導電性金属酸化物薄膜の除去方法及び装置
【課題】痕や応力変形などを残さずに導電性金属酸化物薄膜を除去する方法と装置を提供する。
【解決手段】基材11の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜12に対向すべく、正電極13と負電極14を交互に複数対配置する。その後、これらの正電極13、負電極14と導電性金属酸化物薄膜12の間に電解液15を介在させた状態で、両電極13,14に電源16から電圧を印加する。このような操作によって、基材11表面の導電性金属酸化物薄膜12を還元反応により除去する。
【効果】疵や応力変形を生じさせずに導電性金属酸化物薄膜を基材の端部まで効率良く除去でき、高価な機能性ガラス基板などの再生利用が可能になる。
【解決手段】基材11の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜12に対向すべく、正電極13と負電極14を交互に複数対配置する。その後、これらの正電極13、負電極14と導電性金属酸化物薄膜12の間に電解液15を介在させた状態で、両電極13,14に電源16から電圧を印加する。このような操作によって、基材11表面の導電性金属酸化物薄膜12を還元反応により除去する。
【効果】疵や応力変形を生じさせずに導電性金属酸化物薄膜を基材の端部まで効率良く除去でき、高価な機能性ガラス基板などの再生利用が可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスパッタ蒸着などにより基材に形成された導電性金属酸化物薄膜を、再利用が可能なように除去する方法及びその方法を実施する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばITO(インジウムとスズの酸化物で、透明導電性を有する膜)を形成した高機能ガラス基板は、光学的性能(透過率等)や機械的性能(平坦度等)に優れており、例えばフラットパネルディスプレイに用いられる。しかしながら、この高機能ガラス基板は高価であるため、その表面に形成するITOが品質管理基準を満足しない場合には、そのITOを除去して再利用することで、コストの低減を図っている。
【0003】
このITOなどの導電性金属酸化物薄膜を除去する方法として、機械的擦過により除去する方法や、化学エッチングにより除去する方法がある。このうち前者の方法は、図10に示すように、被加工物1の表面に形成した導電性金属酸化物薄膜1aを研摩ブラシ2により擦過することで除去するものである。
【0004】
また、後者の方法は、図11に示すように、導電性金属酸化物薄膜1aを化学反応的に溶解させる化学液3に被加工物1を浸漬することで、その表面に形成した導電性金属酸化物薄膜1aを除去するものである(例えば特許文献1,2)。
【特許文献1】特開平6−321581号公報
【特許文献2】特開平9−86968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機械的擦過によって除去する方法は、研摩ブラシを擦りつけることから、被加工物の表面に擦過痕(疵)や応力変形を生じさせる場合がある。擦過痕が生じた場合、再利用ができなくなる。また、対象とする被加工物がフラットパネルディスプレイの場合、ガラス基板のガラス厚みが0.5mm程度であるため、接触方式の機械的擦過では破損する可能性がある。従って、微妙なブラシの圧力調整が必要で、完全に剥離するためには長時間を要する。
【0006】
一方、化学エッチングによって除去する方法は、強酸や強アルカリの化学液を使用するので、基板表面に化学的応力が発生し、基板表面に変質層を生じさせる場合がある。また、取扱いに十分な注意を払う必要があり、作業性が悪くなるばかりでなく、使用後の電解液を廃液処理する必要がある。また、希少金属の回収には、別途抽出作業を必要とするために非常に不経済である。
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、機械的擦過による方法では、擦過痕や応力変形が生じて基材を再利用できなくなり、また、ブラシの微妙な圧力調整が必要で完全剥離に長時間を要するという点、化学エッチングによる方法では、基板表面に変質層を生じさせる場合があり、また作業性が悪くなるばかりか、使用後の電解液を廃液処理する必要があり、しかも、希少金属の回収に別途抽出作業が必要で、不経済であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法は、
基材に擦過痕や応力変形などを残さず、かつ、強酸や強アルカリの化学液を使用しないで、基材の導電性金属酸化物薄膜を基材の端部まで、僅かな残留膜もなく、効率良く除去するために、
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、正電極と負電極を交互に複数対配置した後、
これらの正電極、負電極と前記導電性金属酸化物薄膜間に電解液を介在させた状態で、前記両電極に電圧を印加することで、前記基材表面の導電性金属酸化物薄膜を還元反応により除去することを最も主要な特徴としている。
【0009】
この本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法では、導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、正電極と負電極を交互に複数対配置することにより、基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜を広範囲に除去することができる。
