説明

導電材料の接合方法

【課題】同一平面上にない複数の接合領域においても安定した接合強度を得ることが可能な導電材料の接合方法を提供する。
【解決手段】導電材料からなり、同一平面上にない複数の接合領域を有する第1および第2被接合部材を接合するための接合方法であって、第1および第2被接合部材の接合領域を当接させ、第1および第2被接合部材を相対的に摺動させつつ、電流を、第1被接合部材から第2被接合部材へ流して抵抗加熱することによって、第1および第2被接合部材を接合する接合工程(S12,S13)を有している。前記接合工程においては、接合領域が均一に接合するように、接合領域毎に当接させる優先順位が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電材料の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗溶接における被接合部材形状の自由度を高め、溶接条件設定を容易化し、電流効率を向上させるため、1対の被接合部材を接触させた状態で摺動させ、表面の絶縁被覆を剥離した後に摺動を停止させ、抵抗加熱により溶融接合している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11―138275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、抵抗加熱を引き起こす電流は、被接合部材間の接合領域における高面圧部に集中し、接触面全体に均等に流れないため、加熱が不均等となり、限定された面積および形状しか接合できない。特に、被接合部材の接合領域が、同一平面上にない場合、全ての接合領域を均一に接合し、安定した接合強度を得ることが困難である問題を有する。
【0005】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、同一平面上にない複数の接合領域においても安定した接合強度を得ることが可能な導電材料の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、導電材料からなり、同一平面上にない複数の接合領域を有する第1および第2被接合部材を接合するための接合方法であって、前記第1および第2被接合部材の前記接合領域を当接させ、前記第1および第2被接合部材を相対的に摺動させつつ、電流を、前記第1被接合部材から前記第2被接合部材へ流して抵抗加熱することによって、前記第1および第2被接合部材を接合する接合工程を有している。前記接合工程においては、前記接合領域が均一に接合するように、前記接合領域毎に当接させる優先順位が設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接合領域が均一に接合するように、接合領域毎に当接させる優先順位が設定されているため、同一平面上にない複数の接合領域においても安定した接合強度を得ることができる。つまり、同一平面上にない複数の接合領域においても安定した接合強度を得ることが可能な導電材料の接合方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る導電材料の接合方法に適用される接合装置を説明するための概略図である。
【図2】図1の線II−IIに関する断面図である。
【図3】実施の形態1に係る導電材料の接合方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係る変形例1を説明するための断面図である。
【図5】実施の形態1に係る変形例2を説明するための断面図である。
【図6】実施の形態1に係る変形例3を説明するための断面図である。
【図7】実施の形態2に係る導電材料の接合方法を説明するための断面図である。
【図8】実施の形態2に係る変形例1を説明するための断面図である。
【図9】実施の形態2に係る変形例2を説明するための断面図である。
【図10】実施の形態2に係る変形例3を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、実施の形態1に係る導電材料の接合方法に適用される接合装置を説明するための概略図、図2は、図1の線II−IIに関する断面図である。
【0011】
実施の形態1に係る接合装置40は、抵抗加熱および摩擦熱(塑性流動)を利用し、同一平面上にない複数の接合領域を有する被接合部材を接合するために使用され、第1電極42、第2電極44、電流供給装置50、保持装置60、摺動装置(摺動手段)70、加圧装置80および制御装置90を有する。
【0012】
接合されるワークは、上方に位置する被接合部材10と、下方に位置する被接合部材20と、被接合部材10,20の間に配置される被接合部材である中間部材30とからなり、後述される一方向の振動を許容する一様形状を有し、接触面の延長方向は、水平方向Hとなっており、被接合部材10,20を振動によって容易に接合することが可能である。
【0013】
被接合部材10は、振動の方向に関して断面がテーパ状の凸状部位を備えている第1被接合部材であり、1対の傾斜面12,14と、傾斜面を連結する角部16と、を有し、また、角部16には、膨出部位18(図2参照)が形成されている。被接合部材20は、振動の方向に関して断面がテーパ状の窪みからなる凹状部位を備えている第2被接合部材であり、窪んでいる1対の傾斜面22,24と、傾斜面22,24を連結する角部26と、を有し、また、被接合部材10に対して重力方向(上下方向)Lに関し下側に配置されている。
【0014】
