説明

導電性ダイヤモンド電極並びに導電性ダイヤモンド電極を用いたオゾン生成装置

【課題】導電性ダイヤモンドの薄膜と厚い基材を用い、自立型導電性ダイヤモンド電極よりもコストが安く、しかも、ゼロギャップ電解に使用できるよう機械的強度を十分に有し、かつ、水供給・ガス排出を滞りなく長期間、安定に動作することのできる導電性ダイヤモンド電極の提供。
【解決手段】導電性ダイヤモンド電極の表面の全体に亘り、多数の凸凹部25,26を有する基板11と該基板11の表面に被覆されたダイヤモンド膜よりなり、前記凸凹部の各凸部25の幅が0.2mm以上、1mm以下であることを特徴とする導電性ダイヤモンド電極。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、導電性ダイヤモンド電極並びに導電性ダイヤモンド電極を用いたオゾン生成装置に関するものである。
【0002】
オゾンは自然界において酸化力が極めて強い物質として知られており、近年その強い酸化力を利用してさまざまな産業分野において使用用途が広がっている。例えばオゾンを利用した殺菌・脱色方法は上下水道施設において利用されている。オゾンが経時的に自己分解して無害な酸素となるため従来の薬品を使った殺菌・脱色方法と比較して残留薬品や反応生成物による二次汚染の心配が無く、後処理が容易であることが、強い殺菌・脱色能力に加えて評価されている。
【0003】
オゾンを生成する方法としては、紫外線ランプ法、無声放電法、電気分解法が知られている。紫外線ランプ法は紫外線により酸素を励起してオゾンとする方法であり、比較的簡易な設備でオゾン発生を行うことが出来るが、発生量が少量であり、室内・車内の消臭等に広く利用されている。無声放電法は最も普及した一般的なオゾン発生方法であり、発生量の少ないオゾン発生器を用いた室内の消臭等の簡易的な用途から、数十kg/hの大型発生装置を用いた大規模な水処理用途まで、様々な用途に利用されている。無声放電法は、原料として酸素ガスや空気中の酸素を用い、放電によって酸素を励起して反応させオゾンとする方法である。
【0004】
電気分解法は、水を電気分解することで陽極発生ガス中にオゾンを得る方法である。硫酸水溶液などの水溶液を電解することでもオゾン発生するが、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜などで知られる固体高分子電解質を電解質として用いて超純水電解を行った場合、高濃度且つ高純度なオゾンが得られる特徴を有している。また、超純水を原料すること及び発生ガス中の不純物が極めて少ないことから、超純水電解オゾン水製造装置は半導体ウェハやLCD基板等の洗浄を行う精密洗浄分野において広く利用されている。
【0005】
従来、電気分解法によるオゾン生成方法の陽極には、オゾンガス発生電流効率に優れることから、チタンなどの導電性多孔製金属上に電解めっきなどの方法により担持された二酸化鉛(PbO2)が利用されてきた。パーフルオロスルホン酸イオン交換膜を固体高分子電解質とし、二酸化鉛を陽極として室温下で超純水電解を行った場合、オゾン発生電流効率は通常は10−15%を示し、また高電流密度においては20%にも達する。経時的にパーフルオロスルホン酸イオン交換膜は消耗していくものの、その消耗は少なく、2年以上の連続電解を行っても安定したオゾン発生量及び安全性を保つことが出来る。
【0006】
このように、二酸化鉛陽極は、高電流密度下や連続電解下においては高オゾン発生電流効率であり経時安定性にも優れているが、この二酸化鉛陽極は、還元環境において還元され変質しやすい特徴を有している。例えば、電解停止時においては、電解セル内に残存する水素等の還元性物質との化学反応や、二酸化鉛陽極の陰分極による電解還元反応により、電極表面の二酸化鉛が容易に水酸化鉛(Pb(OH)2)や酸化鉛(PbO)、鉛イオン(Pb2+)に還元される。これらは、何れもオゾン発生能力も電子導電性も持たないため、電解停止後の再稼動時にはオゾン発生能力が低下する現象が発生することとなる。
【0007】
従って、二酸化鉛電極を用いた電解オゾン発生装置においては、停止時の性能低下を避けるため、装置停止時には、電解セルに通常の電解電流の1/10〜1/1000の電流である保護電流を供給する機構を有している。この機構は、保護電流専用直流電源、蓄電池、及び制御システムで構成され、電解セルに瞬間的な無通電状態も発生しないように常時装置の状況を監視している。この機構により、二酸化鉛陽極は電解停止時においても還元環境に晒されることなく保護されるが、本機構の存在は電解オゾン発生装置の動作機構及び装置構成を複雑にし、装置価格を上昇させている。
【0008】
しかも、二酸化鉛陽極は鉛を多く含んでいる。近年、鉛の毒性および法的要請、例えば、ROHSガイドラインのために、鉛の使用は全工業用品において削減される方向である(非特許文献1参照)。
【0009】
一方、ホウ素などのドーパントを結晶構造中に付与することにより導電性を与えた導電性ダイヤモンドを陽極として水電解を行うことにより、二酸化鉛陽極よりもはるかに高い40%程度のオゾン発生電流効率が得られることがわかっている。また、導電性ダイヤモンド陽極は、化学的及び電気化学的な安定性に優れているため、二酸化鉛が還元により変質、劣化してしまう還元環境においても、性状及び電解特性に変化ない。従って二酸化鉛陽極を用いた電解オゾン発生装置において必須であった保護電流機構が必要なくなり、装置の簡易化が行われる。もちろん、導電性ダイヤモンドを構成する炭素及びホウ素は、ROHSガイドラインにおいて対象物質ではない。