【0010】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法において、正電極及び負電極を、導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させれば、少しの移動により、電極配置方向の導電性金属酸化物薄膜を一度に除去できる。
【0011】
前記本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法においては、抵抗率が103Ω・cmから106Ω・cmの電解液を使用することで、基材表面に形成された導電性金属酸化物薄膜を効率良く除去することが可能になる。
【0012】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法は、
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、交互に複数対配置された正電極及び負電極と、
これら正電極、負電極と前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜間に電解液を供給する手段、或いは、前記の正電極、負電極と基材を電解液内に浸漬すべく電解液を貯留する電解液槽と、
これらの正電極と負電極に電圧を印加する電源を備えた本発明装置を使用することによって実施できる。
【0013】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去装置では、前記の交互に複数対配置した正電極及び負電極は、(a) 線状又は板状のものを1列に配置したもの、(b) 導電性金属酸化物薄膜に対向すべく配置された平面状の負電極を複数列の正電極が貫通するように配置したもの、等が採用される。
【0014】
このうち、前者の場合は、線状又は板状のものを1列に配置した正電極及び負電極を、基材に対して斜めに配置すれば、より広範囲の導電性金属酸化物薄膜を除去することができる。
【0015】
そして、これら本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去装置において、正電極と負電極を、導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させる移動装置を備えさせた場合には、少しの移動により、電極配置方向の導電性金属酸化物薄膜を一度に除去できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、正電極と負電極を交互に複数対配置するので、一度に広範囲にわたって導電性金属酸化物薄膜の除去が行える。そして、その際、電解溶出で付着力を弱めた後に、基材に形成された導電性金属を除去すれば、基材に疵や応力変形などを残すことなく、導電性金属酸化物薄膜を基材端部まで効率良く除去でき、半導体分野で用いられる高価な機能性ガラス基板などの再生利用が可能になる。また、強酸や強アルカリの化学液を使用しないので、環境負荷も低減でき、基材を始めとする希少金属などの資源サイクルも可能になって、経済的にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明方法の基本原理を、図1を用いて説明した後、本発明を実施するための最良の形態を図2〜図9を用いて詳細に説明する。
本発明は、基材への疵や応力変形などを残さない加工法で、かつ、強酸や強アルカリを使用しない導電性金属酸化物薄膜の除去方法である。
【0018】
つまり、図1のように、表面に導電性金属酸化物薄膜12を形成した絶縁物や導電物などの基材11と、その上方に所定の間隔を存して配置した正電極13及び負電極14を、電解液槽内の電解液15に浸漬配置し、電源16から直流電圧或いはパルス電圧を印加するのである。
【0019】
このようにすることで、電源16(+)−正電極13−電解液15−導電性金属酸化物薄膜12−電解液15−負電極14−電源16(−)の閉回路が形成され、正電極13近傍の導電性金属酸化物薄膜12の表面からH2の微細気泡が発生する。
【0020】
このとき、正電極13近傍の導電性金属酸化物薄膜12の表面に発生するH2が還元剤となり、導電性金属酸化物薄膜12中のO2を取り除く作用が生じる。さらに、このH2の発生は導電性金属酸化物薄膜12の界面で生じることから効率の良い還元反応が生じる。
【0021】
O2による結合が無くなった導電性金属酸化物薄膜12は金属元素だけとなり、基材11の表面に結合力が弱まった状態で存在するようになる。基材11との結合が弱まった導電性金属12aは、弱い応力で擦過する例えば回転スポンジ体などの柔軟性体によって基材11から確実に除去される。
【0022】
しかしながら、図1のような電極配置では、最終端部になると、導電性金属酸化物薄膜12と負電極14との距離Dが長くなり、導電性金属酸化物薄膜12に流れる電流量が電解液15中に比べて減少し、電流効率が悪くなる。
【0023】
そこで、本発明では、例えば電解液槽内の電解液15に浸漬する正電極13と負電極14を、基材11の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜12に対向すべく、図2や図3に示したように、交互に複数対配置するのである。
【0024】
