説明

小児性腺機能低下症の治療用組成物及び治療方法

本発明は、とりわけ、望ましいホルモンの薬物動態プロフィールを与える、水性アルコールテストステロンゲル製剤を使用して、テストステロン生産が不足している思春期前の成年期の男性を治療するための組成物及び前記青年期の男性の治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、望ましいホルモンの薬物動態プロフィールを与える、水性アルコールテストステロンゲル製剤を使用して、テストステロン生産が不足している思春期前の成年期の男性を治療するための組成物及び前記青年期の男性の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
少年の思春期が始まる年齢は、9から14歳の範囲であり、精巣の腫大、続いて精巣発育の18から24ヶ月後の陰毛の出現によって特徴付けられる。思春期は、タナー性器期III及びタナー陰毛期IIに増大し始める直線的な発育速度を伴う、骨格成長によって特徴付けられる。タナー期(IからV)は、子供及び青年における身体の成長時期である。それらの時期は、陰毛の発達などの、外見的な第一次性徴及び第二次性徴に基づく発達の身体測定を規定する。自然なばらつきによって、特に思春期の時期に依存して、個人によって異なる速度でタナー期を通過する。最大の身長発育速度は、典型的には14歳に達する。Wheeler, MD, Endocrinol and Metab CHn N. Am., 20(1 ): 1-14 (1991 )参照のこと。14歳までに第二次性徴が始まらない少年又は思春期が始まってから4年半以内に思春期発達のV期を経ていない少年は、性腺機能低下症、すなわち、テストステロンレベルの低下について評価されるべきである。Styne, D., Puberty, Basic and Clinical Endocrinology, 6th Edition, Greenspan FS and Gardner DG, ed. McGraw- Hill, New York, 2001参照のこと。
【0003】
テストステロンは、男性の主要な循環するアンドロゲンであり、コレステロールから合成される。テストステロンは、男性の精巣から主に分泌される。成人男性では、精巣における約5億のライディッヒ細胞が、一日に生産される6から7mgのテストステロンの95%超を分泌する。下垂体によって生産される2種のホルモンである黄体形成ホルモン(「LH」)及び卵胞刺激ホルモン(「FSH」)は、精巣機能の発達及び維持に必要とされており、ホルモンの循環濃度によって生じるフィードバックメカニズムによってテストステロン生産を負に制御している。循環するテストステロンは、2種の異なる経路によって各種の17−ケトステロイドに代謝される。テストステロンは、酵素である5α−レダクターゼによってジヒドロテストステロンに代謝されるか又はアロマターゼ酵素複合体によってエストラジオール(「E2」)に代謝される。
【0004】
テストステロンは、血中で98%がタンパク質に結合して循環する。男性では、約40%の結合が、高親和性性ホルモン結合グロブリン(「SHBG」)に対するものである。残りの60%はアルブミンに弱く結合する。かくして、多数のテストステロン測定が臨床研究に利用可能である。本明細書で使用する「遊離」のテストステロンなる用語は、タンパク質に結合していない血中テストステロンの画分を意味する。本明細書で使用する「総テストステロン」又は「テストステロン」なる用語は、遊離のテストステロンとタンパク質に結合したテストステロンとを意味する。本明細書で使用する「バイオアベイラブルテストステロン」なる用語は、非SHBG結合テストステロンを意味するものであり、アルブミンに弱く結合したテストステロンを含む。
【0005】
下表は、各タナー期の正常なテストステロン濃度の範囲をまとめたものである。
【0006】
【表1】

【0007】
以下の表は、年齢ごとの正常な男性における血清ホルモン濃度の範囲をまとめたものである。
【0008】
【表2】

【0009】
文献に報告されているテストステロンの半減期には、10から100分までの範囲の、非常に大きなばらつきがある。しかしながら、研究者は、循環するテストステロンが、正常な若い男性における日周変動を有することを認めている。最大のレベルは、だいたい午前6時から午前8時に生じ、前記レベルは日中に低減する。
【0010】
青年男性(すなわち、少年)における思春期の遅延は、各種の異なる条件に由来する可能性がある。例えば、性徴及び思春期の体質的な遅延(CDGP)、ゴナドトロピン過剰性性腺機能低下症(原発性性腺機能低下症)、又は低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(続発性性腺機能低下症)に由来する可能性がある。テストステロンを摂取していない患者については、思春期前の成熟状態を、とりわけ、(i)3mL以下の精巣容量及び(ii)50ng/dL以下のテストステロン濃度によって示すことができる。
【0011】
性腺機能低下症は、正常な範囲未満にテストステロン濃度が低下した各種の病態生理学的状態に由来する。性腺機能低下状態は、脂肪の無い身体の低減、骨密度の低減、気分の低下、及びエネルギーレベルの低下などの多数の生理学的変化と関連する場合がある。
【0012】
研究者は、一般的に、性腺機能低下症を三種のタイプの一種に分類する。原発性腺機能低下症は、先天性又は獲得性の無精巣症、XYY症候群、XX男性、ヌーナン症候群、性腺発育障害、ライディッヒ細胞腫、下降不良精巣、性索静脈瘤、セルトリ細胞単独症候群、停留精巣症、両側性捻転、消失精巣症候群、クラインフェルター症候群、化学療法、アルコール又は重金属による中毒性障害、並びに全身的疾患(腎不全、肝硬変、異栄養性ミオトニー)による精巣障害を含む。原発性性腺機能低下症の患者は、低い血清テストステロン濃度が高いFSH及びLH濃度と関連する完全なフィードバックメカニズムを示す。しかしながら、精巣又は他の機能不全のために、高いLH濃度はテストステロン生産を刺激するのに有効ではない。
【0013】
続発性性腺機能低下症は、特発性ゴナドトロピン又はLH放出ホルモン放出症を含む。このタイプの性腺機能低下症は、カルマン症候群、プラダー−ラブハート−ウリィ症候群、ローレンス−ムーン−ビードル症候群、下垂体機能不全/アデノーマ、パスクアリニ症候群、血色素症、過プロラクチン血症、又は腫瘍、外傷、照射、もしくは肥満に由来する下垂体−視床下部傷害を含む。続発性性腺機能低下症の患者は完全なフィードバック経路を示さないため、テストステロン濃度の低下はLH又はFSH濃度の増加を伴わない。かくして、これらの男性は、低いテストステロン血清レベルを有するが、正常から低い範囲でゴナドトロピンを有する。
【0014】
上記の状態を伴う思春期の遅延を有する青年男性は、アンドロゲン(例えば、テストステロン)又はアナボリックステロイドを用いて治療されてよい。持続的な性腺機能低下症を有する青年男性は、長期のアンドロゲン投与を必要とするであろう。その様な治療は、典型的には、第二次性徴を生じさせ、身長の増大を生じさせるであろう。思春期の遅延の治療に使用されるテストステロンの最も一般的な形態は、注射の形態である。これは、テストステロンエステル(例えば、テストステロンエナンタート)が油に溶解され、数週に一度、殿筋の深部に注射される、デポー製剤である。この投薬計画は、医療従事者のもとに度々訪問する必要があり、痛みを伴う。テストステロンの注射は、注射の直後に所望のものより高い濃度から次回の注射の前に所望のものより低い濃度まで、投与間隔に亘って幅広く変動する血清テストステロン濃度ももたらす。これらの投与間隔に亘って変動する濃度は、投与の調節のための意味のある指標としての血清テストステロン濃度の使用を複雑にする。肝臓の副作用の危険のために、ハロゲン化又はメチル化テストステロンの経口用製品は米国では一般的でない。さらに、アナボリックステロイドの使用は、テストステロンがするようには、成長ホルモンの分泌の増大を促進しない。かくして、複数の欠点が、思春期の遅延の治療に典型的に使用される製品の各々と関連する。
【0015】
