するマイクロウェーブ周波数で十分な導電度を有する。310内に挿入するように材料312を分割する場合、ギャップ316を最小にし、導波管の内側壁において最小の電流のラインに沿って導波管の長手方向に小さくなるようにすべきである。
【0091】
図9Bは、一貫した長手方向横断面内に形成された形状318から導波管を形成する別の方法を示す。形状318の内側表面320の長手方向に沿ったマイクロウェーブエネルギーの伝搬をサポートするために、318の内側表面に高導電性コーティング320が塗布されている。このコーティング320は導波管アセンブリ内で低損失伝搬を行うよう、十分な導電度を供給する任意の導電体とすることができ、形状318の内側表面にスムーズな高導電性表面を提供する方法によって塗布できる。図9Aおよび9Bに示された例を組み立てるのに、所望する周波数で無線周波数エネルギーを伝搬できる、横断面が一貫した形状の中空形状を使用できる。図9Aおよび9Bに示された導波管組み立て方法を使用する場合、カプラー34および52に適当なアース方法を使用し、これらカプラーを任意の内側導線に取り付けなければならない。このアース方法は、例えば図9Aまたは9Bに示された内側導線を導波管セクション12の端部および外側エッジに伸長させることを含むことができる。
【0092】
構成可能な導波管システム
図10A、10Bおよび10Cは、導波管11に沿ってモータ駆動される信号カプラーを使用し、信号コネクタへの信号結合を設置後調節するようになっている、請求項に記載の要旨にかかわる導波管をベースとする無線分配システムの実現例を示し、信号コネクタの各々は設置後、遠隔的かつ選択的に調節自在となっている。
【0093】
図10Aを参照する。この図では端部アセンブリ14および16により、導波管11にコントローラ348が取り付けられている構成可能な導波管システムが示されており、端部アセンブリ14および16は、導波管11の端部にマイクロウェーブエネルギーを注入したり、またはこれから信号を抽出したりするための立ち上げおよび終端アセンブリを構成する、同軸コネクタ20および内部伝送プローブ(図5Cおよび5Dにおけるプローブ21)を備える。(図1に示されるが、上記図には示されていない)信号インターフェースアセンブリ30から、端部アセンブリ14上の同軸コネクタ20へ信号が接続される。本実施例における端部アセンブリ14および16、並びに信号インターフェースアセンブリ30は、図1を参照して説明したものと同じ属性および能力を有する。組み立てられた全導波管11の長手方向に沿った所望する位置にて、導波管セクション12内に位置する開口部にコントローラ348および336が取り付けられている。これらコントローラは、電気、すなわち導電性ループ導波管プローブまたは放射開口部の結合係数を制御する。コントローラ348内に一体化されたインピーダンス補正セクションは、外部無線周波数コネクタに出力を提供し、このコネクタはその後直接アンテナに接続されるか、またはアンテナに接続されている同軸ケーブルに接続されるか、もしくは同軸ケーブルを使用する別の導波管システムもしくは他の任意のタイプの伝送ライン相互接続手段に接続されている。
【0094】
制御信号アセンブリ332は、システム内に接続されたコントローラ348および336のすべてに必要なパワーをトランスポートし、これらコントローラへの信号を制御するよう、十分な導電度の1本以上の導線のケーブルを含むことができる。各コントローラ348および336には、アセンブリ332内の別個の導線(単数または複数)を割り当てることができ、ケーブル内の少ない本数の導線を並列か、またはシリアル構造の多重化された信号制御システム内で使用できる。コントローラアセンブリ348および336内での制御信号のデコードは、能動的または受動的手段のいずれかにより達成できる。標準的なビル内イーサネット(登録商標)または電話配線設備で見られるようなケーブルが、コントローラ348および336の接続に使用できる適当なタイプのケーブルの好ましい例である。プレナム定格または非プレナム定格のいずれかの、使用されるケーブルのタイプは、ここの用途によって決定される。
【0095】
各コントローラにおける接続ポイント344は、ケーブルがコントローラ348および336のセクションを通過するか、または隣接する場合の、信号アセンブリ332への接続方法として、絶縁体変位(皮むき)タイプの接続を使用することにより、332および/または348および336上のあらかじめ設置されたコネクタにより達成される。電力および信号に対する適当なリターンパスとして使用される導波管11により、シリアル制御信号および給電フィード線が1本の導線上で多重化される場合、すべてのコントローラに給電し、かつこれを制御するのにわずか1本のワイヤーを使用してもよい。ケーブルである場合、信号アセンブリ332を物理的に係止するために、製造中、導波管セクション12の長手方向部分内に別個の外側溝またはチャンネルを内蔵させてもよい。同軸コネクタ346は、インピーダンス補正セクション349を通してコントローラ348によって導波管から回収される信号に対する出力ポートであり、インピーダンス補正セクションの特性は基本的には図6または7を参照して説明したものと同一である。コネクタ346は標準的または非標準的な無線周波数コネクタとすることができる。電磁波は、可変導波管スロット開口部334から直接進行し、このスロット開口部の寸法上の特性、従って放射特性は、制御アセンブリ332を通るコマンドを介し、コントローラ336により制御される。
【0096】
端部アセンブリ16の同軸コネクタ20には、検波器342の入力が取り付けられるように示されている。検波器342は、導波管11によって検波器に与えられる無線周波数信号レベルに比例する電圧となるように無線周波数信号を変換するデバイスである。この検波器342の出力は信号アセンブリ332へ送られ、導波管システムの正しい作動を調節するための較正およびテスト信号として検出される。検波器342は、受動的または能動的な構造のマイクロウェーブ検波器とすることができ、この検波器は、導波管の端部またはローパス(4分の1波長)プローブまたは信号カプラーを使用する中間ポイントにて、導波管内の信号レベルを測定する。この検波器342は、例えば低損失導波管プローブに取り付けられた無線周波数ダイオード検波器から構成され、このプローブは導波管の端部にて、基本的には非反射負荷内で導波管のインピーダンスを終端させるか、または導波管に沿った中間ポイントで使用する場合には、信号測定をしながら、導波管からのエネルギーを最小サンプリングできるよう、電気信号カプラー52または磁気信号カプラー34と共に使用される。
