説明

導通式ストリップ刃設定方法および装置

【課題】高精度の入刃量設定を可能にしたストリップ入刃量設定装置を提供する。
【解決手段】電線35をセットして通電させる電線導通装置24と、ストリップ刃10,11の前後に間隔をおいて配置され、電線35を2箇所においてクランプする第1クランプ20および第2クランプ21と、電線導通装置24およびストリップ刃10、11に電気的に接続され、電線導通装置24の通電およびストリップ刃10,11の芯線35bへの接触による通電を検出する導通検出回路30と、を備えるストリップ入刃量設定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ストリップ装置において、電線へのストリップ刃(電線の被覆を剥ぎ取るのに用いられる刃)の入刃量(対向するストリップ刃同士の間隔)を設定するストリップ入刃量設定装置および設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストリップ刃により電線の先端部に切り込みを入れ、芯線との導通をとるようにした被覆電線の切り込み量設定装置がある(例えば、特許文献1参照)。すなわち、導通部材を電線のストリップを把持して接触導通するように設け、この導通部材に導通検査装置をストリップの導通を検出するように接続し、この導通検査装置に導電性の一対のストリップ刃を導通信号を送信するように接続すると共に、電線の他端部の被覆へ切込みを形成して芯線に当接するように設け、この両ストリップ刃の基部に左ねじ及び右ねじを備えた螺杆を螺装し、この螺杆にサーボモータを導通検査装置の導通時の信号で作動するように接続したものである。
【特許文献1】特開平6−253430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載されているものは、導通部材により電線を片持ちで支持する構造であるため、柔軟な電線をストリップ刃でストリップする際、ストリップする位置が動いてしまい、芯線とストリップ刃が接触したときの入刃量寸法のばらつきが大きくなるという問題があった。
さらにまた、一般に電線の芯線は真円とは限らないため、異なる箇所では異なる入刃量となる可能性があるが、従来のように1箇所だけで検出する方法では、正しい入刃量設定を行うことができないという問題もあった。
本発明は、上記課題を解決するものであって、高精度の入刃量設定を可能にしたストリップ入刃量設定装置および設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様にかかるストリップ入刃量設定装置は、
電線の被覆へストリップ刃を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定装置であって、
電線に通電させる電線導通装置と、
前記ストリップ刃の前後に間隔をおいて配置され、前記電線を2箇所においてクランプする第1クランプおよび第2クランプと、
前記電線導通装置およびストリップ刃に電気的に接続され、前記電線導通装置の通電および前記ストリップ刃の芯線への接触による通電を検出する導通検出回路と、を備えたことを特徴とする。
【0005】
この態様においては、第1クランプと第2クランプで電線をクランプし、同期して前後に電線を移動させて、ストリップ刃に電線をセットし、ストリップ刃を作動させる。これにより、ストリップ刃が被覆に切り込んで芯線に接触し、これにより、電線導通装置との間が導通し、導通検出回路がこれを検出する。このとき、第1、第2クランプにより電線を2箇所で支持しているため、柔軟な電線でも動きなく確実に支持し、入刃量寸法のばらつきを防止することができる。
【0006】
本発明の第2の態様に係わるストリップ入刃量設定装置は、電線の被覆へストリップ刃を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定装置であって、
電線に通電させる電線導通装置と、
前記電線導通装置および前記ストリップ刃に電気的に接続され、前記電線導通装置の通電および前記ストリップ刃の芯線への接触による通電を検出する導通検出回路と、
電線の複数位置において、前記ストリップ刃を入刃してそれぞれの通電を前記導通検出回路で検出し、この検出値から入刃量を算出して記憶し、複数の入刃量の中の最大値を入刃量として記憶する演算制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この態様においては、電線の送り方向または後退方向に移動させて、複数位置において、ストリップ刃を入刃してそれぞれの通電を導通検出回路で検出し、この検出値から入刃量を演算制御部により算出する。これら複数の入刃量の中の最大値を入刃量として演算制御部に記憶する。
