説明

小便器の自動洗浄装置

【課題】人体検知センサの位置を下げることができ、背の低い子供であっても確実にこれを検知することができ、また小便器背後の壁にセンサ窓を設ける必要を無くして配管ケースの前面壁に小便器を取り付けるに際しても配管ケースの高さを低くすることができ、荷物の上げ下ろしを容易に行い得るようになすとともに、人体検知センサの位置を目立たない位置とすることで見栄えを良好となし得る小便器の自動洗浄装置を提供する。
【解決手段】人体検知センサ34にて使用者を検知することで洗浄水を噴射し、小便器10を自動洗浄する小便器の自動洗浄装置において、鉢部16内空間に取り付けられ、洗浄水を鉢面に向けて放射状に噴射するスプレッダー22に人体検知センサ34を設けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体検知センサにて使用者を人体検知することで洗浄水を噴射し、小便器を自動洗浄する小便器の自動洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小便器の洗浄装置として、人体検知センサを備え、その人体検知センサにより使用者を人体検知することで洗浄水を噴射し、小便器を自動洗浄する自動洗浄装置が広く用いられている。
この種小便器の自動洗浄装置としては、図8に示しているように鉢部200を有する小便器本体202の上部に機能部ボックス204を設けて、その内部に赤外線式等の光学式且つ反射型の人体検知センサ,給水バルブを含む給水装置及びその作動制御を行うコントローラを収容し、そして人体検知センサを機能部ボックス204のセンサ窓206に臨む位置に配置して、使用者が小便器210の前方に立ったときにその人体検知センサにてこれを検知し、給水装置の給水バルブを開いて洗浄水を噴射し、小便器210の洗浄を行うようになしたものが公知である(下記特許文献1)。
【0003】
この例では、鉢部200内空間に洗浄水を放射状に噴射するスプレッダー208が取り付けられており、給水装置から供給された洗浄水が、このスプレッダー208から鉢部200内面に向けて放射状に噴射されて鉢部200内面が洗浄される。
尚212は機能部ボックス204の蓋であり、ここでは蓋212は小便器本体202と同じく陶器製とされている。
【0004】
小便器の自動洗浄装置としては、図8に示すもののほかに図9に示すものが従来公知である。
同図において214は給水管や排水管等の配管類を内部に収容する配管ケースで、216はその天板をなすカウンターである。
カウンター216は通常は脱着可能とされており、このカウンター216を外すことで配管ケース214内部のメンテナンス作業を行い得るようになっている。
【0005】
図9に示す小便器210は、この配管ケース214の前面壁を取付壁Wとして設置されている。
218は上記と同様に人体検知センサ,給水装置及びその作動制御をなすコントローラを内部に収容した機能部ボックスで、小便器210背後の取付壁Wに埋込状態に設けられている。
機能部ボックス218の内部に収容された人体検知センサ(光学式且つ反射型の人体検知センサ)は、その前面のセンサ窓206に臨む位置に配置されており、使用者が小便器210の前に立つと、人体検知センサがこれを検知して給水装置が自動的に給水作動し、小便器210を洗浄する。
尚この図9に示すものにおいても、鉢部210内空間にスプレッダー208が設けられていて、このスプレッダー208から洗浄水が放射状に噴射され、小便器洗浄が行われる。
【0006】
しかしながらこれら図8,図9の何れの小便器の自動洗浄装置も、人体検知センサが高い位置にあるために、背の低い子供を検知し損なう可能性があり、また図9に示す自動洗浄装置の場合、人体検知センサを設置するためのスペースが小便器210とは別途に必要である問題があり、更に取付壁Wに人体検知センサ即ち機能部ボックス218を取り付ける関係上、壁W、詳しくは配管ケース214の高さが必然的に高くなってしまって、カウンター216上に荷物を載せ又はこれを降ろす作業に難儀を伴う問題がある。
【0007】
更に図8,図9何れの小便器の自動洗浄装置の場合にも、人体検知センサ、詳しくはセンサ窓206が目立つ位置に位置することとなって見栄えが悪くなる問題があり、特に図8に示すものでは、人体検知センサ及びセンサ窓206を設ける必要があるために機能部ボックス204が上下寸法の大きい大型のものとなり、小便器210の外観,デザイン性が損なわれてしまう。