例えば図2は、棒やワイヤ等の線状、或いは板状の電極を1列に配置した例である。また、図3は、例えば網目状に形成した負電極14の、網目内全てを正電極13が貫通するように配置したものである。この場合、網目状の負電極14は、基材11の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜12に対向すべく配置され、正電極13と負電極14は絶縁体17を介して配置されている。なお、図2中の20は基板を示す。
【0025】
このうち、図2及び図3の構成の場合は、例えば図4のように、正電極13の下流側に柔軟性のある機械的擦過機構、例えば回転スポンジ体18を配置し、基材11を正電極13と隣接する正電極13の距離分だけ水平移動可能に構成すれば、効率良く広範囲にわたって導電性金属酸化物薄膜12を除去できる。
【0026】
そして、その際、正電極13と負電極14を、図5に示すように、基材11に対して斜めに配置すれば、例えば紙面上方の第1電極対では第1領域E1を、また次の第2電極対では第2領域E2…というように、導電性金属酸化物薄膜12をより広範囲にわたって除去できる。加えて、基材11の移動によって導電性金属酸化物薄膜12をより広範囲にわたって還元できるので、電極13,14の長さLを短くすることができる。また、基材11の水平移動が不要となる。
【0027】
但し、図5のように、電極13,14を斜めに設ける場合は、その電極角度をθ、正電極13の間隔をX、長さをLとした場合、X/L≦sinθの関係となるようにしなければならない。これはX/L>sinθの関係になると、第1領域E1と第2領域E2との間に還元反応が生じない領域ができるためである。
【0028】
このような、電極配置では、正電極13と負電極14を交互に複数対配置しているので、負電極14が導電性金属酸化物薄膜12から離れるのは、基材11の隅部分だけとなって、導電性金属酸化物薄膜12の残留部分を極力少なくできる。
【0029】
ところで、導電性酸化物薄膜12が還元反応される速度は、主に印加電圧と両電極13,14の間隔によって決まり、印加電圧/電極間隔の大きいほうが還元反応速度は速くなる。電極間隔が短く、電圧が高い方が、回路を流れる電流が大きくなって、H+の発生量が増加するためである。
【0030】
しかしながら、還元反応速度を速めるために印加電圧を大きくすると、高電圧の電源が必要となって、効率が悪くなる。加えて、印加電圧/電極間隔を大きくしすぎると、電極間で絶縁破壊を生じ、放電を発生して基材11を損傷させる恐れがある。
【0031】
そこで、本発明では、正電極13と負電極14を交互に複数対配置することで、高い電圧を印加しなくても、電極下部に相当する大面積を一挙に還元反応ができるようにし、処理速度を向上させた。
【0032】
また、図6は、図3の構成の電極を採用し、電解液15の上方に基材11を引き上げるように構成したものである。このような構成では、基材11の引き上げ位置に回転スポンジ体18を配置すれば、小さな装置設置面積で、効率良く導電性金属酸化物薄膜12を除去できるようになる。
【0033】
加えて、このような電極構成では、網目状に形成した負電極14の、網目内全てを正電極13が貫通しており、1つの正電極13で除去する範囲は1つの網目内だけとなる。従って、短い正電極13と負電極14間に低電圧を印加しただけでも、網目状の負電極14全体を一挙に還元反応ができ、処理速度が向上する。
【0034】
また、網目内を貫通する正電極13の周囲には電解集中が生じ、それによって正電極13の先端には電流が集中して電流密度が高くなるので、その部分でのH+の発生密度が増加し、低電圧の印加でも効率の良い還元反応を生じさせることができる。
【0035】
この図3の構成の電極を、図7のように、図6に示した電極の背面側にも設けることで、1組の電極で2枚の基材11の処理が可能になる。
【0036】
また、図3の構成の電極を採用する場合、図6のように電解液17に浸漬する構成に代えて、図8のように正電極13の内部を通って基材11の導電性金属酸化物薄膜12に向けて電解液15を噴射することで、O2が無くなり基材11との結合力が弱まった導電性金属酸化物薄膜12を除去するようにしても良い。
【0037】
上述の本発明において、導電性金属酸化物薄膜12との相対位置を変化すべく、正電極13と負電極14を隣接する電極方向に移動(正電極13と隣接する正電極13の距離分)させる移動装置を設け、電極13,14を例えば図6(a)の白抜き矢印方向に移動させながら基材11を水平移動或いは引き上げれば、導電性金属酸化物薄膜12の全面を効率良く除去できる。
【0038】
以上の説明のように、本発明は、一般に行われている、被加工物に正電圧を印加する電解溶出除去反応ではなく、被加工物に負の電圧を印加する特徴的な加工法である。
なお、ここでの電解反応は導電性金属酸化物薄膜界面のごく微量な領域にH2の発生を生じさせるもので良いため、電流はほとんど必要としない。
【0039】
従って、使用する電解液15は、一般に用いられる中性塩溶液でも利用可能であるが、正電極13、負電極14ともに基材11とは非接触の場合は、好ましくは、前述のように抵抗率が103Ω・cmから106Ω・cm、より好ましくは104Ω・cmから105Ω・cmのものが良い。
【0040】
本発明では、正電極13、負電極14ともに基材11とは非接触の場合、抵抗率が103Ω・cm未満の導電性の高い電解液15では、両電極13,14間に印加された電圧が、導電性金属酸化物薄膜12を通さず、前記両電極13,14間で電解液15を通して導通状態となるため、導電性金属酸化物薄膜12の除去効率が低下するからである。また、抵抗率が106Ω・cmを超えると高電圧を印加する必要があり、経済上好ましくないからである。
【0041】