【0097】
完全な導波管システム内に接続された導波管セクション12の多数のタンデム長さの無負荷の損失は、十分な精度で予測できるので、信号源と検波器342との間にある導波管システム内の他のポートにおける信号を抽出することから生じる、検波器342によって示される信号レベル変化は、各コントローラ348またはスロットコントローラ336が導波管に課しているRF負荷の大きさを関数として予測できる。逆に、各コントローラの調節中に、検波器342からの検出された出力レベルをモニタすることにより、各カプラーコントローラ348またはスロットコントローラ336を、所望する結合係数に調節できる。所望する導波管信号分配システムを構成するよう、プローブコントローラ348および336と組み合わせて、マニュアル調節可能なプローブを使用することもできる。
【0098】
信頼できる検出された信号レベルと一致する、最小量のマイクロウェーブエネルギーを導波管から吸収するように、一部の用途において検波器342を調節することが望ましい。この場合、検波器は信号ケーブル332を通して給電される検波後のオプションの増幅器により構成できる。電気インターフェース330は、オペレータが1つ以上の検波器342の出力をモニタしながら、信号アセンブリ332によりコントローラ348および336の遠隔的なマニュアル制御を可能にできる。これとは異なり、インターフェース330をコンピュータの制御により作動させてもよい。後者の場合、1つ以上の検波器342がレポートするレベルから、各コントローラ336および348のための適正な設定を決定し、かつ導波管11の減衰特性を知る計算式を使用することにより、導波管システム上のコントローラ348の出力コネクタおよび開口部334上で示される所望する信号レベルの各々の調節値を計算するのに、コンピュータを使用できる。
【0099】
コントローラ348上の出力コネクタは、信号ラジエータ(図示せず)に直接接続してもよいし、または同軸ケーブルを介して信号ラジエータに接続してもよいし、または拡張伝送ラインとしての別の導波管システムおよび/または別領域にサービスする別個の導波管をベースとする無線分配システムの追加同軸コネクタ20に接続することができる。完成した別の導波管分配システムを相互接続するとき、1つ以上のグループの周波数を選択的に可能にしたり、または不能にしたりするよう、セクション間にフィルタリング、合波およびその他の標準技術およびデバイスを追加できる。
【0100】
導波管11のセクションが、その実用長さ限界342、20および18まで伸長し、次に伸長した導波管11のセクションの端部まで移動するとき、ケーブル332の端部にあるケーブル340は、別のコントローラ348および336(図示せず)まで連続することができる。導波管11の最大長さは導波管12のタンデムセクションの無負荷の減衰量およびすべての取り付けられたポートが必要とする信号パワーと、導波管システムに提供されるソースから入手できる全信号パワーとの和によって決定される。下流側の信号レベルのモニタを容易にするために、導波管11の長さのその後の走行部に1つ以上の検波器342を追加できる。
【0101】
図10Bは、導波管の壁226を介して導波管セクション12の外側表面228に取り付けられるプローブコントローラ348の機能の詳細を示す。プローブ352は、電気ループプローブアセンブリでもよいし、または導電性ループプローブアセンブリでもよい。電気ループプローブアセンブリの場合、351によって示されるように、導波管へのプローブ352の挿入の大きさによって結合の変動が生じる。プローブが磁気プローブである場合、結合量は、ループプローブ面積と、350が示すように、プローブループ352によって導波管セクション12の内部磁界への回転量との双方によって決定される。いずれのタイプのプローブも、インピーダンス変換器354によりポート346の外部コネクタインピーダンスにインピーダンスマッチングされ、このインピーダンス変換器354は、例えば図6または7を参照して説明したようなものでもよく、タンデム状の適当な4分の1波長の伝送ラインセクションのうちの1つ以上のセクションまたはインピーダンス変換特性のために選択された他のタイプのインピーダンスマッチング技術を含むことができ、更に変換器354の入力セクションで導入されるリアクタンスを適当にキャンセルするための回路を含むこともできる。変換器354は、本明細書に説明したような検波器342に類似する検波器機能も含むことができ、導波管セクション12から結合された適当なパワーを正確に設定するよう、各プローブコントローラ348の出力をモニタするために使用することができる。
【0102】
プローブ352は、ギアボックス341の作用により、導波管11内で電気プローブまたは磁気プローブを挿入したり、または回転したりするように作動し、ギアボックス341は、モータ駆動回路345からのコマンドを受信するモータ343によって駆動され、駆動回路345は、信号アセンブリ332を通してコントローラ330と通信するデコードモジュール347からのアナログおよび/またはデジタル特性のデータ信号によって駆動される。ポジションセンサ349からのポジションの表示は、電気信号カプラー52または導電性グループカプラー34からのそれぞれの並進位置データまたは回転位置データを決定するために、信号アセンブリ332を通してコントローラ330へ読み出すことができる。
【0103】
図10Cはコントローラ348の変形例であるスロットコントローラ336の機能の詳細を示す。このスロットコントローラは導波管セクション12内のスロット開口部334のウィンドーサイズを制御し、導波管から導波管システムの近くにある使用を意図する領域内への放射線の直線的な制御可能なレベルを可能にする。スライドアセンブリ351、すなわち導波管セクション12の外側表面228上の材料の、等角な導電性シートは、ギアボックス341からの並進運動353によりスロット334を可変状態で遮るように機械的に駆動され、ギアボックス341はデコーダ347によってデコードされるコマンドを受信するモータドライブ345によって電気的に駆動されるモータ343によって駆動され、デコーダ347はコントローラ330から信号アセンブリ332を通して信号を受信するようになっている。コントローラ330はリモート電気制御装置によってマニュアルで操作してもよいし、またはコンピュータ制御により操作してもよい。ポジションインジケータ349は、スライドアセンブリ351の位置を検出し、ケーブル332を通してその位置をコントローラ330にレポートする。スライドアセンブリ351は、スロット334の長軸に対して平行または直交する運動またはそれらの並進運動の組み合わせによって、スロット334をふさぐことができる。