更に図8,図9何れの小便器の自動洗浄装置にあっても、人体検知センサ、詳しくはセンサ窓206が目立つ位置にあることから、特に公共トイレ等においてセンサ窓206に煙草を押し付けられるなどの悪戯をされ易いといった問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−40740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、人体検知センサの位置を下げることができて、背の低い子供であっても確実にこれを検知することができ、また小便器背後の壁にセンサ窓を設ける必要を無くして、配管ケースの前面壁に小便器を取り付けるに際しても配管ケースの高さを低くすることができ、荷物の上げ降ろしを容易に行い得るようになすとともに、人体検知センサの位置を目立たない位置とすることで見栄えを良くし、また悪戯され難くすることのできる小便器の自動洗浄装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、人体検知センサにて使用者を人体検知することで洗浄水を噴射し、小便器を自動洗浄する小便器の自動洗浄装置において、鉢部内空間に取り付けられ、前記洗浄水を鉢面に向けて放射状に噴射するスプレッダーに前記人体検知センサを設けたことを特徴とする。
ここで人体検知センサとして光学式且つ反射型の人体検知センサを用いることができる。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、給水バルブを含む前記洗浄水の給水装置と、前記人体検知センサからの信号に基づいて該給水装置を作動制御するコントローラとを前記小便器の内部に設けてあることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記スプレッダーを前記小便器の壁部に挿通した状態で、該スプレッダーに対し固定クリップを軸直角方向に嵌め込むことで、該スプレッダーを該壁部に固定するようになしたことを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項3において、前記人体検知センサからセンサコードを前記スプレッダーの外部に延び出させ、該センサコードを該スプレッダーとともに前記小便器の壁部に挿通させ、該センサコードの外側から前記固定クリップを該スプレッダーに嵌め込んで、該センサコードを該スプレッダーに固定するようになしてあることを特徴とする。
【0014】
請求項5のものは、請求項4において、前記固定クリップには前記センサコードを通すための凹部が設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項2〜5の何れかにおいて、前記スプレッダーには前記固定クリップ嵌込用の嵌込溝が設けてあることを特徴とする。
【0016】
請求項7のものは、請求項6において、前記スプレッダーには前記小便器の前記壁部の厚み方向に位置を異ならせて複数の前記嵌込溝が設けてあることを特徴とする。
【0017】
請求項8のものは、請求項3において、前記固定クリップと前記小便器の壁部との間に弾性材を介在させる状態に該固定クリップにて前記スプレッダーを固定するようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0018】
以上のように本発明は、小便器の鉢部内空間に取り付けられ、洗浄水を鉢面に向けて放射状に噴射するスプレッダーに、小便器の自動洗浄装置における人体検知センサを設けたもので、本発明によれば人体検知センサの位置を下げることができ、これにより背の低い子供でも確実にこれを検知することが可能となる。
【0019】
また図8に示しているように小便器の上部、詳しくは小便器本体よりも上側にセンサ窓を設けたり、或いは図9に示すように小便器背後の取付壁にセンサ窓を設ける必要が無くなることから、図8に示しているように小便器の上部に機能部ボックスを設ける場合においても、その機能部ボックスを上下寸法の小さなものとなし得てこれをコンパクト化することができ、小便器のデザイン性を高めることが可能となる。