このように本発明では、抵抗率の比較的高い電解液15が適していることから、従来、電解液15としては好ましくなかった、水道水や河川水等を用いることができ、経済性および安全性の面においても優れている。
【0042】
本発明は、前述の例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範囲内において、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0043】
例えば平面状の負電極14を複数列の正電極13が貫通する構成は、図3のように網目状に形成した負電極14に限らず、絶縁体17の表面にめっきを施してパターン化した負電極14を形成しても良い。
【0044】
このような負電極14を用いた場合、基材11上の所望の位置の導電性金属酸化物薄膜12のみを除去することができる。また、基材11を移動させれば、電極13,14を移動させなくても、導電性金属酸化物薄膜12の全面を除去できるようになる。
【0045】
また、図2のように、線状或いは板状の電極13,14を1列に配置したものでは、図9のように、両電極13,14が電解質膜19を介して接触するように構成しても良い。この場合、電解質膜19の採用により、正電極13から発生するO2による還元反応の低下を防ぎ、安定して導電性金属酸化物薄膜を除去できるようになる。
【0046】
この手法は平面状の負電極14を複数列の正電極13が貫通する構成でも使用できる。この場合、導電性金属酸化物薄膜12の全面を除去するには、両電極13,14の移動が必要であるため、平面状の電極を正電極13、この平面状の電極を貫通する電極を負電極14としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の基本原理を説明する図である。
【図2】本発明装置を構成する電極の第1の例を説明する概略図で、棒やワイヤ等の線状、或いは板状の電極を1列に配置した例を示した図である。
【図3】本発明装置を構成する電極の第2の例を説明する概略図で、網目状に形成した負電極の、網目内全てを正電極が貫通するように配置した例を示した図である。
【図4】図2の電極を用いた本発明装置の概略説明図で、上方から見た図である。
【図5】図4において電極を斜めに配置した場合の本発明装置の概略説明図である。
【図6】図3の電極を用いた本発明装置の概略説明図で、(a)は斜視図、(b)は要部拡大図である。
【図7】図3の電極を背面側にも設けた構成の、図6に示した本発明装置の概略説明図である。
【図8】正電極の内部を通って基材の導電性金属酸化物薄膜に向けて電解液を噴射する図6の本発明装置の要部拡大図である。
【図9】両電極が電解質膜を介して接触するように構成した場合の例を示した図である。
【図10】機械的擦過により金属薄膜を除去する方法について説明する図である。
【図11】化学エッチングにより金属薄膜を除去する方法について説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
11 基材
12 導電性金属酸化物薄膜
12a 導電性金属
13 正電極
14 負電極
15 電解液
16 電源
18 回転スポンジ体
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスパッタ蒸着などにより基材に形成された導電性金属酸化物薄膜を、再利用が可能なように除去する方法及びその方法を実施する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばITO(インジウムとスズの酸化物で、透明導電性を有する膜)を形成した高機能ガラス基板は、光学的性能(透過率等)や機械的性能(平坦度等)に優れており、例えばフラットパネルディスプレイに用いられる。しかしながら、この高機能ガラス基板は高価であるため、その表面に形成するITOが品質管理基準を満足しない場合には、そのITOを除去して再利用することで、コストの低減を図っている。
【0003】
このITOなどの導電性金属酸化物薄膜を除去する方法として、機械的擦過により除去する方法や、化学エッチングにより除去する方法がある。このうち前者の方法は、図10に示すように、被加工物1の表面に形成した導電性金属酸化物薄膜1aを研摩ブラシ2により擦過することで除去するものである。
【0004】
また、後者の方法は、図11に示すように、導電性金属酸化物薄膜1aを化学反応的に溶解させる化学液3に被加工物1を浸漬することで、その表面に形成した導電性金属酸化物薄膜1aを除去するものである(例えば特許文献1,2)。
【特許文献1】特開平6−321581号公報
【特許文献2】特開平9−86968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機械的擦過によって除去する方法は、研摩ブラシを擦りつけることから、被加工物の表面に擦過痕(疵)や応力変形を生じさせる場合がある。擦過痕が生じた場合、再利用ができなくなる。また、対象とする被加工物がフラットパネルディスプレイの場合、ガラス基板のガラス厚みが0.5mm程度であるため、接触方式の機械的擦過では破損する可能性がある。従って、微妙なブラシの圧力調整が必要で、完全に剥離するためには長時間を要する。
【0006】
一方、化学エッチングによって除去する方法は、強酸や強アルカリの化学液を使用するので、基板表面に化学的応力が発生し、基板表面に変質層を生じさせる場合がある。また、取扱いに十分な注意を払う必要があり、作業性が悪くなるばかりでなく、使用後の電解液を廃液処理する必要がある。また、希少金属の回収には、別途抽出作業を必要とするために非常に不経済である。