被接合部材10の傾斜面12,14および角部16は、被接合部材20の傾斜面22,24および角部26と対応しており、被接合部材10の凸状部位と、被接合部材20の凹状部位とは、接合可能に構成されている。つまり、傾斜面12,22と、傾斜面14,24と、角部16,26とは、同一平面上にない接合領域であり、被接合部材10の凸状部位と被接合部材20の凹状部位とが嵌合した中実の接合部を形成することが可能である。なお、膨出部位18は、被接合部材20の角部26に設けたり、角部16,26の両方に設けることも可能である。必要に応じて、膨出部位18を、角部16,26ではなく、傾斜面12,14および傾斜面22,24の一方あるいは両方に設けることも可能である。
【0015】
中間部材30は、被接合部材10,20の傾斜面12,14,22,24および角部16,26に対応する傾斜面および角部を有する板状部材であり、被接合部材10,20の少なくとも一方を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる。これにより、被接合部材10,20の低温での接合が可能となり、被接合部材10,20への熱影響が低減され、かつ、接合が容易となる。
【0016】
被接合部材10,20は、高圧ダイカスト(HPDC)鋳物であり、アルミニウム鋳物素材(ADC12)が適用されている。中間部材30は、アルミニウムと低温共晶を形成する共晶反応材料である亜鉛(Zn)からなり、その厚みは、例えば、10〜100μmである。
【0017】
第1および第2電極42,44は、抵抗加熱によって被接合部材10,20および中間部材30(中間部材30が介在している被接合部材10,20の接触面)を昇温し軟化させるための加熱手段であり、第1電極42は、上方に位置する被接合部材10に電気的に接続され、第2電極44は、下方に位置する被接合部材20に電気的に接続される。
【0018】
第1および第2電極42,44は、弾性的に保持されており、加圧装置80からの押圧力が、直接付加されないように構成されている。第1および第2電極42,44は、被接合部材10,20に直接接触する形態に限定されず、例えば、導電性を有する他の部材を介して間接的に接触させることも可能である。第1および第2電極42,44は、それぞれ複数の電極によって構成することも可能である。
【0019】
電流供給装置50は、電流を、第1電極42から、被接合部材10、中間部材30および被接合部材20を経由して第2電極44に流すための電流供給手段であり、例えば、電流値および電圧値が調整自在に構成されている。
【0020】
保持装置60は、上方に位置する可動保持部62と下方に位置する固定保持部64とを有する。可動保持部62は、被接合部材10を水平方向Hに往復動自在に保持するために使用される。固定保持部64は、被接合部材20の水平方向Hへの移動を規制し、被接合部材10に対し被接合部材20を相対的に静止した状態で維持するために使用される。
【0021】
摺動装置70は、被接合部材10を被接合部材20に対して相対的に摺動させ、中間部材30が介在している被接合部材10,20の接触面に摩擦熱(塑性流動)を発生させるために使用される加振手段からなり、可動保持部62に保持された被接合部材10を、接触面の延長方向に対して平行である水平方向Hに振動(加振)させるシャフト72と、シャフト72の駆動源であるモータ74と、を有する。例えば、加振振幅は100〜1000μmの範囲、加振周波数は10〜100Hzの範囲で調整可能に構成されている。加振機構は、特に限定されず、例えば、超音波振動、電磁式振動、油圧式加振、カム式振動を適用することが可能である。
【0022】
加振方向は、接触面の延長方向に沿う1方向への往復運動であるため、接触面の形状の自由度が向上することとなる。すなわち、1方向にさえ変位可能であれば加振できるため、接触面の形状が平面である必要はなく、例えば、一方向に延びる溝に凸部が嵌合する形態とすることも可能である。また、摺動装置70は、振動(加振機構)を利用する形態に限定されず、回転運動や、自転せずに円軌道を描くように振れ回る公転運動を適宜適用することも可能である。なお、公転運動の場合、振動と異なり、接触面同士の相対的な運動が停止しないことから、動摩擦係数のみが作用して摩擦係数が安定し、接触面を均一に磨耗させることが可能である。また、摺動を回動によって発生させる場合、接触面(接合領域)は、前記回動を許容する形状を有することが必要である。
【0023】
加圧装置80は、上方に位置する加圧部82と下方に位置する支持構造体84とを有する。加圧部82は、被接合部材10の両側に配置され(図2参照)、上下方向(接触面と直交する押圧方向P)Lに進退動可能となっており、被接合部材10に押圧力を付与可能であり、被接合部材20に対する被接合部材10の押し付け面圧を調整するため面圧調整手段として機能する。加圧部82は、例えば、油圧シリンダが組み込まれており、押圧力を調整自在に構成されている。押圧力は、例えば、2〜10MPaである。支持構造体84は、加圧装置80の押圧力が伝達される被接合部材20を保持する固定保持部64を、支持するために使用される。
【0024】
加圧部82による押圧力は、第1電極42を介して被接合部材10に間接的に付与する形態を適用することも可能である。加圧部82と支持構造体84とを逆に配置することも可能である。この場合、下方に配置される加圧部82によって被接合部材20が押圧され、上方に配置される支持構造体84よって被接合部材10が支持されることになる。また、支持構造体84の代わりに、第2の加圧部を設けることによって、面圧調整の自由度を向上さることも可能である。
【0025】
制御装置90は、演算部、記憶部、入力部および出力部を有するコンピュータからなる制御手段であり、電流供給装置50、摺動装置70および加圧装置80を統括的に制御するために使用される。制御装置90の各機能は、記憶装置に格納されているプログラムを演算部が実行することにより発揮される。