【0010】
導電性ダイヤモンド電極は基材上に、HFCVD法やMWCVD法によって成膜される。どちらの成膜方法においても導電性ダイヤモンド膜の基材としては、成膜環境である1000℃程度の高温且つ水素雰囲気に耐え、且つこれらの工程における温度変化時にも導電性ダイヤモンド膜との密着性を損なわない特性が要求される。CVD合成ダイヤモンドの基材としては、一般的にはシリコンが使用されるが、導電性ダイヤモンド電極の基材としてはこれらの成膜時の耐久性に加えて、電解時の給電体としての機能として導電性も求められるため、導電性シリコンが一般的に使用される。炭素やチタンやニオブなども使用できるが、シリコンと比較すると、ダイヤモンド膜の密着性や、成膜時の高温水素雰囲気に対する耐久性に劣り、電解時に基板から導電性ダイヤモンド膜が剥離しやすい欠点がある。
【0011】
抵抗値が非常に大きい超純水を直接電解するゼロギャップ水電解においては、多孔質の電極基材に電極触媒を担持させて電極とし、イオン交換膜に押し付けて接触させ、水/電極触媒/イオン交換膜が接している三相界面を電解場として電解を行う。導電性ダイヤモンド電極を電極としてゼロギャップ水電解を行う場合も同様に、導電性ダイヤモンド電極をパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜に押し付けて水が共存する三相界面を形成して水電解反応を行う。
長期的に安定して電解を行うためには、電極触媒/イオン交換膜の接触部に水が常に供給され、安定な三相界面が形成されることが必要である。
【0012】
水が電極触媒/イオン交換膜の接触部に十分に供給されず安定な三相界面を形成できない場合は、電解反応場へ原料が供給されないということだけに留まらず、電解質であるイオン交換膜の含水率の低下も引き起こす。イオン交換膜の含水状態はイオン交換膜の導電率と密接な関係があり、含水率が低下した場合は導電率が大幅に低下するため、セル電圧の上昇となり、ひいては電解不能という状態を引き起こす。
【0013】
更に、セル電圧上昇は大きなジュール熱を発生し、電極や電解液を過熱する。オゾンは自己分解性を有しているが、自己分解反応は熱により促進されるため、出来るだけ低温で電解を行う方がオゾン収率は良い。
【0014】
一般的に、水素発生装置や電解オゾン発生装置等のゼロギャップ水電解セルにおける三相界面の形成は、金属繊維体や多孔質カーボン板等の導電性と多孔性を併せ持つ基材の表面に電極触媒である金属や金属酸化物を担持させて多孔質電極とし、これをパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の表面へ押し付けたり、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜モノマーが溶解している液を電極表面に塗布し、ホットプレス等の方法によってパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜へ圧着して十分な接合をとることで行われている。この時使用される多孔性材料は、水及びガスの供給や排出を速やかに行うために40%以上の空隙率を有する構造が一般的に用いられる。
【0015】
前述したように導電性ダイヤモンド膜と良好な密着性を保てる基材はシリコンが最も適している。脆性材料であるシリコンは、金属では可能な繊維化や微細孔形成による空隙率が40%を超える多孔化は困難である。従って、ゼロギャップ電解を行う電極構造体としてシリコンを使用するためには、シリコン基材を加工して表面に凸凹や貫通孔を作製し、これらを水の供給路及びガスの排出路として機能させ、凸部端部を三相界面の電極触媒部分として使用することとなる。
【0016】
シリコン板材への凸凹部の作製は、リソグラフィーによるパターン形成と、反応性ガスや溶解性溶液を使ったエッチングを用いて行うことが出来る。但し、十分な微細化を行わない場合は、三相界面量つまり電解反応場が少ないため、電解セルに十分な電流が供給できなくなり、目的とする電解生成物の製造量も少なくなる。また、電解場に電解ガスが滞留することでパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の含水率が低下し、それに伴って導電率も低下してセル電圧が経時的に上昇し通電できない状況となる。従って、凸部表面は、水が全面に渡って浸入でき、同時に発生した電解ガスが速やかに電極から排出される微細化を施す必要がある。
【0017】
シリコン基板やダイヤモンド膜及び表面にダイヤモンド膜を成膜したシリコン基板への微細な凸部作製は、リソグラフィーを利用して作製する。加工にはドライエッチング装置や露光装置など精度の高い高価な装置を用いるため製作コストが嵩むだけでなく、ドライエッチングによる凸部作製後の表面は疎水性を示しやすいため、電解用電極として使用した場合、表面に水素や酸素などの電解生成ガスが付着しやすく、電解時に電解反応を行う物質である水の供給を阻害しやすい。
【0018】