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、機械的擦過による方法では、擦過痕や応力変形が生じて基材を再利用できなくなり、また、ブラシの微妙な圧力調整が必要で完全剥離に長時間を要するという点、化学エッチングによる方法では、基板表面に変質層を生じさせる場合があり、また作業性が悪くなるばかりか、使用後の電解液を廃液処理する必要があり、しかも、希少金属の回収に別途抽出作業が必要で、不経済であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法は、
基材に擦過痕や応力変形などを残さず、かつ、強酸や強アルカリの化学液を使用しないで、基材の導電性金属酸化物薄膜を基材の端部まで、僅かな残留膜もなく、効率良く除去するために、
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、正電極と負電極を交互に複数対配置した後、
これらの正電極、負電極と前記導電性金属酸化物薄膜間に電解液を介在させた状態で、前記両電極に電圧を印加することで、前記基材表面の導電性金属酸化物薄膜を還元反応により除去することを最も主要な特徴としている。
【0009】
この本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法では、導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、正電極と負電極を交互に複数対配置することにより、基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜を広範囲に除去することができる。
【0010】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法において、正電極及び負電極を、導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させれば、少しの移動により、電極配置方向の導電性金属酸化物薄膜を一度に除去できる。
【0011】
前記本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法においては、抵抗率が103Ω・cmから106Ω・cmの電解液を使用することで、基材表面に形成された導電性金属酸化物薄膜を効率良く除去することが可能になる。
【0012】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去方法は、
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、交互に複数対配置された正電極及び負電極と、
これら正電極、負電極と前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜間に電解液を供給する手段、或いは、前記の正電極、負電極と基材を電解液内に浸漬すべく電解液を貯留する電解液槽と、
これらの正電極と負電極に電圧を印加する電源を備えた本発明装置を使用することによって実施できる。
【0013】
本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去装置では、前記の交互に複数対配置した正電極及び負電極は、(a) 線状又は板状のものを1列に配置したもの、(b) 導電性金属酸化物薄膜に対向すべく配置された平面状の負電極を複数列の正電極が貫通するように配置したもの、等が採用される。
【0014】
このうち、前者の場合は、線状又は板状のものを1列に配置した正電極及び負電極を、基材に対して斜めに配置すれば、より広範囲の導電性金属酸化物薄膜を除去することができる。
【0015】
そして、これら本発明の導電性金属酸化物薄膜の除去装置において、正電極と負電極を、導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させる移動装置を備えさせた場合には、少しの移動により、電極配置方向の導電性金属酸化物薄膜を一度に除去できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、正電極と負電極を交互に複数対配置するので、一度に広範囲にわたって導電性金属酸化物薄膜の除去が行える。そして、その際、電解溶出で付着力を弱めた後に、基材に形成された導電性金属を除去すれば、基材に疵や応力変形などを残すことなく、導電性金属酸化物薄膜を基材端部まで効率良く除去でき、半導体分野で用いられる高価な機能性ガラス基板などの再生利用が可能になる。また、強酸や強アルカリの化学液を使用しないので、環境負荷も低減でき、基材を始めとする希少金属などの資源サイクルも可能になって、経済的にも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明方法の基本原理を、図1を用いて説明した後、本発明を実施するための最良の形態を図2〜図9を用いて詳細に説明する。
本発明は、基材への疵や応力変形などを残さない加工法で、かつ、強酸や強アルカリを使用しない導電性金属酸化物薄膜の除去方法である。
【0018】
つまり、図1のように、表面に導電性金属酸化物薄膜12を形成した絶縁物や導電物などの基材11と、その上方に所定の間隔を存して配置した正電極13及び負電極14を、電解液槽内の電解液15に浸漬配置し、電源16から直流電圧或いはパルス電圧を印加するのである。
【0019】