2000年には、テストステロンゲル1%が、内在性テストステロンの欠乏又は不足を伴う状態(原発性又は続発性性腺機能低下症)の、18歳を超える成人男性における補充療法について認可された。一日一回5gのテストステロンゲル1%(50mgのテストステロンを含有する)を使用した73人の性腺機能低下症を有する男性及び一日一回10gのテストステロンゲル1%(100mgのテストステロンを含有する)を使用した78人の性腺機能低下症を有する男性におけるテストステロン補充試験の結果は、テストステロンゲル1%は良好な耐用性を示し、精巣機能の正常な範囲内における血清テストステロン濃度の増大に有効であった。精巣機能の正常な濃度は、大半の男性において一回目の提供の数時間以内に達成され、これらの濃度は一日一回の投与で180日まで維持された。最も多く報告されたテストステロンゲル1%に関連する副作用(AE)は、にきび(8%以下);赤血球の増大、ヘモグロビンの増大、ヘマトクリットの増大、及び血清脂質の低減を含む臨床検査異常(6%以下);適用部位の反応(5%以下);前立腺障害(5%以下);及び頭痛(4%以下)であった。
【0016】
5g以上のテストステロンゲルの投与では、性腺機能低下症を有する18歳を超える成人男性の血清テストステロン濃度は、精巣機能の正常な範囲内に増大したという証拠が存在しているが、より低レベルの用量において、性腺機能低下症の18歳未満の青年男性の血清テストステロン濃度が精巣機能の正常な範囲内に増大するであろうという根拠は存在せず、このような投与量を予測し得ない。具体的には、青年男性の皮膚がテストステロンゲルを吸収する態様は不明である。一般的には、青年男性の皮膚は、リザーバーとして働く際には、18歳超の成人男性の皮膚とは異なる。したがって、より低い投与レベルのテストステロンゲルにおいて、性腺機能低下症の青年男性の血清テストステロン濃度が安全且つ効果的な態様で増大するという根拠は存在しない。さらに、テストステロンの皮膚リザーバーの取り込みは、個々の代謝に依存する。青年男性の代謝は、18歳超の成人男性の代謝とは劇的に異なるものである。
【0017】
テストステロンゲルは、青年期の少年における思春期の遅延の治療に幾つかの利点を提供し得る。最も重要なことには、当該製品によって達成される比較的一定な血清テストステロン濃度は、医療従事者が、血清テストステロン濃度の意味のある測定を得て、思春期の発達の所定の段階に適切なテストステロン濃度を得るために用量を調節することを可能にする。テストステロン濃度は、少年がタナー陰毛期Iからタナー陰毛期Vに移行するにつれて次第に増大する。経時的に一貫したテストステロン濃度を得る能力及び用量の適当な調節を可能にする濃度を使用する能力は、医療従事者が、第二次性徴を誘導すること、及び当該少年をより生理学的な様式で思春期の各種の段階に移行させることを可能にするはずである。
【0018】
青年期の少年における思春期の遅延の治療におけるテストステロンゲルの使用において更に考慮すべきことは、使用の簡易性である。前記ゲルの使用は、注射をするために2から4週間ごとに医療従事者のところに少年を戻す必要がないだろう。このことは、少年及びその家族の双方にとって重要なことである。最終的には、ゲルはこの集団に良好に耐容であるべきである。その使用によって、テストステロン注射及びテストステロン療法の治療計画の親のコンプライアンスに伴う痛みや不快さが避けられるであろう。また、経口アナボリック剤の使用に伴う肝臓の副作用の危険も存在しない。前記ゲルは成人集団に非常に良好に耐用されるものであり、少数の対象が適用部位反応を示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Wheeler, MD, Endocrinol and Metab CHn N. Am., 20(1 ): 1-14 (1991 )
【非特許文献2】Styne, D., Puberty, Basic and Clinical Endocrinology, 6th Edition, Greenspan FS and Gardner DG, ed. McGraw- Hill, New York, 2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、小児性腺機能低下症、すなわち9歳から17歳の青年男性における低いテストステロンレベルの、安全且つ効果的な治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、とりわけ、所望のホルモンの薬物動態プロフィールを提供する、水性アルコールテストステロンゲル製剤を使用して、不十分なテストステロン生産を有する思春期前の青年男性を治療するための組成物並びに前記青年男性の治療方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、総又は遊離のテストステロン、ジヒドロテストステロン、バイオアベイラブルテストステロンについての観察された平均血清濃度対時間のプロフィールを示すグラフである。
【図2】図2は、総又は遊離のテストステロン、ジヒドロテストステロン、バイオアベイラブルテストステロンについての平均ベースライン調整血清濃度対時間のプロフィールを示すグラフである。
【図3】図3は、観察された又はベースラインで調整した投与前テストステロン濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は多数の異なる態様において実施されてよいが、幾つかの特定の実施態様が本明細書において議論されており、本開示は本発明の主題の例示としてのみ考慮されるべきであり、例示した実施態様に限定することを意図しない。
【0024】
本発明は、とりわけ、所望のホルモンの薬物動態プロフィールを提供する、水性アルコールテストステロンゲル製剤を使用して、不十分なテストステロン生産(すなわち、小児性腺機能低下症)を有する思春期前の青年男性、すなわち、9から17歳(境界を含む)の間の男性を治療するための組成物並びにその様な治療のためにその様な組成物を使用する方法に関する。
【0025】
テストステロンを摂取していない対象については、思春期前の成熟状態が、とりわけ、(i)3mL以下の精巣容量及び(ii)50ng/dL以下のテストステロン濃度によって示される。
【0026】
1つの実施態様では、本発明は、水性アルコールゲル中のテストステロンの経皮投与の方法に関する。前記ゲルは、テストステロン(又はテストステロン誘導体)、1つ又は複数の低級アルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール;浸透促進剤、例えば、イソプロピルミリステート;増粘剤;及び水を含む。加えて、本発明は、塩、皮膚軟化剤、安定剤、抗菌剤、香料、及び推進剤を任意に含んでよい。
【0027】
本発明は、臨床的に明らかである対象における性腺機能不全又は他の低テストステロン関連疾患を治療し、予防し、回復させ、停止させ、又はそれらの進行を遅延させるか又は性腺機能不全若しくは低テストステロンに伴う若しくは関連する症状を治療するためのキット、方法、組み合わせ、及び医薬組成物も含む。前記対象は、投与の時期には性腺機能低下症及び/又は低テストステロンの診断を既に受けており、或いは性腺機能低下症及び/又は低テストステロンを発症するリスクがあってよい。本発明は、好ましくは、18歳未満の青年の対象の治療のためのものである。より好ましくは、本発明は、9から17歳の間(境界含む)の思春期前の対象の治療のためのものである。
【0028】
用語「誘導体」は、1つの原子、分子、又は基の置換基を他のものと置き換えることによって類似の構造の他の化合物から製造される化合物を意味する。例えば、化合物の水素原子が、アルキル、アシル、アミノなどによって置換されて、当該化合物の誘導体を製造してよい。
【0029】
本明細書で使用する用語「低級アルコール」は、単独又は組み合わせにおいて、1つから約6つの炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖のアルコール部分を意味する。1つの実施態様では、低級アルコールは1つから約4つの炭素原子を含有し、他の実施態様では、低級アルコールは2つから約3つの炭素原子を含有する。その様なアルコール部分の例は、メタノール、エタノール、エタノールUSP(すなわち、95%v/v)、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、及びtert−ブタノールを含む。
【0030】
本明細書で使用する用語「低級アルキル」は、単独又は組み合わせにおいて、1つから約6つの炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基を意味する。1つの実施態様では、前記低級アルキルは1つから約4つの炭素原子を含有する。その様な基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルを含む。