【0008】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定装置は、前記演算制御部は、複数の入刃量の中の最大値に、芯線に傷つけない入刃量となるように一定量をプラスした数値を設定入刃量として記憶するものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定装置は、前記ストリップ刃は、電線カット刃および第1クランプストリップ刃と第2クランプストリップ刃を備え、前記第1クランプストリップ刃および第2クランプストリップ刃における複数の入刃量の中の最大値に、芯線に傷つけない入刃量となるように一定量をプラスした数値を設定入刃量として記憶するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定装置は、前記ストリップ刃は、全体が絶縁材で形成され、芯線と接触する部分のみに導電材が付けられたものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定装置は、前記導電材と前記電線導通装置とを導通させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の態様に係わるストリップ入刃量設定方法は、電線の被覆へストリップ刃を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定方法であって、
(a)電線を電線導通装置にセットする工程と、
(b)前記電線を第1クランプおよび第2クランプにより2箇所においてクランプした状態で、前記第1クランプと第2クランプの間に設けられたストリップ刃に電線を位置決めする工程と、
(c)前記ストリップ刃を作動させて電線の芯線に接触させ、そのときの入刃量を検出する工程と
(d)前記第1クランプおよび第2クランプを移動させ、電線の複数箇所で上記(c)を行う工程と、
(e)上記(d)の工程で得られた複数の入刃量の値のうち、最大の入刃量を設定入刃量として記憶する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定方法は、前記(d)の工程で得られた最大の入刃量の値に、芯線に傷つけない入刃量となるように一定量をプラスした数値を設定入刃量として記憶する工程を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定方法は、前記ストリップ刃は、複数のクランプストリップ刃を備えたものであり、それぞれのクランプストリップ刃において前記工程(a)から(e)を実施し、それぞれのクランプストリップ刃において得られた入刃量の差を算出し、この差の値が予め決めたしきい値以内のときは大きい方の入刃量を設定入刃量として記憶することを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様に係わるストリップ入刃量設定方法は、前記入刃量の差の値が前記しきい値を超えるときは設定入刃量を記憶しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ストリップ刃の前後において、第1クランプおよび第2クランプにより電線を2箇所においてクランプするので、柔軟な電線を確実にクランプした状態でストリップ刃の入刃を実施することができ、芯線とストリップ刃が接触したときの入刃量寸法のばらつきを防止することができる。
また、本発明によると、電線の複数位置において、入刃量を検出し、その中の最大値を入刃量として記憶するようにしたので、芯線が真円でなくても異なる箇所での検出により正確な入刃量入刃量設定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のストリップ入刃量設定装置は、電線35の被覆へストリップ刃10,11を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定装置であって、電線35に通電させる電線導通装置24と、ストリップ刃10,11の前後に間隔をおいて配置され、電線35を2箇所においてクランプする第1クランプ20および第2クランプ21と、電線導通装置24およびストリップ刃10、11に電気的に接続され、電線導通装置24の通電およびストリップ刃10,11の芯線35bへの接触による通電を検出する導通検出回路30とを備える。
【0018】
また、本発明のストリップ入刃量設定装置は、電線の複数位置において、上述したストリップ刃10,11を入刃してそれぞれの通電を導通検出回路30で検出し、この検出値から入刃量を算出して記憶し、複数の入刃量の中の最大値を入刃量として記憶する演算制御部31を備える。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明のストリップ刃設定装置の実施形態を示す斜視図、図2は、システム構成図である。