【0026】
なお、被接合部材10,20は、特に、高圧ダイカスト(HPDC)鋳物に限定されず、例えば、圧延材を適用することも可能である。しかし、実施の形態1に係る接合は、融点以下で形成され、内包ガスの影響が抑制されるため、鋳造素材の選択の自由度が大きい(材料の選択範囲が広い)。また、アルミニウム高圧ダイカスト鋳物は安価な構造材であるため、接合体の製造コストを低減することができる。
【0027】
被接合部材10,20は、同材(同種金属)からなる形態に限定されない。例えば、被接合部材10,20の一方を、アルミニウムから構成し、被接合部材10,20の他方を、鉄系材料あるいはマグネシウム系材料から構成することが可能である。この場合、Al−FeやAl−Mgの異材接合体が得られるため、エキゾーストマニホールド等の自動車用部品として適用することが容易である。
【0028】
中間部材30を構成する共晶反応材料は、液相を形成し、被接合部材同士および共晶反応材料と被接合部材との間における相互拡散を促進するため、良好な接合強度を確保することが可能であり、かつ、形成される液相によって間隙が埋められるため、広い面積や曲面の接合においても良好な水密性を達成することが容易である。したがって、高度な水密性が要求される部位や、2次元的な曲面や大面積部位に、特に有効である。
【0029】
中間部材30は、共晶反応により低融点で液相化し、酸素を遮断して再酸化を抑制する役割を果たすため、真空雰囲気と長時間が必要であった真空ろう付けに比較し、大気中における短時間、低入熱での接合が可能となり、量産化が容易となる点でも好ましい。アルミニウムと低温共晶を形成する共晶反応材料は、亜鉛に限定されず、銅(Cu)、錫(Sn)あるいは銀(Ag)を適用することが可能である。
【0030】
中間部材30は、共晶反応材料以外の液相を形成する導電材料から構成することも可能であり、この場合は、中間部材の選択の自由度が大きい(材料の選択範囲が広い)。共晶反応材料以外の液相を形成する導電材料としては、共晶反応材料に比較して安価で一般的なろう材や低温はんだが挙げられる。
【0031】
中間部材30は、別体からなる形態に限定されず、被接合部材10,20の一方と一体化された被覆層から構成することも可能である。この場合、中間部材30を局所的に配置することが可能である。被覆は、めっき、クラッド、塗布等により形成することが可能である。
【0032】
次に、実施の形態1に係る接合方法を説明する。
【0033】
図3は、実施の形態1に係る導電材料の接合方法を説明するためのフローチャートである。図3に示されるフローチャートにより示されるアルゴリズムは、制御装置90の記憶部にプログラムとして記憶されており、制御装置90の演算部によって実行される。
【0034】
本接合方法は、同一平面上にない複数の接合領域を有する被接合部材を接合するための接合方法であって、被接合部材10,20の接合領域(傾斜面12,14,22,24および角部16,26)を当接させ、被接合部材10,20を相対的に摺動させつつ、電流を、被接合部材10から被接合部材20へ流して抵抗加熱することによって、被接合部材10,20を接合する接合工程を有しており、当該接合工程においては、接合領域が均一に接合するように、接合領域毎に当接させる優先順位が設定されている。つまり、接合領域が均一に接合するように、接合領域毎に当接させる優先順位が設定されているため、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0035】
前記接合工程は、概して、接触抵抗のばらつきを低減するための予備摺動ステップ(S11)、抵抗加熱および摩擦熱(塑性流動)を利用し、中間部材30が介在する被接合部材10,20の接合界面の形成を開始する第1接合ステップ(S12)、接合界面の一体化を促進する第2接合ステップ(S13)、接合体(中間部材30が介在して接合された被接合部材10,20)を冷却する冷却ステップ(S14)を有する。
【0036】
詳述すると、予備摺動ステップ(S11)においては、中間部材30が被接合部材10と被接合部材20との間に配置されてなるワークが投入され、加圧装置80の加圧部82が稼働され、被接合部材10,中間部材30および被接合部材20に押圧力が付与される。
【0037】
その後、摺動装置70が駆動され、被接合部材10の水平方向Hの摺動(振動)が引き起こされる。このとき、被接合部材20は、保持装置60の固定保持部64によって水平方向への移動が規制され、かつ、被接合部材10,中間部材30および被接合部材20は、加圧下にあるため、中間部材30が介在している被接合部材10,20の接触面に摩擦が生じ、接触面表面のアルミニウム酸化皮膜が除去される。
【0038】
第1接合ステップ(S12)においては、電流供給装置50が稼働され、電流供給装置50から供給される電流が、第1電極42から、被接合部材10、中間部材30および被接合部材20を経由して、第2電極44へ流され、抵抗加熱が生じる。これにより、接触面は、摩擦熱および抵抗加熱の両方の併用によって、摩耗,塑性流動および材料拡散が生じ、中間部材30が介在する被接合部材10,20の接合界面の形成が開始される。
【0039】
この際、被接合部材10の角部16には膨出部位18が形成されているため、被接合部材10の角部16と被接合部材20の角部26とが、中間部材30を介して最初に当接する。また、中間部材30は、被接合部材20の上方に位置し、溶融した中間部材30が、被接合部材20の凹状部位における応力集中しがちな角部26に留まる。
【0040】
その後、被接合部材10の傾斜面12,14と被接合部材20の傾斜面22,24とが、中間部材30を介して当接することになる。
【0041】