【0031】
本明細書で使用する用語「エタノール」は、COHを意味する。脱水アルコールUSP、アルコールUSP、又は各種の量の水との組み合わせて含む任意の一般的な形態として使用されてよい。
【0032】
前記組成物は、「薬理学的な有効量」で使用される。当該用語は、前記組成物において、薬剤の使用期間に亘って治療レベルの薬剤の送達をもたらすような、投与される薬剤濃度を意味する。その様な送達は、個々の投与単位が使用される期間、組成物から薬剤、例えば、テストステロンがゲルから流出する速度、適用部位の表面領域などを含む多数の変動因子に依存する。テストステロンについては、例えば、必要なテストステロンの量は、ゲルからのテストステロンの流出速度並びに促進剤有り及び無しで使用する際の皮膚を通過するテストステロンの流出速度に基づいて実験的に決定されてよい。
【0033】
用語「プロドラッグ」は、薬理学的作用(活性治療剤)が体内の代謝作用による変換に由来する薬剤又は化合物を意味する。プロドラッグは、一般的には、対象への投与後且つ吸収後に、代謝プロセスなどのあるプロセスによって活性又はより活性な種に変換される薬剤前駆体であると解される。前記変換プロセスに由来する他の産物は、身体によって容易に処理される。プロドラッグは、一般的には、薬剤をより不活性にし及び/又はある他の特性を与える、プロドラッグ上に存在する化学基を有する。前記化学基がプロドラッグから開裂されると、より活性な薬剤が産生される。プロドラッグは、可逆的な薬剤誘導体として設計されてよく、部位特異的組織への薬剤送達を促進する修飾剤として利用する。今日までのプロドラッグの設計では、水が主要な溶媒である領域を標的とするために治療用化合物の事実上の水溶性を増大させている。例えば、Fedorak, et al., Am. J. Physiol, 269:G210-218 (1995)は、デキサメタゾン−β−D−グルクロニドを開示している。McLoed, et al., Gastroenterol., 106:405-413 (1994)は、デキサメタゾン−スクシネート−デキストランを開示している。Hochhaus, et al., Biomed. Chrom., 6:283-286 (1992)は、デキサメタゾン−21−スルホベンゾエートナトリウム及びデキサメタゾン−21−イソニコチネートを開示している。加えて、J. Larsen and H. Bundgaard [Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987)]は、潜在的なプロドラッグ誘導体としてのN−アシルスルホンアミドの評価を開示している。J. Larsen et al., [Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988)]は、潜在的なプロドラグ誘導体としてのN−メチルスルホンアミドの評価を開示している。プロドラッグは、例えば、Sinkula et al., J. Pharm. ScL, 64:181-210 (1975)にも開示されている。組み合わせて又は本発明の方法において使用してよい「プロドラッグ」の他の非制限的な例は、パレコキシブ(プロパナミド、N−[[4−(5−メチル
−3−フェニル−4−イソキサゾリル)フェニル]スルホニル]−)及びMAG−カンプトテシンを含む。
【0034】
1つの実施態様では、本発明は、水性アルコールゲル中のテストステロンの経皮投与のための方法に関する。前記ゲルは、1つ又は複数のアルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール;浸透促進剤;増粘剤;及び水を含む。1つの実施態様では、前記ゲルは、中和、好ましくは水酸化ナトリウムなどのヒドロキシド放出剤で中和されたアニオン性ポリマー増粘剤前駆体を含む。加えて、本発明は、塩、皮膚軟化剤、安定剤、抗菌剤、香料、及び推進剤を任意に含んでよい。
【0035】
開示した化合物及びその製薬学的に許容される塩の異性体及び互変異性体が、本発明の方法及び医薬組成物に含まれる。例示的な製薬学的に許容される塩は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸、b−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸から調製される。
【0036】
浸透促進剤の非制限的な例は、イソステアリン酸、オクタン酸、及びオレイン酸などのC8−C22脂肪酸;オレイルアルコール及びラウリルアルコールなどのC8−C22脂肪アルコール;エチルオレート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、及びメチルラウレートなどのC8−C22脂肪酸の低級アルキルエステル;ジイソプロピルアジペートなどのC6−C22二塩基酸のジ低級アルキルエステル;グリセリルモノラウレートなどのC8−C22脂肪酸のモノグリセリド;テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドジメチルエーテル;ジメチルスルホキシド;グリセロール;エチルアセテート;アセト酢酸エステル;N−アルキルピロリドン;及びテルペンを含む。
【0037】
本発明における使用に適切な増粘剤(ゲル化剤としても知られている)は、ポリアクリル酸などの中和したアニオン性ポリマーを含む。好ましくは、カルボマーポリアクリル酸、特に、Ohio州CleavelandのNoveon Inc.によってCarbopol(登録商標)として製造販売されているものである(参照によって本明細書に取り込むhttp://www.noveon.comを参照のこと)。特に好ましくは、Carbopol(登録商標) Ultrez 10, 940, 941 , 954, 980, 981 , ETD 2001 , EZ-2、 及びEZ-3である。最も好ましくはCarbopol(登録商標) 940 及びCarbopol(登録商標) 980である。他の適切なアニオン性ポリマーは、カルボキシポリメチレン及びカルボキシメチルセルロースを含む。Pemulen(登録商標)ポリマー乳化剤及びNoveon(登録商標)ポリカルボフィルなどの他の既知の増粘剤も適切である。更なる増粘剤、促進剤、及び賦形剤も一般的には、参照によって本明細書に取り込むRemington's The Science and Practice of Pharmacy, Meade Publishing Co., United States Pharmacopeia/National Formularyを参照してよい。
【0038】
1つの実施態様では、前記製剤は、アニオン性ポリマー増粘剤前駆体を中和して組成物の形成の過程においてゲルを形成するのに十分な量で、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アルギニン、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、トリエタノールアミン(TEA)、トロメタミン、PEG−15コカミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される中和剤と組み合わせてカルボマーなどのアニオン性ポリマー増粘剤前駆体を含有する。適切な中和剤及び選択したアニオン性増粘剤前駆体とのそれらの使用は、参照によって本明細書に取り込む"Neutralizing Carbopol(登録商標) and Pemulen(登録商標) Polymers in Aqueous and Hydroalcoholic Systems," Commercial Brochure TDS-237 (October 1998) by Noveon Inc. of Cleveland, Ohioに開示されている。
【0039】
他の実施態様では、本発明の製剤は、約0.5mgから約50mgのテストステロン、又はその同等物を単位用量毎に対象に送達する。本発明の他の実施態様では、前記製剤は、約5mgから約25mgのテストステロン又はその同等物を単位用量毎に提供する。本発明の更なる他の実施態様では、前記製剤は、約5mgから約15mgのテストステロン又はその同等物を単位用量ごとに対象に送達する。本発明の他の実施態様では、前記製剤は、約15mgから約25mgのテストステロン又はその同等物を単位用量ごとに対象に送達する。本発明の更なる他の実施態様では、前記製剤は、約25mgから約50mgのテストステロン又はその同等物を単位用量ごとに対象に送達する。かくして、例えば、一日一回の投与のために製剤化されたテストステロンゲル、軟膏、クリーム、又はパッチが、約5mg、又は約15mg、又は約25mg、又は約50mgのテストステロンを含有してよい。