市販されているシリコンウェハのように極めて平坦性が高い基板を加工して電極構造体を作製した場合はパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜と導電性ダイヤモンドを成膜した電極基板との密着性が高くなるため、水が凸部表面の全面に侵入しにくく、電解反応が進行しにくくなる。又、基板表面の粗度が大きく表面が荒れている場合は、凸部表面に更に微細な凸凹を有する導電性ダイヤモンド膜による先端部が形成されているため三相界面は多数発生し水の供給や電解発生ガスの排出にも有利であるが、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜と電極基材を押し付けて接触させているため、電解セル組立時にパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜へ深い切り込みやピンホールを発生させることがある。従って、電極基板の表面粗度は適切な範囲で管理する必要がある。
【0019】
水及びガスの供給排出経路を保持するために、特許文献1においては、多孔質状または網目状の構造を有する導電性ダイヤモンド電極が有効であるとしており、具体的には気泡を効率よく取り除くためには基材又は自立型導電性ダイヤモンド電極に孔を設けることが望ましいとしている。これを実施するためには、強度が弱い自立型導電性ダイヤモンド電極にリソグラフィ等の方法により作製したマスクを用いてドライエッチングを行う必要があるが、加工方法及び加工装置が高価である。貫通する孔も形成するため、電解可能な表面が少なくなる上に、加工が煩雑であり、機械的強度が弱い自立型導電性ダイヤモンド電極では製作が困難である。
【0020】
また、特許文献2においては、柱状の自立型導電性ダイヤモンドが示されており三相界面を増やすことに有効であるとしているが、特許文献1と同様に加工が煩雑且つ困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2007−44630号公報
【特許文献2】特開2009−7655号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】電気および電子機器における特定有害材料の使用の制限:2003年1月27日のEGガイドライン2002/95/EG
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上記従来方法の欠点を解消し、コストが安く、しかも、ゼロギャップ電解に使用できるよう機械的強度を十分に有し、かつ、水供給・ガス排出を滞りなく長期間、安定に動作することのできる導電性ダイヤモンド電極並びに前記導電性ダイヤモンド電極を使用し、安定に、長期間、高電流効率で、オゾンを生成することのできるオゾン生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、上記の課題を解決するため、表面の全体に亘り、多数の凸凹部を有する基板と該基板の表面に被覆されたダイヤモンド膜よりなり、前記凸凹部の各凸部の幅が0.2mm以上、1mm以下である導電性ダイヤモンド電極を構成したことにある。
【0025】
また、本発明による第2の課題解決手段は、前記凸凹部の各凸部の形状が円形、楕円形あるいは多角形である導電性ダイヤモンド電極を構成したことにある。
【0026】
また、本発明による第3の課題解決手段は、前記基板に貫通孔を設けた導電性ダイヤモンド電極を構成したことにある。
【0027】
また、本発明による第4の課題解決手段は、前記導電性ダイヤモンド電極を複数個、分割して設け、これらを間隔を置いて配置し、前記導電性ダイヤモンド電極間に電解液及び発生ガスの通路を形成した導電性ダイヤモンド電極を構成したことにある。
【0028】
また、本発明による第5の課題解決手段は、導電性ダイヤモンド電極の表面の全体に亘り間隔を置いて配置された多数の帯状の基板又は突起物状に縦横に林立する基板と該基板の表面に被覆されたダイヤモンド膜よりなり、該基板の幅が0.2mm以上、1mm以下であることを特徴とする導電性ダイヤモンド電極を構成したことにある。
【0029】
また、本発明による第6の課題解決手段は、固体高分子電解質隔膜の両側面に陽極及び陰極を密着させ、固体高分子電解質隔膜としてパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜を使用し、陽極として前記導電性ダイヤモンドを表面に有する電極を使用し、陽極室に純水を供給し、陽陰極間に直流電流を供給することによって、水を電気分解して、陽極室よりオゾンを生成させるオゾン生成装置において、前記導電性ダイヤモンド電極を用いたことことにある。
【0030】
また、本発明による第7の課題解決手段は、固体高分子電解質隔膜の両側面に陽極及び陰極を密着させ、固体高分子電解質隔膜としてパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜を使用し、陽極として前記導電性ダイヤモンドを表面に有する電極を使用し、陽極室に純水を供給し、陽陰極間に直流電流を供給することによって、水を電気分解して、陽極室よりオゾンを生成させるオゾン生成装置において、表面の全体に亘り、多数の凸凹部を有する基板と該基板の表面に被覆されたダイヤモンド膜よりなり、前記導電性ダイヤモンド電極を用い、前記導電性ダイヤモンドを表面に有する電極を前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の片面に、20kgf/cm2以上の面圧で押し付けて陽極とし、前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の他方の面には陰極を押し付けた構造としたことにある。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、自立型導電性ダイヤモンド電極よりもコストが安く、しかも、ゼロギャップ電解に使用できるよう機械的強度を十分に有し、かつ、水供給・ガス排出を滞りなく長期間、安定に動作することのできる導電性ダイヤモンド電極及びオゾン生成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1−1】本発明によるオゾン生成装置を実施するための電解セルの1例の構成を示す模式図。