【0104】
図10Dは、無線情報を分配する目的と、休止消火システムとして同時に使用する目的の二重目的のために使用される、請求項記載の要旨の一実施例を示す。導波管セクション355は、使用時に加圧されると乾式消火システムで使用される空気圧を含むのに適当な強度で製造されており、無線信号を導波管で伝搬させるために適当な導電体、例えば銅、アルミ、銀または金でコーティングされた内側表面も有することができる。これらセクションはパイプジョイント356により一体になるように接続されている。パイプの好ましい形状は楕円形であるが、導波管として無線信号を伝えるような他の任意の形状、例えば円形の横断面または四角形の横断面も使用できる。信号はカプラー357により導波管355から出力結合され、これらカプラーはカプラー34および/または52に対して説明したのと同じ特性を有し、この信号は、無線アンテナ兼通常の熱起動消火ヘッドとして働く放水ヘッド/アンテナ358に印加される。このパイプは、通常内部が乾燥状態にあり、空気または別のガス、例えば窒素によって加圧されている。ヘッド358は、熱を検出したときに通路に対して開口し、355内に空気圧を解放し、熱を検出しないときは導波管355に接続されたアンテナとして働く。システムを製造する際に空気圧/流体の配管および導波管伝送技術の一般的な条件を同時に満たされなければならない。
【0105】
導波管の形成
図11は、平らでロール加工された板金素材から導波管セクションを形成するための一実施例を示す。板金素材は成形されると、高導電性のスムーズな内側表面を維持できる。一様な金属または基礎となる金属、例えば銅、アルミまたは他の任意の高導電性材料がコーティングまたは接合されたスチールのスムーズな表面を有する板金の供給ロールを使用できる。最終形状の部品を形成するのに必要な幅のシート材料が、スタンド382に支持されている成形器390の一端にて、例えばロール状の供給形状に吊り下げられている。好ましい材料は、高導電性金属表面、例えば成形プロセス後、寸法を良好に維持するアルミまたは銅を有していなければならない。成形でき、必要な形状を維持できれば、プラスチック材料も使用できる。この材料は良好な構造上の強度を有すると共に、機械的プロセスまたは電気的プロセスにより高導電性材料、例えば銅、アルミ、銀、金または十分高い導電度を有する他の材料でコーティングしなければならない。これとは異なり、導波管セクション12の内側表面となる広い表面に十分導電性の材料であらかじめコーティングしてもよい。
【0106】
パンチステーション374内に、まず材料の単一層372が供給され、このステーションで所望する開口孔および/またはラジエータスロットおよび/またはアセンブリ孔がパンチングされる。次に、パンチングされたこれら板金または金属コーティングされたプラスチックが成形セクション376を通過し、ここで材料は導波管の終わりから2番目の形状とされる。
【0107】
成形器390における処理の結果得られるいくつかの生じ得る予備的導波管の横断面の形状が、番号384、386および388で示されている。材料をパンチングし、成形した後に、カッターを使って導波管部品を所望する長さのセクションにカットする。この長さは設備内の特定の使用例に応じて、数インチから何百フィートとし得る。導波管の1つのセクションの全長は、板金ロール370に含まれる供給部の長さだけによって限定される。予備的導波管の形状384は、製造できる可能な横断面を示し、この横断面は元の材料の2つの長手方向の外側エッジを有し、これらエッジは完成した導波管セクションを形成するのに閉じなければならない。成形された導波管セクション384内に示されるエッジの位置は、これら導波管セクション12が正常に作動する伝搬モード用の好ましい位置にある。成形器390による成形プロセスには、例えば圧接による384、386および388のエッジをシールする目的のための別ステージを追加できる。
【0108】
成形器390によって製造できる他の可能な成形体が、386で示されている。これら形状は、閉鎖のために2回のシール作業を必要とするが、運搬がより容易である。その理由は、これら形状を相互に内側に配向させることによって効率的に積み重ねることができるからである。成形体386は、現場で圧接方法、溶接方法またはクランプ方法によって接合し、導波管をベースとする無線分配システム内に設置するよう、フル導波管セクション12を完成する。
【0109】
これまで説明した成形システムによって実行される作業のすべては、マニュアル手段、またはプログラムされ、記憶された論理コントローラまたはプログラマブルコンピュータのような自動化手段によって制御できる。プログラム可能な場合、成形システム390は自動化作業に必要なセンサおよびアクチュエータを含む。
【0110】
図12は板金からハーフ分割体として成形された導波管を組み立て、コンセプトを別個に使用する際に、完成した導波管セクションの2つのセクションを機械的かつ電気的に接続するための締結具を使用する導波管セクション12を接合するための別の実施例を示す。
【0111】
内側の高導電性のスムーズな金属製コーティング402および予備的に位置決めされる孔404を有する、成形された導波管セクション400を共に接合し、ピン406および係止クリップ408によって所定位置に保持する。このプロセスのためにリベットを使用してもよい。2つの導波管セクションの間のコネクタとして使用する場合、セクション400はこのセクションを取り付ける成形された導波管セクションよりも若干寸法が大きく製造されるが、接合した2つの導波管の両端に、密に、かつきつく嵌合する。この場合、予じめ位置決めされた孔404は、接合すべき導波管セクション12の端部のエッジ内に位置決めされる孔とラインアップする。導波管セクション12を384、386または388で示されたハーフセクションから製造するとき、導波管の各形状のリッジラインおよび/または他の広い面および狭い面内に開口部のための予備的に位置決めしたノッチを置き、図12の接合方法を使用するときに、信号カプラーを収納することができる。同じように、製造時に導波管12内に放射スロットを設置してもよい。
【0112】