【0020】
図1および図2に示すように、上下一対の導電性のストリップ刃10,11に、セラミック等の硬質の絶縁体12,13が固着されており、絶縁体12,13に支持部14,15が固着されている。支持部14,15とストリップ刃10,11は絶縁されている。支持部14,15に、右ねじおよび左ねじを備えたねじ杆16を螺合させている。
【0021】
図4に示すように、ストリップ刃10、11には、それぞれ両端部に第1クランプストリップ刃10a、11a,第2クランプストリップ刃10b,11bが設けられ、中央部にカット刃10c,11cが設けられている。ねじ杆16はサーボモータ17により回転駆動され、これにより、ストリップ刃10,11は互いに例えば垂直方向に接近後退するようになっている。
【0022】
図2に示すように、ストリップ刃10,11の後部(電線の送出し方向を前部とする)には第1クランプ20、前部には第2クランプ21がそれぞれ設置されている。第1クランプ20は、右左に配置されたクランプ部材20a,20bにより電線35を左右から挟持するものであり、第2クランプ21は上下に配置されたクランプ部材21a,21bにより電線35を上下から挟持するものである。第1クランプ20および第2クランプ21は、クランプ開閉動作とともに、X方向(電線送出し方向と直交する方向)およびY方向(電線送出し方向)に同期して移動するようになっている。
【0023】
第1クランプ20の後方に、電線送出装置22が設けられ、電線送出装置22の後方に電線35をガイドするガイド部23が設けられている。なお、電線送出装置22は、図示のものは上下に配置された一対のコンベヤベルト22a,22bで構成されたものであるが、一対のローラで構成してもよい。ガイド部23の後方に電線導通装置24が設けられている。電線導通装置24は、上下に配置された導電部材25,26と、上部の導電部材25に設けられた針状の導電接触部材27からなるものである。
【0024】
図2に示すように、電線導通装置24の導電部材25,26は導通信号を送信するようにリード線28を介して導通検出回路30に接続されている。ストリップ刃10,11も、その導通信号を送信するようにリード線29を介して導通検出回路30に接続されている。導通検出回路30には、演算制御部31が接続され、演算制御部31にはサーボモータ17の制御回路32および電線ストリップ装置の各機構を駆動する駆動回路33が接続されている。
【0025】
次に、ストリップ入刃量設定の工程を説明する(図3参照)。
(1)電線35を所定の長さ、例えば約1mの長さに切断し、電線導通装置24にその端末をセットする(図3(a))。
(2)電線導通装置24に端末をセットした状態で、第1クランプ20および電線送出装置22へ電線35をセットする。このとき、第1クランプ20は開放状態にある(同図)。
【0026】
(3)操作盤40(図2参照)から、自動入刃量調整ボタン41を選択し、スタートボタン42を押す(図2)。
(4)電線送出装置22が作動し、電線35を開放している第2クランプ21まで所定距離(例えば120mm程度)前送する。電線35を所定距離だけ前送した後、第1クランプ20および第2クランプ21は閉じて、電線35を把持する(図3(b))。
(5)次に、ストリップ刃10,11の芯線導通深さを見つけるため、最初に、第1クランプ20と第2クランプ21を電線と直交する方向(図1の+X方向)に移動させ、電線35をストリップ刃10,11の第1クランプストリップ刃10a,11aのセンタAに移動させる(図4(a)(b))。
【0027】
(6)第1クランプ20および第2クランプ21を同時に前方(−Y軸方向)へ所定距離(約10mm)移動する。次に、ストリップ刃10,11を閉じるように作動させると、第1クランプストリップ刃10a,11aが被覆35aに切り込んで芯線35bに接触し、これにより、電線導通装置24との間が導通し、導通検出回路30がこれを検出する。この導通検出回路30の出力に基いて、第1クランプストリップ刃10a,11aの入刃量を演算制御部31で算出しメモリ33に記憶させる(第1回)。
【0028】
(7)さらに、第1クランプ20および第2クランプ21を、−Y軸方向に10mm程度移動させ、再度ストリップ刃10,11を閉じるように作動させると、同様に第1クランプストリップ刃10a,11aが芯線35bに接触し、電線導通装置24との間が導通する。この導通があったときのその第1クランプストリップ刃10a,11aの入刃量を演算制御部31のメモリ31に記憶させる(第2回)。
【0029】
(8)さらに、第1クランプ20および第2クランプ21を、−Y軸方向に10mm程度移動させ、再度ストリップ刃10,11を閉じるように作動させると、同様に第1クランプストリップ刃10a,11aが芯線35bに接触し、電線導通装置24との間が導通する。この導通があったときのその第1クランプストリップ刃10a,11aの入刃量を演算制御部31のメモリ33に記憶させる(第3回)。