【図1−2】本発明によるオゾン生成装置を実施するための電解セルの他の例の構成を示す模式図。
【図2−1】本発明による導電性ダイヤモンド電極の基板の1例の構成を示す表面図。
【図2−2】図2−1に記載の基板表面にダイヤモンド膜を被覆した導電性ダイヤモンド電極の断面図。
【図3−1】本発明による導電性ダイヤモンド電極の基板の他の例の構成を示す表面図。
【図3−2】図3−1に記載の基板表面にダイヤモンド膜を被覆した導電性ダイヤモンド電極の断面図。
【図4−1】本発明による導電性ダイヤモンド電極の基板の更に他の例の構成を示す表面図。
【図4−2】図4−1に記載の基板表面にダイヤモンド膜を被覆した導電性ダイヤモンド電極の断面図。
【図5】本発明によるオゾン生成装置を実施したオゾン生成方法の一例を示すブロック線図。
【図6】本発明による三相界面の増加と流路の増加を示すブロック線図。
【図7】本発明による三相界面の増加と流路の増加を示す他のブロック線図。
【図8】本発明による三相界面の増加と流路の増加を示す更に他のブロック線図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明による導電性ダイヤモンド電極及び導電性ダイヤモンド電極を用いたオゾン生成装置について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0034】
図1−1は、本発明によるオゾン生成方法及びオゾン生成装置を実施するための電解セルの1例の構成を示す模式図である。1は、陽極室排出口、2は、陰極室排出口、3は、陽極室、4は、陰極室、5は、陽極給電端子、6は、陰極給電端子、7は、陽極室供給口、8は、陰極室供給口、9は、パーフルオロスロホン酸陽イオン交換膜よりなる固体高分子電解室隔膜、10は、導電性ダイヤモンド膜、11は、基板、12は、貫通孔、22は、陽極、13は、陰極、14は、陰極集電体、15は、シール材、16は、締付ボルト、17は、ナット、18は、プレス板である。基板11としては、5cm角p型シリコン基板(3mmt)11を用いた。
【0035】
陽極22は、基板11の表面に導電性ダイヤモンド膜10を有し、貫通孔12が穿孔されており、陽極22及び陰極13は、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜よりなる固体高分子電解室隔膜9の両面に密着させ、いわゆるゼロギャップセルを構成した。陽極22及び陰極13は、それぞれ陽極室3、陰極室4に収められ、陽極室3、陰極室4はそれぞれ陽極室排出口1と陰極室排出口2及び陽極室供給口7と陰極室供給口8を有している。
【0036】
各構成材料間の電気的コンタクト及び凸凹付p型シリコンで形成された基板11の表面に導電性ダイヤモンド膜10を有する陽極22、陰極13よりなる陰極、陰極集電体14、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜よりなる固体高分子電解室隔膜9の接合は、締付ボルト16、ナット17、プレス板18を用いて圧設した。ボルト・ナットへのトルクは、3N・mとした。そのとき陽極がイオン交換膜に与える押圧力は、30kgf/cm2
の面圧であった。
【0037】
純水を陽極室供給口7より陽極室3内に供給すると、この純水は、貫通口12等を通って導電性ダイヤモンド膜10、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜よりなる固体高分子電解室隔膜9の接触面に供給され、電解反応が起こり、陽極室3内において、オゾンガスと酸素ガスと水素イオンが発生し、オゾンガスと酸素ガスは、陽極室排出口1から電解セル外へ排出され、水素イオンは、固体高分子電解室隔膜9を透過して陰極13の表面に達し、電子と結びついて、水素ガスとなり、陰極室排出口2より電解セル外へ排出される。
【0038】
図1−2は、本発明によるオゾン生成方法及びオゾン生成装置を実施するための電解セルの他の例の構成を示す模式図であって、固体高分子電解室隔膜9として2枚のパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜を使用した例を示したものである。
【0039】
図2−1は、本発明による導電性ダイヤモンド電極の基板の1例の構成を示す表面図であり、図2−2は、図2−1に記載の基板表面にダイヤモンド膜を被覆した導電性ダイヤモンド電極の断面図である。基板11の表面に、ダイシングにより表面に0.5mmピッチの凸凹を多数作製した後、裏面よりドリル加工を行い複数の貫通孔12を得た。基板11としては、5cm角p型シリコン基板(3mmt)11を用い、シリコン表面にテクスチャ加工を施すために、35%フッ酸と70%硝酸を1:1で混合して調整したフッ硝酸溶液に室温下で5分間浸漬し、更に60℃の10%水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した。25は、凸部、26は、凹部である。