第2接合ステップ(S13)においては、電流供給装置50による電流の供給を減少させることよって抵抗加熱による発熱量が低下させられる一方、加圧装置80による押圧力を増加させることによって摩擦熱が増加させられる。これにより、抵抗加熱による発熱量が減少し、軟化された材料を摺動によって掻き混ぜるようにして一体化を促進する過程へ移行する。摩擦熱の増加は、摺動装置70を制御することによっても達成することが可能である。
【0042】
電流供給装置50による電流の供給は、最終的には停止される。そして、冷却工程(S14)に入る直前において、摺動装置70の稼動が停止され、被接合部材10が所定の静止位置(最終的な接合位置)に位置決めされる。この際、位置決め精度を向上させ、かつ、位置決めを容易にするため、加圧装置80による押圧力を低下させることも可能である。
【0043】
第1接合ステップ(S12)および第2接合ステップ(S13)の結果、傾斜面12,14,22,24および角部16,26の接合界面には、拡散接合領域、塑性流動接合領域および中間部材介在接合領域を有する構造が形成される。塑性流動接合領域は、被接合部材10,20が相互に直接的に拡散し、かつ、排出あるいは拡散された中間部材30が存在している領域である。塑性流動接合領域は、導電材料の塑性流動による圧接と再結晶組織とを有する領域である。中間部材介在接合領域は、中間部材30と、中間部材30を構成する導電材料が被接合部材10,20を構成する導電材料に拡散した拡散接合領域と、を含んでいる領域である。
【0044】
冷却工程(S14)においては、加圧装置80による押圧力が上昇させられ、所定の時間が経過すると、冷却が終了したと判断され、加圧が停止される。そして、加圧装置80の加圧部82が、被接合部材10から離間させられる。冷却の終了は、温度を検出することによって直接的に判断することも可能である。
【0045】
その後、中間部材30が介在して接合された被接合部材10,20(被接合部材10の凸状部位と被接合部材20の凹状部位とが嵌合した中実の接合部が形成された)が取り外される。
【0046】
なお、予備摺動ステップ(S11)においては、接触面表面のアルミニウム酸化皮膜が除去され、皮膜厚さの違いによる接触抵抗のばらつきが低減されるため、後続の第1接合ステップ(S12)における発熱量のばらつきが抑制される。また、予備摺動ステップ(S11)の前において、脱脂や、ワイヤブラシによるブラッシングによってアルミニウム酸化皮膜を除去する等の前処理が不要となるため、作業性が向上する。なお、必要に応じて、前処理を実施することも可能である。
【0047】
予備摺動ステップ(S11)の前あるいは予備摺動ステップ(S11)の代わりとして、摺動装置70を停止させた状態で電流供給装置50を稼働させることによって、接触面を抵抗加熱により軟化させる予備加熱ステップを設けることも可能である。また、予備摺動ステップ(S11)は、適宜省略することも可能である。
【0048】
第1接合ステップ(S12)においては、被接合部材10の角部16と被接合部材20の角部26とが、中間部材30を介して最初に当接するため、膨出部位18のバリにより、応力集中しがちな角部16,26の初期面圧が増加し、隙間の発生が抑制され、接合強度が向上するため、安定した接合強度を得ることが可能となる。
【0049】
中間部材30は、被接合部材20の上方に位置し、溶融した中間部材30が、被接合部材20の凹状部位における応力集中しがちな角部26に留まるため、接合強度を向上させ、安定した接合強度を得ることが可能である。また、中間部材は低融点の導電材料からなり、低温での接合が可能となるため、被接合部材への熱影響が低減され、かつ、接合が容易となる。
【0050】
電流の供給を減少させず、かつ、加圧力を増加させないことにより、第2接合ステップ(S13)を第1接合ステップ(S12)に一体化させることも可能である。また、冷却工程(S14)は、適宜省略することも可能である。
【0051】
実施の形態1に係る接合界面は、拡散接合領域および中間部材介在接合領域に加えて塑性流動接合領域によって物理的に接合されているため、被接合部材10,20の母材特性に近い強度を備えており、接合領域の全体に渡って良好な接合強度を確保することが可能である。
【0052】
また、摩擦熱および抵抗加熱の両方を併用するため、一方のみを利用する接合に比較し、高い面圧を付与する必要がないため、接触面の面積が、大きい場合でも容易に接合することが可能である。つまり、接触面に高い押圧力(面圧)を付与せずとも電流集中箇所が変化して均一に加熱されるため、接触面が大面積の場合や複雑な形状の場合であっても接合することができ、かつ低歪みの面接合が可能である。
【0053】
接触面の表層のみが塑性流動(溶融)して接合するため、加熱時間を短縮でき、更に、材料内に気体を含有している鋳造品であっても、加熱により材料内の気体が膨張、噴出し難く、良好な接合を実現することが可能である。
【0054】
接触面の面積を、略同一に設定する場合、接触面の一方に電流が集中することが抑制され、均一に加熱することが容易である。また、接触面に電流が集中する高面圧領域が存在する場合であっても、当該領域においては、抵抗加熱が大きく作用して加熱され酸化膜が強制的に剥離され、押圧力(面圧)と加振が作用して塑性流動が生じて磨耗することで、刻々と電流集中箇所が変化するため、電流の流れが分散し、接触面は、均一に加熱されることになる。
【0055】
次に、実施の形態1に係る変形例1〜3を順次説明する。
【0056】
図4は、実施の形態1に係る変形例1を説明するための断面図である。
【0057】