図6に、第1クランプストリップ刃10a,11aにおける1ないし3回目の検出工程を模式的に示している。
【0030】
(9)以上の(7)(8)(9)の工程により、第1クランプストリップ刃10a,11aで3回のストリップ刃10,11の入刃量の値をメモリ33に記憶することができる。この3回の数値の中で最も大きい数値に、安全を見込んで芯線に傷つけない入刃量となるように、予め決めた微小数値(例えば、0.1mm)を加えた数値を、第1クランプストリップ刃10a,11aの入刃量に自動設定する。例えば、1回目が1.15mm、2回目が1.10mm、3回目が1.17mmであったとすると、一番大きい数値は1.17であるので、1.17+0.1=1.27mmを入刃量に決定する。
【0031】
(10)次に、ストリップ刃10,11の第2クランプストリップ刃10b,11bでの芯線導通深さを見つけるため、第1クランプ20と第2クランプ21を−X方向に移動させ、電線35を第2クランプストリップ刃10b,11bのセンタBに移動させる(図5)。
【0032】
(11)次に、第1クランプ20および第2クランプ21を同時に後方(+Y軸方向)へ所定距離(約10mm)移動させながら、(6)(7)(8)の工程と同じ操作を行うことにより、第2クランプストリップ刃10b,11bで3回の入刃量値を記憶する。
図6に、第2クランプストリップ刃10b,11bにおける1ないし3回目の検出工程を模式的に示している。
【0033】
この3回の数値の中で最も大きい数値に予め決めた微小数値(例えば、0.1mm)を加えた数値を、第2クランプストリップ刃10b,11bの入刃量に自動設定する。例えば、1回目が1.05mm、2回目が1.00mm、3回目が1.07mmであったとすると、一番大きい数値は1.07であるので、1.07+0.1=1.17mmを入刃量に決定する。
【0034】
(12)この第2クランプストリップ刃10b,11bの入刃量(この例では1.17)と、上記した第1クランプストリップ刃10a,11aの入刃量(この例では1・27)とを比較する。この結果、その差が予め決められたしきい値以内であれば、双方の数値の大きい方を設定値として記憶し、しきい値より外れていれば「エラー」とし、装置を停止する。
【0035】
上記の例でいえば、第1クランプストリップ刃10a,11aの設定値1.27−第2クランプストリップ刃10b、11bの設定値1.17=0.1であるので、例えば、しきい値を0.05に設定した場合、この例では差0.1>しきい値0.05であるから、エラーとするが、しきい値を0.15に設定した場合は、差0.15=しきい値0.15であるから、しきい値の範囲内とし、大きい方の設定値1.27の設定値を取ることにより、設定を完了する。
【0036】
エラーの場合は、第1クランプストリップ刃または第2クランプストリップ刃の加工不良、刃欠けや摩耗がある可能性があるので、エラーである旨を表示部(図示せず)に表示するとともに、設定入刃量の記憶を行うことなく装置を停止し、ストリップ刃10,11を交換する。
【0037】
図7は、ストリップ刃10,11の他の構造例である。
このストリップ刃10,11は、全体がセラミック等の絶縁材10A、11Aで形成され、各刃10aから10c、11aから11cの谷間であって、芯線35bに接触する部分にのみ工具鋼材等の硬質の導電材10B、11Bを付着したものである。この導電材10B、11Bを電線導通装置24に接続しておくことにより、芯線がこの導電材10B、11Bに接触した場合の通電を検出することができる。これにより、全体が導電材で構成された通常のストリップ刃のように、芯線に予め通電させておく必要がなくなり、ストリップ入刃量設定装置が簡略化され、その分設備コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明のストリップ入刃量設定装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明のストリップ入刃量設定装置のシステム構成図である。
【図3】図3は、入刃量設定工程を示す側面図である。
【図4】図4は、ストリップ刃の正面から見た工程図である。
【図5】図5は、ストリップ刃の正面から見た他の工程図である。
【図6】図6は、入刃量設定工程の模式図である。
【図7】図7は、ストリップ刃の他の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
10、11 ストリップ刃
10a,11a 第1クランプストリップ刃
10b,11b 第2クランプストリップ刃
10c 電線カット刃
12,13 絶縁体
14,15 支持部
16 ねじ杆
