説明

小型古紙再生装置

【課題】古新聞紙・雑誌等をはじめ、会社等の事業所で印刷された書類(古紙)のリサイクル化と資源環境の保護はもとより、事業所のプライバシーの保護や事業所の情報洩れを防止するために、これらの古紙を用いて、事業所等に設置して、古紙を処理、再生し、例えば、ティッシュペーパー等の新たな商品を製造可能とする。
【解決手段】古紙のうち、シュレッダーにかけた古紙と、破砕機にかけた新聞古紙を、破砕工程、離解・叩解工程、調整・攪拌工程、除塵・脱墨工程、洗浄・脱水工程、濃度調整工程の各工程の古紙パルプ製造工程からなる装置と、抄紙工程、乾燥工程、巻取工程、裁断工程、排出工程の各工程の抄紙工程の装置からなる各装置を、1つ若しくは連通する2つのケーシングに内蔵した小型古紙再生装置である。これらの工程の装置に使用する水道水の代替として使用する電解水生成装置を同一のケーシング内か、あるいは外部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型古紙再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞の使用量は、年間370万トンであり、一所帯あたり、年間約70kgを消費している。また、雑誌や新聞の折り込み広告等も大量に使用されている。
【0003】
近年、資源環境を踏まえた環境に優しい紙を目指し、各製紙会社では新聞古紙のリサイクルと軽量化についての技術開発が行われており、古紙回収により集められた新聞紙は、古紙パルプとなり、新聞用紙約60〜80%が配合されている。
【0004】
一方、新聞紙の軽量化も進み、現在では43g/m3 となっている。古紙パルプには、印刷インキを取り除かない黒い低品質の古紙パルプで、板紙やダンボールなどの原料として、また、印刷インキを取り除いた脱墨パルプ(海外では、脱インキパルプ=Deinked pulp :DIP)と呼ばれ、印刷用紙やトイレットペーパーなど白さを要求される紙の原料となっている。
【0005】
また、依然としてインキ油を含有する再生された新聞用紙繊維が、浴室用・顔面用ティッシュ、ナプキンおよびペーパータオル等の原料として使用されている。例えば、特許文献1のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平10−506155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、古新聞紙・雑誌等をはじめ、会社等の事業所で印刷された書類(古紙)のリサイクル化と資源環境の保護はもとより、事業所のプライバシーの保護や事業所の情報洩れを防止するために、これらの古紙を用いて、事業所等に設置して、古紙を処理、再生し、例えば、トイレットペーパー等の新たな商品を製造することの出来る,1つ若しくは2つの連通するケーシングからなる小型古紙再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明である課題を解決するための手段は、古紙のうち、シュレッダーにかけた古紙と、破砕機にかけた新聞古紙を、破砕工程、離解・叩解工程、調整・攪拌工程、除塵・脱墨工程、洗浄・脱水工程、濃度調整工程の各工程の古紙パルプ製造工程に必要な装置と、抄紙工程、乾燥工程、巻取工程、裁断工程、排出工程の抄紙工程の各工程に必要な装置とを、1つ若しくは2つの連通するケーシングに内蔵した小型古紙再生装置であり、これらの工程に使用する水道水の代替として使用する電解水生成装置を同一のケーシング内に内蔵するか、あるいは該電解水生成装置は、外部に設けるとする小型古紙再生装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、古紙パルプの製造工程からなる各装置と、古紙パルプを抄紙する工程の各装置からなる各装置を、1つ若しくは2つの連通するケーシングに内蔵した小型古紙再生装置とすることにより、事業所内で排出する古紙を、本再生装置によって外部に出すことなく自己で処理し、リサイクル化を図ることにより、資源環境の保護はもとより、事業所のプライバシーを保護し、且つ事業所の情報洩れを防止することができる等、極めて有益なる効果を奏する。
【0010】
さらに、これらの工程に使用する水道水の代替として使用する電解水生成装置を同一ケーシング内に設けることにより、よりコンパクトに配置でき、仮に、外部に設けるとしてもよりよい古紙パルプからの再生品で出来る等極めて有益なる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施例を示す作業工程のフローチャート図である。
【図2】この発明の各工程に使用する各装置への給水配管図である。
【図3】この発明の一実施例を示し、すケーシング並びに電解水生成装置の正面図である。
【図4】この発明の一実施例を示すテーパ状のタンクの説明図である。
【図5】この発明の一実施例を示し、離解・叩解工程で使用するテーパ状のタンクの説明図である。
【図6】この発明の一実施例を示し、洗浄・脱水工程で使用する内部に円筒形ドラム備えた槽の説明図である
【図7】この発明の一実施例を示し、濃度調整工程で使用する濃度調整槽の説明図である
【図8】この発明の一実施例を示し、抄紙工程の説明図である