変形例1においては、被接合部材10Aの凸状部位の傾斜面12,14のテーパ角θ10が、被接合部材20の凹状部位の傾斜面22,24のテーパ角θ20より小さくなるように設定されている。したがって、被接合部材10の角部16に膨出部位18が形成されている場合と同様に、被接合部材10の角部16と被接合部材20の角部26とが、中間部材30を介して最初(被接合部材10Aの傾斜面12,14と被接合部材20の傾斜面22,24との当接より前)に当接することになるため、角部16の先端部位のバリにより、応力集中しがちな角部16,26の初期面圧が増加し、隙間の発生が抑制され、接合強度が向上するため、安定した接合強度を得ることが可能となる。
【0058】
図5は、実施の形態1に係る変形例2を説明するための断面図である。
【0059】
変形例2においては、中間部材30Aの角部36における肉厚は、中間部材30Aの傾斜面32,34における肉厚より大きく、設定されている。したがって、被接合部材10の角部16に膨出部位18が形成されている場合と同様に、被接合部材10の角部16と被接合部材20の角部26とが、中間部材30の角部36を介して最初(中間部材30Aの傾斜面32,34を介する被接合部材10の傾斜面12,14と被接合部材20の傾斜面22,24との当接より前)に当接することになるため、中間部材30の角部36の増肉のバリにより、応力集中しがちな角部16,26の初期面圧が増加し、隙間の発生が抑制され、接合強度が向上するため、安定した接合強度を得ることが可能である。特に、予備摺動ステップ(S11)における初期(一番初めの摩擦)における摩耗が促進することになる。
【0060】
図6は、実施の形態1に係る変形例3を説明するための断面図である。なお、第1電極42を省略している。
【0061】
変形例3においては、加圧装置の加圧部82によって押圧されている被接合部材10における押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上に、被接合部材10の凸状部位の角部16が位置している。この場合、応力集中しがちな角部16,26に面圧を効果的に付加することができるため、接合強度を向上させ、安定した接合強度を得ることが可能である。なお、傾斜面12,14および傾斜面22,24の少なくとも一方に膨出部位を形成し、接合工程において、傾斜面12,14と傾斜面22,24とが最初(被接合部材10の角部16と被接合部材20の角部26との当接より前)に接合するように、設定する場合、バリを生成する摩耗粉(コンタミネイション)の発生を抑制することも可能である。
【0062】
以上のように、実施の形態1においては、接合領域が均一に接合するように、接合領域毎に当接させる優先順位が設定されているため、同一平面上にない複数の接合領域においても安定した接合強度を得ることが可能である。
【0063】
また、摺動を一方向の振動によって発生させ、第1および第2被接合部材の接合領域を、前記一方向の振動を許容する一様形状を有するように構成する場合、第1および第2被接合部材を振動によって容易に接合することが可能である。なお、摺動を回動によって発生させる場合、第1および第2被接合部材の前記接合領域は、前記回動を許容する形状を有することが必要である。
【0064】
第1被接合部材の凸状部位と、第2被接合部材の凹状部位とが接合されるため、第1被接合部材の凸状部位と第2被接合部材の凹状部位とが嵌合した中実の接合部を形成することが可能である。
【0065】
凸状部位あるいは凹状部位の一方における角部に、膨出部位を形成する場合、接合工程においては、凸状部位の角部と凹状部位の角部とが、最初に当接し、膨出部位のバリにより、応力集中しがちな角部の初期面圧が増加し、隙間の発生が抑制され、接合強度が向上するため、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0066】
凸状部位の傾斜面のテーパ角を、凹状部位の傾斜面のテーパ角より小さく設定する場合も、凸状部位の角部と凹状部位の角部とが、最初に当接し、角部の先端部位のバリにより、応力集中しがちな角部の初期面圧が増加し、隙間の発生が抑制され、接合強度が向上するため、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0067】
中間部材の角部における肉厚を、中間部材の傾斜面における肉厚より大きく、設定する場合も、凸状部位の角部と凹状部位の角部とが、中間部材の角部を介して、最初に当接するため、中間部材の角部の増肉のバリにより、応力集中しがちな角部の初期面圧が増加し、隙間の発生が抑制され、接合強度が向上するため、安定した接合強度を得ることが可能である。特に、予備摺動ステップの摺動初期におけるなじみ時(一番初めの摩擦)における摩耗を促進させることができる。また、中間部材は低融点の導電材料からなり、低温での接合が可能となるため、被接合部材への熱影響が低減され、かつ、接合が容易となる。
【0068】
第1被接合部材の角部が、押圧手段によって押圧される第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置している場合、応力集中しがちな角部に面圧を効果的に付加することができるので、接合強度を向上させ、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0069】
中間部材が、凹状部位を有する第2被接合部材に対して重力方向に関し上方に配置される場合、溶融した中間部材が、第2被接合部材の凹状部位における応力集中しがちな角部に留まるため、接合強度を向上させ、安定した接合強度を得ることが可能である。また、中間部材は低融点の導電材料からなり、低温での接合が可能となるため、被接合部材への熱影響が低減され、かつ、接合が容易となる。
【0070】
次に、実施の形態2を説明する。
【0071】