17 サーボモータ
20 第1クランプ
21 第2クランプ
22 電線送出装置
23 ガイド部
24 電線導通装置
25、26 導電部材
27 導電接触部材
28、29 リード線
30 導通検出回路
31 演算制御部
32 制御回路
33 駆動回路
35 電線
35a 被覆
35a 芯線
40 操作盤
41 自動入刃量調整ボタン
42 スタートボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の被覆へストリップ刃を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定装置であって、
電線に通電させる電線導通装置と、
前記ストリップ刃の前後に間隔をおいて配置され、前記電線を2箇所においてクランプする第1クランプおよび第2クランプと、
前記電線導通装置およびストリップ刃に電気的に接続され、前記電線導通装置の通電および前記ストリップ刃の芯線への接触による通電を検出する導通検出回路と、を備えたことを特徴とするストリップ入刃量設定装置。
【請求項2】
電線の被覆へストリップ刃を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定装置であって、
電線に通電させる電線導通装置と、
前記電線導通装置および前記ストリップ刃に電気的に接続され、前記電線導通装置の通電および前記ストリップ刃の芯線への接触による通電を検出する導通検出回路と、
電線の複数位置において、前記ストリップ刃を入刃してそれぞれの通電を前記導通検出回路で検出し、この検出値から入刃量を算出して記憶し、複数の入刃量の中の最大値を入刃量として記憶する演算制御部と、を備えたことを特徴とするストリップ入刃量設定装置。
【請求項3】
前記演算制御部は、複数の入刃量の中の最大値に、芯線に傷つけない入刃量となるように一定量をプラスした数値を設定入刃量として記憶するものであることを特徴とする請求項2に記載のストリップ入刃量設定装置。
【請求項4】
前記ストリップ刃は、電線カット刃および第1クランプストリップ刃と第2クランプストリップ刃を備え、前記第1クランプストリップ刃および第2クランプストリップ刃における複数の入刃量の中の最大値に、芯線に傷つけない入刃量となるように一定量をプラスした数値を設定入刃量として記憶するものであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のストリップ入刃量設定装置。
【請求項5】
前記ストリップ刃は、全体が絶縁材で形成され、芯線と接触する部分のみに導電材が付けられたものであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のストリップ入刃量設定装置。
【請求項6】
前記導電材と前記電線導通装置とを導通させることを特徴とする請求項5に記載のストリップ入刃量設定装置。
【請求項7】
電線の被覆へストリップ刃を入刃して芯線に接触させて通電させ、そのときの入刃量を検出するストリップ入刃量設定方法であって、
(a)電線を電線導通装置にセットする工程と、
(b)前記電線を第1クランプおよび第2クランプにより2箇所においてクランプした状態で、前記第1クランプと第2クランプの間に設けられたストリップ刃に電線を位置決めする工程と、
(c)前記ストリップ刃を作動させて電線の芯線に接触させ、そのときの入刃量を検出する工程と
(d)前記第1クランプおよび第2クランプを移動させ、電線の複数箇所で上記(c)を行う工程と、
(e)上記(d)の工程で得られた複数の入刃量の値のうち、最大の入刃量を設定入刃量として記憶する工程と、を含むことを特徴とするストリップ入刃量設定方法。
【請求項8】
前記(d)の工程で得られた最大の入刃量の値に、芯線に傷つけない入刃量となるように一定量をプラスした数値を設定入刃量として記憶する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のストリップ入刃量設定方法。
【請求項9】
前記ストリップ刃は、複数のクランプストリップ刃を備えたものであり、それぞれのクランプストリップ刃において前記工程(a)から(e)を実施し、それぞれのクランプストリップ刃において得られた入刃量の差を算出し、この差の値が予め決めたしきい値以内のときは大きい方の入刃量を設定入刃量として記憶することを特徴とする請求項7または8に記載のストリップ入刃量設定方法。
【請求項10】
前記入刃量の差の値が前記しきい値を超えるときは設定入刃量を記憶しないことを特徴とする請求項9に記載のストリップ入刃量設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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