シリコン板を水洗し、乾燥した後、前処理としてダイヤモンドパウダーをイソプロピルアルコール内に入れ、基板を入れて超音波を印加することで種付け処理を行った。成膜方法としては2.45GHzでのマイクロ波プラズマCVD法を用いた。ガスとしてH2、CH4、B26を用い、それぞれの流量を800sccm、20sccm、0.2sccm導入し、ガス圧力を3.2kPaとした。マイクロ波プラズマCVDによりドーパントとしてホウ素を含む導電性ダイヤモンド膜10を成膜して作製した。尚、実電解面積となる凸部頂部の総面積は6.25cm2である。
【0040】
本発明においては、図6、図7に示すように、陽極22の導電性ダイヤモンド膜10の表面の凸部25は、パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜9と水相の両方とに接しており、これらは、三相界面30を形成している。更に、凸部25とパーフルオロスルホン酸型陽イオン交換膜9との接触面全面を三相界面30とするために微細構造を有し、且つ凸部25の全面に水が浸入し電解ガスが速やかに電解場から排出されるためには、凸部25の幅は、1mm以下とし、電極表面全面が存在する必要がある。このように、凸部25の数を増やし、電極表面を微細構造とすると、三相界面30も電解液及び発生ガスの流路が増え、流体の流通がしやすくなる。
一方、凸部25の幅が2mm以上になると、凸部25がパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜9に接触しているにもかかわらず、凸部25の中間部に、常に水が入らず電解できない部分23が形成されてしまう。このように、凸部25の中間部に形成された、常に水が入らず電解できない部分23は、電解開始後には、図8(a)から図8(b)に示すように、気泡が導電性ダイヤモンド膜10の全面を覆うようになり、三相界面30の部分が殆どなくなり、電解ができない状態になってしまう。
【0041】
一方、凸部25が微細すぎると、イオン交換膜と電極を押し圧で接触させて三相界面を得ているゼロギャップ構造では、凸部25が破損しやすいため、凸部25の幅は、0.2mm以上とし、凸部25が電極表面の全面が存在するような幅が凸部25には必要である。
【0042】
更に、水を凸部25全面に侵入させ、凸部25表面全面に微細な三相界面を形成するには、凸部25表面が適切な表面粗さを有していることが必要であり、その表面粗さRaは、0.1μm以上とする必要がある。一方、その表面粗さRaが、粗すぎる場合はパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜が破損しやすくなるため、その表面粗さRaは、10μm以下とする必要がある。その表面粗さRaは、0.2〜0.5μmとすることが好ましい。
【0043】
また、本発明による導電性ダイヤモンド電極は、コスト低減のためには高精度な加工装置を複数使用しないで凸凹構造が作製できるダイシングやドリル加工などの機械加工を用いることが必要である
【0044】
また、凸部25表面から凹部26へ排出されたガスや凸部25表面に供給される水が速やかに電極背面から流通できるように基板11には複数の貫通孔12を設けることが有効である。
【0045】
また、本発明によれば、図3−1及び図3−2に示すように、凸凹加工された複数の基板11を、隙間27を置いて配置することにより貫通孔12と同様の効果を得ることが出来る。28は、給電体である。
【0046】
また、前記凸凹部の各凸部25の形状は、円形、楕円形あるいは多角形その他の形状の導電性ダイヤモンド電極が使用できる。
【0047】
また、本発明によれば、図4−1及び図4−2に示すように、凸凹加工された複数の基板11を設ける代わりに、導電性ダイヤモンド電極の表面の全体に亘り多数の帯状の基板29を、隙間27を置いて配置し、各帯状の基板29の表面にダイヤモンド膜8を被覆し、該基板の幅を、0.2mm以上、1mm以下とすることにより、図2−1および図2−2に記載のダイヤモンド電極と同等の効果を発揮することができる。
尚、多数の帯状の基板29に換えて、角状、円状、その他の形状で突起物状に縦横に林立する基板を用いても良い。
【0048】
本発明によれば、固体高分子電解質隔膜の両側面に陽極及び陰極を密着させ、固体高分子電解質隔膜としてパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜を使用し、陽極として前記導電性ダイヤモンドを表面に有する電極を使用し、陽極室に純水を供給し、陽陰極間に直流電流を供給することによって、水を電気分解して、陽極室よりオゾンを生成させ、陰極室より水素を生成させるオゾン生成装置を構成するので、安定して水電解を行うことが出来、高濃度オゾン発生が行える。
【0049】