図13Aおよび13Bは、接合プロセスを実施するために連続抵抗溶接機を使用して成形された板金のハーフセクションを完全な導波管に組み立てるための一実施例を示す。図13Aは溶接システムの平面図である。ベース422は、4つのスプリング負荷または液圧圧縮された電気溶接ホイール424を支持しており、このホイールは連続的に回転し、ハーフセクション420の双方のシーム部を圧縮しながら、連続的に回転すると共に、接合すべき導波管420のシーム部に大電流を供給する。接触ポイント426でハーフセクションのシーム部を部分的に溶融するような十分大きい電流が加えられる。材料が例えば金属である場合、2つのシーム部は端面図428に示されるように、シーム部が閉じた、完成した導波管セクションとなるように溶接される。図13Bは、抵抗溶接システムの端面図を示す。電力導線440に取り付けられたコネクタ438に接続された電源から、低抵抗ブラシアセンブリ442および430、更にホイール424に直接接続されている接点434を介し、ホイール424へ溶接のための十分な電流が供給される。溶接電源へのリターンケーブルであるケーブル432を通して、出力電流が送られる。
【0113】
試験結果
図14は、本発明に従って製造された導波管11の無負荷の約60メートル(200フィート)の楕円横断面バージョンの電圧定在波比(VSWR)の測定結果を示し、この導波管は図8A、8Bおよび8Cと基本的に同じように説明され、示された導波管説明12およびセクションコネクタ、並びに図5Cおよび5Dに説明され、図示されているような端部セクションを使用しているが、この試験では導波管11に沿った中間信号カプラーまたは放射スロットは使用されていない。アンリツ社のモデル331Aサイトマスタースイープ測定器を使って、2400MHz〜2500MHzまでのスイープ無線周波数信号を注入し、遠方端セクションに設けた同軸コネクタにおいて、50Ωの負荷で導波管の遠方端部を終端したときに、システムの一端を見た場合のリターン信号パワーを検出した。次にこのデータからVSWRを計算した。注目されるように、当該バンドにわたって極めて低いレベルの信号反射しか示されなかった。
【0114】
図15は、図14に説明された無負荷の約60メートル(200フィート)の導波管の別の試験を示す。ヒューレットパッカード社のモデル8620C/86290Cマイクロウェーブ信号発生器から、9ミリワットの無変調信号を2400MHzから2500MHzまでスイープし、約60メートル(200フィート)の無変調導波管の端部から端部への損失を試験した。ヒューレットパッカード社のモデル435B/8485Aパワー測定機器により、導波管の端部へのパワーを測定した。当該周波数バンドにわたって測定した、入力同軸コネクタ20から遠方端における終端出力同軸コネクタ20までの平均損失は、約30メートル(100フィート)の導波管長さ当たり0.5dBよりも若干大きかった。この測定喪失は、端部セクションにおける同軸コネクタおよびプローブ固有の導波管端部における立ち上がりおよび検索損失を含む。信号発生器と導波管の入力ポイントとの間で使用した相互接続ケーブルの端部で発生器のパワー出力の較正を実行し、信号発生器の導波管の送信端部との間に接続された約2.5mのRG−58同軸ケーブルの周波数ロールオフを保証するのに、ケーブルスロープ補償は使用しなかった。従って導波管自身の基本的損失特性は、表示されたデータよりも良好である。
【0115】
図16は、図14に記載された約60メートル(200フィート)の導波管の更に別の試験を示す。この試験において、導波管の送信端部から約12メートル(40フィート)、約18メートル(60フィート)、約24メートル(80フィート)、約30メートル(100フィート)、約36メートル(120フィート)および約42メートル(140フィート)の位置に6個の電気信号カプラー52を設置した。このテストに対し、図14に関して説明したものと同じ信号発生およびパワー測定器を使用した。導波管送信システムのスタート端部の同軸コネクタ内に10ミリワットの入力パワーを注入した。表示された周波数レンジにわたるシステムの端部における平均パワーは、2.01ミリワットであった。試験した周波数にわたるシステムの端部における信号レベルの平均偏差は、約±1.5dBであった。
【0116】
信号源と、信号受信機に近い少なくとも1つのロケーションとの間で、無線信号を搬送するための、現時点で開示する簡略化された高効率の分配システムは、種々の態様で実現できる。従って、好ましい実施例のこれまでの説明は、当業者が請求項記載の要旨を製造し、使用できるように提供したものであり、当業者にはこれら実施例の種々の変形例が容易に明らかとなり、革新的な設備を使用することなく、本明細書に記載した包括的な原理を他の実施例に適用できよう。従って、請求項記載の要旨は、本明細書に示した実施例だけに限定されるものでなく、本明細書に開示した原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に従うべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の特徴にかかわる導波管をベースとする無線分配システムの位置実施例を示す。
【図2A】3つのオフィスおよび無線シールドされた作業領域のための導波管をベースとする無線分配システムのアンテナのカバープランの一例の側面図を示す。
【図2B】3つのオフィスおよび無線シールドされた作業領域のための導波管をベースとする無線分配システムのアンテナのカバープランの一例の平面図を示す。
【図3A】建築的特徴部内に導波管セクションを設置するための別の実施例を示す。
【図3B】建築的特徴部内に導波管セクションを設置するための別の実施例を示す。
【図3C】建築的特徴部内に導波管セクションを設置するための別の実施例を示す。
【図3D】ケーブルまたはパイプのキャリッジとして設置のためにビル内に一般的に見られるようなキャリアトレイに設置した、本導波管システムの実施例を示す。
【図3E】ケーブルまたはパイプのキャリッジとして一体化のためにビル内に一般的に見られるようなキャリアトレイと一体的な、本導波管システムの実施例を示す。
【図4A】異なる周波数レンジ内で作動する2つの異なる通信方式(例えばIEEE802.11AおよびXM Radio)のための導波管分配システムを同時に設けるための別の実施例を示す。
【図4B】異なる周波数レンジ内で作動する2つの異なる通信方式(例えばIEEE802.11AおよびXM Radio)のための導波管分配システムを同時に設けるための別の実施例を示す。