【0040】
1つの実施態様では、前記製剤は、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチであり、テストステロン;浸透促進剤、例えば、イソプロピルミリステート;増粘剤、例えば、中和したカルボマー;低級アルコール、例えば、エタノール又はイソプロパノール;及び水を含む。他の実施態様では、前記製剤は、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチであり、適当な割合で以下の物質を含む。
【0041】
【表3】

【0042】
他の実施態様では、前記製剤は、組成物の形成の過程においてゲルを形成するのに十分な量で中和剤と組み合わせて、アニオン性ポリマー増粘剤前駆体、例えば、カルボマーを含有する。
【0043】
更なる他の実施態様では、前記製剤は、ゲル化に十分な量で、中和剤であるヒドロキシナトリウム水溶液、例えば、0.1N水酸化ナトリウム、又は1.5N水酸化ナトリウム、又は2.0N水酸化ナトリウム又は任意の他の好都合な強度の水溶液などと組み合わせて、アニオン性ポリマー増粘剤前駆体、例えば、カルボマーを含有する。1つの実施態様では、前記組成物は、約1.0%から10.0%の0.1Nヒドロキシナトリウムを使用して調製した。したがって、約1.0%から約10.0%の間の0.1N NaOHの任意の割合を使用する実施態様が使用されてよく、例えば、1.0%、2.0%、3.0%、4.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、10.0%の0.1N NaOHを使用してよい。
【0044】
1つの実施態様では、100gの組成物において、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチが、約0.01gから約15gのテストステロン、約0.01gから約50gの浸透促進剤、約0.1gから約50gのゲル化剤、及び約30gから約98gの低級アルコールを含有してよい。他の実施態様では、100gの組成物において、ゲル、軟膏、クリーム、又はパッチが、約0.1gから10gのテストステロン、約0.1gから約5gの浸透促進剤、約0.1から約5gのゲル化剤、及び約45gから約90gの低級アルコール、及び水を含有してよい。
【0045】
他の実施態様では、前記組成物は、約0.75%から約1.2%(w/w)のテストステロン;約0.6%から約1.2%(w/w)のイソプロピルミリステート;約60%から約80%(w/w)のエタノール及びイソプロパノールからなる群から選択されるアルコール;約9000cpsを超える粘度を組成物に与えるのに十分な量の増粘剤;及び水を含む。
【0046】
1つの実施態様では、本発明の組成物の粘度は、約9000cpsから約29000cpsである。したがって、本発明の組成物の粘度は、約9000cpsから約29000cpsの間の任意の量、例えば、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21 ,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、又は29,000 cpsであってよい。
【0047】
本発明の1つの実施態様では、前記組成物は、約1.0%(w/w)のテストステロン;約0.6%から約1.4%(w/w)イソプロピルミリステート;約67%から約74%(w/w)エタノール;約0.6%から約1.4%(w/w)カルボマー;約6.5%から約7,5%(w/w)0.1N NaOH;及び追加の水を組み合わせて得られる。
【0048】
本発明の他の実施態様では、前記組成物は、約0.9%から1.1%(w/w)テストステロン;約0.4%から約0.6%(w/w)イソプロピルミリステート;約68%から約73%(w/w)エタノール;約0.85から約0.95%(w/w)カルボマー;約4.6%から約4.9%(w/w)0.1N NaOH;及び追加の水を組み合わせて得られる。
【0049】
様々な場合において、より高い濃度のテストステロンを使用することが好ましい可能性がある。したがって、本発明の更なる他の実施態様では、前記組成物は、約1.15%から1.8%(w/w)テストステロン;約0.6%から約1.2%(w/w)イソプロピルミリステート;約60%から約80%(w/w)エタノール;約0.6%から約1.4%(w/w)カルボマー;及び追加の水を組み合わせて得られる。他の例では、前記組成物は、ゲルを形成するのに十分な量で、中和剤である水酸化ナトリウム水溶液、例えば、0.1N水酸化ナトリウム又は1.5N水酸化ナトリウム又は2.0N水酸化ナトリウム或いは他の好都合な強度の水溶液をさらに含有してよい。1つの実施態様では、前記組成物は、約1.0%から10.0%の0.1N水酸化ナトリウムを使用して調製した。したがって、約1.0%から約10.0%の間の任意の割合の0.1N NaOHを使用する実施態様を使用してよく、例えば、1.0%、2.0%、3.0%、4.0%、5.0%、6.0%、7.0%、8.0%、9.0%、又は10.0%の0.1 N NaOHを使用してよい。したがって、他の実施態様では、前記組成物は、約1.15%から1.8%(w/w)テストステロン;約0.6%から約1.2%(w/w)イソプロピルミリステート;約60%から約80%(w/w)エタノール;約0.6%から約1.4%(w/w)カルボマー;約6.5%から約7.5%(w/w)0.1N NaOH、及び追加の水を組み合わせて得られる。
【0050】
更なる他の実施態様では、前記医薬組成物は、水性アルコールゲル中にテストステロンを含む。前記ゲル中のテストステロンの濃度は変化してよい。例えば、前記テストステロンは、組成物の重量に対して約0.1重量%、約 0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1 重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3重量%、約3.1 重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4重量%、約4.1 重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6重量%、約6.1 重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9重量%、約9.1 重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%、又は約10重量%の濃度で存在してよい。当該実施態様における前記促進剤は、組成物の重量に対して約0.5重量%、約0.65重量%、約0.75重量%、約0.85重量%、約0.95重量%、約1 重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、又は約5重量%の濃度で存
在してよいイソプロピルミリステートを含む。前記医薬組成物は、組成物の重量に対して約70重量%、約71 重量%、約71.4重量%、約71.8重量%、約72重量%、約72.3重量%、約72.5重量%、約72.7重量%、約73重量%、約73.5重量%、約74重量%、約74.5重量%、約75重量%、又は約75重量%の濃度で存在するC1−C4アルコールも含む。さらに、前記医薬素子得物は、ゲル化剤としてポリアクリル酸及び/又はカルボキシメチルセルロースを含む。1つの実施態様では、前記ゲル化剤は、組成物の重量に対して約1重量%の濃度で存在するポリアクリル酸である。
【0051】
1つのその様なテストステロンゲルは、本願の譲受人であるUnimed Pharmaceuticals,Inc.,Marietta,GeorgiaによるAndroGel(登録商標)で米国において最近利用可能である。1つの実施態様では、前記ゲルは、適当な量において以下の物質を含む。
【0052】
【表4】

【0053】