また、本発明において、前記導電性ダイヤモンドを前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の片面に、20kgf/cm2以上の面圧で押し付けて陽極とした。前記導電性ダイヤモンドを前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の他方の面には陰極を押し付けた構造として、陽極側に水を供給しつつ、直流電流を供給して電解を行うことでオゾンを発生させるオゾン生成装置を構成している。このトルクの値が小さいと導電性ダイヤモンド電極などの電極とパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜とが十分に接触せず実電解面積が小さくなるために電解電流密度が上昇し、それに伴ってセル電圧が高くなり、稼動電力及び発熱が大きくなる。また、このとき、前記導電性ダイヤモンドを前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜に押し付ける押圧力は、20kgf/cm2以上の面圧とすることは必要であり、この押圧力の値が大きいと、接触は十分に行われるが、若し、大きすぎると、凸部が破損する可能性がある。従って、この押圧力の値は、以下に示す実施例に記載のとおり、20kgf/cm2〜50kgf/cm2とすることにより、セル電圧の変化はわずかとなることが判明した。
尚、電極とイオン交換膜との良好な接触を得るには、予め電極表面にイオン交換膜と同様の組成のアイオノマーを電極表面に塗布し、ホットプレス法などの手法により接合して良好な接触を得ることが出来るが、電解時においては、電解液温度やジュール熱による発熱等の温度条件による材料の熱膨張や、イオン交換膜の含水状態による伸縮により容易に剥離するため、ある程度の押圧で接触を保持し続けることが、電解場を経時的に安定して保持するために必要である。
【0050】
導電性ダイヤモンド膜10を表面に有する陽極は、電極基体上に炭素源となる有機化合物の還元析出物であるダイヤモンドを担持して製造される。電極基体の材質及び形状は材質が導電性であれば特に限定されず、導電性シリコン、炭化珪素、チタン、ニオブ、モリブデン等から成る板状、メッシュ状あるいは例えばビビリ繊維焼結体である多孔性板等が使用でき、材質は熱膨張率が近い導電性シリコン、炭化珪素の使用が特に好ましい。又導電性ダイヤモンドと基体の密着性向上のため及び導電性ダイヤモンド膜の実表面積を増加させ投影面積当たりの電流密度を下げるために、基体表面はある程度の粗さを有することが望ましい。
【0051】
導電性ダイヤモンドを膜状にして使用する場合は、耐久性及びピンホール発生を少なくするために、膜厚を10μmから50μmとすることが望ましい。耐久性の面から100μm以上の自立膜も使用可能であるが、製作や取扱が困難であることに加え、槽電圧が高くなり電解液温の制御が煩雑になるため好ましくない。
【0052】
基体への導電性ダイヤモンドの担持法も特に限定されず従来法のうちの任意のものを使用できる。代表的な導電性ダイヤモンド製造方法としては熱フィラメントCVD(化学蒸着)法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法及び物理蒸着(PVD)法等があり、これらの中でも成膜速度が速いこと及び均一な膜を得やすいことからマイクロ波プラズマCVD法の使用が望ましい。
この他に超高圧で製造される合成ダイヤモンド粉末を樹脂等の結着剤を用いて基体に担持したダイヤモンド電極も使用可能である。
【0053】
マイクロ波プラズマCVD法は、メタン等の炭素源とボラン等のドーパント源を水素で希釈した混合ガスを、導波管でマイクロ波発信機と接続され、導電性シリコンやアルミナ、炭化珪素等の導電性ダイヤモンドの成膜用基板が設置された反応チャンバに導入し、反応チャンバ内にプラズマを発生させ、基板上に導電性ダイヤモンドを成長させる方法である。マイクロ波によるプラズマではイオンは殆ど振動せず、電子のみを振動させた状態で擬似高温を達成し、化学反応を促進させる効果を奏する。プラズマの出力は1〜5kWで、出力が大きいほど活性種を多く発生させることができ、ダイヤモンドの成長速度が増加する。プラズマを用いる利点は、大表面積の基体を用いて高速度でダイヤモンドを成膜できることである。
【0054】
ダイヤモンドに導電性を付与するために、原子価の異なる元素を微量添加する。硼素やリンの含有率は好ましくは1〜100000ppm、更に好ましくは100〜10000ppmである。この添加元素の原料は毒性の少ない酸化硼素や五酸化二リンなどが使用できる。このように製造された基体上に担持された導電性ダイヤモンドは、チタン、ニオブ、タンタル、シリコン、カーボン、ニッケル、タングステンカーバイドなどの導電性材料から成る、平板、打抜き板、金網、粉末焼結体、金属繊維体、金属繊維焼結体等の形態を有する給電体に接続できる。
【0055】
固体高分子電解室隔膜9に使用するパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜としては、市販のパーフルオロスルホン酸型陽イオン交換膜(商品名:ナフィオン117、デュポン社製、カタログ厚さ183μm)を使用し、煮沸純水に30分間浸漬し、含水による膨潤処理を行った。
【0056】
陰極13は、次のようにした製作した。PTFEディスパージョン(三井デュポンフロロケミカル株式会社31−J)と、白金担持カーボン触媒を水に分散させた分散液を混合した後、乾燥させ、これにソルベントナフサを加えて混練した後、圧延工程と乾燥工程及び焼成工程を経て、PTFE40%、白金担持カーボン触媒60%の混合比で膜厚120μm、空隙率55%の陰極13と得た。
また、厚さ2.5mmのステンレス繊維焼結体(東京製綱(株))を陰極集電体とした。
【実施例】
【0057】
次に、本発明の実施例及び比較例を説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