【図4C】異なる周波数レンジ内で作動する2つの異なる通信方式(例えばIEEE802.11AおよびXM Radio)のための導波管分配システムを同時に設けるための別の実施例を示す。
【図5A】(a)電界結合、(b)磁界結合および(c)スロットラジエータを使って導波管の内外に無線信号を結合するための別の実施例を示す。
【図5B】(a)電界結合、(b)磁界結合および(c)スロットラジエータを使って導波管の内外に無線信号を結合するための別の実施例を示す。
【図5C】同軸部−導波管への移行部を含む、導波管を終端させるための端部アセンブリの位置実施例を示す。
【図5D】同軸部−導波管への移行部を含む、導波管を終端させるための端部アセンブリの位置実施例を示す。
【図5E】2つの異なる同時送信モードを同じ導波管内で使用する方法を示す。
【図6】導波管から無線信号を結合するための電界信号カプラーの一例を示す。
【図7】導波管から無線信号を結合するための磁界信号カプラーの一例を示す。
【図8A】導波管セクションを接続するための一実施例の組み立て図を示す。
【図8B】導波管セクションを接続するための一実施例の分解図を示す。
【図8C】導波管セクションを接続するための一実施例の組み立て図を示す。
【図9A】有効な導波管を形成するのにプリセットフォーム内に金属被覆されたフォイルを使用して導波管を形成するための別の実施例を示す。
【図9B】有効な導波管を形成するのに内部が金属被覆されたパイプを使用して導波管を形成するための別の実施例を示す。
【図10A】遠隔制御により選択的に構成できる導波管システムの一例を示す。
【図10B】遠隔制御により選択的に構成できる導波管システムの別の実施例を実現するための関連するモータ制御される信号カプラーを示す。
【図10C】遠隔制御により選択的に構成できる導波管システムの別の実施例を実現するための関連するモータ制御される信号カプラーを示す。
【図10D】商業的ビル、工業的ビル、個人的ビルおよび政府ビルで見られるような消火システムの機能に組み込まれ、この機能と組み合わされた、本明細書に開示する原理を示す。
【図11】板金またはプラスチック材料から導波管セクションを形成するための一実施例を示す。
【図12】完成した2つの導波管セクションを機械的および電気的に接続することにより、導波管を組み立てるために、締結具を使用する一実施例を示す。
【図13A】連続抵抗溶接機を使用して連続的な、仕上げられた導波管セクションを形成するよう、導波管の半セクションを組み立てるための一実施例を示す。
【図13B】連続抵抗溶接機を使用して連続的な、仕上げられた導波管セクションを形成するよう、導波管の半セクションを組み立てるための一実施例を示す。
【図14】本発明の要旨を使用した結果を実証する試験システム例から得られた試験データのグラフを示す。
【図15】本発明の要旨を使用した結果を実証する試験システム例から得られた試験データのグラフを示す。
【図16】本発明の要旨を使用した結果を実証する試験システム例から得られた試験データのグラフを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの信号源と信号受信機に近い少なくとも1つのロケーションとの間で無線信号を搬送するための、簡略化された高い効率の無線信号分配システムであって、
高導電性の内側表面を有する中空横断面の構造的建造物を含み、前記無線信号源から前記無線受信機のロケーションまで、前記無線通信信号を伝送するための無線導波管と、
前記無線導波管に沿った少なくとも1つの所定のロケーションで、前記無線導波管内に挿入された少なくとも1つの無線信号結合デバイスと、
インピーダンス変換を行い、前記結合デバイスの出力を少なくとも1つの無線信号コネクタに接続するインピーダンスマッチング回路と、
を備えた、簡略化された高効率の無線信号分配システム。
【請求項2】
前記導波管は、2つ以上の物理的に分離されたセクションを備え、これらセクションは前記無線導波管を形成するように一体に接合されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記中空導波管は、1つ以上の導波管伝搬モードで作動できる、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、基本的には楕円の建造物である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、基本的には四角形の建造物である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、基本的には円形の建造物である、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、所望する周波数レンジ内の電磁エネルギーの伝搬をサポートするための1つの、または複数の形状を基本的に備える、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記無線導波管は、基本的には金属建造物を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記導波管は、押し出しプロセスを使って製造されている、請求項1記載の導波管。
【請求項10】
前記導波管は、変形されたプリカーサの中空形状を使って製造されている、請求項1記載の導波管。
【請求項11】
スタート板金から無線導波管を製造するのに、成形およびパンチングプロセスを使用する、請求項1記載の導波管。
【請求項12】
スタート板金素材から導波管を部分的に製造する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
スタート板金プロセスは、最終無線導波管の内側表面となる、少なくとも表面に、高導電性コーティングがコーティングされた板金を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
圧接加工または溶接により前記最終板金成形体を閉じる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記無線導波管は基本的にはプラスチックの建造物を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記プラスチック成形体の内側表面は高導電性金属で構成されている、請求項15記載の導波管。
【請求項17】