当該製剤の成分の量が変化してよく、それでも本発明の精神及び範囲の範囲内であると、当業者は理解するであろう。例えば、前記組成物は、約1%(w/w)テストステロン、約0.9%(w/w)Carbopol980、約0.5%(w/w)イソプロピルミリステート、約4.72%(w/w)0.1N NaOH、約71.4%(v/v)エタノール(約96%の純度)、及び100%までの精製水を含んでよい。様々な場合において、より高い濃度のテストステロンを使用することが好ましい可能性がある。したがって、他の例では、前記組成物は、約1.15%から約1.8%(w/w)テストステロン、約0.6%から約1.4%(w/w)Carbopol980、約0.6%から約1.2%(w/w)イソプロピルミリステート、約6.5%(w/w)から約7.5%の0.1 NaOH、約60%から約80%(v/v)のエタノール(約96%の純度)、及び100%までの精製水を含有してよい。他の例では、前記組成物は、約0.1から10.0gのテストステロン、約0.1から約5.0gのCARBOPOL、約0.1から約5.0gのイソプロピルミリステート、及び約30.0から約98.0gのエタノールを含有してよい。
【0054】
更なる他の実施態様では、前記組成物は、組成物の重量に対して0.01重量%超の量のテストステロン、約0.1重量%超の量の浸透促進剤、約0.1重量%超の増粘剤、及び約30.0重量%超の量の低級アルコールを含む。
【0055】
前記ゲルは、対象の皮膚の領域に擦り込まれるか配置されて、乾燥されてよい。前記ゲルは急速に、すなわち適用後約30秒から約3分以内に乾燥する。例示的には、前記ゲルは、皮膚の領域、例えば、大腿部の上部の外側及び/又は臀部に一日一回擦り込まれる。適用後に、対象は手を洗う。ゲルの適用は、所望の薬物動態プロフィールを有するテストステロンレベルの増大を生じさせ、性腺機能低下症及び/又は低テストステロン或いは対象における性腺機能低下症及び/又は低テストステロンに伴うか又は関連する症状を治療又は予防するのに有効である。かくして前記組成物は、18歳未満の青年と18歳以上の成年との双方において多数の状態又は疾患の治療に有用である。
【0056】
1つの実施態様では、本発明は、上述のテストステロンゲルの成分と適合するポリエチレン製の裏地を有する小分包を使用する。当該小分包は単位用量又は複数回用量を保持してよい。
【0057】
他の実施態様では、前記方法及び組成物は、例えば容器内部の組成物の大きなホイル小分包を有する固形の複数回用量容器(例えば、ハンドポンプ)から小出しされる組成物を使用する。その様な大きな小分包は、上述のようにポリエチレンの裏地を備えてよい。1つの実施態様では、複数回用量容器は、挿入されたハンドポンプとともに容器内にポリエチレン裏地のホイルポーチを備える無気ポンプを備える。1つの実施態様では、前記ポリエチレン裏地のホイルポーチは、44gから88gの製品を含む。1つの実施態様では、前記ポンプは、総量で約75gのゲルを小出しすることを可能にする。1つの実施態様では、前記ポンプは、例えば、ポンプを三回押し下げて、ゲルを廃棄して使用前に準備される。1つの実施態様では、前記ポンプは、準備及び所定の回数の適切な投与に十分な製品を含有する。1つの実施態様では、完全なポンプの押し下げの各々によって、1.25gのテストステロンゲルが供給される。当該実施態様では、3.75gの用量のゲルは、3回ポンプを押し下げることを必要とする。5gの用量のゲルは、4回のポンプの押し下げを必要とする。7.5gの用量のゲルは、6回のポンプの押し下げを必要とするであろう。10gの用量のゲルは、8回の押し下げを必要とするであろう。もちろん、各ポンプの押し下げが、所望の用量を送達するために適切な任意の量のテストステロンゲルを供給してよい。事実、他の実施態様では、ポンプの完全な押し下げの各々が、0.5gのテストステロンゲルを送達する。当該実施態様では、5gの用量のゲルが10回のポンプの押し下げを必要とするであろう。ポーチサイズ、すなわち、押し下げごとに供給される量及び供給容量は、これらの実施態様に限定されず、患者集団の要求を満たすように変化又は調節されてよい。
【0058】
参照によってその全体を本明細書に取り込む米国特許第6,503,894号、米国公開特許出願第2002/0183296号、第2003/0022877号、第2003/0050292号、第2003/0139384号、第2003/0232072号、第2004/0002482号、第2004/0092494号、及び米国特許出願第09/703,753号、第10/787,071 号、第10/825,540号、第10/828,678号、第10/829,618号、第10/867,435号、第10/924,421 号、及び第10/925,421号において、性腺機能低下症患者に対するAndroGel(登録商標)を使用したテストステロンの経皮適用は、テストステロンレベル、気分、性欲、及び性的能力の改善をもたらすことが示され、開示されている。本明細書に開示しているように、AndroGel(登録商標)は、小児性腺機能低下症の治療に使用してもよいことが見出された。
【0059】
本発明の方法及び組成物は、現在利用可能なものと比較して、患者、例えば、9から17歳の間(境界含む)の青年男性における性腺機能低下症又は他の低テストステロン関連疾患を治療し、予防し、回復させ、停止させ、又はそれらの進行を遅延させるための改善された治療オプションを提供する。
【0060】
1つの実施態様では、本発明の医薬組成物は、一日に一回、二回、三回投与するか又は所望の治療効果を達成するのに必要な複数回投与する。他の実施態様では、本発明の組成物は、一日毎に一日一回、二回、又は三回投与する。他の実施態様では、本発明の組成物は、一週間、二週間、又は一ヶ月毎に一日一回、二回、又は三回投与する。
【0061】
1つの実施態様では、治療上有効量は、約0.5gから約5.0g未満の間、好ましくは0.5から2.5gの間である。
【0062】
前記組成物は、本発明の1つの実施態様では一日ごとに少なくとも約10μgのステロイドを対象の血清に送達する速度及び期間で、皮膚に適用後におけるステロイドの放出を可能にする。
【0063】
本発明の他の実施態様では、前記組成物は、約100ng/dL超のテストステロンの循環血清濃度を達成する速度及び期間において、対象の皮膚への前記組成物の適用後にテストステロンを放出することを可能にする。
【0064】
本発明の他の実施態様では、前記組成物は、投与後約0.5時間後から投与の約24時間後までの期間に亘って約100ng/dL(血清)超の総テストステロンの循環血清濃度を達成する速度及び期間において、対象の皮膚に前記組成物を適用した後にテストステロンを放出することを可能にする。
【0065】
本発明の他の実施態様では、前記組成物の投与後に、得られたCmaxは約100から1000ng/dLの間である。
【0066】
本発明の他の実施態様では、前記組成物は、約0.5gから約2.5g、例えば、約0.5g、又は約1.5g、又は約2.5gの用量において一日ごとに投与するために対象に提供される。任意の他の適切な用量も投与されてよい。
【0067】
本発明の更なる他の実施態様では、治療の必要がある対象が、約100ng/dL未満の、本発明の組成物の最初の適用(事前処理)の前の血清テストステロンレベルを有する。本発明の他の実施態様では、治療の必要がある対象は、タナー期IIにおける青年男性の正常な範囲未満、すなわち、表1に示すような約5から約70ng/dLの間未満の、本発明の組成物の最初の適用(事前処理)の前の血清テストステロンレベルを有する。
【0068】
本発明の他の実施態様では、本発明の組成物の一日ごとの投与の少なくとも約30日の後に、対象の血清テストステロン濃度が、少なくとも約100ng/dLから約1000ng/dL、例えば、約100ng/dLから約500ng/dL、約200ng/dLから約300ng/dL、約200ng/dLから約400ng/dL、又は約200ngから約500ng/dLである。
【0069】
本発明の更なる他の実施態様では、本発明の組成物の一日ごとの投与後に、患者における総テストステロン濃度が約100ng/dL超である。1つの実施態様では、患者における総血清テストステロン濃度が、約200ng/dL、約300ng/dL、約400ng/dL、又は約500ng/dL超である。1つの実施態様では、総テストステロン濃度を、投与の24時間後に測定する。1つの実施態様では、総テストステロン濃度が、一日の投与の2日よりも後、例えば、10日、14日、20日、又は30日後に測定される。
【0070】
本発明の方法、キット、組み合わせ、及び組成物の他の実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも約4日にわたって対象に一日一回、二回、又は三回投与する。1つの実施態様では、前記組成物は一日一回投与する。