或いはまた図9に示す配管ケースの前面壁、即ち小便器の背後の取付壁にセンサ窓を設ける必要が無くなることから、配管ケースの高さを低くすることが可能となって、その天板即ちカウンター上への荷物の上げ降ろしの作業も行い易くなる。
またセンサ窓が位置の低い、目立ち難い位置に位置することとなるため見栄えが良好となり、更にセンサ窓に対する悪戯を防止することが可能となる。
【0020】
請求項2は、給水バルブを含む給水装置と、人体検知センサからの信号に基づいて給水装置を作動制御するコントローラとを小便器の内部に設けたもので、この請求項2によれば、小便器とは別途に給水装置及びコントローラを設置する必要が無くなり、従って小便器の自動洗浄装置の設置施工が容易になるとともに、小便器を配管ケースの前面壁を取付壁として設置する場合において、配管ケースの高さをより低くすることが可能となる。
【0021】
本発明では、上記スプレッダーを小便器の壁部に挿通した状態でスプレッダーに対し固定クリップを軸直角方向に嵌め込むことで、かかるスプレッダーを小便器の壁部に固定するようになすことができる。
ここでスプレッダーは、大径の頭部と小径の管状部とを有するものとなして、その該管状部に対して前記固定クリップを嵌め込むようになし、かかる固定クリップと大径の頭部とで前記壁部を表裏両側から挟み込む状態に、スプレッダーを壁部に固定するようになしておくことができる(請求項3)。
【0022】
この場合において、スプレッダーに設けた人体検知センサからセンサコードをスプレッダーの外部に延び出させ、そしてセンサコードをスプレッダーとともに小便器の壁部に挿通させ、そのセンサコードの外側から上記固定クリップをスプレッダーに嵌め込んで、センサコードをスプレッダーに固定するようになしておくことができる(請求項4)。
【0023】
従来では、スプレッダーに雄ねじ部を設けて、この雄ねじ部に固定ナットをねじ込むことで、スプレッダーを小便器の壁部に固定するようにしており、この場合、人体検知センサからセンサコードがスプレッダーの外部に且つスプレッダーに沿って延び出していると、そのセンサコードが邪魔となってスプレッダーに対するナットのねじ込みを行うことができない。
従ってこの場合にはセンサコードをスプレッダーの内部に通すか、或いはまたセンサコードを通すための孔を小便器に別途に設けなければならない。
【0024】
しかるにこの請求項4では、固定ナットのねじ込みによる固定ではなく、固定クリップをスプレッダーに対し軸直角方向に嵌め込んでスプレッダーの固定をなすようになしていることから、スプレッダーの固定を容易に行うことができる。
【0025】
この場合において上記固定クリップには、センサコードを通すための、例えば溝や孔等から成る凹部を設けておくことができ(請求項5)、この場合センサコードがスプレッダーの固定に対して何ら障害とはならず、しかも固定クリップにてセンサコードをスプレッダーに良好に固定状態となすことができる。
【0026】
上記スプレッダーには、固定クリップ嵌込用の嵌込溝を設けておくことができる(請求項6)。
このようにすれば、固定クリップの嵌込位置を適正な位置に位置決めすることができるとともに、固定クリップと嵌込溝との係合によってスプレッダーを小便器を挟む状態に強固に取付固定することが可能となる。
【0027】
この場合において、スプレッダーには小便器の壁部の厚み方向に位置を異ならせて複数の嵌込溝を設けておくことができる(請求項7)。
小便器は通常陶器製であって、スプレッダーを取り付ける壁部はその厚みが大きくばらついている。
そこで上記嵌込溝を位置を異ならせて複数設けておくことで、壁部の厚みに応じて嵌込溝を選択し、固定クリップを嵌め込むことで、小便器自体の寸法のばらつきにも拘らず良好にスプレッダーを小便器の壁部に取付固定することが可能となる。
【0028】
次に請求項8は、固定クリップと小便器の壁部との間に弾性材を介在させる状態にスプレッダーを固定するようになしたもので、この場合においても弾性材の圧縮弾性変形によって、小便器の壁部の肉厚寸法のばらつきを効果的に吸収することができ、従ってかかる壁部の肉厚のばらつきにも拘らず、良好にスプレッダーを小便器の壁部に取付固定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は陶器製の小便器で、12は配管ケース、14は配管ケース12の天板としてのカウンターである。