前記システムは、少なくとも1つの無線周波数検波器を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記導波管内で1つ以上の伝搬モードを使用することにより、所定の周波数の1つ以上の信号を無線導波管に多重化する、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
前記導波管に信号インターフェースアセンブリが取り付けられ、前記インターフェースアセンブリは送信機、受信機、トランシーバ、1つまたは複数のフィルタ、合波器、デュプレクサ、1つまたは複数の増幅器、もしくはこれらの任意の組み合わせ、または導波管の内外に無線信号を接続するようになっている他の任意の受動的または能動的無線周波数デバイスである、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
ケーブルまたはパイプを支持するために使用されている構造物に前記無線導波管が機械的に取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項21】
前記無線導波管はケーブルまたはパイプのための支持構造体の少なくとも一部を形成する、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、ビルの建築特徴部内に組み込まれている、請求項1記載のシステム。
【請求項23】
ビルの暖房、換気および空調(HVAC)プレナムスペース内の無線分配システムの設置に関する、対応する防火安全基準を満たすのに適した材料で、前記無線分配システムが製造されている、請求項1記載のシステム。
【請求項24】
前記無線導波管に沿って位置する少なくとも1つのあらかじめ設けられた開口部を更に含む、請求項1記載のシステム。
【請求項25】
前記開口部は前記導波管からフリースペースまでの直接ラジエータとなっている、請求項24記載の、あらかじめ設けられた開口部。
【請求項26】
前記開口部は開口度のサイズが可変である、請求項25記載の直接放射開口部。
【請求項27】
除去可能な材料を前記開口部に載せると、前記導波管をシールすると共に前記無線周波数の完全性を再確立する、除去可能な材料で前記あらかじめ設けられている開口部を最初に被覆する、請求項24記載のあらかじめ設けられた開口部。
【請求項28】
出力が前記無線導波管の外側のコネクタポートに接続されているインピーダンスマッチング回路に、前記無線導波管の内部から所望するレベルの1つ以上の信号を可変結合するよう、前記信号結合デバイスの一部は前記中空横断面の構造的建造物内に挿入されている、請求項1記載のシステム。
【請求項29】
前記信号結合およびインピーダンスマッチング回路は、前記無線導波管から電磁エネルギーを放射するための電磁放射デバイスに直接取り付けられている、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
前記信号結合デバイスは、基本的には前記無線導波管内の電界をサンプリングすることにより作動する、請求項1記載のシステム。
【請求項31】
前記インピーダンスマッチング回路は、前記無線導波管内のプローブの低いリアクティブインピーダンスを、前記インピーダンスマッチング回路からの出力に対して、より高い非リアクティブインピーダンスに変換する回路を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項32】
前記導波管内への前記電気プローブの進入深度を変える際に、前記電気プローブのインピーダンス内の固有の容量性リアクタンスを可変相殺するよう、前記結合デバイスと電気的にタンデム状となるように可変インダクタンスが使用されている、請求項1記載の信号結合デバイス。
【請求項33】
前記可変インダクタンスが前記プローブデバイスの要素の内部に形成されている、請求項31記載のプローブアセンブリ。
【請求項34】
前記電気プローブを前記導波管内に伸長させる際に、前記可変インダクタンスの値が減少する、請求項32記載の信号カプラー。
【請求項35】
前記信号デバイスは、基本的には前記無線導波管内の導線ループ内の磁界をサンプリングすることによって作動する、請求項1記載のシステム。
【請求項36】
前記導波管内の前記ループプローブのサイズを変える際に、前記導線ループプローブのインピーダンス内固有の誘導性リアクタンスを可変相殺するよう、前記結合デバイスと電気的にタンデム状に可変容量が使用されている、請求項35記載の信号結合デバイス。
【請求項37】
前記可変容量は、前記導線ループプローブデバイスの要素内に形成されている、請求項36記載の信号結合回路。
【請求項38】
前記導線ループプローブが前記導波管内に伸長する際に、前記可変容量が増加する、請求項36記載の信号結合回路。
【請求項39】
前記無線導波管からの結合量は、前記導波管内で前記導線ループプローブを回転することによって変化する、請求項35記載の信号結合回路。
【請求項40】
ラップアラウンド金属スリーブを使用することによって前記無線導波管の2つ以上のセクションが機械的かつ電気的にタンデム状に接続されている、請求項1記載の無線導波管。
【請求項41】
1つ以上の円周クランプにより前記スリーブが固定されている、請求項40記載のラップアラウンドスリーブ。
【請求項42】
締結されたシェル形状の接合デバイスを使って、前記無線導波管の2つ以上のセクションが機械的かつ電気的に接続されている、請求項1記載の無線導波管。
【請求項43】
少なくとも1つの信号源と信号受信機に近い少なくとも1つのロケーションとの間で無線信号を搬送するための、簡略化された高い効率の、遠隔調節可能な無線信号分配システムであって、
高導電性の内側表面を有する中空横断面の構造的建造物を含み、前記無線信号源から前記無線受信機のロケーションまで、前記無線通信信号を伝送するための無線導波管と、
前記無線導波管に沿った少なくとも1つの所定のロケーションで、前記無線導波管内に少なくとも一部が挿入された少なくとも1つの遠隔調節可能な無線信号結合デバイスと、
インピーダンス変換を行い、前記少なくとも1つの信号結合デバイスのインピーダンスを少なくとも1つの無線信号コネクタに接続するインピーダンスマッチング回路と、
を備えた、簡略化された高効率の、遠隔調節可能な無線信号分配システム。
【請求項44】
前記遠隔調節可能な無線信号カプラーデバイスを制御し、モニタする電気信号機能を実行するための電気信号および制御回路を更に備えた、請求項43記載のシステム。
【請求項45】
前記無線導波管内の少なくとも1つの所定のポイントにおいて、信号をモニタするための少なくとも1つの無線周波数検波器を更に備えた、請求項43記載のシステム。