<実施例1>
パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜として、市販のパーフルオロスルホン酸型陽イオン交換膜(商品名:ナフィオン117、デュポン社製、カタログ厚さ183μm)を使用し、煮沸純水に30分間浸漬し、含水による膨潤処理を行った。
【0059】
導電性ダイヤモンド電極よりなる陽極は、5cm角p型シリコン基板(3mmt)の表面に、テクスチャ加工を施すために、35%フッ酸と70%硝酸を1:1で混合して調整したフッ硝酸溶液に室温下で5分間浸漬し、更に60℃の10%水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した。この時のシリコン基板の表面粗さRaは、場所によってムラがあるものの0.1〜4μmであった。
次に、ダイヤモンドソーを使ってダイシングにより表面に凸凹を多数作製した。尚、各試料の作製に用いたダイヤモンドソーの厚さは20μmである。
【0060】
作製した凸凹形状のシリコン板を水洗し、乾燥した後、前処理としてダイヤモンドパウダーをイソプロピルアルコール内に入れ、基板を入れて超音波を印加することで種付け処理を行った。成膜方法としては2.45GHzでのマイクロ波プラズマCVD法を用いた。ガスとしてH2、CH4、B26を用い、それぞれの流量を800sccm、20sccm、0.2sccm導入し、ガス圧力を3.2kPaとした。マイクロ波プラズマCVDによりドーパントとしてホウ素を含む導電性ダイヤモンド膜を成膜して作製した。
【0061】
試料1〜7は、図2−1に示すように、表面の全体に亘り、多数の凸凹部を有する基板11の表面にダイヤモンド膜10を被覆したものであり、各凸部25の形状は、試料1〜6が正方形状に形成し、試料7は、帯状の長方形状に形成した。また、凸部25表面から凹部26へ排出されたガスや凸部25表面に供給される水が速やかに電極背面から流通できるように基板11には、複数の貫通孔12を設けた。
試料1〜7の凸部幅、凸部長さ、凹部幅、凹部深さは、表1に示した。実電解面積となる凸部の総面積は、試料1〜6が6.25cm2、試料7が15cm2であった。
【0062】
試料1〜7の貫通孔の開口部の面積和は、電極構造体の投影面積に対して10%であった。また、各凸部の表面粗さRaは、0.2〜0.5μmであった。
【0063】
PTFEディスパージョン(三井デュポンフロロケミカル(株) 31−J)と、白金担持カーボン触媒を水に分散させた分散液を混合した後、乾燥させ、これにソルベントナフサを加えて混練した後、圧延工程と乾燥工程及び焼成工程を経て、PTFE40%、白金担持カーボン触媒60%の混合比で膜厚120μm、空隙率55%の陰極を得た。
また、厚さ2.5mmのステンレス繊維焼結体(東京製綱(株))を陰極集電体とした
【0064】
図5に示すように、電解セル24を、陽極側気液分離器19、陰極側気液分離器20及び直流電源21と接続し、水電解を行った。電解電流は6.25Aとした。陽極室には電解液である純水の運転開始時の温度は23℃とし、特に冷却を行わずに水電解を行った。
【0065】
各構成材料間の電気的コンタクト、及び各電極とパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の接合は、セルプレスを締め付けるボルト・ナットへのトルクによる接触によって行った。トルクの値が小さいと導電性ダイヤモンド電極などの電極とパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜とが十分に接触せず実電解面積が小さくなるためにセル電圧が高くなり、稼動電力及び発熱が大きくなる。また、トルクの値が大きいと、接触は十分に行われるが、凸部が破損する可能性がある。従って、検討に先立ち、試料4を用いてトルクとセル電圧の関係を調査したところ、表3に示すとおり、トルク1N・m未満ではトルク増加に伴ってセル電圧は低下し、2N・m〜5N・mではトルク増加によるセル電圧の変化はわずかとなったため、その後の試験ではトルクは3N・mとした。また、本電解試験に用いた直流電源21の供給電圧限界値は24Vである。
【0066】
直流電源21からの電流供給を行うと、陽極からはオゾンと酸素の混合ガス、陰極からは水素ガスが生成した。セル電圧の経時変化、電解開始3時間後の陽極電解液温度、及びオゾン発生電流効率を表1−1、1−2、表2−1、2−2に示した。表1は、0.32A/cm2で電解した結果を示したものであり、表2は、1A/cm2で電解した結果を示したものである。
【0067】



【0068】



【0069】

【0070】
その結果、試料1〜7のうち、凸部幅が0.2mm以上、1mm以下である試料2〜4については、3時間の連続電解においても、セル電圧の上昇は認められず、オゾン発生についても高電流効率が保たれた。これらは、電解場において水供給やガス排出が速やかに行われ、電解を行なうための条件が電解場において経時維持がなされていた結果といえる。
【0071】
これに対して、凸部幅が0.1mmの試料1については、セル電圧の上昇、オゾン発生効率の低下が認められ、試験終了後の陽極観察では凸部の破損が認められた。また、凸部幅が2mm以上の試料5〜7については、セル電圧の上昇及びオゾン発生効率の著しい低下が認められた。解体後の観察で凸部に電解液による濡れが発生しているのは凸部端部のみであり、電解液が電極表面全てに供給されないことがセル電圧上昇の原因であると推測された。