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明は、古紙のうち、シュレッダーにかけた古紙と、破砕機にかけた新聞古紙を、破砕工程、離解・叩解工程、調整・攪拌工程、除塵・脱墨工程、洗浄・脱水工程、濃度調整工程の各工程の古紙パルプ製造工程からなる装置と、抄紙工程、乾燥工程、巻取工程、裁断工程、排出工程の各工程の抄紙工程の装置からなる各装置を、1つ若しくは2つの連通するケーシングに内蔵した小型古紙再生装置であり、これらの工程の装置に使用する水道水の代替として使用する電解水生成装置を同一のケーシング内か、あるいは外部に設けることを特徴とする小型古紙再生装置とするものである。
【実施例】
【0013】
この発明の小型古紙再生装置の一実施例を図面に基づいて各工程に分けて説明すると、 1.内部を、複数の枠体や段板で、複数の空間に仕切ったケーシング(1)を設ける。そして、該ケーシング(1)には、表面に、古紙の投入口(2)を設けており、該投入口(2)より投入されたシュレッダー古紙はそのまま、離解・叩解工程に移送されるが、新聞古紙は、細かく引き裂く破砕機(4)により破砕される。該破砕機(3)を介し、定量の破砕された新聞古紙及びシュレッダー紙〔以下、古紙(A)という〕を、送風機等のエアリフトによる移送手段(4)でテーパ状のタンク(5)に落下し、テーパ状のタンク(3)に移送する。
【0014】
2.離解・叩解工程では、テーパ状のタンク(5)内で処理されるものであり、該タンク(5)は、上部に、破砕された古紙、水及び循環古紙パルプが供給される各供給口(5a)(5b)(5c)を設けており、該タンクの下部には、次の調製・攪拌工程に連通する排出口(5d)と、古紙を所定時間、該タンク内で循環させるための循環口(5e)、及びディスポーザー様の回転駆動装置(6)を用いて、古紙を離解・叩解して、次の調製・攪拌工程に送る。
【0015】
3.調整・攪拌工程は、離解・叩解された古紙を、水道水の代替として電解水生成装置(X)で生成される酸性電解水及びアルカリ性電解水を使用これにより脱墨を増補し、衛生的な古紙パルプを生成して、次の除塵・脱墨工程に移送する。
【0016】
4.除塵・脱墨工程は、孔径の異なるステンレス製または合成樹脂製の網(7a)を備えた槽(7)であって、上部より多段に配置してあり、上部より前工程で生成された衛生的な古紙パルプを、さらに通水して、微細化したインキ成分及び異物を除去するものである。また、古紙パルプに混在する鉄片等は、マグネットフィルター等の磁石式除鉄装置(8)を使用して取り除くものである。
【0017】
5.洗浄・脱水工程は、所定角度で固定された円筒形ドラム(9a)と該ドラム内に所定孔径のステンレス製または合成樹脂製の網を備え、且つ、該ドラム下部に該ドラムを回転させるためのモータ等の駆動源(10)を備えた槽(9)内で、前工程より移送された除塵・脱墨された衛生的な古紙パルプを、水道水の代替として電解水生成装置(X)で生成されるアルカリ性電解水及び軟水を使用するものである。
【0018】
6.濃度調整工程は、濃度調整槽(11)及び該槽下部にロードセル(12)を具備しており、前工程の古紙パルプの投入量を該ロードセルで測定し、その測定値によって該槽(11)内に必要量の給水を行う、所定濃度の古紙パルプを調整するものである。
【0019】
7.抄紙工程は、前工程で所定濃度に調整された古紙パルプは、供給ポンプ(13)により抄紙槽(14)の古紙パルプ供給口(15)に送水され、送水と同時に、抄紙ドラム(16)、抄紙ポンプ(17)が稼働し、抄紙ポンプより古紙パルプ(B)が無端ベルト帯(18)に吸引・吸着される。
吸引・吸着された無端ベルト帯(18)は、対応するプレスロール(19)と圧接すことにより、吸着した古紙パルプ(B)は脱水される。
【0020】
8.乾燥工程は、その後、無端ベルト帯(18)は、乾燥機構へと移動し、吸着した古紙パルプは乾燥される。
【0021】
9.自動巻取工程は、乾燥された古紙パルプ(B)を巻取り・裁断・排出機構へ移り、排出口(20)より排出される。
本発明は、以上の工程から構成されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明によると、小型古紙再生装置の技術を確立し、実施・販売することにより産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0023】
1 ケーシング
2 古紙の投入口
3 破砕機
4 移送手段
5 テーパ状のタンク
5a 古紙の供給口
5b 水の供給口
5c 循環古紙パルプの供給口
5d 排出口
5e タンク内で循環させるための循環口
6 ディスポーザー様の回転駆動装置
7 槽
7a 網
8 マグネットフィルター等の磁石式除鉄装置
9 槽
9a 円筒形ドラム
10 モータ等の駆動源
11 濃度調整槽
12 ロードセル
13 供給ポンプ
14 抄紙槽
15 古紙パルプ供給口
16 抄紙ドラム
17 抄紙ポンプ
18 無端ベルト帯
19 プレスロール
20 排出口
A 古紙
B 古紙パルプ
X 電解水生成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を原料としてパルプを製造する古紙パルプ製造工程に使用する装置と、
該古紙パルプ製造工程で製造された古紙を抄紙する抄紙工程に使用する装置とを