配管ケース12の内部には給水管,排水管等の配管類が収納されている。
この例において、小便器10は配管ケース12の前面壁を取付壁Wとして設置されている。
【0030】
小便器10は、鉢部16と下部の垂れ受部18を有しており、その鉢部16内空間にスプレッダー22が取り付けられている。
ここでスプレッダー22は、鉢部16の後面上部且つ左右方向中央位置に取り付けられている。
このスプレッダー22は、図4に示しているようにその下面に射水孔24を有しており、洗浄水をこの射水孔24から下向き且つ放射状に噴射する。
噴射された洗浄水は鉢部16の内面に沿って流下し、鉢部16の内面を洗浄して排水口20から排出される。
尚図1において26は鉢部16の天井面を表している。
【0031】
上記スプレッダー22は、正面形状が円形で内部が中空の大径の頭部28(図3及び図4参照)と、頭部28から後方に延び出した、断面円形で小径且つその内部を頭部28の内部に連通させた管状部30とを有している。
管状部30には給水用の配管(図示省略)が接続され、その配管を通じて頭部28の内部に洗浄水が導かれて、射水孔24から下向き且つ放射状に噴射される。
【0032】
スプレッダー22は、管状部30を小便器10における後壁部31の取付孔32に挿通させ、且つ頭部28の後面を後壁部31に当接させる状態で、かかる後壁部31に取付固定されている。
スプレッダー22における頭部28の前面には、図2に示しているように投光部34aと受光部34bとを有する赤外線式且つ反射型の人体検知センサ34が設けられている。
【0033】
図3及び図4において、36は人体検知センサ34をスプレッダー22の頭部28とともに外側から覆う樹脂製の透光性のカバーで、スプレッダー22の頭部28の外周面に装着されたゴム製のOリング38に弾性的に嵌め合わされ、保持されている。
人体検知センサ34が設けられたスプレッダー28の前面は、このOリング38により水密にシールされている。
【0034】
図4及び図5に、スプレッダー22の固定構造が示してある。
これらの図に示しているように、スプレッダー22は弾性を有する固定クリップ40にて後壁部31に固定されている。
固定クリップ40は全体として略門形をなしており、弾性的に拡開可能な一対の弾性アーム44と、それらを連結する連結部46とを有している。
各弾性アーム44の端部には、固定クリップ40の差込時にはガイドとなり、また引抜方向には抵抗部となる爪48が内向きに突出する形態で設けられている。
【0035】
一方連結部46には、人体検知センサ34から管状部30の外面に沿って延び出したセンサコード54を通すための切欠形状の溝50が設けられている。
他方管状部30の外面には、固定クリップ40の嵌込用の嵌込溝52が軸方向に位置を異ならせて複数設けられている。
ここで各嵌込溝52は、管状部30の軸直角方向に延びる形態で設けられている。
【0036】
この実施形態では、スプレッダー22の管状部30を小便器10における後壁部31の取付孔32に挿通し、且つ頭部28を後壁部31に当接させた状態で、固定クリップ40を管状部30の複数の嵌込溝52の何れかに軸直角方向に嵌め込むことで、かかる固定クリップ40と頭部28とで後壁部31を表裏両側から挟み込む状態に、スプレッダー22を後壁部31に固定することができる。
【0037】
図3及び図4において、56は環状をなすゴム等の弾性材で、この実施形態では、かかる弾性材56を固定クリップ40と後壁部31とで挟み込むようにしてスプレッダー22を取付固定する。
このような弾性材56を用いない場合には、嵌込溝52の何れかに固定クリップ40を嵌め込んだときに、固定クリップ40と後壁部31との間に隙間が生じ、スプレッダー22が取付状態でがたつきを生じる恐れがあるが、本実施形態に従って弾性材56をその厚み方向に弾性圧縮変形させる状態に挟み込むことでその隙間を無くし、がたつき無く強固にスプレッダー22を後壁部31に取り付けることが可能となる。
【0038】
尚固定クリップ40をスプレッダー22の管状部30に嵌め込むに当り、後壁部31の厚みのばらつきに応じて、複数の嵌込溝52の何れか適当なものを選択して固定クリップ40をそこに嵌め込むようにする。
このようにすることで、陶器製の小便器10における後壁部31が肉厚のばらつきを有していても、良好にスプレッダー22を後壁部31に取付固定することができる。