【0071】
本発明を、いずれの態様にも限定することを意図しない、以下の実施例によってさらに説明する。当該出願を通じて引用した全ての文献の内容は、参照によって明示的に本明細書に取り込む。本発明の実施では、他に示さない限り、当該技術分野の通常の技術の範囲内である薬理学及び製薬の従来技術を使用する。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
思春期前の青年男性におけるテストステロンゲル(1%)の薬物動態評価
対象
不十分なテストステロン生産を有する思春期前の青年男性において、安定状態における血清テストステロン濃度、テストステロンゲル1%の薬物動態(PK)特性並びに安全性及び耐用性を評価する。PK特性の主要な評価は、血清の総テストステロン濃度から決定される安定状態のPKパラメータに基づくものであった。
【0073】
方法
製剤:AndroGel(登録商標)、1%テストステロン、はSolvay Pharmaceuticals,Inc.によって調製及び供給された。
【0074】
設計:多施設における非盲用量漸増試験を思春期前の成年期の18人の少年に実施した。1つの処理群、及び4日連続でテストステロンゲル1%の3段階の用量漸増(各々5mg、15mg、及び25mgのテストステロンを含有する0.5g、1.5g、及び2.5g)の1つが対象に適用される、3段階の処理期間(処理期間1、2、及び3)が存在した。各処理期間は、14日までの洗浄期間によって隔てられた。
【0075】
試験設計のスキームは、表5に示す。
【0076】
【表5】

【0077】
適用した処理:3種の異なる用量のテストステロンゲル1%を、本試験において使用し(0.1g、1.5g、及び2.5g)、表6に示すような3種の処理期間において局所投与した。テストステロンゲル1%は、表6に示すように0.5gのテストステロンゲル1%を小出しするように調節されたポンプ付きの複数回用量ボトルで供給した。
【0078】
【表6】

【0079】
各対象は、処理の間の14日の洗浄期間とともに、一回用量のテストステロンゲル1%を4日の各期間に亘って摂取した。試験薬は、朝に一日一回局所適用した。以下の表は、使用した試験製剤を製造するために組み合わせた成分のリストである。
【0080】
【表7】

【0081】
主な採用した基準:
(a)対象の親又は法廷後見人がインフォームドコンセントにサインをし、対象は地域法に従って同意書にサインした。;
(b)原発性又は続発性の性腺機能低下症又はCFGPを有する13から17歳の男性を採用した;
(c)(i)3mL以下の精巣容量及び(ii)50ng以下のテストステロン濃度によって示されるような、思春期前の成熟状態にあるテストステロン未摂取の対象について実施した;
(d)少なくとも10.5年の骨年齢を有していた;及び
(e)少なくとも12g/dLのヘモグロビン及び少なくとも36%のヘマトクリットを有していた。
【0082】
対象:全体で17人の思春期前の青年期の少年を採用し、0.5g/日及び1.5g/日のレベルにおいて評価のための血清濃度データを得た。17人の対象のうち4人が、200ng/dL超の血清テストステロン値を達成したため、2.5g/日の用量レベルを摂取しなかった。したがって、13人の対象から、2.5g/dLの用量レベルにおける血清濃度データを得た。200ng/dLの血清テストステロンレベルを超えたことにより試験を続行しなかった対象は、200ng/dLの上限を規定したプロトコルによって試験が完了したと見なした。参加した17人の対象のうち、13人の対象が、原発性又は続発性性腺機能低下症について診断を受け、4人の対象がCDGPについて診断を受けた。
【0083】
対象の層:表8に、全ての対象の層及びベースラインにおける特性のまとめたものを挙げる。
【0084】
【表8】

【0085】
手法及び評価
投与:3段階の漸増する用量のテストステロンゲル1%(各々5mg、15mg、及び25mgのテストステロンを含有する0.5g、1.5g、及び2.5g)を、各投与の間の洗浄期間を入れながら、4日間連続して朝に一日一回適用した。対象は、各投与の8から10時間後にセッケン及び水で適用部位を洗浄するよう指示された。
【0086】
洗浄期間は、最後の処理期間における訪問で試験投薬の最後の適用の後の日と次の処理期間における最初の適用の前の日との間の期間(境界含む)として規定した。各処理機関は、14日までの洗浄期間によって隔てられた。
【0087】
薬物動態サンプル回収:総テストステロン、バイオアベイラブルテストステロン、及び遊離のテストステロン並びに総DHTの血清濃度の薬物動態(PK)測定のための血液サンプルを、テストステロンゲル1%の適用前(投与前)、処理期間1、2、及び3の4日目の適用の1、2、4、8、12、及び24時間後に回収した。サンプルは、処理期間の間の「予定された投与時間」に基づいて、最初の投与前の前の日である0日目の同じ名目上の時間にも回収した。任意に、血液サンプルを、処理期間1、2、及び3の1日目のテストステロンゲル1%の適用の2時間から12時間の間に回収してもよい。
【0088】
生物分析方法:総テストステロン、遊離のテストステロン、及びバイオアベイラブルテストステロン、並びに総DHT、E2、FSH、LH、及びSHBGの測定をEsoterix Laboratory Services,4301 Lost Hills Road,Calabasas Hills,CA 91301で実施した。
【0089】
評価の基準
安全性:生命兆候、ECG、健康診断、臨床検査室測定(PSA測定を含む)、DRE及びIPSS、安全なテストステロン及びヘマトクリット測定。
【0090】
薬物動態分析:総テストステロン、遊離のテストステロン、及びバイオアベイラブルテストステロン、並びに総DHTについての血清濃度(すなわち、観察された濃度)を、ベースラインにおける(0日目)各連続するサンプル回収時間並びに各処理期間(処理期間1、2、及び3の4日目)について、明示的にまとめた(n、平均、SD、CV%、最小、最大、中央値、及び幾何平均)。加えて、総テストステロン、遊離のテストステロン、及びバイオアベイラブルテストステロン、並びに総DHTについて各処理期間についてベースライン調整濃度を明示的にまとめた。まとめたデータを、全ての対象(17人の対象)、性腺機能低下症を有する対象(13人の対象)、及びCDGPを有する対象(4人の対象)について別々に提示した。薬物動態パラメータには以下のもの:
(a)AUC0−24,ss:一次台形公式を使用して決定される0から24時間の曲線下面積;最低でも4つのデータポイントがAUCの計算には必要である;そうで無い場合にはAUCは不明であると規定した;
(b)Cmax,ss:24時間の投与期間において観察された最大の濃度;
(c)tmax,ss:Cmaxが生じた時間;
(d)Cmin,ss:24時間の投与期間において観察された最小の濃度;
(e)tmin,ss:Cminが生じた時間;
(f)Cavg.,ss:AUC0−24/24によって測定した、投与期間に亘る時間平均濃度;
(e)変動指数:(Cmax−Cmin)/Cavg.として計算される、一日の経過に亘る血清濃度における変動の程度
を含めた。
【0091】
統計方法:本試験の間に回収した所定のデータについてまとめた統計は、試験した対象の一般的な特徴とPK及び安全な結果の概要を与えるために提示する。カテゴリーのばらつきは、各カテゴリーの対象の数及び割合を提示することによってまとめている。連続する変動は、n、平均、最小値、及び最大値を使用してまとめている。
【0092】
テストステロンの基礎値のスクリーニング
スクリーニングにおいて、テストステロンの摂取を受けていない全ての対象が、50ng/dL以下のテストステロン濃度を有しており、試験薬に曝露する前にその性機能低下の状態を確認した。約三分の二の対象が、本試験に入る前にアンドロゲンの摂取を受けていなかった(11人の対象、64.7%)。表9は、全ての対象の血清ホルモン基準濃度のスクリーニングを示す。
【0093】
【表9】

【0094】
平均血清総濃度は、70.5ng/dLであったが、血清総濃度の中央値が19.0ng/dLであったため前記平均値は偏ったものである。
【0095】
薬物動態の結果及び薬力学的結果
本試験に参加した17人の対象のうち、13人の対象が、三段階すべての処理期間(テストステロン1%を用いた0.5g、1.5g、及び2.5gの処理)を完了した。4人の対象は、血清テストステロンが200ng/dLのレベルを超えたため、最後の処理期間を完了しなかった。