このようにすることで、電源16(+)−正電極13−電解液15−導電性金属酸化物薄膜12−電解液15−負電極14−電源16(−)の閉回路が形成され、正電極13近傍の導電性金属酸化物薄膜12の表面からH2の微細気泡が発生する。
【0020】
このとき、正電極13近傍の導電性金属酸化物薄膜12の表面に発生するH2が還元剤となり、導電性金属酸化物薄膜12中のO2を取り除く作用が生じる。さらに、このH2の発生は導電性金属酸化物薄膜12の界面で生じることから効率の良い還元反応が生じる。
【0021】
O2による結合が無くなった導電性金属酸化物薄膜12は金属元素だけとなり、基材11の表面に結合力が弱まった状態で存在するようになる。基材11との結合が弱まった導電性金属12aは、弱い応力で擦過する例えば回転スポンジ体などの柔軟性体によって基材11から確実に除去される。
【0022】
しかしながら、図1のような電極配置では、最終端部になると、導電性金属酸化物薄膜12と負電極14との距離Dが長くなり、導電性金属酸化物薄膜12に流れる電流量が電解液15中に比べて減少し、電流効率が悪くなる。
【0023】
そこで、本発明では、例えば電解液槽内の電解液15に浸漬する正電極13と負電極14を、基材11の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜12に対向すべく、図2や図3に示したように、交互に複数対配置するのである。
【0024】
例えば図2は、棒やワイヤ等の線状、或いは板状の電極を1列に配置した例である。また、図3は、例えば網目状に形成した負電極14の、網目内全てを正電極13が貫通するように配置したものである。この場合、網目状の負電極14は、基材11の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜12に対向すべく配置され、正電極13と負電極14は絶縁体17を介して配置されている。なお、図2中の20は基板を示す。
【0025】
このうち、図2及び図3の構成の場合は、例えば図4のように、正電極13の下流側に柔軟性のある機械的擦過機構、例えば回転スポンジ体18を配置し、基材11を正電極13と隣接する正電極13の距離分だけ水平移動可能に構成すれば、効率良く広範囲にわたって導電性金属酸化物薄膜12を除去できる。
【0026】
そして、その際、正電極13と負電極14を、図5に示すように、基材11に対して斜めに配置すれば、例えば紙面上方の第1電極対では第1領域E1を、また次の第2電極対では第2領域E2…というように、導電性金属酸化物薄膜12をより広範囲にわたって除去できる。加えて、基材11の移動によって導電性金属酸化物薄膜12をより広範囲にわたって還元できるので、電極13,14の長さLを短くすることができる。また、基材11の水平移動が不要となる。
【0027】
但し、図5のように、電極13,14を斜めに設ける場合は、その電極角度をθ、正電極13の間隔をX、長さをLとした場合、X/L≦sinθの関係となるようにしなければならない。これはX/L>sinθの関係になると、第1領域E1と第2領域E2との間に還元反応が生じない領域ができるためである。
【0028】
このような、電極配置では、正電極13と負電極14を交互に複数対配置しているので、負電極14が導電性金属酸化物薄膜12から離れるのは、基材11の隅部分だけとなって、導電性金属酸化物薄膜12の残留部分を極力少なくできる。
【0029】
ところで、導電性酸化物薄膜12が還元反応される速度は、主に印加電圧と両電極13,14の間隔によって決まり、印加電圧/電極間隔の大きいほうが還元反応速度は速くなる。電極間隔が短く、電圧が高い方が、回路を流れる電流が大きくなって、H+の発生量が増加するためである。
【0030】
しかしながら、還元反応速度を速めるために印加電圧を大きくすると、高電圧の電源が必要となって、効率が悪くなる。加えて、印加電圧/電極間隔を大きくしすぎると、電極間で絶縁破壊を生じ、放電を発生して基材11を損傷させる恐れがある。
【0031】
そこで、本発明では、正電極13と負電極14を交互に複数対配置することで、高い電圧を印加しなくても、電極下部に相当する大面積を一挙に還元反応ができるようにし、処理速度を向上させた。
【0032】
また、図6は、図3の構成の電極を採用し、電解液15の上方に基材11を引き上げるように構成したものである。このような構成では、基材11の引き上げ位置に回転スポンジ体18を配置すれば、小さな装置設置面積で、効率良く導電性金属酸化物薄膜12を除去できるようになる。
【0033】
加えて、このような電極構成では、網目状に形成した負電極14の、網目内全てを正電極13が貫通しており、1つの正電極13で除去する範囲は1つの網目内だけとなる。従って、短い正電極13と負電極14間に低電圧を印加しただけでも、網目状の負電極14全体を一挙に還元反応ができ、処理速度が向上する。
【0034】
また、網目内を貫通する正電極13の周囲には電解集中が生じ、それによって正電極13の先端には電流が集中して電流密度が高くなるので、その部分でのH+の発生密度が増加し、低電圧の印加でも効率の良い還元反応を生じさせることができる。
【0035】
この図3の構成の電極を、図7のように、図6に示した電極の背面側にも設けることで、1組の電極で2枚の基材11の処理が可能になる。
【0036】
また、図3の構成の電極を採用する場合、図6のように電解液17に浸漬する構成に代えて、図8のように正電極13の内部を通って基材11の導電性金属酸化物薄膜12に向けて電解液15を噴射することで、O2が無くなり基材11との結合力が弱まった導電性金属酸化物薄膜12を除去するようにしても良い。