【0072】
しかも、凸部幅が0.2mm以上、1mm以下である試料2〜4については、表2に示すように、1A/cm2の3時間の連続電解においても、セル電圧の上昇は認められず、オゾン発生についても高電流効率が保たれた。これらは、電解場において水供給やガス排出が速やかに行われ、電解を行なうための条件が電解場において経時維持がなされていた結果といえる。
【0073】
更に、凸部幅が0.1mmの試料1については、セル電圧の上昇、オゾン発生効率の低下が認められ、試験終了後の陽極観察では凸部の破損が認められた。凸部幅が2mm以上の試料5〜7については、セル電圧の上昇及びオゾン発生効率の著しい低下が認められた。解体後の観察で凸部に電解液による濡れが発生しているのは凸部端部のみであり、電解液が電極表面全てに供給されないことがセル電圧上昇の原因であると推測された。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によるオゾン生成方法及びオゾン生成装置は、オゾンを利用した殺菌・脱色方法は上下水道施設等において利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1:陽極室排出口
2:陰極室排出口
3:陽極室
4:陰極室
5:陽極給電端子
6:陰極給電端子
7:陽極室供給口
8:陰極室供給口
9:パーフルオロスロホン酸陽イオン交換膜よりなる固体高分子電解室隔膜
10:導電性ダイヤモンド膜
11:基板
12:貫通孔
13:陰極
14:陰極集電体
15:シール材
16:締付ボルト
17:ナット
18:プレス板
19:陽極側気液分離器
20:陰極側気液分離器
21:電解用直流電源
22:陽極
23:常に水が入らず電解のできない部分
24:電解セル
25:凸部
26:凹部
27:隙間
28:給電体
29:帯状の基板
30:三相界面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ダイヤモンド電極の表面の全体に亘り、多数の凸凹部を有する基板と該基板の表面に被覆されたダイヤモンド膜よりなり、前記凸凹部の各凸部の幅が0.2mm以上、1mm以下であることを特徴とする導電性ダイヤモンド電極。
【請求項2】
前記凸凹部の各凸部の形状が円形、楕円形あるいは多角形であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ダイヤモンド電極。
【請求項3】
前記基板に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の導電性ダイヤモンド電極。
【請求項4】
前記導電性ダイヤモンド電極を複数個、分割して設け、これらを間隔を置いて配置し、前記導電性ダイヤモンド電極間に電解液及び発生ガスの通路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の導電性ダイヤモンド電極。
【請求項5】
導電性ダイヤモンド電極の表面の全体に亘り間隔を置いて配置された多数の帯状の基板又は突起物状に縦横に林立する基板と該基板の表面に被覆されたダイヤモンド膜よりなり、該基板の幅が0.2mm以上、1mm以下であることを特徴とする導電性ダイヤモンド電極。
【請求項6】
固体高分子電解質隔膜の両側面に陽極及び陰極を密着させ、固体高分子電解質隔膜としてパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜を使用し、陽極として前記導電性ダイヤモンドを表面に有する電極を使用し、陽極室に純水を供給し、陽陰極間に直流電流を供給することによって、水を電気分解して、陽極室よりオゾンを生成させるオゾン生成装置において、請求項1〜5の何れか一つに記載の導電性ダイヤモンド電極を用いたことを特徴とするオゾン生成装置。
【請求項7】
固体高分子電解質隔膜の両側面に陽極及び陰極を密着させ、固体高分子電解質隔膜としてパーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜を使用し、陽極として前記導電性ダイヤモンドを表面に有する電極を使用し、陽極室に純水を供給し、陽陰極間に直流電流を供給することによって、水を電気分解して、陽極室よりオゾンを生成させるオゾン生成装置において、請求項1〜5の何れか一つに記載の導電性ダイヤモンド電極を用い、前記導電性ダイヤモンドを前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の片面に、20kgf/cm2以上の面圧で押し付けて陽極とし、前記パーフルオロスルホン酸陽イオン交換膜の他方の面には陰極を押し付けた構造として、陽極側に水を供給しつつ、直流電流を供給して電解を行うことでオゾンを発生させることを特徴とするオゾン生成装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−6716(P2011−6716A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148342(P2009−148342)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000105040)クロリンエンジニアズ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】