【0096】
テストステロン濃度−時間データ
図1は、総テストステロン、遊離のテストステロン、バイオアベイラブルテストステロン、及び総DHTの全ての処理群について観察された平均濃度プロフィールを示す。図2は、総テストステロン、遊離のテストステロン、バイオアベイラブルテストステロン、及び総DHTの全ての処理群についての基準調整平均濃度プロフィールを示す。
【0097】
図1及び2を参照すると、濃度−時間プロフィール全体に亘る総テストステロン濃度(観察値)における用量に関連した増大が、用量における各増大(各々5、15、及び25mgのテストステロンを含有する、0.5、1.5、及び2.5gの用量のテストステロンゲル1%)に伴って認められた。すべてのテストステロンゲル用量レベルにおいて、総テストステロン濃度が、基準と比較して顕著に増大していた。平均血清濃度−時間プロフィールは極めて平坦であり、テストステロン濃度が一日中極めて一定のレベルに維持されたことを示す。投与の24時間後の濃度は、2.5gの用量群を除く各用量群の投与前と同程度であり、総テストステロン濃度が4日目の安定状態の状態を表わすものであったことを示している。2.5gの処理群における投与の24時間後の平均濃度は、投与前よりも高いものであり、これは、同じ処理群の他の対象よりも2から5倍高いものであった対象201/2004に由来する異常な総テストステロン濃度によるものであろう。遊離のテストステロン及びバイオアベイラブルテストステロン並びに総DHTについての観察された濃度のプロフィールは、総テストステロンについて観察された結果とほぼ同様であった。全ての処理群及び全ての検体についての「ベースラインで調整した」濃度−時間プロフィールは、同様のパターンであった。
【0098】
図3は、0.5g、1.5g、及び2.5gのテストステロンゲル1gで処理する前の全ての処理期間についての、観察された総テストステロン及びベースラインで調整した総テストステロンの投与前のレベルを示す。一般的には、平均の投与前の濃度は、用量の増大に伴って増大した。
【0099】
薬物動態パラメータ
表10は、処理後の総テストステロン、遊離のテストステロン、及び総DHTについて観察されたPKパラメータをまとめたものである。
【0100】
【表10】

【0101】
表10を参照すると、総テストステロンについて観察された中央値Tmaxは、3段階の処理期間にわたって2から12時間の範囲であった。総テストステロンに対する平均の曝露(AUC0−24,ss、Cmax,ss、及びCavg,ss)における用量に関連した増大が用量の増大に伴って観察されたが、この増大は用量に比例するよりも小さいものであった。AUC0−24,ss、Cmax,ss、及びCavg,ssのパラメータは、各々、テストステロンの用量における5倍の増大(5mgから25mg)で2.3倍の増大を示した。同様の結果が、遊離のテストステロン及びバイオアベイラブルテストステロンについても観察された。
【0102】
総DHTについては、観察された中央値tmaxは、3段階の処理期間に亘って8から12時間の範囲であった。AUC0−24,ss、Cmax,ss、及びCavg,ssのパラメータは、各々、テストステロンの用量における5倍の増大(5mgから25mg)で2.5倍の増大を示した。
【0103】
表11は、総テストステロン、遊離のテストステロン、バイオアベイラブルテストステロン、及び総DHTについてのベースラインで調整したPKパラメータを提供する。ベースラインで調整した総テストステロンについての中央値tmaxは、3段階の処理期間に亘って2から8.08の範囲であった。総テストステロン、遊離のテストステロン、バイオアベイラブルテストステロン、及び総DHTのベースラインで調整したパラメータについては、傾向が「観察された」PKパラメータのものと類似していた。
【0104】
【表11A】

【表11B】

【0105】
結論
総テストステロン及び遊離のテストステロン並びに総DHTの薬物動態を、0.5g、1.5g、及び2.5gのテストステロンゲル1%の局所適用後の性機能低下を有する若い男性の小児集団において特性決定した。
【0106】
安定状態の濃度−時間プロフィールは、全ての対象において比較的平坦であり、これらの測定物質の濃度が投与期間に亘って極めて安定なレベルのままであることを示している。
【0107】
曝露(AUC0−24,ss、Cmax,ss、及びCavg,ss)における用量に関連した増大が、ベースラインの濃度と比較して、テストステロンの用量の増大に伴って総テストステロン及び遊離のテストステロンについて観察された。前記増大は用量に比例するものではなかったが、直線的な薬物動態からずれていることを示すものも存在しなかった。
【0108】
試験期間に死亡及び他の悪性の副作用が存在しなかったことから、テストステロンゲル1%は、当該小児対象集団において安全且つ良好に耐容されるようである。いずれの血液学的、血液化学的、検尿、又は脂質パラメータについて、薬物動態評価期間の間に、ベースラインから最終来院までに臨床的に意味のある変化は存在しなかった。
【0109】
文献、特許出願、及び特許を含む全ての参照例は、各文献が個々に且つ具体的に参照によって取り込まれ、その全体が本明細書に記載されているのと同程度あるように、参照によって本明細書に取り込む。
【0110】
個々の数値の使用は、その値が「約」又は「ほぼ」なる用語に先行されるように、近似値である。同様に、本願において特定している各種の範囲の数値は、そうでないと明示していない限りにおいて、その記載した範囲内の最小値及び最大値が双方「約」又は「ほぼ」なる用語に先行されているように、近似値である。このように、記載した範囲の上記及び下記の変動が、当該範囲の値と同一の結果が実質的に得られるように使用されてよい。本明細書で使用する用語「約」及び「ほぼ」は、数値について言及する際には、特定の主題が最も関連する技術分野又はその範囲又は要素に関連する技術分野の当業者に普通且つ通常の意味をもつ。特定の数値の境界から広がる量は、多数の因子に依存する。例えば、考慮に入れてよい複数の因子は、特許請求の範囲に記載した主題の実施に対して、所定の量の変動が有する効果及び/又は要素の重要性、並びに当業者に既知の他の考慮因子を含む。本明細書で使用する異なる数値の有効数字は、「約」又は「ほぼ」なる用語の使用が特定の数値の拡張に働く程度を制限することを意図しない。かくして、一般的な問題として、「約」又は「ほぼ」は数値を拡張する。また、範囲の開示は、最小値と最大値の間の全ての値と「約」又は「ほぼ」なる用語の使用によって得られる範囲の拡張とを含む連続した範囲として意図される。かくして、本明細書における値の範囲の記載は、そうでないことを示していない限りにおいて、前記範囲に含まれる各々個別の数値に別個に言及する簡略化した方法としてはたらくことを意図するのみであり、各個別の値は、本明細書に別個に記載されているように、本明細書に含まれる。
【0111】
「本発明」なる用語の使用は、いずれの様式においても特許請求の範囲を制限することを意図せず、「本発明」なる用語の特定の使用に関連する何れの記載及び議論も各又は全ての請求項に適用されるという結論は導かれるべきでない。「本発明」なる用語の使用は、言語又は文法的な簡便のためにのみ使用されており、いずれの請求項のいずれの本質を制限するものではない。
【0112】
特許請求の範囲の代替的な実施態様が本明細書に記載されており、特許請求の範囲に記載した発明を実施するための本発明者に既知の最良の態様を含んでいる。これらのうち、開示した実施態様の変形例が、本明細書に接した当業者には明らかであろう。本発明者は、当業者が、その様な変形例を適当に実施することを予期しており、本発明者は、特許請求の範囲に記載した発明が本明細書に記載していないように実施することを意図している。したがって、特許請求の範囲に記載した発明は、適用される法律によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に記載の主題の全ての変形例及び均等例を含む。さらに、全ての可能性がある変形例における上述の要素の任意の組み合わせが、本明細書にそうでないと示されておらず、背景に対して明らかに矛盾していない限りにおいて、特許請求の範囲に記載した発明に含まれる。
【0113】
本明細書に開示したデータに形成されるか又はそれらに由来するか任意の範囲、比、及び比の範囲は、本明細書の更なる実施態様をあらわし、明示されているように本明細書の一部として含まれる。このことは、上限及び/又は下限を含むか又は含まない範囲が形成されることを含む。したがって、特定の範囲、比、比の範囲に最も近接に関連した技術分野の当業者は、その様な値が本明細書に提示したデータから明らかに誘導され得るものであると解するであろう。