図7は、実施の形態2に係る導電材料の接合方法を説明するための断面図である。なお、以下において、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0072】
実施の形態2は、中空の接合部を形成する点で、中実の接合部を形成する実施の形態1と概して異なり、実施の形態2に係るワークは、上方に位置する被接合部材110と、下方に位置する被接合部材120と、からなり、振動の方向に対して一様形状を有し、接触面の延長方向は、水平方向Hとなっている。
【0073】
被接合部材110は、第1の段差面である基部面112と、第2の段差面である先端面114と、基部面112と先端面114とを連結する壁部116と、を有する断面L字状の段状部位を備えている第1被接合部材である。被接合部材120は、被接合部材110と同様に、第1の段差面である基部面122と、第2の段差面である先端面124と、基部面122と先端面124とを連結する壁部126と、を有する断面L字状の段状部位を備えている第2被接合部材である。
【0074】
基部面112,122の一部112A,122Aと先端面114,124とは、同一平面上にない接合領域であり、被接合部材110の基部面112の一部112Aと、被接合部材120の先端面124とが接合され、また、被接合部材110の先端面114と被接合部材120の基部面122の一部122Aとが接合可能に構成されている。つまり、被接合部材110の段状部位と被接合部材120の段状部位とを組み合わせて、中空の接合部を形成することが可能である。また、被接合部材110の先端面114は、加圧装置の加圧部182によって押圧されている被接合部材110における押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上に、位置している。
【0075】
被接合部材110,120の壁部116,126の剛性(肉厚)は略同一であり、また、被接合部材110の壁部116の長さは、被接合部材120の壁部126の長さより小さく設定されている。したがって、接合工程においては、押圧面から離間している被接合部材110の基部面112の一部112Aと被接合部材120の先端面124とが、最初(被接合部材110の先端面114と被接合部材120の基部面122の一部122Aとの当接より前)に当接する。これにより、加重がかかりづらい(押圧面から離間している)基部面の一部を先に摩耗させることで、接触面積を増加させ、なじみ効果を向上させることにより、安定した接合強度を得ることが可能である。なお、被接合部材110,120が異種材からなる場合、剛性が略同一であっても、肉厚が異なる場合もあり得る。
【0076】
次に、変形例1〜3を順次説明する。
【0077】
図8は、実施の形態2に係る変形例1を説明するための断面図である。
【0078】
変形例1においては、加圧装置の加圧部182は、被接合部材110Aの基部面112の一部112Aの側に配置されており、加圧部182によって押圧されている被接合部材110における押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上には、被接合部材110Aの基部面112の一部112Aが位置している。また、被接合部材110Aの壁部116の長さは、被接合部材120の壁部126の長さより大きく設定されている。
【0079】
したがって、接合工程においては、押圧面から離間している被接合部材110Aの先端面114と被接合部材120の基部面122の一部122Aとが、最初(被接合部材110Aの基部面112の一部112Aと被接合部材120の先端面124との当接より前)に当接する。これにより、加重がかかりづらい(押圧面から離間している)先端面を先に摩耗させることで、接触面積を増加させ、なじみ効果を向上させることにより、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0080】
図9は、実施の形態2に係る変形例2を説明するための断面図である。
【0081】
変形例2においては、被接合部材110Bの壁部116の剛性と、被接合部材120の壁部126の剛性とは異なっており、被接合部材110Bの壁部116の剛性が、被接合部材120の壁部126の剛性より小さく設定されている。
【0082】
この場合、加圧装置の加圧部182は、被接合部材110Bの壁部116側に配置され、被接合部材110Bにおける押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上に、先端面114が位置するように設定される。これにより、被接合部材120の壁部126に比較し、剛性が小さい被接合部材110Bの壁部116が、押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上に位置するため、電流の偏在を抑制することができるため、均一に接合し、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0083】
図10は、実施の形態2に係る変形例3を説明するための断面図である。
【0084】
変形例3においては、被接合部材120Aの壁部126の剛性が、被接合部材110の壁部116の剛性より小さく設定されている。この場合、加圧装置の加圧部182は、被接合部材110Bの基部面112の一部112A側に配置され、被接合部材110Bにおける押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上に、基部面112の一部112Aが位置するように設定される。これにより、被接合部材110の壁部116に比較し、剛性が小さい被接合部材120Aの壁部126が、押圧面から押圧方向Pに伸ばした線上に位置するため、電流の偏在を抑制することができるため、均一に接合し、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0085】