【0037】
上述の本発明において、導電性金属酸化物薄膜12との相対位置を変化すべく、正電極13と負電極14を隣接する電極方向に移動(正電極13と隣接する正電極13の距離分)させる移動装置を設け、電極13,14を例えば図6(a)の白抜き矢印方向に移動させながら基材11を水平移動或いは引き上げれば、導電性金属酸化物薄膜12の全面を効率良く除去できる。
【0038】
以上の説明のように、本発明は、一般に行われている、被加工物に正電圧を印加する電解溶出除去反応ではなく、被加工物に負の電圧を印加する特徴的な加工法である。
なお、ここでの電解反応は導電性金属酸化物薄膜界面のごく微量な領域にH2の発生を生じさせるもので良いため、電流はほとんど必要としない。
【0039】
従って、使用する電解液15は、一般に用いられる中性塩溶液でも利用可能であるが、正電極13、負電極14ともに基材11とは非接触の場合は、好ましくは、前述のように抵抗率が103Ω・cmから106Ω・cm、より好ましくは104Ω・cmから105Ω・cmのものが良い。
【0040】
本発明では、正電極13、負電極14ともに基材11とは非接触の場合、抵抗率が103Ω・cm未満の導電性の高い電解液15では、両電極13,14間に印加された電圧が、導電性金属酸化物薄膜12を通さず、前記両電極13,14間で電解液15を通して導通状態となるため、導電性金属酸化物薄膜12の除去効率が低下するからである。また、抵抗率が106Ω・cmを超えると高電圧を印加する必要があり、経済上好ましくないからである。
【0041】
このように本発明では、抵抗率の比較的高い電解液15が適していることから、従来、電解液15としては好ましくなかった、水道水や河川水等を用いることができ、経済性および安全性の面においても優れている。
【0042】
本発明は、前述の例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範囲内において、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0043】
例えば平面状の負電極14を複数列の正電極13が貫通する構成は、図3のように網目状に形成した負電極14に限らず、絶縁体17の表面にめっきを施してパターン化した負電極14を形成しても良い。
【0044】
このような負電極14を用いた場合、基材11上の所望の位置の導電性金属酸化物薄膜12のみを除去することができる。また、基材11を移動させれば、電極13,14を移動させなくても、導電性金属酸化物薄膜12の全面を除去できるようになる。
【0045】
また、図2のように、線状或いは板状の電極13,14を1列に配置したものでは、図9のように、両電極13,14が電解質膜19を介して接触するように構成しても良い。この場合、電解質膜19の採用により、正電極13から発生するO2による還元反応の低下を防ぎ、安定して導電性金属酸化物薄膜を除去できるようになる。
【0046】
この手法は平面状の負電極14を複数列の正電極13が貫通する構成でも使用できる。この場合、導電性金属酸化物薄膜12の全面を除去するには、両電極13,14の移動が必要であるため、平面状の電極を正電極13、この平面状の電極を貫通する電極を負電極14としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の基本原理を説明する図である。
【図2】本発明装置を構成する電極の第1の例を説明する概略図で、棒やワイヤ等の線状、或いは板状の電極を1列に配置した例を示した図である。
【図3】本発明装置を構成する電極の第2の例を説明する概略図で、網目状に形成した負電極の、網目内全てを正電極が貫通するように配置した例を示した図である。
【図4】図2の電極を用いた本発明装置の概略説明図で、上方から見た図である。
【図5】図4において電極を斜めに配置した場合の本発明装置の概略説明図である。
【図6】図3の電極を用いた本発明装置の概略説明図で、(a)は斜視図、(b)は要部拡大図である。
【図7】図3の電極を背面側にも設けた構成の、図6に示した本発明装置の概略説明図である。
【図8】正電極の内部を通って基材の導電性金属酸化物薄膜に向けて電解液を噴射する図6の本発明装置の要部拡大図である。
【図9】両電極が電解質膜を介して接触するように構成した場合の例を示した図である。
【図10】機械的擦過により金属薄膜を除去する方法について説明する図である。
【図11】化学エッチングにより金属薄膜を除去する方法について説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
11 基材
12 導電性金属酸化物薄膜
12a 導電性金属
13 正電極
14 負電極
15 電解液
16 電源
18 回転スポンジ体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、正電極と負電極を交互に複数対配置した後、
これらの正電極、負電極と前記導電性金属酸化物薄膜間に電解液を介在させた状態で、前記両電極に電圧を印加することで、前記基材表面の導電性金属酸化物薄膜を還元反応により除去することを特徴とする導電性金属酸化物薄膜の除去方法。
【請求項2】
前記の正電極及び負電極を、前記導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去方法。
【請求項3】
前記電解液は、抵抗率が103Ω・cmから106Ω・cmのものを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去方法。