【0114】
本明細書(特に、添付の特許請求の範囲)における用語「a」及び「an]及び[the」及び類似の用語の使用は、本明細書にそうでは無いと示しておらず、又は背景から明らかに矛盾していない限りにおいて、単数及び複数の双方を含むものであると解されるべきである。本明細書に記載の全ての方法が、本明細書にそうでは無いと示しておらず、又は背景から明らかに矛盾して無い限りにおいて、任意の適切な順序で実施されてよい。本明細書で挙げた任意及び全ての例の使用又は例示する用語(例えば、など、好ましくは、好適には)は、本明細書に開示した内容をさらに例示することのみを意図しており、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書に記載した事項は、特許請求の範囲に記載の発明の実施に本質的な任意の特許請求の範囲に記載の無い要素として解されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青年期の少年における性腺機能低下症の治療のためのテストステロンを含む水性アルコールゲルの形態の局所医薬組成物の製造のための、テストステロンの使用。
【請求項2】
前記性腺機能低下症の治療が、その年齢で適当なレベル未満の血清テストステロンレベルを前記青年期の少年が有することを事前に測定することによってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記性腺機能低下症の治療が、その年齢で精巣機能が正常な範囲内のレベルまで、前記少年の血清テストステロンレベルを上昇させることによって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記青年期の少年の年齢が約9から約17歳、特に約11から約17歳、とりわけ約15歳から約17歳の間(境界含む)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
精巣機能が正常な血清テストステロンレベルが、約10から約11歳の年齢については約5から約50ng/dLの総テストステロンの範囲であり、約12から約14歳の年齢については約10から約570ng/dLの総テストステロンの範囲であり、約15から約17歳の年齢については約220から約800ng/dLの総テストステロンの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
青年期の少年の思春期への発達の遅れを治療するためのテストステロンを含む水性アルコールゲルの形態における、局所医薬組成物の製造のためのテストステロンの使用。
【請求項7】
前記発達の遅れの治療が、その年齢で適当なタナー期に進行できない血清テストステロンレベルを前記青年期の少年が有することを事前に測定することによってさらに特徴付けられる、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記発達の遅れの治療が、その年齢のタナー期に適当な範囲内のレベルに、前記少年の血清テストステロンレベルを上昇させることによって特徴付けられる、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
青年期の少年が14歳までに思春期に進行できないことを治療するためのテストステロンを含む水性アルコールゲルの形態における局所医薬組成物の製造のための、テストステロンの使用。
【請求項10】
前記青年期の少年が思春期に進行できないことの治療が、その様な少年の血清テストステロンレベルを事前に測定することによってさらに特徴付けられる、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記青年期の少年が思春期に進行できないことの治療が、前記少年の血清テストステロンを思春期への進行を開始するのに十分なレベルにまで上昇させることによって特徴付けられる、請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
前記青年期の少年が思春期前である、請求項9から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記テストステロンが、約5mgから約25mgのテストステロンの一日の用量、好ましくは約5mg、約15mg、又は約25mgのテストステロンの一日の用量で皮膚に投与される、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
水性アルコールゲルの形態における前記局所医薬組成物が、
(a)約0.01から約15%(w/w)のテストステロン、
(b)約0.01から約50%(w/w)の浸透促進剤、
(c)約0.01から約50%(w/w)のゲル化剤、
(d)約30から約98%(w/w)の低級アルコール、及び
(e)100%(w/w)までの精製水、
を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
水性アルコールゲルの形態における前記局所医薬組成物が、
(a)約0.9から約1.1%(w/w)のテストステロン、
(b)約0.85から約0.95%(w/w)のCarbopol 980、
(c)約0.4から約0.6%(w/w)のイソプロピルミリステート、
(d)約4.6から約4.9%(w/w)の0.1 N NaOH、
(e)約68から約73%(v/v)のエタノール(96%の純度)、及び
(e)100%までの精製水、
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
水性アルコールゲルの形態における前記局所医薬組成物が、
(a)約1.15から約1.8%(w/w)のテストステロン、
(b)約0.6から約1.4%(w/w)のCarbopol 980、
(c)約0.6から約1.2%(w/w)のイソプロピルミリステート、
(d)約6.5から約7.5%(w/w)の0.1 N NaOH、
(e)約60から約80%(v/v)のエタノール(96%の純度)、及び
(e)100%までの精製水、
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
水性アルコールゲルの形態における前記局所医薬組成物が、約1.0%(w/w)のテストステロン、約0.90gのCarbopol 980、約0.50gのイソプロピルミリステート、約4.72gの0.1 N NaOH、約71.4gの96%(v/v)エタノール、及び100gまでの精製水を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
水性アルコールゲルの形態における前記局所医薬組成物が、約1.15から約1.80%(w/w)のテストステロン、約0.6から約1.4gのCarbopol 980、約0.6から約1.2gのイソプロピルミリステート、約6.5から約7.5gの0.1 N NaOH、約60から約80gの96%(v/v)エタノール、及び100gまでの精製水を含む、請求項1から14及び16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
約5mg、約15mg、又は約25mgのテストステロンを含む、水性アルコールゲルを含有する、医薬小分包。
【請求項20】
一定量のゲルがポンプの動作毎に小出しされて、約5mg、約15mg、又は約25mgのテストステロンを送達し得る、水性アルコールゲルを含有する複数回用量容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−521519(P2010−521519A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554033(P2009−554033)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053372
【国際公開番号】WO2008/116825
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(508111660)ユニメッド・ファーマシューティカルズ・エルエルシー (3)
【出願人】(508112302)ラボラトワール・ベザン・ザンテルナショナル (3)
【Fターム(参考)】