【0039】
本実施形態では、人体検知センサ34から管状部30の外面に沿って延び出したセンサコード54を、図4に示しているように管状部30とともに取付孔32に挿通し、そして固定クリップ40をセンサコード54の外側から管状部30の嵌込溝52に嵌め込んで、スプレッダー22を後壁部31に固定すると同時に、センサコード54を固定クリップ40にて管状部30に固定する。
このとき、センサコード54が連結部46に設けた切欠形状の溝50に嵌るように、即ちセンサコード54が溝50を通るようにして固定クリップ40をセンサコード54の外側から管状部30に嵌め込む。
【0040】
以上のような本実施形態によれば人体検知センサ34の位置を下げることができ、これにより背の低い子供でも確実にこれを検知することが可能となる。
また小便器10の上部、詳しくは小便器本体より上側にセンサ窓を設けたり、或いは便器背後の取付壁Wにセンサ窓を設ける必要が無くなる。従って給水装置やコントローラを収納するための機能部ボックスを小便器10の上部に設ける場合においても、その機能部ボックスの上下寸法を小さくしてコンパクト化することができ、小便器のデザイン性を高めることが可能となる。
或いは小便器10の背後の取付壁Wにセンサ窓を設ける必要が無くなることから、配管ケース12の高さを低くすることが可能となって、カウンター14上への荷物の上げ降ろしの作業を容易化することができる。
またセンサ窓が位置の低い目立ち難い位置に位置することとなるため見栄えが良好となり、更にセンサ窓に対する悪戯を防止することが可能となる。
【0041】
更に本実施形態ではスプレッダー22を小便器10の後壁部31に対し固定クリップ40にて固定するようになしていることから、スプレッダー22の固定を容易に行うことができる。
その際、固定クリップ40にはセンサコード54を通すための溝50が設けてあるため、センサコード54がスプレッダー22の固定に対して何ら障害とはならず、しかも固定クリップ40にてセンサコード54をスプレッダー22に良好に固定状態となすことができる。
【0042】
またスプレッダー22には固定クリップ40の嵌込用の嵌込溝52が後壁部31の厚み方向に位置を異ならせて複数設けてあるため、固定クリップ40の嵌込位置を位置決めし得るとともに、固定クリップ40と嵌込溝52との係合によってスプレッダー22を強固に取付固定できるのに加えて、小便器10自体の後壁部31の厚み寸法のばらつきにも拘らず、良好にスプレッダー22を後壁部31に取付固定することができる。
【0043】
更に加えてこの実施形態では、固定クリップ40と後壁部31とで弾性材56を挟むようにしてスプレッダー22を固定するようになしているため、弾性材56の圧縮弾性変形によって小便器10の後壁部31の肉厚寸法のばらつきを効果的に吸収でき、スプレッダー22を小便器10の後壁部31に対しがたつきなく良好に取付固定することができる。
【0044】
尚この実施形態において、給水バルブを含む給水装置及びその作動制御をなすコントローラについては、配管ケース12の内部に収納状態に設けておくことができる。
或いは図6に示しているように小便器10の上部に収納部58を設けて、その内側の収納空間に給水バルブを含む給水装置60及びその作動制御をなすコントローラ62を収納しておいても良い。
ここで給水装置60は配管を介して上記スプレッダー22に接続され、またコントローラ62に対して給水装置60が電気配線にて接続されるとともに、人体検知センサ34がセンサコード54にて電気的に接続される。
このようにしておけば、小便器10とは別途に給水装置60及びコントローラ62を設置する必要が無くなり、小便器10の自動洗浄装置の設置施工が容易になるとともに、小便器10を配管ケース12の前面壁を取付壁Wとして設置する場合において、配管ケース12の高さをより低くすることが可能となる。
【0045】
上記実施形態では、固定クリップ40を嵌め込むための嵌込溝52を複数個(3個)設けているが、場合によってこの嵌込溝52は1つだけ設けておくことも可能であるし、更にはまた嵌込溝52を複数設ける場合において、図7に示しているようにこれら嵌込溝52が互いに連続するように螺旋状に設けておくことも可能である。
即ち管状部30の外周面に沿って連続した螺旋形状の雌ねじ形状の溝を設け、その溝によって上記の複数の嵌込溝52を形成することも可能である。