以上のように、実施の形態2においては、第1被接合部材の段状部位と第2被接合部材の段状部位とを組み合わせて、中空の接合部を形成することが可能である。
【0086】
また、第1被接合部材の先端面が、第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置している場合、接合工程においては、押圧面から離間している第1被接合部材の基部面の一部と、第2被接合部材の先端面とが、最初に当接するように設定し、一方、第1被接合部材の基部面の一部が、第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置している場合、接合工程においては、押圧面から離間している第1被接合部材の先端面と、第2被接合部材の基部面の一部とが、最初に当接するように設定することにより、加重がかかりづらい(押圧面から離間している)方を先に摩耗させることで、接触面積を増加させ、なじみ効果を向上させることにより、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0087】
第1被接合部材の壁部の剛性が、第2被接合部の壁部の剛性より小さい場合、第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に、第1被接合部材の先端面が配置され、第1被接合部材の壁部の剛性が、第2被接合部の壁部の剛性より大きい場合、第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に、第1被接合部材の基部面の一部が配置されるように設定することにより、第1および第2被接合部材の壁部における剛性が小さい方が、押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置することとなり、電流の偏在が抑制されるため、均一に接合し、安定した接合強度を得ることが可能である。
【0088】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。例えば、実施の形態1、実施の形態1の変形例1および3において、中間部材を適宜省略することも可能である。また、実施の形態2、実施の形態2の変形例1〜3において、中間部材を、被接合部材の間に適宜配置することも可能である。
【符号の説明】
【0089】
10,10A 被接合部材(第1被接合部材)、
12,14 傾斜面(接合領域)、
16 角部(接合領域)、
18 膨出部位(接合領域)、
20 被接合部材(第1被接合部材)、
22,24 傾斜面(接合領域)、
26 角部(接合領域)、
30,30A 中間部材、
32,34 傾斜面(接合領域)、
36 角部(接合領域)、
40 接合装置、
42 第1電極、
44 第2電極、
50 電流供給装置、
60 保持装置、
62 可動保持部、
64 固定保持部、
70 摺動装置、
72 シャフト、
74 モータ、
80 加圧装置、
82 加圧部、
84 支持構造体、
90 制御装置、
110,110A,110B 被接合部材(第1被接合部材)、
112 基部面、
112A 基部面の一部(接合領域)、
114 先端面(接合領域)、
116 壁部、
120,120A 被接合部材(第2被接合部材)、
122 基部面、
122A 基部面の一部(接合領域)、
124 先端面(接合領域)、
126 壁部、
182 加圧部、
H 水平方向、
L 上下方向、
P 押圧方向、
θ10 テーパ角、
θ20 テーパ角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料からなり、同一平面上にない複数の接合領域を有する第1および第2被接合部材を接合するための接合方法であって、
前記第1および第2被接合部材の前記接合領域を当接させ、前記第1および第2被接合部材を相対的に摺動させつつ、電流を、前記第1被接合部材から前記第2被接合部材へ流して抵抗加熱することによって、前記第1および第2被接合部材を接合する接合工程を有しており、
前記接合工程においては、前記接合領域が均一に接合するように、前記接合領域毎に当接させる優先順位が設定されている
ことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
前記摺動は、一方向の振動によって発生され、
前記第1および第2被接合部材の前記接合領域は、前記一方向の振動を許容する形状を有することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項3】
前記摺動は、回動によって発生され、
前記第1および第2被接合部材の前記接合領域は、前記回動を許容する形状を有することを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
【請求項4】
前記第1被接合部材は、前記接合領域に含まれる凸状部位を有し、
前記第2被接合部材は、前記凸状部位に対応し、かつ前記接合領域に含まれる凹状部位を有し、
前記接合工程においては、前記第1被接合部材の前記凸状部位と、前記第2被接合部材の前記凹状部位とが接合される
ことを特徴とする請求項2に記載の接合方法。
【請求項5】
前記第1被接合部材の前記凸状部位は、前記振動の方向に関して断面がテーパ状であり、1対の傾斜面と、前記傾斜面を連結する角部と、を有し、
前記第2被接合部材の前記凹状部位は、前記振動の方向に関して断面がテーパ状の窪みからなり、前記傾斜面および前記角部に対応する1対の傾斜面および角部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の接合方法。