【請求項46】
前記結合デバイスは、この結合デバイスの機械的な位置データを測定し、レポートするために内蔵された、少なくとも1つのセンサを有する、請求項43記載の遠隔調節可能な無線信号結合デバイス。
【請求項47】
電気または導線ループ信号結合デバイスを更に備えた、請求項15記載のシステム。
【請求項48】
電気または時期ループ信号結合デバイスと前記出力コネクタとの間に設けられたインピーダンスマッチング回路を更に備えた、請求項15記載のシステム。
【請求項49】
少なくとも1つの無線導波管と、
流体またはガスの消火媒体と、
機能を組み合わせた少なくとも1つのアンテナおよび流体もしくはガス放出アセンブリとを備え、
前記少なくとも1つの無線導波管、アンテナおよび流体消火システムを提供する、組み合わせた機能のために関連している、二重機能の導波管をベースとする無線分配システム。
【請求項1】
少なくとも1つの信号源と信号受信機に近い少なくとも1つのロケーションとの間で無線信号を搬送するための、簡略化された高い効率の無線信号分配システムであって、
高導電性の内側表面を有する中空横断面の構造的建造物を含み、前記無線信号源から前記無線受信機のロケーションまで、前記無線通信信号を伝送するための無線導波管と、
前記無線導波管に沿った少なくとも1つの所定のロケーションで、前記無線導波管内に挿入された少なくとも1つの無線信号結合デバイスと、
インピーダンス変換を行い、前記結合デバイスの出力を少なくとも1つの無線信号コネクタに接続するインピーダンスマッチング回路と、
を備えた、簡略化された高効率の無線信号分配システム。
【請求項2】
前記導波管は、2つ以上の物理的に分離されたセクションを備え、これらセクションは前記無線導波管を形成するように一体に接合されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記中空導波管は、1つ以上の導波管伝搬モードで作動できる、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、基本的には楕円の建造物である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、基本的には四角形の建造物である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、基本的には円形の建造物である、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記導波管の前記中空横断面の構造的建造部は、所望する周波数レンジ内の電磁エネルギーの伝搬をサポートするための1つの、または複数の形状を基本的に備える、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記無線導波管は、基本的には金属建造物を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記導波管は、押し出しプロセスを使って製造されている、請求項1記載の導波管。
【請求項10】
前記導波管は、変形されたプリカーサの中空形状を使って製造されている、請求項1記載の導波管。
【請求項11】
スタート板金から無線導波管を製造するのに、成形およびパンチングプロセスを使用する、請求項1記載の導波管。
【請求項12】
スタート板金素材から導波管を部分的に製造する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
スタート板金プロセスは、最終無線導波管の内側表面となる、少なくとも表面に、高導電性コーティングがコーティングされた板金を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
圧接加工または溶接により前記最終板金成形体を閉じる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記無線導波管は基本的にはプラスチックの建造物を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記プラスチック成形体の内側表面は高導電性金属で構成されている、請求項15記載の導波管。
【請求項17】
前記システムは、少なくとも1つの無線周波数検波器を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記導波管内で1つ以上の伝搬モードを使用することにより、所定の周波数の1つ以上の信号を無線導波管に多重化する、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
前記導波管に信号インターフェースアセンブリが取り付けられ、前記インターフェースアセンブリは送信機、受信機、トランシーバ、1つまたは複数のフィルタ、合波器、デュプレクサ、1つまたは複数の増幅器、もしくはこれらの任意の組み合わせ、または導波管の内外に無線信号を接続するようになっている他の任意の受動的または能動的無線周波数デバイスである、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
ケーブルまたはパイプを支持するために使用されている構造物に前記無線導波管が機械的に取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項21】
前記無線導波管はケーブルまたはパイプのための支持構造体の少なくとも一部を形成する、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
前記システムは、ビルの建築特徴部内に組み込まれている、請求項1記載のシステム。
【請求項23】
ビルの暖房、換気および空調(HVAC)プレナムスペース内の無線分配システムの設置に関する、対応する防火安全基準を満たすのに適した材料で、前記無線分配システムが製造されている、請求項1記載のシステム。
【請求項24】
前記無線導波管に沿って位置する少なくとも1つのあらかじめ設けられた開口部を更に含む、請求項1記載のシステム。
【請求項25】
前記開口部は前記導波管からフリースペースまでの直接ラジエータとなっている、請求項24記載の、あらかじめ設けられた開口部。
【請求項26】
前記開口部は開口度のサイズが可変である、請求項25記載の直接放射開口部。
【請求項27】