この場合において、固定クリップ40には嵌込溝52に嵌り込む爪部64を設けておくことができる。
【0046】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば本発明は、図1の鉢部16における天井面26にスプレッダー22が取り付けられて、そのスプレッダー22から洗浄水が後方に噴射される形式の小便器10に適用して、かかる天井面26のスプレッダー22に人体検知センサ34を設けることも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態である自動洗浄装置を小便器に取り付けた状態で示す全体図である。
【図2】図1に示すものの正面図である。
【図3】図1におけるスプレッダーを周辺部とともに示す図である。
【図4】図3に示すものの断面図である。
【図5】図1におけるスプレッダーと固定クリップとを周辺部とともに示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態の要部の図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態の要部の図である。
【図8】従来の小便器の自動洗浄装置の図である。
【図9】図8とは異なる従来例の図である。
【符号の説明】
【0048】
10 小便器
16 鉢部
22 スプレッダー
28 頭部
30 管状部
31 後壁部
34 人体検知センサ
40 固定クリップ
50 溝
52 嵌込溝
54 センサコード
56 弾性材
60 給水装置
62 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体検知センサにて使用者を人体検知することで洗浄水を噴射し、小便器を自動洗浄する小便器の自動洗浄装置において、
鉢部内空間に取り付けられ、前記洗浄水を鉢面に向けて放射状に噴射するスプレッダーに前記人体検知センサを設けたことを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項2】
請求項1において、給水バルブを含む前記洗浄水の給水装置と、前記人体検知センサからの信号に基づいて該給水装置を作動制御するコントローラとを前記小便器の内部に設けてあることを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記スプレッダーを前記小便器の壁部に挿通した状態で、該スプレッダーに対し固定クリップを軸直角方向に嵌め込むことで、該スプレッダーを該壁部に固定するようになしたことを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項4】
請求項3において、前記人体検知センサからセンサコードを前記スプレッダーの外部に延び出させ、該センサコードを該スプレッダーとともに前記小便器の壁部に挿通させ、該センサコードの外側から前記固定クリップを該スプレッダーに嵌め込んで、該センサコードを該スプレッダーに固定するようになしてあることを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項5】
請求項4において、前記固定クリップには前記センサコードを通すための凹部が設けてあることを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れかにおいて、前記スプレッダーには前記固定クリップ嵌込用の嵌込溝が設けてあることを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項7】
請求項6において、前記スプレッダーには前記小便器の前記壁部の厚み方向に位置を異ならせて複数の前記嵌込溝が設けてあることを特徴とする小便器の自動洗浄装置。
【請求項8】
請求項3において、前記固定クリップと前記小便器の壁部との間に弾性材を介在させる状態に該固定クリップにて前記スプレッダーを固定するようになしてあることを特徴とする小便器の自動洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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