【請求項6】
前記凸状部位あるいは前記凹状部位の少なくとも一方における前記角部に、膨出部位が形成されており、
前記接合工程において、前記凸状部位の前記角部と前記凹状部位の前記角部との当接は、前記凸状部位の前記傾斜面と前記凹状部位の前記傾斜面との当接より、前である
ことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
【請求項7】
前記凸状部位のテーパ角は、前記凹状部位のテーパ角より小さく、
前記接合工程において、前記凸状部位の前記角部と前記凹状部位の前記角部との当接は、前記凸状部位の前記傾斜面と前記凹状部位の前記傾斜面との当接より、前である
ことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
【請求項8】
前記第1および第2被接合部材の間には、前記第1および第2被接合部材の少なくとも一方を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる中間部材が配置されており、
前記中間部材は、前記第1被接合部材の前記凸状部位の前記傾斜面および前記角部に対応する1対の傾斜面および角部を有し、
前記中間部材の前記角部における肉厚は、前記中間部材の前記傾斜面における肉厚より大きく、
前記接合工程において、前記中間部材の前記角部を介する前記凸状部位の前記角部と前記凹状部位の前記角部と当接は、前記中間部材の前記傾斜面を介する前記凸状部位の前記傾斜面と前記凹状部位の前記傾斜面との当接より、前である
ことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
【請求項9】
前記第1被接合部材は、押圧手段により前記第2被接合部材に対して押圧され、
前記凸状部位の前記角部は、前記第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置している
ことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
【請求項10】
前記第1および第2被接合部材の間には、前記第1および第2被接合部材の少なくとも一方を構成する導電材料より低融点の導電材料からなる中間部材が配置されており、
前記中間部材は、前記凸状部位の前記傾斜面および前記角部に対応する1対の傾斜面および角部を有し、前記第2被接合部材に対して重力方向に関し上方に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。
【請求項11】
前記第1被接合部材は、第1の段差面である基部面と、第2の段差面である先端面と、前記基部面と前記先端面とを連結する壁部と、を有する段状部位を備えており、前記第1被接合部材の前記接合領域は、前記基部面の一部および前記先端面を含んでおり、
前記第2被接合部材は、第1の段差面である基部面と、第2の段差面である先端面と、前記基部面と前記先端面とを連結する壁部と、を有する段状部位を備えており、前記第2被接合部材の前記接合領域は、前記基部面の一部および前記先端面を含んでおり、
前記接合工程においては、前記第1被接合部材の前記基部面の一部と前記第2被接合部材の前記先端面とが接合され、また、前記第1被接合部材の前記先端面と前記第2被接合部材の前記第1基部面の一部とが接合される
ことを特徴とする請求項2に記載の接合方法。
【請求項12】
前記第1被接合部材は、押圧手段により前記第2被接合部材に対して押圧され、
前記第1被接合部材の前記先端面が、前記第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置している場合、前記接合工程において、前記押圧面から離間している前記第1被接合部材の前記基部面の一部と前記第2被接合部材の前記先端面との当接は、前記第1被接合部材の前記先端面と前記第2被接合部材の前記基部面の一部との当接より、前であり、
前記第1被接合部材の前記基部面の一部が、前記第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に位置している場合、前記接合工程において、前記押圧面から離間している前記第1被接合部材の前記先端面と前記第2被接合部材の前記基部面の一部との当接は、前記第1被接合部材の前記基部面の一部と前記第2被接合部材の前記先端面との当接より、前である
ことを特徴とする請求項11に記載の接合方法。
【請求項13】
前記第1被接合部材は、押圧手段により前記第2被接合部材に対して押圧され、
前記第1被接合部材の前記壁部の剛性と、前記第2被接合部の前記壁部の剛性とは異なっており、
前記第1被接合部材の前記壁部の剛性が、前記第2被接合部の前記壁部の剛性より小さい場合、前記第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に、前記第1被接合部材の前記先端面が配置され、
前記第1被接合部材の前記壁部の剛性が、前記第2被接合部の前記壁部の剛性より大きい場合、前記第1被接合部材における押圧面から押圧方向に伸ばした線上に、前記第1被接合部材の前記基部面の一部が配置される
ことを特徴とする請求項11に記載の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−125803(P2012−125803A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279805(P2010−279805)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】