除去可能な材料を前記開口部に載せると、前記導波管をシールすると共に前記無線周波数の完全性を再確立する、除去可能な材料で前記あらかじめ設けられている開口部を最初に被覆する、請求項24記載のあらかじめ設けられた開口部。
【請求項28】
出力が前記無線導波管の外側のコネクタポートに接続されているインピーダンスマッチング回路に、前記無線導波管の内部から所望するレベルの1つ以上の信号を可変結合するよう、前記信号結合デバイスの一部は前記中空横断面の構造的建造物内に挿入されている、請求項1記載のシステム。
【請求項29】
前記信号結合およびインピーダンスマッチング回路は、前記無線導波管から電磁エネルギーを放射するための電磁放射デバイスに直接取り付けられている、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
前記信号結合デバイスは、基本的には前記無線導波管内の電界をサンプリングすることにより作動する、請求項1記載のシステム。
【請求項31】
前記インピーダンスマッチング回路は、前記無線導波管内のプローブの低いリアクティブインピーダンスを、前記インピーダンスマッチング回路からの出力に対して、より高い非リアクティブインピーダンスに変換する回路を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項32】
前記導波管内への前記電気プローブの進入深度を変える際に、前記電気プローブのインピーダンス内の固有の容量性リアクタンスを可変相殺するよう、前記結合デバイスと電気的にタンデム状となるように可変インダクタンスが使用されている、請求項1記載の信号結合デバイス。
【請求項33】
前記可変インダクタンスが前記プローブデバイスの要素の内部に形成されている、請求項31記載のプローブアセンブリ。
【請求項34】
前記電気プローブを前記導波管内に伸長させる際に、前記可変インダクタンスの値が減少する、請求項32記載の信号カプラー。
【請求項35】
前記信号デバイスは、基本的には前記無線導波管内の導線ループ内の磁界をサンプリングすることによって作動する、請求項1記載のシステム。
【請求項36】
前記導波管内の前記ループプローブのサイズを変える際に、前記導線ループプローブのインピーダンス内固有の誘導性リアクタンスを可変相殺するよう、前記結合デバイスと電気的にタンデム状に可変容量が使用されている、請求項35記載の信号結合デバイス。
【請求項37】
前記可変容量は、前記導線ループプローブデバイスの要素内に形成されている、請求項36記載の信号結合回路。
【請求項38】
前記導線ループプローブが前記導波管内に伸長する際に、前記可変容量が増加する、請求項36記載の信号結合回路。
【請求項39】
前記無線導波管からの結合量は、前記導波管内で前記導線ループプローブを回転することによって変化する、請求項35記載の信号結合回路。
【請求項40】
ラップアラウンド金属スリーブを使用することによって前記無線導波管の2つ以上のセクションが機械的かつ電気的にタンデム状に接続されている、請求項1記載の無線導波管。
【請求項41】
1つ以上の円周クランプにより前記スリーブが固定されている、請求項40記載のラップアラウンドスリーブ。
【請求項42】
締結されたシェル形状の接合デバイスを使って、前記無線導波管の2つ以上のセクションが機械的かつ電気的に接続されている、請求項1記載の無線導波管。
【請求項43】
少なくとも1つの信号源と信号受信機に近い少なくとも1つのロケーションとの間で無線信号を搬送するための、簡略化された高い効率の、遠隔調節可能な無線信号分配システムであって、
高導電性の内側表面を有する中空横断面の構造的建造物を含み、前記無線信号源から前記無線受信機のロケーションまで、前記無線通信信号を伝送するための無線導波管と、
前記無線導波管に沿った少なくとも1つの所定のロケーションで、前記無線導波管内に少なくとも一部が挿入された少なくとも1つの遠隔調節可能な無線信号結合デバイスと、
インピーダンス変換を行い、前記少なくとも1つの信号結合デバイスのインピーダンスを少なくとも1つの無線信号コネクタに接続するインピーダンスマッチング回路と、
を備えた、簡略化された高効率の、遠隔調節可能な無線信号分配システム。
【請求項44】
前記遠隔調節可能な無線信号カプラーデバイスを制御し、モニタする電気信号機能を実行するための電気信号および制御回路を更に備えた、請求項43記載のシステム。
【請求項45】
前記無線導波管内の少なくとも1つの所定のポイントにおいて、信号をモニタするための少なくとも1つの無線周波数検波器を更に備えた、請求項43記載のシステム。
【請求項46】
前記結合デバイスは、この結合デバイスの機械的な位置データを測定し、レポートするために内蔵された、少なくとも1つのセンサを有する、請求項43記載の遠隔調節可能な無線信号結合デバイス。
【請求項47】
電気または導線ループ信号結合デバイスを更に備えた、請求項15記載のシステム。
【請求項48】
電気または時期ループ信号結合デバイスと前記出力コネクタとの間に設けられたインピーダンスマッチング回路を更に備えた、請求項15記載のシステム。
【請求項49】
少なくとも1つの無線導波管と、
流体またはガスの消火媒体と、
機能を組み合わせた少なくとも1つのアンテナおよび流体もしくはガス放出アセンブリとを備え、
前記少なくとも1つの無線導波管、アンテナおよび流体消火システムを提供する、組み合わせた機能のために関連している、二重機能の導波管をベースとする無線分配システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−509416(P2009−509416A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531374(P2008−531374)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036095
【国際公開番号】WO2007/035523
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(508083482)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036095
【国際公開番号】WO2007/035523
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(508083482)
【Fターム(参考)】
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