小型のケーシング内に、それぞれ一体に古紙再生装置に装備し、
且つ、これらの工程で使用する軟水器を備えた電解水生成装置を、該古紙再生装置のケ ーシングに内蔵、又は、外部から接続して設けることを特徴とする小型古紙再生装置。
【請求項2】
古紙パルプ製造工程が、破砕工程、離解・叩解工程、調整・攪拌工程、除塵・脱墨工程、洗浄・脱水工程、濃度調整工程を有し、これらの各工程に使用する装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の小型古紙再生装置。
【請求項3】
抄紙工程が、抄紙工程、乾燥工程、巻取工程、裁断工程、排出工程の各工程を有し、これらの各工程に使用する装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の小型古紙再生装置。
【請求項4】
前記調整・攪拌工程に使用する装置において、水道水の代替として使用する電解水生成装置において、生成される酸性電解水及びアルカリ性電解水を使用して脱墨を増補することを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項5】
前記調整・攪拌工程に使用する装置において、水道水の代替として使用する電解水生成装置において、生成されるアルカリ性電解水及び軟水を使用して脱墨を増補することを特徴とする請求項2または4記載の小型古紙再生装置。
【請求項6】
前記離解・叩解工程に使用する装置において、テーパ状のタンクで形成され、該タンク上部に破砕された古紙及び水及び循環古紙パルプが供給される各供給口を備え、かつ、該タンク下部に、次の機構で連通する排水口及び古紙を、所定時間、該タンク内で循環させるための循環口及びディスポーザのような回転駆動装置を具備したことを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項7】
前記叩解工程に使用する装置において、ディスポーザのような回転駆動装置を、次の工程で使用する古紙パルプ搬送手段に利用することを特徴とする請求項2または6記載の小型古紙再生装置。
【請求項8】
前記破砕工程に使用する装置において、破砕された古紙を離解・叩解装置に搬送する方法が、送風機等による圧送方法を用いることを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項9】
前記除塵・脱墨工程に使用する装置において、孔径の異なるステンレス網又は樹脂網を備えた槽を上部より多段に配置し、上部より古紙パルプを通水することにより、微細化したインキ成分及び異物を除去することを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項10】
前記除塵・脱墨工程に使用する装置において、古紙パルプに混在する鉄片を除去するために、マグネットフィルター等の磁石式除鉄装置を具備したことを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項11】
前記洗浄・脱水工程に使用する装置において、所定角度で固定された円筒形ドラムと、該ドラム内に、所定孔径のステンレス網または樹脂網を備え、且つ該ドラム下部に該ドラムを回転させるためのモータ等の駆動機構を備えた槽を配置し、該ドラムの一方向よりドラム内部に古紙パルプを通水し脱水を行うことを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項12】
前記濃度調整工程に使用する装置において、タンク及び該タンク下部にロードセルを具備した構造であって、古紙パルプの投入量を該ロードセルで測定し、その測定値によって、該タンク内に必要量の給水を行うことで所定濃度の古紙パルプを調整することを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項13】
前記抄紙工程に使用する装置において、円筒形ドラムと複数の所定孔径のパルプ吸引口を設けた樹脂製部材を該ドラム内に具備し、該吸引口に配管接続された抄紙ポンプと、該ドラムを所定位置に固定し、古紙パルプの供給口と排出口を具備した抄紙槽と、該抄紙槽の供給口と配管接続された古紙パルプ供給ポンプと、該ドラム及びモータ等の回転駆動手段に軸支したローラとに巻回された所定幅の無端フェルト帯及び該フェルト帯に対応するプレスロールで構成される装置であって、抄紙ポンプ及び古紙パルプ供給ポンプを所定流量で稼働させ、且つ、ローラを所定速度で回転させることによって、吸引抄紙することを特徴とする請求項2記載の小型古紙再生装置。
【請求項14】
前記抄紙工程に使用する装置において、抄紙槽から排出される古紙パルプを、離解・叩解工程に返送可能にすることを特徴とする請求項3記載の小型古紙再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−67396(P2012−67396A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210566(P2010−210566)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(592250414)株式会社テックコーポレーション (24)
【Fターム(参考)】