【請求項4】
請求項1に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去方法を実施する装置であって、
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、交互に複数対配置された正電極及び負電極と、
これら正電極、負電極と前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜間に電解液を供給する手段、或いは、前記の正電極、負電極と基材を電解液内に浸漬すべく電解液を貯留する電解液槽と、
これらの正電極と負電極に電圧を印加する電源を備えたことを特徴とする導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項5】
前記の交互に複数対配置した正電極及び負電極は、線状又は板状のものを1列に配置したものであることを特徴とする請求項4に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項6】
前記線状又は板状のものを1列に配置した正電極及び負電極は、基材に対して斜めに配置したものであることを特徴とする請求項5に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項7】
前記の交互に複数対配置した正電極及び負電極は、前記導電性金属酸化物薄膜に対向すべく配置された平面状の負電極を複数列の正電極が貫通するように配置したものであることを特徴とする請求項4に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項8】
請求項5〜7の何れかに記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置において、
前記の正電極と負電極を、前記導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させる移動装置を備えたことを特徴とする導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項1】
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、正電極と負電極を交互に複数対配置した後、
これらの正電極、負電極と前記導電性金属酸化物薄膜間に電解液を介在させた状態で、前記両電極に電圧を印加することで、前記基材表面の導電性金属酸化物薄膜を還元反応により除去することを特徴とする導電性金属酸化物薄膜の除去方法。
【請求項2】
前記の正電極及び負電極を、前記導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去方法。
【請求項3】
前記電解液は、抵抗率が103Ω・cmから106Ω・cmのものを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去方法。
【請求項4】
請求項1に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去方法を実施する装置であって、
基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜に対向すべく、交互に複数対配置された正電極及び負電極と、
これら正電極、負電極と前記基材の表面に形成された導電性金属酸化物薄膜間に電解液を供給する手段、或いは、前記の正電極、負電極と基材を電解液内に浸漬すべく電解液を貯留する電解液槽と、
これらの正電極と負電極に電圧を印加する電源を備えたことを特徴とする導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項5】
前記の交互に複数対配置した正電極及び負電極は、線状又は板状のものを1列に配置したものであることを特徴とする請求項4に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項6】
前記線状又は板状のものを1列に配置した正電極及び負電極は、基材に対して斜めに配置したものであることを特徴とする請求項5に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項7】
前記の交互に複数対配置した正電極及び負電極は、前記導電性金属酸化物薄膜に対向すべく配置された平面状の負電極を複数列の正電極が貫通するように配置したものであることを特徴とする請求項4に記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【請求項8】
請求項5〜7の何れかに記載の導電性金属酸化物薄膜の除去装置において、
前記の正電極と負電極を、前記導電性金属酸化物薄膜との相対位置を変化すべく、隣接する電極方向に移動させる移動装置を備えたことを特徴とする導電性金属酸化物薄膜の除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−131894(P2007−131894A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324991(P2005−324991)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】
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